JP4026749B2 - 飛翔体の姿勢制御シミュレータ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は飛翔体の姿勢制御シミュレータに関し、特別にはピントル・ノズルを複数個、取り付けたロケットモータを設けた飛翔体の姿勢制御シミュレータに関する。
【0002】
【従来の技術】
飛行機やロケットから何らかの緊急事態でパイロットが脱出しなければならない場合がある。このために飛行機やロケットには緊急脱出装置もしくは緊急脱出座席が設けられている。然るに、従来の緊急脱出装置においては、その脱出時の姿勢を部分的に維持する機能を有するが、全体的に飛翔方向もしくは飛翔姿勢を変化させる機能は無い。例えば、雑誌”SAFE Engineering,March/April 1967”には、カタパルト(Catapult)構造が開示されている。ガイドレールに沿ってロケットモータの推進力によって緊急脱出座席が噴出される。座席に取り付けた別のロケットモータによって座席のピッチ角度のみ脱出時の姿勢を保つように動作する。ロール角、ヨー角については制御機能を有しない。従って、空力により姿勢が変化する。
特に、ロケットや飛行機が陸地に対し低高度で機体の姿勢角が傾いている場合、あるいは極端には、上下を殆んど逆さまにしているような場合には、脱出後の飛翔方向が陸地に向っており、パイロットに装着させているパラシュートを開傘する前に、あるいは完全に開傘する前に陸上に激突する恐れがあり、極めて危険である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされ、緊急脱出装置もしくは緊急脱出座席に飛翔姿勢の制御機能をもたせることにより、悪い条件で脱出しても高度を充分に大きく取って従来より安全に脱出できる範囲を拡大することができる、又は充分な高度をとっている場合には、脱出時の姿勢を保持する飛翔体の姿勢制御方法を提供することを根本的な課題とするが、実際に例えば緊急脱出座席を使って実験することが困難であるので、これをシミュレートする飛翔体の姿勢制御シミュレータを提供することを課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
以上の課題は、擬飛翔体の姿勢制御部と、前記擬飛翔体の姿勢を変更させるための推力を発生させる推力制御モータシミュレータ部と、該推力制御モータシミュレータ部の推力信号を受け、前記擬飛翔体の運動をシミュレートする擬飛翔体の運動シミュレータ部とを備え、前記姿勢制御部は
(a)ロール、ピッチ及びヨーの初期オイラー角φi 、θi 、ψ i 及び目標オイラー角φ0 、θ0 、ψ0 の各入力信号を生成する入力信号生成部と、
(b)前記初期オイラー角φi 、θi 、ψ i と目標オイラー角φ0 、θ0 、ψ0との差δφ、δθ、δψを演算する演算部と、
(c)0≦t≦所定時間、零から連続的に増大し該所定時間で前記差δφ、δθ、δψに達し、該所定時間以降、該δφ、δθ、δψの一定値を維持する関数fφ(t)、fθ(t)、fψ(t)を設定する関数設定部と、
(d)前記擬飛翔体に固定した座標X、Y、Zに関する角速度p、q、rとオイラー角速度との関係
【数1】
において、前記fφ(t)、fθ(t)、fψ(t)及びこれらの微分f'φ(t)、f' θ(t)、f'ψ(t)をそれぞれ前記φ、θ、ψ及び前記dφ/dt、dθ/dt、dψ/dtに代入することによって得られるp、q、rをそれぞれコマンド角速度p−cmd、q−cmd、r−cmdとするコマンド信号生成部と、
(e)前記擬飛翔体に取り付けた角速度センサ又は前記運動シミュレータ部の擬角速度出力信号pd 、qd 、rd を受ける信号入力部と、
(f)前記p−cmd、q−cmd、r−cmdと前記角速度出力信号pd 、qd 、rd との偏差を求める偏差演算部と、
(g)前記各偏差から必要な操作量としてロールモーメント、ピッチモーメント、及びヨーモーメントを得るために、前記推力制御部モータシミュレータ部の複数の擬ピントル・ノズルの開口面積の調整を行うためのピントル位置信号Xp−cmd1〜4を発生するピントル位置信号発生部とを具備し、前記目標オイラー角φ0 、θ0 、ψ0 を模擬的に得るようにしたことを特徴とする飛翔体の姿勢制御シミュレータ、によって解決される。
【0005】
又は、擬飛翔体の姿勢制御部と、前記擬飛翔体の姿勢を変更させるための推力を発生させる推力制御モータシミュレータ部と、該推力制御モータシミュレータ部の推力信号を受け、前記擬飛翔体の運動をシミュレートする擬飛翔体の運動シミュレータ部とを備え、前記姿勢制御部は
(a)ロール、ピッチ及びヨーの初期オイラー角φi 、θi 、ψ i 及び目標オイラー角φ0 、θ0 、ψ0 の各入力信号を生成する入力信号生成部と、
(b)前記初期オイラー角φi 、θi 、ψ i と目標オイラー角φ0 、θ0 、ψ0との差δφ、δθ、δψを演算する演算部と、
(c)少なくとも0≦t≦所定時間で連続的で正でありt=0とt=前記所定時間で零でかつ極大値を有し、前記所定時間以降零である関数gφ(t)、gθ(t)、gψ(t)を設定する関数設定部と、
(d)前記擬飛翔体に固定した座標X、Y、Zに関する角速度p、q、rとオイラー角速度との関係
【数1】
において、前記gφ(t)、gθ(t)、gψ(t)、(∫gφ(t)dt+φi )、(∫gθ(t)dt+θi )、(∫gψ(t)dt+ψi )をそれぞれ前記dφ/dt、dθ/dt、dψ/dt及び前記φ、θ、ψに代入することによって得られるp、q、rをそれぞれコマンド角速度p−cmd、q−cmd、r−cmdとするコマンド信号生成部と、
(e)前記擬飛翔体に取り付けた角速度センサの角速度出力信号又は前記運動シミュレータ部の擬角速度出力信号pd 、qd 、rd を受ける信号入力部と、
(f)前記p−cmd、q−cmd、r−cmdと前記角速度出力信号pd 、qd 、rd との偏差を求める偏差演算部と、
(g)前記各偏差から必要な操作量としてロールモーメント、ピッチモーメント、及びヨーモーメントを得るために、前記推力制御モータシミュレータ部の複数の擬ピントル・ノズルの開口面積の調整を行うためのピントル位置信号Xp−cmd1〜4を発生するピントル位置信号発生部とを具備し、前記目標オイラー角φ0 、θ0 、ψ0 を模擬的に得るようにした
ことを特徴とする飛翔体の姿勢制御シミュレータ、によって解決される。
【0006】
又は、擬飛翔体の姿勢制御部と、前記擬飛翔体の姿勢を一定保持させるための推力を発生させる推力制御モータシミュレータ部と、該推力制御モータシミュレータ部の推力信号を受け、前記擬飛翔体の運動をシミュレートする擬飛翔体の運動シミュレータ部とを備え、前記姿勢制御部は
(a)ロール、ピッチ及びヨーの初期オイラー角φi 、θi 、ψ i の各入力信号を生成する入力信号生成部と、
(b)前記擬飛翔体に取り付けた角速度センサの積分出力信号又は前記運動シミュレータ部のオイラー角出力信号φ、θ、ψを受ける信号入力部と、
(c)前記初期オイラー角φi 、θi 、ψiと前記積分出力信号又は前記オイラー角出力信号φ 、θ 、ψ との偏差を求める偏差演算部と、
(d)前記各偏差から必要な操作量としてロールモーメント、ピッチモーメント、及びヨーモーメントを得るために、前記推力制御モータシミュレータ部の複数の擬ピントル・ノズルの開口面積の調整を行うためのピントル位置信号Xp−cmd1〜Xp−cmd4を発生するピントル位置信号発生部とを具備し、前記初期オイラー角を一定に保持するようにしたことを特徴とする飛翔体の姿勢制御シミュレータ、によって解決される。
以上の構成によって、飛翔体が、いかなる姿勢で機体から脱出したとしても、又、脱出時の姿勢を一定保持させる場合にもパイロットの安全を確実に証明することができる。なお、脱出時の姿勢を一定保持させた場合には、初期姿勢角をそれぞれ0度としてもよく、姿勢角の変化が小さいので、角速度センサの出力の積分値をオイラー角の姿勢角に近似させることができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
