JP4019847B2 - 機能デバイス - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は入力された信号の変換、経路の変更、波長の選択及び導通/非導通等の加工処理を行う機能素子を備えた機能デバイスに関し、特に、機能素子の動作が微小電気機械により制御される機能デバイスに関する。
【0002】
【従来の技術】
波長分割多重(WDM:Wavelength Division Multiplexing)方式の光ファイバーシステムのような光波通信ネットワークシステムにおいて、光の経路をスイッチングする技術及び入射した光から任意の波長の光を選択する技術の必要性が高まっている。この光波通信ネットワークシステムにおいて、ネットワーク上の各ノードでは、複数の波長の光から所定の波長の光を選択し分岐した後、この光の経路変更を行う光スイッチが使用される。今後予想される通信情報伝送量の増大に伴い、光スイッチ等の光デバイスの多チャンネル化、大規模化が要求されている。
【0003】
このうち、光スイッチは、光を光/電気変換すること無しに光のまま経路変換するため、遅延時間を最小化でき、転送速度に依存せず、拡張性を有する等の特長をもつ。従来、光スイッチを実現する方法として、光ファイバーの機械的運動による方法、ファラデー回転に基づいて行う方法、反射ミラーを使用して行う方法等が提案されている。
【0004】
このうち、反射ミラーを使用し、この反射ミラー及びこの反射ミラーの駆動装置に微小電気機械システム(MEMS:Micro Electro Mechanical System)を使用する光スイッチは、半導体集積回路を製造する微細加工技術を利用して製造しているため、機能集積化、アレイ化、可動立体構造の小型化、高精度化が可能であり、コスト低減、大規模化に対して有利であり、今後の多チャンネル化に伴う光スイッチの大規模化の必要性に十分に応えられる光デバイスとして期待されている。
【0005】
例えば、特開2000−314846号公報には、MEMSにより形成された反射ミラーが開示されている。即ち、特開2000−314846号公報には、支持体にビーム部によって回動可能に連結された反射ミラーを設け、前記支持体に電極を取り付け、この電極に電圧を印加することにより、この電極と前記反射ミラーとの間の静電力によって前記反射ミラーの動作を制御する技術が開示されている。また、特開2001−117025号公報にも、MEMSにより形成された反射ミラーが開示されている。更に、特開平11−330254号公報には、スイッチ手段を備えた半導体装置において、前記スイッチ手段が、基板上に形成された複数のMOSトランジスタと、このMOSトランジスタ上に形成されたMEMSである複数のスイッチ素子とを備え、このスイッチ素子においては移動可能に設けられた配線をクーロン力により移動させることによりスイッチングを行う技術が開示されている。特開平11−330254号公報には、これにより、半導体装置において、前記MOSトランジスタにより不変的な接続を行い、前記スイッチ素子により可変的な接続を行うことにより、自由度が高い論理可変LSIを実現できると記載されている。
【0006】
更にまた、特開平11−144596号公報には、半導体モノシリックマイクロ波集積回路基板上にMEMSにてRFスイッチを形成する技術が開示されている。この技術は、基板上にシーソー状に回動可能に支持されたビームを設け、このビームの近傍に配置された電極に電圧を印加することにより、ビームと電極との間に静電気力を発生させ、ビームを回動させる。これにより、基板上に形成された端子とビームの下面に形成された端子とを接触させたり非接触にしたりして、スイッチを開閉するものである。特開平11−144596号公報には、これにより、感度が良好なRFスイッチをアレイ状に形成できると記載されている。
【0007】
一方、米国特許第5,963,788号(Carole C. Barron et. al.)においては、MEMS素子が形成される基板と同一のシリコン基板上に、このMEMS素子を駆動する駆動回路を作製する技術が開示されている。
【0008】
また、特開2002−36200号公報には、MEMSデバイスモジュールとMEMSデバイスアレイを駆動するために必要なIC制御回路モジュールとを共通のシステム相互接続基板上に集積する技術が開示されている。これにより、MEMSデバイス及びICモジュールを、交換又は修理のために容易に取り外すことができる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の従来の技術には以下に示すような問題点がある。反射ミラー又はRFスイッチ等の機能素子の駆動力として、静電気力、磁気力、圧電効果、熱膨張等が利用されるが、このような機能素子を備えた装置には、これらの駆動力を発生させるための駆動回路が必要である。例えば、反射ミラーの駆動力として静電気力を使用する場合には、電圧を発生する印加電圧発生回路の他に、駆動させる微小電気機械を選択し制御するための駆動回路が必要となる。
【0010】
例えば、前述の特開2001−117025号公報の図1に示されているように、従来、このような駆動回路は、反射ミラー等の機能素子及びこの機能素子を駆動する駆動装置(以下、総称してMEMS素子という)を形成する基板とは別の基板上に作製され、ワイヤボンディング又はフレキシブル基板等によってMEMS素子が形成された基板に接続されている。このため、光デバイスが多チャンネル化により大規模化し、駆動するMEMS素子数が増大すると、前記駆動回路を個々のMEMS素子に接続する配線の数及び駆動回路の規模が増大し、装置全体が大型化してしまうという問題がある。即ち、MEMS素子を駆動制御するためには電極が必要であるが、多チャンネル化、アレイの大規模化に伴い外部との間で駆動制御信号を入出力するための端子数が増大し、そのための配線の引き回しに必要な領域も大型化する。例えば、一つのMEMS素子の駆動に2電極必要とすると、n行n列(nは整数)正方マトリックス配置(アレイ化)すると電極数は2n2個となり、これと同数の端子をデバイスに設ける必要があり、更に、これらの端子に接続する配線の引き回し領域も大型化する。
【0011】
また、米国特許第5,963,788号に開示された技術においては、シリコン基板表面にキャビティー部を設け、このキャビティー部にMEMS素子を作製した後、前記シリコン基板表面における前記キャビティー部とは異なる領域に駆動回路を形成するため、駆動回路形成時においてMEMS素子を保護する工程が必要となり、また、駆動回路形成後に平坦化加工を行う工程が必要となる。このため、工程数が増加するという問題点がある。また、多チャンネル化を実現するために数千個のMEMS素子からなる光反射ミラーをアレイ状に配列する場合、シリコン基板表面におけるキャビティー部が占める面積の比率が増大し、装置の作製時においてシリコン基板の機械的強度が弱くなるという問題点がある。
【0012】
更に、特開2002−36200号公報に開示された技術においては、複数のMEMSモジュールを交換可能な状態で相互接続基板上に配置するため、モジュール間の位置合せ精度を確保することが必要となる。例えば、MEMSモジュールが光通信に使用するミラーを含む場合には、モジュール間の光路を精密に確保する必要がある。このため、組立工程が複雑化するか、又は組立後の装置の信頼性が低くなる。また、各MEMSモジュールがそれ自体で密封された構造をとるため、MEMSチップよりも体積が大きく、アレイの大規模化においては装置が大型化するといった問題点がある。
【0013】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、多チャンネル化における配線数の増大による大型化を抑制でき、製造が容易であり、強度が高く、低コスト化及び信頼性の向上を図った機能デバイス及びその製造方法並びにこの機能デバイスに搭載する駆動回路を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る機能デバイスは、入力された信号を加工して出力する複数の機能素子と、基板及びこの基板上に設けられ前記機能素子を駆動する駆動回路を備えた駆動回路基板と、絶縁性材料からなり前記機能素子と前記駆動回路基板とを相互に接合する絶縁層及びこの絶縁層中に設けられ前記機能素子と前記駆動回路とを相互に接続する接続端子を備えた接合層と、を有することを特徴とする。
【0015】
本発明においては、機能素子及びこの機能素子を駆動する駆動回路を備えた駆動回路基板を設け、機能素子と駆動回路基板とを接合層により接合することにより、機能素子が多数になり機能デバイスが多チャンネル化した場合においても、駆動回路の面積の増大により機能デバイス全体が大型化することを抑制することができる。また、駆動回路と機能素子との間の距離を小さくできるため、両者間の配線を可及的に短くすることができ、機能デバイスの小型化及び信頼性の向上を図ることができる。更に、駆動回路基板において、基板上に駆動回路を形成し、機能素子は接合層を介してこの駆動回路基板に接合するため、基板上に直接機能素子を形成する場合と比較して、製造が容易であり、基板の強度が低下することがなく、駆動回路基板と機能素子との間に集積度及び物理的な不整合が少なく、機能デバイスの信頼性を向上させると共にコストを減少させることができる。更にまた、機能素子が接合層により駆動回路基板に接合されているため、交換可能なモジュールを使用する場合と比較して、デバイスの信頼性が向上すると共に、小型化を図ることができる。更にまた、機能素子及び駆動回路基板を独立して製造することができるため、夫々独立に良否判断を行うことができ、デバイス全体としての歩留りが向上する。
【0016】
また、前記駆動回路を外部回路に接続する入出力端子を有し、この入出力端子の数が前記接続端子の数よりも少ないことが好ましい。これにより、駆動回路と外部回路との間の配線数を低減でき、この配線の引き回しに要する領域の面積を低減することができる。
【0017】
更に、前記機能素子が、前記入力された信号に対して加工処理を施す加工素子と、この加工素子を運動可能に支持する微小電気機械部と、前記駆動回路から電圧が印加され前記加工素子との間に静電気力を発生させることにより前記加工素子を運動させる駆動電極と、を有していてもよい。これにより、簡略な構成により、駆動回路が出力する電気信号を加工素子の機械的動作に変換することができる。
【0018】
このとき、前記各機能素子が前記駆動電極を3個以上有していてもよい。これにより、前記加工素子を2自由度で動かすことができ、信号処理の自由度が増大する。
【0019】
また、前記信号が光信号であり、前記加工素子がこの光信号の少なくとも一部を反射する光反射ミラーであり、前記微小電気機械部が前記光反射ミラーを回動可能に支持するものであり、前記駆動電極が前記光反射ミラーの角度を制御して前記光反射ミラーが入力された前記光信号を選択的に出力することにより、光のスイッチングを行ってもよい。
【0020】
このとき、前記駆動電極が透明導電体からなり、前記光反射ミラーが半透過性であり、前記基板が透明絶縁体からなり、前記駆動回路基板が前記機能素子に対向していない側の面に光検出素子を含む光検出基板を有していてもよい。これにより、この光デバイスを使用して光通信を行う際に、常時、光信号をモニターすることが可能となる。この結果、この機能デバイスを通過する光信号の異常及び通信経路の断線等を検出することができる。
