JP4022736B2 - アクリルゴム組成物及び架橋物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、アクリルゴム組成物及びその架橋物、さらに詳しくは、シールやホースなどの材料として好適なアクリルゴム組成物及びその架橋物に関する。
【0002】
【従来の技術】
アクリルゴムは、耐熱性、耐油性などに優れているため、自動車関連の分野等において、シール、ホース、防振材、チューブ、あるいはベルトなどのように、金属やオイルなどと接触する部位に使用されるゴム部品の材料として広く用いられている。このようなアクリルゴムには、優れた耐熱性及び耐寒性と共に、圧縮永久ひずみが小さいことが求められているが、さらにこれらの性能と共に、金属を腐食させないこと、及び、より優れた耐油性が要望されるようになっている。
【0003】
また、未架橋のアクリルゴムは、バンバリーミキサーやロールなどで混練する際に、バンバリー内部の金属面やロール面に粘着し易く、回収率が低下したり、混練後のクリーニング等が必要となったりするため、金属面への粘着性を低下させることが求められている。
【0004】
さらに、アクリルゴムは、加工時に架橋反応が進行してしまう現象、いわゆるスコーチが起こる場合があるために、スコーチが起こらないことも求められている。
【0005】
金属を腐食させず、耐油性に優れた架橋物として、フマル酸モノ低級アルキルエステルを共重合したアクリルゴムに芳香族ジアミン架橋剤とグアニジン化合物架橋促進剤を配合した架橋性ゴム組成物を架橋したものが提案されている(特開平11−92614号公報)。この架橋性ゴム組成物は、耐熱老化性、耐寒性等には優れるが、耐劣化油性及びスコーチ安定性が不十分であり、金属面への粘着を起こす場合があった。
【0006】
また、アルコキシアクリレートと10〜15重量%のアクリロニトリルと必要量の架橋性モノマーとを共重合させたアクリルゴム組成物を自動車燃料用ホースとして用いると、耐サワーガソリン性、耐アミン性等を保持しつつ、燃料不透過性を向上できることが報告されている(特開2001−146540号公報)。しかし、この組成物は、耐寒性及び耐熱性が低下する問題があった。
【0007】
金属面への粘着を起こしにくくするため、アクリルゴムにエステル系ワックス、パラフィン系ワックス、有機カルボン酸金属塩、シリコーンオイルなど、内部離型剤を添加することが行なわれている。しかし、これらの内部離型剤を配合して架橋すると、圧縮永久ひずみが大きくなるなど架橋物の物性を低下させる問題があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、混練時に金属面に粘着せず、加工時にスコーチが起こらず、得られた架橋物が耐熱性、耐寒性、及び耐劣化油性に優れるアクリルゴム組成物を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を達成するために鋭意研究の結果、メタアクリロニトリルに由来する構造単位を含むカルボキシル基含有アクリルゴムに対して、特定の架橋剤と特定のアミン化合物を配合してなる組成物が、金属面に粘着せず、加工時にスコーチが起こらないこと、また、該組成物を架橋してなる架橋物が、耐熱性、耐寒性及び耐劣化油性に優れることを見出し、この知見に基づいて、本発明を完成するに至った。
【0010】
かくして、本発明によれば、
1.メタアクリロニトリル由来の構造単位を0.2〜25重量%含有するカルボキシル基含有アクリルゴム(A)100重量部に対し、多価アミン架橋剤(B)及びモノアミン化合物(C)をそれぞれ0.05〜20重量部含有してなるアクリルゴム組成物、
2.モノアミン化合物(C)のモル数(cm)と多価アミン架橋剤(B)のモル数(bm)との比率(cm/bm)が0.01〜10である請求項1記載のアクリルゴム組成物、
3.モノアミン化合物(C)が、脂肪族モノ二級アミン化合物と脂肪族モノ三級アミン化合物との組み合わせである上記1又は2記載のアクリルゴム組成物、
4.カルボキシル基含有アクリルゴム(A)が、アクリル酸エステル単量体(a)由来の構造単位を有し、該アクリル酸エステル単量体(a)由来の構造単位はアルキルアクリレート単量体及びアルコキシアルキルアクリレート単量体由来の構造単位を含み、該アクリル酸エステル単量体(a)由来の構造単位中、アルキルアクリレート単量体由来の構造単位量が30〜90重量%である上記1乃至3記載のアクリルゴム組成物。
5.多価アミン架橋剤(B)が、4 , 4’−ジアミノジフェニルエーテルである上記1乃至4記載のアクリルゴム組成物。
6.上記1乃至5記載のアクリルゴム組成物を架橋してなる架橋物、
7.シール材、ホース材、防振材、チューブ材、ベルト材又はブーツ材である上記6記載の架橋物、
