JP4018884B2 - 脊柱筋萎縮症の治療 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はヒストン・デアセチラーゼ阻害剤の投与によって被験体内のSMNエクソン7発現を調節する方法を対象とする。
【0002】
【従来技術】
脊柱筋萎縮症(SMA)は脊髄前部hom細胞の変性を特徴とする常染色体劣性神経変性疾患であり、筋萎縮を伴う筋麻痺に至る。SMA患者は程度が異なる重篤さに苦しめられ、そのため臨床的には発症年齢と進行率に応じてタイプ1(重度)、2(中間)または3(軽度)に分類される。障害は生産10,000に対しておよそ1の割合で認められ、保因者頻度は50に対して1である(Zerres (1997) J. Neurol. Sci. 146:67−72)。タイプ1の患者の余命は18箇月以下であり、タイプ3の患者は成人まで生存することができる。
【0003】
全てのタイプのヒト脊柱筋萎縮症は5番染色体の5q13座のSMN1遺伝子の突然変異によるものである。大半の個体において、SMN1の隣接した第二の遺伝子SMN2が存在する。SMN1とSMN2はともにSMNすなわち294アミノ酸RNA−結合タンパク質を暗号化する(Lefevre et al.(1995) Cell 80:155−165; Monani et al. (1999) Hum. Mol. Genet. 8:1177−1183)。ゲノムレベルではSMN1遺伝子をSMN2遺伝子と異ならせるヌクレオチドは5つしか発見されていない。さらに、2つの遺伝子は、エクソン7内のサイレント・ヌクレオチド変化、すなわち、SMN1と比較してSMN1内のエクソン7内のC→T変化6塩基対を除いて、同一のmRNAを発生させる。この突然変異はエクソン・スプライシング・エンヘンサの活性を修飾する(Lorson and Androphy (2000) Hum. Mol. Genet. 9:259−265)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
この変化およびイントロンおよびプロモータ領域内のその他のヌクレオチド変化の結果として、大半のSMN2転写産物にエクソン3,5または7が欠損する。反対に、SMN1遺伝子から転写されたmRNAは一般的に全長mRNAであり、接合されて、エクソン3,5または7を除去するのはその転写産物のごく一部にすぎない(Gennarelli et al. (1995) Biochem. Biophys. Res. Commun 213:342−348; Jong et al. (2000) j. Neurol. Sci. 173:147−153 )。
【0005】
さらに、大半の個体において、SMN1よりSMN2の転写がはるかに少ない。SMN1の欠損の重篤さが示すように、SMN2によって生成される低レベルの全長SMNタンパク質では脊柱筋萎縮症から保護するのに不十分である(Lefevre, 前掲; Coovert et al. (1997) Hum. Mol. Genet. 6:1205−1204)。
【0006】
今日まで脊柱筋萎縮症に対する効果的な治療法はない。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、新規な方法を用いて、様々な等級の化合物がSMNエクソン7遺伝子発現の調節に有益であり、したがって、SMAの治療に有効であることが確認された発見に基づくものである。さらにSMA患者および特定の遺伝子型と表現型を有する形質転換動物から採取した細胞が新規な選別方法に有益であることも発見された。
【0008】
したがって、本発明は被験体のSMN遺伝子発現を調節する方法を特徴とする。該方法は、基準SMNエクソン7発現レベルに対して、被験体の細胞内のSMNエクソン7の発現レベルを増加させるのに十分な量のヒストン・デアセチラーゼ阻害剤を被験体に投与することから成る。
【0009】
ヒストン・デアチラーゼ阻害剤としては酪酸塩(例えば、酪酸ナトリウム、酪酸アルギニン、および酪酸);トラポクシン;およびトリコスタチンAが挙げられる。
【0010】
基準SMNエクソン7発現レベルは治療前の被験体の細胞内、または治療しなかった細胞内のレベルとすることができる。該方法はSMNエクソン7発現レベルを少なくとも約30%、50%、75%、100%、150%、200%、300%、400%、500%以上増加させることができる。代案として、増加はエクソン7欠損転写産物に対するエクソン7含有転写産物の比率で測ることもできる。この比率は少なくとも約30%、50%、75%、100%、150%、200%、300%、400%、500%以上増加させることができる。
【0011】
別の特徴は被験体の脊柱筋萎縮症を治療する方法である。該方法は脊柱筋萎縮症の症状を改善させるのに十分な量の、例えば、下記の用量の、ヒストン・デアセチラーゼ阻害剤を被験体に投与することから成る。被験体は哺乳動物、例えば、ヒトとすることができる。ヒトの被験体はSMN1の突然変異について同型接合体とすることができる。
【0012】
被験体は、例えば、直接または間接に(例えば、母体を介して胎児にヒストン・デアセチラーゼ阻害剤を投与することによって子宮内で処理された胎児とすることができる。
【0013】
本書において、「導入遺伝子」は人工物によって細胞内に挿入された核酸配列(例えば、一つ以上のヒトのタンパク質をコード化する)を意味するものとする。導入遺伝子は染色体ゲノムに組み込まれる。遺伝子導入配列は一部または全体が種−異質構造であってもよい、すなわち、遺伝子導入配列、またはその部分は、それが導入される細胞とは異なる種からのものであってもよい。遺伝子導入配列は一部または全体が種−同質構造であってもよい、すなわち、遺伝子導入配列、またはその部分は、それが導入される細胞と同じ種からのものであってもよい。遺伝子導入配列がそれが導入される細胞の内生遺伝子と同質であるとき(配列の意味で、あるいは種−同質構造の意味で)、遺伝子導入配列は次の一つまたは複数の特徴を有する:それが挿入される細胞のゲノムの配列を変化させるように細胞のゲノム内に挿入するように設計されるか、挿入される(例えば、内生遺伝子の部位と異なる部位に挿入されるか、その挿入によって内生遺伝子の配列が変化することになる);突然変異を含む、例えば、遺伝子導入配列の誤発現になる突然変異を含む;その挿入によって、それが挿入される遺伝子内に誤発現が起きる可能性がある、例えば、挿入によりそれが挿入される遺伝子のノックアウトに至ることがある。導入遺伝子は一つまたは複数の転写調節配列および選択した核酸の所望の発現レベルまたはパターンに必要なことがある、イントロンなどの他の核酸配列、を含むことができる。導入遺伝子はアンチセンス転写産物またはタンパク質を暗号化する転写産物などの、センス転写産物を提供することができる。
【0014】
本書において、「遺伝子導入細胞」という用語は導入遺伝子を含む細胞を意味する。
【0015】
本書において、「形質転換動物」は動物の細胞の一つ以上(例えば、全部)が本発明の分野で既知の遺伝子導入技術になどによって、人為的に導入された異質構造核酸を含むヒトでない動物である。導入遺伝子は細胞内に直接に、細胞前駆体内に導入することによって間接に、あるいは顕微注射、変換、エレクトロポレーション、リポフェクション(lipofection)、または組み替えウィルスによる感染によって導入できる。導入遺伝子が間接的に導入される一つの例において、導入遺伝子は培養細胞内に導入され、培養細胞の核または培養細胞の子孫の核は動物に成長する有核卵母細胞を発生するために核を除去した卵母細胞内に顕微注射される。
【0016】
本書において、内生遺伝子に関していう「崩壊」は内生遺伝子、そのエクソン、または内生遺伝子、そのエクソンによって暗号化されたアミノ酸配列を不活性化するタイプの突然変異を意味する。したがって、突然変異は崩壊した遺伝子またはその一部の欠損、不適切なスプライシング(スプライシングの喪失を含む)、および/または崩壊した遺伝子またはその一部への挿入を引き起こす突然変異の可能性がある。
【0017】
被験体について(すなわち、SMA動物モデル、例えば、遺伝子導入マウスモデル、および患者)下記からSMAの症状を選択した:誕生以前の、生誕後10日未満の、または4週間未満の致死;胎動減少;嗜眠;筋反応喪失または減退(例えば、反射消失、吐き気反射喪失);手震顫;末梢神経障害;EMG(筋電図)によって検出されるような活性筋肉収縮の大きな振幅、長時間の、多相放出;神経障害;筋肉弱化(例えば、骨盤帯筋、腕筋、顔面筋の弱化、歩行不安定、後脚の麻痺、舌繊維束攣縮、および萎縮);筋無力症;肥大筋束(例えば、脹ら脛の偽肥大症);筋束への脂肪浸透;筋束の繊維症;筋束壊死;筋ジストロフィ;筋束萎縮(例えば、尾、体躯、または四肢);尾、体躯、または四肢の筋繊維の直径減少;尾の短縮拡大;尾先端の慢性的壊死;皮下浮腫;柔毛質の外被毛髪の減少(例えば、Gendron and MacKenzie (1999) CUrrent Op. in Neurology 12:137−142参照)。
【0018】