【0023】
更に、前記駆動回路が、アレイ状に配列された複数のトランジスタと、このトランジスタのゲート電極に接続された1又は複数のゲート線と、前記トランジスタのソース電極に接続された複数のドレイン/ソース線と、前記トランジスタのドレイン電極及び前記駆動電極に接続され前記ドレイン電極に印加された電圧を前記駆動電極に印加する端子と、前記ドレイン/ソース線に選択的に信号を入力するドレイン/ソース駆動回路と、を有することが好ましい。また、前記駆動回路が、前記ゲート線に選択的に信号を入力するゲート駆動回路を有していてもよい。これにより、光スイッチが多チャンネル化及び大規模化しても、回路部が大型化することがなく、機能デバイスが大型化することをより一層抑制することができる。
【0024】
本発明に係る他の機能デバイスは、表面に入力された光の少なくとも一部に対して光加工処理を行い出力する機能素子を備え、前記機能素子を支持すると共に前記機能素子の動作を制御する微小電気機械部を備えた機能素子可動支持構造体と、前記機能素子可動支持構造体から見て前記機能素子が設けられていない側に配置され、絶縁体からなる基板及びこの基板上に形成され前記微小電気機械部の動作を制御する駆動回路を備えた駆動回路基板構造体と、を有することを特徴とする。
【0025】
本発明においては、機能素子及び微小電気機械部を備えた機能素子可動支持構造体を設け、前記機能素子可動支持構造体から見て前記機能素子が設けられていない側に駆動回路を備える駆動回路基板構造体を配置することにより、機能デバイスが多チャンネル化した場合においても、駆動回路の面積の増大により機能デバイス全体が大型化することを抑制することができる。また、駆動回路基板構造体において絶縁体からなる基板上に駆動回路を形成するため、駆動回路基板構造体と機能素子可動支持構造体との間に集積度及び物理的な不整合が少なく、機能デバイスの信頼性を向上させると共にコストを減少させることができる。更に、駆動回路と微小電気機械部との間の距離を小さくできるため、駆動回路と微小電気機械部との間の配線を可及的に短くすることができ、機能デバイスの小型化及び信頼性の向上を図ることができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について添付の図面を参照して具体的に説明する。先ず、本発明の第1の実施形態について説明する。図1は本実施形態に係る機能デバイスの構成を示す斜視図、図2はミラー素子11の断面図、図3はミラー素子11の詳細を示す拡大平面図、図4は光反射ミラー素子の電極配置を示す断面図、図5は1個の光反射ミラー素子を駆動する4個のミラー素子スイッチ部を示す等価回路図、図6はミラー素子スイッチ部及びドライバ回路部の構成を示す等価回路図である。なお、図2は図3に示すX−X軸をとおりミラーフレーム14の表面に垂直な断面における断面図である。本実施形態の機能デバイスは、機能素子として光反射ミラーを使用し、9個の光反射ミラーをアレイ状に配置し、この光反射ミラーを駆動する駆動力として静電気力を利用した光スイッチである。
【0029】
図1に示すように、本実施形態に係る機能デバイスである光スイッチには、駆動回路基板2が設けられ、この駆動回路基板2上に積層されるように、ミラー基板1が設けられている。駆動回路基板2とミラー基板1とは、樹脂層3により相互に接合されている。この樹脂層3中には接合部材32(図2参照)が設けられており、樹脂層3及び接合部材32により接合層が形成されている。ミラー基板1には、1個以上例えば9個のミラー素子11が設けられ、(3行×3列)のマトリクス状に配列されている。駆動回路基板2には、光反射ミラー11を駆動・制御する回路が設けられ、熱硬化性接着剤等の樹脂層3及び接続部材32(図2参照)を介してミラー基板1に接合されている。
【0030】
ミラー基板1及び駆動回路基板2はその形状が略直方体であり、積層方向から見てミラー基板1及び駆動回路基板2は1辺の長さが略等しく、他の1辺の長さは駆動回路基板2がミラー基板1よりも若干長くなっている。このため、駆動回路基板2の上面においてミラー基板1に覆われていない領域が存在し、この領域には例えば4個の外部入力ポート4が設けられている。
【0031】
図2に示すように、ミラー基板1においては、絶縁体又は酸化シリコン等の絶縁体で覆われたシリコンからなるベース基板16が設けられ、ベース基板16上にはガラス等の絶縁体からなる支持台15が所定の間隔で設けられ、支持台15上にはミラー素子11が設けられ、ミラー素子11は支持台15により所定の間隔で保持されている。ミラー素子11は後述するように3次元的な運動が可能な構造となっている。このミラー素子11と、後述する貫通電極が設けられたベース基板16とが、支持台15を介した所定の間隔で接合され、ミラー基板1が形成されている。
【0032】
ベース基板16にはスルーホール19aが形成され、ベース基板16の表面(ミラー素子11側)におけるスルーホール19a上には、ミラー素子11を静電気力により駆動させるための駆動電極17がミラー素子1個毎に4個設けられている。また、ベース基板16の裏面におけるスルーホール19aの下方には接続電極18が設けられている。駆動電極17と接続電極18はスルーホール19aにより相互に接続され、貫通電極を形成する。尚、スルーホール19a内にはハンダ、スズ(Sn)等からなる導電体19bが埋め込まれていてもよい。更に、接続電極18の表面には、Au(金)又は半田からなる接続用突起(バンプ)31が設けられている。
【0033】
図3及び図4に示すように、ミラー素子11は、円板形状のミラー本体12、このミラー本体12を軸支するリング形状の支持体13及びミラーフレーム14から構成されている。支持体13は、加工素子としてのミラー本体12を運動可能に支持する微小機械部である。ミラーフレーム14には開口部14aが設けられている。支持体13はミラーフレーム14の開口部14a内に配置され、リング13b、2個の軸部材13c及び2個の軸部材13dから構成されている。開口部14aの内側にはリング13bが配置され、リング13bの内側にはミラー本体12が配置されている。
【0034】
ミラーフレーム14の開口部14aの内壁には、2個の軸部材13cが、その軸方向がX方向になるように連結され、この2個の軸部材13cによりリング13bが軸支されている。これにより、リング13bは2個の軸部材13cを介してミラーフレーム14に対してX−X軸を中心として回動可能に連結されている。また、リング13bのリング内面には2個の軸部材13dが、その軸方向がY方向になるように連結され、この2個の軸部材13dによりミラー本体12が軸支されている。これにより、ミラー本体12は2個の軸部材13dを介してリング13bに対してY−Y軸を中心として回動可能に連結されている。この結果、ミラー本体12は支持体13によりミラーフレーム14の表面に平行な互いに直交する2方向、即ち、夫々X方向及びY方向に延びるX−X軸及びY−Y軸を回転軸として、ミラーフレーム14に対して回動可能に支持されている。これにより、ミラー本体12は任意の方向に向きを変えることが可能となり、ミラー本体12は光入力路(図示せず)から入力された光を任意の方向の光出力路(図示せず)に出力することができる。
【0035】
ミラー本体12は、入射光の全てを反射する完全反射性のもの、例えば、基板上に厚い金属膜が被覆されているものでもよく、入射光の一部を反射して残部を真直ぐ透過させる半透過性のもの、例えば、透過基板上に薄い金属膜が被覆されているものでもよい。
【0036】
また、駆動電極17は、ベース基板16上におけるミラー本体12の下方に相当する領域に、1個のミラー本体12に対して夫々4個設けられている。図3においては、この4個の駆動電極17に夫々符号17a乃至17dを付与して示す。ミラー駆動電極17b及び17dは、ミラーフレーム14に対するリング13bの回転軸の下方に、ミラー本体12の中心をとおり、ベース基板16の表面に垂直な線(以下、ミラー本体12の中心軸という)に関して対称な位置に配置されている。駆動電極17a及び17cは、リング13bに対するミラー本体12の回転軸の下方に、ミラー本体12の中心軸に関して対称な位置に配置されている。従って、駆動電極17a乃至17dは、ミラー本体12の中心軸に対して4回対称な位置に配置されている。ミラー本体12、支持体13及び駆動電極17a乃至17dにより、機能素子が形成されている。
【0037】
更に、図2に示すように、駆動回路基板2においては、ガラス等の絶縁体からなる基板21が設けられ、この基板21上に薄膜プロセスにて作製した薄膜半導体等によって構成される素子スイッチ部22が設けられている。素子スイッチ部22は駆動電極17と同数設けられている。また、基板21上には、素子スイッチ部22を選択して駆動させるドライバ回路部23が設けられている。また、基板21上には素子スイッチ部22及びドライバ回路部23を覆う絶縁体層25が設けられている。絶縁体層25における素子スイッチ部22上の部分にはコンタクトホール25aが設けられ、コンタクトホール25aには導電体25bが埋め込まれ、導電体25bは素子スイッチ部22の外部電極(図示せず)に接続されている。絶縁体層25の表面におけるコンタクトホール25a上に相当する領域には表面電極24が設けられ、表面電極24はコンタクトホール25a内の導電体25bにより、素子スイッチ部22の外部電極(図示せず)と接続されている。
【0038】
更にまた、駆動回路基板2においては、外部の制御回路(図示せず)からドライバ回路部23に入力され所定の素子スイッチ部22を選択する信号及びクロック信号等が入力される入力端子、並びにミラー素子11を駆動するための印加電圧の入力端子等を備える外部入力ポート4(図1参照)が設けられている。
【0039】
ミラー基板1における駆動回路基板2に対向する面に設けられた接続用突起(バンプ)31は、駆動回路基板2におけるミラー基板1に対向する面に設けられた表面電極24に夫々当接しており、接続用突起31及び表面電極24を覆うように、半田又は導電性接着剤からなる接続部材32が設けられている。そして、この接続用突起31と表面電極24とが圧着等により相互に接合され、接続部材32により周囲を覆われて補強されている。更に、ベース基板16と絶縁体層25との間における接続電極18、接続用突起31、表面電極24及び接続部材32の周囲には、熱硬化性接着剤等からなる樹脂層3が充填され封止されている。
【0040】
このように、ミラー基板1が駆動回路基板2上に接続部材32及び樹脂層3を介して積層されることにより、ミラー基板1の駆動電極17は、導電材19b、接続電極18、接続用突起31、接続部材32、表面電極24及び導電材25bを介して駆動回路基板2の素子スイッチ部22に接続される。なお、ミラー駆動電極17、導電材19b、接続電極18、接続用突起31、表面電極24、導電材25b及び素子スイッチ部22は、ほぼ垂直方向に沿ってこの順に配置されている。
【0041】
なお、本実施形態においては、接続用突起31を接続電極18の表面に設け、接続用突起31を表面電極24に当接させる例を示したが、接続用突起31を表面電極24上に設け、接続電極18に当接させてもよい。この場合は、接続部材32は接続用突起31及び接続電極18を覆うように形成する。
【0042】