まず、本発明に係わる飛翔体の姿勢制御シミュレータを説明する前に、実際の緊急脱出座席にロケットモータを装備させた場合について説明する。
図1は従来例の緊急脱出装置(米国特許第5,415,366号に記載のもの)であるが、図1において、パイロットPは機体M内で座席10に通常の運行姿勢で座しているが、座席10は背もたれ部1’と座部2’とからなっており、この背もたれ部1’の両側壁部に脱出時に上腕部及び下腕部を拘束するための拘束具R’を収納させている。
図示せずとも、公知のように座席10の背面にはロケットモータを搭載しており、座部2’の両側においてパイロットPが脱出駆動ハンドル12a’、12b’を両手でつかんでいる。
パイロットPが緊急脱出せんとして、駆動ハンドル12a’、12b’の両方或いは片方を上へ引き上げると、図示しないロケットモータが着火してこの推進力により座席10は座席の両側に設けられた一対のガイドレールGに沿って上昇する。
【0008】
図2は座席10に作用するロールモーメント、ピッチモーメント及びヨーモーメントを説明するための概略図である。
座席10の背もたれ部1’と座部2’が交差するところにSRP(seat reference point)をとり、これを座標の原点としている。直角座標軸+X、+Y、+Z(通常と異なり下向きとなっている)のまわりの矢印で示す回動力Cl、Cm、Cnがそれぞれ、空力によるロールモーメント係数、ピッチモーメント係数及びヨーモーメント係数である。
【0009】
図3〜図5は更にピントル・ノズルP1 、P2 、P3 、P4 の座席10への取り付け状況を示す。図7は、これらピントル・ノズルP1 〜P4 から圧力ガスを噴出させる駆動源Rの概略図である。これは座席10の背もたれ部1’の裏側に固定されているが図3では更に簡略化されている。
図3において、ピントル・ノズルP1 、P2 は背もたれ部1の裏側の上部に対応して所定間隔をおいて取り付けられ、ピントル・ノズルP3 、P4 は背もたれ部1’の裏側の下部に対応して所定間隔をおいて取り付けられる。
【0010】
図7において、推進薬mに点火させると、燃焼室C1 、C2 、C3 、C4 及びC5 内に高圧の燃焼ガスが発生し、ピントル・ノズルP1 〜P4 のノズル口から外方へと噴出する。これにより、座部10に推進力によるモーメントが発生するのであるが、ピントル・ノズルP1 〜P4 からのガス噴出力により、図7で示すようなガス噴出方向a、b、c、dとは反対方向の推進力を発生する。ピントル・ノズルのノズル口は矢印で示す方向a、b、c、dに傾いている。
ピントル・ノズルP1 〜P4 のノズル口の開閉(on、off)を選択すると、図3A、図3B、図4A、図4B、図5A、図5Bで矢印で図示するようにピッチモーメント、ロールモーメント、ヨーモーメントを発生する。
【0011】
図3Aにおいて、ピントル・ノズルP1 =off、P2 =off(offはピントル・ノズルの開口が閉であることを表わす)、ピントル・ノズルP3 =on、P4 =on(onはピントル・ノズルの開口が開であることを表わす。なお、ピントル・ノズルのon、offは、どのピントル・ノズルを作動すれば、どのようなモーメントが働くかをわかりやすくするために極端な場合を説明したが、実際にはこれらon、offとの間の開位置をとるものである。)である場合には、図示するように正方向のピッチモーメントが得られ、図3Bで示すようにP1 =on、P2 =on、P3 =off、P4 =offでは負方向のピッチモーメントが得られる。Gは重心を表わす。
【0012】
図4Aにおいて、P1 =on、P3 =onで、P2 =off、P4 =offでは負方向のロールモーメント、図4Bにおいて、P2 =on、P4 =on、P1 =off、P3 =offでは正のロールモーメントが得られる。図4Aで代表的に示すが、座席10に働くモーメントM=F1 ×R1 +F3 ×R3 (但し、R1 、R3 はそれぞれ重心GとベクトルF1 、F3 との間の距離)。
【0013】
図5Aにおいて、P1 =on、P4 =onでP2 =off、P3 =offでは正方向のヨーモーメント、図5Bにおいて、P2 =on、P3 =on、P1 =off、P4 =offでは負のヨーモーメントが得られる。
【0014】
図6は一例としてのピントル・ノズルP1 〜P4 の部分拡大断面図である。ノズル口N内には、ノズル本体B(ピントル)が矢印t方向に往復動自在に設けられており、この往復動により、このノズル本体Bの外周面とノズル口Nの内周壁面との間の隙間dが変化する。この隙間dにおいてノズル本体Bの一定位置では、最小値の隙間dの断面積minがノズル・スロート面積と称されている。アクチュエータAに入力信号eが加えられるとこの作動によりノズル本体Bは矢印tで示す方向に左方か、右方へと駆動されるようになっている。この移動量でノズル・スロート面積が決定される。
【0015】
次に本発明の姿勢制御回路について説明する。図8において、飛翔姿勢制御信号発生部1には初期姿勢オイラー角φi 、θi 、ψi 信号が入力される。これは脱出時の機体のそれらを入力するようにすればよい。更に目的姿勢オイラー角φ0 、θ0 、ψ0 信号が入力される。これら信号を用いて、以下の〔1〕〜〔5〕の演算がこの飛翔姿勢制御信号発生部1内で行われる。
本発明の第1の実施の形態では回転すべき角をサイン関数で変化させる。
0≦t≦所定時間aでは
fφ(t)=0.5×δφ×〔sin(πt/a−π/2)+1〕+φ i
fθ(t)=0.5×δθ×〔sin(πt/a−π/2)+1〕+θ i
fψ(t)=0.5×δψ×〔sin(πt/a−π/2)+1〕+ψ i
である。
すなわち、次の演算を行う。
〔1〕回転すべき角=(目的姿勢角−初期すなわち脱出時の姿勢角)
δφ=φ0 −φi
δθ=θ0 −θi
δψ=ψ0 −ψi
〔2〕回転すべき角をサイン関数で変化させるために下記信号を生成する。すなわち1秒でδφ、δθ、δψ変化させる信号を生成する。
φ=0.5×δφ×〔sin(πt−π/2)+1〕+φi
θ=0.5×δθ×〔sin(πt−π/2)+1〕+θi
ψ=0.5×δψ×〔sin(πt−π/2)+1〕+ψi
〔3〕上記信号φ、θ、ψのsin、cosを求める。
sinθ
sinφ
cosθ
cosφ
〔4〕上記信号φ、θ、ψの時間tに関する微分値を求める。
dφ/dt
dθ/dt
dψ/dt
〔5〕制御命令としての座席の回転角速度信号(座席に固定した座標X、Y、Zに関する信号)を下式の関係を使って演算する。
p−cmd=dφ/dt−(dψ/dt)×sinθ
q−cmd=(dθ/dt)×cosφ+(dψ/dt)×sinφcosθ
r−cmd=−(dθ/dt)×sinφ+(dψ/dt)×cosφcosθ
図8において、上記〔5〕で演算した結果である飛翔姿勢制御信号発生部1の出力p−cmd、q−cmd、r−cmdを調節部2に入力する。これはPID制御部3a、3b、3cから成っており、これらには、更に緊急脱出座席10に取り付けた3個の角速度センサ10a、10b、10cのセンサ出力pd 、qd 、rd が入力される。
【0016】
PID制御部3a、3b、3cは同一の構成であるので(図ではPID制御則としている)、PID制御部3aについてのみ図10を参照して説明する。なお、PはProportion、IはIntegration 及びDはDifferentiate である。
比較部11に命令p−cmd及びセンサ10aの出力が供給され、偏差が演算される。なお、代表的に命令p−cmdについてのみ記載するが、他命令q−cmd、r−cmdについても同様である。これは伝達関数12、13、14を介して合算部15に供給される。これらは比例、積分、微分の伝達関数でPID制御を行う。合算部15の出力は図8における『モーメントから推力への変換部』4に供給される。各合算部15の出力が操作量としてのモーメントMp 、Mq 、Mr を表す。モーメントから推力への変換は次の行列式による。