当業者は症状の一覧のどれが特定の動物モデルに該当するかすぐに判断できる。例えば、尾の短縮は尾のある動物にだけ該当し、手震顫は手のある動物(例えば、霊長類)にだけ該当する。マウスのタイプ1の脊柱筋萎縮症の症状は誕生後10日以内の致死、柔毛質の外被毛髪の減少、および尾の短縮拡大が含まれる。
【0019】
本書で使用する「調節」という用語は増減のいずれかにおける、程度の変化を意味する。変化は定性的または定量的観察によって検出できる。定量的観察を行う場合、また包括的分析が複数個の観察について実施されるとき、当業者は通常の統計分析を程度が変化した、統計パラメータ、p値、が0.05未満である調節を識別するのに適用することができる。
【0020】
本書で使用する「全長SMN遺伝子発現」または「SMNエクソン7発現レベル」はSMN遺伝子が転写され、その結果転写産物がSMN遺伝子のエクソン7を含むシナリオを意味する。具体的には、エクソン7含有転写産物がヒトのSMN1遺伝子から、あるいはヒトのSMN2遺伝子から転写されるかは問題にならない。SMNエクソン77含有転写産物は294アミノ酸SMNポリペプチドに翻訳される。294アミノ酸SMNポリペプチドのアミノ酸配列はGenBankエントリ「GI:624186」に記載されている。SMNエクソン7のアミノ酸配列はGenBankエントリ「GI:624186」のおよそヌクレオチド868と921の間に含まれる配列である。エクソン7の6番目の塩基の同定は転写産物がSMN1に由来するときはC(シトシン)とすることができる、あるいは転写産物がSMN2に由来するときはU(ウラシル)とすることができる。エクソン7発現はSMN1が欠損または突然変異した細胞内で分析できる。このように、該当するSMNエクソン7配列は位置873にウラシルを含み、配列の残りはGenBankエントリ「GI:624186」のおよそヌクレオチド868と921から引用されたとおりである。
【0021】
本書に用いる「ヒストン・デアセチラーゼ阻害剤」は試験管内分析でヒストン・デアセチラーゼ酵素の活性を減少させる分子である。試験管内阻害分析は吉田らの((1990) J. Biol. Chem. 265:17174−17179)に記載されている。真核ヒストン・デアセチラーゼの純粋または半純粋標本はFM3A組織培養細胞から得られた(例えば、東京大学のアユサワ博士から入手できる)。細胞は緩衝液A(15mM燐酸カリ、pH7.5、5%グリセロールおよび0.2mM EDTA)内で均質化される。均質化物は遠心分離する;ついで核はペレットにしてさらに遠心分離にかけ、1M(NH4)2SO4を含む緩衝液で破断した。破断した核は超音波処理し、遠心分離で上澄みを採取した。ヒストン・デアセチラーゼはNH4)2SO4の濃度を3.5Mに上げてこの分画から沈殿させた。ペレットは緩衝液A内に再懸濁し、それに対して透析し、DEAE−セルロースカラムに充填して、線形NaCl勾配(0−0.6M)で溶出させた。0.2と0.3M NaClの間で溶出し、ヒストン・デアセチラーゼを含む分画が識別された。その間0.5mCi/ml[3H]アセテートと5mM酪酸ナトリウムの存在の下でのFM3A細胞growから[3H]標識付きヒストンが得られた。ヒストンはCausensらの方法((1979) J. Biol. Chem. 254:1716−1723)を用いて細胞から抽出した。分析管は阻害剤分子を含むか、またはモック処理を含むかのいずれか、例えば、その中に阻害剤が調製された溶液および/または緩衝液、で調製する。ついで4μlの[3H]標識付きヒストンと96μlのヒストン・デアセチラーゼを添加する。反応は10μlの濃縮HClで停止する。遊離[3H]酢酸は1mlの酢酸エチルで抽出する;0.9mlの溶剤層を5mlのトルエンその他の許容される閃光溶液に添加し、液体閃光計数器内で計数した。ヒストン・デアセチラーゼの阻害剤は対照群に対して、例えば、約30%、40%、60%、80%、90%以上遊離[3H]酢酸を減少させるだろう。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明は脊柱筋萎縮症の治療を提供する。治療は2つの発見を含む選別方法を用いて識別された。第一に、SMA患者の転換細胞系内のSMN遺伝子エクソン7の発現を増加させる因子はSMAの症状改善のために有効な因子の証左である。第二に、SMA治療のための因子の有効性はマウスSMN座が欠損し、ヒトSMN2導入遺伝子を有するマウスに投与することによって評価できる。この選別方法によりSMAの治療の候補として酪酸ナトリウムが識別された。
SMA治療に有効な化合物の等級
【0023】
酪酸ナトリウムはSMAの症状改善に用いられる。他のブチル化物、例えば、酪酸その他の酪酸塩(例えば、酪酸アルギニン)もSMAの治療に有効である(例えば、米国特許第5.912.269号参照)。
【0024】
酪酸ナトリウムはヒストン・デアセチラーゼ阻害剤に成ることが知られている。他のヒストン・デアセチラーゼ阻害剤にはトラポクシン(シクロ−(L−フェニルアラニル−L−フェニルアラニル−D−ピペコニル−L−2−アミノ−8−オキソ−9,10−エポキシ−デカノイル)およびトリコスタチンが挙げられる。その他の阻害剤は例えば、吉田ら((1990)前掲)に記載の分析を用いて同定できる。例えば、分析と組み合わせて、候補または無作為化合物の高処理量スクリーンによって新規な阻害剤が識別できる。これらの因子はSMAの症状改善に用いることができる。加えて、これらの因子と他のヒストン・デアセチラーゼ阻害剤は組み合わせて投与できる。
【0025】
酪酸ナトリウムの誘導体の有効性は本書に記載の分析によっても試験できる。可能性のある誘導体は酪酸塩に類似しているが、構造、化学式が異なる化合物で、例えば、アルキル鎖長が異なっている。かかる誘導体に含まれるのは;プロピオン酸ナトリウムおよび同様の構造の化合物、例えば、イソ吉草酸ナトリウム、4−メチル吉草酸ナトリウム、メチル・イソ酪酸塩、およびメチル・酪酸塩である。
【0026】
酪酸ナトリウムの生産と科学特性は当業者には周知である。例えば、酪酸は炭水化物の発酵から、またはNi(CO)4とNiI2の存在の下での200atmでの一酸化炭素とのn−プロプラノールの反応によって得ることができる。
【0027】
処方:有効量の阻害剤を含む組成物を治療を要する被験体に投与することができる。組成物は、腸管、血管内、局所、経口、経鼻孔、直腸、皮下注射、筋注、または腹膜内に投与することができる。一つの実施態様において、組成物は例えば、脳脊髄液内に注射できる。
【0028】
治療のための組成物は投与経路に適合するように処方される。組成物は錠剤、カプセル、溶液、粉末、吸入剤、乳液、チンキ、トローチ、座薬または経皮膏薬として処方することができる。
【0029】
腸管、皮膚内、皮下投与のための溶液は下記を含むことができる:水、塩水、グリセリン、固定オイル、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、またはその他の合成溶剤などの無菌希釈液;ベンジルアルコール、またはメチルパラベンなどの殺菌剤;アスコルビン酸または重亜硫酸塩ナトリウムなどの酸化防止剤;キレート化剤;酢酸塩または燐酸塩などの緩衝剤。溶液はアンプル、使い捨て注射器、またはプラスチックまたはガラス瓶に保存できる。
【0030】
注射または静脈内投与のための処方には溶剤または核酸媒質などのキャリアを含めることができる。適切なキャリアには水、生理食塩水、静菌水、Cremophor EL (tm) (BASF, Parsippanny, NJ)燐酸塩緩衝食塩水(PBS)、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、グリコール、プロピレングリコール、など)およびそれらの混合物が含まれる。これらの組成物は無菌で、注射できる流動性がなければならない。流動性はレシチンや界面活性剤などの被覆によって維持できる。細菌汚染防止のために殺菌および抗菌剤、例えば、パラベン類、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸およびチメロザルを含めることができる。糖類とポリアルコール類、例えば、マニトール、ソルビトール、塩化ナトリウムなどを用いて組成物内の等張性を維持することができる。
【0031】
無菌性は溶液の濾過殺菌によって保証される。代案として、溶液は個別に濾過殺菌した成分から生産することができる。濾過殺菌した成分は真空乾燥または凍結乾燥して無菌粉末を生産することができる。かかる粉末は無菌キャリア溶液によって注射の前に水和できる。
【0032】
経口組成物には錠剤、カプセル、トローチ、懸濁液、および溶液がある。かかる組成物は不活性希釈液または食用キャリアで賦形することができる。カプセルは適切な希釈物と化合物を組合せ、カプセルを混合物で充填することによって製造される。通常の希釈剤として粉末セルロース、またはサッカロース、フラクトース、またはマニトールなどの糖類を挙げることができる。錠剤は湿式または乾式顆粒化によって、または圧縮によって成形される。所望の化合物に加えて、錠剤のための組成物は下記を含むことができる:糖(例えば、ラクトース、フラクトース、グルコース、メチルセルロース、エチレンセルロース);ガム(例えば、ガムトラガカンス);錠剤溶解物質(例えば、アルギニン酸、プリモゲル、またはコムスターチ);潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウムまたはSterotes);摺動剤(例えば、コロイド状の二酸化シリコン);甘味剤(例えば、サッカロースまたはサッカリン);香料(例えば、ハッカ、サリチル酸メチル、またはオレンジ香料);またはまたは同種の化合物。生物分解性ポリ−D、L−ラクチド−コ−グリコシドまたはポリグリコシドは組成物の放出を遅延させる基質として使用できる(例えば、米国特許第5,417,986、 4,675,381および4,450,150号を参照)。