また、本実施形態においては、接続電極18をミラー駆動電極17の真下に設け、その位置で表面電極24に接続する例を示したが、表面電極24及び接続電極18は、駆動電極17と素子スイッチ部22との間の電気的接続が確保される範囲において、夫々絶縁体層25及びベース基板16の任意の位置に配置することができる。
【0043】
素子スイッチ部22は、図5において破線領域内に示すような等価回路により構成されている。図5は1個のミラー素子11を駆動する回路の等価回路を示す。素子スイッチ部22においては、薄膜トランジスタ53が設けられ、この薄膜トランジスタ53のゲート電極はゲート線51に接続されている。また、薄膜トランジスタ53のソース電極にはドレイン/ソース線52が接続され、薄膜トランジスタ53のドレイン電極と接地電極との間には保持キャパシタ55及び端子56が並列に接続されている。保持キャパシタ55は、ゲート線がオフとなり薄膜トランジスタが非導通状態になった場合にミラー本体12の配向を保持するものであり、自然放電による駆動電極17の電荷の消失を補うものである。この保持キャパシタ55の容量は、ゲート線走査周波数及びミラー素子11の数等により決定されるが、次のゲート線走査時まで電荷が保持できるように設定すればよい。また、端子56は薄膜トランジスタ53側の端子及び接地電位側の端子からなり、薄膜トランジスタ53側の端子は素子スイッチ部22の外部電極であり、導電材25bに接続されている。そして、前述の如く、導電材25bは表面電極24、接続用突起31、接続電極18、導電材19bを介して駆動電極17に接続されている。また、端子56の接地電位側の端子は、ミラー本体12の接地電極(図4参照)に接続されている。
【0044】
そして、4個の素子スイッチ部22が1個の群を形成し共通のゲート線51に接続され、1個のミラー素子11を駆動する。1個の群における各素子スイッチ部22の端子56は、夫々ミラー駆動電極17a、17b、17c及び17dに接続される。
【0045】
また、図6に示すように、本実施形態に係る機能デバイスにおいては、複数の素子スイッチ部22がアレイ状に配列されている。ミラー素子11の配列が(m行×n列)である場合には、前述の如く、1つのミラー素子11の駆動には4個の素子スイッチ部22が必要であるため、素子スイッチ部22の配列は(m行×4n列)となる。本実施形態においては、ミラー素子11の配列は例えば(3行×3列)であるため、素子スイッチ部22の配列は(3行×12列)となる。各列を構成する素子スイッチ部22は共通のドレイン/ソース線52に接続される。従って、光デバイス全体のドレイン/ソース線52は4×n本となる。このドレイン/ソース線52はドレイン/ソース線52を選択して電圧を印加するドレイン/ソース線駆動回路61の走査列D/S1、D/S2、・・・、D/S4nに接続される。
【0046】
また、各行を構成する素子スイッチ部22は共通のゲート線51に接続される。従って、光デバイス全体のゲート線51の数はm本である。このゲート線51はゲート線51を選択して電圧を印加するゲート線駆動回路62の走査行G1、G2、・・・、Gmに接続される。ドレイン/ソース線駆動回路61及びゲート線駆動回路62により、素子スイッチ部22を制御し駆動するドライバ回路部23が構成されている。更に、ドレイン/ソース線駆動回路61には少なくとも2チャンネルの印加電圧発生部63が接続されている。この印加電圧発生部63はドレイン/ソース線駆動回路61を介してドレイン/ソース線52に電圧を印加するものであり、機能デバイスの外部に設けられている。
【0047】
次に、本実施形態に係る機能デバイスの動作について説明する。図5及び6に示すように、ドライバ回路部23のゲート線駆動回路62は、走査行G1、G2、G3、・・・、Gmを走査して順次駆動し、1本のゲート線51に接続された薄膜トランジスタ53を一斉に導通(オン)状態とする。
【0048】
一方、印加電圧発生部63は、制御部(図示せず)からの命令により、ドレイン/ソース線駆動回路61に対して、ミラー本体12を任意の方向に配向させるための2チャンネルの印加電圧を供給する。ドレイン/ソース線駆動回路61は、4個の駆動電極17a、17b、17c、17d(図3参照)に接続される走査列(例えば、D/S1乃至D/S4)から、ミラー本体12を所定の方向に配向させるための2つの走査列を選択し、選択された2つの走査列を夫々印加電圧発生部63に接続する。これにより、印加電圧発生部63から供給される2チャンネルの電圧が、選択された2つの走査列に夫々印加される。これにより、ゲート線駆動回路62により電圧が印加されている1本のゲート線51に接続されている素子スイッチ部22のうち、ドレイン/ソース線駆動回路61により選択された2本のドレイン/ソース線52に接続されている薄膜トランジスタ53が導通(オン)状態となり、ドレイン/ソース信号線52に入力された電圧が端子56に印加される。例えば、ゲート線駆動回路62が走査行G1に電圧を印加し、ドレイン/ソース線駆動回路61が走査列D/S1及びD/S3を選択して電圧を印加するとき、走査行G1と走査列D/S1及びD/S3との交点に位置する素子スイッチ部22が駆動する。
【0049】
又は、ドレイン/ソース線駆動回路61は、制御部(図示せず)からのドレイン/ソース線選択信号線(図示せず)を経由した命令により、印加電圧発生部63に接続する2つの走査列を切り換え、各々の走査列に所定の電圧を印加する。また、ドレイン/ソース線駆動回路61はロジック回路(図示せず)又はアナログスイッチ(図示せず)等の回路を備え、制御部(図示せず)からのクロック信号に基づいて前記ロジック回路又はアナログスイッチ等により、印加電圧発生部63に接続するドレイン/ソース線52を4線おきに順次切り換える。この結果、同じ行における次の4列に配置された素子スイッチ部22のドレイン/ソース線52から2線を選択して所定の電圧を印加することができる。
【0050】
図2に示すように、素子スイッチ部22の端子56(図5参照)の薄膜トランジスタ53側の端子は、導電材25b、表面電極24、接続用突起31、接続電極18、導電材19bを介して駆動電極17に接続されている。このため、素子スイッチ部22の端子56に印加された電圧は駆動電極17に印加される。なお、4個の素子スイッチ部22からなる群に含まれる各端子56は、1個のミラー素子11を駆動する4個の駆動電極17a、17b、17c及び17dに接続されているため、4個の素子スイッチ部22からなる群のうち2個の素子スイッチ部22に電圧を印加すると、1組の駆動電極17a、17b、17c及び17dから選択された2個の駆動電極に電圧が印加される。
【0051】
図4に示すように、ミラー本体12をグラウンドとし、駆動電極17b又は17dに所定の電圧が印加されると、ミラー本体12と駆動電極17b又は17dとの間に静電気力が発生し、ミラー本体12は、Y方向に延びる回転軸を中心として回動する。前述のようにミラー本体12は相互に直交する回転軸を有し、且つ、駆動電極17が、X方向及びY方向において、ミラー本体12の中心軸に関して夫々対称の位置に計4個設けられているため、4個の駆動電極17a、17b、17c、17dのうち、1個又は2個の駆動電極17に電圧を印加することにより、ミラー本体12を任意の方向に傾けることができる。なお、2個の駆動電極17に同時に電圧を印加する場合は、この2個の駆動電極はミラー本体12の中心軸から見て互いに直交する方向に配置されている。例えば、図3に示す駆動電極17a及び17b等である。駆動電極17aと17cとに同時に電圧を印加することはない。このようにして、ミラー本体12を任意の方向に向け、入射された光を任意の方向に反射することが可能となる。
【0052】
ゲート駆動回路62は、制御部(図示せず)からのクロック信号に基づいて、1本のゲート線51に接続された全てのミラー素子11の駆動が終了するまでこのゲート線51をオン状態に保ち、このゲート線51に接続された最終列(4n番目)のミラー素子11の駆動終了後、次行のゲート線51をオン状態とし、前述した行における動作を同様に行う。この動作を順次、最終行まで行うことにより、同一ゲート線にゲート電極が接続された複数の薄膜トランジスタ53において、各々ミラー本体12を配向させる各駆動電極17への電圧が印加される。これにより、本実施形態の光スイッチに設けられた全てのミラー素子11を駆動することができる。
【0053】
以上説明したように、このような制御部(図示せず)のクロック信号に同期した走査動作をすることにより、(m行×n列)のアレイ状に配置された光反射ミラー素子の配向方向の駆動制御を実現できる。
【0054】
なお、本実施形態においては、ミラー本体12の中心軸から見て、駆動電極17a、17b、17c、17dが配置されている方向と軸部材13c及び13dが配置されている方向、即ちミラー本体12の回転軸が延びる方向とが一致している例を説明したが、これらは一致していなくてもよく、例えば、45°ずれていてもよい。
【0055】
また、本実施形態においては、接続電極18と表面電極24との接続が、接続用突起(バンプ)31と接続部材32とが圧着などによりなされているものとしたが、半田ボールを表面電極24あるいは接続電極18に設けて接続するBGA(Ball Grid Array)によるものでもよい。
【0056】
更に、本実施形態においては、印加電圧発生部63(図6参照)は、最小限のミラー駆動を行うために2チャンネルの電圧を発生するものとしたが、本発明においては、印加電圧発生部は4チャンネル又は接続されるn列の光反射ミラー数に相当するチャンネル数(即ち、4nチャンネル)の電圧を発生するものであってもよい。4チャンネルの電圧を発生する場合には、ドレイン/ソース駆動回路61における1個のミラー素子スイッチ部22に接続された4本のドレイン/ソース線52から2本を選択して接続する機能、又は4本のドレイン/ソース線を切り換えて接続する機能は不要となり、ドレイン/ソース駆動回路61はドレイン/ソース線52を4線おきに順次切り換える機能のみ有していればよい。印加電圧発生部63がn列に相当するチャンネル数の電圧を発生する場合には、制御部からの命令はn列に相当するチャンネル数分(4n)となるが、ドレイン/ソース駆動回路61におけるドレイン/ソース線52を切り換えて選択する機能が一切不要となる。このため、光デバイスの駆動に際して、ゲート線51の走査のみを行えばよいため、アレイ状に配列されたミラー素子11全体の制御の高速化を図ることができる。
【0057】
更にまた、本実施形態においては、印加電圧発生部63を駆動回路基板2の外部に設ける例を示したが、印加電圧発生部63を駆動回路基板2におけるドライバ回路部23内に設けてもよい。
【0058】
更にまた、本実施形態においては、支持体13が2重リング構造を有する例を示したが、支持体13はミラー本体12の光反射面を回転させることができる回転支持ばね又ボール及びソケットとしてもよい。
【0059】
次に、本実施形態に係る機能デバイスの製造方法について説明する。図7は本実施形態に係る機能デバイスの製造方法を示すフローチャート図であり、図8(a)乃至(g)及び図9(a)乃至(c)は、本実施形態に係る機能デバイスの製造方法をその工程順に示す断面図である。本実施形態に係る機能デバイスの製造方法においては、ミラー基板1と駆動回路基板2とを別々に作製し、これらを樹脂層3を介して接合することにより機能デバイスを作製する。
【0060】
