JP4025259B2 - Led素子の発光層形成用インク及びled素子 - Google Patents

Led素子の発光層形成用インク及びled素子 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、色純度、演色性、耐久性に優れたLED素子を提供するLED素子の発光層形成用インク、及びLED素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、無機LEDは、その発光効率が飛躍的に向上しつつあり、特に、白色LEDは、将来、蛍光灯の発光効率を凌駕すると言われる状況にある。
【0003】
しかしながら、LEDを照明装置に用いる場合、発光効率のみならず演色性にも優れている必要がある用途も多い。無機蛍光体のみを用いるLEDでは、これらの特性をすべて満たすことができないのが現状である。有機蛍光体を用いたLEDは、すでに公知である。しかしながら、有機蛍光体は、以下のような問題があることから、未だ照明用途としては実用化されていないのが現状である。
【0004】
1)特に、現在主流となりつつある近紫外LEDを光源とし、R,G,Bの有機蛍光体を用いたELDの場合、有機化合物は一般に紫外線に弱いため、紫外線による有機蛍光体の劣化が顕著である。特に、近紫外領域にn-π*遷移に基づく吸収がある場合、劣化が早い。
【0005】
2)有機蛍光体は、その濃度によって蛍光スペクトルが変化することがあり、スペクトル制御が困難である。また、蛍光強度にも濃度依存性があり、高濃度領域では濃度消光が生じてしまう。
【0006】
3)有機蛍光体を分散するポリマーの種類によって、蛍光スペクトルが変化してしまう。
【0007】
一般に、希土類錯体からなる蛍光体は、一般の有機蛍光体と比較して、以下の利点を挙げることができる。低分子系の有機EL素子に用いられる希土類錯体の例を下記式(4)に示す(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
【化6】
Figure 0004025259
【0009】
上記式(4)に示す希土類錯体は、配位子がフェナントロリンとβジケトンから構成される。フェナントロリンが光を吸収して励起状態となり、3重項励起状態から中心のユーロピウムにエネルギー移動が起こり、ユーロピウム特有の612nmの発光が得られる。
【0010】
この希土類錯体は、フェナントロリンで光吸収するため、吸光係数が大きく、発光強度が大きくなる。このような希土類錯体からなる蛍光体は、一般の有機化合物からなる蛍光体と比較して、以下に示すような利点を有する。
【0011】
1)発光波長は希土類特有のものであり、色素濃度や分散するポリマーの種類の影響を受けず、蛍光スペクトルは安定している。
【0012】
2)配位子は有機化合物であるが、配位子が光を吸収して励起状態になると、中心元素に対するエネルギー移動によって基底状態に戻るため、励起状態から不可逆的な化学変化を起す機会が減少する。従って、紫外線に対する耐久性を期待することが出来る。
【0013】
しかし、希土類錯体からなる蛍光体は、溶媒に対する溶解性、樹脂に対する分散性が悪いという問題がある。
【0014】
これに対し、フェナントロリンを持たない、βジケトンのみを配位子とする、下記式(5)に示す希土類錯体からなる蛍光体は、溶媒に対する溶解性に優れており、かつ樹脂中に分散又は溶解することが可能である(例えば、特許文献2,3参照)。これは、フェナントロリンを配位子として持たないために生じた効果である。しかしながら、フェナントロリンを持たない結果として、光吸光係数が小さく、発光強度が弱いという欠点がある。
【0015】
【化7】
Figure 0004025259
【0016】
(式中、R及びR10は、同一又は異なる、水素原子を含まないC1−C22の脂肪族基、水素原子を含まない芳香族基または水素原子を含まないヘテロ環基である。)
上述した式(4)に示すような希土類錯体をポリマーに分散して発光層を形成し、LED素子を実現する場合、用いるポリマーは以下に示す特性を満たす必要がある。
【0017】
1)可視・近紫外領域における光透過率が大きいこと。
【0018】
2)光化学的に安定であること。
【0019】
3)酸化反応を起し難いこと。
【0020】
4)ガラス転移点が大きいこと(好ましくは100℃以上であること)。
【0021】