【0017】
【数2】
【0018】
上記の変換係数A11〜A44は座席の重心からノズルまでの距離及びノズルの方向により決めることができる。Fsys は以下のとおりとする。
Fsys =F1 +F2 +F3 +F4
[数2]で求めた推力F1〜F4に対して個別のピントル・ノズルから発生可能な条件により以下の制限を設ける。
0<F1 〜F4 <Fmax
推力制御部5の詳細は図9に示される。
【0019】
図9において、推力F1 〜F4 はノズルスロート面積変換部20に供給される。ここでノズルスロート面積At1 〜At4 が推力F1 〜F4 /(圧力×推力係数Cf)の演算により算出され、それぞれピントル位置変換部21に供給される。
ピントル位置変換部21では変換係数×ノズルスロート面積At1 〜At4 が演算され、その出力としてのピントル位置信号Xp−cmd1〜Xp−cmd4がそれぞれ合算部22a、22b、22c、22dに供給される。
ロケットモータRの燃焼室C(C1 〜C4 共通)の圧力は圧力センサSによって検出され、比較部24に供給される。これには更に設定圧力が供給されており、これらの偏差は比例制御伝達関数25及び積分制御伝達関数26を介して合算部27に供給され、その出力は分割部28へ供給されて4分割される。すなわち、ピントル・ノズルの数で割られる。各合算部22a、22b、22c、22dに供給される。測定圧力が設定圧力より低いと、偏差が+であるので合算部22a、22b、22c、22dでピントル位置信号Xp−cmd1〜Xp−cmd4から、この分が減算される。ピントル位置信号を小さくして、ノズルスロート面積を小とする。これにより、燃焼室Cの圧力を設定圧力に等しくせんとする。合算部22a、22b、22c、22dの各出力はアクチュエータ・コントローラ23a、23b、23c、23dに供給され、これらの出力によりピントル・ノズルのアクチュエータ(1〜4)A(図6参照)が駆動される。よって緊急脱出座席10に所望のモーメントが与えられる。よって、飛行機Fから脱出した座席10は図11に示されるように、飛翔制御され、パイロットPは安定な姿勢をとってパラシュートHは開傘する。
【0020】
以上は本発明者による別発明の緊急脱出装置の姿勢制御装置であるが、実際に座席10にロケットモータRを装備させて、飛行機やロケット機体から脱出させて、所望の姿勢制御を行うかについて実験を行うことは極めて困難である。
【0021】
本発明は以上の座席10及び推力ロケットR(ロケットモータとも称する)のシミュレータを形成して上述の緊急脱出装置が確実に所望の姿勢制御を行うことをシミュレータで証明しようとするものである。
図13及び図14において、一点鎖線で囲む部分100Aが姿勢制御部、100Bが推力制御モータシミュレータ部、100Cが座席の運動シミュレータ部を表わす。姿勢制御部100Aは上述した姿勢制御装置とほぼ同一であるので、その説明は省略し、推力制御モータシミュレータ部100B及び座席の運動シミュレータ部100Cについて以下、詳述する。
【0022】
図12は、全体の構成を示すが、姿勢制御部100Aからは、ピントル位置信号Xp−cmd1、Xp−cmd2、Xp−cmd3、Xp−cmd4が、推力制御モータシミュレータ部100Bに供給され、ここから推力F1ないしF4が演算導出され、座席の運動シミュレータ部100Cに供給される。この詳細は図16で示されるが、ここで演算導出されたオイラー姿勢角であるロール角θ、ピッチ角ψ、及びヨー角φが姿勢制御部100Aを装備する三軸モーションテーブルM(擬飛翔体として選択的に用いられる。)に供給される。モーションテーブルMは図19及び図20に明示されるが、ループテストの際には選択的にこのモーションテーブルMに演算導出したオイラー姿勢角であるロール角、ピッチ角、及びヨー角が供給され、この角度になるように追値制御されるように駆動される。また選択的にモーションテーブルMを用いないでループテストを行う時には、座席の運動シミュレータ100C内で座席をシミュレート化して慣性モーメントIの剛体として角速度を演算し、これが姿勢制御部100Aにフィードバックされて、シミュレートが正しいかどうか、安定しているかどうかを証明するようにもしている。
【0023】
次に推力制御モータシミュレータ部100Bについて図15を参照して説明する。
推力制御モータシミュレータ部100Bはピントル位置信号Xp−cmd1〜4を入力信号として圧力及び推力を実時間計算して出力するものである。図15においてノズルスロート面積計算部50ではピントル位置とノズルスロート面積との関係は予め計算しておく。その関係を直線近似テーブルを使用して変換する。例えば直線近似の関係とすれば下式のとおり表わすことができる。
ノズルスロート面積 = 定数×ピントル位置
ノズルスロート面積の合計部52では4個所のノズルのスロート面積の合計値を求める。
ガス排出率計算部56では単位時間にノズルから流出するガス量を計算する。圧力PC及びノズルスロート面積の合計値を入力として次式により計算する。
ガス排出率 = CW×圧力(PC)×Σノズルスロート面積
CWは排出係数で、定数であり予め求めておく。
燃焼率計算部64では、圧力を入力として次式により燃焼率、すなわち燃焼速度を求める。
燃焼速度 = a×PCn
a:燃焼速度の係数
n:燃焼速度の指数係数
a、nは定数であり使用する推進薬の特性として予め求めておく。
【0024】
燃焼面積計算部68では、燃焼速度を積分して燃焼深さを求め、その燃焼深さに対する推進薬の燃焼面積を計算する。この場合、計算時間を短縮するために予め燃焼深さに対する燃焼面積をテーブルにしておき、そのデータから補間して求める。
ガス発生率計算部70では、推進薬が燃焼することにより発生する単位時間あたりのガス量を求める。燃焼速度(燃焼率)と燃焼面積を入力として次式により求める。
ガス発生率もしくはガス発生量 = ρ×燃焼面積×燃焼速度
ここで、ρは推進薬の密度で、定数であり予め求めておく。
内部空間体積計算部66では、推進薬が燃焼することにより空間の体積が増加するので、初期の体積に増加分を加える。増加分は燃焼速度と燃焼面積の積を時間積分することにより求める。
内部空間体積 = FVi +∫(燃焼速度×燃焼面積)dt
ここでFVi は初期の空間体積。
【0025】
ガス・ストレージ率計算部58では、単位時間内でモータチャンバ内で増減するガス量を計算するガス発生率からガス排出率を引いたもので表わす。
ガス・ストレージ率 = ガス発生率−ガス排出率
圧力変化率計算部60では、モータチャンバの圧力変化率を次式で計算する。
dPC/dt = 定数×ガス・ストレージ率/内部空間体積
上記定数は排出ガスの分子量、排出ガスの温度、比熱比、ユニバーサルガス定数から求められるもので予め求めておく。
圧力計算部62では、圧力変化率を積分して圧力PCを求める。
推力計算部54では、ノズルスロート面積と圧力PCを使って次式により推力F1 〜F4 を求める。
F1 = ノズル1の推力 = Cf×圧力×ノズルスロート1の面積
F2 = ノズル2の推力 = Cf×圧力×ノズルスロート2の面積
F3 = ノズル3の推力 = Cf×圧力×ノズルスロート3の面積
F4 = ノズル4の推力 = Cf×圧力×ノズルスロート4の面積
Cf:推力係数でノズル形状により決定される。定数であり予め求めておく。
【0026】
次に図16を参照して座席の運動シミュレータ部100Cについて説明する。図16において、ノズル推力変換部80ではノズルから発生する推力F1 〜F4 を座席固定座標系における座標軸に作用する6分力を求める。各軸に関するモーメント(Mx 、My 、Mz )は次式によりノズルごとに求め成分ごとに合計する。