がそれぞれ提供される。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明のアクリルゴム組成物は、メタアクリロニトリル由来の構造単位を0.1〜30重量%含有するカルボキシル基含有アクリルゴム(A)100重量部に対し、多価アミン架橋剤(B)及びモノアミン化合物(C)をそれぞれ0.05〜20重量部含有してなることを特徴とするものである。
【0012】
本発明において用いられるカルボキシル基含有アクリルゴム(A)は、アクリル酸エステル単量体(a)由来の構造単位及びカルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体(b)由来の構造単位からなる主構造単位を有し、さらにメタアクリロニトリル由来の構造単位を含有するものである。
カルボキシル基含有アクリルゴム(A)中のメタアクリロニトリル由来の構造単位の含有量は、好ましくは0.2〜25重量%、より好ましくは0.5〜20重量%、さらに好ましくは1〜10重量%である。カルボキシル基含有アクリルゴム(A)中のメタアクリロニトリル由来の構造単位の含有量が、0.1重量%未満であると該アクリルゴム(A)の加工時のスコーチ安定性及びこれを用いて得られる架橋物の耐劣化油性に劣り、30重量%を超えると前記架橋物の耐寒性、耐熱性に劣る。よって、カルボキシル基含有アクリルゴム(A)中のメタアクリロニトリル由来の構造単位の含有量が上記範囲にあると、アクリルゴム(A)の加工時のスコーチ安定性、これを用いて得られる架橋物の耐劣化油性、耐寒性、及び耐熱性に優れた架橋物が得られる。
【0013】
カルボキシル基含有アクリルゴム(A)のカルボキシル基含有量は、好ましくは5×10−4〜4×10−1ephr、より好ましくは2×10−3〜2×10−1ephr、特に好ましくは4×10−3〜1×10−1ephrである。カルボキシル基含有アクリルゴム(A)中のカルボキシル基含有量が少なすぎると十分に架橋しないため架橋物の形状維持ができない場合があり、逆に多すぎると架橋物が硬くなってゴム弾性を失う場合がある。
【0014】
上記カルボキシル基含有アクリルゴムは、アクリル酸エステル単量体(a)、カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体(b)及びメタアクリロニトリルと、必要に応じて用いられるこれらと共重合可能な単量体を含んでなる単量体混合物を、アクリルゴムの製造法として従来公知の方法、例えば、レドックス系触媒を用いて乳化重合する方法により得ることができる。
【0015】
アクリル酸エステル単量体(a)としては、アルキルアクリレート単量体のみ、あるいはアルキルアクリレート単量体とアルコキシアルキルアクリレート単量体とを併用して用いることができるが、アルキルアクリレート単量体とアルコキシアルキルアクリレート単量体とを併用して用いるのがより好ましい。
【0016】
アルキルアクリレート単量体としては、エステル基部分に炭素数1〜8のアルキル基を有するものが好ましく、具体的には、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシルなどが挙げられる。これらの中でも特にアクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチルが好ましい。
【0017】
アルコキシアルキルアクリレート単量体としては、エステル基部分に炭素数2〜8のアルコキシアルキル基を有するものが好ましく、具体的には、アクリル酸メトキシメチル、アクリル酸エトキシメチル、アクリル酸2−エトキシエチル、アクリル酸2−ブトキシエチル、アクリル酸2−メトキシエチル、アクリル酸2−プロポキシエチル、アクリル酸3−メトキシプロピル、アクリル酸4−メトキシブチルなどが挙げられる。これらの中でも特に、アクリル酸2−エトキシエチル、アクリル酸2−メトキシエチルが好ましい。
【0018】
アクリル酸エステル単量体(a)として、アルキルアクリレートとアルコキシアルキルアクリレートとを併用して用いる場合、カルボキシル基含有アクリルゴム(A)のアクリル酸エステル単量体(a)由来の構造単位中、アルキルアクリレート単量体由来の構造単位量が30〜90重量%であることが好ましく、40〜89重量%がより好ましく、45〜88重量%が特に好ましい。アルキルアクリレート単位が少なすぎると引張強度や伸びが劣る場合があり、逆に多すぎると耐寒性あるいは耐油性が劣る場合がある。
【0019】
カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体(b)としては、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸及びシトラコン酸などのカルボン酸単量体;マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノ−n−ブチル、フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、フマル酸モノ−n−ブチルなどのブテンジオン酸モノアルキルエステル単量体;などが挙げられる。カルボキシル基は無水カルボン酸基であってもよく、無水マレイン酸、無水シトラコン酸などの無水カルボン酸単量体も単量体(b)として用いることができる。これらの中でも、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノ−n−ブチル、フマル酸モノエチル、フマル酸モノ−n−ブチルが好ましい。
【0020】
カルボキシル基含有アクリルゴム(A)の、アクリル酸エステル単量体(a)由来の構造単位とカルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体(b)由来の構造単位とからなる主構造単位の合計量に対するアクリル酸エステル単量体(a)単位量は、好ましくは90〜99.9重量%、より好ましくは92〜99.7重量%、さらに好ましくは94〜99.5重量%であり、カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体(b)単位量は、好ましくは0.1〜10重量%、より好ましくは0.3〜8重量%、さらに好ましくは0.5〜6重量%である。主構造単位合計量に対するアクリル酸エステル単量体(a)単位量が少なすぎると架橋物の強度や伸びが劣り、逆に多すぎると十分に架橋しない場合がある。
【0021】
本発明において用いられるカルボキシル基含有アクリルゴム(A)は、上記主構造単位及びメタアクリロニトリル由来の構造単位以外に、これらと共重合可能な単量体単位を含有していてもよい。共重合可能な単量体としては、例えば、共役ジエン系単量体、非共役ジエン系単量体、芳香族ビニル単量体、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体(メタアクリロニトリルを除く)、アミド基含有(メタ)アクリル単量体、多官能性ジ(メタ)アクリル単量体、その他のオレフィン系単量体などが例示される。共役ジエン単量体としては、1,3−ブタジエン、ブタジエン、クロロプレン、ピペリレンなどが挙げられる。非共役ジエン単量体としては、1,2−ブタジエン、1,4−ペンタジエン、ジシクロペンタジエン、ノルボルネン、エチリデンノルボルネン、1,4−ヘキサジエン、ノルボルナジエンなどが挙げられる。芳香族ビニル単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼンなどが挙げられる。α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体としては、アクリロニトリルが例示される。アミド基含有(メタ)アクリル単量体としては、アクリルアミド、メタクリルアミドなどが挙げられる。多官能性ジ(メタ)アクリル単量体としては、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレートなどが挙げられる。その他のオレフィン系単量体としては、エチレン、プロピレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテルなどが挙げられる。
カルボキシル基含有アクリルゴム(A)中の上記の共重合可能な単量体の単位量は、本発明の目的を損なわない範囲であればよく、好ましくは0〜20重量%、より好ましくは0〜10重量%である。
【0022】
上記カルボキシル基含有アクリルゴム(A)のムーニー粘度(ML1+4、100℃)は、好ましくは10〜70、より好ましくは20〜60、特に好ましくは30〜50である。ムーニー粘度が小さすぎると成形加工性や架橋物の機械的強度が劣る場合があり、大きすぎると成形加工性が劣る場合がある。
【0023】
本発明のアクリルゴム組成物に用いる多価アミン架橋剤は、前述のカルボキシル基含有アクリルゴム(A)のカルボキシル基等と比較的容易に架橋構造を形成し得るアミン化合物である。該アミン化合物の中には、グアニジン化合物のように非共役な窒素−炭素二重結合を有するものは含まれない。このようなアミン化合物として、具体的には脂肪族多価アミン架橋剤、芳香族多価アミン架橋剤などが挙げられる。
脂肪族多価アミン架橋剤としては、ヘキサメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンカーバメイト、N,N’−ジシンナミリデン−1,6−ヘキサンジアミンなどが挙げられ、芳香族多価アミン架橋剤としては、4,4’−メチレンジアニリン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジアニリン、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジアニリン、2,2’−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、4,4’−ジアミノベンズアニリド、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、1,3,5−ベンゼントリアミン、1,3,5−ベンゼントリアミノメチルなどが挙げられる。