5)酸素遮断性が大きいこと。
【0022】
6)防湿性が大きいこと。
【0023】
7)C−H結合及びO−H結合が無いか、少ないこと。
【0024】
これら1)−7)の条件を満たすポリマーとして、ある種のフッ素系ポリマーが考えられる。しかしながら、フッ素系ポリマーは一般にフッ素系の溶媒以外には溶解せず、一方、フッ素系の溶媒には色素のような極性化合物は溶解しないため、フッ素系ポリマー中に希土類錯体を均一に分散することは困難である。
【0025】
【特許文献1】
特開2002−173622公報
【0026】
【特許文献2】
特開平11−80165号公報
【0027】
【特許文献3】
特開2000−63682号公報
【0028】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情に鑑み、希土類錯体及びフッ素系ポリマーをともに溶媒に溶解してなる、色純度、演色性、耐久性に優れたLED素子を提供する、LED素子の発光層形成用インク、及びLED素子を提供することを目的とする。
【0029】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明者らは、鋭意検討した結果、3環以上の縮合環およびこの誘導体を配位子として有する希土類錯体が、特定の分子構造を有するフッ素系ポリマーに分散できるとともに、これら希土類錯体及びフッ素系ポリマーが、フッ素置換溶媒とフッ素非置換溶媒の混合溶媒に溶解又は分散可能であることを見出し、本発明を成すに至った。
【0030】
即ち、本願発明は、3環以上の縮合環又はその誘導体を配位子として有する希土類錯体、及び水素原子の少なくとも一部がフッ素原子に置換されたフッ素系ポリマーを、水素原子の一部がフッ素原子に置換されたフッ素置換溶媒、及びフッ素原子を含まないフッ素非置換溶媒に、溶解又は分散してなり、前記フッ素系ポリマーが、下記に挙げるものであることを特徴とするLED素子の発光層形成用インクを提供する。
【0031】
以上のように構成される本発明のLED素子の発光層形成用インクでは、溶媒として、フッ素置換溶媒とフッ素非置換溶媒の混合溶媒を用いているため、希土類錯体とフッ素系ポリマーの双方が、十分に溶解又は分散されており、その結果、このインクを用いて発光層を形成することにより、色純度、演色性、耐久性に優れたLED素子を実現することが可能である。
【0032】
本発明のLED素子の発光層形成用インクに含まれる希土類錯体は、3環以上の縮合環又はその誘導体を配位子として有するものでなければならない。2環の縮合環又はその誘導体を配位子として有するものでは、十分な発光強度及び寿命のLED素子を得ることが出来ない。
【0033】
また、フッ素置換溶媒は、水素原子の一部がフッ素原子に置換されたものでなければならない。水素原子のすべてがフッ素原子に置換されたものでは、十分な発光強度のLED素子を得ることが出来ない。
【0034】
本発明に用いるフッ素非置換溶媒として、テトラヒドロフラン,アセトン、ジメチルスルホキシド、クロロホルム、ジクロロメタン、酢酸エチル、酢酸ブチル及びこれらの重水素置換体からなる群から選択される少なくとも1種を挙げることが出来る。
【0035】
また、本発明に用いるフッ素置換溶媒としては、例えば直鎖又は枝分かれ構造を有するアルカン又はアルケン等の水素原子の少なくとも一部がフッ素原子に置換されたものを用いることが出来る。
【0036】
本発明のLED素子の発光層形成用インクは、希土類錯体に加え、更に無機蛍光体微粒子を含んでもよい。
【0037】
本発明に用いるフッ素系ポリマーは、下記一般式(1)で表される分子構造を有するものであることが望ましい。
【0038】
【化8】
Figure 0004025259
【0039】
(式中、m,nは整数、Rf1,Rf2は分子構造中に少なくとも一つのフッ素原子を有する炭素数20以下の直鎖又は枝分かれ構造を有するアルキル基である。)
また、 本発明に用いるフッ素系ポリマーは、下記一般式(2)で表される分子構造を有するものであることが望ましい。
【0040】
【化9】
Figure 0004025259
【0041】
(式中、p,q は整数である。)
また、フッ素系ポリマーの例として、フルオロエチレン、フルオロプロピレン及びビニリデンフロライドを含むコポリマー、或いはフッ素含有エチレンビニールアセテートを挙げることが出来る。
【0042】