M1 = R1 ×F1
M2 = R2 ×F2
M3 = R3 ×F3
M4 = R4 ×F4
以上はベクトル積であるのでM1 〜M4 、R1 〜R4 及びF1 〜F4 は太字で表わされている。
各推力のx、y、z軸成分(Fx 、Fy 、Fz )はベクトルF1 〜F4 の各軸方向の分力をノズルごとに求め同じ成分同士を合計する。
座席の慣性モーメントI88では、モーメントIは座席固有の定数で3行3列の行列で表わす。これを[数3]で示す。
【0027】
【数3】
【0028】
なお、これらIxx、Ixy…は実際の座席について計算で求めたものである。実際のこれら数値はパイロットPにより異なる。具体的には以下の数値を使ってシミュレーションしている。これは座席、火工品、パイロットPを含めた状態での慣性モーメントである。単位は航空機関係では一般的に使用されているヤード・ポンド系で表している。すなわちIxx=18.93(slug・Ft2)、Iyy=21.03、Izz=7.41、Ixy=Iyx=−0.51、Iyz=Ixy=0.34、Ixz=Izx=−0.35である。
【0029】
これを角加速度の計算部86に供給し、ここでdω/dt=I-1・(M−ω×(I・ω))として計算する(I-1:慣性モーメントの逆行列、M:座席に作用するモーメント、ω:座席の角速度)。この出力dωx/dt、dωy/dt、dωz/dtは、次段の積分部90に供給され、これらが積分されて角速度ωx、ωy、ωzを出力する。これら出力は、クオータニオン計算部92に供給される。またこれには初期クオータニオンが供給される。クオータニオンは、3D表現でよく使われるものであるが、q=a+bi+cj+dkとして表わされるもので、第1項のaが角度を表わし、2項、3項及び4項でベクトルを表わすものである。すなわち、飛翔体の姿勢を4次元数で表現するものである。クオータニオンの時間変化dq/dtは、角速度ωx、ωy、ωzとクオータニオン・マトリックスとで表現することができる。dq/dtを積分することにより、姿勢の状態を更新していく。上述のクオータニオン・マトリックスは[数4]で表わされる。
【0030】
【数4】
【0031】
上述のqの各項のa、b、c、dが各々本願明細書のq1、q2、q3、q4に対応する。
【0032】
なお、クオータニオンとは以下のように定義されている [日本航空宇宙工学会編−航空宇宙工学便覧(丸善)より]。基準座標系から別の新座標系への変換を、一つのベクトルRとその周りの回転で表わす方法(図25参照)であり、ベクトルRの基準座標系に対する方向余弦をl、m、n、その周りの回転角をθとすると、クオータニオンqは[数5]で表わされる。
【0033】
【数5】
【0034】
図17は以上のクオータニオン計算部92の詳細を示すブロック図であるが、前段側からクオータニオン微分計算部92a、積分部92b、加算部92c、およびノーマライズ処理部92dからなっている。この最終段のノーマライズ処理部92dの出力がノーマライズされたクオータニオン元数(クオータニオンは4次元数であるが、以下各、q1、q2、q3、q4を元数と言う)である。このノーマライズされたクオータニオン元数q1n、q2n、q3n、q4nは最前段のクオータニオン微分部92aにフィードバックされる。なお、ノーマライズされたクオータニオンはそれぞれ出力としてq1、q2、q3 、q4 とも表わす。これには更に上述したように、前段側から角速度ωx、ωy、ωzが供給されている。これら角速度およびクオータニオンの4元数により上述の[数4]に基づいて、クオータニオンの微分dq1/dt、dq2/dt、dq3/dt、dq4/dtが出力される。これは次段の積分部92bに供給され、積分されてq1、q2、q3 、q4 が加算部92cに供給される。これには上述したように、初期クオータニオンq1i,q2i、q3i、q4iが供給されており、前段側の積分部92bの出力に初期クオータニオンが加算されて初期値を含めたクオータニオン元数q1、q2、q3 、q4 が導出され、これが後段のノーマライズ処理部92dに供給される。ここでノーマライズとは[数4]で記載したように、q1 2+q2 2+q3 2+q4 2=1を満足する必要があるから、ここで[数6]に基づいてこのノーマライズされたクオータニオンを計算して、クオータニオン微分計算部92aに供給するようにしている。フィードバックによって順次書換えられて、実時間でオイラー角が導出されるようになっている。
【0035】
【数6】
【0036】
次にこれらクオータニオンq1 乃至q4 は方向余弦マトリックス計算部94に供給され、ここで地上の基準座標系から座席固定の座標系へ変換するマトリックスを求める。
【0037】
【数7】
【0038】
[数7]は、クオータニオンにより方向余弦マトリックスを表わした式で、方向余弦マトリックス計算部94の式を表わしている。ここで、方向余弦マトリックスの各要素の値を計算する。
【0039】
【数8】
【0040】
【数9】
【0041】
[数8]は、オイラー角により方向余弦マトリックスを表わした式であり、この式を使って[数9]のとおりオイラー角を方向余弦マトリックスの要素を使って表わすことにより、オイラー角を求めることができる。オイラー姿勢角計算部96で[数8]、[数9]が用いられる。
【0042】
更に、図16において加算部98では上述のノズル推力変換部80からの出力fx、fy、fzが供給されると共に、後に更に詳細に説明される空力計算部84からの出力すなわち空力による各軸X、Y、Zに働く力afx、afy、afz が供給され、これらが加算されて出力としてΣFx、ΣFy、ΣFz が得られる。これらは、座標変換部102に供給され、ここで座席座標系での力から基準座標系での力へと変換される。このために、[数10]で表わされる方向余弦マトリックスと座席座標系での力Fxs、FysおよびFzsとにより、基準座標系での力Fxi、FyiおよびFziを求めることができる。
【0043】
【数10】
【0044】
これらは、さらに加速度計算部104に供給され、ここで上述の座標変換した力Fxi、FyiおよびFziと重力加速度とから座席の加速度が得られる。すなわち、X軸、Y軸およびZ軸方向における加速度ax =FX/M、ay=FY/M、az =FZ/M+g。ここでMは座席質量であり、gは重力加速度である。これら加速度ax、ayおよびaz は次段の積分部106に供給される。
【0045】
【数11】
【0046】
ここで[数11]で示すように、積分された値、すなわち速度Vxi、VyiおよびVziは第2の積分部108に供給され、ここで擬飛翔体の飛翔位置が[数12]で示すように計算される。
【0047】
【数12】
【0048】
この積分部108には初期位置が供給されている。積分部108の高度の出力Zは上述の空力計算部84に供給される。本シミュレータでは、Z軸方向のみの位置信号Zを用いる。
【0049】
なお、第1の積分部106の出力である速度Vxi、Vyi、Vziが第2の座標変換部110に供給される。ここで速度が基準座標系から座席座標系へと変換される。この基準座標系での速度Vxi、Vyi、Vziから座席座標系での速度Vxs、VysおよびVzsへの変換は[数13]で示されるマトリックスから計算される。
【0050】
【数13】
【0051】
これらVxs、VysおよびVzsから宇宙工学で明らかなように、迎え角αおよび横滑り角βが迎え角、横滑り角計算部112で[数14]を使って計算される。
【0052】
【数14】
【0053】
この出力α、β及びvは空力計算部84に供給され、また、これにははさらに第2の積分部108の出力、すなわち飛翔位置Z(高度)が供給される。これらα、βおよびZから空力が計算される。空気の密度ρは高度Zと共に小さくなるが、この関係を予め計算式で表わしておき、高度Zに対する空気の密度を求める。このρとvとから動圧Qを求める。すなわち6分力でX、YおよびZ軸方向の空力afx 、afy 、およびafz およびこれら軸の周りの回転モーメントamx、amy、amzが出力され、これらはそれぞれ上述の加算部98およびモーメントの加算部82に供給される。
