JP4025559B2 - 離隔距離情報提供システム及び離隔距離提供装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、カメラで撮影した地物の画像(送電線と樹木、クレーンと送電線、ビルとビル間、アンテナとビル、アンテナと送電線等)を基に、離隔距離を算出し、この離隔距離が必要とする業者端末(伐採業者、ビル建築会社等)に送信して課金する離隔距離情報提供システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、鉄塔間の送電線は所定のたるみを有して張られている。このため、送電線下付近にある樹木の生長によって送電と送電線下付近の樹木(以下、送電線下支障樹木という)の距離を適切に保てなくなる。
【0003】
このような、送電線下支障樹木は、従来においては電力会社の専任の作業員が実際に送電線下を回って、送電線下支障樹木(風によって送電線が揺れた場合や倒壊した場合に、送電線に触れるおそれがある樹木を含む)と送電線との距離(以下、離隔距離という)をチェックして必要に応じて伐採を行うのが一般的であった。
【0004】
前述の離隔距離は、伐採業者の作業員が数人で現場に出かけて行ってデジタルカメラで対象の樹木を撮影した後に、山を下りてこの撮影映像を事務所に持ち込んで解析して離隔距離を求め、伐採の有無を判定する。そして、数週間後に数人で現場に出かけて対象とする樹木を伐採して安全を確保していた。
【0005】
一方、ビル建築等においてはクレーンが用いられ、送電線等がある場合は基本的には基準距離以上の距離を目測又は三角測量で計測してその距離保つのが一般的であった。
【0006】
また、橋の建築にあっては、河幅が広い箇所に橋を建築するには、両脇から建築して行く。このとき、どの程度作業が進んでいるかは目測又は三角測量で計測していた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような方法は、数人で山に登って鉄塔からデジタルカメラで対象樹木と送電線とを撮影し、事務所に戻って離隔距離を求めさせる。そして、離隔距離が危険と判断したときに再び数人で山に登って、対象の樹木を伐採しているので、作業期間が大幅にかかり、結果としてコスト高になるという課題があった。
【0008】
また、危険と判断した樹木を伐採したとき、その樹木でなかった場合は、再び鉄塔に上って、対象と思われる樹木と送電線とをデジタルカメラで撮影した後に、山を下りて事務所で解析しなければならない。
【0009】
すなわち、危険樹木でないものを撮影した場合は、されに倍の作業期間がかかり結果としてさらにコスト高になるという課題があった。
【0010】
また、伐採する樹木に関しては、作業員が現場に行って幹の太さ、地形等から経験的に判断している。
【0011】
しかしながら、樹木は所有者の許可があって初めて伐採が可能であるが、送電線の近辺には伐採許可を与えていない所有者の樹木の枝等が成長して来ている場合もある。
【0012】
このような樹木の場合は、事務所に帰って、用地課と電話、ファックスによって問い合わせて知ることになるから、伐採するまでに時間と手間がかかるという課題があった。
【0013】
一方、建物と送電線、橋、クレーンと送電線等の人が行って計測できない離隔距離については、目測の場合はラフな離隔となり、三角測量の場合は時間とコストがかかるという課題があった。
【0014】
本発明は以上の課題を解決するためになされたもので、離隔距離を必要とする業者の作業員からの画像を受信して直ちに離隔距離を提供することでコストを低減させるシステムを得ることを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明である離隔距離情報提供システムは、作業者に対しては、互いに隣接する地物を、水平棒にデジタルカメラを載置してステレオ画像を撮影する測距儀を用いて撮影させ、該映像を携帯端末装置で無線網を介して離隔距離提供装置に送信し、前記携帯端末装置が離隔距離の提供を受ける離隔距離情報提供システムである。
【0016】
前記携帯端末装置は、前記測距儀のデジタルカメラで取得したステレオ画像を取込み、このステレオ画像と業者コードと年月日とを離隔算出要望データとして前記無線網で前記離隔距離提供装置に送信する手段と、該離隔距離提供装置からの離隔距離情報を所定の形式で画面に表示する手段とを備える。
