JP4026187B2 - 車両の姿勢制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、走行方向に対する車両の旋回姿勢を表す車両状態量を検出し、この検出車両状態量に応じて各車輪に独立に制動力を付与することにより、上記車両の旋回姿勢が目標走行方向に向かって収束するように制御する車両の姿勢制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、この種の車両の姿勢制御装置として、前2輪又は後2輪の何れか一方がグリップ限界に達していることを各輪の横滑り角に基づいて検出し、グリップを失っていない他方の2輪に制動力を付与することにより車両の姿勢制御を行うようにしたものが知られている(例えば、特開平7−232629号公報参照)。このものでは、例えば、前2輪がグリップ限界に達してこの車両がドリフトアウトしそうになっている場合、後2輪に制動力を付与して後2輪の発生し得るコーナリングフォースを減少させることにより、前輪側に発生するコーナリングフォースと後輪側に発生するコーナリングフォースとの均衡を保持し、これにより、車両のドリフトアウトを防止するようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、一般に車両のドリフトアウトを防止するためにはこの車両を減速させることによりその車体に作用する遠心力を減少させることが有効かつ安全であるところ、上記従来の車両の姿勢制御装置において、後2輪に付与する制動力を十分に大きくしようとすると、後輪側に発生するコーナリングフォースが急減して車両の姿勢の安定を損なうおそれがあるため、上記後2輪に付与する制動力を十分に大きくすることができず、このため、車両の減速を十分に行い得ないという不都合がある。また、前2輪又は後2輪のいずれか一方に同時に制動力を付与するようにしているため、これらの制動力による車体重心位置回りのヨーモーメントが互いに打ち消し合うことになり、車両の向きを迅速に変更させ難いという不都合もある。
【0004】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、車両の姿勢の安定を損なうことなくこの車両を十分に減速させてドリフトアウトを防止可能にすることにあり、併せて、この車両の向きを迅速に変更可能にすることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本願発明は、走行方向に対する車両の旋回姿勢を表す車両状態量を検出する車両状態検出手段を有し、この車両状態検出手段により検出された車両状態量が目標走行方向に対応する目標車両状態量から所定量以上ずれたときに、車両の旋回姿勢の状態が上記目標車両状態量に対応するものに収束するよう制御する車両の姿勢制御装置を前提とする。
【0006】
このものにおいて、まず、車速を検出する車速検出手段と、ドライバによる操舵量を検出する操舵量検出手段と、前後左右の各車輪に対し制動力を個別に付与可能に構成された制動手段と、この制動手段の作動を制御することにより車両の旋回姿勢を制御する姿勢制御手段と、上記車両状態検出手段から出力される検出車両状態量が上記目標車両状態量からアンダステア側に設定量以上ずれて車両がアンダステア状態にあることを判定するアンダステア判定手段と、上記車両状態検出手段から出力される検出車両状態量の変化量に基づいて車両の旋回内方側への姿勢変化の有無を判定する姿勢変化判定手段と、を備えるものとする。
【0007】
そして、上記姿勢制御手段を、上記車両の旋回内方の前輪又は旋回内方の前後輪に対し制動力が付与されるよう制動手段を作動させることにより、車両の向きを旋回内方側に変える姿勢制御部と、該車両の旋回外方の前輪と旋回内方の後輪との対角線上の2輪に対し制動力が同時に付与されるよう上記制動手段を作動させることにより、車両を減速させる減速制御部と、を備えるものとして、上記アンダステア判定手段から車両がアンダステア状態にあるとの判定結果の出力を受けたときには、まず上記姿勢制御部による車両の姿勢制御を行い、これによる旋回内方側への姿勢変化がないと上記姿勢変化判定手段により判定されたときには直ちに上記減速制御部による減速制御に移行する一方、姿勢変化があると判定されたときには、この姿勢変化に対応する検出車両状態量の変化量が予め設定された判定変化量以上になった後に、上記減速制御に移行するように構成し、さらに、上記車速検出手段により検出された検出車速値の増大に応じて上記判定変化量を減少補正し、かつ、上記操舵量検出手段により検出された検出操舵量の増大に応じて上記判定変化量を増大補正する判定変化量補正部を備える構成とするものである。
【0008】
上記の構成の場合、旋回中の車両のアンダステア傾向が強まり、検出車両状態量が目標車両状態量からアンダステア側に設定量以上ずれると、上記車両がアンダステア状態にあるとの判定結果がアンダステア判定手段から出力され、この出力を受けた姿勢制御手段により制動手段が作動されて、まず、第1段階として旋回内方の前輪又は旋回内方の前後輪に制動力が付与される。この制動力により車体重心位置の回りに作用するヨーモーメント によって、上記車両の向きが旋回内方側に迅速に変更される。
【0009】
