JP4020638B2 - 走査型レーザ顕微鏡システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は標本にレーザ光を走査し、標本の画像を得る走査型レーザ顕微鏡システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
今日、生体標本を蛍光色素等で標識し、励起光の走査によって標本から発する蛍光を顕微鏡で観察する走査型レーザ顕微鏡が注目されている。このような走査型レーザ顕微鏡を用いて生体標本の観察を行う場合、例えば標本に対してXY面の走査を行い、得られたXY二次元層面をZ方向に順次積層し、標本の三次元画像を生成し、CRTモニタ上に三次元の立体画像を表示して観察を行っている。
【0003】
また、特に標本内の部分的な情報、例えば標本に含まれる細胞等の樹状情報を得る場合、上記三次元画像からXY二次元画像を作成し、作成したXY二次元画像をモニタ画面に表示し、表示したモニタ画面上で対応する経路をマウス等の入力装置を使用してなぞり、手動操作によって必要なデータを得ている。尚、図10は従来の二次元断面像の概略図である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の方法ではXY二次元画像上での手動操作であり、標本に含まれる細胞等の樹状情報を得るためには、得られた二次元情報を三次元情報に変換しなければならず、標本の厚さ方向(Z方向)にデータを蓄積する必要がある。この為、処理に時間を要する。
【0005】
また、モニタ画面を見ながらマウス等の入力機器を使用して、樹状の経路をなぞる操作は、相当に訓練を要する操作であり、正確なデータを得ることが難しい。
本発明は上記のような実情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、生きた生物標本等の局所的な部分の情報を高速に取得できるようにするものであり、更に標本観察を行うための設定を容易に行うことができる走査型レーザ顕微鏡システム、及び該システムの処理方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、立体標本に対してレーザ光を照射し、該標本の三次元画像情報を取得する画像情報取得手段と、該画像情報取得手段によって取得した標本の三次元画像情報から蛍光標識された前記標本内部にあって蛍光を発する線状の観察対象物の形状である基線経路曲線を演算する演算手段と、該演算手段によって得られた基線経路曲線に沿って走査を行い、単一波長又は複数波長の光輝度情報を取得する光輝度情報取得手段とを備えることを特徴とする走査型レーザ顕微鏡システムを提供するものである。
【0007】
このような構成とすれば、作成した標本の三次元画像情報から、例えばXY面、YZ面、XZ面の中の少なくとも2面に投影した二次元データを使用し、該二次元データから標本に含まれる、例えば神経細胞等の基線経路曲線を直接演算して得ることができ、基線経路曲線の最適な作成処理を容易に行うことができる。
【0008】
また、得られた基線経路曲線をメモリ等に記憶し、必要に応じてメモリから読み出して基線経路曲線に沿った走査を行うことによって、例えば生きた生物標本に含まれる局所的な細胞の観察を高速に行うことができる。
請求項2の記載は、上記請求項1記載の発明において、前記演算手段による基線経路曲線の演算は、取得した前記標本の三次元画像情報からXY面、YZ面、XZ面の中の少なくとも2面に投影した二次元データを作成し、該作成された二次元データに含まれる高い輝度値データの連続した座標を検出し、演算することによって得られることを特徴とする。
【0009】
このような構成とすれば、三次元画像データに含まれる神経細胞等の基幹部分は、輝度が高く、容易に基線経路曲線を得ることができる。したがって、より容易に基線経路曲線のデータを得、この基線経路曲線データを利用して神経細胞等の標本の特性を高速に知ることができる。
【0010】
請求項3の記載は、上記請求項1、又は2の記載において、前記基線経路曲線の走査経路は、徐々にオフセットして複数回走査する、束ねられた肉太状の経路であることを特徴とする。