【0017】
前記離隔距離提供装置は、前記携帯端末装置からの前記離隔算出要望データを受信し、そのステレオ画像を画面に表示し、該ステレオ画像において前記所定ポイントの指定に伴って、そのポイント同士の間の離隔距離を求めて、前記離隔距離情報として前記無線網を介して前記携帯端末装置に提供する手段と、この離隔距離の算出に伴って、離隔算出のサービス料と前記業者コードと年月日とを対応させて保存すると共に、コンピュータネットワークを介して前記作業者が所属する業者の端末に送信する手段とを備えたことを要旨とする。
【0018】
本離隔距離情報提供システムにおいては、測距儀のデジタルカメラで撮影されたステレオ画像は携帯端末に取り込まれ、携帯端末はこのステレオ画像に業者コードと年月日とを合わせて離隔算出要望データとして無線網を通じて離隔距離提供装置に送信する。そして、離隔算出要望データを受信することによって、離隔距離提供装置は、そのステレオ画像を画面に表示し、このステレオ画像において所定ポイントの指定が指定されると、そのポイント同士の間の離隔距離を求めて、離隔距離情報として無線網を介して携帯端末装置に提供する。この離隔距離の算出に伴って、離隔算出のサービス料と業者コードと年月日とを対応させて保存すると共に、コンピュータネットワークを介して作業者が所属する業者の端末に送信する。
【0019】
また、本発明の離隔距離情報提供装置は、作業者に対しては、互いに隣接する地物を、水平棒にデジタルカメラを載置してステレオ画像を撮影する測距儀を用いて撮影させ、該映像を携帯端末装置で無線網を介して離隔距離提供装置に送信し、前記携帯端末装置が離隔距離の提供を受ける離隔距離情報提供システムに用いられる離隔距離提供装置である。
【0020】
前記離隔距離提供装置は、前記携帯端末装置に対しては、前記測距儀のデジタルカメラで取得したステレオ画像と、業者コードと年月日とからなる離隔算出要望データの送信を促し、前記離隔算出要望データを受信し、画面のステレオ画像において測定対象の両方の地物の所定ポイントの指定に伴って、そのポイント同士の間の離隔距離を求めて、前記離隔距離情報として前記無線網を介して前記携帯端末装置に提供する手段と、この離隔距離の算出に伴って、離隔算出のサービス料と前記業者コードと年月日とを対応させて保存すると共に、コンピュータネットワークを介して前記作業者が所属する業者の端末に送信する手段とを備えたことを要旨とする。
【0021】
【発明の実施の形態】
<第1の実施形態>
まず第1の実施形態について図1〜図11に基づいて説明する。
【0022】
図1は、離隔距離情報提供システム1の第1の実施形態の概略構成図である。本実施形態は、送電線2と送電線下支障樹木3のステレオ撮影を行う測距儀4と、その撮影した左右の画像と撮影した場所の地理的情報等からなる撮影情報を送信する通信端末5と、通信端末5から送信される撮影情報から、送電線下支障樹木3の位置、離隔距離、伐採の必要性を算出し、さらに、伐採可否の情報を問い合わせる離隔距離提供装置6と、伐採可否の情報を管理する用地管理センター7とから構成される。
【0023】
この測距儀4は、図2に示すように2台のデジタルカメラ8と基準棒9とからなり、基準棒9には2台の載置台が習動固定可能に設けられ、撮影対象物の距離によって、間隔を調整できるようになっており、一方の載置台に他方の載置台が連動して同距離逆方向に移動する構造となっている。また、スライダーには中央から目盛りが振られている。さらに、基準棒9はデジタルカメラ8の重量に対して相応の強度を持ち、デジタルカメラ8を2台取り付けても変形しにくいハニカム構造となっている。
【0024】
また、通信端末5は入出力装置を備えた携帯型のノート型のパーソナルコンピュータであり、USBやRS−232C、CardBusといった汎用ポートを備えており、外部機器を接続して情報の入出力を行う。また無線LAN機能を備えており、離隔距離提供装置6とイントラネットを構築して相互通信を行う。
【0025】
デジタルカメラ8で撮影された画像は、接続ケーブルを用いて通信端末5のUSBやRS−232Cに接続し、転送する方法もあるが、画像が記録された記録メディア(コンパクトフラッシュやスマートメディア等)を、メディアアダプター等を用いて直接通信端末5のCardBusに装着し、転送する方法もあり、いずれかの方法によって、通信端末5に取り込まれる。
