JP4023882B2 - パンツ型の使い捨ておむつ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、パンツ型の使い捨ておむつに関し、更に詳細には、衛生的に廃棄処分を行うことができるパンツ型の使い捨ておむつに関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
パンツ型の使い捨ておむつとしては、液透過性の表面シートと、液不透過性の裏面シートと、両シート間に介在された吸収体とを具備し、腹側部の左右両側縁部と背側部の左右両側縁部とが接合固定されてなるものが広く用いられている。
そして、これらのパンツ型の使い捨ておむつにおいて、従来は、廃棄時におむつの固着を行うためのテープとして、長手方向に2つ折り又は3つ折りにされた粘着テープが設けられていた。
【0003】
しかし、このような廃棄テープが配されてなる従来のパンツ型の使い捨ておむつでは、おむつを縦方向に丸めることしかできず、横方向に丸めることができないため、おむつの側縁部側が開いて便等がはみ出したり、臭気が出たりすることがあり、衛生面において十分ではなかった。
また、このような2つ折り又は3つ折りにされた廃棄テープは、おむつの横方向に沿って貼付することもできるが、廃棄用として十分な長さを有する粘着テープを横方向に貼付した場合、基材が重ね合わされているために剛性が高くなり、おむつの伸縮性を大きく阻害する欠点がある。
また、上記廃棄テープでは、粘着テープをおむつサイド部に貼付した場合、着用者の手に当たりやすく、着用時に剥がれてしまったり、着用者である子供の目に付きやすくテープを剥がして遊んでしまう確率が多い。
また、上記廃棄テープでは、着用時に廃棄時に使用する粘着面が剥がれておむつの他の部分やズボン等に張り付いたりすることがあり、その際に、粘着面に糸くずやほこりなどが付着し、実際に使用する際に粘着力が低下してしまうことがある。
【0004】
従って、本発明の目的は、おむつの横方向についても確実に封止して、衛生面で十分な廃棄処理を行うことができ、また、おむつの伸縮性を阻害することがなく、廃棄時までテープの止着性能が低下することがない、廃棄テープを具備するパンツ型の使い捨ておむつを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解消すべく鋭意検討した結果、廃棄テープとしてメカニカルホックの凸部材を用いてなるパンツ型の使い捨ておむつが上記目的を達成しうることを知見した。
【0006】
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、液透過性の表面シートと、液不透過性の裏面シートと、両シート間に介在された吸収体とを具備し、腹側部の左右両側縁部と背側部の左右両側縁部とが接合固定されてなるパンツ型の使い捨ておむつにおいて、上記裏面シートの表面に、機械的ファスナーの凸部材を用いて形成されてなる廃棄用テープが配されており、上記廃棄用テープは、細帯状であり、おむつの背側部において、おむつの上下方向に沿って配されており、上記凸部材は、不織布からなるテープカバー部材により被覆されていることを特徴とするパンツ型の使い捨ておむつを提供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のパンツ型の使い捨ておむつについて更に詳述する。
図1は、本発明のパンツ型の使い捨ておむつの1形態を示す斜視図である。また、図2は、図1に示す廃棄テープの拡大斜視図であり、図3は、図2に示す廃棄テープの側面図である。また、図4は、本発明に用いられる廃棄テープの他の例を示す拡大斜視図である。また、図5は、図1に示す使い捨ておむつの廃棄時の態様を示す斜視図であり、図6は、図1に示すおむつの展開図である。また、図7及び図8は、本発明のパンツ型の使い捨ておむつの他の形態を示す斜視図である。
【0008】
図1に示す本形態のパンツ型の使い捨ておむつ1は、液透過性の表面シート2と、液不透過性の裏面シート3と、両シート間に介在された吸収体4(図6参照)とを具備し、腹側部Aの左右両側縁部A1,A2と背側部Bの左右両側縁部B1,B2とが接合固定されてなる。