【0054】
空力計算部では図18で示すように、迎え角α、横滑り角β、および速度vが予め関数表としてメモリーされている空力係数演算部Wに供給され、これから空力係数Cx、Cy、およびCz並びに空力モーメント係数Cl、Cm、Cnが導出される。これら空力係数を用いることによって上述の
afx=Q・S・Cx
afy=Q・S・Cyおよび
afz=Q・S・Cz
が求められる。
ここでQは動圧であり、Q=0.5×ρ×v2 であり、Sは座席面積である。また、空力モーメントは空力モーメント係数Cl、Cm、およびCnを用いることによって
amx=Q・S・HD・Clcg
amy=Q・S・HD・Cmcg
amz=Q・S・HD・Cncg
ここでHD=(4×S/π)0.5であり、Clcg、Cmcg、CncgはCl、Cm、Cnを座席重心に働く場合の係数に変換したものである。
【0055】
次に図19及び図20を参照して本発明のシミュレータのハード部を構成する模擬飛翔体Mについて説明する。これは上述の実施の形態における緊急脱出座席10を模擬したものであるが、地上に配設されている。架台Aには駆動軸g1を駆動するに駆動モータm1 が取付られており、この駆動軸g1に第1回動部材Bが取り付けられている。駆動軸g1と同一軸に従動軸g1’が第1回動部材Bの対向する面に固定され、軸受G1 によって軸受けされている。さらにこの内側に第2回動部材Cが配設されており、これには駆動軸g2が固定されており、この駆動軸g2は駆動モータm2 によって駆動される。従動軸g2’が第2回動部材Cの対向する面に固定され、軸受G2 によって軸受けされる。さらにこの内側には第3回動部材Dが配設されており、これは図19において下方に僅かに見える第3の駆動モータm3 の駆動軸g3(図では見えない)に下方から取付けられている。
【0056】
図20は図19をさらにモデル化して示すものであるが、架台Aに取付られる駆動モータm1 の駆動軸g1をZ軸とし、また第1回動部材Bの内方に配設される第2回動部材Cは、ここでは円筒体として示されている。駆動モータm2 の駆動軸g2はY軸上にありまた、第3回動部材D(ここでは円板として示されている。)を駆動する、図19では図示されていない第3の駆動モータm3 の軸g3の方向をX軸とする。これらZ軸、Y軸およびX軸の周りの回転がそれぞれオイラー角のヨー角、ピッチ角およびロール角を表わすものである。各駆動モータm1、m2およびm3 には上述の座席運動シミュレータ100Cの出力であるオイラー角ψ、θおよびφが図示しないコントローラーを介して供給され、その角度に追値制御され第1回動部材B、第2回動部材Cおよび第3回動部材Dを各オイラー角へと回動する。
【0057】
以上、本発明の実施の形態による飛翔体の姿勢制御シミュレータの構成について説明した。次にこの作用につき説明する。
図13において飛翔姿勢制御信号発生部1に飛行機からの脱出時の姿勢角である初期姿勢角φi・θi・ψiが入力される。他方、目標となる姿勢角φo・θo・ψoが入力される。飛翔姿勢制御信号発生部1を含む姿勢制御部100Aは実際の飛翔体の制御回路であるが、本シミュレータにおいては座席も推力ロケットも搭載せずシミュレータで行われるので、これらに代えて推力制御モータシミュレータ部100B及び座席の運動シミュレータ部100Cが設けられている。飛翔姿勢制御信号発生部1では上述したように、上述の入力を受けて角速度コマンドであるp−cmd、q−cmd及びr−cmdを出力し、これらがPID制御部3a・3b・3cに供給される。実際の装置ではPID制御部の他方の端子には、実際の座席10に取付けられている角速度センサー10a、10b、10cの出力pd ・qd ・rd が供給されるのであるが、シミュレータでは座席の運動シミュレータ100Cから図16で示すように、積分部90の出力ωx・ωy・ωzが図13におけるPID制御部3a・3b及び3cの他方の入力端子に供給される。
【0058】
以下、実際の装置と同様な制御作用を行い、図9で示す設定圧力と測定圧力との偏差によりピントル位置信号を補正するための圧力補正信号を供給するブロック図において、推力制御モータシミュレータ100Bからの圧力信号、すなわち図15における推力制御モーターシミュレータ100Bの圧力計算部62からの圧力PCがここに供給される。
【0059】
他方、図16で示される運動シミュレータ部100Cでは、オイラー姿勢角計算部96からオイラー角φ・θ及びψが実時間で出力されているが、これは目標のオイラー角に向って変化していく 目標のオイラー角に到達すると以後この姿勢角出力を維持する。これによってこのシミュレータにより、安定に、確実に目標のオイラー姿勢角が得られることが証明される。一方、積分器90の出力ωx、ωy、ωzも零となっている。
【0060】
本発明の実施の形態によれば、更にハードな部分も加えることにより、上述のシミュレータ作用を更に確実に証明することができる。すなわち冒頭で述べた緊急脱出座席10を実際に飛行機から脱出させて所望の姿勢制御ができるか実験することは極めて困難であるので、上述のシミュレータで行って姿勢制御を確実・安定に行うことを証明したが、更に発明の他実施の形態によれば、図19で示す、擬飛翔体Mを用い、この電動機m1、m2及びm3に図16で示すオイラー姿勢角計算部96の出力信号φ、θ、ψを図示しないコントローラに供給し、これから発生する電力を駆動電動機m1、m2及びm3に供給し、各回動部材B、C、Dの駆動軸g1、g2、g3の回動角度が出力φ、θ、ψとなる追値制御を行う。上述したように、第1、第2、第3駆動軸g1、g2、g3は、各々独立して駆動され回動することができるので、正確に目標のオイラー角を得るべく回動する。
【0061】
次に図21ないし図23を参照してモーションテーブルMの動作について説明する.図21においてAは初期状態を示し第1回動部材B、第2回動部材C、および第3回動部材Dは初期位置にある。すなわち、各駆動軸の回転角は零である。なお、初期状態では、図をわかり易くするためにオイラー角φ、θ、ψはいづれも0度としているが、実際には脱出時の角度をとるように各駆動軸g1、g2、g3を回動させておく。
【0062】
この状態において各駆動軸g1、g2、g3は座席運動シミュレータ100Cのオイラー角出力が図示しないコントローラを介して駆動モータm1、m2、m3 に供給されて、同時に出力オイラー角になるように回転するのであるが、この動作をわかり易くするために、各オイラー角の信号で回転する様子を、第1、第2、第3回動部材について順次説明する。
【0063】
なお、本実施の形態におけるオイラー角の定義から、図19及び図20に示すように、Z軸の周りの回転角はヨー角とされる。通常はZ軸は上下方向とされるが、モーションテーブルMを作製しやすいように水平方向とした。従って、実際には第1回動部材BのZ軸と直交する側面Baが座席10のシート面2’に相当する。最外周側にある回動部材BがZ軸の周りにヨー角度回動すると、内周側にある第2回動部材C及び第3回動部材DもZ軸の周りにこのヨー角度回動する。すなわち、Y軸、X軸は、図19、図20に図示の方向から、この角度だけ回動する。この回動後のY軸及びX軸をY'軸 及びX’軸とする。これらは図示していないが、更にY'軸 の周り、ピッチ角度、第2回動部材B及び第3回動部材Cが回動する。この回動後のX’軸をX”軸とする。これらも図示していない。この時にとるモーションテーブルMの姿勢が図23Cである。
【0064】