そうして車両の向きを旋回内方側に変更させた上で、第2段階として上記車両の旋回外方の前輪及び旋回内方の後輪の対角線上の2輪に同時に制動力が付与され、この制動力の付与によって車両が減速されることにより車体に作用する遠心力が減少してアンダステア傾向が減少する。この際、上記旋回外方の前輪と旋回内方の後輪との対角線上の2輪に制動力を付与しているため、各輪への制動力付与に伴う車体重心位置の回りのヨーモーメントは互いに打ち消し合うことになるとともに、前輪側のコーナリングフォースと後輪側のコーナリングフォースとが同時に減少することになる。これにより、制動力を十分に大きくしても制動力付与による姿勢変化の悪影響を招くことなく、即ち、車体の姿勢の安定を損なうことなく、かつ、姿勢回復の余地を残しつつ、車両を安全かつ確実に減速させてそのドリフトアウトを防止することが可能になる。
【0010】
しかも、上記第1段階の姿勢制御から減速制御への移行時に、姿勢変化判定手段により車両の旋回内方側への姿勢変化がないと判定されたとき、例えば、路面が非常に滑り易く車体に十分なヨーモーメントを作用させることができないため姿勢制御によって車両の向きがほとんど変わらないようなときには、直ちに減速制御が行われて左右の前輪及び旋回内方の後輪に制動力が付与され、これにより、車両が減速される。一方、上記姿勢変化判定手段により旋回内方側への姿勢変化があると判定されたときには、上記減速制御の実行が遅延され、その分、車両の向きが旋回内方側へ多めに変更される。
【0011】
つまり、車両の姿勢制御によりドリフトアウトの確実な防止を図る一方で、姿勢制御が困難な走行状況においては直ちに車両を減速させることが可能になり、これにより、安全性の向上が図られる。
【0012】
また、上記の姿勢制御によって車両の旋回内方側への姿勢変化があると判定されたとき、この姿勢変化に対応する検出車両状態量の変化量が予め設定された判定変化量以上になった後に減速制御が実行されるため、減速制御の前の上記車両の向きの変更量を、上記判定変化量に対応した十分なものにさせることが可能になる。
【0013】
その上さらに、上記の構成では、車速検出手段により検出された検出車速値と操舵量検出手段により検出された検出操舵量とに応じて判定変化量補正部により判定変化量が補正されるようになる。すなわち、車速が大きくなると上記判定変化量が減少補正されるため、車両状態量の変化量が比較的小さい間に姿勢制御から減速制御への移行が行われ、また、ドライバの操舵量が大きいときには上記判定変化量が増大補正されるため、上記車両状態量の変化量が比較的大きくなった後に姿勢制御から減速制御への移行が行われる。
【0014】
つまり、車速が高い場合には早めに減速制御が行われるとともに、ドライバによる操舵量が大きい場合にはその分減速制御への移行を遅らせて減速の前の車両の向きの変更量を大きくさせることが可能になり、これにより、車速及びドライバの運転操作に応じた適切な制御を行うことが可能になる
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基いて説明する。
【0016】
図1は、本発明の実施形態に係る車両の姿勢制御装置(Stability Control System:以下、単にSCSという)を適用した車両を示し、1は車体、2,2,…は前後4輪の車輪21FR,21FL,21RR,21RLに個別に配設された4組の液圧式のブレーキ、3はこれらの各ブレーキ2に圧液を供給するための加圧ユニット、4はこの加圧ユニット3から供給される圧液を上記各ブレーキ2に分配供給するハイドロリック・ユニット(以下、単にHUという)であり、これらのブレーキ2,2,…、加圧ユニット3及びHU4により制動手段が構成されている。また、5は上記加圧ユニット3及びHU4を介して上記各ブレーキ2の作動制御を行うSCSコントローラ、6,6,…は上記各車輪21の回転速度を検出する車輪速センサ、7は上記車体1に作用している左右方向の加速度を検出する横Gセンサ、8は上記車体1に作用しているヨーレイトを検出するヨーレイトセンサ、9はドライバの操舵角を検出する操舵量検出手段としての舵角センサである。なお、10はマスタシリンダ、11はエンジン、12はオートマチックトランスミッション、13は上記エンジン11の回転数や吸入空気量等に応じて燃料の噴射量を調整するEGIコントローラである。
【0017】
上記ブレーキ2,2,…は、図2に示すように、右側前輪21FRのブレーキ2と左側後輪21RLのブレーキ2とが第1液圧管路22aによりマスタシリンダ10に接続される一方、左側前輪21FLのブレーキ2と右側後輪21RRのブレーキ2とが上記第1液圧管路22aとは異なる第2液圧管路22bにより上記マスタシリンダ10に接続されており、これにより、いわゆるX配管タイプの互いに独立した2つのブレーキ系統が構成されている。そして、ドライバによるブレーキペダル14の踏み操作に応じて上記車輪21FR,21FL,…に制動力が付与されるようになっている。
【0018】
上記加圧ユニット3は、上記第1及び第2液圧管路22a,22bにそれぞれ接続された液圧ポンプ31a,31bと、これらの液圧ポンプ31a,31bと上記マスタシリンダ10とを断接可能なよう上記第1及び第2液圧管路22a,22bにそれぞれ配設されたカットバルブ32a,32bと、これらのカットバルブ32a,32bと上記マスタシリンダ10との間の液圧を検出する液圧センサ33とを備えている。そして、SCSコントローラ5からの指令に応じて上記カットバルブ32a,32bが閉状態にされ、これにより、ドライバによるブレーキ操作とは無関係に、上記液圧ポンプ31a,31bから吐出される圧液がHU4を介してブレーキ2,2,…に供給されるように構成されている。また、上記HU4は、図2に示すように、第1液圧管路22a又は第2液圧管路22bを介して供給される圧液により各ブレーキ2を加圧する加圧バルブ41,41…と、上記各ブレーキ2をリザーバタンク42に接続して減圧する減圧バルブ43,43…とを備えている。そして、SCSコントローラ5からの指令に応じて上記各加圧バルブ41及び各減圧バルブ43の開度が増減変更調整されることにより、上記各ブレーキ2に加わる液圧が増減されて制動力が増減変更されるように構成されている。
