(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の断面構成を示している。
図1に示すように、例えばシリコン(Si)からなる半導体基板10におけるシャロウトレンチ分離(STI)膜11により区画された素子形成領域には、MOSトランジスタ30が形成されている。なお、ここでは、1つ分の素子形成領域のみを示しているが、半導体基板10上に複数の素子形成領域を含んでいる。以下の各実施形態においても同様である。
MOSトランジスタ30を含む半導体基板10の上には、膜厚が約500nmの酸化シリコン(SiO2 )からなる第1の層間絶縁膜12が形成されている。
第1の層間絶縁膜12には、厚さが約10nmのチタンと厚さが約20nmの窒化チタン(TiN)とが積層されてなるバリア層(図示せず)を下部に設けたタングステン(W)からなる導電性プラグ13が、MOSトランジスタ30のソース拡散領域30aと接続されるように形成されている。
導電性プラグ13の上には、該導電性プラグ13と電気的に接続され、且つ導電性プラグ13を覆うように導電性の酸素バリア膜14が形成されている。酸素バリア膜14は、下側から順次積層された、厚さが約50nmの窒化チタンアルミニウム(TiAlN)と、厚さが約50nmのイリジウム(Ir)と、厚さが約50nmの酸化イリジウム(IrO2 )とにより構成されている。
第1の層間絶縁膜12の上には、膜厚が約500nmの酸化シリコンからなり、酸素バリア膜14を露出する開口部15aを有する第2の層間絶縁膜15が形成されている。
開口部15aの壁面上及び該開口部15aの底面から露出する酸素バリア膜14の上には、厚さが約50nmの白金(Pt)からなる下部電極16が形成されている。
下部電極16の上には、厚さが約50nmで、ストロンチウム(Sr)、ビスマス(Bi)、タンタル(Ta)及びニオブ(Nb)を含むビスマス層状ペロブスカイト型酸化物である強誘電体からなる容量絶縁膜17が、下部電極16に沿って形成されている。容量絶縁膜17の上には、厚さが約50nmの白金(Pt)からなる上部電極18が容量絶縁膜17に沿って形成されている。
このように、第1の実施形態に係る容量素子19は、下部電極16、容量絶縁膜17及び上部電極18からなり、MOSトランジスタ30のソース拡散領域30a上に設けられた導電性プラグ13のさらに上方に位置するように設けられている。これにより、容量素子とトランジスタとからなるセルの単位面積を小さくすることができる。
その上、容量絶縁膜17は、第2の層間絶縁膜15に設けられた酸素バリア膜14を露出する開口部15aの底面及び壁面上に沿って形成されているため、容量絶縁膜17には、導電性プラグ13の貫通方向に屈曲する屈曲部17aが形成される。この屈曲部17aにより、容量絶縁膜17の一部は、基板面とほぼ垂直な面を持つことになり、所定の容量を確保しながら、容量絶縁膜17の基板面への投影面積、すなわちセルの単位面積をさらに小さくすることができる。
なお、第1の層間絶縁膜12及び第2の層間絶縁膜15は、酸化シリコンに代えて、それよりも誘電率が小さいフッ素(F)が添加された酸化シリコン(FSG)等、絶縁性を有する材料であればよい。
また、導電性プラグ13は、タングステンに限られず、多結晶シリコン等の導電性を有する材料であればよい。
また、下部電極16及び上部電極18は、白金に限られず、高温の酸素雰囲気で導電性が維持される材料であればよい。
また、容量絶縁膜17は、強誘電体からなる金属酸化物又は高誘電体からなる金属酸化物が好ましい。
(第1の実施形態の第1製造方法)
以下、前記のように構成された半導体装置の第1製造方法について図面を参照しながら説明する。
図2(a)〜図2(d)は第1の実施形態に係る半導体装置の第1製造方法の工程順の断面構成を示している。
まず、図2(a)に示すように、半導体基板10の主面の上部に、STI膜11を選択的に形成して、主面を複数の素子形成領域に区画する。その後、各素子形成領域にMOSトランジスタ30を形成し、形成したMOSトランジスタ30を含む半導体基板10の上に全面にわたって、化学的気相堆積(CVD)法により、膜厚が約1000nmの酸化シリコンからなる第1の層間絶縁膜12を堆積する。続いて、化学機械的研磨(CMP)法により、堆積した第1の層間絶縁膜12の上面の平坦化を行なってその膜厚を500nm程度とする。その後、リソグラフィ法及びドライエッチング法により、第1の層間絶縁膜12におけるMOSトランジスタ30のソース領域30aの上側に、コンタクトホールを選択的に開口する。続いて、スパッタ法又はCVD法により、コンタクトホールを含む第1の層間絶縁膜12の上に、厚さが約10nmのチタン及び厚さが約20nmの窒化チタンを堆積してバリア層(図示せず)を形成する。続いて、CVD法により、バリア層の上にコンタクトホールを充填するように、厚さが約500nmのタングステンからなる金属膜を堆積する。その後、CMP法により、バリア層及び金属膜における第1の層間絶縁膜12上に位置する部分を除去することにより、コンタクトホールにバリア層及び金属膜からなる導電性プラグ13を形成する。
次に、図2(b)に示すように、スパッタ法により、導電性プラグ13を含む第1の層間絶縁膜12の上に、厚さが約50nmの窒化チタンアルミニウム、厚さが約50nmのイリジウム及び厚さが約50nmの酸化イリジウムを順次堆積して、酸素バリア形成膜を形成する。続いて、酸素バリア形成膜に対して、リソグラフィ法及びドライエッチング法により、導電性プラグ13を含む領域でパターニングして、酸素バリア形成膜から酸素バリア膜14を形成する。
次に、図2(c)に示すように、CVD法により、第1の層間絶縁膜12の上に酸素バリア膜14を含む全面にわたって、膜厚が約1000nmの酸化シリコンからなる第2の層間絶縁膜15を堆積する。その後、CMP法により、堆積した第2の層間絶縁膜15の上面をその膜厚が500nm程度となるように平坦化する。続いて、リソグラフィ法及びドライエッチング法により、第2の層間絶縁膜15に、酸素バリア膜14を露出する開口部15aを形成し、その後、スパッタ法又はCVD法により、開口部15aを含む第2の層間絶縁膜15の上に、膜厚が約50nmの白金からなる下部電極形成膜を堆積する。続いて、リソグラフィ法及びドライエッチング法により、堆積した下部電極形成膜に対して、該下部電極形成膜が少なくとも開口部15aの底面及び壁面上に残るようにパターニングして、下部電極形成膜から下部電極16を形成する。