【0026】
離隔距離提供装置6は、入出力装置を備えた小型のパーソナルコンピュータであり、撮影場所に応じて図示しない車等に搭載し移動することも可能である。また無線LAN機能を備えており、通信端末5とイントラネットを構築して相互通信を行う。さらに、PHSや携帯電話、通常の電話回線等、離隔距離提供装置6が設置されている環境に応じた方法でインターネットに接続されている。
【0027】
また、通信端末5から送信される撮影情報から、送電線下支障樹木3の位置を特定する樹木位置算出部と、送電線下支障樹木3と送電線2との離隔距離を算出する離隔距離算出部と、離隔距離と送電線2の位置関係から伐採の必要性を判定する伐採判定部と、料金算出部を備える。
【0028】
また、離隔距離提供装置6は図示しない光磁気ディスク装置を備えており、光磁気ディスクに記録された地図情報(GIS)、例えば管理下にある鉄塔等の位置や地形情報を読み込む。さらに、光磁気ディスクに図3に示す伐採情報10を有しており、算出した位置情報や離隔距離を蓄積する。伐採情報10は、日付、エリア、離隔距離、伐採業者、情報料の項目を有するデータテーブルであり、伐採が行われた日付、伐採された送電線下支障樹木3の位置するエリア、算出された離隔距離、および伐採を行った業者と発生した情報料が保存される。
【0029】
用地管理センター7はインターネットに接続されており、さらに、図4に示すような用地管理情報11を有し、インターネットを介して離隔距離提供装置6から送信される伐採可否の問合せに対して、適宜必要な情報を用地管理情報11から抽出し、離隔距離提供装置6に送信する。用地管理情報11は鉄塔番号、地主名、エリア、伐採の4つの項目を有するデータテーブルであり、地主名とエリアを基に、エリアに最寄りの鉄塔の番号と、そのエリアの伐採可否の情報が保存される。
【0030】
また伐採業者と銀行はインターネットに接続されており、離隔距離提供装置6からの課金情報を受信する。
【0031】
なお、通信端末5と離隔距離提供装置6との相互通信は、撮影場所の環境に応じて様々な通信形態が考えられるが、本実施形態では、無線LANを利用して、通信端末5と離隔距離提供装置6とでイントラネットを構築して行われる。この場合、通信端末5と離隔距離提供装置6との通信には通信費が発生しないという利点がある。その他にも、例えば、PHSや携帯電話を用いて通信端末5をインターネットに接続し、離隔距離提供装置6と相互通信を行う方法があげられる。
【0032】
次に一連の処理について図5のシーケンス図に基づいて説明する。また、図6は通信端末5の画面の表示例であり、図7は離隔距離提供装置6の画面の表示例である。
【0033】
まず撮影者12が鉄塔C1の所定の撮影位置に登り、測距儀4を用いて送電線下支障樹木3と送電線2を撮影する。撮影後、鉄塔C1から降り、デジタルカメラ8と通信端末5を接続する(または記録メディアを通信端末5に装着する)。図6(a)に示す画像取り込みボタンを選択すると、撮影した画像が通信端末5に転送される(d1)。なお、画像の転送は左右のカメラ別個に行われ、転送された画像は画面右上の表示部(図6(b))に表示される。
【0034】
次に、撮影者12は鉄塔番号とエリア番号と伐採業者番号(図6(c))を入力する。鉄塔番号は送電線下支障樹木3の位置を特定するための基準となる値であり、離隔距離提供装置6に送信されると鉄塔毎に予め設定された撮影場所を示す3次元の座標と、鉄塔の方位座標に変換され、送電線下支障樹木3の方位座標を決定するために使用される。エリア番号はその送電線下支障樹木3が存在する場所の地権者を特定するために用いられる。なお、エリア番号は樹木位置算出部によっても特定することができるので、不明な場合は入力しなくても良い。また、伐採業者番号には直接業者名を入力しても良い。
【0035】
次に、撮影者12が図6(d)の撮影情報送信ボタンを選択すると、離隔距離提供装置6に画像情報、鉄塔番号、エリア番号、伐採業者番号および日付が撮影情報として送信される(d2)。また図6(e)の伐採可否問合せボタンを選択すると、図6(f)、に示すような必要な情報の選択と、料金発生の確認メッセージが表示されるので、さらに、必要な情報を選択し、OKを選択すると離隔距離提供装置6に情報要求と伐採可否の問合せが送信される(d3)。なお、図6(f)中、●は伐採作業者14が必要とする情報であり、○は必要としない情報を示す。この情報要求と伐採可否の問合せを行わない限りは、離隔距離等の情報は提供されず、情報料は発生しない。