【0019】
上記SCSコントローラ5は、上記車輪速センサ6,6,…、横Gセンサ7、ヨーレイトセンサ8及び舵角センサ9からの入力信号に基づいて車両の旋回姿勢を判定し、この判定結果に応じて上記加圧ユニット3及びHU4の作動制御を行う一方、液圧センサ33からの入力信号に基づいてドライバのブレーキ操作を検出し、このブレーキ操作に対応して上記加圧ユニット3及びHU4の作動制御を行うように構成されている。具体的には、上記SCSコントローラ5は、図3に示すように、状態量演算部51と、目標状態量演算部52と、アンダステア判定手段としての制御介入判定部53と、制御演算部54と、アンダステア度合い判定手段としてのアンダステア度合い判定部55aと、車速限界判定手段としての車速限界判定部55bと、姿勢変化判定手段としての姿勢変化判定部55cと、作動制御部56とを備えている。そして、このうちの状態量演算部51及び目標状態量演算部52と、上記車輪速センサ6,6,…、横Gセンサ7、ヨーレイトセンサ8及び舵角センサ9とにより車両状態検出手段が構成されており、特に、上記状態量検出部51と車輪速センサ6,6,…とにより車速検出手段が構成され、また、制御演算部54及び作動制御部56により姿勢制御手段が構成されている。
【0020】
上記状態量演算部51は、上記車輪速センサ6,6,…、横Gセンサ7、ヨーレイトセンサ8及び舵角センサ9からの入力信号に基づき、車両の走行方向に対する旋回姿勢を表す車両状態量として、車体横滑り角、車体速等を演算するように構成されており、また、上記目標状態量演算部52は、同様に、ドライバの運転操作に従う目標走行方向に収束する車両状態量に対応する目標状態量としての目標横滑り角、目標ヨーレイト等を演算するように構成されている。詳しくは、図4に示すように、上記車輪速センサ6,6,…によって検出された各車輪速に基づいて車体速Vref が演算され(C1)、この車体速Vref と、上記各車輪速と、上記横Gセンサ7によって検出された横加速度と、上記ヨーレイトセンサ8によって検出されたヨーレイトγと、上記舵角センサ9により検出された操舵角θH から演算された前輪舵角とに基づき車体横滑り角βが演算される(C2)。また、上記各車輪速と、車体速Vref と、車体横滑り角βと、ヨーレイトγと、前輪舵角とに基づいて各タイヤ23のスリップ率及びスリップ角が演算され(C3)、上記各車輪速と上記横加速度に基づいて各車輪位置における垂直加重が演算され(C4)、この垂直加重と上記スリップ率及びスリップ角とに基づいて各タイア23の発揮し得る全グリップ力に対する現在のグリップ力の割合である負荷率が演算される(C5)。さらに、この負荷率と上記横加速度とに基づいて路面とタイヤ23,23,…との間の路面摩擦係数が演算され(C6)、この路面摩擦係数と車体速Vref と、前輪舵角とに基づいて目標ヨーレイトと目標横滑り角とが演算される(C7)。
【0021】
上記制御介入判定部53は、車体横滑り角βの目標横滑り角に対する偏差量である車体横滑り角偏差量と、ヨーレイトγの目標ヨーレイトに対する偏差量であるヨーレイト偏差量とを演算し、これら車体横滑り角偏差量及びヨーレイト偏差量に基づいてSCSの制御介入判定を行うようになっている。
【0022】
上記制御演算部54は、車体1の左右何れか一側に制動力を作用させることによりこの車体1の重心位置回りにヨーモーメントを作用させて車両の姿勢制御を行う姿勢制御部54aと、上記車体1の左右両側に制動力を作用させて車両の減速制御を行う減速制御部54bと、後述のドリフトアウト抑制制御における第1判定変化量を変更補正する補正演算部54cとを備えており、制御介入判定部53の判定結果に応じて、車両の旋回姿勢がドライバの運転操作に従う目標走行方向に向かい収束するよう各車輪21に付与する制動力を演算するようになっている。また、上記制御演算部54は、液圧センサ33により検出されたブレーキ圧Pが大気圧P0 よりも大きくなった時、ドライバによるブレーキ操作を検知して一対のカットバルブ32a,32bの内の特定の一方を開状態にさせることにより、マスタシリンダ10内の圧液をドライバのブレーキ操作に応じて第1又は第2液圧管路22a,22bに流通可能にさせるようになっている。
【0023】
上記アンダステア度合い判定部55aは、後述のドリフトアウト抑制制御においてアンダステア傾向が強すぎる場合に車両の向きの変更が困難と判定するようになっており、上記車速限界判定部55bは、車体速が高すぎる場合に車両の向きの変更が困難と判定するようになっている。また、上記姿勢変化判定部55cは、そのドリフトアウト抑制制御における姿勢制御による車両の向きの変更の有無を判定するようになっている。そして、上記作動制御部56は、上記制御演算部54による演算結果に応じてカットバルブ32a,32bや加圧バルブ41,41…等を作動させるようになっている。
【0024】
なお、上記SCSコントローラ5は、SCSの制御以外にも、車輪21FR,21FL,…のブレーキロックを防止するためにこれら車輪21FR,21FL,…に付与される制動力を制限するABS(Anti-skid Brake Sysytem )、及び、上記車輪21FR,21FL,…の駆動トルクを制限してスリップを防止するTCS(Traction Control System )の制御を行うように構成されており、その際、上記ABSの制御を最優先し、次いでSCSの制御とTCSの制御とを所定の方式で調停するようになっている。