以下、詳細に説明する。先ず、図7のステップS1及び図8(a)に示すように、シリコン基板11aを準備する。次に、図8(b)に示すように、シリコン基板11aをエッチング加工することにより、ミラー素子11を形成する。なお、シリコン基板上に堆積させたポリシリコン薄膜をシリコン半導体加工技術により加工するウェハープロセスにより、ミラー素子11を形成してもよい。
【0061】
次に、図7のステップS2及び図8(c)に示すように、基板16aに一方の面に駆動電極17を形成し、他方の面に接続電極18を形成し、基板16aの内部に駆動電極17と接続電極18とを相互に接続するスルーホール19aを形成する。これにより、ベース基板16を形成する。なお、ステップS2に示すベース基板16の形成方法の詳細は後述する。
【0062】
次に、図7のステップS3及び図8(d)に示すように、金(Au)ワイヤー等からなる接続用突起31を、突起高さを均一になるよう形成し、この接続用突起31の周囲に導電性接続部材32を塗布する。
【0063】
次に、図7のステップS4及び図8(e)に示すように、ガラス等の絶縁体からなる板15aを用意する。そして、図8(f)に示すように、この板15aをレーザー加工等により加工し、所定の寸法の開口部15bを形成する。これにより、支持台15を作製する。
【0064】
次に、図7のステップS5及び図8(g)に示すように、ステップS1に示す工程おいて作製されたミラー素子11と、ステップS2及びS3に示す工程において作製された貫通電極を設けたベース基板16とを、所定の配置となるように、ステップS4に示す工程おいて作製された支持台15を介して接着又は静電接合等により接合し、ミラー基板1を形成する。
【0065】
一方、図7のステップS6及び図9(a)に示すように、ステップS1乃至S5に示す工程とは別に、駆動回路基板2を作製する。即ち、ガラス等の絶縁体からなる基板21上に、従来の薄膜プロセスにより、薄膜半導体等から構成される素子スイッチ部22及びドライバ回路部23を形成する。そして、素子スイッチ部22及びドライバ回路部23を覆うように絶縁体層25を形成する。次に、この絶縁体層25に素子スイッチ部22に接続されるコンタクトホール25aを形成し、コンタクトホール25a内に導電体25bを埋設する。その後、絶縁体層25の表面に、コンタクトホール25aに接続されるように表面電極24を形成する。これにより、駆動回路基板2を作製する。
【0066】
次に、図7のステップS7及び図9(b)に示すように、ステップS6にて作製された駆動回路基板2における表面電極24が形成されている面に、熱硬化性接着剤等からなる樹脂層3を塗布する。そして、図9(c)に示すように、ステップ5に示す工程にて作製した接続用突起31及び接続部材32が設けられたミラー基板1と、ステップS6に示す工程にて作製した駆動回路基板2とを、接続用突起31が表面電極24に当接するように位置合わせを行って重ね合わせ、ミラー基板1と駆動回路基板2とが相互に近づくような方向に圧力を印加すると共に加熱し、樹脂層3を硬化させて、ミラー基板1と駆動回路基板2とを相互に接合する。これにより、図7のステップS8に示すように、機能デバイスを形成する。
【0067】
なお、本実施形態においては、接続用部材31を形成する工程(ステップS3)を、ベース基板に貫通電極を作製する工程(ステップS2)の直後に行なう場合について説明したが、ミラー基板を形成する工程(ステップS5)の直後に行なってもよい。また、接続用部材31を駆動回路基板2の表面電極24上に形成してもよい。この場合には、駆動回路基板2を作製する工程(ステップS6)の直後に行い、樹脂層3はミラー基板1における接続電極18が形成されている面に塗布する。
【0068】
次に、図7のステップS2に示すベース基板16を形成する方法について、詳細に説明する。図10(a)乃至(d)、図11(a)乃至(d)、図12(a)乃至(c)、図13(a)乃至(d)及び図14(a)乃至(c)は、ベース基板16の形成方法をその工程順に示す断面図である。また、図15(a)乃至(d)、図16(a)乃至(d)、図17(a)乃至(c)並びに図18(a)及び(b)は、他のベース基板16の形成方法をその工程順に示す断面図である。
【0069】
図10(a)に示すように、例えばシリコンからなるシリコン板16aを準備する。そして、図10(b)に示すように、シリコン板16aを熱酸化し、シリコン板16aの表面に厚さが例えば1μmの酸化シリコン層112を形成する。次に、図10(c)に示すように、シリコン板16aの表面に、開口部113aを有するフォトレジストマスク113を形成する。そして、図10(d)に示すように、フォトレジスト113をマスクとして、CHF3及びCF4を使用した反応性イオンエッチング(RIE)を行い、酸化シリコン層112を選択的に除去する。
【0070】
次に、図11(a)に示すように、フォトレジストマスク113を除去する。次に、図11(b)に示すように、酸化シリコン層112をマスクとして、SF6及びCF4を使用したRIEを行い、シリコン板16aをエッチングして選択的に除去し、スルーホール19aを形成する。次に、図11(c)に示すように、HF(沸酸)により酸化シリコン層112を除去する。そして、図11(d)に示すように、シリコン板16aの表面に、窒化シリコンからなる絶縁層114をCVDにより形成する。
【0071】
次に、図12(a)に示すように、絶縁層114を覆うように、CVDによりポリシリコン層115を形成する。ポリシリコン層115の膜厚は、得られる貫通穴部の抵抗及びプロセスの負担を考慮して決定し、例えば0.5〜10μmとし、例えば1〜5μmとする。次に、図12(b)に示すように、ポリシリコン層115の表層を熱酸化し酸化シリコン層116を例えば0.2〜2μmの厚さに形成する。次に、図12(c)に示すように、シリコン板16aの一方の面にフォトレジストマスク117を形成し、他方の面及びスルーホール19aの内部にフォトレジストマスク118を形成する。フォトレジストマスク117にはシートレジストを使用し、フォトレジストマスク118にはスピン塗布したフォトレジストを使用する。
【0072】
次に、図13(a)に示すように、フォトレジストマスク117及び118をマスクとして、CHF3及びCF4を使用したRIEを行い、酸化シリコン層116をエッチングして選択的に除去する。次に、図13(b)に示すように、フォトレジストマスク117及び118を除去する。次に、図13(c)に示すように、酸化シリコン層116をマスクとして、SF6を使用したRIEにより、ポリシリコン層115をエッチングして選択的に除去する。
【0073】
次に、図14(a)に示すように、HF(沸酸)により酸化シリコン層116を除去し、例えば0.3〜8μm、より適切には1〜4μmの厚さのポリシリコン層115を残す。次に、図14(b)に示すように、ポリシリコン層115にリン(P)をドープする。これにより、ポリシリコン層115はN型となり、抵抗値が低下する。このとき、窒化シリコンからなる絶縁層114にはリンは拡散しないので、絶縁層114は絶縁性が保たれる。次に、図14(c)に示すように、駆動電極17及び接続電極18となる金(Au)の配線パターン111を形成する。このようにスルーホール19aの側壁に導電性のポリシリコン層115が形成されることにより、駆動電極17と接続電極18とが相互に接続される。これにより、ベース基板16が作製される。
【0074】
また、駆動電極17及び接続電極18からなる貫通電極を備えたベース基板16は、図15(a)乃至(d)、図16(a)乃至(d)、図17(a)乃至(c)並びに図18(a)及び(b)に示す他の方法によっても作製することができる。先ず、図15(a)に示すように、例えばシリコンからなるシリコン板16aを準備する。そして、図15(b)に示すように、このシリコン板16aを熱酸化し、シリコン板16aの表面に厚さが例えば約1μmの酸化シリコン層122を形成する。次に、図15(c)に示すように、シリコン板16aの表面に、開口部123aが形成されたフォトレジストマスク123を形成する。次に、図15(d)に示すように、このフォトレジストマスク123をマスクとして、CHF3及びCF4を使用した反応性イオンエッチング(RIE)を行い、酸化シリコン層122をエッチングして選択的に除去する。
【0075】
次に、図16(a)に示すように、フォトレジストマスク123を除去する。次に、図16(b)に示すように、酸化シリコン層122をマスクとして、SF6及びCF4を使用したRIEを行い、シリコン板16をエッチングして選択的に除去し、スルーホール19aを形成する。次に、図16(c)に示すように、HF(沸酸)により酸化シリコン層122を除去する。そして、図16(d)に示すように、窒化シリコンからなる絶縁層124をCVDにより形成する。
【0076】
次に、図17(a)に示すように、無電解めっき法により、銅(Cu)層125を例えば0.5〜10μmの厚さに形成する。次に、図17(b)に示すように、シリコン板16aの表面にフォトレジストマスク126を形成し、シリコン板16bの裏面及びスルーホール19aの内部にフォトレジストマスク127を形成する。フォトレジストマスク126にはシートレジストを使用し、フォトレジストマスク127にはスピン塗布したフォトレジストを使用する。次に、図17(c)に示すようにフォトレジストマスク126及び127をマスクとして、ケミカルエッチングにより、銅層125をエッチングして選択的に除去する。
【0077】
その後、図18(a)に示すように、フォトレジストマスク126及び127を除去する。そして、図18(b)に示すように、駆動電極17及び接続電極18となる金(Au)の配線パターン128を形成する。このようにスルーホール19aの側壁に無電解Cu層が形成されることにより、駆動電極17と接続電極18との間の導通が確保される。これにより、ベース基板16が作製される。
【0078】
本実施形態においては、絶縁性の表面を有する基板上に複数の薄膜トランジスタを形成し、スイッチ回路、駆動回路、ロジック回路等をモノリシックに構成した駆動回路基板2に、ミラー素子11を有するミラー基板1を両者の電気的な接続を確保して積層した結果、ミラー基板と駆動基板回路とを別々に作製してフレキシブル基板等により配線する場合と比較して、各ミラー素子へ駆動及び制御信号を供給するための配線を極力少なくすることが可能となる。例えば、m行×n列の光スイッチの場合、従来は、グランド配線を含め、外部との接続を行う配線が、最低でも(4×m×n+1)本必要であった。これに対して、本実施形態によれば、n列に相当するチャンネル数分(4n)の印加電圧発生部を設けた場合においても、配線数は最低で(4×n+m+1)本に低減することができる。これにより、配線引き回し面積、規模の低減、機能デバイスの小型化及び信頼性の向上を図ることができる。また、ドライバ回路部をミラー素子の数だけ設けることなく、1個のドライバ回路部により全てのミラー素子を駆動することが可能となる。これにより、光スイッチが多チャンネル化及び大規模化してミラー素子の数が増大しても、回路部が大型化することがなく、光デバイスが大型化することを抑制することができる。
【0079】
