JP4026241B2 - 熱融着性複合繊維、不織布及びその不織布を用いた吸収性物品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は熱融着性複合繊維及びその熱融着性複合繊維を用いた不織布に関し、更に詳しくは、使い捨てオムツや生理用ナプキン等の吸収性物品に好適に用いられる熱融着性繊維及び不織布さらにその不織布を用いた吸収性物品に関する。
【0002】
【従来の技術】
使い捨てオムツや生理用ナプキンは基本的に、液透過性のトップシートと液不透過性のバックシートとの間に吸収体を介装した構造を有するが、近年、尿や経血の漏れを防ぐために様々な工夫がなされた商品が多く市販されている。使い捨てオムツにおいては、前記基本部材の他に脚部または腰部から尿や軟便が漏れるのを防ぐ為、サイドシート、ウエストギャザーが具備されたものが多い。
トップシートに使用される不織布は、直接肌に触れる部分である為、特に風合いが良く、かつ、尿等の液体を吸収体に素早く伝達させる機能が要求される為、親水性に優れたものが望ましい。この様な要求を満足させる不織布としては、親水性の仕上剤を付与した親水性の熱融着性複合繊維を用いたエアースルー不織布、同じく、親水性の仕上剤を付与した親水性のポリプロピレン単成分繊維を用いたポイントボンド不織布があり、特に嵩高で柔軟性に富む前者が好適に用いられる。
一方、バックシート、サイドシート及びウエストギャザーには尿の漏れを防ぐ機能が必要とされる為、撥水性のポリプロピレン単成分繊維、或いは熱融着性複合繊維からなるポイントボンド不織布、ポリプロピレンスパンボンド不織布(以降PP−スパンボンド不織布と略す。)等が使用されている。中でもPP−スパンボンド不織布は安価で撥水性に優れるという理由から使用されることが多い。
使い捨てオムツは、上記不織布や吸収体、エラスティックバンド等を接合することにより形成され、その接合には主にホットメルト接着剤が用いられるが、この方法ではコストが高く、ホットメルト塗布部分が硬くなる等の問題が生じる為、代わってヒートシール接着法を採用するケースが増えてきている。
ヒートシール接着法が用いられる例として、トップシートに熱接着性複合繊維からなるエアースルー不織布、サイドシートに撥水性のPP−スパンボンド不織布を用い、両者をヒートシール接着法にて接着する手法や、トップシートに熱融着性複合繊維を用いたエアースルー不織布を用い、サイドシートに同種の熱接着性複合繊維を用いたポイントボンド不織布を用いる手法等がある。この様に両者をヒートシール接着法にて接着した場合、両者不織布のヒートシール接着力が低いと使い捨てオムツ着用者の運動時に耐えられず剥がれてしまう。
【0003】
ヒートシール可能な熱融着性複合繊維の例としては、ポリプロピレン/ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート/ポリ[(エチレンテレフタレート)−co−(エチレンイソフタレート)]の組み合わせのものが知られている。しかしながら、従来の熱融着性複合繊維を用いた不織布をトップシートとし、PP−スパンボンドをサイドシートとして、これらをヒートシールする場合には以下の様な問題が生じる。例えば、芯成分にポリプロピレン又はポリエチレンテレフタレート、鞘成分にポリエチレンを使用した熱融着性複合繊維で構成されている不織布は、自己シートシール強力は高いが対PP−スパンボンドとのヒートシール強力は非常に低いものであり、実用面でも問題となる。例えば、特開昭63−92722号公報には、芯成分にポリエステル、鞘成分に剛性の低い直鎖状低密度ポリエチレンを用いた細繊度の熱融着性複合繊維及びその複合繊維からなる熱融着不織布が開示されているが、ヒートシール強力及び、不織布強力が低く本発明の目的とするような要求性能を満足しない。