【0036】
離隔情報提供装置は、通信端末5から撮影情報を受信すると、まず画面上部(図7(j))に左右の画像を表示する。また、鉄塔番号やエリア番号、伐採可否の問合せも図7(k)に合わせて表示する。
【0037】
次に、オペレーター13が図7(m)の求点指定ボタンを選択し、表示された左右の画像に、送電線下支障樹木3の先端と、その送電線下支障樹木3に近接している送電線2の2点を指定する。そして、図7(n)の解析開始ボタンを選択すると、樹木位置算出部は、撮影された送電線下支障樹木3の位置を計算し(d4)、離隔距離算出部は、指定された2点間の離隔距離を計算する(d5)。
【0038】
図8は、離隔距離を算出する手順を示したフローチャートである。樹木位置算出部の処理はステップS7、離隔距離算出部の処理はステップS8およびS9となる。以下、詳細に説明する。
【0039】
樹木位置算出部は、図9に示すように、画面上で指定された求点(対象物:送電線2、樹木)の写真座標を測定する写真座標測定、この写真座標をモデル座標系に変換するための内部標定要素を定義する内部標定、モデル座標系における求点のモデル座標値(Xm1、Ym1、Zm1)、(Xm2、Ym2、Zm2)を求める相互標定、これらのモデル座標値を左カメラ座標系に変換する外部標定等からなる。求められた座標は、鉄塔番号を基に方位座標に変換される。このとき、通信端末からエリア番号が送信されていなければ、方位座要から送電線下支障樹木3の位置するエリアを特定する。
【0040】
また、離隔距離算出部は、左カメラ座標系で定義された対象物p1(x1、y1、z1)、p2(x2、y2、z2)の空間ベクトルの差を離隔距離として算出する。すなわち、基準棒9の長さBを固定として、2台のデジタルカメラ8で撮影することにより、各種データ(計測対象までの距離、計測対象の奥行き)を得ることが可能である。この原理を用いて本実施の形態は、左カメラの画像の投影中心を原点として座標系(X,Y,Z)を構築し、この左カメラの座標系上での送電線26の左カメラの点像(X、Y、Z)と、左カメラの座標系上での右カメラの送電線下支障樹木37の頂点の点像とを求めた後に、この2点間の空間ベクトルを求めることで離隔を算出する。
【0041】
(モデル座標の計算法)
モデル座標計算は、式(7.1)の相互標定で求めた緒元(内部標定要素)を使用して、モデル座標を求める。
【0042】
【数1】
よってモデル座標はカメラ座標(Xm,Ym,Zm)となる。
【0043】
すなわち、上記各式はω1が存在していない。つまり、基準棒2を用いることによって、ω1=ω2としてモデル座標を決定したことを意味している。
【0044】
(絶対座標の計算法)
モデル座標系を用いて、モデル座標値から左のカメラの座標系に座標変換する式を以下に示す。以下の式は、三角関数を用いたものである。
【0045】
X=S・R・Xm+X0 (14)
Y=S・R・Ym+Y0 (15)
Z=S・R・Zm+Z0 (16)
Rの回転行列は単位行列となる以下のとおりである。
【0046】
【数2】
そして、送電線と求点である送電線下支障樹木との2点間の距離を求める場合は、X,Y,Zの差二乗平方根で求める。
【0047】
点p1(X1,Y1,Z1)
点p2(X2,Y2,Z2)
【数3】
図9に示すように、基準棒を用いて予め被写体とレンズ中心、フィルム面上の像の3点が同一座標系となるモデル座標において同一直線をなす幾何学条件をつくり、実際に樹木と送電線の離隔距離を測定するときには、2台のデジタルカメラを用いて撮影し、これらの画像データの求点を基準棒2の左カメラ座標系で簡単に定義できるようにしている。つまり、画面上で対象物を2点指定するだけで、その間の離隔距離が求められる。
【0048】
さらに、伐採判定部は、図10に示すように、離隔距離と送電線2のたわみや揺れ等から、伐採の必要があるかどうか判定する。判定は下記の4項目について行われ、1項目でも所定の離隔距離以下の値が算出されれば、伐採の必要性有りと判定する(d6)。また、算出された値によって、「要伐採(緊急)」、「要注意」、「必要なし」等の要伐採レベルの情報も合わせて提供する。