【0024】
多価アミン架橋剤の配合量は、カルボキシル基含有アクリルゴム100重量部に対し、0.05〜20重量部、好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.2〜7重量部、特に好ましくは0.3〜5重量部である。多価アミン架橋剤の配合量が少なすぎると架橋が十分に行われないため架橋物の形状維持が困難になり、多すぎると架橋物が硬くなりすぎ、架橋ゴムとしての弾性などが損なわれる。
【0025】
本発明のアクリルゴム組成物は、さらに架橋促進剤を配合して上記架橋剤に組み合わせて用いてもよい。上記架橋剤と組み合わせて用いることができる架橋促進剤も限定はないが、特に多価アミン架橋剤と組み合わせて用いることができる架橋促進剤としては、水中、25℃での塩基解離定数が10−12〜106であるものが好ましく、例えばグアニジン化合物、イミダゾール化合物、第四級オニウム塩、第三級ホスフィン化合物、弱酸のアルカリ金属塩などが挙げられる。グアニジン化合物としては、1,3−ジフェニルグアニジン、1,3−ジオルトトリルグアニジンなどが挙げられる。イミダゾール化合物としては、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾールなどが挙げられる。第四級オニウム塩としては、テトラn−ブチルアンモニウムブロマイド、オクタデシルトリn−ブチルアンモニウムブロマイドなどが挙げられる。多価第三級アミン化合物としては、トリエチレンジアミン、1,8−ジアザ−ビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7などが挙げられる。第三級ホスフィン化合物としては、トリフェニルホスフィン、トリ−p−トリルホスフィンなどが挙げられる。弱酸のアルカリ金属塩としては、ナトリウムまたはカリウムのリン酸塩、炭酸塩などの無機弱酸塩あるいはステアリン酸塩、ラウリル酸塩などの有機弱酸塩が挙げられる。
【0026】
カルボキシル基含有アクリルゴム(A)100重量部あたりの架橋促進剤の使用量は、好ましくは0.1〜20重量部、より好ましくは0.2〜15重量部、特に好ましくは0.3〜10重量部である。架橋促進剤が多すぎると、架橋時に架橋速度が早くなりすぎたり、架橋物の表面ヘの架橋促進剤のブルームが生じたり、架橋物が硬くなりすぎたりする場合がある。架橋促進剤が少なすぎると、架橋物の引張強さが著しく低下したり、熱負荷後の伸び変化または引張強さ変化が大きすぎたりする場合がある。
【0027】
本発明に用いるモノアミン化合物(C)としては、芳香族モノ一級アミン化合物、芳香族モノ二級アミン化合物、芳香族モノ三級アミン化合物、脂肪族モノ一級アミン化合物、脂肪族モノ二級アミン化合物、脂肪族モノ三級アミン化合物などが挙げられる。本発明においては、これらのモノアミン化合物を、単独で用いることも2種以上組み合わせて用いることもできるが、単独で用いる場合には、モノ一級アミン化合物(C−1)が好ましく、2種以上を組み合わせて用いる場合には、脂肪族モノ二級アミン化合物(C−2)と脂肪族モノ3級アミン化合物(C−3)とを組み合わせて用いるのが好ましい。
【0028】
本発明で用いることができるモノ一級アミン化合物(C−1)は、アンモニアの水素原子の一つを炭化水素基で置換した化合物であり、脂肪族モノ一級アミン、脂環族モノ一級アミン、芳香族モノ一級アミン、アミノアルコール、アミノオキソ化合物などが挙げられる。これらの中でも脂肪族モノ一級アミンが好ましく、特に炭素数8〜20の脂肪族モノ一級アミンがより好ましい。
脂肪族モノ一級アミンとしては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、t−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、セチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、オクタデシルアミン、アリルアミン、シス−2−ブテニルアミン、10−ウンデセニルアミン、トランス−2−オクタデセニルアミン、シス−9−オクタデセニルアミン、ノナデシルアミンなどが挙げられ、これらの中でも、オクチルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、テトラデシルアミン、セチルアミン、オクタデシルアミン、ノナデシルアミン、シス−9−オクタデセニルアミンなど炭素数8〜20の脂肪族モノ一級アミンが好ましい。