このような構造は従来のパンツ型の使い捨ておむつと同じであり、上記表面シート2、上記裏面シート3及び上記吸収体の形成材料としては、通常、使い捨ておむつに用いられているものを特に制限なく用いることができる。
【0009】
而して、本形態の使い捨ておむつ1は、図1に示すように、上記裏面シート3の表面に、機械的ファスナーの凸部材11を用いて形成されてなる廃棄用テープ10が配されている。また、該廃棄用テープ10は、後述する一端縁部11aが上方に位置するように配されている。
【0010】
更に詳述すると、上記廃棄用テープ10は、細帯状であり、おむつの背側部Bの側縁部B1において、おむつの上下方向(ウエスト部5から股下部C方向に向かう方向、図1のD方向)に沿って配されている。
上記廃棄用テープ10は、図2に示すように、幅Dが0.5〜3cmであり、長さLが2〜6cmである。また、上記廃棄テープ10は、ウエスト部5側の端縁から2〜5cm(図1巾の距離d)の位置で且つおむつの側縁部における接合部8に隣接して設けられている。
また、上記廃棄テープ10は、上記裏面シート3の表面に接着剤により接着されて設けられている。尚、ヒートシールなどにより固着させて設けることもできる。
【0011】
また、上記廃棄テープ10について更に詳述すると、上記廃棄テープは、図2及び図3に示すように、凸部材11を具備してなり、該凸部材11は、テープカバー部材12により被覆されており、該テープカバー部材12は、凸部材11の1端縁部11aに連設されている。上記テープカバー部材12は、上記凸部材11の上面を被覆するカバー部12aと該凸部材11の他端縁11bよりも外方に延出されたタブ部12bとからなる。
また、上記凸部材11と上記テープカバー部材12とは、上記1端縁部11aにおいて、接着剤により固着されている。なお、ヒートシール等により固着することもできる。
【0012】
上記廃棄テープ10の形成材料について説明すると、上記凸部材11としては、通常、機械的ファスナーの凸部材として用いられるもの〔例えば「マジックテープ」(商品名、クラレ社製)〕を特に制限なく用いることができるが、廃棄テープ10の肌触りを考慮すると、3M社製「CS−200」(商品名)を用いるのが好ましい。
また、上記テープカバー部材12としては、不織布を用いることができ、具体的には、公知のスパンボンド不織布、ヒートロール不織布、エアースルー不織布又はスパンレース不織布等を用いることができる。
【0013】
また、上記廃棄テープ10としては、図4に示すように、テープカバー部材12が凸部材11の1側縁部11cに連設されてなる廃棄テープを用いることもできる。
【0014】
そして、本形態の使い捨ておむつ1は、下記の如くして用いることができる。
即ち、使用時においては通常のパンツ型の使い捨ておむつと同様に使用した後、廃棄時においては、おむつの接合部8を引き裂いておむつを脱がせ、脱がせたおむつをその腹側部A(廃棄テープが設けられていない側)から丸めて、図5に示すように、上記廃棄テープ10における上記テープカバー部材12をはがして上記凸部材11を露出させた後、上記廃棄テープ10が配されている側の側縁部B1を丸めたおむつ上に重ね合わせて凸部材11を露出させた状態で、さらに該廃棄テープ10に他方の側縁部B2を重ね合わせて、該廃棄テープ10によりおむつを丸めた状態で止着することにより封止し、廃棄処理することができる。
【0015】
また、本形態のパンツ型の使い捨ておむつにおいて、おむつの廃棄時に上記廃棄テープ10と当接させる部分(本形態においては背側部の左右両側縁部の表面シート側である内面、図6に示す斜線部分)は、不織布を用いて形成するのが好ましい。即ち、本形態においては、図6に示すように、おむつの内面が、おむつの幅方向中央部分において吸収体4を覆うように配された表面シート2と、該表面シート2の左右両側縁部からおむつの左右両側縁まで配されたサイドカバーシート6とからなっており、該サイドカバーシート6は、不織布により形成されている。そして、このサイドカバーシート6が、図5に示すように、廃棄時に上記廃棄用テープ10に当接される。