【0049】
(1)送電線2に最大電力を供給しない場合(通常送電)で、無風状態のときに、送電線2と樹木との離隔距離を求める。
(2)通常送電の場合で、風があるときの離隔距離を求める。
(3)送電線2に最大電力を供給した場合で、無風状態における離隔距離を求める。
(4)送電線2に最大電力を供給した場合で、風があるときの離隔距離を求める。
【0050】
これらの処理の内で(1)の処理を代表して説明する。
【0051】
図10に示すように、まずローカル座標系(XR、YR、ZR)における鉄塔Jaの支点座標Ta1と鉄塔Jbの支点座標Tb1とを結ぶ直線Lbを求める。
【0052】
次に、放物線算出工程4が通常送電電力条件Haを読み、この条件Haを用いて図3に示すようにローカル座標系において、直線Lbの放物線Ld(Ld;2次方程式ax2+bx+cのa,b,cを求める。)を求める。この放物線Ldは以下に説明する式で示される。ただしZR軸におけるLd式のみを示す。
【0053】
【数4】
そして、振りコンパス長決定工程5が鉄塔Jaと鉄塔Jb付近の樹木Kiを検索し、樹木Kiがあるかどうかを判定する。
【0054】
樹木Kiが存在する場合は、その樹木の根元の座標(kx、ky、kz)からローカル座標系のXR軸に対して垂線Lfを引く。次に、直線Lbを、ローカル座標系のXRーYR座標系に投影した直線Lbbを得た後に、この直線Lbbと垂線Lfに交わる交点dkを求める。
【0055】
次に、この交点dkから直線Lbに対して垂線Lcを求め、この垂線Lcと放物線Ldとの交点diを求め、求めた交点diに基づく離隔計算処理を行う。
【0056】
(1)の処理の場合は、離隔演算工程9が交点diに対して樹木Kiの頂点kzが上のケースか下のケースかどうかを判断し、上のケースの場合は樹木の幹(kz線を引く)から垂線Lcまでの平行距離を求める。また、下のケースの場合は、離隔距離(静止離隔)は、以下の式に示すようにして交点diから樹木Kiの頂点(kz)までの静止離隔Csを求める。
【0057】
【数5】
算出結果は、図7(p)に表示される。オペレーター13が図7(q)の伐採可否問合せボタンを選択すると(d7)、用地管理センター7では該当するエリアの伐採可否情報が用地管理情報11から抽出され(d8)、離隔距離提供装置6に伐採OKまたは伐採NGが送信され、図7(p)に表示される(d9)。またオペレーター13が図7(r)のロケーション表示ボタンを選択すると、図11に示すような地図情報が光磁気ディスクから読み込まれ、樹木位置の算出結果と合わせて表示されるので、オペレーター13は算出結果をイメージとして確認することができる。なお、図11中、三角は鉄塔を示し、破線は送電線2を示す。また黒丸は撮影を行った場所を示し、×は送電線下支障樹木3の位置を示す。
【0058】
オペレーター13が各算出結果を確認し、問題がなければ、各算出結果と伐採可否の情報は通信端末5へ送信される。オペレーター13が図7(s)の位置,離隔距離情報送信ボタンを選択すると、図7(t)のメッセージが表示されるので、さらにOKを選択すると、通信端末5へ各算出結果と地図情報と伐採可否の情報のうち、伐採作業者14が必要とする情報が送信される(d10)。また同時に図3の伐採情報10に、各算出結果と伐採可否の情報が登録される。
【0059】
算出結果等を送信した後、オペレーター13が図7(u)の課金情報送信ボタンを選択すると、料金算出部は情報料を算出する(d11)。情報料は、それぞれに単価が設定され、伐採作業者14に提供された情報に応じて積算される。料金算出後、図7(v)のメッセージが表示されるので、さらに、OKを選択すると、伐採業者番号から特定される伐採業者と銀行に、算出された情報料と課金発生の旨が送信される(d12)。また、同時に伐採情報10に、適宜情報が追加保存される。
【0060】
各算出結果と地図情報を受信した通信端末5は、図6(g)に各算出結果を、図6(h)に地図情報を表示する。この表示された情報を伐採作業者14に提供する。なお、伐採の必要性がないと表示された場合は、撮影者12は他の送電線下支障樹木3の撮影を行う(d15)。また、伐採の許可がないと表示された場合も、撮影者12は他の送電線下支障樹木3の撮影を行う(d16)。
