JP4014722B2 - 可変焦点レンズ、可変焦点回折光学素子、および可変偏角プリズム - Google Patents

可変焦点レンズ、可変焦点回折光学素子、および可変偏角プリズム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、液晶光学素子としての、可変焦点レンズ、可変焦点回折光学素子、および可変偏角プリズムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、可変焦点レンズ系を構成するにあたっては、レンズとして、ガラスを研磨して製造したものを用いる場合には、それ自体で焦点距離を変化させることが困難であることから、例えば、カメラのズームレンズにおけるように、レンズ群の一部を光軸方向に移動させることで、レンズ系の焦点距離を変化させるようにしている。しかし、このような構成では、機械的構造が複雑になるという不具合がある。
【0003】
このような不具合を解決するものとして、例えば、図18に示すように、偏光板1と液晶レンズ2とを用いる光学系が提案されている。ここで、液晶レンズ2は、レンズ3a,3bと、これらレンズ間に透明電極4a,4bを介して設けた液晶層5とを有し、透明電極4a,4b間にスイッチ6を介して交流電源7を接続して、液晶層5に選択的に電界を印加することにより、その屈折率を変化させるよう構成されている。
【0004】
かかる光学系において、偏光板1に、例えば自然光を入射させると、その所定の直線偏光成分のみが偏光板1を透過して液晶レンズ2に入射する。ここで、図18に示すように、スイッチ6がオフで、液晶層5に電界が印加されない状態では、液晶分子5aは、その長軸が入射直線偏光と同じ方向に向くので、液晶層5の屈折率が高くなり、液晶レンズ2の焦点距離が短くなる。これに対し、図19に示すように、スイッチ6がオンで、液晶層5に電界が印加された状態では、液晶分子5aは、その長軸が光軸と平行となるので、液晶層5の屈折率が低くなり、液晶レンズ2の焦点距離が長くなる。このように、図18に示す光学系においては、液晶レンズ2に選択的に電界を印加することにより、その焦点距離を可変にしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図18に示す液晶レンズ2を用いる光学系にあっては、液晶レンズ2の前方に偏光板1を配置して、所定の直線偏光成分のみを液晶レンズ2に入射させる必要があることから、該偏光板1を透過して液晶レンズ2に入射する光が減少して、光の利用効率が低下するという問題がある。また、このように光の利用効率が低いことから、適用製品が限定され、汎用性に欠けるという問題もある。
【0006】
この発明は、上述した従来の問題点に着目してなされたもので、光の利用効率を高めることができ、種々の光学製品に有効に適用できるよう適切に構成した汎用性に優れた、液晶光学素子としての、可変焦点レンズ、可変焦点回折光学素子、および可変偏角プリズムをそれぞれ提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、この発明によれば、高分子分散液晶を用いた液晶光学素子としての可変焦点レンズ、可変焦点回折光学素子、または可変偏角プリズムであって、
液晶光学素子は、第1の光学部材と、第2の光学部材と、一対の透明電極を備えており、
一対の透明電極は、第1の光学部材と第2の光学部材の間に、一方の透明電極が第1の光学部材に配置され、他方の透明電極が第2の光学部材に配置されるように配置され、
一対の透明電極の間に高分子分散液晶の層が配置されており、
下記条件
0.01≦|n o ′−n LC ′|≦10
D・t≦λ・15μm
を満足することを特徴とする液晶光学素子を提供できる。
ただし、n o ′は、常光線の平均屈折率であり、n LC ′は、液晶分子の平均屈折率、Dは高分子分散液晶を構成する液晶分子を含む高分子セルの平均の直径、tは高分子分散液晶層における光軸方向における厚さ、λは光の波長であってλ=500nmである。
【0008】
また、この発明によれば、高分子分散液晶を用いた液晶光学素子としての可変焦点レンズ、可変焦点回折光学素子、または可変偏角プリズムであって、
液晶光学素子は、第1の光学部材と、第2の光学部材と、一対の透明電極を備えており、
一対の透明電極は、第1の光学部材と第2の光学部材の間に、一方の透明電極が第1の光学部材に配置され、他方の透明電極が第2の光学部材に配置されるように配置され、
一対の透明電極の間に高分子分散液晶の層が配置されており、
下記条件
7nm≦D≦500λ
D・t≦λ・15μm
を満足することを特徴とする液晶光学素子を提供できる。