【0033】
吸入投与のための化合物は、適切な駆動剤、例えば、液化不活性ガスなどを含む圧力容器またはディスペンサからエアロゾルスプレーの形で供給される。代案として、化合物は米国特許第4,907,583号に記載の乾燥粉末吸入装置で供給することもできる。これらの装置は液化駆動剤を使用しない。全身投与は鼻孔スプレーなどの経粘膜、または軟膏、膏薬、ゲルまたはクリームなどの経皮手段を用いることもできる。かかる投与形態は全身循環内への吸収を高めるために洗剤、胆汁塩、フシジン酸誘導体を含む。
【0034】
用量:治療のための化合物の適切な用量を決定しなければならない。阻害剤の有効量は被験体の脊柱筋萎縮症の兆候を改善するのに必要な量または用量である。個別の被験体の治療に必要な量または用量の決定は当業者、例えば、医師、薬剤師、または研究者には通常の作業である。通常の手順はヒトでない動物におけるLD50(母集団の50%の致死用量)およびED50(母集団の50%に治療効果のある用量)決定のために利用できる。治療指数はDL50/ED50の比で測定される。適切な比率は約2、5,10,50または100以上である。かかる治療は高い有効性を発揮する用量で毒性がほとんどないので、高い治療指数の化合物、処方、および投与法を決定することができる。患部でない組織への損傷を最小にしながら、化合物を患部組織、すなわち脊柱運動神経および脳幹ノイロンに供給できる手段が利用できるときは、毒性または不所望の副作用のある化合物を使用することができる。
【0035】
ヒトに使用するための用量範囲の処方の際に、阻害剤の有効用量はSMA様細胞またはSMA様遺伝子導入マウスでの研究から推定することができる。例えば、細胞培養分析での治療に有効な用量は阻害剤が約5ng/ml、50ng/ml、500ng/ml、5μg/ml00および50μm/mlである。この範囲になる阻害剤の循環血漿濃度を達成するために用量は動物内で処方することができる。代表的な投与量では細胞培養分析で決定したIC50(すなわち、症状の半最大阻害を達し得うる試験化合物の濃度)を越える血漿濃度を発生させる。循環血漿濃度は、例えば、血液標本を取得することによって、また高性能液体クロマトグラフィまたはマス分光分析によって決定することができる。
【0036】
代案として、用量は後述のような動物モデルの試験から推定することもできる。約4μg/日、10μg/日、20μg/日、30μg/日、60μg/日、および80μg/日、の投与量で飲料水内に阻害剤を入れたマウスに症状の軽減が認められた。ヒトの患者を治療するのに適切な用量はおよそ0.4mg/kg/日、1mg/kg/日、2mg/kg/日、4mg/kg/日、60mg/kg/日、またはおよそ80mg/kg/日、であると推定される。投与法によって適切な用量は変動し、例えば、約100μg/kg/日から約500mg/kg/日、まで変動する。患者への投与量は患者が医師、薬剤師または研究者の介護を受ける場合に最適化される。例えば、当初比較的低用量の酪酸ナトリウムを投与することができる。患者は、本書に記載のごとく、兆候とSMNエクソン7発現が監視される。用量は適切な反応が得られるまで増量することができる。くわえて、特定の被験体の特定用量レベルは年齢、体重、全体的健康状態、性別、被験体の食餌、投与時間、投与経路、***率、組合せ投与される他の医薬品によっても変動する。
【0037】
監視:阻害剤用量およびその他の治療の効果は被験体において求めることができる。例えば、被験体は臨床兆候、例えば、筋力、筋緊張、筋反応、吐き気反応、歩行能力、手の震えなどを監視することができる。EMG(筋電図)計を用いて能動筋収縮を評価してもよい。例えば、非治療被験体は広い振幅、長く、多相の放出などを示すことがある。被験体は細胞内のSMNエクソン7発現レベルへの影響を直接監視することもできる。例えば、治療の間に被験体から血液または組織標本を取得し、標本の細胞内のSMNエクソン7発現レベルを、例えば、本書に記載の核酸またはポリペプチド検出法によって決定することができる。代案として、その場での核酸交雑、またはその場での抗体染色を含む、組織病理分析を使用して、本書に記載の佐薬と方法を用いる組織標本内のSMNエクソン7発現を決定することができる。
【0038】
[選別佐薬]
細胞系:細胞系はSMA患者に由来する。かかる細胞は本書において「SMA細胞」と呼ぶ。細胞は各種の起源と組織から単離される。例えば、細胞は血液標本から、または生検から単離できる。細胞は幹細胞、繊維芽細胞またはリンパ細胞とすることができる。細胞は細胞のタイプと細胞の起源に応じて培養内に伝播される。所要成長因子は培地内に提供される。例えば、培地に胎児牛血清、精製因子カクテル、または個別の成長因子を補給することができる。細胞は不死化することなしに伝播させることができる。代案として、細胞はウィルスまたは腫瘍形成遺伝子を有するプラスミド、または転換ウィルス性タンパク質、例えば、乳頭腫E6またE7タンパク質を用いて不死化してもよい。
【0039】
リンパ細胞系を単離して維持する手順は当業者には周知であり、適切な実験室の手引き書、例えば、Coligan et al. (1999) Sections 7.19.1−7.22.2, Current Protocols in Immunology John Wiley & Sons, Inc.に見つけることができる。
【0040】
B細胞はエプスタイン−バール・ウィルス(EBV)によって不死化できる。EBVウィルスは対数的に成長するB95−8細胞(ATCC#CRL1612)から得られる。B95−8細胞は37℃、5%CO2 加湿保温器内で3日間成長させる。培養はつぎに300×g、4℃、で10分間遠心分離する。上澄みを0.45μmフィルタで濾過し、アリコートを得て−130℃で保存する。 ヘパリンで凝血防止した末梢血液標本はSMA患者から得られる。標本はPBSで1:2に希釈する。12mlの希釈標本は12mlのFicoll−Hypaqueを含む50mlの円錐遠心分離管内の下に置く。Ficoll−Hypaque はFicoll−Hypaque (Pharmacia)として購入するか、最終体積が1Lになるように64.0gのフィコール(分子量400、000)、99.0gのジアトリゾエートナトリウム、0.7gの塩化ナトリウムを水に溶かして製造することができる。Ficoll勾配は室温で1500×gで8分間、あるいは2500rpmで30分間遠心分離する。軟膜界面を除去し、新しい50mlの円錐形管に移し、PBSで2回洗浄する。線上はPBSを添加し、300×gで15分間遠心分離し、上澄みを捨てることで実施できる。細胞ペレットはつぎにHBSS(ハンクス平衡塩溶液)内に再懸濁され、2回洗浄される。最後に、細胞ペレットは2mlから5mlの完全RPMI−10培地内に再懸濁される。完全RPMI−10内の2.5mlの107細胞は、EBVを含むB95−8培養上澄みと混合され、2時間37℃で保温し、ついで組織培養フラスコ内で1μg/mlシクロスポリンのある5mlの完全RPMI−10と組み合わせる。フラスコは加湿した37℃、5%CO2保温器内で3週間保温する。ついで、細胞を混合し、新しい培地で2つの新しい組織培養フラスコに分離した。1週間後、細胞は低温保存するか、毎週完全RPMI−10内に1:3に分離して長期培養に使用できる。
【0041】
組織培養の転換またはトランスフェクションの手順は当業者には周知である;例えば、Sambrook et al. (1989) MolecularCloning :A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York,およびその他の適切な実験室の手引き書参照。核酸を細胞内に挿入するためにとくに有益な2つの方法はエレクトロポレーションとリポフェクションである。エレクトロポレーションの場合、細胞を収集し、2・106−5・106細胞/mlの濃度でPBS(燐酸塩緩衝塩水)内に再懸濁できる。細胞の0.5mlの混合物を20−80μgの線形化し、単離したDNAと組合せ、0.4cm電極ギャップ槽(Biorad)内に置くことができる。エレクトロポレータ、例えば、Biorad Gene Pulserを用いて25mAmp、1000μFarad、無限抵抗で330ボルトパルスで細胞を脈動させる。DNA構造が医薬品耐性マーカー、例えば、ネオマイシン耐性遺伝子を含んでいるとき、細胞は薬品G418の存在の下で培地内で成長させることができる。
【0042】