【0061】
このように、所定の位置から送電線下支障樹木3の撮影を行い、その撮影した画像等の情報から送電線下支障樹木3の位置、離隔距離、伐採の必要性を算出し、さらに、送電線下支障樹木3が存在する地域の伐採可否情報を合わせて伐採作業者14に提供することによって、伐採作業者14は送電線下支障樹木3を容易に特定することができ、また、伐採作業に必要とされる時間を短縮することができるという効果を奏する。また、伐採作業者14が必要とする情報を提供することによって、適正な情報料を課金することができるという効果を奏する。
【0062】
<第2の実施形態>
第1の実施形態では、各算出結果を伐採作業者14に提供することによって、情報料が発生していたが、第2の実施形態では、算出結果を伐採作業者14が携帯する端末機器に提供し、その情報に基づいた実際の伐採作業が終了した時点で、情報料が発生するモデルを想定する。これは、情報を提供する側と情報を利用する側で、公平性を保つ方法として有効である。
【0063】
第2の実施形態では、算出結果を有効に利用するために、伐採作業者14が携帯する端末機器として、GPS端末15を新たに追加する。これはGPS衛星からの電波を受信し、自分自身の現在位置を画面上に表示し、さらに、無線LAN機能を備えており、通信端末5および離隔距離提供装置6とイントラネットを構築し、通信端末5から算出結果と地図情報を受信することによって、地図情報と現在位置を重ね合わせて表示するものである。また、USB等の汎用ポートを備えており、無線LANの通信状態が悪い場合は、接続ケーブルを用いて各情報を受信する。その他の構成については、第1の実施形態と同じである。
【0064】
図12は一連の処理を示したシーケンス図である。なお、通信端末5へ算出結果等を送信するまでは第1の実施形態と同じでなので、詳細な説明は省略する。
【0065】
まずデジタルカメラ8で撮影された画像を基に、目標の位置情報、離隔距離と伐採の必要性の有無、伐採OKまたは伐採NGが、通信端末5に送信される(d1〜d10)。なお、伐採の必要性がないと表示された場合は、撮影者12は他の送電線下支障樹木3の撮影を行う(d15)。また、伐採の許可がないと表示された場合も、撮影者12は他の送電線下支障樹木3の撮影を行う(d16)。
【0066】
次に、撮影者12はGPS端末15を通信端末5に、算出結果と地図情報を送信する(d21)。オペレーター13が図6(w)のGPS端末転送ボタンを選択すると、図13に示すような地図情報がGPS端末15に表示される。伐採作業者14は表示された地図を基に、目標の送電線下支障樹木3を特定する。
【0067】
なお、図13中、三角は鉄塔を示し、破線は送電線2を示す。また星印はGPS端末15の現在位置を示し、×は送電線下支障樹木3の位置を示す。伐採作業者14がGPS端末15を携帯することによって、伐採作業者14の移動に伴って更新表示される現在位置と、送電線下支障樹木3の位置を確認しつつ、目標の送電線下支障樹木3を特定することが容易となる。
【0068】
作業の終了した伐採作業者14は、通信端末5(撮影者12)に作業終了の旨を連絡する(d22)。または、撮影者12が撮影を行った場所(鉄塔上部等)から、送電線下支障樹木3が伐採されたことを確認する。
【0069】
次に、作業が終了した旨を離隔距離提供装置6へ送信する(d23)。その後は、第1の実施形態と同様に情報料を算出し、伐採業者と銀行に通知する。また、同時に伐採情報10に、適宜情報が追加保存される。
【0070】
なお、算出結果と地図情報のGPS端末15への転送は、撮影場所の環境に応じて様々な通信形態が考えられる。例えば、PHSや携帯電話を用いてGPS端末15をインターネットに接続し、離隔距離提供装置6または通信端末5と通信を行う方法もあげられる。また近年、GPS機能を持った携帯電話もあるので、それを利用する方法もあげられる。
【0071】
このように、伐採作業者14が携帯するGPS端末15に算出結果や地図情報を転送し、GPS機能と合わせて地図情報を使用することによって、伐採作業者14は目標の送電線下支障樹木3を見失わずにすみ、容易に特定することができるという効果を奏する。
【0072】