本発明において、希土類錯体は、フェナントロリン骨格を有する第1の配位子と、βジケトン骨格を有する第2の配位子を有するものであることが望ましい。
【0043】
或いは、希土類錯体は、下記式(3)により表される構造を有するものであることが望ましい。
【0044】
【化10】
Figure 0004025259
【0045】
(式中、Lnは希土類原子、R1及びR2は、同一又は異なる、炭素原子数20以下の直鎖若しくは枝分かれ構造を有するアルキル基又はアルコキシ基、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、ヘテロ環基、及びこれらの置換体からなる群から選ばれる基であり、R3ないしR8は、水素原子、重水素原子、炭素原子数20以下の直鎖若しくは枝分かれ構造を有するアルキル基又はアルコキシ基、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、ヘテロ環基、及びこれらの置換体からなる群から選ばれた基であり、r,sは0ないし3の整数であり、環A及びCはヘテロ環である。)
なお、希土類錯体の希土類原子は、ユーロピウム、テルビウム、及びエルビウムからなる群から選ばれた元素とすることが出来る。
【0046】
本発明の発光層形成用インクにおいて、フッ素置換溶媒とフッ素非置換溶媒の合計に対するフッ素置換溶媒の比率は、15重量%以上、90重量%以下であることが好ましい。溶媒全体に占めるフッ素系溶媒の比率が15重量%未満では、フッ素系ポリマーの溶解が困難となり、一方、90重量%を越えると、希土類錯体の溶解が困難となる。
【0047】
また、固形分の割合が2重量%以上、40重量%以下の範囲であることが好ましい。固形分の割合が2重量%未満では、溶媒の量が多すぎてLEDチップに対する発光層の成膜が困難になり、一方、40重量%を越えると、インクの粘度が大きくなり、やはり成膜が困難となる。
【0048】
また、フッ素系ポリマーに対する希土類錯体の割合が0.3重量%以上、80重量%以下であることが好ましい。希土類錯体の割合が0.3重量%未満では、十分な発光強度を得ることが困難となり、80重量%を越えると、平坦な薄膜を形成することが困難となる。
【0049】
また、本発明は、3環以上の縮合環又はその誘導体を配位子として有する希土類錯体が、下記一般式(1)で表される分子構造を有するポリマーと、下記一般式(2)で表される分子構造を有するポリマーと、フルオロエチレン、フルオロプロピレン及びビニリデンフロライドを含むコポリマーと、フッ素含有エチレンビニールアセテートからなる群から選ばれたフッ素系ポリマーに溶解または分散してなる発光層を具備するLED素子を提供する。
【0050】
【化11】
Figure 0004025259
【0051】
(式中、m,nは整数、Rf1,Rf2は分子構造中に少なくとも一つのフッ素原子を有する炭素数20以下の直鎖又は枝分かれ構造を有するアルキル基である。)
【化12】
Figure 0004025259
【0052】
(式中、p,q は整数である。)
なお、本発明にいう3環以上の縮合環の形状としては、直線状、「くの字」状、複数の「くの字」の組み合わせ、または隣接する環の2辺以上が接する平板状等が考えられる。
【0053】
本発明の発光層形成用インクは、これを例えばバーコード状に印刷することにより、可視光では視認できないが紫外光照射により鮮明に視認識できる所謂セキュリティーインクとして使用することができる。
【0054】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の種々の実施例及び比較例を示すが、本発明は、これら実施例によってなんら制限されるものではない。
【0055】
実施例1
上述した式(4)に示す希土類錯体と、上記式(1)の一例としてのフッ素系ポリマー(テフロンAF:商品名、デュポン社製)を、フッ素置換溶媒としてのフッ素系溶媒(バートレルXF:商品名、デュポン社製、直鎖状アルカンの水素原子の少なくとも一部がフッ素原子に置換されたもの)と、フッ素非置換溶媒としてのテトラヒドロフランの10:3混合溶媒に溶解し、インクを作成した。ここで、インクの固形分(乾燥した時に残存する成分)の割合は、2.5重量%であった。
【0056】