ただし、Dは高分子分散液晶層を構成する液晶分子を含む高分子セルの平均の直径、tは高分子分散液晶層における光軸方向における厚さ、λは光の波長であってλ=500nmである。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1は、この発明に係る可変焦点レンズの原理的構成を示す図である。この可変焦点レンズ11は、第1,第2の面としてのレンズ面8a,8bを有する第1のレンズ12aと、第3,第4の面としてのレンズ面9a,9bを有する第2のレンズ12bと、これらレンズ間に透明電極13a,13bを介して設けた高分子分散液晶層14とを有し、入射光を第1,第2のレンズ12a,12bを経て収束させるものである。透明電極13a,13bは、スイッチ15を介して交流電源16に接続して、高分子分散液晶層14に交流電界を選択的に印加するようにする。なお、高分子分散液晶層14は、それぞれ液晶分子17を含む球状、多面体等の任意の形状の多数の微小な高分子セル18を有して構成し、その体積は、高分子セル18を構成する高分子および液晶分子17がそれぞれ占める体積の和に一致させる。
【0011】
ここで、高分子セル18の大きさは、例えば球状とする場合、その平均の直径Dを、使用する光の波長をλとするとき、例えば、
2nm≦D≦λ/5 (1)
とする。すなわち、液晶分子17の大きさは、2nm程度以上であるので、平均の直径Dの下限値は、2nm以上とする。また、Dの上限値は、可変焦点レンズ11の光軸方向における高分子分散液晶層14の厚さtにも依存するが、λに比べて大きいと、高分子の屈折率と液晶分子17の屈折率との差により、高分子セル18の境界面で光が散乱して高分子分散液晶層14が不透明になってしまうため、後述するように、好ましくはλ/5以下とする。可変焦点レンズが用いられる光学製品によっては高精度を要求しない場合もあり、そのときDはλ以下でよい。なお、高分子分散液晶層14の透明度は、厚さtが厚いほど悪くなる。
【0012】
また、液晶分子17は、例えば、一軸性のネマティック液晶分子を用いる。この液晶分子17の屈折率楕円体は、図2に示すような形状となり、
ox=noy=no (2)
である。ただし、no は常光線の屈折率を示し、noxおよびnoyは、常光線を含む面内での互いに直交する方向の屈折率を示す。
【0013】
ここで、図1に示すように、スイッチ15をオフ、すなわち高分子分散液晶層14に電界を印加しない状態では、液晶分子17が様々な方向を向いているので、入射光に対する高分子分散液晶層14の屈折率は高く、屈折力の強いレンズとなる。これに対し、図3に示すように、スイッチ15をオンとして高分子分散液晶層14に交流電界を印加すると、液晶分子17は、屈折率楕円体の長軸方向が可変焦点レンズ11の光軸と平行となるように配向するので、屈折率が低くなり、屈折力の弱いレンズとなる。
【0014】
なお、高分子分散液晶層14に印加する電圧は、例えば、図4に示すように、可変抵抗器19により段階的あるいは連続的に変化させることもできる。このようにすれば、印加電圧が高くなるにつれて、液晶分子17は、その楕円長軸が徐々に可変焦点レンズ11の光軸と平行となるように配向するので、屈折力を段階的あるいは連続的に変えることができる。
【0015】
ここで、図1に示す状態、すなわち高分子分散液晶層14に電界を印加しない状態での、液晶分子17の平均屈折率nLC′は、図2に示すように屈折率楕円体の長軸方向の屈折率をnz とすると、およそ
(nox+noy+nz )/3≡nLC′ (3)
となる。また、上記(2)式が成り立つときの平均屈折率nLCは、nz を異常光線の屈折率ne と表して、
(2no +ne )/3≡nLC (4)
で与えられる。このとき、高分子分散液晶層14の屈折率nA は、高分子セル18を構成する高分子の屈折率をnP とし、高分子分散液晶層14の体積に占める液晶分子17の体積の割合をffとすると、マックスウェル・ガーネットの法則により、
A =ff・nLC′+(1−ff)nP (5)
で与えられる。
【0016】
したがって、図4に示すように、レンズ12aおよび12bの内側の面、すなわち高分子分散液晶層14側の面の曲率半径を、それぞれR1 およびR2 とすると、可変焦点レンズ11の焦点距離f1 は、
1/f1 =(nA −1)(1/R1 −1/R2 ) (6)
で与えられる。なお、R1 およびR2 は、曲率中心が像点側にあるとき、正とする。また、レンズ12aおよび12bの外側の面による屈折は除いている。つまり、高分子分散液晶層14のみによるレンズの焦点距離が、(6)式で与えられる。
【0017】
また、常光線の平均屈折率を、
(nox+noy)/2=no ′ (7)
とすれば、図3に示す状態、すなわち高分子分散液晶層14に電界を印加した状態での、高分子分散液晶層14の屈折率nB は、
B =ff・no ′+(1−ff)nP (8)
で与えられるので、この場合の高分子分散液晶層14のみによるレンズの焦点距離f2 は、
1/f2 =(nB −1)(1/R1 −1/R2 ) (9)