次に、図2(d)に示すように、CVD法により、下部電極16を含む第2の層間絶縁膜15の上に、膜厚が約50nmで、ストロンチウム、ビスマス、タンタル及びニオブを含む強誘電体からなる容量絶縁膜形成膜を堆積する。続いて、スパッタ法又はCVD法により、容量絶縁膜形成膜の上に、膜厚が約50nmの白金からなる上部電極形成膜を堆積する。その後、リソグラフィ法及びドライエッチング法により、容量絶縁膜形成膜び上部電極形成膜に対して、下部電極16を含むようにパターニングを行なって、容量絶縁膜形成膜から容量絶縁膜17を形成し、上部電極形成膜から上部電極18を形成する。続いて、約700℃の温度で約10分間のアニールを行なって、容量絶縁膜17を構成する強誘電体の結晶化を図る。
その後、図示はしていないが、半導体基板10上に所定の配線等を形成した後、保護絶縁膜を成膜する。
このように、第1の実施形態の第1製造方法によると、下部電極16と導電性プラグ13との間には、酸素バリア膜14を介在させているため、容量絶縁膜17を結晶化する際の熱処理によって、容量絶縁膜17を構成する酸素原子によって導電性プラグ13が酸化されることがない。
その上、酸素バリア膜14と下部電極16とはそれぞれ異なる工程で形成するため、酸素バリア膜14の膜厚を相対的に大きくすることによって、該酸素バリア膜14のバリア特性の向上を図ることができると共に、逆に、下部電極16の膜厚を相対的に小さくすることによって、容量絶縁膜17における基板面とほぼ垂直な部分を形成できるので、容量絶縁膜17の表面積を確実に増大することができる。
従って、例えば、下部電極16の膜厚を相対的に大きくすると、白金等の高融点金属は一般にはエッチングが困難となるという事態を避けることができる。さらには、容量絶縁膜17の屈曲部17aによる立体化を図るために設けた第2の絶縁膜15の開口部15aの開口径が小さくなってしまい、容量絶縁膜17の実効的な面積が減少するという事態を防止することができる。
(第1の実施形態の第2製造方法)
以下、第1の実施形態に係る半導体装置の第2製造方法について図面を参照しながら説明する。
図3(a)〜図3(d)は第1の実施形態に係る半導体装置の第2製造方法の工程順の断面構成を示している。図3において、図2に示す構成部材と同一の構成部材には同一の符号を付している。
まず、図3(a)に示すように、第1製造方法と同様に、MOSトランジスタ30を含む半導体基板10の上の全面に、膜厚が約1000nmの酸化シリコンからなる第1の層間絶縁膜12を堆積する。続いて、CMP法により、堆積した第1の層間絶縁膜12の上面の平坦化を行なってその膜厚を500nm程度とする。その後、第1の層間絶縁膜12におけるMOSトランジスタ30のソース領域30aの上側に、コンタクトホールを選択的に開口する。続いて、開口したコンタクトホールに、バリア層及びタングステンからなる導電性プラグ13を形成する。その後、CVD法により、膜厚が約150nmの酸化シリコンからなる第2の層間絶縁膜20を堆積し、リソグラフィ法及びドライエッチング法により、堆積した第2の層間絶縁膜20に導電性プラグ13を露出するように第1開口部20aを形成する。
次に、図3(b)に示すように、スパッタ法により、第1の層間絶縁膜12の上に第1開口部20aを含む全面にわたって、厚さが約50nmの窒化チタンアルミニウム、厚さが約50nmのイリジウム及び厚さが約50nmの酸化イリジウムを順次堆積して、酸素バリア形成膜を形成する。続いて、CMP法により、酸素バリア形成膜における第2の層間絶縁膜20の上側部分を除去することにより、第2の層間絶縁膜20の第1開口部20aに酸素バリア膜14を形成する。
次に、図3(c)に示すように、CVD法により、第2の層間絶縁膜20の上に酸素バリア膜14を含む全面にわたって、膜厚が約500nmの酸化シリコンからなる第3の層間絶縁膜21を成膜する。続いて、リソグラフィ法及びドライエッチング法により、第3の層間絶縁膜21に、酸素バリア膜14を露出する第2開口部21aを形成し、その後、スパッタ法又はCVD法により、第2開口部21aを含む第3の層間絶縁膜21の上に、膜厚が約50nmの白金からなる下部電極形成膜を堆積する。続いて、リソグラフィ法及びドライエッチング法により、堆積した下部電極形成膜に対して、該下部電極形成膜が少なくとも第2開口部21aの底面及び壁面上に残るようにパターニングして、下部電極形成膜から下部電極16を形成する。
次に、図3(d)に示すように、CVD法により、下部電極16を含む第3の層間絶縁膜21の上に、膜厚が約50nmで、ストロンチウム、ビスマス、タンタル及びニオブを含む強誘電体からなる容量絶縁膜17を形成し、続いて、スパッタ法又はCVD法により、容量絶縁膜17の上に、膜厚が約50nmの白金からなる上部電極18を形成する。ここでは、容量絶縁膜17及び上部電極18を同一のマスクによりパターニングしている。これにより、下部電極16、容量絶縁膜17及び上部電極18からなる容量素子19が形成される。ここでも、約700℃の温度で約10分間のアニールを行なって、容量絶縁膜17を構成する強誘電体の結晶化を図る。
その後、図示はしていないが、半導体基板10上に所定の配線等を形成した後、保護絶縁膜を成膜する。
このように、第1の実施形態の第2製造方法によると、酸素バリア膜14を、該酸素バリア膜14の膜厚を決定する第2の層間絶縁膜20の第1開口部20aに埋め込むことにより形成するため、酸素バリア膜14にエッチングが困難な材料を用いた場合であっても、酸素バリア膜14の微細加工が容易となる。また、酸素バリア膜14のバリア特性を高めるための厚膜化も比較的容易となる。
(第1製造方法の一変形例)
以下、第1の実施形態に係る半導体装置の第1製造方法の一変形例について図面を参照しながら説明する。
図4(a)〜図4(d)は第1の実施形態に係る半導体装置の第1製造方法の一変形例の工程順の断面構成を示している。図4において、図2に示す構成部材と同一の構成部材には同一の符号を付している。
まず、図4(a)に示すように、第1製造方法と同様に、MOSトランジスタ30を含む半導体基板10の上の全面に、膜厚が約1000nmの酸化シリコンからなる第1の層間絶縁膜12を堆積する。続いて、CMP法により、堆積した第1の層間絶縁膜12の上面の平坦化を行なってその膜厚を500nm程度とする。その後、第1の層間絶縁膜12におけるMOSトランジスタ30のソース領域30aの上側に、コンタクトホールを選択的に開口する。続いて、開口したコンタクトホールに、バリア層及びタングステンからなる導電性プラグ13を形成する。
次に、図4(b)に示すように、スパッタ法により、導電性プラグ13を含む第1の層間絶縁膜12の上に、厚さが約50nmの窒化チタンアルミニウム、厚さが約50nmのイリジウム及び厚さが約50nmの酸化イリジウムを順次堆積して、酸素バリア形成膜を形成する。続いて、酸素バリア形成膜に対して、リソグラフィ法及びドライエッチング法により、導電性プラグ13を含むようにパターニングして、酸素バリア形成膜から酸素バリア膜14を形成する。