高いヒートシール強力を得るために例えば、特開平6−116815号公報では、鞘成分が共重合ポリオレフィン99〜85重量%と飽和炭化水素ワックス1〜15重量%との混合物からなり、芯成分がポリプロピレンからなる鞘芯型熱融着複合繊維、及びこれを用いた不織布が開示されている。この熱融着性複合繊維を用いて得られた不織布は、芯成分がポリプロピレンのため繊維の剛性が低く、不織布加工時に不織布がへたり風合いを損なう為、本発明の目的とするような要求性能を満足しない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、従来技術の上記欠点を解消し、風合いが良好でかつ、自己ヒートシール性のみならず、ポリプロピレンスパンボンド不織布とのヒートシール性にも優れた熱融着性複合繊維、不織布及びそれを用いた吸収性物品を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、芯成分にポリエチレンテレフタレート又は、ポリエチレンテレフタレート樹脂を主体とする共重合体を用い、鞘成分にオレフィン系二元共重合体及びオレフィン系三元共重合体から選ばれた少なくとも一種のオレフィン系樹脂を用いかつ、複合比や繊維強度等が特定の関係を有する熱融着性複合繊維が、嵩高で風合いの良い柔軟な不織布であることはもとより、高いヒートシール強力を示す不織布が得られ、所期の目的が達成されることを知り、本発明を完成するに至った。
【0006】
本発明は、次の構成を有する。
(1)芯成分がポリエチレンテレフタレート樹脂、又はポリエチレンテレフタレート構造を主体とする共重合体樹脂であり、鞘成分が(a)85〜99重量%のプロピレン及び1〜15重量%のエチレンからなるエチレン−プロピレンのオレフィン系二元共重合体、(b)50〜99重量%のプロピレン、1〜50重量%の1−ブテンからなるブテン−プロピレンのオレフィン系二元共重合体、または(c)84〜97重量%のプロピレン、1〜15重量%の1−ブテン及び1〜10重量%のエチレンからなるエチレン−ブテン−プロピレンのオレフィン系三元共重合体からなり、該熱融着性複合繊維ステープルは繊度が0.5〜10デニール、鞘/芯比が体積比で55/45〜70/30であり、不織布加工時の熱収縮率が10%以下であって、かつ、下記関係式(I)を満足することを特徴とする熱融着性複合繊維ステープル。
関係式 単糸強度×鞘比率≦2.5 (単位:g/d) (I)
(2)上記(1)に記載の熱融着性複合繊維ステープルを用いた不織布。
(3)上記(1)または(2)に記載の熱融着性複合繊維ステープルを、ポリプロピレンスパンボンド不織布とヒートシール接着して得られた不織布。
(4)上記(2)または(3)に記載の不織布を用いた吸収性物品。
【0007】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の熱融着複合繊維は、芯成分がポリエチレンテレフタレート樹脂、又はポリエチレンテレフタレート構造を主体とする共重合体樹脂であり、鞘成分がオレフィン系二元共重合体及び、オレフィン三元共重合体から選ばれた少なくとも一種のオレフィン系樹脂からなる鞘芯型複合繊維である。本発明の熱融着性複合繊維の芯成分に用いるポリエチレンテレフタレート樹脂または、ポリエチレンテレフタレート構造を主体とする共重合体樹脂としては、繊維原料として一般に用いられる熱可塑性ポリエチレンテレフタレート単独、またはポリエチレンテレフタレート構造を主体としたエチレンイソフタレート、ブチレンテレフタレート等との共重合体が挙げられ、融点200〜260℃、固有粘度0.5〜1.2(測定法JISZ8803)のものが好ましい。
【0008】
本発明の熱融着性複合繊維の鞘成分に用いるオレフィン系の共重合体樹脂としては、結晶性ポリプロピレン系二元共重合体及び結晶性ポリプロピレン系三元共重合体から選ばれた少なくとも一種のオレフィン系樹脂が用いられ、さらに具体的には、プロピレン99〜85重量%と、エチレン1〜15重量%とからなるプロピレンを主体とするオレフィン系二元共重合体、プロピレン99〜50重量%とブテン−1 1〜50重量%とからなるプロピレン主体とするオレフィン系二元共重合体、プロピレン84〜98重量%、エチレン1〜10重量%、及びブテン−1 1〜15重量%からなるプロピレンを主体とするオレフィン系三元共重合体であり、メルトフローレート(以下MFRと略記する。測定法JISK7210)が約3〜50、融点、約120〜158℃のものが用いられる。このようなオレフィン系共重合体は、公知のチーグラ・ナッタ触媒或いはメタロセン触媒を用いたオレフィンの共重合により得られたランダム、又はブロック共重合体の固体重合体であり、中でもヒートシール性が良いことからランダム共重合体が好適である。