このようにして調製した溶液を、図1に示すように、LEDチップ1(発光波長:395nm、InGaN)を備えるセル内4に収容し、窒素雰囲気中で加熱乾燥して発光層2を形成して、LED素子3を製造した。図1において、参照符号5,6は、それぞれ電極端子である。
【0057】
このLED素子3について、LEDチップ1を発光させ、発光強度及び輝度半減寿命を測定した。発光強度及び輝度半減寿命は、LEDチップ1を20mA、3.43Vの条件で発光させ、積分球光度計を用いて測定した。発光強度は、光束(lm)又は光度(mcd)を用いて評価し、また、輝度半減寿命は、発光により輝度が半減する時間(h)を用いて評価した。
【0058】
その結果、良好なレッドの発光が得られ、下記表1に示すような測定値を得た。下記表1から明らかなように、本実施例に係るLED素子3によると、発光強度は良好であり、輝度半減寿命は30000時間と優れていた。
【0059】
比較例1
希土類錯体として下記式(6)に示す化合物を用いた以外は、実施例1と同様にしてLED素子を作成した。このLED素子について発光強度及び輝度半減寿命を測定したところ、下記表1に示すように、発光強度は、実施例1のLED素子を100とした場合に11と非常に低く、輝度半減寿命は5000時間と実施例1のLED素子に比べ大幅に減少した。
【0060】
このように発光強度が低いのは、式(6)に示す希土類錯体は遷移確率が小さく、吸光係数が小さいことが原因であると思われる。また、輝度半減寿命が短いのは、式(6)に示す希土類錯体に空気中の水が配位し、O−H結合による振動失活が生じたことが原因であると思われる。
【0061】
【化13】
Figure 0004025259
【0062】
比較例2
上述した式(4)に示す希土類錯体と、フッ素系ポリマー(テフロンAF:商品名、デュポン社製)を、フッ素置換溶媒としてのフッ素系溶媒(フロリナート:商品名、デュポン社製)と混合した。この混合物を窒素雰囲気下で加熱したが、溶解することはなく、微粒子分散状態であった。
【0063】
このようにして調製した分散液を用いて、実施例1と同様にしてLED素子を製造した。このLED素子について、LEDチップを発光させ、発光強度及び輝度半減寿命を測定したところ、下記表1に示すように、輝度半減寿命は25000時間と良好であったが、発光強度は、実施例1のLED素子を100とした場合に50と低いものであった。
【0064】
これは、希土類錯体がフッ素系ポリマー中で粒径が大きい凝集体として存在することが原因であると思われる。
【0065】
実施例2
フッ素系ポリマーとして、上記式(2)の一例であるサイトップ(商品名、旭硝子社製)を用いた以外は、実施例1と同様にしてLED素子を作成した。このLED素子について、LEDチップを発光させ、発光強度及び輝度半減寿命を測定したところ、下記表1に示すように、発光強度は、実施例1のLED素子を100とした場合に95であり、輝度半減寿命は25000時間と、いずれもやや低いが、実用上、ほぼ満足し得る結果を得た。
【0066】
実施例3
希土類錯体として、下記(7)に示す化合物を用いた以外は、実施例1と同様にしてLED素子を作成した。このLED素子について、LEDチップを発光させ、発光強度及び輝度半減寿命を測定したところ、下記表1に示すように、発光強度は、実施例1のLED素子を100とした場合に110と高く、輝度半減寿命も35000時間と、いずれも優れた結果を得た。
【0067】
【化14】
Figure 0004025259
【0068】
実施例4
実施例1で用いたレッドの希土類錯体と、グリーン(InGaN, 520 nm)及びブルー(InGaN, 450nm)の無機蛍光体を実施例1で用いたポリマーに分散し、実施例1と同様にして、有機―無機ハイブリッドタイプの白色LED素子を製造した。
【0069】
この白色LED素子について、実施例1と同様にして輝度半減寿命を測定したところ、下記表1に示すように、35000時間と優れた結果を得た。
【0070】
実施例5
希土類錯体として、下記(8)に示すエルビウム錯体を用いた以外は、実施例1と同様にしてLED素子を作成した。このLED素子について、LEDチップを発光させ、発光強度及び輝度半減寿命を測定したところ、下記表1に示すように、発光強度は105、輝度半減寿命は30000時間と、いずれも実施例1と同等の優れた結果を得た。
【0071】
【化15】
Figure 0004025259
【0072】
実施例6