このような構成とすれば、例え基線経路曲線が極めて細い場合でも経路を外すことがなく、また観察の対象が標本内で移動した場合でも、基線経路曲線を外すことなく走査することができる。
【0011】
請求項5記載の発明は、立体標本に対してレーザ光を照射し、該標本の三次元画像情報を取得する処理と、取得した前記標本の三次元画像情報からXY面、YZ面、XZ面の中の少なくとも2面に投影した二次元データを作成する処理と、該処理によって作成された二次元データに基づいて蛍光標識された前記標本内部にあって蛍光を発する線状の観察対象物の形状である基線経路曲線を演算する処理と、該基線経路曲線に沿って走査を行い、単一波長又は複数波長の光輝度情報を取得する処理とを行うことを特徴とするレーザ顕微鏡システムにおける処理方法を提供するものである。
【0012】
本発明は走査型レーザ顕微鏡システムの処理方法の発明であり、このような構成としても、作成した標本の三次元画像情報からXY面、YZ面、XZ面の中の少なくとも2面に投影した二次元データを生成し、該二次元データから標本に含まれる、例えば神経細胞等の主幹を演算し、基線経路曲線を得ることができ、生きた生物標本等に含まれる局所的な観察を高速で行うことができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施の形態に係る走査型レーザ顕微鏡システムについて図面を参照して説明する。
【0014】
図1は、本発明の実施形態を説明する走査型レーザ顕微鏡システムのシステム構成図である。尚、本システムで使用する顕微鏡は走査型共焦点レーザ顕微鏡である。
同図において、本システムは励起光源1、顕微鏡本体2、焦点位置制御部3、演算装置4、及び表示装置5で構成されている。励起光源1は所定波長λ1 の励起光を出力する装置であり、励起光源1から出力される励起光はシャッタ1aの開駆動に従って顕微鏡本体2内のビームエクスパンダ2aに照射される。尚、ビームエクスパンダ2aは励起光源1から出力される励起光のビーム幅を広げる機能を有し、ビームエクスパンダ2aによってビーム幅が広げられた励起光はダイクロイックミラー6に照射される。
【0015】
顕微鏡本体2には、上記ダイクロイックミラー6、及び偏光素子7x、7y、対物レンズ8、Z軸アクチュエータ9、光電検出器10等が配設され、上記励起光源1から出力された励起光はダイクロイックミラー6によって反射し、偏光素子7x、7y によって照射位置が制御される。偏光素子7x には焦点位置制御部3からX方向の位置情報が入力し、偏光素子7y には焦点位置制御部3からY方向の位置情報が入力し、励起光は上記偏光素子7x 、7y によって位置制御され、対物レンズ8に入射する。
【0016】
対物レンズ8はZ軸アクチュエータ9に取り付けられ、焦点位置制御部3から供給される位置情報に従って、Z方向の照射位置が制御される。したがって、対物レンズ8に入射した励起光は、上記各位置情報に従って標本11の焦点位置に照射される。また、励起光が照射された標本11の位置から蛍光が出力される。この蛍光は、上記と逆の経路を辿ってダイクロイックミラー6に達し、ダイクロイックミラー6を透過し、共焦点レンズ12によって共焦点ピンホール13に集光し、フィルタ14を透過して光電検出器10に達する。尚、フィルタ14はλ1 の波長を除去するフィルタであり、前述の励起光を完全に遮断する。
【0017】
光電検出器10は標本11から出力された蛍光を検出し、光電変換を行い、蛍光の強さに対応する電気信号を演算装置4に出力する。演算装置4では光電検出器10から供給される電気信号に従って画像形成を行い、形成した画像データを表示装置5に送り、表示装置5に標本11の画像表示を行う。また、マウス15は表示装置5に表示されるカーソル位置の指定等に使用される。尚、上記演算装置4と表示装置5はパーソナルコンピュータPCで構成できる。
【0018】