脂環族モノ一級アミンとしては、シクロプロピルアミン、シクロブチルアミン、シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミンなどが挙げられる。芳香族モノ一級アミンとしては、アニリン、o−トルイジン、m−トルイジン、ベンジルアミン、α−ナフチルアミン、β−ナフチルアミンなどが挙げられる。アミノアルコールとしては、アミノエタノール、アミノプロパノール、D,L−アラニノール、2−アミノブチルアルコール、2−アミノ−2−メチルプロパノール、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2メチルプロパン−1,3−ジオール、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1−クロロ−3−アミノプロパン−2−オール、3−アミノ−1,2−プロパンジオール、2−アミン−1,3−プロパンジオールなどのアミノアルコールなどが挙げられる。アミノオキソ化合物としては、3−メトキシプロピルアミン、3−エトキシプロピルアミンなどが挙げられる。
【0029】
本発明で用いる脂肪族モノ二級アミン化合物(C−2)は、アンモニアの水素原子の二つを脂肪族炭化水素基で置換した化合物である。水素原子と置換する脂肪族炭化水素基は、好ましくは炭素数1〜30のものであり、より好ましくは炭素数8〜20のものである。具体的には、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジアリルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジ−t−ブチルアミン、ジ−sec−ブチルアミン、ジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、ジノニルアミン、ジデシルアミン、ジウンデシルアミン、ジドデシルアミン、ジトリデシルアミン、ジテトラデシルアミン、ジペンタデシルアミン、ジセチルアミン、ジ−2−エチルヘキシルアミン、ジオクタデシルアミン、ジ−シス−9−オクタデセニルアミン、ジノナデシルアミンが例示される。これらの中でも、ジオクチルアミン、ジデシルアミン、ジドデシルアミン、ジテトラデシルアミン、ジセチルアミン、ジオクタデシルアミン、ジ−シス−9−オクタデセニルアミン、ジノナデシルアミン、ジシクロヘキシルアミンなどが好ましい。
【0030】
また、本発明で用いる脂肪族モノ三級アミン化合物(C−3)は、アンモニアの三つ全ての水素原子を脂肪族炭化水素基で置換した化合物である。水素原子と置換する脂肪族炭化水素基は、好ましくは炭素数1〜30のものであり、より好ましくは炭素数1〜22のものである。具体的には、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリアリルアミン、トリイソプロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−t−ブチルアミン、トリ−sec−ブチルアミン、トリヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン、トリノニルアミン、トリデシルアミン、トリウンデシルアミン、トリドデシルアミン、トリトリデシルアミン、トリテトラデシルアミン、トリペンタデシルアミン、トリセチルアミン、トリ−2−エチルヘキシルアミン、トリオクタデシルアミン、トリ−シス−9−オクタデセニルアミン、トリノナデシルアミン、N,N−ジメチルデシルアミン、N,N−ジメチルドデシルアミン、N,N−ジメチルテトラデシルアミン、N,N−ジメチルセチルアミン、N,N−ジメチルオクタデシルアミン、N,N−ジメチルベヘニルアミン、N−メチルジデシルアミン、N−メチルジドデシルアミン、N−メチルジテトラデシルアミン、N−メチルジセチルアミン、N−メチルジオクタデシルアミン、N−メチルジベヘニルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミンなどが例示される。これらの中でも、N,N−ジメチルドデシルアミン、N,N−ジメチルテトラデシルアミン、N,N−ジメチルセチルアミン、N,N−ジメチルオクタデシルアミン、N,N−ジメチルベヘニルアミンなどが好ましい。
【0031】
本発明においては、上記モノアミン化合物を、単独でも2種以上を組み合わせて用いてもよい。いずれの場合においても、カルボキシル基含有アクリルゴム(A)100重量部に対する上記モノアミン化合物(C)の配合量は、合計0.05〜20重量部、好ましくは0.1〜10重量部である。特に、モノ一級アミンを単独で使用する場合には、好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.2〜5重量部であり、脂肪族モノ二級アミンと脂肪族モノ三級アミンを組み合わせて用いる場合には、合計量が好ましくは0.2〜10重量部、より好ましくは0.5〜7重量部である。モノアミン化合物の配合量が少なすぎるとアクリルゴム組成物の金属への粘着が大きくなって加工性に劣り、多すぎると架橋物表面にモノアミン化合物がブルーミングしたり、架橋物の強度が著しく低下したり、圧縮永久ひずみが大きくなったりする場合がある。