更に、絶縁性の表面を有する基板上に複数の薄膜トランジスタを形成して駆動回路を作製するため、光デバイスを安価に作製することが可能となる。更にまた、ミラー基板と駆動回路基板とを別々の工程で作製し、積層することにより光スイッチを構成するため、各々の作製プロセス及び特性の最適化を図ることができる。なお、本発明の優先権主張の基礎となる出願の出願日より後に公開された特開2002−189178号公報には、半導体基板上に、MEMS素子駆動制御回路、絶縁層、MEMS素子をこの順にモノリシックに形成する技術が記載されている。しかしながら、この特開2002−189178号公報に記載された技術においては、MEMS素子駆動制御回路及びMEMS素子の特性評価を、製造工程の途中で夫々独立して行うことができず、製造工程の最終段階にデバイス全体としての良否判定を行うことしかできない。このため、デバイスの歩留りが低いものになる。これに対して、本実施形態においては、ミラー基板と駆動回路基板とを別々の工程で作製するため、製造工程の途中においてミラー素子と駆動回路とを独立に評価することができ、また、各々の作製プロセス及び特性の最適化を図ることができるため、歩留りの点で有利である。
【0080】
次に、本実施形態の変形例について説明する。図19は本変形例におけるミラー素子を示す平面図である。前述の第1の実施形態においては、4個の駆動電極17a乃至17dが、ミラー本体12の中心軸に対して4回対称な位置に配置された場合について説明した。これに対して、本変形例においては、図19に示すように、3個の駆動電極17e、17f、17gが、ミラー本体12に対して3回対称の位置に配置されている。また、本変形例の機能デバイスにおいては、駆動電極17と同数のスイッチ素子部22が設けられており、駆動電極17e乃至17gは夫々スイッチ素子部22に接続され、各駆動電極に所定の電圧が印加されるようになっている。本変形例における上記以外の構成は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0081】
本変形例においては、前述の第1の実施形態と同様に、ミラー本体12が接地されているため、駆動電極17e乃至17g印加された電圧に応じて、これらの駆動電極とミラー本体12との間に静電気力が発生する。駆動電極17eに電圧を印加するか、又は駆動電極17f及び17gに相互に等しい電圧を印加すると、電圧が印加された駆動電極とミラー本体12との間に静電気力が発生し、ミラー本体12は、X方向に延びる回転軸を中心として回動する。即ち、ミラー本体12は、軸部材13cを回転軸として、リング13bと一体となって回動する。一方、駆動電極17e及び17fに電圧を印加するか、又は駆動電極17e及び17gに電圧を印加すると、ミラー本体12はY方向に延びる回転軸を中心として回動する。即ち、ミラー本体12は軸部材13dを回転軸として、リング13bに対して回動する。このとき、駆動電極17eに電圧を印加するのは、駆動電極17f及び17gがX軸上からずれているため、静電気力による回転トルクのX方向回転軸成分を打ち消すためである。なお、駆動電極17f及び17gのX軸上からのずれ量Lは、X軸とY軸の交点から駆動電極の中心までの距離をrとし、前記交点と前記中心とを結ぶ直線とX軸とのなす角度をθ(3回対称の場合にはθ=30°)とすると、L=r×sinθにより与えられる。
【0082】
このように、本変形例においては、ミラー本体12は直交する回転軸を有し、且つ、駆動電極17がミラー本体12の中心軸に関して3回対称の位置に計3個設けられているため、3個の駆動電極17e、17f、17gのうち、1個又は2個の駆動電極17に電圧を印加することにより、ミラー本体12を任意の方向に傾けることができる。本変形例においては、前述の第1の実施形態と比較して、駆動電極17及びスイッチ素子部22の数を低減することができる。
【0083】
なお、駆動電極が5個以上の場合でも同様な考え方により、各電極による静電気力を各回転軸方向成分に分解し制御することにより、ミラー本体12を任意の方向に傾けることができる。このようにして、ミラー本体12を任意の方向に向け、入射された光を任意の方向に反射することが可能となる。
【0084】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図20は本実施形態に係る機能デバイスを示す部分断面図であり、ミラー素子11のX−X軸(図2参照)をとおりミラーフレーム14の表面に垂直な断面の断面図である。本実施形態の機能デバイスは、前述の第1の実施形態に係る機能デバイスと同様に、光反射ミラーを使用し、この光反射ミラーを駆動する駆動力として静電気力を利用した光スイッチである。但し、本実施形態に係る機能デバイスは、第1の実施形態に係る機能デバイスのように、絶縁性の表面を有する基板21上に複数の薄膜トランジスタを形成して駆動回路を作製したものではなく、シリコン等からなる半導体基板の表面に駆動回路を作製した回路基板を使用するものである。
【0085】
図20に示すように、本実施形態に係る機能デバイスはミラー基板1及び駆動回路基板2aとからなる。駆動回路基板2aにおいては、前述の第1の実施形態における駆動回路基板2とは異なり、シリコン等からなる半導体基板26の表面に薄膜プロセスにて作製したトランジスタによって構成される素子スイッチ部22aが設けられている。素子スイッチ部22aは駆動電極17と同数設けられ、基板26には前述の第1の実施形態と同様に、素子スイッチ部22aを選択して駆動させるドライバ回路部23aが設けられている。素子スイッチ部22a及びドライバ回路部23a上には、SiO2等からなる酸化膜(図示せず)が設けられている。そして、素子スイッチ部22a上には、表面電極24aが設けられている。なお、前記酸化膜の一部は除去され、素子スイッチ部22aは表面電極24aに接続されている。表面電極24aは、ミラー基板1の接続電極18に対向する位置に設けられている。なお、第1の実施形態と同様に、表面電極24a及び接続電極18は、駆動電極17と素子スイッチ部22との間の電気的接続が確保される範囲において、夫々酸化膜(図示せず)及びベース基板16の任意の位置に配置することができる。
【0086】
本実施形態におけるミラー基板1の構成は、第1の実施形態におけるミラー基板1(図2参照)の構成と同じである。本実施形態における機能デバイスの上記以外の構成は、前述の第1の実施形態における機能デバイスと同一である。
【0087】
次に、本実施形態の機能デバイスの動作について説明する。素子スイッチ部22aにおいて発生した電圧は、表面電極24aに印加される。表面電極24aは第1の実施形態と同様に接続電極18を介して駆動電極17と接続されているため、駆動電極17とミラー本体12との間に静電気力が発生し、ミラー本体12の方向を制御する。本実施形態の機能デバイスにおける上記以外の動作は、前述の第1の実施形態に係る機能デバイスの動作と同一である。
【0088】
本実施形態においては、前述の第1の実施形態の効果に加え、シリコン等からなる半導体基板の表面に駆動回路を作製するため、高速且つ高電圧な素子スイッチ部及びドライバ回路部を得ることができる。また、既存の論理回路及び演算回路等を盛り込むことが可能なため、駆動回路の高機能化及び高性能化を実現することができる。
【0089】
なお、前述の特開2002−189178号公報に示されているように、半導体基板上に駆動回路を形成し、この駆動回路上に、ミラー素子等のMEMS素子をモノリシックに形成することも考えられるが、この方法では、駆動回路及びMEMS素子の特性評価を製造途中で行なうことができず、製造工程の最終段階にならないとデバイスの良否判断ができない。これに対して、本実施形態においては、ミラー基板と駆動回路基板とを別々に作製することができるため、これらを独立して評価することが可能である。このため、機能デバイス全体の歩留りが高い。
【0090】
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。図21は本実施形態に係る機能デバイスを示す部分断面図であり、ミラー素子11のX−X軸(図2参照)をとおりミラーフレーム14の表面に垂直な断面の断面図である。本実施形態の機能デバイスは、前述の第1の実施形態に係る機能デバイスと同様に、光反射ミラーを使用し、この光反射ミラーを駆動する駆動力として静電気力を利用した光スイッチである。但し、本実施形態に係る機能デバイスは、第1の実施形態に係る機能デバイスのように、絶縁性の表面を有する基板21上に複数の薄膜トランジスタを形成して駆動回路を作製したものではなく、絶縁性の基板上に複数の半導体チップ、受動素子等を設け、相互に配線し、モールドして駆動回路を作製した回路基板を使用するものである。
【0091】
図21に示すように、本実施形態に係る機能デバイスはミラー基板1及び駆動回路基板2bとからなる。駆動回路基板2bは、前述の第1の実施形態における駆動回路基板2と比較して、素子スイッチ部及びドライバ回路部の構成が異なっている。本実施形態においては、セラミックス又はエポキシ等からなる絶縁性基板27上に、1又は複数の半導体集積回路及び受動回路部品等の回路チップ28が搭載され、素子スイッチ部22bが構成されている。素子スイッチ部22bは駆動電極17と同数設けられるが、1の絶縁性基板27上に複数の素子スイッチ部22bが設けられていてもよい。絶縁性基板27はベース基板21bに保持され、絶縁性樹脂層3bによりモールドされている。ベース基板21bには、第1の実施形態と同様な貫通電極が設けられ表面電極24bが形成され、絶縁性基板27上の素子スイッチ部22bはワイヤボンディング等により表面電極24bに接続されている。
【0092】
なお、前述の第1の実施形態と同様に、表面電極24b及び接続電極18は、駆動電極17と素子スイッチ部22bとの間の電気的接続が確保される範囲において、夫々ベース基板21b及びベース基板16の任意の位置に配置することができる。また基板21bには前述の第1の実施形態と同様に、素子スイッチ部22bを選択して駆動させるドライバ回路部23bが設けられている。
【0093】
本実施形態におけるミラー基板1の構成は、第1の実施形態におけるミラー基板1(図2参照)の構成と同じである。本実施形態における機能デバイスの上記以外の構成は第一の実施形態における機能デバイスと同一である。
【0094】
本実施形態の機能デバイスの動作について説明する。素子スイッチ部22bにおいて発生した電圧は、貫通電極を介して表面電極24bに印加される。表面電極24bは第1の実施形態と同様に接続電極18を介して駆動電極17と接続されているため、駆動電極17とミラー本体12との間に静電気力が発生し、ミラー本体12の方向を制御する。本実施形態の光デバイスにおける上記以外の動作は、前述の第1の実施形態に係る機能デバイスの動作と同一である。
【0095】
本実施形態においては、前述の第1の実施形態の効果に加え、複数の回路チップにより駆動回路を作製するため、高電圧な素子スイッチ部及びドライバ回路部を得ることができる。また、駆動回路の作製に複雑な薄膜プロセスを使用することがないため、駆動回路のコストを低減する効果がある。
【0096】
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。図22は本実施形態に係る機能デバイスの構成を示す部分断面図であり、ミラー素子11のX−X軸(図2参照)をとおりミラーフレーム14の表面に垂直な断面の断面図である。本実施形態の機能デバイスは、前述の第1の実施形態に係る機能デバイスと同様に、光反射ミラーを使用し、この光反射ミラーを駆動する駆動力として静電気力を利用した光スイッチである。但し、本実施形態に係る機能デバイスは、第1の実施形態に係る機能デバイスのように、ベース基板16の裏面に形成された接続電極18と駆動回路基板2の表面電極24との電気的接続を接続用突起31及び接着部材32を介して確保するものではなく、駆動基板回路2の表面電極24をミラー素子11の駆動電極とするものである。