また、演算装置4は内部にCPU、ROM、RAM、EEPROM等を備え、例えばROMに記憶したプログラムに従ってCPUを制御し、焦点位置制御部3に位置情報を送る。また、表示装置5に画像情報を送り各種画像の表示指示を行う。また、EEPROMには後述する処理によって得られる基線経路曲線データが記憶され、EEPROMに記憶された上記データは焦点位置制御部3に出力され、後述する走査に使用される。
【0019】
焦点位置制御部3は上記演算装置4から供給される位置情報によって焦点位置の制御を行い、出力Xから前述の偏光素子7x にX方向の位置情報を出力し、出力Yから偏光素子7y にY方向の位置情報を出力し、出力ZからZ軸アクチュエータ9にZ方向の位置情報を出力する。
【0020】
次に、上記構成において、本実施形態の処理動作を説明する。
図2は本実施形態の処理動作を説明する図である。本実施形態の処理は、先ず像取得処理を行い(図2に示す(a))、取得した三次元画像に基づいてXY面とYZ面、又はYZ面とXZ面、又はXY面とXZ面に投影した画像データを作成して基線経路曲線(f(x,y,z))を抽出し(同図(b))、演算装置4のメモリ(EEPROM)に記憶する(同図(c))。その後、メモリに記憶した基線経路曲線に従ってLSM(レーザスキャニングマイクロスコープ)走査を行い(同図(d))、上記基線経路曲線に従って走査された結果得られる蛍光データを取得し(同図(e))、表示装置5に表示する(同図(f))。
【0021】
以下、図3に示すフローチャートに従って具体的な処理を説明する。尚、この処理を行う際、蛍光色素等を標本11に導入し、予め標本11内の対象を標識しておく。
先ず、像取得処理を行う(上記図2に示す(a))。この処理は、焦点位置制御部3にXYZの初期位置情報(例えば、XYZを(1,1,1))を設定し(ステップ(以下、STで示す)1)、この位置情報に従って偏光素子7x、7y、Z軸アクチュエータ9の初期位置を設定する。
【0022】
次に、励起光源1から励起光を出力し、前述の光経路を経て標本11に励起光を照射し、標本11から発せられる蛍光を検出する(ST2)。この検出データは、前述のように光電検出器10から演算装置4に送られる。
次に、X方向への走査が全て完了したか判断する(ST3)。最初のこの判断(ST3)はNOであり、偏光素子7x をX方向に+1移動し(ST4)、標本11に励起光を照射し、標本11からの蛍光を検出する(ST2)。以後、X方向走査が全て完了するまで上記処理を繰り返し、標本11から発せられる蛍光を光電検出器10で順次検出し、演算装置4に送る(ST2〜ST4)。
【0023】
その後、X方向の走査が完了すると(ST3がYES)、偏光素子7y をY方向に+1移動し(ST5)、Y方向への走査が全て完了したか判断する(ST6)。この場合も最初の判断(ST6)はNOであり、処理(ST2)に戻って上記蛍光の検出処理を繰り返す(ST2〜ST6)。すなわち、前述と同様、X方向の走査を順次行い、X方向の走査が完了すると、Y方向に+1移動し(ST3がYES、ST5)、この処理を繰り返す。
【0024】
その後、Y方向の走査が完了すると(ST6がYES)、Z軸アクチュエータ9を駆動し、Z方向に+1し(ST7)、上記と同じ走査を繰り返す(ST8がNO、ST2〜ST8)。そして、Z方向への走査が完了すると(ST8がYES)、演算装置4への標本11の全情報の入力も完了し、演算装置4では入力した情報を基に、標本11の三次元画像を作成し、表示装置5に表示する(ST9)。尚、図4は上記処理によって得られた標本11の三次元画像の例である。また、同図に示すa、b、c、dの各位置は標本11内の対象(例えば、神経細胞)の各位置を示す。
【0025】
次に、基線経路曲線(f(x,y,z))の作成処理を行う(上記図2に示す(b))。この処理は、上記像取得処理によって得られた三次元画像から主幹ラインを抽出する処理であり、例えば得られた三次元画像が神経細胞を含む標本11の画像情報であれば、含まれる神経細胞の主幹ラインを抽出する処理である。この場合、先ず図5に示すように得られた三次元画像をXY面に重ねて投影し、XY二次元データを得る(ST10)。同様に、三次元画像をYZ面に重ねて投影し、YZ二次元データを得る(ST11)。例えば、図5に▲1▼で示す三次元画像情報を、▲2▼で示すXY面に投影してXY二次元データを得、更に▲3▼で示すYZ面に投影してYZ二次元データを得る。