【0032】
また、モノアミン化合物(C)のモル数(cm)と多価アミン架橋剤(B)のモル数(bm)との比率(cm/bm)は、好ましくは0.01〜10、より好ましくは0.1〜9、さらに好ましくは0.2〜8である。(cm/bm)が小さすぎると、アクリルゴム組成物のスコーチ安定性が悪くなることにより加工が困難になり、逆に大きすぎると架橋密度が低下することにより耐熱性が悪化し、圧縮永久ひずみが大きくなる。よって、(cm/bm)が上記範囲にあると、スコーチ安定性、耐熱性及び圧縮永久ひずみ特性などに優れ好ましい。
【0033】
本発明のアクリルゴム組成物は、必要に応じて、補強材、充填剤、老化防止剤、光安定剤、可塑剤、加工助剤、滑剤、粘着剤、潤滑剤、難燃剤、防黴剤、帯電防止剤、着色剤などの添加剤を含有してもよい。
【0034】
また、アクリルゴム組成物は、必要に応じて、アクリルゴム(A)以外のゴム、エラストマー、樹脂などをさらに配合してもよい。例えば、天然ゴム、アクリルゴム(A)以外のアクリルゴム、ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴムなどのゴム;オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、塩化ビニル系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリシロキサン系エラストマーなどのエラストマー;ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂などの樹脂;などを配合することができる。
【0035】
本発明のアクリルゴム組成物の調製にあたっては、ロール混合、バンバリー混合、スクリュー混合、溶液混合などの適宜の混合方法が採用できる。配合順序は特に限定されないが、熱で反応や分解しにくい成分を充分に混合した後、熱で反応しやすい成分あるいは分解しやすい成分として、例えば架橋剤などを、反応や分解が起こらない温度で短時間に混合すればよい。
【0036】
アクリルゴム組成物の成形方法は、特に限定されない。圧縮成形、射出成形、トランスファー成形あるいは押出成形など、いずれの方法を用いることも可能である。また、架橋方法は、架橋物の形状などに応じて選択すればよく、成形と架橋を同時に行う方法、成形後に架橋を行う方法のいずれでもよい。
【0037】
本発明の架橋物は、架橋剤を含有する本発明のアクリルゴム組成物を加熱することにより得られる。加熱温度は、好ましくは130〜220℃以上、より好ましくは140℃〜200℃であり、架橋時間は好ましくは30秒〜5時間である。加熱方法としては、プレス加熱、蒸気加熱、オーブン加熱、熱風加熱などのゴムの架橋に用いられる方法を適宜選択すればよい。また、一度架橋した後に、架橋物の内部まで確実に架橋させるために、後架橋を行ってもよい。後架橋は、加熱方法、架橋温度、形状などにより異なるが、好ましくは1〜48時間行う。加熱方法、加熱温度は適宜選択すればよい。
【0038】
本発明のアクリルゴム組成物は、混練等に金属への粘着がなく、加工時のスコーチ安定性に優れ、かつ架橋後の耐熱性、耐寒性及び耐劣化油性に優れる。したがって、該アクリルゴム組成物を架橋してなる本発明の架橋物は、これらの特性を活かして、シール、ホース、防振材、チューブ、ベルト、ブーツなどのゴム部品の材料として広い範囲で好適に使用できる。
【0039】
【実施例】
以下に実施例、比較例を挙げて、本発明を具体的に説明する。これらの例中の〔部〕及び〔%〕は、特に断わりのない限り重量基準である。ただし本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。
【0040】
アクリルゴムのムーニー粘度は、JIS K6300に従って、100℃で測定した。
その他の各種の物性の測定は、下記の方法に従って行った。
【0041】
(1)金属面への粘着性
SUS表面をクロムメッキした金属板に1cm×3cm×0.8cmの未架橋の架橋性ゴム組成物試験片を密着させ、70℃、5分間の3MPaのプレスを行った後、金属板と試験片を引き離すのに要する応力を測定した。応力値が低いほど、金属面に粘着しにくいことを示す。
【0042】
(2)スコーチ安定性
ムーニースコーチ時間(t5)を、JIS K6300に従って125℃で測定した。ムーニースコーチ時間t5の値が大きいほど、スコーチ安定性に優れる。
【0043】
(3)耐劣化油性