【0025】
図5はSCSコントローラ5による全体の基本制御を示し、この基本制御においては、まず、ドライバが車両に乗り込んでイグニッションキーをオン状態にすると、ステップSA1で各種初期設定が行われ、ステップSA2で車輪速センサ6,6,…等の原点補正が行われた後に、これらの各センサから上記SCSコントローラ5に対する信号入力が行われる。そして、これらの信号入力に基づき、ステップSA3で走行中の上記車両の車体速、車体減速度、各輪位置での車体速等を、ABS,SCS及びTCSの制御のための共通車両状態量として演算する。続いて、ステップSA4において、SCSの制御演算を行う。すなわち、ステップSA41では、SCS用車体速Vref 、車体横滑り角β、各輪の車輪スリップ率及びスリップ角、各輪の垂直加重、タイヤの負荷率、路面摩擦係数を演算し、ステップSA42では目標ヨーレイト、目標横滑り角、目標減速度を演算する。そして、ステップSA43で上記演算結果に基づき車体横滑り角偏差量とヨーレイト偏差量とを演算してこれらの偏差量に基づいてSCSの制御介入判定を行い、制御介入と判定された場合にはステップSA44に進んで制動力を付与する車輪21,21,…を選択するとともに、この選択した各車輪21に付与する制動力を演算する。そして、この演算された制動力に基づいてステップSA45で各ブレーキ2の加圧バルブ41,41,…及び減圧バルブ43,43,…のそれぞれのバルブ開度を演算する。
【0026】
さらに、ステップSA5でABSの制御演算を行い、ステップSA6でTCSの制御演算を行い、このABS、TCS及び上記SCSの各演算結果をステップSA7で所定の方法により調停して上記各加圧バルブ41及び減圧バルブ43のバルブ開度等を決定する。そして、ステップSA8では、上記各加圧バルブ41及び減圧バルブ43の開度を変更することにより、これらの開度に応じて圧液を各ブレーキ2に供給して各車輪21に制動力を付与する。最後に、ステップSA9で車輪速センサ6,6,…等のの誤作動を検出するフェイルセイフ判定を行い、その後、ステップSA1にリターンする。
【0027】
なお、上記フローチャートにおいてステップSA41が状態量演算部51に、SA42が目標状態量演算部52に、それぞれ対応しており、ステップSA43が制御介入判定部53に、ステップSA44が、制御演算部54、アンダステア度合い判定部55a、車速限界判定部55b及び姿勢変化判定部55cに、ステップSA45が作動制御部56に、それぞれ対応している。
【0028】
以下に、上記ステップSA43からステップSA45までのSCSの制御内容について、図6〜図10に基づいて詳述する。なお、説明を簡略化するために、ABS及びTCSの制御は行われないものとする。
【0029】
上記ステップSA43におけるSCSの制御介入判定は、図6に示すように、ステップSB1で、車体横滑り角偏差量xを、SCSの制御介入判定のために予め設定された判定横滑り角偏差量x1 と比較し、上記車体横滑り角偏差量xが判定横滑り角偏差量x1 に等しいか又は大きい場合に、上記車両のオーバステア傾向が増大してスピンしそうになっていると判定してステップSB2に進み後述のスピン抑制制御を行う。一方、上記車体横滑り角偏差量xが判定横滑り角偏差量x1 よりも小さい場合はステップSB3に進み、このステップSB3において、ヨーレイト偏差量yを、SCSの制御介入判定のために予め設定された設定量としての判定ヨーレイト偏差量y1 と比較する。そして、上記ヨーレイト偏差量yが判定ヨーレイト偏差量y1 に等しいか又は大きい場合に、上記車両のアンダステア傾向が増大してドリフトアウトしそうになっていると判定し、ステップSB4に進んで後述のドリフトアウト抑制制御を行う。
【0030】
このドリフトアウト抑制制御は、図7に示すように、車両がドリフトアウトしそうになっていると判定された場合(図8(a)参照)、まず、ステップSC1でドライバがブレーキペダルを踏んでいないことを条件としてカットバルブ32a,32bを閉状態にした後、ステップSC2で、ヨーレイト偏差量yを、姿勢制御が可能か否かの判定のために予め設定された限界偏差量ylim と比較し、そのヨーレイト偏差量yが限界偏差量ylim に等しいか又は大きい場合、つまり、アンダステア傾向が強すぎて姿勢制御が困難と判定される場合には後述のステップSC13に進む一方、上記ヨーレイト偏差量yが限界偏差量ylim よりも小さい場合にはステップSC3に進む。ステップSC3では、液圧センサ33によって検出されたブレーキ圧Pを大気圧P0 と比較し、そのブレーキ圧Pが大気圧P0 に等しくないい場合、つまり、ドライバがブレーキを踏んでおり、ドライバ自身の判断による減速要求がある場合には後述のステップSC14に進む一方、上記ブレーキ圧Pが大気圧P0 に等しい場合、つまり、ドライバがブレーキを踏んでいない場合にはステップSC4に進む。そして、ステップSC4では、車体速Vref を、姿勢制御が可能な車速か否かを判定するために予め設定された限界車体速Vlim と比較し、その車体速Vref が限界車体速Vlim に等しいが又は大きい場合、つまり、車速が高すぎるため姿勢制御が困難であり減速が必要と判定される場合には後述のステップSC12に進む一方、上記車体速Vref が限界車体速Vlim よりも小さい場合にはステップSC5に進む。