次に、図4(c)に示すように、CVD法により、第1の層間絶縁膜12の上に酸素バリア膜14を含む全面にわたって、膜厚が約1000nmの酸化シリコンからなる第2の層間絶縁膜15を堆積する。続いて、CMP法により、堆積した第2の層間絶縁膜15の上面をその膜厚が500nm程度となるように平坦化する。その後、リソグラフィ法及びドライエッチング法により、第2の層間絶縁膜15に、酸素バリア膜14を露出する開口部15aを形成し、続いて、スパッタ法又はCVD法により、開口部15aの底面上及び壁面上に、酸素バリア膜14と接続するように、膜厚が約50nmの白金からなる下部電極形成膜を堆積する。続いて、CMP法又はレジストエッチバック法により、堆積した下部電極形成膜における第2の層間絶縁膜15の上側部分を除去して、該下部電極形成膜を開口部15aの底面及び壁面上に残すことにより、下部電極形成膜から下部電極16Aを形成する。
次に、図4(d)に示すように、CVD法により、下部電極16Aを含む第2の層間絶縁膜15の上に、膜厚が約50nmで、ストロンチウム、ビスマス、タンタル及びニオブを含む強誘電体からなる容量絶縁膜17を形成し、続いて、スパッタ法又はCVD法により、容量絶縁膜17の上に、膜厚が約50nmの白金からなる上部電極18を形成する。これにより、下部電極16A、容量絶縁膜17及び上部電極18からなる容量素子19が形成される。ここでも、約700℃の温度で約10分間のアニールを行なって、容量絶縁膜17を構成する強誘電体の結晶化を図る。
その後、図示はしていないが、半導体基板10上に所定の配線等を形成した後、保護絶縁膜を成膜する。
このように、第1製造方法の一変形例によると、図4(c)に示す下部電極16Aの形成工程において、CMP法又はレジストエッチバック法により下部電極16Aを形成するため、第2の層間絶縁膜15の開口部15aと下部電極16Aとの位置合わせのマージンを確保する必要がなくなるので、セル面積をさらに小さくすることができる。
なお、本変形例においても、酸素バリア膜14の形成には、第2製造方法、すなわち酸素バリア膜14を層間絶縁膜の開口部に充填して形成する方法を用いてもよい。
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図5は本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の断面構成を示している。図5において、図1に示す構成部材と同一の構成部材には同一の符号を付すことにより説明を省略する。
図5に示すように、第2の実施形態に係る半導体装置は、第2の層間絶縁膜15の開口部15aの底面上及び側面上に、厚さが約5nmの酸化イリジウムからなる導電性を有する密着層22が設けられている。
この密着層22により、酸化シリコンからなる第2の層間絶縁膜15と白金からなる下部電極16との間の密着性が向上するため、下部電極16が第2の層間絶縁膜15から剥がれ難くなる。
以下、前記のように構成された半導体装置の製造方法について図面を参照しながら説明する。
図6(a)〜図6(d)は第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法の工程順の断面構成を示している。図6において、図2に示す構成部材と同一の構成部材には同一の符号を付している。
まず、図6(a)に示すように、第1の実施形態の第1製造方法と同様に、MOSトランジスタ30を含む半導体基板10の上の全面に、膜厚が約1000nmの酸化シリコンからなる第1の層間絶縁膜12を堆積する。続いて、CMP法により、堆積した第1の層間絶縁膜12の上面の平坦化を行なってその膜厚を500nm程度とする。その後、第1の層間絶縁膜12におけるMOSトランジスタ30のソース領域30aの上側に、コンタクトホールを選択的に開口する。続いて、開口したコンタクトホールに、バリア層及びタングステンからなる導電性プラグ13を形成する。
次に、図6(b)に示すように、スパッタ法により、導電性プラグ13を含む第1の層間絶縁膜12の上に、厚さが約50nmの窒化チタンアルミニウム、厚さが約50nmのイリジウム及び厚さが約50nmの酸化イリジウムを順次堆積して、酸素バリア形成膜を形成する。続いて、酸素バリア形成膜に対して、リソグラフィ法及びドライエッチング法により、導電性プラグ13を含むようにパターニングして、酸素バリア形成膜から酸素バリア膜14を形成する。
次に、図6(c)に示すように、CVD法により、第1の層間絶縁膜12の上に酸素バリア膜14を含む全面にわたって、膜厚が約1000nmの酸化シリコンからなる第2の層間絶縁膜15を堆積する。続いて、CMP法により、堆積した第2の層間絶縁膜15の上面をその膜厚が500nm程度となるように平坦化する。その後、リソグラフィ法及びドライエッチング法により、第2の層間絶縁膜15に、酸素バリア膜14を露出する開口部15aを形成し、続いて、スパッタ法又はCVD法により、開口部15aを含む第2の層間絶縁膜15の上に、膜厚が約5nmの酸化イリジウムからなる密着層22及び膜厚が約50nmの白金からなる下部電極形成膜を順次堆積する。続いて、リソグラフィ法及びドライエッチング法により、堆積した密着層22及び下部電極形成膜に対して、該密着層22及び下部電極形成膜が少なくとも開口部15aの底面及び壁面上に残るようにパターニングすることにより、第2の層間絶縁膜15との間に密着層22を介在させた下部電極16を形成する。
次に、図6(d)に示すように、CVD法により、下部電極16を含む第2の層間絶縁膜15の上に、膜厚が約50nmで、ストロンチウム、ビスマス、タンタル及びニオブを含む強誘電体からなる容量絶縁膜17を形成し、続いて、スパッタ法又はCVD法により、容量絶縁膜17の上に、膜厚が約50nmの白金からなる上部電極18を形成する。ここでは、容量絶縁膜17及び上部電極18を同一のマスクによりパターニングしている。これにより、下部電極16、容量絶縁膜17及び上部電極18からなる容量素子19が形成される。ここでも、約700℃の温度で約10分間のアニールを行なって、容量絶縁膜17を構成する強誘電体の結晶化を図る。
その後、図示はしていないが、半導体基板10上に所定の配線等を形成した後、保護絶縁膜を成膜する。
このように、第2の実施形態によると、第2の層間絶縁膜15の開口部15aの底面上及び壁面上に、厚さが約5nmの酸化イリジウムからなる密着層22を設けているため、容量絶縁膜17を構成する強誘電体を結晶化するアニール処理時に、下部電極16が第2の層間絶縁膜15から剥離することを防止することができる。
なお、第2の実施形態においても、酸素バリア膜14の形成に、第1の実施形態の第2製造方法、すなわち酸素バリア膜14を層間絶縁膜の開口部に充填して形成する方法を用いてもよい。
また、図6(c)に示す工程において、密着層22と下部電極16とを形成する際に、リソグラフィ法及びエッチング法によるパターニングに代えて、図4(c)に示したように、CMP法等により形成してもよい。