図19、図20の姿勢から水平線に対し90度ひねった姿勢でX軸、Y軸、Z軸が通常通りの方向となる。然しながら、モーションテーブルMの各回動部材B、C、Dの動作については、わかり易くするために回動部材D、C、Bの順で各々につきロール角φ、ピッチ角θ、ヨー角ψ、回動させる場合について説明する。すなわち、図21は、第3回動部材Dのみを、駆動電動機m3 の駆動により軸Xの周りにロール角度ψだけ回動させる場合を示す。図22は軸Yの周りにピッチ角度θだけ駆動電動機m2 の駆動により回動部材Cを回動させる場合を示し、図23は軸Zの周りにヨー角φだけ駆動電動機m1 の駆動により回動部材Bを回動させる場合を示す。
【0065】
図21において、見えない駆動電動機m3 の駆動により第3回動部材Dは軸Xの周りに回動して、順次図21のA、B、Cで示す角度位置をとる。すなわち、ロール角φだけ回動させる。次いで、図22で示すように、第2回動部材Bを軸Yの周りに駆動電動機m2 によりピッチ角度θだけ回動させる。図22A、B、Cで示すように、回動部材Bは回動部材Dと共に軸Yの周りにピッチ角度θへと回動する。
【0066】
次に、図23で示すように、駆動電動機m1 により第1回動部材Bは第1駆動軸g1と共にA、B、Cで示すように、ヨー角度ψだけ回動する。このとき、第2、第3回動部材C、Dも軸Zの周りにヨー角度ψだけ回動する。
なお、以上ではZ軸、Y軸、およびX軸の順番にその軸の周りに各回動部材を回動させるようにして各オイラー角を定めたが、もちろんオイラー角の定義によっては、この順序で行う必要は無くZ軸、X軸、Y軸またはX軸、Y軸、Z軸の順序で行うようにしても良い。但し、その場合、座標回転行列はその順序によって変わってくる。本発明の実施の形態では、上述したように、Z軸、Y軸、およびX軸の順序でそれぞれの軸の周りの角度をオイラー角と定義する。第1、第2、第3の駆動軸g1、g2、g3に対するオイラー角の出力信号の与え方については、オイラー角の定義によって定めればよい。第3回動部材Dには姿勢制御部100Aが搭載されており、これには図示せずとも角速度センサーが取付けられている。よって上述の第1、第2、第3駆動軸g1、g2、g3の回動により、実際の角速度信号が導出され、これが調整部2におけるPID制御部3a、3b及び3cに供給される。この角速度センサーの出力を図16の計算部92、94、96により変換することにより、実際のオイラー角に近いオイラー角を計測することができ、よって目標とするオイラー角が得られたかどうかを確認することができる。
【0067】
以上述べたように、飛翔体としては空、又は宇宙に実際に飛翔する座席ではなく、地上に配設したものであるが、姿勢制御部に関してはまったく同等の作用を得ることができるので、実施の形態によるシミュレータにこのハードを加えたシミュレータによって、より確実に本発明の実施の形態による飛翔体の姿勢制御作用を証明することができる。
【0068】
図24は、本発明の第二の実施の形態による飛翔体の姿勢制御シミュレータの要部のブロック図であるが、本発明の実施の形態においては、飛翔体は脱出時の姿勢を一定に保持することが出来るようにしている。脱出姿勢角信号発生部101’には初期姿勢角が設定されるが、この信号発生部101’の出力であるオイラー初期姿勢角φi、θi、ψiが、PID制御部3a、3b、3c供給され、この他入力としては、上述と同様な座席運動シミュレータ100Cのオイラー角出力信号φ、θ、ψが供給される。
【0069】
なお、図16においてクオータニオン計算部90では、初期クオータニオンとして、初期姿勢角、すなわち脱出時のオイラー角φi、θi、ψiが入力されているので、オイラー姿勢角計算部96の出力φ、θ、ψは脱出時の姿勢角φi、θi、ψiに殆んど等しい。すなわち、
φ=φi±△φ
θ=θi±△θ
ψ=ψi±△ψ
であり、△φ、△θ、△ψは非常に小さく、定常状態では0となるものである。高度Zに応じて、空力計算部84から空力afx 、afy、afz 及びamx、amy 、amz が出力するので、推力F1〜F4は座席10に対して空力による回転モーメントを発生しないバランスをとってF1〜F4が発生している。この誤差によってもオイラー姿勢角計算部96の出力φ、θ、ψは、脱出時の姿勢角φi、θi、ψiとは小さいながらも偏差を持つ。空力の変化によっても偏差を持つ。これによって、PID制御部3a、3b、3cからは、この偏差をなくすべくモーメントMp、Mq、Mrを発生し、これにより座席中の脱出時の姿勢角を一定に保つ働きをする。
【0070】
一方、モーションテーブルMにおいては、脱出時の姿勢角φi、θi、ψiとの偏差に応じて駆動電動機m1 、m2 、m3 に電力が与えられ、これにより初期オイラー姿勢角φi、θi、ψiからのズレを0にするように働く。よって、このモーションテーブルMが殆んど静止していることを確認することによって、初期の姿勢角を維持することが証明される。なお、姿勢角を一定に保持する制御では、初期姿勢角を0度とすることができ、これからの偏差は小さいので、角速度センサの出力の積分値をオイラー角に近似することができる。
【0071】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、勿論、本発明はこれらに限定されることなく、本発明の技術的思想に基づいて種々の変形が可能である。
【0072】
例えば以上の実施の形態では、ピントル・ノズルの個数は4個であったが座席の形状や重心の位置によっては、これより少なくても、あるいは多くても、本発明の作用は可能である。
【0073】
また以上の実施の形態では、初期のオイラー角(φi 、θi 、ψi )から目標のオイラー角(φ0 、θ0 、ψ0 )を得るための時間関数はサイン関数であるとしたが、これに代え少なくとも所定の時間内では時間に関し連続的に増大する関数であれば、他の関数形式であってもよい。
【0074】
また、以上の実施の形態では、上述のサイン関数は、
φ=0.5×δφ×〔sin(πt−π/2)+1〕+φi
(他のオイラー角θ、ψ についても同様)とし、1秒で所望の目標オイラー角φ0 を得るようにしたが、一般的に、
φ=0.5×δφ×〔sin(πt/a−π/2)+1〕+φi としてもよい(a秒でφ0となる。)
又、以上の実施の形態では、回転すべき角をサイン関数で変化させたが、本発明の第2の実施の形態ではこれに代えて回転すべき角度の角速度をサイン関数で変化させるようにしている。
0≦t≦所定時間aでは
gφ(t)=(1/a)δφ×〔sin(2πt/a−π/2)+1〕
gθ(t)=(1/a)δθ×〔sin(2πt/a−π/2)+1〕
gψ(t)=(1/a)δψ×〔sin(2πt/a−π/2)+1〕
である。
すなわち、次の演算を行う。
〔1〕回転角=(目的姿勢角−脱出時の姿勢角)
δφ=φ0 −φi
δθ=θ0 −θi
δψ=ψ0 −ψi
〔2〕回転の角速度をサイン関数で変化させるために下記信号を生成する。
dφ/dt=δφ×〔sin(2πt−π/2)+1〕
dθ/dt=δθ×〔sin(2πt−π/2)+1〕
dψ/dt=δψ×〔sin(2πt−π/2)+1〕
〔3〕上記信号の積分値に初期姿勢角を加える。
φ=∫dφ/dt・dt+φi
θ=∫dθ/dt・dt+θi
ψ=∫dψ/dt・dt+ψi
〔4〕上記信号φ、θ、ψのsin、cosを求める。
sinθ
sinφ
cosθ
cosφ
〔5〕座席の命令回転角速度信号を下式の関係を使って求める。
p−cmd=dφ/dt−(dψ/dt)×sinθ
q−cmd=(dθ/dt)×cosφ+(dψ/dt)×sinφcosθ
r−cmd=−(dθ/dt)×sinφ+(dψ/dt)×cosφcosθ
この変形例では、角度の目標角への変化開始はより滑らかである。よって、より制御が安定する。
【0075】
また以上の実施の形態では、飛翔体として緊急脱出座席を適用したが、他の飛翔体、例えば、飛行機やロケットにも本発明を適用してもよい。
【0076】
また以上の実施の形態では、調節部2ではPID制御を行うようにしたが、制御対象によってはPI制御又はP制御を行うようにしてもよい。または最近の制御則であるLQI制御、H∞制御を行うようにしてもよい。