【0031】
続いて、ステップSC5では、旋回内方の前輪21FLの負荷率に基づいてそのグリップ力に余裕があるか否かを判定する。すなわち、上記負荷率が1でなければ上記旋回内方の前輪21FLのグリップ力に余裕があると判定してステップSC6に進み、ヨーレイト偏差量yに対応した制動力を上記旋回内方の前輪21FLに付与する(図8(b)参照)。一方、負荷率が1であればグリップ力に余裕がないと判定してステップSC7に進み、ヨーレイト偏差量yに対応した制動力を上記旋回内方の前輪21FL及び後輪21RLに付与する。そして、ステップSC8に進んで、上記旋回内方の前輪21FL又は前後輪21FL,21RLに付与された制動力によるヨーレイト偏差量yの変化量Δyを、車体の向きの変更の有無を判定するために予め設定された微小変化量Δy0 と比較し、その変化量Δyが微小変化量Δy0 よりも小さい場合、つまり、例えば路面が非常に滑りやすいため車体にほとんどヨーレイトが作用せず、車両の向きが変わらないような場合には、後述のステップSC12に進む一方、上記ヨーレイト偏差量yの変化量Δyが微小変化量Δy0 よりも大きい場合、つまり、車体にある程度のヨーモーメントが作用しており車両の向きが変わっている場合にはステップSC9に進む。
【0032】
そして、ステップSC9では、車両の向きが十分に旋回内方側に変わったことを判定するための判定変化量としての第1判定変化量Δx1 を、車体速Vref 及びドライバによる操舵角θH に応じて変更補正した後、ステップSC10に進む。このステップSC9における第1判定変化量Δx1 の変更補正は、車体速Vref と操舵角θH との関係により予め定めたマップから読み取ることにより行うものであり、このマップにおいて、上記第1判定変化量Δx1 は、上記車体速Vref の増大に応じて減少補正され、かつ、上記操舵角θH の増大に応じて増大補正されるようになっている。そして、ステップSC10では、その変更補正した第1判定変化量Δx1 と車体横滑り角偏差量xの変化量Δxとを比較し、この車体横滑り角偏差量xの変化量Δxが判定変化量Δx1 よりも小さい場合、つまり、車体の向きが十分に変わっていないと判定される場合には上記ステップSC5に戻る一方、上記車体横滑り角偏差量xの変化量Δxが第1判定変化量Δx1 に等しいか又は大きい場合、つまり、車体の向きが十分に変わったと判定される場合にはステップSC11に進む。
【0033】
そして、ステップSC11では、ヨーレイト偏差量yが零であるか否かの判定を行い、零であれば車両の姿勢が目標状態に収束したと判定してドリフトアウト抑制制御を終了する。一方、上記ステップSC11でヨーレイト偏差量yが零でないと判定されればステップSC12に進み、上記ヨーレイト偏差量yに対応した制動力を、左右の前輪21FR,21FLび旋回内方の後輪21RLに付与して(図8(c)参照)、車体1に対しアンダステア傾向を抑制するヨーモーメントを作用させつつ車両を減速させ、ステップSC1にリターンする。つまり、上記ステップSC2で姿勢制御が困難ではないと判定された場合には、まず、ステップSC6又はSC7において上記車両の向きを旋回内方側に十分に変更した後にステップSC12において減速させることにより、この車両のドリフトアウト(図8(d)参照)を確実に防止するようにしている。なお、上記ステップSC12において、旋回外方の前輪21FRに付与される制動力は旋回内方の後輪21RLに付与される制動力と略等しくされ、このため、車体1の旋回内方位置に付与される制動力の合計はこの車体1の旋回外方位置に付与される制動力の合計よりも大きくなり、従って、上記車体1には車両の向きを旋回内方側に変更させるようなヨーモーメントが作用するようになっている。
【0034】
また、上記ステップSC2で姿勢制御が困難と判定されてステップSC13に進んだ場合、このステップSC13において、圧力センサ33によって検出されたブレーキ圧Pを液圧ポンプ31a,31bのポンプ圧Pp と比較し、ブレーキ圧Pがポンプ圧Pp に等しいか又は大きければ、即ち、ドライバがブレーキペダル14を思いきり踏み操作していると判定してステップSC14に進む。これとは別に、上記ステップSC3でドライバのブレーキ踏み操作が検知された場合にもステップSC14に進み、このステップSC14において、旋回外方の前輪21FRに接続されているブレーキ系統のカットバルブ32aを開状態にさせる。これにより、ドライバーによるブレーキペダル14の踏み操作に応じてマスタシリンダ10から第1配管22aに対し圧液が流通し、上記旋回外方の前輪21FR及び旋回内方の後輪21RLにはドライバの踏み操作に応じた制動力が付与されるようになる。このため、上記ブレーキペダル14がドライバの踏み操作に応じて踏み込み可能となってカットバルブ32a及び32bを閉状態に維持した場合に生じるブレーキペダル14の踏み操作不能となる事態を回避してドライバ自身によるブレーキ操作フィーリングを確保し得るようになる。そして、ステップSC15に進んで旋回内方の前輪21FLにヨーレイト偏差量y及びブレーキ圧Pに応じた制動力を付与し、上記ステップSC1にリターンする。つまり、上記ステップSC2で姿勢制御が困難と判定された場合であってドライバ自身が十分なブレーキ操作をしていると判定される場合(SC13)には、減速によるドリフトアウト防止を図るために旋回外方の前輪21FR及び旋回内方の後輪21RLをドライバ自身のブレーキ操作に委ね(SC14)、旋回内方の前輪21FLに所定の制動力を付与する(SC15)ようにしている。