リポフェクションの場合、2μgの線形化し、単離したDNAはLipfectAMINE (登録商標)(GibcoBRL)またはその他のリポゾーマル剤と混合される。この混合物を組織培養プレートの3.5cmのウエル内の2・105細胞に添加する。48時間後、細胞を例えば、1;1000に分割し、導入DNA上に選択可能なマーカーが存在する場合、細胞は選択医薬品の存在の下で成長させる。一つの実施態様において、細胞はヒトSMN2遺伝子またはその断片を含むDNA、でリポフェクションを行う。かかるDNAはエクソン7に融着したレポータ遺伝子、および/または選択自在なマーカーなどの追加の特徴を含むことができる。
【0043】
細胞は十分な量を成長させて、試験化合物の配列を選別する。代案として、細胞はSMA治療としての個別の化合物の有効性の評価に使用することができる。
【0044】
マウス:遺伝子導入動物発生は発明の分野においては通常のことである。遺伝子導入マウスの構築の一般的方法は Hogan et al. (1994)Manipulating the Mouse Embryo, ColdSpring Harbor Laboratory Press, NewYorkに見出すことができる。ヒトSMN2遺伝子を有する遺伝子導入マウスを構築する。単離されたヒトSMN2遺伝子を有する核酸はSMN2座を結び付けるYAC、BAC、またはP1クローンから得ることができる。例えば、ヒトSMN2座を含むBACは薬35kb、50kb、80kb、100kbまたは好適には約110kbを含むことができる。かかるBACはヒトSMN2遺伝子の側面の遺伝子、例えば、SERF1およびNAIP、またはそれらの断片を含むことができる(図1A参照)。一つの例において、BAC内のヒトのゲノムDNAはヒト染色体5の5q13領域からヒトDNAに隣接し、同一である。
【0045】
FVB/N、C57BL/6などの各種のマウス株は本発明に使用するのに適している。
【0046】
突然変異マウスSMN座のあるマウスは遺伝子標的を用いて発生できる。座を標的にするのにpGGKOVなどの正負選択ベクターを使用することができる。本発明はマウスSMN座とヒトSMN2導入遺伝子の同型接合破壊を有するマウスを特徴とする。かかるマウスはヒトSMN2遺伝子(hSMN2)を含む遺伝子導入マウスをマウスSmn遺伝子内破壊、すなわちSmn±について同型接合であるマウスと交差させることによって発生される。交差の子孫の中に本発明の別のマウスがいて、それはマウスSmn遺伝子内破壊、すなわちSmn±について同型接合でありhSMN2による導入遺伝子を有する。したがって、マウスの下のタイプはSmn±hSMN2である。マウスは内生であろうと異種構造であろうとSmnに電子が欠けているので、存命できず、Smn±hSMN2マウスは本発明の目的のためのファウンダ株として有益である。
【0047】
Smn±hSMN2マウスは、ともにSmn±hSMN2ゲノタイプを有する姉妹細胞が互いにつがいにされる、F1インタークロスを用いて発生できる。代案としてSmn±hSMN2マウスは、hSMN2が欠けたSmn±マウスにつがわせることもできる。これらの交差の子孫には、マウスSmn遺伝子内破壊、すなわちSmn±について同型接合であり、さらにhSMN2遺伝子を有するマウスが含まれる。これらのマウスはSMAの症状を示し、本書に記載のごとくヒトSMAの動物モデルとして使用される。
【0048】
これらのSmn±hSMN2マウスは(「SMA様マウス」とも呼ばれ)重度の影響は受けず、タイプ3の症状を示し、一部がもっと重い影響を受ける、同様のゲノタイプの子孫を発生させるためのファウンダ株として発生させ、使用することができる。
【0049】
[SMNエクソン7発現分析]
SMNエクソン7発現は例えば、試験化合物で処理した細胞内で、またはモック処理した細胞内で監視する。一般的に「試験化合物」で処理した細胞内のSMNエクソン7発現の平均レベルは一連の負の対照試験(例えば、モック処理標本、または不活性試験化合物の組)からの平均発現レベルより低く、平均の差が一連の負の対照試験野標準偏差の少なくとも2.5倍のとき、「試験化合物」は脊柱筋萎縮症の治療の候補と見なされる。しかしながら、平均の差が小さいときでも、可能性のある化合物の同定に有益である。
【0050】
SMNエクソン7発現の監視には数多くの技術がある。SMNエクソン7でコード化されたペプチドを含むポリペプチドは、例えば、抗体によって検出できる。その他の方法も利用可能である。
【0051】
[核酸検出分析]
mRNA転写産物としてのエクソンの発現を定性的または定量的に分析するために当業者は通常様々な技術を実施している。一般的に細胞は冷却され、例えば、洗剤あるいはフェノールによって迅速に分解される。RNAは沈殿によって、あるいはポリアデニルRNA、とくにmRNAを結合させるためにオリゴ−dTカラムを用いて溶解物から精製する。単離したRNAは溶液内に、例えば、10mM Tris・HCl pH8.0,1mM EDTAを含む水内に再懸濁する。水は汚染の可能性のあるヌクレアーゼを不活性化するか除去するために処理することができる。単離した細胞RNAはつぎに、例えば、ノーザンブロットを用いて、あるいは逆転写とPCR(RT−PCR)を用いて、SMNエクソン7を調べる。
【0052】
RNA単離:ほ乳類の細胞からの全RNAの単離は当業者が通常実施していることである(例えば、Smabrook et al.,前掲書参照)。細胞はPBSで洗浄し、RNA抽出緩衝液(0.14M NaCl、1.5mM MgCl2、10mM Tris・HCl(pH8.6)、0.5% Nonidet−P40(NP−40)、1mMジチロトレイトール、Rnasin)で分解し、200μg/mlでプロテイナーゼで消化される。溶解物は21−ゲージ針を何度も通して冷却する。溶解物はつぎにフェノール:クロロホルム(1:1)で抽出し、遠心分離する。つぎに水系層を除去し、2.5倍の体積の氷冷却エタノールで1時間、4℃で混合し、ついで遠心分離にかける。RNAペレットは洗浄し、さらに分析するために再懸濁する。
【0053】
ノーザン・ブロッティング:単離したRNA、およぼ2−10μg/レーンをアガロースゲル、例えば、6.5%のホルムアルデヒドと20mM MOPS(pH 7.0)8mM酢酸ナトリウム、1mM EDTAの上で電気泳動させる。ゲルは120Vで約2時間、または適切な分離が達成されるまで電気泳動にかける。ゲルはつぎにニトロセルロースフィルタの上に置いて、2XSSC(1Lあたり17.3g塩化ナトリウム、8.82gクエン酸ナトリウム pH7.0)およびWhatman 3MM紙で作った芯を用いて一晩ブロッティングする。ブロッティングの後、フィルタを洗浄し、紫外線光でクロスリンクする。つぎにフィルタを方写真標識を付けたSMNエクソン7プローブと混合する。プローブはランダムプライマーで交雑し、Klenow DNAポリメラーゼ、32P−dATP、dCTP、dGTPおよびdTTPで保温した単離SMNエクソン7核酸から生産できる。代案として、プローブは適切なプライマーと32P−dATPを用いてPCRによって生産することができる。プローブはつぎに変性され、18%ホルムアルデヒド、5XSSC、5Xデンハルト溶液、1%SDSおよび100μg/ml変性サケ***DNAからなる交雑緩衝液内でフィルタと組み合わされる。42℃で8−18時間保温した後、交雑緩衝液を除去して乾燥し、放射能写真を撮影する。エクソン7を含むmRNAは放射能写真上に帯として出現する。
【0054】
RT−PCR:単離したRNAはプライマー、例えば、ランダムプライマー、およびMMLV逆転写酵素(Promega)を用いて逆転写できる。この反応は一本鎖cDNAを発生させ、これを熱安定DNAポリメラーゼ、およびSMNエクソン7を多う1対のプライマーを用いてポリメラーゼ鎖反応(PCR)によって増幅できる。プライマーの一端は5’端でエクソン7に隣接し、他の端は3’端でエクソン7に隣接する。例えば、一つのプライマーはエクソン6内の暗号化配列に、他はエクソン8内にアニル化することができる。代案として、プライマーの一方または両方をエクソン7自体の中の暗号化配列にアニル化することができる。増幅生成物はアガロースゲル電気泳動、エチジウム染色、およびUV光源下の染色によって検出することができる。エクソン7核酸の増幅はエクソン7発現の標識となる。
【0055】
TaqMan分析:実時間PCR分析を用いて、TaqMan技術とPerkin−ElmerABI7700配列検出システムを用いるエクソン7転写産物を高感度で検出できる。標本の逆転写の後、標本はエクソン7核酸またはその断片を含む断片の合成を開始させるオリゴヌクレオチドとの標準PCR反応のための調製される。その3’および5’端で蛍光染料と共有結合し、エクソン7に交雑する第三のオリゴヌクレオチドが添加される。6−FAMのような蛍光染料が5’端に使用され、5’半分を消光する染料は、TAMRAのように、3’端に用いられる。消光の結果、使用の前の、蛍光信号は低い。しかしながら、エクソン7配列が存在する場合、標識を付けたオリゴヌクレオチドは分子間交雑に参加する。Taqポリメラーゼのヌクレオ分解活性が3’消光染料を除去し、残っている5’染料に蛍光を出させる。このように蛍光が最初に検出されたときのPCRサイクルはテンプレートの濃度に比例する。全RNAの量はアクチンなどの、試験プローブとは異なる蛍光プロフィールを有し、対照mRNAを補足するプローブオリゴヌクレオチドを含む第二のオリゴヌクレオチドセットで内部的に制御できる。