【0077】
また以上の実施の形態では、推進ロケットRは1個で、これに4個のピントル・ノズルを取り付けるようにしたが、推進ロケットRは1個でなくでもよく、2個以上用いることも可能である。この場合、推力ロケットシミュレータ部としては、上述の100Bを、その数に応じて構成すればよい。
【0078】
また以上の変形例では、関数gφ(t)としてδφ×〔sin(2πt−π/2)+1〕を用いたが、一般に0≦t≦所定時間で連続的で正であり、t=0と、t=所定時間で零で、かつ極大値を有し、前記所定時間以降零である関数gφ(t)(他のオイラー角についても同様)であれば、すべて本発明に適用可能である。また、以上の実施の形態では目標とするオイラー角φ、θ、ψを同時に得るようにしたが、一軸ごとに得るようにしてもよい。しかしながら、時間的には少し遅くなる可能性がある。一軸ごとの回転の場合は座席の座標系での角速度とオイラー角速度とが同じになり、演算が非常に簡単になるというメリットがある。デメリットは、上述したように目標とするオイラー角にするまで時間がかかることである。
【発明の効果】
本発明の飛翔体の姿勢制御シミュレータによれば、例えば実際に緊急脱出座席や推力制御モータを用いて実験せずとも、飛翔体の目標姿勢角を迅速に得ることができることが証明される。又は脱出時の姿勢角を一定に保持することが証明される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に適用される緊急脱出座席の斜視図である。
【図2】図1を更に簡略化してロールモーメント、ピッチモーメント及びヨーモーメントを説明するための斜視図である。
【図3】4個のピントル・ノズルの取付位置、推進力ベクトル及び各モーメントの発生状況を示す図で、Aは側面図で取付位置及び推進ベクトルを示し、正のピッチモーメントを発生する場合、Bは負のピッチモーメントを発生する場合を示す。
【図4】4個のピントル・ノズルの取付位置、推進力ベクトル及び各モーメントの発生状況を示す図で、Aは背面図で取付位置及び推進ベクトルを示し、負のロールモーメントを発生する場合、Bは正のロールモーメントを発生する場合を示す。
【図5】同様に平面図で、Aが正のヨーモーメントを発生する場合、Bが負のヨーモーメントを発生する場合を示す。
【図6】1個のピントル・ノズルとアクチュエータを示す部分拡大断面図である。
【図7】推力モータの縦断面図である。
【図8】本発明の実施の形態による姿勢制御方法を具体化する回路のブロック図である。
【図9】図8における推力制御部のブロック図である。
【図10】図8における1つのPID制御部のブロック図である。
【図11】飛行機から脱出し、姿勢制御される緊急脱出座席の飛行軌跡を示す概略斜視図である。
【図12】本発明実施の形態による擬飛翔体の姿勢制御シミュレータのブロック図である。
【図13】図8の要部との関係を示すために、かつ図12における姿勢制御部と各シミュレータ部との関係を示すブロック図である。
【図14】さらに姿勢制御部と推力制御モータシミュレータ部との関係を示すブロック図である。
【図15】同シミュレータにおける推力制御モータシミュレータ部のブロック図である。
【図16】座席の運動シミュレータのブロック図を示す図である。
【図17】図16のクオータニオン計算部の詳細を示すブロック図。
【図18】図16における空力計算に使用されるブロック図である。
【図19】座席の運動シミュレータに選択的に用いられるモーションテーブル、または擬飛翔体の斜視図である。
【図20】図19をさらに模式化して示す斜視図である。
【図21】擬飛翔体の作用を示す図で、第1ないし第3回動部材の内、第3回動部材の動きを順次A、B、Cの順で示す斜視図である。
【図22】第2回動部材がAないしCの順序で回動する状況を示す斜視図である。
【図23】第1回動部材がAないしCの順序で順次回動する状況を示す斜視図である。
【図24】本発明の第2の実施形態による飛翔体の姿勢角制御シミュレータの要部のブロック図である。
【図25】クォータニオンの定義を図解するチャートである。
【符号の説明】
1 飛翔姿勢制御信号発生部
1’ 脱出姿勢角信号発生部
100A 姿勢制御部
100B 推力制御モータシミュレータ部
100C 座席の運動シミュレータ部
M モーションテーブル
Claims (23)
- 擬飛翔体の姿勢制御部と、前記擬飛翔体の姿勢を変更させるための推力を発生させる推力制御モータシミュレータ部と、該推力制御モータシミュレータ部の推力信号を受け、前記擬飛翔体の運動をシミュレートする擬飛翔体の運動シミュレータ部とを備え、前記姿勢制御部は
(a)ロール、ピッチ及びヨーの初期オイラー角φi 、θi 、ψ i 及び目標オイラー角φ0 、θ0 、ψ0 の各入力信号を生成する入力信号生成部と、
(b)前記初期オイラー角φi 、θi 、ψ i と目標オイラー角φ0 、θ0 、ψ0との差δφ、δθ、δψを演算する演算部と、
(c)0≦t≦所定時間、零から連続的に増大し該所定時間で前記差δφ、δθ、δψに達し、該所定時間以降、該δφ、δθ、δψの一定値を維持する関数fφ(t)、fθ(t)、fψ(t)を設定する関数設定部と、
(d)前記擬飛翔体に固定した座標X、Y、Zに関する角速度p、q、rとオイラー角速度との関係
(e)前記擬飛翔体に取り付けた角速度センサ又は前記運動シミュレータ部の擬角速度出力信号pd 、qd 、rd を受ける信号入力部と、
(f)前記p−cmd、q−cmd、r−cmdと前記角速度出力信号pd 、qd 、rd との偏差を求める偏差演算部と、
(g)前記各偏差から必要な操作量としてロールモーメント、ピッチモーメント、及びヨーモーメントを得るために、前記推力制御部モータシミュレータ部の複数の擬ピントル・ノズルの開口面積の調整を行うためのピントル位置信号Xp−cmd1〜4を発生するピントル位置信号発生部とを具備し、前記目標オイラー角φ0 、θ0 、ψ0 を模擬的に得るようにしたことを特徴とする飛翔体の姿勢制御シミュレータ。 - 前記目標オイラー角φ0 、θ0 、ψ0 を前記所定時間に同時に得るようにしたことを特徴とする請求項1に記載の飛翔体の姿勢制御シミュレータ。
- 前記関数fφ(t)、fθ(t)及びfψ(t)はそれぞれ0≦t≦所定時間aでは
fφ(t)=0.5×δφ×〔sin(πt/a−π/2)+1〕+φi
fθ(t)=0.5×δθ×〔sin(πt/a−π/2)+1〕+θi
fψ(t)=0.5×δψ×〔sin(πt/a−π/2)+1〕+ψi
であることを特徴とする請求項1又は2に記載の飛翔体の姿勢制御シミュレータ。 - 擬飛翔体の姿勢制御部と、前記擬飛翔体の姿勢を変更させるための推力を発生させる推力制御モータシミュレータ部と、該推力制御モータシミュレータ部の推力信号を受け、前記擬飛翔体の運動をシミュレートする擬飛翔体の運動シミュレータ部とを備え、前記姿勢制御部は
(a)ロール、ピッチ及びヨーの初期オイラー角φi 、θi 、ψ i 及び目標オイラー角φ0 、θ0 、ψ0 の各入力信号を生成する入力信号生成部と、
(b)前記初期オイラー角φi 、θi 、ψ i と目標オイラー角φ0 、θ0 、ψ0との差δφ、δθ、δψを演算する演算部と、
(c)少なくとも0≦t≦所定時間で連続的で正でありt=0とt=前記所定時間で零でかつ極大値を有し、前記所定時間以降零である関数gφ(t)、gθ(t)、gψ(t)を設定する関数設定部と、
(d)前記擬飛翔体に固定した座標X、Y、Zに関する角速度p、q、rとオイラー角速度との関係
(e)前記擬飛翔体に取り付けた角速度センサの角速度出力信号又は前記運動シミュレータ部の擬角速度出力信号pd 、qd 、rd を受ける信号入力部と、
(f)前記p−cmd、q−cmd、r−cmdと前記角速度出力信号pd 、qd 、rd との偏差を求める偏差演算部と、
