JP4019553B2 - コイル装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はコイル装置に関し、特にリード線を引き出す部分の構造の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、コイル装置からリード線を引き出す部分の構造を開示した一例として、実開平3−120004号に記載されたものが知られている。このものは、図9に示すように、内部にコイル1を収容した合成樹脂製の外装体2に接続筒3を一体に突設して、この接続筒3内にコイル1に導通された端子4を突出させる一方、リード線5の端末に中間端子6を固着し、この中間端子6をハンダ付けにより端子4に固着接続するようにしていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに従来のものは、リード線5を端子4に接続するに当たり、中間端子6を必要とすることで部品点数が増え、また作業工数についても、リード線5の端末に中間端子6を固着したのち、この中間端子6と端子4とをハンダ付けする必要があって工数が多く、その結果、製造コストの増加を招くという問題があった。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、その目的は、リード線の引き出し部分の構造を簡略化するところにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明に係るコイル装置は、コイルの収容された絶縁材からなる外装体には接続部が形成されて、この接続部から前記コイルと導通された接続端子の一部が突出され、この突出部分に、リード線の芯線を直接に固着接続可能な固着部が形成され、前記リード線の固着部分の回りを覆う筒状をなしかつ長さ方向の途中が横壁で仕切られたカバーが設けられて、このカバーの一端が、前記横壁から突設された縦壁を前記接続部の表面に形成された差込溝に差し込みつつこの接続部に嵌着され、前記カバー内における前記接続部に嵌着される側と反対の端部側に、前記リード線を挿通したゴム栓が嵌着される一方、同カバー内における前記接続部に嵌着される端部側に前記リード線の固着部分が収容され、かつ周壁に開口された窓孔からシール材が充填されている構成としたところに特徴を有する。
【0005】
請求項2の発明は、請求項1に記載のものにおいて、前記固着部が、前記リード線の芯線に対してかしめ圧着されるバレルであるところに特徴を有する。
請求項3の発明は、請求項1に記載のものにおいて、前記固着部が、前記リード線の被覆を破りつつ前記芯線に接触される圧接刃であるところに特徴を有する。
【0006】
請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のものにおいて、前記リード線における前記接続端子に固着される側と反対側の端部にはコネクタが設けられているところに特徴を有する。
【0007】
【発明の作用及び効果】
<請求項1の発明>
リード線は、その芯線が接続端子における固着部に直接に固着されることで、コイルと接続された状態で引き出される。
中間端子等の別部品を備えることなくリード線を直接に接続端子に固着することができるから、部品点数の削減が図れ、また作業工数も減少することができ、もって製造コストの低減を図ることができる。
さらに、リード線の接続端子との接続部分、すなわちリード線の引き出し部分のシールを図ることができる。
【0008】
<請求項2の発明>
リード線の芯線がバレルにかしめ圧着されることで接続端子に接続される。
<請求項3の発明>
リード線の端末が圧接刃に圧接されることで接続端子に接続される。
【0009】
<請求項4の発明>
リード線の先端に予めコネクタが設けられた状態でリード線を接続端子に接続することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図1ないし図8に基づいて説明する。この実施形態では、ソレノイド装置を構成するコイル装置10を例示する。
この実施形態のコイル装置10は、図1ないし図3に示すように、コイル11の巻装されたボビン12の回りに合成樹脂製の外装体13がモールド成形により形成されて、全体が環形に形成されており、この外装体13の一面側の外周部の一部に接続部15が一体的に突設され、この接続部15から突設された接続端子30にリード線21の一端が接続された構造となっている。このリード線21の他端には、図2に示すように雌側端子金具17が固着されて防水コネクタ18内に装着され、この防水コネクタ18がクリップ19により図示しない固定部材に取り付けられるようになっている。