【0026】
但し、上記▲2▼、▲3▼の画像では、主幹の経路のみを示すが、実際には主幹から枝分かれした細かいラインが存在する。本例では上記主幹は太く輝度も高いので、輝度によってフィルタをかけ主幹の経路を抽出する。
この為、先ず上記XY二次元データについて、画素毎のX座標をXi(i=1、2、3、・・・)とし、画素毎のY座標をYi(i=1、2、3、・・・)とする。次に、Xi 毎の輝度値の高い点のY座標を抽出し、Xi に対応するY座標をメモリに格納する。すなわち、X座標X1 から順次輝度値の高い点のY座標を抽出する。例えば、図5に示す▲2▼の例で説明すると、先ずX1 において輝度値の高いY座標を抽出して例えばYaを得、X2 において輝度値の高いY座標Ybを得、X3 において輝度値の高いY座標Ycを得、更にX4 において輝度値の高いY座標Yd を得る。以下、同様に処理を行い、輝度の高いY座標を順次抽出する。
【0027】
このようにして抽出したデータは、X座標毎に輝度値の高いY座標のデータであり、演算装置4内の例えばRAMに一旦格納する。ここで、図6(a)は上記処理によって得られるXY二次元データの例である。尚、この場合、同図(a)に示すように完全に主幹からの枝分かれが除去されておらず、また不連続で走査が不能な座標データである可能性がある。そこで、演算装置4において近似化処理を行い、例えば同図(b)に示す連続走査可能な曲線f(x,y)を得る。
【0028】
次に、同様にしてYZ二次元データを生成する。すなわち、画素毎のY座標をYi(i=1、2、3、・・・)とし、画素毎のZ座標をZi(i=1、2、3、・・・)とし、Yi 毎の輝度値の高い点のZ座標を演算し、Yi に対応するZ座標の抽出処理を行う。このようにして抽出したデータは、Y座標毎に輝度値の高いZ座標のデータであり、演算装置4内のRAMに格納する。また、このようにして得られたデータは、上記と同様不連続で走査不能な座標データである可能性もあり、演算装置4において近似化処理を行い、連続走査可能な曲線f(y,z)とする。
【0029】
次に、上記処理によって得られた曲線f(x,y)とf(y,z)から三次元曲線f(x,y,z)を演算する(ST12)。例えば、この演算処理は
f(x,y)+f(y,z)−f(y)=f(x,y,z)
の演算式を使用することによって得られる。また、このようにして得られたf(x,y,z)(基線経路曲線データ)は、演算装置4のメモリ(EEPROM)に記憶される(ST13)。尚、この処理は前述の図2の(c)の処理に対応する。
【0030】
以上のようにして、演算装置4には標本11内の対象物の基線経路曲線データが記憶され、以後対象物の特性等を知るため、上記メモリ(EEPROM)から基線経路曲線データが読み出され、基線経路曲線に従った走査が行われる(ST14、上記図2に示す(d))。すなわち、演算装置4はメモリ(EEPROM)に記憶した上記基線経路曲線のデータを読み出し、焦点位置制御部3に走査の位置情報を送信し、焦点位置制御部3から偏光素子7x、7y、及びZ軸アクチュエータ9に位置情報を出力する。また、同時に励起光源1から励起光を出力し、標本11に励起光を照射して基線経路曲線に沿った走査を行う。
【0031】
この走査は、前述のようにして取得した基線経路曲線データに従って行われるものであり、基線経路曲線データに従って自動的に標本11内の神経細胞の基幹に沿った走査を行うことができる。したがって、このように標本11を走査することによって、正確に神経細胞等の基幹に沿った走査を行うことができ、短時間で効率よく必要な観察データを得ることができる(ST15、(上記図2に示す(e))。また、このようにして得たデータは表示装置5に表示される(ST16、(上記図2に示す(f))。
【0032】
尚、上記実施形態の説明では、予め取得した三次元画像データからXY二次元データ及びYZ二次元データを抽出し、上記演算式(f(x,y)+f(y,z)−f(y)=f(x,y,z))によって基線経路曲線(f(x,y,z))を得たが、取得した三次元画像データからYZ二次元データとXZ二次元データを得て演算処理を行い、基線経路曲線データを得る構成としてもよい。また、XY二次元データとXZ二次元データを得て演算処理を行い、基線経路曲線データを得る構成としてもよい。