希土類錯体として、下記式(9)に示すエルビウム錯体を用いた以外は、実施例1と同様にしてLED素子を作成した。このLED素子について、LEDチップを発光させ、発光強度及び輝度半減寿命を測定したところ、下記表1に示すように、発光強度は105、輝度半減寿命は30000時間と、いずれも実施例1と同等の優れた結果を得た。
【0073】
【化16】
Figure 0004025259
【0074】
実施例7
フッ素系ポリマーとして、フルオロエチレン、フルオロプロピレン及びビニリデンフロライドを含むコポリマーであるダイニオンTHV220(商品名、住友スリーエム株式会社製)を用い、フッ素非置換溶媒として酢酸エチルを用いる他は、実施例1と同様にしてLED素子を作成した。このLED素子について、LEDチップを発光させ、発光強度及び輝度半減寿命を測定したところ、下記表1に示すように、発光強度は120、輝度半減寿命は30000時間と、いずれも良好な結果を得た。
【0075】
実施例8
フッ素系ポリマーとして、フッ素含有エチレンビニールアセテートを用いた以外は、実施例1と同様にしてLED素子を作成した。このLED素子について、LEDチップを発光させ、発光強度及び輝度半減寿命を測定したところ、下記表1に示すように、発光強度は125、輝度半減寿命は25000時間と、いずれも良好な結果を得た。
【0076】
比較例3
希土類錯体として、下記式(10)に示す2環の縮合環を有するエルビウム錯体を用いた以外は、実施例1と同様にしてLED素子を作成した。このLED素子について発光強度及び輝度半減寿命を測定したところ、下記表1に示すように、発光強度は70と低く、輝度半減寿命は5000時間と実施例1のLED素子に比べ大幅に減少した。
【0077】
【化17】
Figure 0004025259
【0078】
【表1】
Figure 0004025259
【0079】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0080】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明によると、3環以上の縮合環又はその誘導体を配位子として有する希土類錯体と、水素原子のすべてまたは一部がフッ素原子に置換されたポリマーが、フッ素置換溶媒とフッ素非置換溶媒の混合溶媒に溶解又は分散されてなるインクが提供され、このインクで発光層を形成することにより、色純度、演色性、耐久性に優れたLED素子を実現することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係るLED素子の概略を示す図。
【符号の説明】
1・・・LEDチップ、2・・・発光媒体、3・・・LED素子、4・・・セル、5,6・・・電極端子。

Claims (13)

  1. 3環以上の縮合環又はその誘導体を配位子として有する希土類錯体、及び水素原子の少なくとも一部がフッ素原子に置換されたフッ素系ポリマーを、水素原子の一部がフッ素原子に置換されたフッ素置換溶媒、及びフッ素原子を含まないフッ素非置換溶媒に、溶解又は分散してなり、前記フッ素系ポリマーが、下記一般式(1)で表される分子構造を有することを特徴とするLED素子の発光層形成用インク。
    Figure 0004025259
    (式中、m,nは整数、Rf1,Rf2は分子構造中に少なくとも一つのフッ素原子を有する炭素数20以下の直鎖又は枝分かれ構造を有するアルキル基である。)
  2. 3環以上の縮合環又はその誘導体を配位子として有する希土類錯体、及び水素原子の少なくとも一部がフッ素原子に置換されたフッ素系ポリマーを、水素原子の一部がフッ素原子に置換されたフッ素置換溶媒、及びフッ素原子を含まないフッ素非置換溶媒に、溶解又は分散してなり、前記フッ素系ポリマーが、下記一般式(2)で表される分子構造を有することを特徴とするLED素子の発光層形成用インク。
    Figure 0004025259
    (式中、p,q は整数である。)
  3. 3環以上の縮合環又はその誘導体を配位子として有する希土類錯体、及び水素原子の少なくとも一部がフッ素原子に置換されたフッ素系ポリマーを、水素原子の一部がフッ素原子に置換されたフッ素置換溶媒、及びフッ素原子を含まないフッ素非置換溶媒に、溶解又は分散してなり、前記フッ素系ポリマーが、フルオロエチレン、フルオロプロピレン、及びビニリデンフロライドを含むコポリマーであることを特徴とするLED素子の発光層形成用インク。
