JP4018287B2 - ディスク駆動装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、CD−ROM、DVD等の交換媒体としてのディスクを回転するディスク駆動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に上述のようなディスク駆動装置としては、例えば、図6に示すようなものが公知であった。即ち、従来のディスク駆動装置は、ベース部材aに固定された軸受ホルダbの内側に含油スリーブ軸受cを介してロータdの回転軸eを回転自在に支持し、回転軸eに、ロータホルダを兼用するディスク載置用のターンテーブルfが固着されると共に、ロータホルダ(ターンテーブルf)の外周部にロータヨークgが固着され、さらに、ロータヨークgの内周面に環状のロータマグネットhが取付けられ、このロータマグネットhは、軸受ホルダbに外嵌固定されたステータkに若干の隙間を介して対向配置されている。
【0003】
また、軸受ホルダbの下端開口部はスラスト板mにより施蓋され、回転軸eの下端がスラスト板mに当接してスラスト支持されている。ロータマグネットhの磁気センターh′とステータkの磁気センターk′は軸心方向に所定寸法εずらされており、これによってロータdに軸心方向下方へのスラスト力が作用し、回転軸eがスラスト板mの上面に耐摩耗性シート等を介在して常時当接することになる。
【0004】
また、回転軸eの上端に嵌着されたターンテーブルfの中央円筒部には調芯用テーブルnが上下摺動自在に設けられ、調芯用テーブルnは円錐状コイルスプリングoにより上方にバネ付勢され、かつ、ターンテーブルfの中央円筒部に嵌着されたチャックケースpにより調芯用テーブルnの上昇位置が規制されている。また、調芯用テーブルnには周方向適宜箇所に調芯用テーパ面qを有する突部rが複数個配設されており、ターンテーブルf上にディスクsを載置する際、ディスクsの中心孔の内周縁vが調芯用テーブルnの突部rのテーパ面qに当接することによりディスクsが調芯される。
【0005】
また、チャックケースpには径方向に進退自在にかつコイルスプリングtにより外方へバネ付勢された複数個のチャックピンu…が周方向等間隔に保持されている。このチャックピンuには外側面に径方向外方へ下傾する上側傾斜面と径方向内方へ下傾する下側傾斜面が形成されており、ターンテーブルf上にディスクsを載置する動作の過程で、ディスクsの中心孔の内周縁vがチャックピンuの上側傾斜面を押圧してこれを径方向内方へ移動させ、その後、中心孔の上端にチャックピンuの突起が達するとチャックピンuの下側傾斜面により中心孔の内周縁vが押圧され、抜止めされる。
【0006】
なお、軸受ホルダbの上端にはその外周面に凹周溝wが形成されると共に、ターンテーブルfの下面には、円環部とこれの適所に設けられた複数個の爪部から成る抜止め部材xが設けられ、凹周溝wに爪部が係合することによってロータdの抜けが防止されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この従来のディスク駆動装置の場合、ディスクsの調芯のために設けられた調芯用テーブルn及びコイルスプリングoによって装置自体の軸心方向高さ寸法Hが大きくなってしまい、近年の小型化・薄型化の要請に応えることができず、また、部品点数が多いという欠点もあった。さらに、ロータdを取付ける回転軸e上端の軸方向取付寸法Lが大きいため、スリーブ軸受cの軸方向長さが短くなり、ロータdの回転の安定性に不安があった。
【0008】
そこで、本発明の目的は、ディスクを保持(チャッキング)する機能を有するチャック部をターンテーブルに設け、さらに、このチャック部に一体的にディスクの調芯機能を持たせ、従来のような軸心方向に摺動する部材及びこれを付勢するバネ手段を不要にし、モータ自体の軸心方向寸法を抑え、小型化・薄型化を可能にする点にある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するため、本発明に係るディスク駆動装置は、ターンテーブルにディスクを保持するチャック部を備えたディスク駆動装置であって、チャック部にディスク調芯機構を設けたものである。これによって、装置(モータ)自体の軸心方向寸法が抑えられ、小型化・薄型化することが可能となる。
【0010】