共重合体のコモノマー(エチレン及びブテン−1)の含量が各々1重量%より少ないと、得られる繊維は熱融着性において不十分なものとなる。また、共重合体の融点が前記の範囲を大きく外れる場合、繊維製造工程での繊維の融着及び、不織布加工工程での開繊性等の加工性不良、得られた不織布のヒートシール強力、不織布強力、不織布の風合い等の何れかが悪化し易くなる。
【0009】
本発明の熱融着性複合繊維は、前記芯成分であるポリエチレンテレフタレートまたは、ポリエチレンテレフタレート構造を主体とする共重合体樹脂と、鞘成分であるプロピレンを主体とするオレフィン系二元共重合体または三元共重合体を鞘芯型の口金を用いて複合紡糸し、延伸することによって得られる。この紡糸・延伸の製造条件については後述する。また、得られた本発明の熱融着性複合繊維を不織布に加工する際、カード法によってこれを行う場合は捲縮を付与する。
本発明の熱融着性複合繊維は、単糸強度や鞘芯比率が特定の範囲に設定された繊維であり、複合繊維のみを用いたエンボス熱圧着加工法による不織布加工時の熱収縮率が10%以下の繊維である。不織布加工時の熱収縮率が10%を大きく越えると不織布にシワが発生したり不織布の厚み斑等が発生するので好ましくない。この不織布加工時の熱収縮率は、好ましくは8%以下、更に好ましくは5%以下である。この熱収縮率は、鞘成分比率が大きくなったり、偏芯鞘芯型複合繊維になると熱収縮率が大きくなる傾向にある。単糸繊度は0.5〜10d/fの範囲であり、カード通過性や不織布の嵩高性や風合い等の点で捲縮は約3〜60ヤマ/25mmが好ましい。単糸繊度が0.5d/f未満であるとカ−ド通過性が劣り、地合の均一な不織布が得られない。また、10d/fを超えると不織布の風合いが硬くなるのでいずれも好ましくない。鞘芯比率は体積比で50/50〜70/30である。この複合比は、より好ましくは55/45〜65/35(鞘成分/芯成分)の範囲である。鞘成分が50%を大きく下回ると、得られる繊維の熱接着性が低下し、これを用いた不織布も十分な接着強力及びヒートシール強力を得ることが難しい。一方、鞘成分が70%を大きく上回ると、繊維の接着性は十分であるが、繊維の熱収縮率が高くなり、不織布を得る際のウェッブの寸法安定性が低下し易くなる。
【0010】
本発明の熱融着性複合繊維は、単糸強度×鞘比率が2.5以下という関係式の範囲内でなければならない。この関係式は、熱融着性複合繊維を不織布に加工する際、接着強力等を損なわずに熱収縮率が10%以下となるような条件を実験的に見出したことに基づいて規定された。本発明を実施する際、鞘比率は使用する樹脂の量によって決まるので、単糸強度を上記関係式を満たすよう、即ち単糸強度が必要以上に高くならないように設定する必要がある。一般に、複合繊維の単糸強度は、原料の樹脂にも依存するが、使用する樹脂が決まった場合、紡糸・延伸条件によって左右される。単糸強度は、繊維を構成する樹脂成分の結晶配向度に強く依存すると考えられ、樹脂の結晶配向度が高くなるにつれ単糸強度が増す傾向にある。樹脂の結晶配向度を抑えるためには、結晶配向を促進させる機械的延伸をなるべく小さい倍率によって行うことが効果的である。即ち、熱融着性複合繊維の紡糸・延伸工程において、目標とする繊度の繊維を得るために、紡糸口金より吐出された繊維を固化するまでの間になるべく大きい速度で引き取り(この状態の繊維を未延伸糸という)、続く延伸工程では延伸倍率をなるべく小さくすることによって、結晶配向度を抑え、所望の単糸強度を持った熱融着性複合繊維を得ることができる。後に示す実施例においては、鞘比率が0.5〜0.7の場合、1.25倍および2.5倍の延伸倍率で上記関係式を満たす熱融着性複合繊維を製造する例を示したが、上記関係式を満たす範囲内、つまり必要以上に単糸強度が大きくならない範囲で延伸倍率を上げることは本発明の技術的範囲に属する。