【0056】
エクソン7含有SMNmRNA種を検出するのに他の分子技術を用いることができる。一つの場合、リガーゼ鎖反応が用いられる。別のケースでは、マイクロアレイに対する交雑が監視される。後述のようなマイクロアレイはスプライシングが処理による影響を受けることがある他の転写産物を検出するのを助ける追加の核酸を含んでいる。
【0057】
[抗体分析]
代案として、SMNエクソン7発現はエクソン7によって暗号化されるアミノ酸を含むポリペプチドに固有の抗体を用いて監視される。固有の抗体の発生は当業者に周知である。
【0058】
例えば、次のようにしてヒトSMNエクソン7に抗体が発生する。配列にタンパク質発現ベクターに適合する制限部位が側面に接するようにエクソン7核酸を増幅するためにオリゴヌクレオチドが指定される。細菌、挿入細胞、酵母およびほ乳類細胞内にタンパク質を過剰生産するために数多くのタンパク質発現ベクターが市販されている。一つの実施態様において、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)遺伝子を含むベクターが使用される(Pharmacia)。ベクターはGSTとのインフレーム融合のための独自の制限部位を含んでいる。PCR増幅生成物はベクター内にインフレームクーロン化され、大腸菌ホスト細胞に転換される。タンパク質合成を誘導した後、細胞を収穫し、分解する。SMNエクソン7へのGST融合はグタチオン結合アガロース床上で精製され、遊離グルタチオンで溶出される。代案として、トロンビンまたは因子Xaなどの特定のプロテアーゼで切断して抗原をカラムから除去することができる、ただし必要なプロテアーゼ切断部位はGST遺伝子と挿入遺伝子、すなわちSMNエクソン7の間でリンカーに暗号化されているものとする。必要ならば、抗原は例えば、イオン交換黒間とグラフィを用いて、あるいはポリアクリルアミドゲル電気泳動によってさらに精製することができる。後者の場合、抗原は摘出されたゲル帯から電気溶出できる。精製した抗原はウサギ、ハツカネズミ、ハムスタ、マウス、またはラットを免役するのに用いられる。抗原に対する免疫反応を高めるために佐薬が使用できる。使用可能な佐薬はFreund's(完全または不完全)、鉱物ゲル、例えば、水酸化アルミニウム、表面活性物質、例えば、リソレシチン、プルロニックポリオール、ポリアニオン、ペプチド、油脂乳剤、キーホール・リンペト・ヘモシアニン(KLH)、およびヒトの中で使用するのに適した佐薬、例えば、BCG(カルメットーゲラン菌)およびコルニネバクテリウム・パルブムなどが挙げられる。
【0059】
ハイブリドーマ細胞から産生したモノクローナル抗体は、ハイブリドーマが同質母集団または抗体を提供するので有益である。ハイブリドーマはハイブリドーマを産生するために適切なミエローマ細胞で免役したマウスの脾臓からのリンパ細胞を融合して産生される(参照:Kohler et al. (1975)Nature 256:495; Kohler et al. (1976) Eur.J. Immunol. 6:292; Hammerling et al., (1981) In Monoclonal Antibodies and T Cell Hybridomas, Elsevier,NY; 米国特許第4,376,110号;Kosbor et al. (1983) Immunology Today 4:72; Cole etal., (1983) Proc Natl Acad Sci USA 80:2026; Cole et al. (1983) Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, Alan R. Liss, Inc., pp. 77−96 )。モノクローナル抗体は免疫グロブリン等級、例えば、IgG、IgM、IgE、IgAまたはIgDのものあるいは、その亜等級のものとすることができる。モノクローナル抗体を生成するハイブリドーマは試験管内または生体内で、例えば、マウス内で培養して腹水液を得ることができる。
【0060】
抗体は抗原で、および/またはタンパク質A−アガロースで結合したビード上で精製される。抗体はウェスタンブロット分析または免疫沈殿によって生の分解生成物内で抗原を選択的に認識する能力によってその親和性と特異性が試験できる。ウェスタンブロット分析または免疫沈殿は当業者には周知であり、Ausubel et al. (1994) Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, NY に記載されている。抗体はさらに修飾してFab断片、F(ab’)2断片、ヒト化抗体、キメラ抗体、および一本鎖抗体を発生させることができる。
【0061】
代替例では、SMNエクソン7からの配列を含むペプチドが合成される。ペプチドはキャリアタンパク質、例えば、KLHタンパク質に結合され、上述のごとく、動物の免疫に用いられる。
【0062】
SMNエクソン7固有抗体はSMA細胞内、または組織標本および/または患者またはマウスからの一部内のエクソン7発現を測定するのに用いられる。検出は抗体を検出可能な物質に結合(すなわち共有結合)することによって(すなわち抗体標識付け)容易にすることができる。検出可能な物質の例としては各種の酵素、置換基、蛍光物質、発光物質、生物発光物質、放射性物質などが挙げられる。適切な酵素の例としてはセイヨウワサビ・ペロキシダーゼ、アルカリン・フォスファターゼ、β−ガラクトシダーゼまたはアセチルコリネステラーゼが挙げられる;適切な蛍光物質の例としてはウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセイン・イソチオシアネート、ロダミン、ジクロロトリアジニラミン・フルオレセイン、塩化ダンシルまたはフィコエリスリンなどが挙げられる;発光物質の例としてはルミノールが挙げられる;生物発光物質の例にはリュシフェラーゼ、リュシフェリン、アクオリンが挙げられ;適切な放射性物質としては125I、131I、35S、33P、32Pおよび3Hが挙げられる。
【0063】
細胞内のSMNエクソン7発現を検出するために溶解物を調製することができる。細胞は25mM Tris・HCl(pH7.5)、mM塩化リン、1mMジチオトレイトール、0.1%NP−40、0.5mM PMSF内で溶解することができる。
【0064】
清澄した溶解物はゲル電気泳動とウェスタンブロッティングで分析するか、あるいはプラスチック板を覆うのに使用して、ELISA(酵素結合基板分析)によって分析することができる。
【0065】
[レポーター遺伝子分析]
別の実施態様において、レポーター遺伝子を用いてSMN2エクソン7のスプライシングが監視される。核酸構造において、レポーター遺伝子はそれ自体はスプライシング規制を必要としない領域内でSMN2エクソン7にインフレーム融合される。構造はさらにSMN2遺伝子の代替スプライシング偏向がレポーターによって反復されるようにSMN2遺伝子の残りの部分も含まれている。代案として、当業者は構造をSMN2遺伝子の小さな領域に還元して、挿入レポーターを備えた還元領域がエクソンの代替スプライシング嗜好を反復させることができる。酪産ナトリウムはレポーター構造の真実性を査定するために有益な能動対照である。SMAレポーター細胞を発生するために核酸構造は例えば、トランスフェクション手順によって、またはリポフェクションによってSMA細胞に転換される。
【0066】
一つの実施態様において、レポーター遺伝子は緑蛍光タンパク質である。第二の実施態様において、レポーターはβ−ガラクトシダーゼである。さらに別の実施態様において、レポーター遺伝子はアルカリン・フォスファターゼ、β−ラクタマーゼ、リュシフェラーゼまたはクロラムフェニコール・アセチルトランスフェラーゼである。核酸構造はエピゾーム上で維持するかChappelの米国特許第5,272,071号およびWO91/06667に記載のごとく標的同質構造組み替えを用いて、染色体内に挿入される。
【0067】
緑蛍光タンパク質(GFP)または強化GFP(eGFP)(Clontech, Palo Alto, CA)を用いる実施態様において、SMAレポーター細胞は微小力価板内で成長し、そこでそれぞれのウエルは試験する単一の要因と接触している。例えば、5時間、10時間、20時間、40時間、または80時間の所望の処理時間に続いて、微小力価板は488nmで光を発生するUVランプを用いて顕微鏡下で走査される。509nmで光を検出するように設定されたCCDカメラとフィルタを用いてGFPの蛍光を監視する、検出された蛍光はmRNA転写産物内へのエクソン7の取込を促進する変性スプライシングの結果として産出したレポーターの量に比例する。
【0068】