また、ターンテーブルにディスクを保持するチャック部を備えたディスク駆動装置であって、チャック部が、ケース本体とケース本体の外周に設けられた外鍔部を有するターンテーブルの上面に設けられたチャックケースと、チャックケースのケース本体に周方向等間隔に配設されると共に径方向進退自在にかつ外方へ弾発付勢されてディスクの中心孔の内周角部をターンテーブル側に押圧する複数個のチャック爪とを備え、さらに、チャックケースの外鍔部に一体状にかつ複数個のチャック爪の間にディスク調芯用の複数個の調芯爪を設けたものである。
【0011】
このように構成することによって、調芯用の摺動部材及びこれを上方へ弾発付勢するスプリングを省略することができ、装置の小型化・薄型化を図り得ることに加え、部品点数が減少する利点がある。
【0012】
また、調芯爪の外側面が、径方向外方へ下傾する勾配面を有するものとしても良い。これによって、ディスクをターンテーブル上に載置する際、ディスクの中心孔の内周縁が勾配面を摺動案内され、調芯爪が確実に内周縁に当接してディスクを調芯することができる。
【0013】
また、調芯爪を、チャックケースに略コの字状のスリットを形成して設けられると共に外 鍔部から先端がケース本体に向かう弾性舌片部と、弾性舌片部の先端に設けられた爪部とから構成し、弾性舌片部の撓みによって爪部が軸心方向に揺動可能とするも良い。このようにすれば、ディスクの調芯を行う調芯爪を軸心方向へ逃がし、ディスクを確実にターンテーブルまで下降させて載置することができる。それに加え、調芯爪をチャックケースの外鍔部に一体状に設けることにより、構造が簡素化されるという利点もある。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、実施の形態を示す図面に基づき、本発明を詳説する。
【0015】
図1は、CD−ROMやDVD等の交換媒体としてのディスクを回転する本発明のディスク駆動装置の実施の一形態を示し、このディスク駆動装置は、ターンテーブル1にディスクDを保持するチャック部7を備え、さらに、このチャック部7にディスク調芯機構が設けられている。また、図2は、ターンテーブル1にディスク調芯機構等を設けて構成したロータ31の平面図である。
【0016】
図1と図2を参照しつつ本発明のディスク駆動装置を具体的に説明すると、2はベースであり、このベース2に筒状の軸受ホルダ3が固定されると共に、軸受ホルダ3の内部に含油スリーブ軸受4を介して回転軸5が回転自在に保持されている。また、軸受ホルダ3の下端開口部はスラスト板32にて施蓋されると共に、軸受ホルダ3の外周には、ステータコア22とこれに巻装されたコイル21とから成るステータ23が設けられている。
【0017】
回転軸5の上端にはプラスチック製の(又は金属の削りだしにより構成された)上記ターンテーブル1が固着されている。なお、回転軸5の上端はターンテーブル1よりも上方には突出しない。ターンテーブル1は、回転軸5の上端を挿嵌するための筒部6を中心部に有し、この筒部6の外周にフランジ8が外鍔状に設けられている。また、フランジ8は、その上面13の外周縁にゴム等にて形成された円環状の滑止め部材39が付設されると共に、その内径側には円環状の凹部35が形成されている。
【0018】
また、ターンテーブル1の下面24にはロータヨーク25が固着されると共に、ロータヨーク25の内周面には環状のロータマグネット26が取付けられ、ロータマグネット26は上記ステータ23…に若干の隙間を介して対向配置されている。なお、ロータマグネット26の磁気センター26aと、ステータ23の磁気センター23aとは所定寸法εずらされており、これによってロータ31に軸心方向下方へのスラスト力が作用し、回転軸5の下端がスラスト板32に耐摩耗性シート等を介在させて常時当接することになる。
【0019】
また、軸受ホルダ3の上端外周面には凹周溝37が形成されると共に、ターンテーブル1の下面24には、下面24に取付けられる円環部と円環部から径方向内方へ突設された複数個の係止爪38a…を有する抜止め部材38が設けられており、係止爪38a…が凹周溝37に係合してロータ31の抜けが防止されている。
【0020】
チャック部7は、ケース本体9とこのケース本体9の外周に設けられた外鍔部10を有するターンテーブル1の上面13に設けられたチャックケース11と、チャックケース11のケース本体9に周方向等間隔に配設されると共に径方向進退自在にかつ外方へ弾発付勢される複数個のチャック爪12…とを備える。
【0021】