【0011】
さらにこの関係式の意味についていくつかの説明を加えるならば、本発明で用いる鞘側レジンの特定のオレフィン系二元共重合体及び、オレフィン系三元共重合体は、繊維化した際の結晶配向度が高くなると、繊維の熱収縮率が高くなる傾向にある。また、結晶配向度の高い繊維は、繊維の接着強力が低下する傾向にある。即ち、紡糸・延伸工程により、十分に結晶配向された繊維は、単糸強度は高くなるが、繊維の接着強力が低下し、熱収縮も高くなる為、このような繊維を用いて不織布加工した場合は、不織布に収縮によるひきつりや、ザラツキ等が発生し、風合いを損なう。また、不織布強力の低い不織布となることはもとより、複合繊維自体の不織布同士の接着強力及び、該複合繊維と他のオレフィン系複合繊維との接着強力が低いものとなり好ましくない。また、鞘比率が高くなると、接着成分が増加する為、不織布強力は向上する傾向ではあるが熱収縮に起因される成分が多くなるため、更に、繊維の結晶配向度を下げなければならない。即ち、単糸強度×鞘比率≦2.5の範囲内の繊維で構成された不織布は、形状保持性に優れ、シワ等がなく、かつ地合が均一な不織布が得られ、複合繊維自体の強力、複合繊維自体の不織布同士の接着強力及び、該複合繊維と他のオレフィン系複合繊維との接着強力が高いものとなる。尚、ここで言う鞘比率とは鞘芯型熱接着性の鞘成分が占める体積比を言う。例えば鞘成分が体積比で60%、芯成分が40%の場合、鞘比率は0.6である。複合繊維の単糸強度は、関係式より計算すると最大で鞘成分複合比が70%の場合3.57g/dであり、50%の場合5.0g/dである。また、最小の単糸強度は特に限定されていないが、カード通過時の単糸切れを防止するという考えであれば、繊維の単糸強度は前記の理由から0.5g/f以上、より好ましくは1.0g/f以上のものが好ましい。尚、複合形式は、熱処理のウェッブの収縮が少ないことから同心型が好ましい。
【0012】
本発明の熱融着性複合繊維に用いる仕上剤は、通常の熱融着性複合繊維に用いられる仕上剤であればその種類は特に限定されるものではない。
【0013】
本発明の不織布は、本発明の熱融着性複合繊維のみからなる繊維集合体を公知のカーディング法、エアーレイ法、乾式パルプ法、湿式抄紙法、トウ開繊法等によりウェッブとし、このウェッブを熱処理して熱融着繊維の接点を熱融着することにより得られる。
熱処理方法としては、熱風ドライヤー、サクションバンドドライヤー、ヤンキードライヤー等のドライヤーを用いる方法やフラットカレンダーロール、エンボスロール等の加圧ロールを用いる方法等のいずれの方法も使用できる。
不織布の目付には特別な制限はなく用途に応じて変更することができるが、使い捨てオムツや生理用品等の吸収性物品の表面材として使用する場合には8〜50g/m2が好ましく、10〜30g/m2がより好ましい。
本発明の熱融着性複合繊維及びその熱融着性複合繊維を用いた不織布の用途としては使い捨てオムツや生理用品等の表面材に好適であるが、他にも手術着等の医療資材、排水材や地盤改良材等の土木資材、油吸着材などの工業資材、魚介類や肉類等の生鮮食料品の包装に利用されるトレイマット用の不織布など生活関連資材等にも広く用いることができる。
更には、本発明の熱融着性複合繊維を不織布よりも繊維密度を大にして熱融着させることによりカートリッジフィルター等の成型品を得ることができる。
【0014】
【実施例】
以下実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。尚、実施例中における各種の物性値は以下の方法で測定したものである。
【0015】
・熱収縮率
カード法にて得られたウェッブ(目付20g/m2)の機械方向(MD)の長さを50cmとした。このウェッブを132℃に加熱された凸部面積24%のエンボスロールとフラットな金属ロールからなる熱圧着装置を用いて、線圧20Kg/cm、速度6m/minの条件で熱処理して得られたポイントボンド不織布の機械方向の長さをL’値とし、次式により熱収縮率を算出した。
熱収縮率=(50−L’)×100/50(%)