【0035】
さらに、上記ステップSC13においてブレーキ圧Pがポンプ圧Pp よりも小さい場合、即ち、ドライバがブレーキペダル14を少ししか踏み操作していない場合にはステップSC12に進み、旋回内方の前輪21FLに制動力を付与して車体1に対しアンダステア傾向を抑制するヨーモーメントを作用させつつ、旋回外方の前輪21FRと旋回内方の後輪21RLとに制動力を付与して車両を減速させる。つまり、上記ステップSC2において車両の姿勢制御が困難と判定され減速が必要であるにもかかわらずドライバのブレーキ踏み操作が不十分であると判定される場合(SC13)には、液圧ポンプ31a,31bからの吐出圧により左右の前輪21FR,21FLのブレーキ2,2を強制的に制動作動させて上記車両を減速させる(SC12)ようにしている。
【0036】
なお、上記フローチャートにおいて、ステップSC2がアンダステア度合い判定部55aに、ステップSC4が車速限界判定部55bにそれぞれ対応しており、また、ステップSC6及びステップSC7が姿勢制御部54aに、ステップSC8が姿勢変化判定部55cにそれぞれ対応しており、さらに、ステップSC9が補正演算部54cに、ステップSC12及びステップSC15が減速制御部54bにそれぞれ対応している。
【0037】
次に、スピン抑制制御を図9に示す。車両がスピンしそうになっていると判定された場合(図10(a)参照)、ステップSD1でカットバルブ32a,32bを閉状態にした後、ステップSD2で、液圧センサ33によって検出されたブレーキ圧Pを大気圧P0 と比較し、上記ブレーキ圧Pが大気圧P0 に等しくないい場合、つまり、ドライバがブレーキを踏んでいる場合には後述のステップSD7に進む一方、上記ブレーキ圧Pが大気圧P0 に等しい場合、つまり、ドライバがブレーキを踏んでいない場合にはステップSD3に進む。
【0038】
ステップSD3では、旋回外方の前輪21FRの負荷率に基づきこの車輪21FRのグリップ力に余裕があるか否かを判定し、負荷率が1でなければグリップ力に余裕があると判定してステップSD4に進み、車体横滑り角偏差量xに応じた制動力を上記旋回外方の前輪21FRに付与する(図10(b)参照)。一方、負荷率が1であれば上記旋回外方の前輪21FRのグリップ力に余裕がないと判定してステップSD5に進み、車体横滑り角偏差量xに応じた制動力を旋回外方の前後輪21FR,21RRに付与する。つまり、車体1の旋回外方位置に後ろ向きの力を加えることにより、この車体1に対しオーバステア傾向を抑制するヨーモーメントを作用させて車両の向きを旋回外方に変更させ、これにより、車両のスピン(図10(d)参照)を防止するようにしている。そして、ステップSD6では、上記車体横滑り角偏差量xが零であるか否かの判定を行い、零であれば車両の旋回姿勢が目標走行方向に収束したと判定してスピン抑制制御を終了する(図10(c)参照)。一方、上記ステップSD6で車体横滑り角偏差量xが零でないと判定されれば、上記ステップSD1にリターンする。
【0039】
また、上記ステップSD2でドライバがブレーキを踏んでいると判定された場合はステップSD7に進み、車体横滑り角偏差量xを、オーバステア傾向の度合いを判定するために予め設定された境界偏差量x2 と比較し、上記車体横滑り角偏差量xが境界偏差量x2 よりも小さい場合、つまり、オーバステア傾向の度合いが低いと判定される場合にはステップSD8に進んで、旋回内方の前輪21FLに接続されているブレーキ系統のカットバルブ32bを開状態にする。これにより、ドライバーによるブレーキペダル14の踏み操作に応じてマスタシリンダ10から第2配管22bに対し圧液が流通し、上記旋回内方の前輪21FL及び旋回外方の後輪21RRに対しドライバの踏み操作に応じた制動力が付与されるようになる。このため、上記ブレーキペダル14がドライバの踏み操作に応じて踏み込み可能となってカットバルブ32a及び32bを閉状態に維持した場合に生じるブレーキペダル14の踏み操作不能となる事態を回避してドライバ自身によるブレーキ操作フィーリングを確保し得るようになる。そして、ステップSD9に進んで、車体横滑り角偏差量x及びブレーキ圧Pに対応した制動力を旋回外方の前輪21FRに付与し、上記ステップSD1にリターンする。つまり、ドライバによるブレーキ操作が検出された場合(SD2)であって、オーバステアの度合いが低いと判定される場合(SD7)には、一方の液圧配管22a又は22bをマスタシリンダ10に連通させる(SD8)ことにより、ドライバのブレーキ操作を可能にしてその操作フィーリングの確保を図るとともに、そのドライバの踏み操作に応じて車両に制動力を付与するようにしている。
【0040】
また、上記ステップSD7で、車体横滑り角偏差量xが境界偏差量x2 に等しいか又は大きい場合、つまり、オーバステアの度合いが高いと判定される場合には、ステップSD10に進み、液圧センサ33によって検出されたブレーキ圧Pをポンプ31a,31bのポンプ圧Pp と比較する。そして、上記ブレーキ圧Pがポンプ圧Pp に等しいか又は大きければ、上記ステップSD8に進む。つまり、オーバステアの度合いが高い場合であってもドライバの減速要求が極めて高い場合には、そのブレーキ操作に従い車両を減速させるようにしている。一方、上記ブレーキ圧Pがポンプ圧Pp よりも低ければ、ステップSD11に進んで旋回外方の前輪21FRに制動力を付与することにより車両の向きを旋回外方に変更させ、その後、ステップSD12に進んで、車体横滑り角偏差量xの変化量Δxを、車両の向きが先開外方側に十分に変わったことを判定するために予め設定されている第2判定変化量Δx2 と比較する。