(第2の実施形態の一変形例)
以下、本発明の第2の実施形態の一変形例について図面を参照しながら説明する。
図7は本発明の第2の実施形態の一変形例に係る半導体装置の断面構成を示している。図7において、図5に示す構成部材と同一の構成部材には同一の符号を付すことにより説明を省略する。
本変形例に係る半導体装置は、第2の層間絶縁膜15の開口部15aの側面上に、厚さが約10nmの酸化チタン(TiO2 )からなる絶縁性の密着層23が設けられていることを特徴とする。
この密着層23により、酸化シリコンからなる第2の層間絶縁膜15と白金からなる下部電極16との間の密着性が向上するため、下部電極16が第2の層間絶縁膜15から剥がれ難くなる。さらに、密着層23は開口部15aの側面上にのみ選択的に形成されているため、酸素バリア膜14は下部電極16と直接に接続されている。このため、本変形例は、第2の実施形態と異なり、密着層23に導電性を有さない材料をも用いることができる。その結果、密着層23の材料を選択するにあたり、密着性が高い材料や、安価な材料というように、材料の選択の幅が広がる。
なお、密着層23は、第2の層間絶縁膜15と下部電極16との密着性に優れた材料であればよい。
以下、前記のように構成された半導体装置の製造方法について図面を参照しながら説明する。
図8(a)〜図8(d)は第2の実施形態の一変形例に係る半導体装置の製造方法の工程順の断面構成を示している。図8において、図6に示す構成部材と同一の構成部材には同一の符号を付している。
まず、図8(a)に示すように、第1の実施形態の第1製造方法と同様に、MOSトランジスタ30を含む半導体基板10の上の全面に、膜厚が約1000nmの酸化シリコンからなる第1の層間絶縁膜12を堆積する。続いて、CMP法により、堆積した第1の層間絶縁膜12の上面の平坦化を行なってその膜厚を500nm程度とする。その後、第1の層間絶縁膜12におけるMOSトランジスタ30のソース領域30aの上側に、コンタクトホールを選択的に開口する。続いて、開口したコンタクトホールに、バリア層及びタングステンからなる導電性プラグ13を形成する。その後、スパッタ法により、導電性プラグ13を含む第1の層間絶縁膜12の上に、厚さが約50nmの窒化チタンアルミニウム、厚さが約50nmのイリジウム及び厚さが約50nmの酸化イリジウムを順次堆積して、酸素バリア形成膜を形成する。続いて、酸素バリア形成膜に対して、リソグラフィ法及びドライエッチング法により、導電性プラグ13を含むようにパターニングして、酸素バリア形成膜から酸素バリア膜14を形成する。
次に、図8(b)に示すように、CVD法により、第1の層間絶縁膜12の上に酸素バリア膜14を含む全面にわたって、膜厚が約1000nmの酸化シリコンからなる第2の層間絶縁膜15を堆積する。続いて、CMP法により、堆積した第2の層間絶縁膜15の上面をその膜厚が500nm程度となるように平坦化する。その後、リソグラフィ法及びドライエッチング法により、第2の層間絶縁膜15に、酸素バリア膜14を露出する開口部15aを形成し、続いて、スパッタ法又はCVD法により、開口部15aの底面上及び壁面上に、膜厚が約5nmのチタン(Ti)からなる金属層を堆積する。さらに、堆積した金属層に対して、温度が約650℃の酸素雰囲気で約60分間の酸化処理を行なって金属層を酸化することにより、酸化チタンからなる密着層形成層を形成する。続いて、形成した密着層形成層に対して、例えば塩素(Cl2 )ガスを用いた異方性のドライエッチングによるエッチバックを行なって、第2の層間絶縁膜15の開口部15aの壁面上に密着層形成層から密着層23を形成する。
次に、図8(c)に示すように、スパッタ法又はCVD法により、開口部15aを含む第2の層間絶縁膜15の上に、膜厚が約50nmの白金からなる下部電極形成膜を堆積する。続いて、リソグラフィ法及びドライエッチング法により、堆積した下部電極形成膜に対して、該下部電極形成膜が少なくとも開口部15aの底面及び壁面上に残るようにパターニングすることにより、第2の層間絶縁膜15との間に密着層23を介在させた下部電極16を形成する。
次に、図8(d)に示すように、CVD法により、下部電極16を含む第2の層間絶縁膜15の上に、膜厚が約50nmで、ストロンチウム、ビスマス、タンタル及びニオブを含む強誘電体からなる容量絶縁膜17を形成し、続いて、スパッタ法又はCVD法により、容量絶縁膜17の上に、膜厚が約50nmの白金からなる上部電極18を形成する。これにより、下部電極16、容量絶縁膜17及び上部電極18からなる容量素子19が形成される。ここでも、約700℃の温度で約10分間のアニールを行なって、容量絶縁膜17を構成する強誘電体の結晶化を図る。
その後、図示はしていないが、半導体基板10上に所定の配線等を形成した後、保護絶縁膜を成膜する。
このように、本変形例によると、第2の層間絶縁膜15の開口部15aの壁面上に、厚さが約5nmの酸化チタンからなる密着層23を設けているため、容量絶縁膜17を構成する強誘電体を結晶化するアニール処理時に、下部電極16が第2の層間絶縁膜15から剥離することを防止することができる。
また、密着層23は金属酸化物からなるため、密着層23と下部電極16との反応によって、下部電極16と第2の層間絶縁膜15との密着性が向上する。その上、容量絶縁膜17のアニール処理時には密着層23から容量絶縁膜17への金属拡散が防止される。
さらに、図8(b)に示すように、密着層23を開口部15aの壁面上にのみ形成して、下部電極16は導電性の酸素バリア膜14と直接に接続されるため、密着層23として絶縁性材料を用いることができる。
なお、本変形例においても、酸素バリア膜14の形成に、第1の実施形態の第2製造方法、すなわち酸素バリア膜14を層間絶縁膜の開口部に充填して形成する方法を用いてもよい。
また、図8(c)に示す工程において、下部電極16と形成する際に、リソグラフィ法及びエッチング法によるパターニングに代えて、図4(c)に示したように、CMP法等により形成してもよい。
(第3の実施形態)
以下、本発明の第3の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図9は本発明の第3の実施形態に係る半導体装置の断面構成を示している。図9において、図1に示す構成部材と同一の構成部材には同一の符号を付すことにより説明を省略する。
図9に示すように、第3の実施形態に係る半導体装置は、第1及び第2の実施形態と同様に、導電性プラグ13、酸素バリア膜14及び容量素子19が基板面に対して垂直な方向に積層されてなるスタック型のセル構造を有している。
第3の実施形態の特徴として、容量素子19を構成する下部電極16Bは、厚さが約300nmと比較的に膜厚が大きい白金により構成されている。