本発明では熱収縮率が10%以下のものを寸法安定性が良いと判断する。
【0016】
・ヒートシール強力
132℃の温度に加熱された凸部面積24%のエンボスロールとフラットな金属ロールからなる熱圧着装置を用い、線圧20Kg/cm、速度6m/minの条件でカード法ウェッブを熱処理し、目付20g/m2の不織布とした。この不織布から機械方向(MD)を長さ方向とし、機械の流れ方向に直角な方向(CD)を幅方向として、MD方向の長さ10cm、CD方向の幅が2.5cmの試験片を切り取った。この試験片の先端部分を長さ1cmだけ重ね合わせヒートシール試験機を用い、3Kg/cm2の加圧下、0.1秒間、135〜150℃で熱圧着させた。ヒートシール後のサンプルを引張試験機を用い、つかみ間隔10cm、引張速度10cm/minの条件で剥離強力を測定した。
【0017】
・不織布風合
前記、熱収縮率評価時に得られたポイントボンド不織布の風合いを評価した。
5人のパネラーによる官能試験を行い、全員がシワ等によるガサツキ感がなく、しかも柔軟であると判定した場合を良、3名以上が前記判定をした場合を可、3名以上がしわ等によるガサツキ感があるか、柔軟性に欠けると判定した場合を不可と評価した。本発明では良及び可までが使用できる範囲、不可と判定されたもののみ使用範囲外とする。
【0018】
実施例1〜8、比較例1〜4
芯成分樹脂として固有粘度が0.65(JISZ−8803)のポリエチレンテレフタレート樹脂を用いた。また、鞘成分としてエチレン3重量%、ブテン−1 5重量%、プロピレン92重量%からなる、MFRが15であるオレフィン系三元共重合体、またはエチレン15重量%、プロピレン85重量%からなる、MFRが15であるオレフィン系二元共重合体、及びブテン−1 15重量%、プロピレン85重量%からなる、MFRが15のオレフィン系二元共重合体の3種を用いた。これらの芯成分、鞘成分を複合紡糸装置にて、孔径0.6mm、孔数350の鞘芯型口金により、鞘芯比50/50〜80/20(体積比)にて押し出し、鞘芯型複合繊維を紡糸した。この未延伸糸を温度90℃で各延伸比で延伸し、捲縮をかけ、乾燥後カット長51mmで切断し、繊度2.0デニールの熱融着性複合繊維ステープルとした。
用いた複合繊維の樹脂や複合繊維の樹脂の組合せ等及び、得られた繊維の単糸強度×鞘比率と不織布の熱収縮率等を表−1に示した。
前記で得た複合繊維をローラーカード機を用い目付20g/m2のウェッブを作成した。続いて、接着面績率24%のエンボスローラーを用いて加熱温度132℃、線圧20Kg/cm、6m/minの速度の条件で不織布に加工した。不織布加工時の熱収縮率や風合い等を表−1に示す。実施例1〜8に示すように鞘芯比率及び単糸強度×鞘比率が本発明の範囲内であれば熱収縮率が10%以内を維持する。比較例1、2は、鞘芯比が本発明内のものである。単糸強度×鞘比率が本発明外であり、かつ熱収縮率も高い。比較例3は、単糸強度×鞘比率は本発明内であるが、鞘芯比率が本発明外である為、熱収縮率が高いことが分かる。また、本発明の複合繊維を用いた熱接着不織布は風合いが良または可であったが本発明以外の複合繊維を用いた熱融着不織布はすべて風合いが不可であった。比較例4は、単糸強度×鞘比率、熱収縮率、風合い、何れも不可であった。
【0019】
実施例1〜8で得られた不織布を用いこの不織布同士のヒートシール強力(自己ヒートシール強力)、及びこの不織布とPP−スパンボンド不織布とのヒートシール強力(対PP−スパンボンドヒートシール強力)を測定した結果を表−2に示した。実施例1〜8は本発明範囲内のサンプルを使用したものであるが、不織布の風合いが良く、自己ヒートシール強力、対PP−スパンボンドヒートシール強力共に高いことが分かる。しかし、本発明以外の比較例1〜4で得られた不織布は風合いが不可と判断され、かつこの不織布は使い捨てオムツ等の吸収性物品の表面材として使用不可能と判断されたのでヒートシール強力の測定を中止した。前記実施例1と同様の方法でポリエチレン/ポリエチレンテレフタレート鞘芯型複合繊維(比較例5、6)及び、プロピレンと他のα−オレフィンの三元共重合体/ポリプロピレン鞘芯型複合繊維(比較例7)を各々紡糸した。