尚、パンツ型の使い捨ておむつの最外面(裏面シート3)を不織布で形成した場合には、接合部8を引き裂かずにそのまま脱がせたとしても、裏面シート3である不織布と廃棄テープ10とを当接させることによって、丸めた状態で、止着、廃棄処理することができる。
上記不織布としては、各種のものを用いることができるが、上記凸部材との組み合わせにおいて、その剪断力が300gf/cm以上となるものが好ましく用いられる。剪断力が300gf/cm未満であると、廃棄時におむつを丸めた後、おむつそのものの弾性に負けて開いてしまうことがあるので好ましくない。
また、上記不織布としては、その破断強度が400gf/cm以上であるのが好ましく、このような不織布としては、ヒートロール不織布、エアースルー不織布、スパンボンド不織布等がある。スパンレース不織布は、繊維が抜けることによって剪断力が小さくなるため好ましくないが、不織布破断強度が、1000gf/cm以上のものであれば用いることができる。
【0016】
ここで、上記剪断力及び上記破断強度は、それぞれ、下記の如くして測定されるものである。
<剪断力>
5cm×5cmの不織布のサンプルを両面テープで、アクリル板上に固定した後、1cm×1cmの凸部材を、その凸部が不織布に当接するように載置し、1kgのローラーを1往復させて凸部材と不織布とを係合させる。テンシロン引張試験機により、不織布を固定したアクリル板と凸部材とを反対方向(180°方向)に300mm/minで引っ張って両者が剥離する時の力を測定し、これを剪断力とした。
<破断強度>
幅5 cm、長さ20cmの不織布のサンプルの両端を、テンシロン引張試験機により、つかみ間距離15cmで300mm/minで引っ張って該サンプルが破断する時の力を測定し、これを破断強度とした。
【0017】
また、廃棄時において上記廃棄用テープと当接させる部位を形成する上記不織布としては、具体的には、公知のスパンボンド不織布、ヒートロール不織布、エアースルー不織布又はスパンレース不織布等が挙げられる。
【0018】
以下に、参考として、背側部左右両側縁部の内面を、下記の各種不織布を用いて形成してなり、且つ廃棄用テープの凸部材として「CS−200」を用いてなる、図1及び図6に示す形態のおむつを作成し、下記の試験「丸めた後の開き」について評価した。その結果を〔表1〕に示す。
【0019】
不織布:
▲1▼スパンレース不織布:構成繊維;ポリエチレンテレフタレート(PET)、坪量36g/m2
▲2▼エアースルー不織布:構成繊維;芯部ポリプロピレン(PP)、鞘部ポリエチレン(PE)の芯鞘構造の繊維、坪量24g/m2
▲3▼エアースルー不織布:構成繊維;芯部PET、鞘部PEの芯鞘構造の繊維、坪量24g/m2
▲4▼ヒートロール不織布:構成繊維;芯部PP、鞘部PEの芯鞘構造の繊維、坪量22g/m2
▲5▼ヒートロール不織布:構成繊維;芯部PET、鞘部PEの芯鞘構造の繊維、坪量22g/m2
▲6▼スパンボンド不織布:構成繊維;PP、坪量22g/m2
【0020】
丸めた後の開き:水を300cc吸収させたおむつを図5に示すように丸めて、封止した後、室温で放置し、凸部材と不織布がはずれて開いたものを×、凸部材と不織布が外れずに丸めた状態が維持されたものを○とした。
【0021】
【表1】
【0022】
本形態の使い捨ておむつ1においては、このように廃棄処理することができるので、衛生面で十分な形で、従来の廃棄用テープを有するおむつよりも小さくして廃棄処理することができる。また、廃棄テープ10が上述の如く凸部材11を用いて形成されているため、おむつの伸縮性を阻害することがなく、廃棄時までテープの止着性能が低下することがない。
更には、上述の如く、上記廃棄テープ10が上記テープカバー部材12を備えているため、特に風合いにも優れたものであり、廃棄用テープ10がおむつと、より一体化し、子供等の着用者に違和感を与えることがなく、廃棄テープで遊んでしまって剥がすこと等がない。更には、衣服等に凸部材が引っ掛かることも、上記テープカバー部材12を設けることにより抑制される。また、該テープカバー部材12が上述の如く固着されていると、余分なゴミが出ることもない。