  4. 3環以上の縮合環又はその誘導体を配位子として有する希土類錯体、及び水素原子の少なくとも一部がフッ素原子に置換されたフッ素系ポリマーを、水素原子の一部がフッ素原子に置換されたフッ素置換溶媒、及びフッ素原子を含まないフッ素非置換溶媒に、溶解又は分散してなり、前記フッ素系ポリマーが、フッ素含有エチレンビニールアセテートであることを特徴とするLED素子の発光層形成用インク。
  5. 前記フッ素非置換溶媒は、テトラヒドロフラン、アセトン、ジメチルスルホキシド、クロロホルム、ジクロロメタン、酢酸エチル、酢酸ブチル及びこれらの重水素置換体からなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のLED素子の発光層形成用インク。
  6. 無機蛍光体微粒子を更に含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のLED素子の発光層形成用インク。
  7. 前記希土類錯体が、フェナントロリン骨格を有する第1の配位子と、βジケトン骨格を有する第2の配位子を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のLED素子の発光層形成用インク。
  8. 前記希土類錯体が、下記式(3)により表される構造を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のLED素子の発光層形成用インク。
    Figure 0004025259
    (式中、Lnは希土類原子、R及びRは、同一又は異なる、炭素原子数20以下の直鎖若しくは枝分かれ構造を有するアルキル基又はアルコキシ基、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、ヘテロ環基、及びこれらの置換体からなる群から選ばれる基であり、RないしRは、水素原子、重水素原子、炭素原子数20以下の直鎖若しくは枝分かれ構造を有するアルキル基又はアルコキシ基、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、ヘテロ環基、及びこれらの置換体からなる群から選ばれた基であり、r,sは0ないし3の整数であり、環A及びCはヘテロ環である。)
  9. 前記希土類錯体の希土類元素が、ユーロピウム、テルビウム、及びエルビウムからなる群から選ばれた元素であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のLED素子の発光層形成用インク。
  10. 前記フッ素置換溶媒とフッ素非置換溶媒の合計に対する前記フッ素置換溶媒の比率が、15重量%以上、90重量%以下であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のLED素子の発光層形成用インク。
  11. 固形分の割合が2重量%以上、40重量%以下の範囲であり、かつ前記フッ素系ポリマーに対する前記希土類錯体の割合が0.3重量%以上、80重量%以下であることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載のLED素子の発光層形成用インク。
  12. 3環以上の縮合環又はその誘導体を配位子として有する希土類錯体が、下記一般式(1)で表される分子構造を有するポリマーと、下記一般式(2)で表される分子構造を有するポリマーと、フルオロエチレン、フルオロプロピレン及びビニリデンフロライドを含むコポリマーと、フッ素含有エチレンビニールアセテートとからなる群から選ばれたフッ素系ポリマーに溶解または分散してなる発光層を具備するLED素子。
    Figure 0004025259
    (式中、m,nは整数、Rf1,Rf2は分子構造中に少なくとも一つのフッ素原子を有する炭素数20以下の直鎖又は枝分かれ構造を有するアルキル基である。)
    Figure 0004025259
    (式中、p,q は整数である。)
  13. 前記希土類錯体及び無機蛍光体微粒子が、前記フッ素系ポリマーに溶解または分散してなる発光層を具備することを特徴とする請求項12に記載のLED素子。
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