膜厚が約50nmの強誘電体からなり、下部電極16Bの表面上に形成される容量絶縁膜17は、該下部電極16Bの上面と側面とがなす角部によって屈曲部17aが形成される。この屈曲部17aにより、容量絶縁膜17の一部は、基板面とほぼ垂直な面を持つことになり、所定の容量を確保しながら、容量絶縁膜17の基板面への投影面積を確実に小さくすることができる。
以下、前記のように構成された半導体装置の製造方法について図面を参照しながら説明する。
図10(a)〜図10(d)は第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法の工程順の断面構成を示している。図10において、図2に示す構成部材と同一の構成部材には同一の符号を付している。
まず、図10(a)に示すように、第1の実施形態の第1製造方法と同様に、MOSトランジスタ30を含む半導体基板10の上の全面に、膜厚が約1000nmの酸化シリコンからなる第1の層間絶縁膜12を堆積する。続いて、CMP法により、堆積した第1の層間絶縁膜12の上面の平坦化を行なってその膜厚を500nm程度とする。その後、第1の層間絶縁膜12におけるMOSトランジスタ30のソース領域30aの上側に、コンタクトホールを選択的に開口する。続いて、開口したコンタクトホールに、バリア層及びタングステンからなる導電性プラグ13を形成する。その後、スパッタ法により、導電性プラグ13を含む第1の層間絶縁膜12の上に、厚さが約50nmの窒化チタンアルミニウム、厚さが約50nmのイリジウム及び厚さが約50nmの酸化イリジウムを順次堆積して、酸素バリア形成膜を形成する。続いて、酸素バリア形成膜に対して、リソグラフィ法及びドライエッチング法により、導電性プラグ13を含むようにパターニングして、酸素バリア形成膜から酸素バリア膜14を形成する。
次に、図10(b)に示すように、CVD法により、第1の層間絶縁膜12の上に酸素バリア膜14を含む全面にわたって、膜厚が約300nmの酸化シリコンからなる第2の層間絶縁膜15を堆積する。続いて、CMP法により、堆積した第2の層間絶縁膜15の上面を、酸素バリア膜14が露出するまで研磨し、第2の層間絶縁膜15及び酸素バリア膜14の上面を平坦化する。
次に、図10(c)に示すように、スパッタ法により、第2の層間絶縁膜15の上に酸素バリア膜14を含む全面にわたって、厚さが約300nmの白金からなる下部電極形成膜を堆積する。続いて、リソグラフィ法及びドライエッチング法により、下部電極形成膜をその酸素バリア膜14の上側部分を含むようにパターニングして、該下部電極形成膜から厚膜の下部電極16Bを形成する。
次に、図10(d)に示すように、CVD法により、下部電極16Bを覆うように、膜厚が約50nmで、ストロンチウム、ビスマス、タンタル及びニオブを含む強誘電体からなる容量絶縁膜17を形成し、続いて、スパッタ法又はCVD法により、容量絶縁膜17を覆うように、膜厚が約50nmの白金からなる上部電極18を形成する。ここでは、容量絶縁膜17及び上部電極18を同一のマスクによりパターニングしている。これにより、下部電極16B、容量絶縁膜17及び上部電極18からなる容量素子19が形成される。ここでも、約700℃の温度で約10分間のアニールを行なって、容量絶縁膜17を構成する強誘電体の結晶化を図る。
その後、図示はしていないが、半導体基板10上に所定の配線等を形成した後、保護絶縁膜を成膜する。
このように、第3の実施形態の製造方法によると、酸素バリア膜14を形成した後、比較的に厚膜の下部電極16Bを形成するため、該下部電極16Bを酸素バリア膜14と同時に形成する場合と比べて加工が容易である。
また、第3の実施形態に係る酸素バリア膜14は、その周辺部を第2の層間絶縁膜15により囲まれているため、下部電極16Bの底面積を酸素バリア膜14よりも大きくすることができる。このため、下部電極16Bと酸素バリア膜14との位置合わせを行なう際に、位置ずれが生じるおそれがない。
なお、第3の実施形態においても、酸素バリア膜14の形成には、第1の実施形態に係る第2製造方法、すなわち酸素バリア膜14を第2の層間絶縁膜15に開口部を形成し、その開口部に充填して形成する方法を用いてもよい。
(第4の実施形態)
以下、本発明の第4の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図11は本発明の第4の実施形態に係る半導体装置の断面構成を示している。図11において、図1に示す構成部材と同一の構成部材には同一の符号を付すことにより説明を省略する。
図11に示すように、第4の実施形態に係る半導体装置は、第1〜第3の実施形態と同様に、導電性プラグ13、酸素バリア膜14及び容量素子19が基板面に対して垂直な方向に積層されてなるスタック型のセル構造を有している。
第4の実施形態は、第3の実施形態のように容量素子19の下部電極16自体を厚膜とする代わりに、絶縁性材料からなり比較的に厚膜の例えば柱状の下地膜24の上に形成する構成とする。
この構成により、膜厚が約50nmの強誘電体からなり、下部電極16の表面上に形成される容量絶縁膜17は、下地膜24の上面と側面とがなす角部によって屈曲部17aが形成される。この屈曲部17aにより、容量絶縁膜17の一部は、基板面とほぼ垂直な面を持つことになり、所定の容量を確保しながら、容量絶縁膜17の基板面への投影面積を確実に小さくすることができる。
その上、下地膜24を設けたことにより、下部電極16の厚さを比較的に小さくできるため、下部電極16自体の加工が容易となるので、基板面に対して垂直な方向の寸法、すなわち高さ寸法を容易に且つ確実に大きくすることができる。
以下、前記のように構成された半導体装置の製造方法について図面を参照しながら説明する。
図12(a)〜図12(d)は第4の実施形態に係る半導体装置の製造方法の工程順の断面構成を示している。図12において、図2に示す構成部材と同一の構成部材には同一の符号を付している。
まず、図12(a)に示すように、第1の実施形態の第1製造方法と同様に、MOSトランジスタ30を含む半導体基板10の上の全面に、膜厚が約1000nmの酸化シリコンからなる第1の層間絶縁膜12を堆積する。続いて、CMP法により、堆積した第1の層間絶縁膜12の上面の平坦化を行なってその膜厚を500nm程度とする。その後、第1の層間絶縁膜12におけるMOSトランジスタ30のソース領域30aの上側に、コンタクトホールを選択的に開口する。続いて、開口したコンタクトホールに、バリア層及びタングステンからなる導電性プラグ13を形成する。その後、スパッタ法により、導電性プラグ13を含む第1の層間絶縁膜12の上に、厚さが約50nmの窒化チタンアルミニウム、厚さが約50nmのイリジウム及び厚さが約50nmの酸化イリジウムを順次堆積して、酸素バリア形成膜を形成する。続いて、酸素バリア形成膜に対して、リソグラフィ法及びドライエッチング法により、導電性プラグ13を含むようにパターニングして、酸素バリア形成膜から酸素バリア膜14を形成する。その後、CVD法により、第1の層間絶縁膜12の上に酸素バリア膜14を含む全面にわたって、膜厚が約300nmの酸化シリコンからなる第2の層間絶縁膜15を堆積する。続いて、CMP法により、堆積した第2の層間絶縁膜15の上面を、酸素バリア膜14が露出するまで研磨し、第2の層間絶縁膜15及び酸素バリア膜14の上面を平坦化する。