【0097】
図22に示すように、本実施形態に係る機能デバイスはミラー基板1a及び駆動回路基板2とからなる。ミラー基板1aは前述の第1の実施形態におけるミラー基板1(図2参照)と比較して、駆動電極17、ベース基板16、接続電極18、接続用突起31が省略されている。また、本実施形態に係る機能デバイスにおいては、第1の実施形態に係る機能デバイスと比較して、樹脂層3及び接続部材32が省略されている。本実施形態における駆動回路基板2の構成は、第1の実施形態における駆動回路基板2(図2参照)の構成と同じである。なお、本実施形態においては、駆動回路基板2の絶縁体層25が接合層の役割を果たしている。本実施形態に係る機能デバイスの上記以外の構成は、第1の実施形態に係る機能デバイスの構成と同じである。
【0098】
本実施形態の機能デバイスの動作について説明する。素子スイッチ部22において発生した電圧は、コンタクトホール25a内の導電材25bを介して表面電圧24に印加される。そして、表面電極24とミラー本体12との間に静電気力が発生し、ミラー本体12の方向を制御する。即ち、本実施形態においては、第1の実施形態において駆動電極17が果たす役割を表面電極24が果たしている。本実施形態の機能デバイスにおける上記以外の動作は、前述の第1の実施形態に係る機能デバイスの動作と同一である。
【0099】
本実施形態においては、前述の第1の実施形態の効果に加え、図2に示す駆動電極17、ベース基板16、接続電極18、接続用突起31、樹脂層3及び接続部材32を省略することができる。これにより、光デバイスの構成を簡略化し、コストを低減することができる。また、電極間の接続を確保するための接続電極18上への接続用突起31の形成及び接続電極18と表面電極24との間の位置合せといった工程を省略できるため、更にコストを低減することができる。
【0100】
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。図23は本実施形態に係る機能デバイスの構成を示す部分断面図であり、ミラー素子11のX−X軸(図2参照)をとおりミラーフレーム14の表面に垂直な断面の断面図である。本実施形態の機能デバイスは、前述の第1乃至第4の実施形態に係る機能デバイスと同様に、光反射ミラーを使用し、この光反射ミラーを駆動する駆動力として静電気力を利用した光スイッチである。
【0101】
図23に示すように、本実施形態に係る機能デバイスはミラー基板1b及び駆動回路基板2cとからなる。ミラー基板1bは、前述の第4の実施形態におけるミラー基板1a(図22参照)と比較して、ミラー本体12が半透過性のミラー本体82に置き換えられている点が異なっている。即ち、ミラー本体82においては、入射光の一部が反射され、残部が真直ぐ通過する。ミラー本体82には、例えば、透明基板上に薄い皮膜を形成したものを使用する。
【0102】
また、駆動回路基板2cは、第4の実施形態における駆動回路基板2(図22参照)と比較して、基板21の替わりにガラス等の透明絶縁体からなる透明基板21cが設けられている点が異なっている。また、絶縁体層25の替わりに、透明絶縁体層25cが設けられている。更に、表面電極24の替わりにITO(インジウム・ティン・オキサイド)等からなる透明導電性表面電極84が設けられている。更にまた、駆動回路基板2cの透明基板21cの裏面(素子スイッチ部22が配置されていない面)には、ピンフォトダイオード又はアバランシェフォトダイオード等の光検出素子83を備える光検出基板81が設けられている。光検出素子83は、ミラー本体82の直下の位置に配置され、ミラー本体82と同程度の面積の受光素子面を持つ。本実施形態に係る光デバイスの上記以外の構成は、前述の第4の実施形態に係る機能デバイス(図22参照)の構成と同じである。
【0103】
本実施形態の機能デバイスの動作について説明する。素子スイッチ部22において発生した電圧は、コンタクトホール25a内の導電材25bを介して透明導電性表面電極84に印加される。そして、透明導電性表面電極84とミラー本体82との間に静電気力が発生し、ミラー本体82の方向を制御する。即ち、本実施形態においては、第4の実施形態において駆動電極24が果たす役割を透明導電性表面電極84が果たしている。また、ミラー本体82に入射された光の一部は反射され、残部は透過する。この透過した光は、透明導電性表面電極84、透明絶縁体層25c、透明基板21bを透過して光検出素子83の受光面に達する。本実施形態の機能デバイスにおける上記以外の動作は、第1の実施形態の機能デバイスの動作と同一である。
【0104】
本実施形態においては、透明表面電極84がミラー本体82に対して静電気力を発生する駆動電極として機能するため、第4の実施形態と同様な動作を確保することができる。また、ミラー本体82が半透過性であり、駆動電極が透明電極84であり、ガラス等の透明絶縁体からなる透明基板21bを使用しているため、入射した光の一部は、光検出基板81に設けられた光検出素子83に入射する。この結果、ミラー本体82を駆動させて入射光を所定の方向へ配向しながら、入射光の一部は常に光検出素子83に入射させることが可能となる。
【0105】
この結果、本実施形態においては前述の第4の実施形態における効果に加え、光検出素子83により通信中に常時、光信号強度をモニターすることが可能となる。このため、光スイッチを通過する光信号の異常及び通信経路の断線等の不具合を検出することができる。これにより、通信の確実な光路確保並びに通信ネットワークの品質向上及び信頼性向上を図ることができる。
【0106】
次に、本発明の第6の実施形態について説明する。図24は本実施形態に係る機能デバイスの構成を示す斜視図である。また、図25は図24に示すA−A線による断面図である。本実施形態の機能デバイスは、可変波長フィルターを使用し、この可変波長フィルターを駆動する駆動力として静電気力を利用した機能デバイスである。
【0107】
図24に示すように、本実施形態に係る機能デバイスは、駆動回路基板2上にフィルター基板91が積層されて形成されている。フィルター基板91においては、ベース基板96が設けられ、このベース基板96上に少なくとも1個、例えば6個の可変波長フィルター素子部92がアレイ状に配列されている。可変波長フィルター素子部92は、シリコン基板がエッチングされて作製されているか、又は堆積させたポリシリコン薄膜をシリコン半導体加工技術により3次元的に加工して作製されている。可変波長フィルター素子部92は、フィルター素子95、フィルター素子95を支える運動可能な駆動子93及び固定子94から構成され、フィルター素子95には、連続的な膜厚変化を持った誘電体多層膜を使用するフィルター、又は相互に対向する反射面の間隙を変化させるファブリペロー型フィルター等が使用される。図24においては、誘電体多層膜を使用するフィルターを設けた場合を示す。
【0108】
フィルター素子95として誘電体多層膜を使用する場合には、駆動子93の運動方向は入射光が入射する方向に直交する方向であり、例えば図24において、Y方向に入射光Bが入射する場合には駆動子93の運動方向はX方向となる。一方、フィルター素子として相互に対向する反射面の間隙を変化させるファブリペロー型フィルター(図示せず)を使用する場合には、駆動子の運動方向は入射光の入射方向と平行な方向であり、例えば図24において、Y方向に入射光Bが入力される場合には駆動子の運動方向はY方向となる。
【0109】
駆動子93及び固定子94は、夫々櫛歯状の形状の電極を有しており、相互に入れ子状態になるように配置されている。駆動子93は、フィルター基板91のベース基板96に固定された板バネ(図示せず)等により支持され、ベース基板96から分離されている。なお、駆動子93及び固定子94の形状は図24に示す櫛歯状形状に限定されず、誘電体多層膜フィルターの場合には光の入射方向と垂直方向、ファブリペロー型フィルターの場合には光の入射方向と平行といった所定方向への駆動ができれば、種々の形状をとることが可能である。
【0110】
また、図25に示すように、ベース基板96の表面(可変波長フィルター素子部92が配置されている面)には、駆動子93に接続される駆動電極97a及び固定子94に接続される駆動電極97bが設けられている。また、ベース基板96における駆動電極97a及び97bの下方にはスルーホール96aが設けられている。尚、スルーホール96a内にはハンダ、スズ(Sn)等からなる導電材96bが埋め込まれていてもよい。ベース基板96の裏面(可変波長フィルター素子部92が配置されていない面)におけるスルーホール96aの下方には、駆動子電極98及び固定子電極99が設けられている。また、駆動子電極98及び固定子電極99の表面には、夫々接続用突起31が設けられている。駆動子電極98及び固定子電極99はスルーホール96aに埋め込まれた導電材96bを介して、夫々駆動子93及び固定子94に接続されている。駆動子電極98は板バネ(図示せず)を介して駆動子93と接続されている。本実施形態における駆動回路基板2の構成は、図25においては前述の第1の実施形態における駆動回路基板2の構成と同一のもので説明したが、前述の第2の実施形態における駆動回路基板2aもしくは第3の実施形態における駆動回路基板2bと同一のものであってもよい。
【0111】
フィルター基板91は樹脂層3を介して駆動回路基板2上に積層されている。より詳しくは、駆動回路基板2の表面に設けられた素子スイッチ部22の電極に接続された表面電極24と、フィルター基板91の裏面に設けられた駆動子電極98及び固定子電極99とが電気的に接続されている。
【0112】
また、接続用突起(バンプ)31は、表面電極24に夫々当接しており、接続用突起31及び表面電極24を覆うように、半田又は導電性接着剤からなる接続部材32が設けられている。そして、この接続用突起31と表面電極24とが圧着等により相互に接合され、接続部材32により周囲を覆われて補強されている。更に、ベース基板96と絶縁体層25との間における駆動子電極98、固定子電極99、接続用突起31、表面電極24及び接続部材32の周囲には、熱硬化性接着剤等の樹脂層3が充填され封止されている。
【0113】
なお、本実施形態においては、接続用突起31を駆動子電極98及び固定子電極99の表面に設け、接続用突起31を表面電極24に当接させる例を示したが、接続用突起31を表面電極24上に設け、駆動子電極98及び固定子電極99に当接させてもよい。この場合は、接続部材32は接続用突起31及び駆動子電極98及び固定子電極99を覆うように形成する。
【0114】
また、本実施形態においては、駆動子電極98及び固定子電極99は、夫々駆動子93及び固定子94の真下に配置し、その位置で表面電極24と接続する例を説明したが、駆動子電極98及び固定子電極99並びに表面電極24は両者の電気的接続が確保される限りにおいて、夫々ベース基板96の裏面及び絶縁体25の表面における任意の位置に配置することができる。
【0115】