【0033】
また、本実施形態において標本11に蛍光色素を導入して対象を標識したが、タンパク質自体が発光する場合には、標本11にこのようなタンパク質を導入する構成としてもよい。
また、本実施形態においては、励起光源として単一の励起光源を示したが、標本11内に複数の対象が存在する場合には、複数の励起光源を使用する構成としてもよい。この場合、複数の対象の光輝度情報を同時に取得することができる。
【0034】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
前述の第1の実施形態では、基線経路曲線として1本の線状経路のデータを使用したが、この場合走査する経路は非常に細い線状の経路である。また、標本11として生きた細胞を使用する場合もあり、基幹が移動する場合もある。本実施形態では上記の点を考慮し、基線経路曲線を中心に微少に変移させて得られる曲線データを複数作成し、基線経路曲線を走査したデータの他、変移させた複数の曲線データに沿って励起光を照射することによって、対象の移動等にも対応できる走査型レーザ顕微鏡システムを提供するものである。以下、具体的に説明する。
【0035】
図7は、第2の実施形態を説明する図である。先ず、図7(a)は基線経路曲線及び、基線経路曲線を中心に変移した複数の曲線の束を示す模式図である。また、同図(b)及び(c)は、上記曲線の束の断面構成を示す。ここで、同図(b)、(c)に示す基線「1」は、前述の第1の実施形態の処理によって得られた基線経路曲線(基線「1」)であり、この基線「1」に対して曲線「2」〜「9」(同図(b)の場合)が所定長(オフセットピッチ)変移して生成される。このオフセットピッチは、例えば数ミクロン〜数十ミクロンである。また、この曲線「2」〜「9」の形成は、例えば基線「1」に対して曲線「2」、「3」、「4」、・・・「9」の順に演算して生成される。
【0036】
尚、同図(c)に示す場合も同様であり、基線「1」に対して、オフセットピッチ分変移して、曲線「2」、「3」、「4」、・・・「7」が順次演算され、生成される。
以上のようにして得られる曲線経路は一定の太さを有する走査経路の束であり、この経路に沿って励起光を走査することによって、1本の走査経路では外れてしまう可能性のある情報の取得を行い、より確実な観測データを得ることができる。
【0037】
尚、この場合励起光の走査順序は、基線「1」を走査し、以下曲線「2」〜「9」(又は曲線「2」〜「7」)の走査を順次走査してもよく、また他の走査順序で走査してもよい。
また、本実施形態における走査曲線の束は、上記曲線「2」〜「9」(又は曲線「2」〜「7」)の外側に更にオフセットピッチを保持して生成してもよい。
【0038】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
本実施形態は、例えば標本11内の細胞に刺激を与えた場合、細胞内の変化を知るための構成である。以下、具体的に説明する。
【0039】
図8は、第3の実施形態を説明する図である。先ず、同図は横軸にXY二次元データにおける基線経路曲線の位置を示し、縦軸は各位置における輝度の強さを示す。また、同図に示すa、b、c、dは対象の各位置を示す。
この状態において、例えば標本11内の細胞に刺激を与え、励起光を照射して細胞から発する蛍光の輝度を測定する。この場合、時間の経過に従って輝度の変化を測定する。図9この結果を示す図であり、表示装置5に表示される画像である。この例は、時間t1 、t2 、t3 、・・・の経過に従って、それぞれの時間において励起光を基線経路曲線に沿って走査し、得られた結果である。
【0040】
同図の例では位置b〜dにおいて、特に変化が見られ、時間の経過に伴って各位置の輝度が変化していることが分かる。したがって、例えば細胞に加えた刺激の伝搬速度や伝搬特性、細胞の違いによる特性等を知る有力な手がかりとなる。以上のように、本実施形態によれば、時間経過に従った標本(対象)の変化を知ることができ、標本(対象)の解析に役立てることができる。また、時間経過に従った標本の解析を簡単かつ高速に行うことができる。