上記チャックケース11のケース本体9は、ターンテーブル1の筒部6に外嵌される短筒部18と、短筒部18の上端から径方向外方へ外鍔状に設けられた上壁部19と、上壁部19の外周縁から垂設された外周壁部27とを有し、この外周壁部27の下端面から径方向外方に外鍔部10が設けられている。なお、外鍔部10は、ターンテーブル1の上面13に設けられた上記円環状凹部35に嵌合収納されている。
【0022】
また、ケース本体9の外周壁部27には所定中心角度θにて複数の切欠部28…が設けられている。この切欠部28はチャック爪挿入用であり、本実施の形態では 120°の中心角度θにて3個の切欠部28…が形成され、各切欠部28…に夫々チャック爪12…が設けられた場合を例示している。なお、チャックケース11のケース本体9の上下幅寸法は、ターンテーブル1の筒部6の突出寸法と略等しく設定されると共に、各切欠部28…に対応する位置の外鍔部10には夫々窓部10a…が形成されている。
【0023】
チャック爪12は、その外側面が径方向外方へ下傾する第1傾斜部29と、径方向内方へ下傾する第2傾斜部30とをもって山型に形成されると共に、その内端には小凸部33が設けられている。そして、この小凸部33が、チャックケース11の切欠部28からチャックケース11内部(上壁部19とターンテーブル1の上面13との間)に径方向進退自在に挿入されることにより、チャック爪12がチャックケース11に取付けられている。また、チャックケース11の短筒部18とチャック爪12の間には、コイルスプリング等の弾発部材34が設けられており、チャック爪12を径方向外方へ弾発付勢している。なお、例えば、弾発部材34を短筒部18に固定し、小凸部33を弾発部材34に固定することにより、チャック爪12の抜止めを行う。
【0024】
ところで、上述したディスク調芯機構は、チャックケース11の外鍔部10に一体状にかつ複数個のチャック爪12…の間に設けられたディスク調芯用の複数個の調芯爪14…を備える。具体的には、120°の中心角θにて3個の調芯爪14…が設けられている。この調芯爪14は、チャックケース11の外鍔部10及び外周壁部27に(平面視)略コの字状のスリット20を形成して設けられると共に外鍔部 10 から先端がケース本体 9 に向かう薄肉の弾性舌片部15と、弾性舌片部15の先端上面に設けられた爪部16とから成り、弾性舌片部15の撓みによって爪部16が軸心方向に揺動可能とされている。
【0025】
さらに、爪部16の外側面は、径方向外方へ下傾する勾配面17を有し、この勾配面17はチャックケース11の外周壁部27の外側面よりも僅かに径方向外方に位置している。また、爪部16の勾配面17は、平面的に見た場合、円弧状とされている。
【0026】
しかして、このディスク駆動装置にディスクDを設置する際、ディスクDの中心孔の内周縁36がチャック爪12の第1傾斜部29を押圧することによってチャック爪12が径方向内方へ押しやられ、それによって内周縁36が第1傾斜部29を滑り落ち、内周縁36が第1・第2傾斜部29,30間の爪頂部を乗り越えると、チャック爪12が外方へ移動して第2傾斜部30にてディスクDの中心孔の内周角部(内周縁36の上端角部)がターンテーブル1側に押圧される。即ち、各チャック爪12…によってディスクDが抜止め保持される。またこのとき、ディスクDの内周縁36が調芯爪14…の爪部16…の勾配面17に沿って滑り落ち、各爪部16…が内周縁36に当接することによりディスクDの調芯(センタリング)が行われる。そして、この状態でステータ23…のコイル21…に電力を供給すれば、ターンテーブル1とディスクDとが一体的に回転する。
【0027】
次に、図3は、本発明のディスク駆動装置の他の実施の形態を示し、図4はロータ31の平面図である。このディスク駆動装置は、ターンテーブル1をプレス部品により構成したものであり、フランジ8の外周縁に沿って垂下壁40を一体成形し、この垂下壁40の内周面にロータマグネット26を取付けている。また、フランジ8の径方向中間には周方向に段差部41が形成され、この段差部41によってフランジ8の上面13の外周側を低くしている。さらに、この低くなった上面13の外周縁には、滑止め部材39を有する円環状部材42がフランジ8の同一円周上の位置(円環状部材42の内周側)にプレスの半抜きにより形成された複数個(3個)の円弧突起部43…の外周面に嵌着することにより設けられている。
【0028】