そして、上記車体横滑り角偏差量xの変化量Δxが第2判定変化量Δx2 よりも小さい時、つまり、車両の向きが十分に変わっていない時には上記ステップSD2に戻る一方、上記車体横滑り角偏差量xの変化量Δxが第2判定変化量Δx2 よりも大きい時、つまり、車両の向きが十分に変わった時には、ステップSD13に進んで上記車体横滑り角偏差量x及びブレーキ圧Pに対応した制動力を、左右の前輪21FR,21FL及び旋回外方の後輪21RL付与し、車体1に対しオーバステアを抑制するヨーモーメントを作用させつつ車両を減速させる。つまり、オーバステアの度合いが高い場合(SD7)であってドライバの減速要求がそれほど高くない場合(SD10)には、まず、車両の向きを変えて(SD11)その姿勢を安定させてから減速させる(SD12)ようにしている。
【0041】
次に、上記実施形態に係る車両の姿勢制御装置の作用・効果を説明する。
【0042】
上記車両の姿勢制御装置におけるドリフトアウト抑制制御によれば、姿勢制御が困難ではないと判定された場合(SC2)に、旋回内方の前輪21FL又は前後輪21FL,21RLに制動力を付与する(SC6,SC7)ことにより車両の向きを旋回内方側に十分に変更した後に、旋回外方の前輪21FR及び旋回内方の後輪21に十分な制動力を付与して減速させる(SC12)ことにより、この車両の姿勢の安定を損なうことなく安全かつ確実に減速させることができ、これにより、車両のドリフトアウトを確実に防止することができる。
【0043】
この際、旋回内方の前輪21FL又は後輪21RLに対する制動力の付与(SC6,SC7)による車体横滑り角偏差量xの変化量Δxが、予め設定された第1判定変化量Δx1 に等しいか又は大きくなった(SC10)後に、車両の旋回外方の前輪21FR及び旋回内方の後輪21に制動力を付与(SC12)するようにしているため、車両の向きを十分に旋回内方側に変更させた後にこの車両を減速させることができる。しかも、車体速Vref が高い場合に上記第1判定変化量Δx1 を減少補正する(SC9)ことにより、車両の向きの変更から減速への移行を早めてこの車両を早めに減速させることができる上、ドライバの操舵量が大きい場合に上記第1判定変化量Δx1 を増大補正する(SC9)ことにより、上記車両の減速への移行を遅らせて車両の向きの変更量を大きくさせることができ、これにより、車両の速度及びドライバの運転操作に応じた適切な制御を行うことができる。
【0044】
さらに、アンダステア度合い判定部55aによりアンダステア傾向が強すぎて姿勢制御が困難と判定された時(SC2)、車速限界判定部55bにより車両の走行速度が高すぎてまず減速が必要であると判定された時(SC4)、又は、例えば路面が非常に滑りやすいため車体1に対しほとんどヨーモーメントを作用させることができず姿勢変化判定部55cにより車両の向きが変わらないと判定された時(SC8)に、直ちに、左右の前輪21FR,21FL及び旋回内方の後輪21RLに制動力を付与して車両を減速させる(SC12)ようにしており、加えて、ドライバがブレーキ操作をした場合(SC3)にもその踏み操作に応じて車両を減速させる(SC14)ようにしているため、安全性の向上が図られる。
【0045】
一方、上記車両の姿勢制御装置におけるスピン抑制制御によれば、ドライバがブレーキペアル14を踏み操作していないと判定された場合(SD2)、旋回外方の前輪21FR又は後輪21に制動力を付与する(SD4,SD5)ことにより、車体1に対してオーバステア抑制するヨーモーメントを作用させて車両のスピンを抑制することができる。また、ドライバがブレーキペダル14の踏み操作をしていると判定された場合(SD2)でも、ブレーキ圧Pが大きくなくドライバの減速要求がそれ程高くないと判定される場合(SD10)には、車両の減速よりもスピンの抑制を優先する(SD11)ようにしており、これにより、制動力の付与に起因する車両のスピンを防止することができる。さらに、ブレーキ圧が極めて大きくドライバの減速要求が極めて高いと判定された場合(SD10)には、ドライバの踏み操作に応じて車両を減速させる(SD8)ようにしており、これにより、車両の姿勢が崩れても減速させる必要がある場合等にはこの車両を確実に減速させることができる。
<他の実施形態>
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の実施形態を包含するものである。すなわち、上記実施形態では、ドリフトアウト抑制制御をヨーレイト偏差量yに基づいて行うようにしており、一方、スピン抑制制御を車体横滑り角偏差量xに基づいて行うようにしているが、これに限らず、例えば、上記ドリフトアウト抑制制御及びスピン抑制制御の両方を、上記ヨーレイト偏差量y及び車体横滑り角偏差量xの両方に基づいて行うようにしてもよい。
【0046】
上記実施形態では、車速限界判定部55bにより車両の走行速度が高すぎてまず減速が必要であると判定された時(SC4)に、左右の前輪21FR,21FL及び旋回内方の後輪21RLに制動力を付与するようにしているが、これに限らず、旋回外方の前輪21FRと旋回内方の後輪21RLの対角線上の2輪に制動力を付与するようにしてもよい。
【0047】
上記実施形態では、車両のブレーキの液圧系統はいわゆるX配管タイプのものとしているが、これに限らず、例えば、いわゆるH配管タイプのものであってもよい。
【0048】
【発明の効果】