また、伐採作業者14がGPS端末15を携帯することによって、目標の取り違え等の作業ミスを起こす可能性が低くなり、作業ミスに伴う余計な作業の発生を低減することができるという効果を奏する。さらに、作業ミスに伴う余計な情報料の発生を低減し、適切な情報料を課金することができるという効果を奏する。
【0073】
なお、本実施の形態では、送電線2と送電線下支障樹木3の位置と離隔距離を算出し、情報提供するというモデルを想定したが、図14に示すような建設中のビル上部に設置されたクレーンのアーム先端部と送電線2の関係のように、人が直接測れないような距離を算出し、情報提供するようなモデルに適用することができる。
【0074】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、測距儀のデジタルカメラで隣接する地物同士を撮影し、このステレオ画像を携帯端末装置から離隔距離提供装置に無線網で送信する。
【0075】
離隔距離提供装置は離隔算出要望データを携帯端末装置から受信し、このステレオ画像において所定ポイントの指定が指定されると、そのポイント同士の間の離隔距離を求めて、無線網を介して携帯端末装置に提供すると共に、離隔算出のサービス料と業者コードと年月日とを対応させて保存した後に、コンピュータネットワークを介して作業者が所属する業者の端末に送信する。
【0076】
従って、現場からステレオ画像を送信すると、離隔距離が直ちに携帯端末装置に送信されることにより、離隔距離を作業者は現場で直ぐに得ることになるから、作業期間の短縮ができ、結果として離隔距離の算出のためのコストを低減できるという効果が得られている。
【0077】
特に、送電線と樹木との離隔距離を得る場合には、樹木と送電線とを含んだステレオ画像を無線網で離隔距離提供装置に送信すると、離隔距離が直ちに携帯端末装置に送信される。
【0078】
従って、従来のように、作業員が山からおりて、デジカメで撮影した映像を事務所で解析させなくとも、その場で離隔距離を直ぐに得ることになるので、離隔距離を得るための期間を大幅に短縮でき、結果として作業コストを低減させることができるという効果が得られている。
【0079】
また、離隔距離を算出したとき、そのサービス料をインターネットを介して業者の端末に送信するので、離隔距離提供装置側では直ちにサービスに対する料金を回収できるという効果が得られている。
【0080】
また、建物と送電線、橋、クレーンと送電線等の人が行って計測できない場合にも、測距儀で撮影したステレオ画像を携帯端末装置から送信させると、離隔距離提供装置からは、直ちに離隔距離が送信される。
【0081】
このため、三角測量等を用いる必要がないので、コストを低減できるという効果が得られている。
【図面の簡単な説明】
【図1】離隔距離情報提供システムの全体構成を表す図である。
【図2】測距儀の構成図である。
【図3】伐採情報を示すデータテーブルである。
【図4】用地管理情報を示すデータテーブルである。
【図5】第1の実施形態のシーケンス図である。
【図6】通信端末の画面の表示例である。
【図7】離隔距離提供装置の画面の表示例である。
【図8】樹木位置算出部と離隔距離算出部の動作を説明するフローチャートである。
【図9】本実施の形態におけるカメラ座標系とモデル座標系による離隔距離の算出方法を説明する説明図である。
【図10】本実施の形態における送電線のたわみや揺れを考慮した伐採の必要性の算出方法を説明する説明図である。
【図11】離隔距離提供装置に表示される地図情報の表示例である。
【図12】第2の実施形態のシーケンス図である。
【図13】GPS端末の画面の表示例である。
【図14】送電線と、ビル上部に設置されたクレーンのアーム先端との、離隔距離を示す図である。
【符号の説明】
1 離隔距離情報提供システム
2 送電線
3 送電線下支障樹木
4 測距儀
5 通信端末
6 離隔距離提供装置
7 用地管理センター
8 デジタルカメラ
9 基準棒
10 伐採情報
11 用地管理情報
12 撮影者
13 オペレーター
14 伐採作業者
15 GPS端末
Claims (8)
- 作業者に対しては、互いに隣接する地物を、水平棒にデジタルカメラを載置してステレオ画像を撮影する測距儀を用いて撮影させ、該映像を携帯端末装置で無線網を介して離隔距離提供装置に送信し、前記携帯端末装置が離隔距離の提供を受ける離隔距離情報提供システムであって、
前記携帯端末装置は、