(g)前記各偏差から必要な操作量としてロールモーメント、ピッチモーメント、及びヨーモーメントを得るために、前記推力制御モータシミュレータ部の複数の擬ピントル・ノズルの開口面積の調整を行うためのピントル位置信号Xp−cmd1〜4を発生するピントル位置信号発生部とを具備し、前記目標オイラー角φ0 、θ0 、ψ0 を模擬的に得るようにした
ことを特徴とする飛翔体の姿勢制御シミュレータ。 - 前記目標オイラー角φ0 、θ0 、ψ0 を前記所定時間に同時に得るようにしたことを特徴とする請求項4に記載の飛翔体の姿勢制御シミュレータ。
- 前記関数gφ(t)、gθ(t)及びgψ(t)はそれぞれ0≦t≦所定時間aで、
gφ(t)=(1/a)δφ×〔sin(2πt/a−π/2)+1〕
gθ(t)=(1/a)δθ×〔sin(2πt/a−π/2)+1〕
gψ(t)=(1/a)δψ×〔sin(2πt/a−π/2)+1〕
であり、前記所定時間以降零である
ことを特徴とする請求項4又は5に記載の飛翔体の姿勢制御シミュレータ。 - 前記擬飛翔体は、地上に配設された架台と、該架台に回転可能に軸支された第1駆動軸と、該第1駆動軸の一端部に固定された第1回動部材と、前記第1駆動軸を駆動する第1駆動電動機と、前記第1回動部材の内方に配設される第2回動部材と、一端部が前記第2回動部材に固定され、他端部は前記第1回動部材に回転可能に軸支される第2駆動軸と、該第2駆動軸を駆動する第2駆動電動機と、前記第2回動部材の内方に配設される第3回動部材と、一端部が前記第3回動部材に固定され、他端部は前記第2回動部材に回転可能に軸支される第3駆動軸と、該第3駆動軸を駆動する第3駆動電動機と、から成り、前記第1、第2、第3駆動電動機はそれぞれ前記運動シミュレータ部のオイラー角出力信号ψ(t)、θ(t)、φ(t)を受けて、それぞれ前記第1、第2、第3駆動軸を、これら角度ψ(t)、θ(t)、φ(t)になるように回転させ、前記姿勢制御部は前記第3回動部材に取り付けられ、更に前記角速度センサーを取付けていることを特徴とする請求項1〜6に記載の飛翔体の姿勢制御シミュレータ。
- 前記推力制御モータシミュレータ部では、燃焼室圧力PCを演算し、該演算結果を前記姿勢制御部の前記ピントル位置信号発生部に供給して設定圧力との圧力偏差を導出し、該圧力偏差により前記ピントル位置信号Xp−cmd1〜4を補正するようにしたことを特徴とする請求項1〜7に記載の飛翔体の姿勢制御シミュレータ。
- 前記推力制御モータシミュレータ部は、前記ピントル位置信号Xp−cmd1〜4を受けて、ノズルスロート面積を演算し、該演算結果から、前記運動シミュレータ部に供給する推力F1〜F4を導出するようにしたことを特徴とする請求項1〜8に記載の飛翔体の姿勢制御シミュレータ。
- 前記擬飛翔体の慣性モーメントIと、前記推力F1〜F4から角加速度を演算し、該演算結果を積分して、前記擬飛翔体の前記角速度出力信号を導出するようにしたことを特徴とする請求項1〜9に記載の飛翔体の姿勢制御シミュレータ。
- 前記角速度出力信号とクオータニオンマトリックス及び方向余弦マトリックスから前記オイラー角信号を導出するようにしたことを特徴とする請求項1〜10に記載の飛翔体の姿勢制御シミュレータ。
- 前記飛翔体は緊急脱出座席であることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の飛翔体の姿勢制御シミュレータ。
- 前記各モーメントの決定に優先順位を定めるようにしたことを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の飛翔体の姿勢制御シミュレータ。
- 前記角速度偏差から操作量を得るためにPID制御を行うことを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の飛翔体の姿勢制御シミュレータ。
- 擬飛翔体の姿勢制御部と、前記擬飛翔体の姿勢を一定保持させるための推力を発生させる推力制御モータシミュレータ部と、該推力制御モータシミュレータ部の推力信号を受け、前記擬飛翔体の運動をシミュレートする擬飛翔体の運動シミュレータ部とを備え、前記姿勢制御部は
(a)ロール、ピッチ及びヨーの初期オイラー角φi 、θi 、ψ i の各入力信号を生成する入力信号生成部と、
(b)前記擬飛翔体に取り付けた角速度センサの積分出力信号又は前記運動シミュレータ部のオイラー角出力信号φ、θ、ψを受ける信号入力部と、
(c)前記初期オイラー角φi 、θi 、ψiと前記積分出力信号又は前記オイラー角出力信号φ 、θ 、ψ との偏差を求める偏差演算部と、
(d)前記各偏差から必要な操作量としてロールモーメント、ピッチモーメント、及びヨーモーメントを得るために、前記推力制御モータシミュレータ部の複数の擬ピントル・ノズルの開口面積の調整を行うためのピントル位置信号Xp−cmd1〜Xp−cmd4を発生するピントル位置信号発生部とを具備し、前記初期オイラー角を一定に保持するようにしたことを特徴とする飛翔体の姿勢制御シミュレータ。 - 前記擬飛翔体は、地上に配設された架台と、該架台に回転可能に軸支された第1駆動軸と、該第1駆動軸の一端部に固定された第1回動部材と、前記第1駆動軸を駆動する第1駆動電動機と、前記第1回動部材の内方に配設される第2回動部材と、一端部が前記第2回動部材に固定され、他端部は前記第1回動部材に回転可能に軸支される第2駆動軸と、該第2駆動軸を駆動する第2駆動電動機と、前記第2回動部材の内方に配設される第3回動部材と、一端部が前記第3回動部材に固定され、他端部は前記第2回動部材に回転可能に軸支される第3駆動軸と、該第3駆動軸を駆動する第3駆動電動機と、から成り、前記第1、第2、第3駆動電動機はそれぞれ前記運動シミュレータ部のオイラー角出力信号ψ(t)、θ(t)、φ(t)を受けて、それぞれ前記第1、第2、第3駆動軸を、前記初期オイラー角φi 、θi 、ψiになるように回転させ、前記姿勢制御部は前記第3回動部材に取り付けられ、更に前記角速度センサーを取付けていることを特徴とする請求項15に記載の飛翔体の姿勢制御シミュレータ。
- 前記推力制御モータシミュレータ部では、燃焼室圧力PCを演算し、該演算結果を前記姿勢制御部の前記ピントル位置信号発生部に供給して設定圧力との圧力偏差を導出し、該圧力偏差により前記ピントル位置信号Xp−cmd1〜Xp−cmd4を補正するようにしたことを特徴とする請求項15又は16に記載の飛翔体の姿勢制御シミュレータ。
- 前記推力制御モータシミュレータ部は、前記ピントル位置信号Xp−cmd1〜Xp−cmd4を受けて、ノズルスロート面積を演算し、該演算結果から、前記運動シレータ部に供給する推力F1〜F4を導出するようにしたことを特徴とする請求項15〜17のいずれかに記載の飛翔体の姿勢制御シミュレータ。
- 前記擬飛翔体の慣性モーメントIと、前記推力F1〜F4から角加速度を演算し、該演算結果を積分して、前記擬飛翔体の前記角速度出力信号を導出するようにしたことを特徴とする請求項15〜18に記載の飛翔体の姿勢制御シミュレータ。
- 前記角速度出力信号とクオータニオンマトリックス及び方向余弦マトリックスから前記オイラー角出力信号を導出るようにしたことを特徴とする請求項15〜19に記載の飛翔体の姿勢制御シミュレータ。
- 前記飛翔体は緊急脱出座席であることを特徴とする請求項15〜20のいずれかに記載の飛翔体の姿勢制御シミュレータ。
- 前記各モーメントの決定に優先順位を定めるようにしたことを特徴とする請求項15〜21のいずれかに記載の飛翔体の姿勢制御シミュレータ。
- 前記初期オイラー角φi 、θi 、ψiと、前記積分出力信号又は前記オイラー角出力信号φ、θ、ψとの偏差から姿勢を一定に保持させるための操作量を得るためにPID制御を行うことを特徴とする請求項15〜22のいずれかに記載の飛翔体の姿勢制御シミュレータ。
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