以上説明したように、本願発明における車両の姿勢制御装置によれば、旋回中の車両のアンダステア傾向が強まったとき、第1段階としてこの車両の向きを旋回内方側に変更し、第2段階としてこの車両の旋回外方の前輪及び旋回内方の後輪に同時に制動力を付与することにより、車両の姿勢の安定を損なうことなく十分な制動力を付与することができ、これにより、上記車両を安全かつ確実に減速させてそのドリフトアウトを防止することができる。
【0049】
また、例えば、路面が非常に滑り易く車体に十分なヨーモーメントを作用させることができないようなときに直ちに車両を減速させることができ、これにより、安全性の向上を図ることができる一方、車両の姿勢制御が可能な場合にはこの車両を減速させる前にその向きを旋回内方側に十分に変更させることができる。
【0050】
その上さらに、車速が高い場合に車両を早めに減速させることができるとともに、ドライバによる操舵量が大きい場合に減速前の車両の向きの変更量を大きくさせることができ、これにより、車速及びドライバの運転操作に応じた適切な制御を行うことができる
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態に係る車両の姿勢制御装置を適用した車両を示す概略構成図である。
【図2】 ブレーキの液圧系統を示す図である。
【図3】 SCSコントローラの構成を示すブロック図である。
【図4】 状態量演算部及び目標状態量演算部における処理の内容を示す図である。
【図5】 SCSコントローラによる制御の概要を示すフローチャートである。
【図6】 制御介入判定部における処理の内容を示すフローチャートである。
【図7】 ドリフトアウト抑制制御を示すフローチャートである。
【図8】 車両のドリフトアウトの防止を示す概念図である。
【図9】 スピン抑制制御を示すフローチャートである。
【図10】 車両のスピンの防止を示す概念図である。
【符号の説明】
2 ブレーキ(制動手段)
3 加圧ユニット(制動手段)
4 ハイドロリックユニット(制動手段)
6 車輪速センサ(車速検出手段)
7 横Gセンサ(車両状態検出手段)
8 ヨーレイトセンサ(車両状態検出手段)
9 舵角センサ(操舵量検出手段)
21FR,21FL,21RR,21RL 車輪
51 状態量演算部(車両状態検出手段)
52 目標状態量演算部(車両状態検出手段)
53 制御介入判定部(アンダステア判定手段)
54 制御演算部(姿勢制御手段)
54a 姿勢制御部
54b 減速制御部
54c 補正演算部(判定変化量補正部)
55a アンダステア度合い判定部(アンダステア度合い判定手段)
55b 車速限界判定部(車速限界判定手段)
55c 姿勢変化判定部(姿勢変化判定手段)
56 作動制御部(姿勢制御手段)
Vref 車体速(検出車速)
x 車体横滑り角偏差量(検出車両状態量)
Δx 車体横滑り角偏差量の変化量(検出車両状態量の変化量)
Δx1 第1判定変化量(判定変化量)
y ヨーレイト偏差量(検出車両状態量)
y1 判定ヨーレイト偏差量(設定量)
Δy ヨーレイト偏差量の変化量(検出車両状態量の変化量)
β 車体横滑り角(車両状態量)
γ ヨーレイト(車両状態量)
θH 操舵角(検出操舵量)

Claims (1)

  1. 走行方向に対する車両の旋回姿勢を表す車両状態量を検出する車両状態検出手段を有し、この車両状態検出手段により検出された車両状態量が目標走行方向に対応する目標車両状態量から所定量以上ずれたときに、車両の旋回姿勢の状態が上記目標車両状態量に対応するものに収束するよう制御する車両の姿勢制御装置であって、
    車速を検出する車速検出手段と、
    ドライバによる操舵量を検出する操舵量検出手段と、
    前後左右の各車輪に対し制動力を個別に付与可能に構成された制動手段と、
    この制動手段の作動を制御することにより車両の旋回姿勢を制御する姿勢制御手段と、
    上記車両状態検出手段から出力される検出車両状態量が上記目標車両状態量からアンダステア側に設定量以上ずれて車両がアンダステア状態にあることを判定するアンダステア判定手段と、
    上記車両状態検出手段から出力される検出車両状態量の変化量に基づいて車両の旋回内方側への姿勢変化の有無を判定する姿勢変化判定手段と、
    を備え、
    上記姿勢制御手段は
    上記車両の旋回内方の前輪又は旋回内方の前後輪に対し制動力が付与されるよう制動手段を作動させることにより、車両の向きを旋回内方側に変える姿勢制御部と、
    上記車両の旋回外方の前輪と旋回内方の後輪との対角線上の2輪に対し制動力が同時に付与されるよう上記制動手段を作動させることにより、車両を減速させる減速制御部と、を備え、
    上記アンダステア判定手段から車両がアンダステア状態にあるとの判定結果の出力を受けたとき、まず上記姿勢制御部による車両の姿勢制御を行い、これによる旋回内方側への姿勢変化がないと上記姿勢変化判定手段により判定されたときには直ちに上記減速制御部による減速制御に移行する一方、姿勢変化があると判定されたときには、この姿勢変化に対応する検出車両状態量の変化量が予め設定された判定変化量以上になった後に、上記減速制御に移行するように構成され、
    さらに、上記車速検出手段により検出された検出車速値の増大に応じて上記判定変化量を減少補正し、かつ、上記操舵量検出手段により検出された検出操舵量の増大に応じて上記判定変化量を増大補正する判定変化量補正部を備えている
    ことを特徴とする車両の姿勢制御装置
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