次に、図12(b)に示すように、CVD法により、第2の層間絶縁膜15の上に酸素バリア膜14を含む全面にわたって、膜厚が約500nmの酸化シリコンからなる下地膜形成膜を堆積し、リソグラフィ法及びドライエッチング法により、堆積した下地膜形成膜における酸素バリア膜14の上側部分をその周縁部が露出するようにパターニングして、該下地膜形成膜から下地膜24を形成する。
次に、図12(c)に示すように、スパッタ法又はCVD法により、第2の層間絶縁膜15の上に下地膜24を覆うように膜厚が約50nmの白金からなる下部電極形成膜を堆積する。続いて、リソグラフィ法及びドライエッチング法により、堆積した下部電極形成膜に対してパターニングすることにより、下部電極形成膜から、下地膜24の上面及び側面を覆う下部電極16を形成する。このとき、下部電極16の下端部は酸素バリア膜14の上面の周縁部において電気的に接続される。
次に、図12(d)に示すように、CVD法により、下部電極16を覆うように、膜厚が約50nmで、ストロンチウム、ビスマス、タンタル及びニオブを含む強誘電体からなる容量絶縁膜17を形成し、続いて、スパッタ法又はCVD法により、容量絶縁膜17を覆うように、膜厚が約50nmの白金からなる上部電極18を形成する。ここでは、容量絶縁膜17及び上部電極18を同一のマスクによりパターニングしている。これにより、下部電極16、容量絶縁膜17及び上部電極18からなる容量素子19が形成される。ここでも、約700℃の温度で約10分間のアニールを行なって、容量絶縁膜17を構成する強誘電体の結晶化を図る。
その後、図示はしていないが、半導体基板10上に所定の配線等を形成した後、保護絶縁膜を成膜する。
このように、第4の実施形態は、下部電極16に基板面に対して垂直な部分を含むようにするための、すなわち立体化を図るための補助部材である柱状の下地膜24を酸素バリア膜14の上に設けている。このため、白金からなる下部電極16自体を柱状構造とするよりも、加工性に優れる。
その上、下地膜24は酸素バリア膜14の上面の周縁部を露出するように形成するため、酸素バリア膜14と下部電極16との電気的な接続が確保されるので、下地膜24は導電性を有さない材料を用いることができる。
なお、下地膜24は、酸化シリコンに限られず、加工が容易な材料であれば良く、導電性の有無は問われない。さらには、下地膜24として、導電性の酸化チタンアルミニウムを用いると、白金からなる下部電極16との密着性が良好となる。
また、第4の実施形態においても、酸素バリア膜14の形成には、第1の実施形態に係る第2製造方法、すなわち酸素バリア膜14を第2の層間絶縁膜15に開口部を形成し、その開口部に充填して形成する方法を用いてもよい。
(第4の実施形態の一変形例)
以下、本発明の第4の実施形態の一変形例について図面を参照しながら説明する。
図13は本発明の第4の実施形態の一変形例に係る半導体装置の断面構成を示している。図13において、図11に示す構成部材と同一の構成部材には同一の符号を付すことにより説明を省略する。
本変形例に係る半導体装置は、下地膜24の側面上に、厚さが約5nmの酸化チタンからなる密着層25が設けられていることを特徴とする。
この密着層25により、酸化シリコンからなる下地膜24と白金からなる下部電極16との間の密着性が向上するため、下部電極16が下地膜24から剥がれ難くなる。
なお、密着層25に絶縁性の酸化チタンを用いているため、密着層25は、バリア膜14を露出するように設ける必要があるが、酸化イリジウムのような導電性材料を用いた場合には、酸素バリア膜14を覆っていてもよい。
以下、前記のように構成された半導体装置の製造方法について図面を参照しながら説明する。
図14(a)〜図14(d)は第4の実施形態の一変形例に係る半導体装置の製造方法の工程順の断面構成を示している。図14において、図12に示す構成部材と同一の構成部材には同一の符号を付している。
まず、図14(a)に示すように、第1の実施形態の第1製造方法と同様に、MOSトランジスタ30を含む半導体基板10の上の全面に、膜厚が約1000nmの酸化シリコンからなる第1の層間絶縁膜12を堆積する。続いて、CMP法により、堆積した第1の層間絶縁膜12の上面の平坦化を行なってその膜厚を500nm程度とする。その後、第1の層間絶縁膜12におけるMOSトランジスタ30のソース領域30aの上側に、コンタクトホールを選択的に開口する。続いて、開口したコンタクトホールに、バリア層及びタングステンからなる導電性プラグ13を形成する。その後、スパッタ法により、導電性プラグ13を含む第1の層間絶縁膜12の上に、厚さが約50nmの窒化チタンアルミニウム、厚さが約50nmのイリジウム及び厚さが約50nmの酸化イリジウムを順次堆積して、酸素バリア形成膜を形成する。続いて、酸素バリア形成膜に対して、リソグラフィ法及びドライエッチング法により、導電性プラグ13を含むようにパターニングして、酸素バリア形成膜から酸素バリア膜14を形成する。その後、CVD法により、第1の層間絶縁膜12の上に酸素バリア膜14を含む全面にわたって、膜厚が約300nmの酸化シリコンからなる第2の層間絶縁膜15を堆積する。続いて、CMP法により、堆積した第2の層間絶縁膜15の上面を、酸素バリア膜14が露出するまで研磨し、第2の層間絶縁膜15及び酸素バリア膜14の上面を平坦化する。
次に、図14(b)に示すように、CVD法により、第2の層間絶縁膜15の上に酸素バリア膜14を含む全面にわたって、膜厚が約500nmの酸化シリコンからなる下地膜形成膜を堆積し、リソグラフィ法及びドライエッチング法により、堆積した下地膜形成膜における酸素バリア膜14の上側部分をその周縁部が露出するようにパターニングして、該下地膜形成膜から下地膜24を形成する。続いて、スパッタ法又はCVD法により、第2の層間絶縁膜15の上に下地膜24を覆うように、膜厚が約5nmのチタンからなる金属層を堆積する。その後、堆積した金属層に対して、温度が約650℃の酸素雰囲気で約60分の酸化処理によって金属層を酸化することにより、酸化チタンからなる密着層25を形成する。
次に、図14(c)に示すように、例えば塩素(Cl2 )ガスを用いた異方性のドライエッチングにより、密着層25を下地膜24の側面上に残すようにエッチバックを行なう。ここでも、酸素バリア膜14の上面の周縁部を露出する必要がある。