β−ガラクトシダーゼを用いる実施態様において、β−ガラクトシダーゼを触媒とする反応で発酵物を発生する基質が用いられる。ここでもSMAレポーター細胞は微小力価板内で成長し試験のために化合物と接触させられる。処理に続いて、細胞は洗剤緩衝液を用いてウエル内で溶解され、基質にさらされる。溶解部と基質の添加はGaracton−Star(登録商標)基質(3−クロロ−5−(4−メトキシスピロ{1,2−ジオキセタン−3,2’−(4’クロロ)−トリシクロー[3.3.1.13,7]デカン}−4−イル)フェニル−B−D−ガラクトピラノシド;Tropix, Inc., Cat.# GS100)の1:40希釈、Sapphire II(登録商標)発光信号エンハンサー(Tropix, Inc., Cat.# LAX250)の1:5希釈、0.03%デオキシコール酸ナトリウム、0.053%CTAB、250ml NaCl、300mM HEPES、pH7.5)を含む緩衝液を加えることによって単一の過程で達成される。細胞は室温でおよそ2時間混合物内に保温してから定量する。β−ガラクトシダーゼ活性はGaracton−Star(登録商標)基質のβ−ガラクトシダーゼ加水分解の生成物によって発生した化学発光によって監視される。光信号の定量にセンサーを取り付けた微小板読取器が用いられる。標準的ソフトウェア、例えば、Softfire Proバージョン4.0データ分析ソフトウェアを用いて結果を分析する。未処理細胞について平均化学発光を求める。平均を超える少なくとも2.5標準偏差で信号を発する化合物はさらなる分析と試験の候補となる。同様に、アルカリン・フォスファターゼ、β−ラクタマーゼ、およびリュシフェラーゼについては酵素によって生成物に転換されたときに蛍光を発する基質が利用可能である。
【0069】
マイクロアレイ:大規模またはゲノム幅分析はSMA細胞内で過剰または過小発現した追加の転写産物を同定できる。例えば、他の遺伝子のスプライシングはSMNエクソン7スプライシングに影響する化合物によって影響されることがある。とくにSMN蛋白自体がmRNAスプライシングに関与している。したがって、全長SMNタンパク質の産出は他の遺伝子のスプライシングに影響するかも知れない。代案として、化合物はSMN遺伝子スプライシングに影響するのと同じ機転で他の遺伝子のスプライシングに直接影響することもある。
【0070】
どの場合にも、影響された転写産物は標準マイクロアレイ実験によって識別できる。マイクロアレイはそれぞれの番地が位置同定可能であり、付着した唯一の核酸配列を有する、複数個の番地を有する二次元基板を含むことができる。cDNAは未処理SMA細胞と処理したSMA細胞から調製することができる。cDNAは例えば、蛍光プローブで標識を付け、アドレス指定可能な場所でより大きな数のエクソン配列を含むマイクロアレイに交雑される。処理済みおよび未処理細胞からのcDNAの交雑パターンを比較し、処理によってレベルが変化したエクソンを同定する。例えば、この実験は処理として酪酸ナトリウムで実施する。影響されたエクソンはその後の医薬品スクリーンでプローブとして用いることができる。代案として、エクソンを含む遺伝子を同定して、レポーター構造を影響されたエクソンのスプライシングを監視するために指定することができる。
【0071】
[試験化合物選別]
本発明はSMNエクソン7発現のモジュレータを識別するための方法(本書では「選別分析」とも称す)を提供する。「試験化合物」はどんな化合物でもよく、例えば、小さな有機分子、炭水化物、脂質、アミノ酸、ポリペプチド、ヌクレオシド、核酸、またはペプチド核酸が挙げられる。一つまたは複数の試験化合物は天然、合成、または両者とすることができる。試験化合物は本書に記載の方法によって分析される唯一の物質である。代案として、本書に記載の方法によって順次、または同時に試験化合物の収集を分析することができる。
【0072】
かかるモジュレータは巨大分子と小型分子を含む、例えば、化学式重量がモルあたり約10,000グラム未満、モルあたり約5,000グラム未満、モルあたり約1,000グラム未満、モルあたり約500グラム未満の分子である。巨大分子にはポリペプチド、例えば、タンパク質、タンパク質錯体、およびグリコプロテイン、核酸、例えば、DNA、RNAおよびPNA(ペプチド核酸)が含まれるがそれらに限定されない。小型分子にはペプチド、ペプチドミメンチック(例えば、ペプトイド)、アミノ酸、アミノ酸類似物、ポリヌクレオチド、ポリヌクレオチド類似物、ヌクレオチド、ヌクレオチド類似物、有機または無機化合物、(例えば、異質有機および有機金属化合物を含む)が含まれるがそれらに限定されない。モジュレータは医薬品スクリーンを用いて識別できる。分子は個別に、または並行して選別できる。化合物は市販化学品仕入先、例えば、Sigma−Aldrich Corp., St. Louis, MOから入手できる。
【0073】
後者の大規模な例は高収率医薬品スクリーンである。後方化合物のかかるライブラリは作り出すか、あるいは例えば、Chembridge Corp., SanDiego, CA,から購入できる。ライブラリは化合物の広範な領域を覆うように指定することができる。例えば、ライブラリは10,000,50,000または100,000以上の独自の化合物を含むことができる。単なる説明として、ライブラリはピリジン、キノリン、フラン、ピリミジン、トリアジン、ピロール、イミダゾール、ナフサレン、ベンジミダゾール、ピペリジン、ピラゾール、ベンゾキサゾール、ピロリジン、チフェン、ティアゾール、ベンゾチアゾール、およびモルフォリンからなるヘテロサイクルから構築することができる。代案として、先の実験と傍証から、強化ポテンシャル化合物の等級または区分を示唆することができる。ライブラリはかかる薬品の等級も含むように指定または合成することができる。
【0074】
[高処理量選別]
システム患者からの形質転換細胞は高処理量医薬品選別に用いることができる。例えば、細胞は6ウエル、32ウエル、64ウエル、96ウエル、384ウエルプレートなどの小型の微小力価プレート内で成長させることができる。高密度微小力価プレートはポリヂメチルシロキサンなどのポリマー(例えば、Dow−ComingのSylgard384)とアクリル型から製作できる。型はその中に化合物を分散させることができる細胞の成長のためのウエルを備えている。例えば、型は容量2μlの1536のウエル、または容量250nlの6144ウエルを備えることができる。形質転換SMA細胞はそれぞれのウエル内で成長する。ついで複数個の候補化合物を選別できる。代案として、上述のようなライブラリを選別できる。ライブラリはロボット操作可能なかたちで、例えば、微小力価プレートの形で提供できる。化合物は微小力価プレート内で細胞に添加される。ついで、SMNエクソン7発現レベルを監視する。高処理量スクリーンはさらに上述のごとくSMN2エクソン7のスプライシングを監視するためにレポーター遺伝子を用いることによって容易になる。
【0075】
化合物はプールし、ついでプールを試験することもできる。正のプールはその後の分析のために分割する。方法のいかなるを問わず、SMNエクソン7発現レベルを増加させる化合物は「候補」化合物または医薬品と見なされる。候補化合物は上述のごとくSMA細胞で試験される。それらはまた、本書に記載のごとく、SMA様マウスでも試験される。再試験で正の候補化合物は「先導」化合物と見なされる。
【0076】
[化合物の至適化]
先導化合物が識別されたら、医療化学の標準原則を用いて化合物の誘導体を生産することができる。誘導体は改善された薬力学特性、例えば、有効性、薬動力学、安定性、溶解性、クリアランスについて選別できる。上記の分析において、化合物活性の元になる半分は当業者が一般的に実施している構造−活性関係(SAR)の検査によって記述することができる。医薬品化学の当業者は鉛化合物上で半分を修飾し、化合物の有効性に対する修飾の影響を測定し、それによって効能を増加させて誘導体を生産することができる。例えば、Nagarajan et al. (1988) J. Antibiol. 41:1430−8参照。修飾にはN−アシル化、アミノ化、アミド化、酸化、還元、アルキル化、エステル化および水酸化が含まれる。さらに鉛化合物の生物化学標的が既知であるか決定されたとき、構造および鉛化合物の構造は誘導体の設計と至適化を報せることができる。分子修飾ソフトウェアは市販されている(例えば、Molecular Simulations, Inc.)。
【0077】
さらに詳細に述べるまでもなく、上記の明細によって当業者は本発明を実施できるものと思量される。後述の実例は説明のためだけのものであり、如何なる場合にも開示の残りの部分を限定するものと見なされない。本書で引用した全ての刊行物は参照によってその全体が本書に含まれる。
【0078】
【実施例】
[1.細胞系内のSMNエクソン7発現のための医薬品スクリーン]
脊柱筋萎縮症の医薬品を識別するためにSMA患者の3つ全てのタイプのEBV転換リンパ細胞系を開発し、次のように分析した。
【0079】
転換細胞系:異なる重度のSMA患者からリンパ細胞を単離した。患者から血液全体を抽出し、ヘパリンで凝血防止し、PBS(燐酸塩緩衝塩水)で1:1希釈した。希釈した標本はFicoll=Hypaque勾配の上に重ね、2500rpm、30分間、室温で遠心分離した。軟膜を遠心分離標本から採取し、5mlPBSで2度洗浄し、採取し、5mlのRPMI培地、0.5mlEpstein−Barrウィルス(EBV株)、50μlPHAおよび50μlのシクロスポリン(0.2mg/ml)内に再懸濁した。ウィルス処理した標本は十分混合し、T字フラスコに移して、5%CO2保温器内で37℃で、3週間保温した。