次に、本実施形態に係る機能デバイスの動作について説明する。前述の第1の実施形態と同様な動作により、所定の素子スイッチ部22が選択され、この素子スイッチ部22からコンタクトホール25aを介して表面電極24に電圧が印加される。但し、第1の実施形態においては、1個のミラー素子11(図2参照)を駆動するためには4個の素子スイッチ部22が必要であったが、本実施形態においては、1個の可変波長フィルター素子部92を駆動するためには、最低2個の素子スイッチ部22があればよい。
【0116】
第1の実施形態と同様に、所定の可変波長フィルター素子92の駆動を行うために、この可変波長フィルター素子92に相当する素子スイッチ部22のゲートを導通状態(オン)とし、印加電圧発生部63(図6参照)からの電圧を固定子電極99及び駆動子電極98に印加する。駆動子電極98に印加された電圧は、導電材96b及び駆動電極97aを介して駆動子93に印加される。また、固定子電極99に印加された電圧は、導電材96b及び駆動電極97bを介して固定子94に印加される。駆動子93及び固定子94は、夫々櫛歯状の形状の電極を有しており、相互に入れ子状態になるように配置されているため、駆動子93と固定子94との間に静電気力が発生する。これにより、駆動子93は、固定子電極99と駆動子電極98との間に印加した電圧に応じてX方向に移動する。
【0117】
従って、駆動子93に連結されたフィルター素子95も駆動子93の移動に伴って移動する。この結果、フィルター素子95が入射光Bの経路に介在するようになる。フィルター素子95は誘電体多層膜からなるため、Y方向に入射する入射光Bのうち、フィルター素子95を透過できる光の波長は特定の波長に限定される。また、フィルター素子95はX方向に膜厚勾配を持つ形状を有するため、フィルター素子95のX方向の移動により、フィルター素子95を透過できる光の波長が変化する。これにより、入射光Bから任意の波長を選択的に透過させるフィルターを得ることができる。また、光デバイスに可変波長フィルター素子92を複数設けることにより、複数のチャンネルのフィルターを持つ光デバイスを得ることができる。
【0118】
また、本実施形態においては、固定子94及び駆動子93に各々電圧を印加する場合を示したが、駆動子93の駆動のためには固定子94と駆動子93の両電極間の印加される電位差のみが必要である。従って、固定子94をグランドに接地し、駆動子93に所定の電圧を印加しても、両者に夫々電圧を印加する場合と同等の動作が可能である。この場合は、固定子94に接続するスイッチ部22を省くことができ、機能デバイスの構成をより簡略化できる。
【0119】
本実施形態においては、複数のチャンネルのフィルターを備えた機能デバイスにおいて、可変波長フィルター素子へ駆動及び制御信号を供給するための配線を極力少なくすることが可能となり、これにより、光デバイスの小型化及び高信頼性化を図ることができる。また、ドライバ回路部を可変波長フィルター素子の数だけ設けることなく、1個のドライバ回路部により全ての可変波長フィルター素子を駆動することが可能である。これにより、可変波長フィルター素子が多チャンネル化しても、回路部が大型化することがなく、機能デバイスが大型化することを抑制することができる。更に、基板上に複数のトランジスタを形成して駆動回路を作製するため、機能デバイスを安価に作製することが可能となる。更にまた、フィルター機能素子と駆動回路基板とを別々の工程で作製し、積層することにより機能デバイスを構成するため、各々の作製プロセス及び特性の最適化を図ることができる。
【0120】
次に、本発明の第7の実施形態について説明する。図26は本実施形態に係る機能デバイスの構成を示す斜視図であり、図27は図26に示すA−A線による断面図である。本実施形態の機能デバイスは、RF微小電気機械スイッチを使用し、このスイッチを駆動する駆動力として静電気力を利用した機能デバイスである。
【0121】
図26及び図27に示すように、本実施形態に係る機能デバイスは、駆動回路基板2上にスイッチ基板161が積層されて形成されている。スイッチ基板161においては、ベース基板1616が設けられ、このベース基板1616上に少なくとも1個、例えば6個のスイッチ素子部1611がアレイ状に配列されている。スイッチ素子部1611は、シリコン基板がエッチングされて作製されているか、又は堆積させたポリシリコン薄膜をシリコン半導体加工技術により3次元的に加工して作製されている。
【0122】
スイッチ素子部1611においては、ベース基板1616上に支持台1615が設けられており、支持台1615上に可撓性の片持ビーム1612が設けられている。片持ビーム1612の形状は直方体であり、その長手方向はベース基板1616の表面に平行な方向に延びている。片持ビーム1612の一方の端部1612aは支持台1615により支持されており、他方の端部1612bは支持されていない。そして、この他方の端部1612bの下面には電気的接点1628が設けられており、片持ビーム1612が電気的接点1628を支えるようになっている。また、ベース基板1616上には電気的接点1629が設けられている。電気的接点1629は、端部1612bが下方に変位するように片持ビーム1612が変形して、電気的接点1628の位置が下がったときに、この電気的接点1628に接触する位置に配置されている。更に、接点1629はRF入力ポートを形成しており、RF入力信号が入力されるようになっており、一方、接点1628はRF出力ポートを形成している。
【0123】
また、図27に示すように、ベース基板1616上に駆動電極1617a及び1617bが設けられている。片持ビーム1612上には駆動電極1617cが設けられ、ベース基板1616上の駆動電極1617bと接続されている。これにより、駆動電極1617a及び駆動電極1617cは、片持ビーム1612及び支持台1615により所定の間隔で配置される。そして、ベース基板1616における駆動電極1617a及び1617bの下方にはスルーホール19aが設けられ、スルーホール19aの下方には接続電極18が設けられている。駆動電極1617a及び1617bと接続電極18はスルーホール19aにより相互に接続されている。なお、スルーホール19a内にはハンダ、スズ(Sn)等からなる導電体19bが埋め込まれていてもよい。更に、接続電極18の表面には、Au(金)又は半田からなる接続用突起(バンプ)31が設けられている。
【0124】
駆動回路基板2及び樹脂層3の構成は、前述の第1の実施形態と同様である。即ち、スイッチ基板161は樹脂層3を介して駆動回路基板2上に積層されている。より詳しくは、駆動回路基板2の表面に設けられた素子スイッチ部22の電極に接続された表面電極24と、スイッチ基板161の裏面に設けられた接続電極18とが電気的に接続されている。また、接続用突起(バンプ)31は、表面電極24に夫々当接しており、接続用突起31及び表面電極24を覆うように、半田又は導電性接着剤からなる接続部材32が設けられている。そして、この接続用突起31と表面電極24とが圧着等により相互に接合され、接続部材32により周囲を覆われて補強されている。更に、ベース基板1616と絶縁体層25との間における接続電極18、接続用突起31、表面電極24及び接続部材32の周囲には、熱硬化性接着剤等からなる樹脂層3が充填され封止されている。
【0125】
なお、本実施形態においては、接続用突起31を接続電極18の表面に設け、接続用突起31を表面電極24に当接させる例を示したが、接続用突起31を表面電極24上に設け、接続電極18に当接させてもよい。この場合は、接続部材32は接続用突起31及び接続電極18を覆うように形成する。
【0126】
また、本実施形態においては、接続電極18は、駆動電極1617a及び1617bの真下に配置し、その位置で表面電極24と接続する例を説明したが、接続電極18並びに表面電極24は両者の電気的接続が確保される限りにおいて、夫々ベース基板1616の裏面及び絶縁体25の表面における任意の位置に配置することができる。
【0127】
本実施形態における駆動回路基板2の構成は、前述の第1の実施形態における駆動回路基板2の構成と同一のものとしたが、前述の第2の実施形態における駆動回路基板2a又は第3の実施形態における駆動回路基板2bと同一のものであってもよい。
【0128】
次に、本実施形態に係る機能デバイスの動作について説明する。前述の第1の実施形態と同様な動作により、所定の素子スイッチ部22が選択され、この素子スイッチ部22からコンタクトホール25aを介して表面電極24に電圧が印加される。但し、第1の実施形態においては、1個のミラー素子11(図2参照)を駆動するためには4個の素子スイッチ部22が必要であるが、本実施形態においては、1個のスイッチ素子部1611を駆動するためには、最低2個の素子スイッチ部22があればよい。
【0129】
そして、素子スイッチ部22のゲートを導通状態(オン)とし、印加電圧発生部63(図6参照)からの電圧を接続電極18a及び18bに印加する。接続電極18aに印加された電圧は、駆動電極1617aに印加される。接続電極18bに印加された電圧は、駆動電極1617bを介して駆動電極1617cに印加される。これにより、駆動電極1617aと駆動電極1617cとの間に静電気力が発生し、片持ビーム1612が変形し、その端部1612bが下方に変位する。この結果、電気的接点1628が電気的接点1629に接触し、RF入力信号がRF出力ポートに出力される。電圧が駆動電極1617a及び1617cから除かれると、片持ビーム1612は片持ビーム1612自身の復元力により、図27に示す静的位置に戻る。
【0130】
なお、ベース基板1616上に相互に離間した2つの電気的接点1629を設け、夫々RF入力端子及びRF出力端子とし、この2つの電気的接点が、電気的接点1628と接触することにより、RF入力端子がRF出力端子に接続されるようにしてもよい。
【0131】
本実施形態においては、RF入力信号の出力ポートへの出力及び切断を選択的に行なうRFスイッチを実現することができる。また、機能デバイスにスイッチ素子部1611を複数設けることにより、複数のチャンネルのスイッチを持つ機能デバイスを得ることができる。
【0132】
また、本実施形態においては、駆動電極1617a及び駆動電極1617cに各々電圧を印加する場合を示したが、スイッチ素子部1611の駆動のためには駆動電極1617aと駆動電極1617cとの両電極間の印加される電位差のみが必要である。従って、駆動電極1617cをグランドに接続し、駆動電極1617aに所定の電圧を印加してもよく、又はその逆に、駆動電極1617aにグランド電位を印加し、駆動電極1617cに所定の電位を印加してもよい。この場合においても、両者に夫々電圧を印加する場合と同等の動作が可能である。この場合は、駆動電極1617cに接続するスイッチ部22を省くことができ、機能デバイスの構成をより簡略化できる。
【0133】
本実施形態においては、複数のチャンネルのスイッチを備えた機能デバイスにおいて、スイッチ素子部へ駆動及び制御信号を供給するための配線を極力少なくすることが可能となり、これにより、機能デバイスの小型化及び信頼性の向上を図ることができる。また、ドライバ回路部をスイッチ素子部の数だけ設けることなく、1個のドライバ回路部により全てのスイッチ素子部を駆動することが可能である。これにより、スイッチ素子部が多チャンネル化しても、回路部が大型化することがなく、機能デバイスが大型化することを抑制することができる。更に、基板上に複数のトランジスタを形成して駆動回路を作製するため、機能デバイスを安価に作製することが可能となる。更にまた、スイッチ機能素子と駆動回路基板とを別々の工程で作製し、積層することにより機能デバイスを構成するため、各々の作製プロセス及び特性の最適化を図ることができる。