次に、図14(d)に示すように、スパッタ法又はCVD法により、下地膜24及び密着層25を含む第2の層間絶縁膜15の上に、膜厚が約50nmの白金からなる下部電極形成膜を堆積する。続いて、リソグラフィ法及びドライエッチング法により、堆積した下部電極形成膜に対してパターニングすることにより、下部電極形成膜から、下地膜24をその側面に密着層25を介在させて覆う下部電極16を形成する。このとき、下部電極16の下端部は酸素バリア膜14の上面の周縁部において電気的に接続される。続いて、CVD法により、下部電極16を覆うように、膜厚が約50nmで、ストロンチウム、ビスマス、タンタル及びニオブを含む強誘電体からなる容量絶縁膜17を形成し、続いて、スパッタ法又はCVD法により、容量絶縁膜17を覆うように、膜厚が約50nmの白金からなる上部電極18を形成する。ここでは、容量絶縁膜17及び上部電極18を同一のマスクによりパターニングしている。これにより、下部電極16、容量絶縁膜17及び上部電極18からなる容量素子19が形成される。ここでも、約700℃の温度で約10分間のアニールを行なって、容量絶縁膜17を構成する強誘電体の結晶化を図る。
その後、図示はしていないが、半導体基板10上に所定の配線等を形成した後、保護絶縁膜を成膜する。
このように、本変形例によると、下地膜24の側面上に、厚さが約5nmの酸化チタンからなる密着層25を設けているため、容量絶縁膜17を構成する強誘電体を結晶化するアニール処理時に、下部電極16が下地膜24から剥離することを防止することができる。
また、密着層25は金属酸化物からなるため、密着層25と下部電極16との反応によって、下部電極16と下地膜24との密着性が向上する。その上、容量絶縁膜17のアニール処理時には密着層25から容量絶縁膜17への金属拡散が防止される。
さらに、図14(c)に示すように、密着層25を酸素バリア膜14を露出するように形成して、下部電極16は導電性の酸素バリア膜14と直接に接続されるため、密着層25の導電性の有無は問われない。
なお、本変形例においても、酸素バリア膜14の形成に、第1の実施形態の第2製造方法、すなわち酸素バリア膜14を層間絶縁膜の開口部に充填して形成する方法を用いてもよい。
(第5の実施形態)
以下、本発明の第5の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図15は本発明の第5の実施形態に係る半導体装置の断面構成を示している。図15において、図1に示す構成部材と同一の構成部材には同一の符号を付すことにより説明を省略する。
図15に示すように、第5の実施形態に係る半導体装置は、第1〜第4の実施形態と同様に、導電性プラグ13、酸素バリア膜14及び容量素子19が基板面に対して垂直な方向に積層されてなるスタック型のセル構造を有している。
第5の実施形態の特徴として、容量素子19を構成する下部電極16Cは、厚さが約50nmで且つ高さが約500nmの有底筒状の白金により構成されている。さらに、容量素子19を構成する強誘電体からなる容量絶縁膜17及びその上の白金からなる上部電極18は、下部電極16Cの底面、内壁面及び外壁面の各面上に沿って形成されている。
この構成により、容量絶縁膜17は、有底筒状の下部電極16Cにおける底部と筒状体との接合部及び筒状体の上端部とによって屈曲部17aが形成される。この屈曲部17aにより、容量絶縁膜17の一部は、基板面とほぼ垂直な面を筒状の下部電極16Cの内壁面及び外壁面で持つことになり、容量絶縁膜17の基板面への投影面積を小さくしながら、容量は格段に増大する。
以下、前記のように構成された半導体装置の製造方法について図面を参照しながら説明する。
図16(a)〜図16(d)は第5の実施形態に係る半導体装置の製造方法の工程順の断面構成を示している。図16において、図2に示す構成部材と同一の構成部材には同一の符号を付している。
まず、図16(a)に示すように、第1の実施形態の第1製造方法と同様に、MOSトランジスタ30を含む半導体基板10の上の全面に、膜厚が約1000nmの酸化シリコンからなる第1の層間絶縁膜12を堆積する。続いて、CMP法により、堆積した第1の層間絶縁膜12の上面の平坦化を行なってその膜厚を500nm程度とする。その後、第1の層間絶縁膜12におけるMOSトランジスタ30のソース領域30aの上側に、コンタクトホールを選択的に開口する。続いて、開口したコンタクトホールに、バリア層及びタングステンからなる導電性プラグ13を形成する。続いて、スパッタ法により、導電性プラグ13を含む第1の層間絶縁膜12の上に、厚さが約50nmの窒化チタンアルミニウム、厚さが約50nmのイリジウム及び厚さが約50nmの酸化イリジウムを順次堆積して、酸素バリア形成膜を形成する。続いて、酸素バリア形成膜に対して、リソグラフィ法及びドライエッチング法により、導電性プラグ13を含むようにパターニングして、酸素バリア形成膜から酸素バリア膜14を形成する。
次に、図16(b)に示すように、CVD法により、第1の層間絶縁膜12の上に酸素バリア膜14を含む全面にわたって、膜厚が約1000nmの酸化シリコンからなる第2の層間絶縁膜15を堆積する。続いて、CMP法により、堆積した第2の層間絶縁膜15の上面をその膜厚が500nm程度となるように平坦化する。その後、リソグラフィ法及びドライエッチング法により、第2の層間絶縁膜15に、酸素バリア膜14を露出する開口部15aを形成し、続いて、スパッタ法又はCVD法により、開口部15aを含む第2の層間絶縁膜15の上に、膜厚が約50nmの白金からなる下部電極形成膜を堆積する。その後、CMP法又はレジストエッチバック法により、堆積した下部電極形成膜における第2の層間絶縁膜15の上側部分を除去して、該下部電極形成膜を開口部15aの底面及び壁面上に残すことにより、下部電極形成膜から有底筒状の下部電極16Cを形成する。
次に、図16(c)に示すように、ベーパードフッ酸を用いたエッチングにより、酸素バリア膜14の上面の近傍にまで第2の層間絶縁膜15を除去することにより、下部電極16Cの外壁面を露出する。
次に、図16(d)に示すように、CVD法により、第2の層間絶縁膜15の上に、露出した下部電極16Cの底面、内壁面及び外壁面を覆うように、膜厚が約50nmで、ストロンチウム、ビスマス、タンタル及びニオブを含む強誘電体からなる容量絶縁膜17を形成し、続いて、スパッタ法又はCVD法により、容量絶縁膜17の上にその露出面に沿うように、膜厚が約50nmの白金からなる上部電極18を形成する。ここでは、容量絶縁膜17及び上部電極18を同一のマスクによりパターニングしている。これにより、下部電極16C、容量絶縁膜17及び上部電極18からなる容量素子19が形成される。ここでも、約700℃の温度で約10分間のアニールを行なって、容量絶縁膜17を構成する強誘電体の結晶化を図る。