【0023】
本形態の使い捨ておむつは、通常の使い捨ておむつと同様にしてパンツ型のおむつを作成した後、上記廃棄テープ10を接着剤を介するなどして所定位置に固着するなどして製造することができる。
【0024】
次いで、図7及び図8を参照して、本発明のパンツ型の使い捨ておむつの他の形態について説明する。
尚、特に詳述しない点については、上述した図1〜図5に示す形態においてした説明が適宜適用される。
【0027】
図7に示す形態の使い捨ておむつは、上記廃棄用テープ10が、細帯状であり、おむつの股下部Cの中央部において、おむつの上下方向に沿って配されている。
上記廃棄用テープ10の幅及び長さは、上述した形態の廃棄用テープと同様である。
【0028】
図8に示す形態の使い捨ておむつ1は、上記廃棄用テープ10が、長方形状であり、おむつの股下部Cの左右側縁部において、その長手方向がおむつの上下方向に沿うように配されている。
上記廃棄用テープ10は、幅Dが0.5〜3cmであり、長さLが1〜4cmである。
【0031】
尚、本発明の使い捨ておむつは、上述の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0032】
【発明の効果】
本発明のパンツ型の使い捨ておむつは、おむつの横方向についても確実に封止して、衛生面で十分な廃棄処理を行うことができ、また、おむつの伸縮性を阻害することがなく、廃棄時までテープの止着性能が低下することがない、廃棄テープを具備するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明のパンツ型の使い捨ておむつの1形態を示す斜視図である。
【図2】 図2は、図1に示す廃棄テープの拡大斜視図である。
【図3】 図3は、図2に示す廃棄テープの側面図である。
【図4】 図4は、本発明に用いられる廃棄テープの他の例を示す拡大斜視図である。
【図5】 図5は、図1に示す使い捨ておむつの廃棄時の態様を示す斜視図である。
【図6】 図6は、図1に示すパンツ型の使い捨ておむつの展開図である。
【図7】 図7は、本発明のパンツ型の使い捨ておむつの他の形態を示す斜視図である。
【図8】 図8は、本発明のパンツ型の使い捨ておむつの他の形態を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 使い捨ておむつ
2 表面シート
3 裏面シート
5 ウエスト部
10 廃棄用テープ
11 凸部材
12 テープカバー部材
A 腹側部
B 背側部
Claims (5)
- 液透過性の表面シートと、液不透過性の裏面シートと、両シート間に介在された吸収体とを具備し、腹側部の左右両側縁部と背側部の左右両側縁部とが接合固定されてなるパンツ型の使い捨ておむつにおいて、
上記裏面シートの表面に、機械的ファスナーの凸部材を用いて形成されてなる廃棄用テープが配されており、
上記廃棄用テープは、細帯状であり、おむつの背側部において、おむつの上下方向に沿って配されており、
上記凸部材は、不織布からなるテープカバー部材により被覆されていることを特徴とするパンツ型の使い捨ておむつ。 - 上記廃棄用テープは、おむつの背側部の側縁部に配されていることを特徴とする請求項1記載のパンツ型の使い捨ておむつ。
- 上記テープカバー部材は、上記凸部材の1端縁部又は1側縁部に連設されていることを特徴とする請求項1記載のパンツ型の使い捨ておむつ。
- 上記凸部材と上記テープカバー部材とは、上記凸部材の上記1端縁部において、接着剤により固着されていることを特徴とする請求項3記載のパンツ型の使い捨ておむつ。
- 上記テープカバー部材は、上記凸部材の上面を被覆するカバー部と該凸部材の他端縁よりも外方に延出されたタブ部とからなることを特徴とする請求項1記載のパンツ型の使い捨ておむつ。
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