【0134】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、多チャンネル化しても大型化することを抑制でき、更に、低コスト化及び光通信の信頼性の向上を図った機能デバイスを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る機能デバイスの構成を示す斜視図である。
【図2】図3に示すミラー素子11のX−X軸をとおり、ミラーフレーム14の表面に垂直な断面の断面図である。
【図3】ミラー素子11の構成を示す拡大平面図である。
【図4】本実施形態における光反射ミラー素子の電極配置を示す断面図である。
【図5】本実施形態に係る機能デバイスにおける1個の光反射ミラー素子を駆動する4個のミラー素子スイッチ部を示す等価回路図である。
【図6】本実施形態に係る機能デバイスにおけるミラー素子スイッチ部及びドライバ回路部の構成を示す等価回路図である。
【図7】本実施形態に係る機能デバイスの製造方法を示すフローチャート図である。
【図8】(a)乃至(g)は、本実施形態に係る機能デバイスの製造方法をその工程順に示す断面図である。
【図9】(a)乃至(c)は、本実施形態に係る機能デバイスの製造方法をその工程順に示す断面図であり、図8の後の工程を示す。
【図10】(a)乃至(d)は、本実施形態におけるベース基板16の形成方法をその工程順に示す断面図である。
【図11】(a)乃至(d)は、本実施形態におけるベース基板16の形成方法をその工程順に示す断面図であり、図10の後の工程を示す。
【図12】(a)乃至(c)は、本実施形態におけるベース基板16の形成方法をその工程順に示す断面図であり、図11の後の工程を示す。
【図13】(a)乃至(d)は、本実施形態におけるベース基板16の形成方法をその工程順に示す断面図であり、図12の後の工程を示す。
【図14】(a)乃至(c)は、本実施形態におけるベース基板16の形成方法をその工程順に示す断面図であり、図13の後の工程を示す。
【図15】(a)乃至(d)は、本実施形態における他のベース基板16の形成方法をその工程順に示す断面図である。
【図16】(a)乃至(d)は、このベース基板16の形成方法をその工程順に示す断面図であり、図15の後の工程を示す。
【図17】(a)乃至(c)は、このベース基板16の形成方法をその工程順に示す断面図であり、図16の後の工程を示す。
【図18】(a)及び(b)は、このベース基板16の形成方法をその工程順に示す断面図であり、図17の後の工程を示す。
【図19】本実施形態の変形例におけるミラー素子を示す平面図である。
【図20】本発明の第2の実施形態に係る機能デバイスを示す部分断面図であり、ミラー素子11のX−X軸(図2参照)をとおりミラーフレーム14の表面に垂直な断面の断面図である。
【図21】本発明の第3の実施形態に係る機能デバイスを示す部分断面図であり、ミラー素子11のX−X軸(図2参照)をとおりミラーフレーム14の表面に垂直な断面の断面図である。
【図22】本発明の第4の実施形態に係る機能デバイスの構成を示す部分断面図であり、ミラー素子11のX−X軸(図2参照)をとおり、ミラーフレーム14の表面に垂直な断面の断面図である。
【図23】本発明の第5の実施形態に係る機能デバイスの構成を示す部分断面図であり、ミラー素子11のX−X軸(図2参照)をとおり、ミラーフレーム14の表面に垂直な断面の断面図である。
【図24】本発明の第6の実施形態に係る機能デバイスの構成を示す斜視図である。
【図25】図24に示すA−A線による断面図である。
【図26】本発明の第7の実施形態に係る機能デバイスの構成を示す斜視図である。
【図27】図26に示すA−A線による断面図である。
【符号の説明】
1、1a、1b;ミラー基板
2、2a、2b、2c;駆動回路基板
3、3b;樹脂層
4;外部入力ポート
11;ミラー素子
11a;シリコン基板
12;ミラー本体
13;支持体
13b;リング
13c、13d;軸部材
14;ミラーフレーム
14a;開口部
15;支持台
16、1616;ベース基板
16a;シリコン板
17、17a、17b、17c、17d、17e、17f、17g;駆動電極
18、18a、18b;接続電極
19a;スルーホール
19b;導電体
21;基板
21b;ベース基板
21c;透明基板
22、22a、22b;素子スイッチ部
23、23a、23b;ドライバ回路部
24、24a、24b;表面電極
25;絶縁体層
25a;コンタクトホール
25b;導電体
25c;透明絶縁体層
26;半導体基板
27;絶縁性基板
31;接続用突起(バンプ)
32;接続部材
51;ゲート線
52;ドレイン/ソース線
53;薄膜トランジスタ
55;保持キャパシタ
56;端子
61;ドレイン/ソース線駆動回路
62;ゲート線駆動回路
63;印加電圧発生部
81;光検出基板
82;ミラー本体
83;光検出素子
84;透明導電性表面電極
91;フィルター基板
92;可変波長フィルター素子部
93;駆動子
94;固定子
95;フィルター素子
96;ベース基板
96a;スルーホール
96b;導電材
97a;駆動電極
97b;駆動電極
98;駆動子電極
99;固定子電極
111、128;配線パターン
112、122;酸化シリコン層
113、117、118、123、126、127;フォトレジストマスク
113a、123a;開口部
114、124;絶縁層
115;ポリシリコン層
116;酸化シリコン層
125;銅層
161;スイッチ基板
1616;ベース基板
1611;スイッチ素子部
1615;支持台
1612;片持ビーム
1612a、1612b;端部
1628、1629;電気的接点
1617a、1617b;駆動電極
B;入射光
D/S1、D/S2、・・・、D/S4n;走査列
G1、G2、・・・、Gm;走査行
Claims (12)
- 入力された信号を加工して出力する複数の機能素子と、基板及びこの基板上に設けられ前記機能素子を駆動する駆動回路を備えた駆動回路基板と、絶縁性材料からなり前記機能素子と前記駆動回路基板とを相互に接合する絶縁層及びこの絶縁層中に設けられ前記機能素子と前記駆動回路とを相互に接続する接続端子を備えた接合層と、を有し、
前記機能素子が、前記入力された信号に対して加工処理を施す加工素子と、この加工素子を運動可能に支持する微小電気機械部と、前記駆動回路から電圧が印加され前記加工素子との間に静電気力を発生させることにより前記加工素子を運動させる駆動電極と、を有するものであり、
前記信号が光信号であり、前記加工素子がこの光信号の少なくとも一部を反射する光反射ミラーであり、前記微小電気機械部が前記光反射ミラーを回動可能に支持するものであり、前記駆動電極が前記光反射ミラーの角度を制御して前記光反射ミラーが入力された前記光信号を選択的に出力することにより、光のスイッチングを行うとともに、
前記駆動電極が透明導電体からなり、前記光反射ミラーが半透過性であり、前記基板が透明絶縁体からなり、前記駆動回路基板が前記機能素子に対向していない側の面に光検出素子を含む光検出基板を有することを特徴とする機能デバイス。 - 前記駆動回路を外部回路に接続する入出力端子を有し、この入出力端子の数が前記接続端子の数よりも少ないことを特徴とする請求項1に記載の機能デバイス。
- 前記各機能素子が前記駆動電極を3個以上有していることを特徴とする請求項1に記載の機能デバイス。
- 前記駆動電極が前記接合層における前記加工素子に対向する面に配置されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の機能デバイス。
- 前記駆動回路が、アレイ状に配列された複数のトランジスタと、このトランジスタのゲート電極に接続された1又は複数のゲート線と、前記トランジスタのソース電極に接続された複数のドレイン/ソース線と、前記トランジスタのドレイン電極及び前記駆動電極に接続され前記ドレイン電極に印加された電圧を前記駆動電極に印加する端子と、前記ドレイン/ソース線に選択的に信号を入力するドレイン/ソース駆動回路と、を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の機能デバイス。
- 前記駆動回路が、前記ゲート線に選択的に信号を入力するゲート駆動回路を有することを特徴とする請求項5に記載の機能デバイス。
- 前記駆動回路が、前記ドレイン/ソース駆動回路に電圧を供給する印加電圧発生部を有し、前記電圧は前記ドレイン/ソース駆動回路によって選択されたドレイン/ソース線、このドレイン/ソース線に接続された前記トランジスタ及びこのトランジスタに接続された前記端子を介して前記駆動電極に印加され、この駆動電極と前記加工素子との間に静電気力を発生させることを特徴とする請求項5又は6に記載の機能デバイス。
- 表面に入力された光の少なくとも一部に対して光加工処理を行い出力する機能素子を備え、前記機能素子を支持すると共に前記機能素子の動作を制御する微小電気機械部を備えた機能素子可動支持構造体と、前記機能素子可動支持構造体から見て前記機能素子が設けられていない側に配置され、絶縁体からなる基板及びこの基板上に形成され前記微小電気機械部の動作を制御する駆動回路を備えた駆動回路基板構造体と、を有し、
前記機能素子が入力された光の少なくとも一部を反射して前記入力された光を選択的に出力することにより光のスイッチングを行う光反射ミラーであり、
透明導電体からなり前記駆動回路に接続され前記光反射ミラーとの間に発生する静電気力によって前記機能素子の動作を制御する電極を有し、前記光反射ミラーが半透過性であり、前記基板が透明絶縁体からなり、前記駆動回路基板構造体が前記機能素子可動支持構造体に対向していない側の面に光検出素子を含む光検出基板を有することを特徴とする機能デバイス。 - 前記電極が駆動回路基板構造体における前記機能素子可動支持構造体に対向する面に配置されていることを特徴とする請求項8に記載の機能デバイス。
- 前記駆動回路が、アレイ状に配列された複数のトランジスタと、このトランジスタのゲート電極に接続された1又は複数のゲート線と、前記トランジスタのソース電極に接続された複数のドレイン/ソース線と、前記トランジスタのドレイン電極及び前記第1の電極に接続され前記ドレイン電極に印加された電圧を前記第1の電極に印加する端子と、前記ドレイン/ソース線に選択的に信号を入力するドレイン/ソース駆動回路と、を有することを特徴とする請求項8又は9に記載の機能デバイス。
- 前記駆動回路が、前記ゲート線に選択的に信号を入力するゲート駆動回路を有することを特徴とする請求項10に記載の機能デバイス。
- 前記駆動回路が、前記ドレイン/ソース駆動回路に電圧を供給する印加電圧発生部を有し、前記電圧は前記ドレイン/ソース駆動回路によって選択されたドレイン/ソース線、このドレイン/ソース線に接続された前記トランジスタ及びこのトランジスタに接続された前記端子を介して前記第1の電極に印加され、この第1の電極と前記機能素子との間に静電気力を発生させることを特徴とする請求項10又は11に記載の機能デバイス。
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