また、チャックケース11は、ケース本体9の外周壁部27の下面から円弧状の複数個(3個)の外鍔部10…が設けられ、各外鍔部10…に夫々(上述の)調芯爪14…が設けられている。そして、ターンテーブル1の段差部41と円環状部材42との間及び隣合う円弧突起部43,43の間に各外鍔部10…を嵌め込み、かつ、中心部に有する短筒部18をターンテーブル1の筒部6に嵌合してチャックケース11をターンテーブル1の上面13に同心状に固定している。
【0029】
また、ターンテーブル1の下面24の内径側には、同一円周上にプレス加工による複数個の円形凸部44…が設けられており、この円形凸部44…を抜止め部材38の取付孔に通してかしめ治具により塑性変形させることにより抜止め部材38をターンテーブル1の下面24に取付けている。
【0030】
次に、図5は本発明の別の実施の形態を示し、このディスク駆動装置は、調芯精度を高めた構造とされている。即ち、ターンテーブル1中心の筒部6を短く形成すると共に、チャックケース11の短筒部18の上部内周面に円環突部18aを形成し、ターンテーブル1の筒部6から上方へ突出した回転軸5の上端にチャックケース11の上記円環突部18aを直接嵌着している。
【0031】
これによって、回転軸5の軸心に対するチャックケース11の同心度が増し、調芯爪14…の調芯精度が向上する。つまり、回転軸5に対するセンタリング外径の精度向上が図れ、ディスクDのセンタリング精度が向上し、ディスクDの半径方向の振れ精度が向上する。
【0032】
以上、本発明の実施の形態を示したが、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、例えば、図1〜図5で説明したディスク駆動装置は、調芯爪14及びチャック爪12を周方向等間隔に4個以上設けるも自由である。
【0033】
【発明の効果】
本発明によれば、CD−ROMやDVD等の交換媒体としてのディスクを載置するターンテーブル1にディスクDを保持するチャック部7を設け、さらに、このチャック部7にディスク調芯機能を備えることにより、装置(モータ)の軸心方向高さ寸法Hを確実に小さくすることができる。つまり、図6に示す従来の装置のような、高さ寸法Hを大きくする要因であるディスクDの調芯のために用いられる調芯用テーブルn及びコイルスプリングoを省略できる。従って、本発明のディスク駆動装置は小型化・薄型化が可能であると共に、これを使用した装置の小型化・薄型化の要請に応えることができる。また、それに加えて部品点数を削減することができる。
また、本発明によれば、図1及び図3に示すように、ロータ31を取付ける回転軸5上端の軸方向取付寸法Lが小さくなるため、軸方向の軸受スパンを確保することができ、含油スリーブ軸受4の軸受長さを長くして、ロータ31の回転の安定性を十分に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態を示す断面図である。
【図2】ロータの平面図である。
【図3】他の実施の形態を示す断面図である。
【図4】ロータの平面図である。
【図5】別の実施の形態を示す断面図である。
【図6】従来例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 ターンテーブル
7 チャック部
9 ケース本体
10 外鍔部
11 チャックケース
12 チャック爪
14 調芯爪
15 弾性舌片部
16 爪部
17 勾配面
20 スリット
D ディスク
Claims (3)
- ターンテーブルにディスクを保持するチャック部を備えたディスク駆動装置であって、上記チャック部が、ケース本体と該ケース本体の外周に設けられた外鍔部を有する上記ターンテーブルの上面に設けられたチャックケースと、該チャックケースの上記ケース本体に周方向等間隔に配設されると共に径方向進退自在にかつ外方へ弾発付勢されてディスクの中心孔の内周角部を上記ターンテーブル側に押圧する複数個のチャック爪とを備え、さらに、上記チャックケースの上記外鍔部に一体状にかつ複数個の上記チャック爪の間にディスク調芯用の複数個の調芯爪を設けたことを特徴とするディスク駆動装置。
- 上記調芯爪の外側面が、径方向外方へ下傾する勾配面を有する請求項1記載のディスク駆動装置。
- 上記調芯爪が、上記チャックケースに略コの字状のスリットを形成して設けられると共に 上記外鍔部から先端が上記ケース本体に向かう弾性舌片部と、該弾性舌片部の先端に設けられた爪部とから成り、上記弾性舌片部の撓みによって上記爪部が軸心方向に揺動可能とされた請求項1 又は 2記載のディスク駆動装置。
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