その後、図示はしていないが、半導体基板10上に所定の配線等を形成した後、保護絶縁膜を成膜する。
このように、第5の実施形態の製造方法によると、第2の層間絶縁膜15を酸素バリア膜14の上面の近傍にまでエッチングして除去するため、下部電極16Cの外壁面上にも容量絶縁膜17及び上部電極18を形成することができる。
(第6の実施形態)
以下、本発明の第6の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図17は本発明の第6の実施形態に係る半導体装置の断面構成を示している。図17において、図1に示す構成部材と同一の構成部材には同一の符号を付すことにより説明を省略する。
図17に示すように、第6の実施形態に係る半導体装置は、第1〜第5の実施形態と同様に、導電性プラグ13、酸素バリア膜14及び容量素子19が基板面に対して垂直な方向に積層されてなるスタック型のセル構造を有している。
第6の実施形態の特徴として、容量素子19を構成する下部電極16は、厚さが約20nmで且つ高さが約500nmの有底筒状の酸化チタンからなる形状維持膜26の底面、内壁面及び外壁面の各面上に沿って形成されている。さらに、下部電極16の端部は酸素バリア膜14の上面の周縁部と電気的に接続されている。また、容量素子19を構成する強誘電体からなる容量絶縁膜17及びその上の白金からなる上部電極18は、下部電極16に沿って形成されている。
この構成により、容量絶縁膜17は、有底筒状の形状維持膜26における底部と筒状体との接合部及び筒状体の上端部とによって屈曲部17aが形成される。この屈曲部17aにより、容量絶縁膜17の一部は、基板面とほぼ垂直な面を筒状の形状維持膜26の内壁面及び外壁面で持つことになり、容量絶縁膜17の基板面への投影面積を小さくしながら、容量は格段に増大する。その上、有底筒状体を下部電極16により形成するよりも材料の選択の幅が大きくなるため、プロセス中に形状が安定な材料を選択することにより、有底筒状体の形状を安定させることができる。
なお、形状維持膜26は、酸素バリア膜14との密着性が良好で且つ硬度が大きければ良く、導電性の有無は問われない。
以下、前記のように構成された半導体装置の製造方法について図面を参照しながら説明する。
図18(a)〜図18(d)は第6の実施形態に係る半導体装置の製造方法の工程順の断面構成を示している。図18において、図2に示す構成部材と同一の構成部材には同一の符号を付している。
まず、図18(a)に示すように、第1の実施形態の第1製造方法と同様に、MOSトランジスタ30を含む半導体基板10の上の全面に、膜厚が約1000nmの酸化シリコンからなる第1の層間絶縁膜12を堆積する。続いて、CMP法により、堆積した第1の層間絶縁膜12の上面の平坦化を行なってその膜厚を500nm程度とする。その後、第1の層間絶縁膜12におけるMOSトランジスタ30のソース領域30aの上側に、コンタクトホールを選択的に開口する。続いて、開口したコンタクトホールに、バリア層及びタングステンからなる導電性プラグ13を形成する。続いて、スパッタ法により、導電性プラグ13を含む第1の層間絶縁膜12の上に、厚さが約50nmの窒化チタンアルミニウム、厚さが約50nmのイリジウム及び厚さが約50nmの酸化イリジウムを順次堆積して、酸素バリア形成膜を形成する。続いて、酸素バリア形成膜に対して、リソグラフィ法及びドライエッチング法により、導電性プラグ13を含むようにパターニングして、酸素バリア形成膜から酸素バリア膜14を形成する。
次に、図18(b)に示すように、CVD法により、第1の層間絶縁膜12の上に酸素バリア膜14を含む全面にわたって、膜厚が約1000nmの酸化シリコンからなる第2の層間絶縁膜15を堆積する。続いて、CMP法により、堆積した第2の層間絶縁膜15の上面をその膜厚が500nm程度となるように平坦化する。その後、リソグラフィ法及びドライエッチング法により、第2の層間絶縁膜15に、酸素バリア膜14の上面の中央部を露出する開口部15aを形成し、続いて、スパッタ法又はCVD法により、開口部15aを含む第2の層間絶縁膜15の上に、膜厚が約10nmのチタンからなる金属膜を堆積する。さらに、堆積した金属膜に対して、温度が約650℃の酸素雰囲気で約60分間の酸化処理を行なって金属膜を酸化することにより、酸化チタンからなる形状維持膜形成膜を形成する。その後、CMP法又はレジストエッチバック法により、形状維持膜形成膜における第2の層間絶縁膜15の上側部分を除去して、該形状維持膜形成膜を開口部15aの底面及び壁面上に残すことにより、形状維持膜形成膜から有底筒状の形状維持膜26を形成する。
次に、図18(c)に示すように、ベーパードフッ酸を用いたエッチングにより、酸素バリア膜14の上面の周縁部を露出するように第2の層間絶縁膜15を除去することにより、形状維持膜26の外壁面を露出する。その後、スパッタ法又はCVD法により、第2の層間絶縁膜15の上に、露出した形状維持膜26の底面、内壁面及び外壁面を覆うように、膜厚が約50nmの白金からなる下部電極形成膜を堆積する。続いて、リソグラフィ法及びドライエッチング法により、堆積した下部電極形成膜を形状維持膜26を含む領域でパターニングして、下部電極形成膜から、その端部が酸素バリア膜14の上面の周縁部と接続された下部電極16を形成する。
次に、図18(d)に示すように、CVD法により、第2の層間絶縁膜15の上に、下部電極16の露出面を覆うように、膜厚が約50nmで、ストロンチウム、ビスマス、タンタル及びニオブを含む強誘電体からなる容量絶縁膜17を形成し、続いて、スパッタ法又はCVD法により、容量絶縁膜17の上にその露出面に沿うように、膜厚が約50nmの白金からなる上部電極18を形成する。ここでは、容量絶縁膜17及び上部電極18を同一のマスクによりパターニングしている。これにより、下部電極16、容量絶縁膜17及び上部電極18からなる容量素子19が形成される。ここでも、約700℃の温度で約10分間のアニールを行なって、容量絶縁膜17を構成する強誘電体の結晶化を図る。
その後、図示はしていないが、半導体基板10上に所定の配線等を形成した後、保護絶縁膜を成膜する。
このように、第6の実施形態の製造方法によると、第2の層間絶縁膜15を酸素バリア膜14の上面を露出するまでエッチングして除去するため、形状維持膜26の外壁面上にも下部電極16、容量絶縁膜17及び上部電極18を形成することができると共に、下部電極16は酸素バリア膜14と電気的な導通を図ることができる。
また、形状維持膜26は金属酸化物からなるため、下部電極16との反応によって、下部電極16との密着性が向上する。その上、容量絶縁膜17のアニール処理時には形状維持膜26から容量絶縁膜17への金属拡散が防止される。
なお、第1〜第6の各実施形態においては、容量絶縁膜に強誘電体を用いたが、強誘電体に限られず、高誘電体又は常誘電体を用いてもよい。