【0080】
SMN2遺伝子からのエクソン7発現を増加させる能力についていくつかの医薬品を選別した。2種類のスクリーンが記載される。一つはRT−PCR分析を使用するもので、他方はSMNエクソン7エピトープに固有の抗体を使用する。
【0081】
RT−PCR分析:処理リンパ細胞と未処理対照からの全RNAを無作為プライマー5’−TN10−3’およびMMLV逆転写酵素(Promegra)を用いて逆転写した。得られた一本鎖cDNAを全SMN暗号化領域をおおう3つのプライマー対の一つを用いてポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって増幅した。エクソン4に対する5’未翻訳領域からの核酸断片の増幅のためのプライマー対は5’−CGCTGCGCATCCGCGGGTTTGCTATGGC−3’(正プライマー、P1,SEQ ID NO:1)および5’−TCCCAGTCTTGGCCCTGGCAT−3’(逆プライマー,P2,SEQ ID NO:2)であった。エクソン4からエクソン6の核酸断片の増幅のためのプライマー対は5’−AACATCAAGCCCAAATCTGC−3’ (正プライマー、P3,SEQ ID NO:3)および5’−GCCAGTATGATAGCCACTCATGTACCATG−3’ (逆プライマー,P4,SEQID NO:4)であった。エクソン6からエクソン8の核酸断片の増幅のためのプライマー対は5’−CTCCCATATGTCCAGATTCTCTTGATGATGC−3’(正プライマー、P5,SEQ ID NO:5)および5’−ACTGCCTCACCACCGTGCTGG−3’ (逆プライマー,P6,SEQ ID NO:6)であった。全長SMNcDNAの増幅のためにプライマーP1とP6を用いた。PCR増幅生成物はアガロースゲル上で分析した。
【0082】
プライマーP5とP6からの419ベースペア帯の生成は増加したエクソン7発現を示し、365ベースペア帯はエクソン7を排除するスプライスパターンを示す。
【0083】
ウェスタンブロット分析:エクソン7からのヒトSMNアミノ酸279−288またはエクソン2からのアミノ酸72−84のいずれかを含有する合成ペプチドでウサギを免役した。固有抗体(H7およびH2バッチ)を製造者の指示に従ってEAH−セラロース4Bカラム(Phamacia)でウサギの生血清から生成した。
【0084】
処理済みおよび未処理のSMAリンパ細胞から調製したタンパク質標本は12%分離ゲル上の5%ポリアクリルアミド積層ゲル上に充填し、Laemmliの方法を用いて不連続緩衝液でゲルを流した。電気泳動後、タンパク質はジフルオルポリビニル膜に電気泳動で移した(Millipore Corp., Marlborough, MA, USA)。移した後に、膜は室温で2時間の間4%BSA(牛血清アルブミン)を含むTBST(50mM Tris・HClpH7.5,150mM NaCl、0.05% Tween)内でブロックした。ブロックはTBST内のアンチ−SMNエクソン2(H2)またはアンチ−SMNエクソン7(H7)抗体の1:800希釈で保温した。ブロットはTBST内で3×20分間洗浄し、つぎに室温で1時間TBST内の抗ウサギIgGアルカリンフォスフォターゼ共役物(Sigma)の1:32,000希釈で保温した。二次抗体は現像緩衝液(100mM NaCl、5mM MgCl2、100mM Tris・HCl pH9.5)内で5−ブロモ−4−クロロ−3−燐酸インドールと3%ニトロブルー テトラゾリウムで検出した。
【0085】
[2.SMA様細胞系に対する酪酸ナトリウムの作用]
化合物の一つである酪酸ナトリウムはSMN2遺伝子のエクソン7発現パターンを変えた。エクソン7含有SMNmRNAの量は5ng/mlから50μg/mlの酪酸ナトリウムで培養したリンパ細胞内で増加し、最大増加は医薬品添加から4時間後であった。くわえて、SMA患者の3つ全てのタイプからのリンパ細胞は全長SMN転写産物の増加レベルを示した。これら細胞タイプの少なくとも一つはSMN1遺伝子欠損を含んでいるので、SMNエクソン7の増加は必然的にSMN2スプライシング内の変性によるものである。
【0086】
上述のRT−PCR法はSMN2遺伝子の代替スプライスパターンの決定に使用された。未処理の細胞内で、SMN2は通常エクソン7除去のために切断される。しかしながら、酪酸ナトリウム処理後、SMN2転写産物のスプライシングはSMN1転写産物のスプライシングと同様にエクソン7を含むように変化した。処理によって、未処理群に対して、全長SMNmRNA転写産物の量も増加した。
【0087】
加えて、酪酸ナトリウム処理の結果、エクソン7含有SMNタンパク質レベルも増加した。異なるタイプのSMA患者から確立したリンパ細胞系は酪酸ナトリウムの量を変えて処理し、未処理の対照群と比較した。上述のごとく発生したH2およびH7抗体を用いるウェスタンブロット分析は酪酸ナトリウムが無傷のSMNタンパク質の量を増加させることを示した。無傷のSMNタンパク質の量を増加は5ng/mlから50μg/mlの酪酸ナトリウムで4時間刺激した後のシトソルおよび核分画の両方で認められた。
【0088】
[3.SMA様症状のマウス発生]
遺伝子導入マウス:マウスSMN遺伝子内に突然変異を有するマウスはプラスミドpGGKOV−SMNで発生した(Hsieh−Li et al., (2000) Nature Gen. 24:66−70)。このプラスミドはマウスSMN座の1.6kb欠損を含む。欠損はエクソン7を除去する。pGGKOV−Smnを発生するために、SMNcDNAエクソン2から8を跨ぐマウスのゲノムクローンMSG24−4の4.6kb BamHI断片および0.6kb Ndel断片をpGGKOVベクターの、それぞれ、BamHIおよびClaI部位にクローンした(図1B参照)。pGGKOVベクターおよびその使用法の詳細に関しては、Li et al. (1996) EMBO J. 115:714−724参照。
【0089】
pGGKOV−SmnはNorIで線形にしてE14TG2a胎児幹細胞内にエレクトロポレーションした。(Li et al., 前掲書)に記載のごとくSmnエクソン7を破壊する同質構造組み替えを得るために、HPRTの組込とHSV−チミジン・キナーゼの反組込のために細胞を選択した。細胞は標準手順を用いてC57BL/6胚盤胞内に注入した。結果として得られたマウスを交配し、Smn遺伝子破壊について異形接合である個体をゲノタイプによって識別した。
【0090】
hSMN2遺伝子導入マウスは次のように発生した。hSMN2 BACクローン7Cの115kbインサートをNotIで摘出し、アガロースゲルで精製し、ゲルから電気溶出した。115kbインサートは動原体側から末端小粒側まで、SMN2遺伝子、SERF1遺伝子、およびSERF1遺伝子の末端小粒側の核酸の35kbを含んでいる(図1A参照)。DNAはつぎに2ng/μlに希釈し、(Hogan et al. 前掲書)に記載のごとく、FVB/Nオスのマウス前核内に注入した。
【0091】
hSMN2Smn±マウスを発生するために、マウスSmn破壊について異質接合のマウスをhSMN2trasgeneを含むマウスと交差した。子孫はゲノタイプによってhSMN2Smn±マウスを識別した。
【0092】
hSMN2Smn±マウスを発生するために、hSMN2Smn±マウスをSmn±マウスと交差した。マウスSMN座が欠損している子孫はゲノタイピングで識別した。hSMN2transgeneの存在も確認された。hSMN2Smn±ゲノタイプを有するかかるマウスはSMA症状の範囲を示し、「SMA様」マウスと呼ばれる。
【0093】
最も重い病理のマウス(タイプ1)は柔毛質の毛髪を生ぜず生誕後10日以内に死亡した。中間重度のマウス(タイプ2)は不活発で、およそ2から4週間で死亡した。これらのマウスは尾先端の慢性壊死、筋萎縮、後ろ脚の皮下浮腫、後ろ脚の麻痺を頻繁に示した。タイプ3のマウスは生存し、正常に交配した。これらのマウスの軽微な症状としては短く太い尾が挙げられる。
【0094】
[4.酪酸ナトリウムによるタイプ2と3のSMA様マウスの治療]
SMA様マウスの症状に対する酪酸ナトリウムの効果を調査した。酪酸ナトリウムをタイプ2の症状の10匹のSMA様マウスとタイプ3の症状の10匹のSMA様マウスに投与した。これらのマウスは生誕時にゲノタイプと表現型で識別した。その後、それらの飲料水に酪酸ナトリウムの0.8μg/mlまたは8μg/ml溶液を補給した。飲料水は無制限に利用可能とした。SMA様マウスが摂取した酪酸ナトリウム量はやく4から80μg/日と推定される。酪酸ナトリウムを処理したタイプ2のSMA様マウスの生存時間は、未処理マウスよりも長く、平均して4から5日長かった。
【0095】