前記測距儀のデジタルカメラで取得したステレオ画像を取込み、このステレオ画像と業者コードと年月日とを離隔算出要望データとして前記無線網で前記離隔距離提供装置に送信する手段と、
該離隔距離提供装置からの離隔距離情報を所定の形式で画面に表示する手段とを備え、
前記離隔距離提供装置は、
前記携帯端末装置からの前記離隔算出要望データを受信し、そのステレオ画像を画面に表示し、該ステレオ画像において所定ポイントの指定に伴って、そのポイント同士の間の離隔距離を求めて、前記離隔距離情報として前記無線網を介して前記携帯端末装置に提供する手段と、
この離隔距離の算出に伴って、離隔算出のサービス料と前記業者コードと年月日とを対応させて保存すると共に、コンピュータネットワークを介して前記作業者が所属する業者の端末に送信する手段と
を有することを特徴とする離隔距離情報提供システム。 - 前記離隔距離提供装置は、
前記測距儀が載置された点の地球座標を記憶し、
前記ステレオ画像にて指定された前記隣接する地物の所定ポイントが指定されたとき、これらの2点を前記水平棒の座表系に変換した後に、前記測距儀が載置された点の地球座標を用いて三角測量で前記所定ポイントの地球座標を求める手段と、
このポイント座標を前記離隔距離情報に含ませて、前記無線網を介して前記携帯端末に送信する手段と
を有することを特徴とする請求項1記載の離隔距離情報提供システム。 - 前記地物は、送電線エリアの樹木であり、
前記離隔距離提供装置は、
前記所定ポイントの地球座標を求めたとき、前記コンピュータネットワークを介して前記地物の所有者を管理している用地管理センターにアクセスし、前記樹木の伐採許可の有無を送信させる手段と、
前記樹木の伐採の有無を前記離隔距離情報に含ませて前記無線網を介して前記携帯端末に送信する手段と
を有することを特徴とする請求項2記載の離隔距離情報提供システム。 - 前記離隔距離提供装置は、
離隔距離に応じた危険度を対応させたテーブルを有し、前記離隔距離を求めたとき、前記テーブルと比較して、その結果を前記離隔距離情報に含ませて送信する手段を有することを特徴とする請求項1記載の離隔距離情報提供システム。 - 前記離隔距離提供装置は、
前記離隔距離情報の種類に応じてサービス料を相違させていることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の離隔距離提供システム。 - 前記離隔距離提供装置は、
前記測距儀で撮影するエリアの地図情報を有し、前記地物の地球座標が求められたとき、この地球座標を含むエリアの地図情報に前記地物の地球座標位置を示して前記離隔距離情報に添付して送信する手段と
を有することを特徴とする請求項2記載の離隔距離提供システム。 - 作業者に対しては、互いに隣接する地物を、水平棒にデジタルカメラを載置してステレオ画像を撮影する測距儀を用いて撮影させ、該映像を携帯端末装置で無線網を介して離隔距離提供装置に送信し、前記携帯端末装置が離隔距離の提供を受ける離隔距離情報提供システムに用いられる離隔距離提供装置であって、
前記離隔距離提供装置は、
前記携帯端末装置に対しては、
前記測距儀のデジタルカメラで取得したステレオ画像と、業者コードと年月日とからなる離隔算出要望データの送信を促し、
前記離隔算出要望データを受信し、画面のステレオ画像において測定対象の両方の地物の所定ポイントの指定に伴って、そのポイント同士の間の離隔距離を求めて、前記離隔距離情報として前記無線網を介して前記携帯端末装置に提供する手段と、
この離隔距離の算出に伴って、離隔算出のサービス料と前記業者コードと年月日とを対応させて保存すると共に、コンピュータネットワークを介して前記作業者が所属する業者の端末に送信する手段と
を有することを特徴とする離隔距離情報提供装置。 - 前記測距儀が載置された点の地球座標を記憶し、
前記ステレオ画像にて指定された前記隣接する地物の所定ポイントが指定されたとき、これらの2点を前記水平棒の座表系に変換した後に、前記測距儀が載置された点の地球座標を用いて三角測量で前記所定ポイントの地球座標を求める手段と、
このポイント座標を前記離隔距離情報に含ませて、前記無線網を介して前記携帯端末に送信する手段と
を有することを特徴とする請求項7記載の離隔距離情報装置。
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