この未延伸糸を前記実施例1同様に、延伸温度90℃で、表−3の各延伸比で延伸し、捲縮をかけ乾燥カットし、繊度2.0デニール、繊維長51mmの熱接着性複合繊維を得た。用いた樹脂や複合繊維の各樹脂の組合せ等及び、得られた複合繊維の単糸強度×鞘比率と不織布の熱収縮率等を表−3に示す。この複合繊維を前記実施例1同様ローラーカード機を用い、目付20g/m2のウェッブを作製した。このウェッブを前記実施例1と同様に同一条件で熱エンボスロール処理し、熱接着不織布を得た。不織布加工時の熱収縮率や得られた不織布の風合い等を表−3に示す。
この不織布を用い、前記実施例1と同様に自己ヒートシール強力及び、対PPスパンボンド不織布ヒートシール強力を測定した。得られた結果を表−4に示す。表−3、4に示す通り、本発明以外の比較例5、6のポリエチレン/ポリエチレンテレフタレート複合繊維は不織布加工時の熱収縮率が低く、風合いも可であったが、この繊維を用いた不織布は、自己ヒートシール強力は高いものの、対PPスパンボンドヒートシール強力はかなり低いものであった。また、比較例7で得られた不織布は風合いが不可と判断されかつこの不織布は使い捨てオムツ等の吸収性物品の表面材として使用不可能と判断されたのでヒートシール強力測定を中止した。
【0020】
使い捨てオムツのサイドシートにポリプロピレンスパンボンドが使用されている吸収性物品を用いて、トップシート切り取り、これに代わって前記実施例1及び、比較例5で得られた不織布をトップシートとして、3kg/cm2の加圧下、150℃、0.1秒でサイドシート(PP−スパンボンド)とヒートシール接着を行い、2種の使い捨てオムツを作成した。この吸収性物品を用いて着用試験を行ったところ、実施例1の不織布を使用したもの(実施例9)は、肌に触れる部分の風合いも良く、着用者の運動によってヒートシールした部分が剥がれることもなく好適に使用された。これに対し、比較例5の不織布を使用したもの(比較例8)は、着用者の運動によってヒートシール部分が剥がれ、尿漏れの原因となった。
【0021】
【表1】
【0022】
【表2】
【0023】
【表3】
【0024】
【表4】
【0025】
【発明の効果】
本発明の熱融着性複合繊維及びその繊維を用いた不織布は、風合い、自己ヒートシール強力及び、対PP−スパンボンドヒートシール強力に優れている。この為、使い捨てオムツや生理用ナプキン等衛生材料等のトップシート、バックシート、サイドシートとして好適に利用することができる。
Claims (4)
- 芯成分がポリエチレンテレフタレート樹脂、又はポリエチレンテレフタレート構造を主体とする共重合体樹脂であり、鞘成分が(a)85〜99重量%のプロピレン及び1〜15重量%のエチレンからなるエチレン−プロピレンのオレフィン系二元共重合体、(b)50〜99重量%のプロピレン、1〜50重量%の1−ブテンからなるブテン−プロピレンのオレフィン系二元共重合体、または(c)84〜97重量%のプロピレン、1〜15重量%の1−ブテン及び1〜10重量%のエチレンからなるエチレン−ブテン−プロピレンのオレフィン系三元共重合体からなり、該熱融着性複合繊維ステープルは繊度が0.5〜10デニール、鞘/芯比が体積比で55/45〜70/30であり、不織布加工時の熱収縮率が10%以下であって、かつ、下記関係式(I)を満足することを特徴とする熱融着性複合繊維ステープル。
関係式 単糸強度×鞘比率≦2.5 (単位:g/d) (I) - 請求項1に記載の熱融着性複合繊維ステープルを用いた不織布。
- 請求項1または2に記載の熱融着性複合繊維ステープルを、ポリプロピレンスパンボンド不織布とヒートシール接着して得られた不織布。
- 請求項2または3に記載の不織布を用いた吸収性物品。
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JP2000064123A (ja) | 2000-02-29 |
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