【0041】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、標本内に含まれる樹状の神経細胞等の対象の基線経路曲線の取得を容易に行うことができ、また正確な基線経路曲線を得ることができる。
【0042】
また、取得した基線経路曲線に沿って走査することにより、短時間で膨大な観察データを取得することができる。
また、走査経路を束状に形成することによって、対象が移動するような場合でも確実に観察データを得ることができる。
【0043】
さらに、時間経過に従って同じ基線経路曲線に沿った走査を行うことによって、対象の時間経過に伴った変化を容易に知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を説明する走査型レーザ顕微鏡システムのシステム構成図である。
【図2】第1の実施形態の処理を説明する図である。
【図3】第1の実施形態の処理を説明するフローチャートである。
【図4】第1の実施形態の処理によって得られた標本の三次元画像の例である。
【図5】第1の実施形態の処理を説明する図である。
【図6】(a)は抽出されるXY二次元データの例であり、(b)は連続走査可能な曲線f(x,y)の例である。
【図7】第2の実施形態を説明する図であり、(a)は基線経路曲線及び、基線経路曲線を中心に変移した複数の曲線の束を示す模式図であり、(b)及び(c)は、上記曲線の束の断面構成を示す。
【図8】第3の実施形態を説明する図であり、基線経路曲線上の位置を示す。
【図9】第3の実施形態を説明する図であり、表示装置の表示例を示す。
【図10】従来例を示す図である。
【符号の説明】
1 励起光源
1a シャッタ
2 顕微鏡本体
2a ビームエクスパンダ
3 焦点位置制御部
4 演算装置
5 表示装置
6 ダイクロイックミラー
7x 偏光素子
7y 偏光素子
8 対物レンズ
9 Z軸アクチュエータ
10 光電検出器
11 標本
12 共焦点ピンホール
14 フィルタ
15 マウス
Claims (5)
- 立体標本に対してレーザ光を照射し、該標本の三次元画像情報を取得する画像情報取得手段と、
該画像情報取得手段によって取得した標本の三次元画像情報から蛍光標識された前記標本内部にあって蛍光を発する線状の観察対象物の形状である基線経路曲線を演算する演算手段と、
該演算手段によって得られた基線経路曲線に沿って走査を行い、単一波長又は複数波長の光輝度情報を取得する光輝度情報取得手段と、
を備えることを特徴とする走査型レーザ顕微鏡システム。 - 前記演算手段による基線経路曲線の演算は、取得した前記標本の三次元画像情報からXY面、YZ面、XZ面の中の少なくとも2面に投影した二次元データを作成し、該作成された二次元データに含まれる高い輝度値データの連続した座標を検出し、演算することによって得られることを特徴とする請求項1記載の走査型レーザ顕微鏡システム。
- 前記基線経路曲線の走査経路は、徐々にオフセットして複数回走査する、束ねられた肉太状の経路であることを特徴とする請求項1、又は2記載の走査型レーザ顕微鏡システム。
- 前記基線経路曲線は、神経細胞の主幹ラインであることを特徴とする請求項1、2、又は3記載の走査型レーザ顕微鏡システム。
- 立体標本に対してレーザ光を照射し、該標本の三次元画像情報を取得する処理と、
取得した前記標本の三次元画像情報からXY面、YZ面、XZ面の中の少なくとも2面に投影した二次元データを作成する処理と、
該処理によって作成された二次元データに基づいて蛍光標識された前記標本内部にあって蛍光を発する線状の観察対象物の形状である基線経路曲線を演算する処理と、
該基線経路曲線に沿って走査を行い、単一波長又は複数波長の光輝度情報を取得する処理と、
を行うことを特徴とするレーザ顕微鏡システムにおける処理方法。
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