SMA様マウスの尾表現型に対する酪酸ナトリウム投与の作用も監視した。未処理のタイプ2と3のSMA様マウスの尾は筋繊維の直径が減少し、筋束萎縮、群萎縮、および皮下浮腫が認められた(Hsieh−Li et al. (2000) 前掲書)。しかしながら、酪酸ナトリウム治療により、タイプ2SMA様マウスの尾の表現型は200百タイプ3SMA様マウスよりも大きい実験監視において、野種に近く回復した。処理マウスの尾は平均5cmの長さで、未処理マウスの尾の長さは約1cmであった。注目すべきことに、処理マウスの尾は平均5cmの長さで、野種のマウスのへ筋長さの6cmに近い。尾の先端から発する頻繁な慢性壊死は、未処理SMA様マウスの50%と比較して、酪酸ナトリウム処理SMA様マウスでは大幅に2%に低下した。同様に、未処理SMA様マウスと比較して、処理SMA様マウスの尾は萎縮筋束が少なく、群萎縮が少なく、皮下浮腫が少なかった。ウェスタンブロット分析およぼ免疫組織化学研究の結果は、酪酸ナトリウム処理SMA様マウスでは、エクソン7含有SMN蛋白レベルが、脊髄運動ノイロンを含む多数の組織で評価された。SMA患者からの転換リンパ細胞の上述の分析における化合物の作用とSMA様疾患動物の神経学表現型の間にきわめて強い相関があった。
【0096】
[5.SMA様マウスの子宮内治療]
重度のSMAマウスに対する酪酸ナトリウムの治療効果を評価するために、試験化合物をhSMN2Smn±交雑雑種からの妊娠マウスに投与した。SMA様表現型をもって生まれたマウスの数を数え、タイプによって分類した。一つにケースにおいて、4から8μg/日の酪酸ナトリウムを***後15日から開始して分娩まで飲料水に任意に補給してhSMN2Smn±交雑雑種からの妊娠マウスに投与した(表1)。
【0097】
【表1】
【0098】
重度の疾患の子孫(すなわちタイプ1の症状のある)の数は母親を酪酸ナトリウムで処理したとき未処理母親からの子孫に比べて減少した。子孫については、酪酸ナトリウム処理した母親の子孫のわずか7%がタイプ1の症状を有し、これに対して未処理母親からの子孫では10%であった。これらの結果は妊娠した交雑交配母親の15日目の酪酸ナトリウム処理が子孫マウスの臨床症状を重いSMA群(タイプ1)から軽度タイプSMA群(タイプ2と3)に改善したことを示している。統計p価は0.05未満であった。
【0099】
40から80μg/日の酪酸ナトリウムというより高い用量での追加実験でも、処理した母親の子孫は未処理母親からの子孫よりも症状が軽減した。
【0100】
その他の実施態様は下記のようなものとして特許請求の範囲に含まれている。
【0101】
(A1) 被験体内のSMN遺伝子発現を調節するための方法において、基準SMNエクソン7発現レベルに対して、被験体の細胞内のSMNエクソン7の発現レベルを増加させるのに十分な量のヒストン・デアセチラーゼ阻害剤を被験体に投与することから成る方法。
【0102】
(A2) ヒストン・デアチラーゼ阻害剤が酪酸塩、トラポクシンまたはトリコスタチンAであることを特徴とする上記(A1)に記載の方法。
【0103】
(A3) ヒストン・デアチラーゼ阻害剤が酪酸ナトリウムであることを特徴とする上記(A2)に記載の方法。
【0104】
(A4) エクソン7欠損転写産物に対するエクソン7含有SMN転写産物の比率が少なくとも50%増加することを特徴とする上記(A1)に記載の方法。
【0105】
(A5) エクソン7欠損転写産物に対するエクソン7含有SMN転写産物の比率が少なくとも100%増加することを特徴とする上記(A1)に記載の方法。
【0106】
(A6)被験体の脊柱筋萎縮症を治療する方法において、脊柱筋萎縮症の症状を改善させるのに十分な量のヒストン・デアセチラーゼ阻害剤を被験体に投与することを含む方法。
【0107】
(A7) ヒストン・デアチラーゼ阻害剤が酪酸塩、トラポクシンまたはトリコスタチンAであることを特徴とする上記(A6)に記載の方法。
【0108】
(A8) ヒストン・デアチラーゼ阻害剤が酪酸塩であることを特徴とする上記(A7)に記載の方法。
【0109】
(A9) ヒストン・デアチラーゼ阻害剤が酪酸ナトリウムであることを特徴とする上記(A7)に記載の方法。
【0110】
(A10) 被験体がヒト若しくは非ヒトであることを特徴とする上記(A6)に記載の方法。
【0111】
(A11) 被験体がSMN1の突然変異について同型接合体であることを特徴とする上記(A10)に記載の方法。
【0112】
(A12)被験体が胎児であり、ヒストン・デアセチラーゼ阻害剤が子宮内で被験体に投与されることを特徴とする上記(A11)に記載の方法。
【0113】
(A13) 症状が筋麻痺であることを特徴とする上記(A6)に記載の方法。
【0114】
(A14) 症状が筋萎縮であることを特徴とする上記(A6)に記載の方法。
【0115】
(A15) 被験体の細胞内のSMNエクソン7発現減少であることを特徴とする上記(A6)に記載の方法。
【0116】
(B1) 基準SMNエクソン7発現レベルに対して、被験体の細胞内のSMNエクソン7の発現レベルを増加させるのに十分な量のヒストン・デアセチラーゼ阻害剤を含む、被験体内のSMN遺伝子発現を調節するSMN遺伝子発現調節剤。
【0117】
(B2) ヒストン・デアチラーゼ阻害剤が酪酸塩、トラポクシンまたはトリコスタチンAであることを特徴とする上記(B1)に記載のSMN遺伝子発現調節剤。
【0118】
(B3) ヒストン・デアチラーゼ阻害剤が酪酸ナトリウムであることを特徴とする上記(B2)に記載のSMN遺伝子発現調節剤。
【0119】
(B4) エクソン7欠損転写産物に対するエクソン7含有SMN転写産物の比率が少なくとも50%増加することを特徴とする上記(B1)に記載のSMN遺伝子発現調節剤。
【0120】
(B5) エクソン7欠損転写産物に対するエクソン7含有SMN転写産物の比率が少なくとも100%増加することを特徴とする上記(B1)に記載のSMN遺伝子発現調節剤。
【0121】
(B6)脊柱筋萎縮症の治療用組成物であって、脊柱筋萎縮症の症状を改善させるのに十分な量のヒストン・デアセチラーゼ阻害剤を含むことを特徴とする治療用組成物。
【0122】
(B7) ヒストン・デアチラーゼ阻害剤が酪酸塩、トラポクシンまたはトリコスタチンAであることを特徴とする上記(B6)に記載の治療用組成物。
【0123】
(B8) ヒストン・デアチラーゼ阻害剤が酪酸塩であることを特徴とする上記(B7)に記載の治療用組成物。
【0124】
(B9) ヒストン・デアチラーゼ阻害剤が酪酸ナトリウムであることを特徴とする上記(B7)に記載の治療用組成物。
【0125】
(B10) ヒト用の治療用組成物であることを特徴とする上記(B6)に記載の治療用組成物。
【0126】
(B11) SMN1の突然変異について同型接合体(homozygous)用の治療用組成物であることを特徴とする上記(B10)に記載の治療用組成物。
【0127】
(B12)胎児用の治療用組成物であり、ヒストン・デアセチラーゼ阻害剤が子宮内での投与用のものであることを特徴とする上記(B11)に記載の治療用組成物。
【0128】
(B13) 筋麻痺に対するものであることを特徴とする上記(B6)に記載の治療用組成物。
【0129】
(B14) 筋萎縮に対するものであることを特徴とする上記(B6)に記載の治療用組成物。
【0130】
(B15) 被験体の細胞内のSMNエクソン7発現減少を伴うものであることを特徴とする上記(B6)に記載の治療用組成物。
【0131】
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1Aは本発明の方法に使用したヒトSMN座の模式図である。図1BはマウスのSMN前記と本発明の方法におけるマウス座内へのヒトの配列の挿入の模式図である。
【図2】 各種の酪酸ナトリウム濃度(mlあたりの量で表示)で処理した転換リンパ細胞内のエクソン7欠損SMN転写産物に対するエクソン7を有するものの割合(E7in./E7ex.)を表す棒グラフである。
Claims (11)
- 被験体内のSMN遺伝子発現を調節するSMN遺伝子発現調節剤であって、
基準SMNエクソン7発現レベルに対して、被験体の細胞内のSMNエクソン7の発現レベルを増加させるのに十分な量の酪酸ナトリウムまたはトリコスタチンAを含むSMN遺伝子発現調節剤。 - エクソン7欠損転写産物に対するエクソン7含有SMN転写産物の比率を、少なくとも50%増加させる請求項1記載のSMN遺伝子発現調節剤。
- 被検体の脊柱筋萎縮症の治療用組成物であって、
脊柱筋萎縮症の症状を改善するのに十分な量の酪酸ナトリウムまたはトリコスタチンAを含む治療用組成物。 - ヒトに使用される請求項3記載の治療用組成物。
- SMN1突然変異のホモ接合体に使用される請求項3または4記載の治療用組成物。
- 子宮内の胎児に投与される請求項3から5いずれか記載の治療用組成物。
- 前記症状は、筋麻痺である請求項3から6いずれか記載の治療用組成物。
- 前記症状は、筋萎縮である請求項3から6いずれか記載の治療用組成物。
- 前記症状は、被験体の細胞内のSMNエクソン7発現減少を伴うものである請求項3から8いずれか記載の治療用組成物。
- 基準SMNエクソン7発現レベルに対して、被験体の細胞内のSMNエクソン7の発現レベルを増加させることにより、被験体内のSMN遺伝子発現を調節する医薬品の製造における、酪酸ナトリウムまたはトリコスタチンAの使用。
- 被験体内の脊柱筋萎縮症の症状を改善する医薬品の製造における、酪酸ナトリウムまたはトリコスタチンAの使用。
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