【0011】
続いて、リード線21の引き出し部分の構造について詳細に説明する。外装体13からは、上記のように接続部15が突設されている。この接続部15は、図4及び図5に示すように、外装体13の外周面と面一でかつ所定の厚みと幅とを有して張り出し形成されている。接続部15の突出面には肉抜き24が施されている。
【0012】
接続部15の先端側の上面には、平面長方形をなす嵌合突部25が形成されている。接続部15の先端面には、嵌合突部25の先端面から連続して差込凹部26が削成されている。嵌合突部25の上面には、図4に示すように、幅方向の中央部において所定深さの差込溝27が形成されている。また、接続部15の左右の側面には、一対の係止突部28が形成されている。
【0013】
接続部15の嵌合突部25の上面からは、左右一対の接続端子30が突出している。この接続端子30は、導電性の金属板をプレス加工して形成され、略L字形をなす脚部31の後端に、リード線21の芯線22が内側に嵌合可能な円筒形のバレル32(クローズドバレル)を形成した形状となっている。
【0014】
このような接続端子30の脚部31が、ボビン12に対して圧入またインサート成形により固定され、各脚部31が上記したコイル11を構成するコイル素線の両端と、ハンダ付け又はかしめにより接続されている。そして、外装体13並びに接続部15が形成されることに伴い、バレル32が嵌合突部25の上方に突出した状態で配設される。
【0015】
接続部15における嵌合突部25には、カバー35が装着されるようになっている。このカバー35は、合成樹脂材によって外形角筒状に形成されており、その下端が嵌合突部25の回りに嵌合可能となっている。このカバー35の下端は、外縁(図5の右側)と左右の側縁とが、内縁に比べて長くされており、内縁が接続部15の上面に突き当たった際には、外縁が差込凹部26の底まで差し込まれるようになっている。また、左右の側縁の内側の部分からは、上記した係止突部28に係止可能な突起37を設けた弾性係止片36が垂下状に形成されている。
【0016】
カバー35内の上端部寄りの位置には横壁39が形成され、その上方にゴム栓収容凹部40が形成されている。横壁39の下面における幅方向の中央には、所定長垂下した縦壁41が形成され、この縦壁41の両側に両接続端子30のバレル32が個別に収容されるバレル収容部43が形成されているとともに、横壁39における縦壁41を挟んだ両側に、リード線21が挿通される通孔42が開口されている。
縦壁41の下端は、嵌合突部25の上面の差込溝27に差込可能となっている。またカバー35の前面には、上記の両バレル収容部43に開口した窓孔44が形成されている。
【0017】
上記したカバー35のゴム栓収容凹部40には、ゴム栓45が装着可能となっている。このゴム栓45は、外周面のリップ46を介してゴム栓収容凹部40内に水密状に嵌着可能であるとともに、ゴム栓45内には、リード線21を挿通する2個の挿通孔47が貫通して形成され、その内周面にリップ48が形成されている。
【0018】
本実施形態は上記のような構造であって、続いて組付手順の一例について説明する。
まず、図6に示すようにカバー35のゴム栓収容凹部40にゴム栓45が収容され、2本のリード線21がゴム栓45の対応する挿通孔47に上方から挿通され、通孔42を通してカバー35の下方に引き出される。そして、リード線21の先端が皮剥きされて芯線22が露出される。
次に、リード線21の芯線22が、接続端子30のバレル32内に挿入され、図7に示すように、バレル32がかしめられることで芯線22に圧着される。
【0019】
続いて、ゴム栓45を収容したカバー35がリード線21に沿って下げられ、図8に示すように、下端部の内縁が接続部15の上面に当たったところで押し込みが停止される。このとき、カバー35の下端の外縁が差込凹部26の底まで差し込まれる。また、図4に示すように、カバー35内の縦壁41の下端が嵌合突部25の差込溝27に差し込まれて、その両側のバレル収容部43に、各接続端子30におけるかしめられたバレル32が収容されるとともに、弾性係止片36の突起37が係止突部28の下方に弾性的に係止し、カバー35が抜け止め状態に取り付けられる。