JIS K6258に従った装置を用いた。試験油として、市販のSJ級エンジンオイルを使用し、オイルの劣化を促進させるために試験容器中に空気を150cc/分の割合で混入させつづけた。この状態で試験油中に試験片を浸漬させて150℃の環境下で70時間放置し、試験片を取り出した後、その表面硬度をJIS K6251に従い測定した。硬さ変化が小さいほど耐劣化油性に優れる。
【0044】
(4)耐熱性
先ず、常態物性として、JIS K6251の引張試験に従って破断伸び(伸び)を、JIS K6253の硬さ試験に従って硬さをそれぞれ測定する。次いで、JIS K6257に従い、175℃の環境下で70時間の空気加熱老化を行い、再度伸び及び硬度を測定し、引張伸び変化量及び硬さ変化量を測定した。これらの変化量が0に近いほど耐熱性に優れる。
【0045】
(5)耐寒性
JIS K6261に従い、低温ねじり試験を行い、ゲーマンT10値(ゴムの比弾性率が10になる温度)を測定した。
【0046】
上記(3)〜(5)の試験は、ゴム組成物を170℃、20分間のプレスによって成形、架橋し、15cm×15cm×2mmの試験片を作製し、さらに後架橋のために170℃に4時間放置して作成したシートを所定の形状に打ち抜いた試験片を用いて行った。
【0047】
さらに、補足的に以下の特性も併せて評価した。また、常態物性として上記引張試験法により破断強度(引張強度)も測定した。
(6)圧縮永久ひずみ
Oリングを成形して25%圧縮させた後、175℃の環境下で70時間放置した後、圧縮を解放し、温度23℃、湿度50%の環境下で30分間放置し、圧縮永久ひずみ率を測定した。
【0048】
(7)金属に対する腐食性
銅および真鍮の2種類の金属板を用意し、これらの金属板に試験片を密着させ、温度40℃、湿度80%の環境下で一週間放置し、腐食面積の占める割合を測定し、腐食面積が10%以上を占めるものを腐食あり、10%未満のものを腐食なしと判定した。試験片は上記(3)〜(5)に用いたものと同様のシートを使用した。
【0049】
実施例1
アクリルゴムA(アクリル酸エチル単位含有量43%、アクリル酸n−ブチル単位含有量30%、アクリル酸2−メトキシエチル単位含有量20%、メタアクリロニトリル単位含有量5%、マレイン酸モノ−n−ブチル単位含有量2%(単量体(a)単位含有量95%、単量体(b)単位5%、単量体(a)単位に対するアクリルアクリレート単位含有量85.3%)、カルボキシル基含有量9×10−3ephr、ムーニー粘度(ML1+4、100℃)35)100部、カーボンブラック(ASTM D1765による分類;N550)60部、ステアリン酸(カーボンブラックの分散剤、軟化剤)2部および4,4’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン(老化防止剤)2部を50℃にてバンバリーで混練し、その後、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(架橋剤、芳香族二価一級アミン化合物)0.5部、ジ−o−トリルグアニジン2部およびオクタデシルアミン(脂肪族モノ一級アミン化合物)0.5部を加えて、40℃にてオープンロールで混練して、架橋性アクリルゴム組成物を調製した。
【0050】
この架橋性アクリルゴム組成物を用いて、ムーニースコーチ時間及びコンパウンド粘着性試験を実施した。さらにこの架橋性アクリルゴム組成物を、上記記載の条件によりプレス、架橋、後架橋して作成した試験片を用いて、架橋物の引張強度、伸び、硬さ、耐熱性、耐寒性、耐劣化油性、及び金属に対する腐食性を測定して評価した。また、架橋性アクリルゴム組成物を170℃、20分間の10MPaのプレスによって成形、架橋し、さらに後架橋のために、170℃に4時間放置し、径3.1mmのOリングを作成し、架橋物の圧縮永久ひずみを評価した。結果を表1に示す。
【0051】
実施例2
オクタデシルアミンを、ジドデシルアミン(脂肪族モノ二級アミン化合物)2部及びN,N−ジメチルオクタデシルアミン(脂肪族モノ三級アミン化合物)2部に変えたこと以外は実施例1と同様にアクリルゴム組成物を製造し、実施例1同様に各物性を評価した。結果を表1に示す。
【0052】
比較例1
オクタデシルアミンを使用しない以外は実施例1と同様にアクリルゴム組成物を製造し、実施例1同様に各物性を評価した。結果を表1に示す。
【0053】
比較例2
メタアクリロニトリル基を含有するアクリルゴムAの代わりにメタアクリロニトリル由来の構造単位を含有しないアクリルゴムB(アクリル酸エチル単位含有量48%、アクリル酸n−ブチル単位含有量30%、アクリル酸2−メトキシエチル単位含有量20%、マレイン酸モノ−n−ブチル単位含有量2%、カルボキシル基含有量9×10−3ephr、ムーニー粘度(ML1+4、100℃)35)を用いた以外は、実施例1と同様にアクリルゴム組成物を製造し、実施例1同様に各物性を評価した。結果を表1に示す。
【0054】
比較例3
メタアクリロニトリル基を含有するアクリルゴムAの代わりにアクリロニトリル基を含有するアクリルゴムC(アクリル酸エチル単位含有量43%、アクリル酸n−ブチル単位含有量30%、アクリル酸2−メトキシエチル単位含有量20%、アクリロニトリル単位含有量5%、マレイン酸モノ−n−ブチル単位含有量2%、カルボキシル基含有量9×10−3ephr、ムーニー粘度(ML1+4、100℃)35)を用いた以外は実施例1と同様にアクリルゴム組成物を製造し、実施例1同様に各物性を評価した。結果を表1に示す。
【0055】
比較例4
多価アミン系架橋剤(4,4’−ジアミノジフェニルエーテル)及び架橋促進剤(ジ−o−トリルグアニジン)を用いずに、代わりに2,4,6−トリメルカプト−s−トリアジン(架橋剤)0.5部とジブチルジチオカルバミン酸亜鉛(架橋促進剤)1.5部とを用い、アクリルゴムAの代わりにアクリルゴムD(アクリル酸エチル単位含有量42.5%、アクリル酸n−ブチル単位含有量30%、アクリル酸2−メトキシエチル単位含有量20%、クロロ酢酸ビニル単位含有量2.5%、ムーニー粘度(ML1+4、100℃)35)を用い、モノアミン化合物を配合しなかった以外は実施例1と同様にアクリルゴム組成物を製造し、実施例1同様に各物性を評価した。結果を表1に示す。
【0056】
比較例5
多価アミン系架橋剤(4,4’−ジアミノジフェニルエーテル)及び架橋促進剤(ジ−o−トリルグアニジン)を用いずに、代わりに2,4,6−トリメルカプト−s−トリアジン(架橋剤)0.5部とジブチルジチオカルバミン酸亜鉛(架橋促進剤)1.5部とを用いた以外は実施例1と同様にアクリルゴム組成物を製造したが、架橋が殆ど進行せず、上記各物性を測定するに値しないものであった。
【0057】
尚、上記に用いたアクリルゴムA〜Dの組成を表2に示す。
【0058】
【表1】
【0059】
【表2】
【0060】
以上、実施例、比較例によれば、モノアミン化合物を配合していないアクリルゴム組成物は、スコーチ安定性に劣り、金属への粘着性が大きく加工性に劣る(比較例1)。メタアクリロニトリルを含有しないアクリルゴムを使用した組成物は、スコーチ安定性に劣り、耐劣化油評価後の硬さ変化が大きい(比較例2)。メタアクリロニトリルの代わりにアクリロニトリルを共重合させたアクリルゴムを用いた組成物は、スコーチ安定性に劣る。また、その架橋物は、耐熱老化性や耐劣化油性が悪化している(比較例3)。さらに、多価アミン系架橋剤を用いない場合には、それに代えて用いた他の架橋剤に最適な組成のアクリルゴムを組み合わせても、金属面に粘着しやすく、得られた架橋物は、圧縮永久ひずみが大きく、金属が腐食する(比較例4)、また、架橋剤及び架橋促進剤を多価アミン系架橋剤とグアニジン以外の組み合わせに代えただけのものは、架橋反応自体が十分進行せず、架橋物として使用できるレベルではなかった(比較例5)。
【0061】
これらに対し、本発明の架橋性アクリルゴム組成物は、金属面に粘着しにくく、スコーチが起こりにくく、かつ架橋後の耐劣化油性に優れ、金属を腐食させない(実施例1〜2)。
【0062】
【発明の効果】
以上本発明によれば、混練等に金属への粘着がなく、加工時にスコーチが起こらず、かつ架橋後の耐熱性、耐寒性及び耐劣化油性に優れる。したがって、これらの特性を活かして、シール、ホース、防振材、チューブ、ベルト、ブーツなどのゴム部品の材料として広い範囲で好適に使用できる。
Claims (7)
- メタアクリロニトリル由来の構造単位を0.2〜25重量%含有するカルボキシル基含有アクリルゴム(A)100重量部に対し、多価アミン架橋剤(B)及びモノアミン化合物(C)をそれぞれ0.05〜20重量部含有してなるアクリルゴム組成物。
- モノアミン化合物(C)のモル数(cm)と多価アミン架橋剤(B)のモル数(bm)との比率(cm/bm)が0.01〜10である請求項1記載のアクリルゴム組成物。
- モノアミン化合物(C)が、脂肪族モノ二級アミン化合物と脂肪族モノ三級アミン化合物との組み合わせである請求項1又は2記載のアクリルゴム組成物。
- カルボキシル基含有アクリルゴム(A)が、アクリル酸エステル単量体(a)由来の構造単位を有し、該アクリル酸エステル単量体(a)由来の構造単位はアルキルアクリレート単量体及びアルコキシアルキルアクリレート単量体由来の構造単位を含み、該アクリル酸エステル単量体(a)由来の構造単位中、アルキルアクリレート単量体由来の構造単位量が30〜90重量%である請求項1乃至3記載のアクリルゴム組成物。
- 多価アミン架橋剤(B)が、4 , 4’−ジアミノジフェニルエーテルである請求項1乃至4記載のアクリルゴム組成物。
- 請求項1乃至5記載のアクリルゴム組成物を架橋してなる架橋物。
- シール材、ホース材、防振材、チューブ材、ベルト材又はブーツ材である請求項6記載の架橋物。
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