【0020】
上記のように組み付けが完了すると、カバー35がリード線21の振れ止めとして機能して、リード線21の引き出し部分の構造が強化される。また、ゴム栓45はリード線21が振られた場合のクッションとして機能する。
なお、カバー35に設けられた窓孔44から、両バレル収容部43内にエポキシ樹脂等のシール材を充填すると、ゴム栓45ともどもリード線21の引き出し部分のシールを図ることができる。
【0021】
以上説明したように本実施形態によれば、接続部15には、接続端子30のバレル32が突出した状態で設けられているから、リード線21を接続端子30に接続するに当たっては、リード線21の芯線22をバレル32にかしめ圧着するだけで足りる。したがって、リード線21に接続用の中間端子等を設ける必要が無くて、部品点数の削減が図れ、また作業工数も減少することができ、もって製造コストの低減を図ることができる。
【0022】
また、リード線21の他端側にコネクタ18を設ける場合に、予めコネクタ18を装着した状態でもリード線21を接続端子30に接続することができ、作業工程の柔軟性を図ることができる。
さらに、カバー35内にシール材を充填すれば、リード線21の引き出し部分のシールを簡単にかつ確実に取ることができ、コイル装置10を油や水中に浸漬して用いる場合にも簡単に対応することができる。
【0023】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)上記実施形態では、接続端子にクローズドバレルを設けた例を示したが、バレルは、U字状に開かれたオープンバレルであっても良い。
(2)また、バレルに代えて、リード線の被覆を破りつつ芯線に接触される圧接刃を設けてもよい。
【0024】
(3)組み付けの手順としては、上記の例に限らず、例えば、リード線の他端側にコネクタが取り付けられる前であれば、リード線単体で接続端子に固着したのち、リード線の他端側からカバーとゴム栓を通して接続部に装着するようにしてもよい。また、ゴム栓をカバー内に予め収容しておくのではなく、まずカバーを接続部に嵌着したのち、改めてゴム栓を嵌めるようにしてもよい。
(4)本発明は、接続部に設けられた接続端子にリード線を固着して引き出す形式のコイル装置全般に広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るコイル装置の正面図
【図2】その一部切欠側面図
【図3】その側断面図
【図4】リード線の引き出し部分の断面図
【図5】組み付け手順を説明するための分解断面図
【図6】組付動作におけるリード線を接続端子にかしめる前の側断面図
【図7】リード線をかしめた状態の側断面図
【図8】カバーを嵌合突部に嵌めた状態の側断面図
【図9】従来例の断面図
【符号の説明】
10…コイル装置
11…コイル
13…外装体
15…接続部
18…コネクタ
21…リード線
22…芯線
25…嵌合突部
30…接続端子
31…脚部
32…バレル(固着部)
35…カバー
Claims (4)
- コイルの収容された絶縁材からなる外装体には接続部が形成されて、この接続部から前記コイルと導通された接続端子の一部が突出され、この突出部分に、リード線の芯線を直接に固着接続可能な固着部が形成され、
前記リード線の固着部分の回りを覆う筒状をなしかつ長さ方向の途中が横壁で仕切られたカバーが設けられて、このカバーの一端が、前記横壁から突設された縦壁を前記接続部の表面に形成された差込溝に差し込みつつこの接続部に嵌着され、
前記カバー内における前記接続部に嵌着される側と反対の端部側に、前記リード線を挿通したゴム栓が嵌着される一方、
同カバー内における前記接続部に嵌着される端部側に前記リード線の固着部分が収容され、かつ周壁に開口された窓孔からシール材が充填されていることを特徴とするコイル装置。 - 前記固着部が、前記リード線の芯線に対してかしめ圧着されるバレルであることを特徴とする請求項1記載のコイル装置。
- 前記固着部が、前記リード線の被覆を破りつつ前記芯線に接触される圧接刃であることを特徴とする請求項1記載のコイル装置。
- 前記リード線における前記接続端子に固着される側と反対側の端部にはコネクタが設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のコイル装置。
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