で与えられる。なお、高分子分散液晶層14に、図3におけるよりも低い電圧を印加する場合の焦点距離は、(6)式で与えられる焦点距離f1 と、(9)式で与えられる焦点距離f2 との間の値となる。
【0018】
上記(6)および(9)式から、高分子分散液晶層14による焦点距離の変化率は、
|(f2 −f1 )/f2 |=|(nB −nA )/(nB −1)| (10)
で与えられる。したがって、この変化率を大きくするには、|nB −nA |を大きくすればよい。ここで、
B −nA =ff(no ′−nLC′) (11)
であるから、|no ′−nLC′|を大きくすれば、変化率を大きくすることができる。実用的には、nB が、1.3〜2程度であるから、
0.01≦|no ′−nLC′|≦10 (12)
とすれば、ff=0.5のとき、高分子分散液晶層14による焦点距離を、0.5%以上変えることができるので、効果的な可変焦点レンズを得ることができる。なお、|no ′−nLC′|は、液晶物質の制限から、10を越えることはできない。
【0019】
次に、上記(1)式の上限値の根拠について説明する。
「Solar Energy Materials and Solar Cells」31巻,Wilson and Eck,1993, Eleevier Science Publishers B.v.発行の第197 〜214 頁、「Transmission variation using scattering/transparent switching films 」には、高分子分散液晶の大きさを変化させたときの透過率τの変化が示されている。そして、かかる文献の第206 頁、図6には、高分子分散液晶の半径をrとし、t=300μm、ff=0.5、nP =1.45、nLC=1.585、λ=500nmとするとき、透過率τは、理論値で、r=5nm(D=λ/50、D・t=λ・6μm(ただし、Dおよびλの単位はnm、以下も同じ))のときτ≒90%となり、r=25nm(D=λ/10)のときτ≒50%になることが示されている。
【0020】
ここで、例えば、t=150μmの場合を推定してみると、透過率τがtの指数関数で変化すると仮定して、t=150μmの場合の透過率τを推定してみると、r=25nm(D=λ/10、D・t=λ・15μm)のときτ≒71%となる。また、t=75μmの場合は、同様に、r=25nm(D=λ/10、D・t=λ・7.5μm)のときτ≒80%となる。
【0021】
これらの結果から、
D・t≦λ・15μm (13)
であれば、τは70%〜80%以上となり、レンズとして十分実用になる。したがって、例えば、t=75μmの場合は、D≦λ/5で、十分な透過率が得られることになる。
【0022】
また、高分子分散液晶層14の透過率は、nP の値がnLC′の値に近いほど良くなる。一方、no ′とnP とが異なる値になると、高分子分散液晶層14の透過率は悪くなる。図1の状態と図3の状態とで、平均して高分子分散液晶層14の透過率が良くなるのは、
P =(no ′+nLC′)/2 (14)
を満足するときである。
【0023】
ここで、可変焦点レンズ11は、レンズとして使用するものであるから、図1の状態でも、図3の状態でも、透過率はほぼ同じで、かつ高い方が良い。そのためには、高分子セル18を構成する高分子の材料および液晶分子17の材料に制限があるが、実用的には、
o ′≦nP ≦nLC′ (15)
とすればよい。
【0024】
上記(14)式を満足すれば、上記(13)式は、さらに緩和され、
D・t≦λ・60μm (16)
であれば良いことになる。なぜなら、フレネルの反射則によれば、反射率は屈折率差の2乗に比例するので、高分子セル18を構成する高分子と液晶分子17との境界での光の反射、すなわち高分子分散液晶層14の透過率の減少は、およそ上記の高分子と液晶分子17との屈折率の差の2乗に比例するからである。
【0025】
以上は、no ′≒1.45、nLC′≒1.585の場合であったが、より一般的に定式化すると、
D・t≦λ・15μm・(1.585 −1.45)2 /(nu −nP 2 (17)
であればよい。ただし、(nu −nP 2 は、(nLC′−nP 2 と(no ′−nP 2 とのうち、大きい方である。
【0026】
また、可変焦点レンズ11の焦点距離変化を大きくするには、ffの値が大きい方が良いが、ff=1では、高分子の体積がゼロとなり、高分子セル18を形成できなくなるので、
0.1≦ff≦0.999 (18)
とする。一方、ffは、小さいほどτは向上するので、上記(17)式は、好ましくは、
Figure 0004014722
とする。なお、tの下限値は、図1から明らかなように、t=Dで、Dは、上述したように2nm以上であるので、D・tの下限値は、(2×10-3μm)2 、すなわち4×10-6〔μm〕2 となる。
【0027】
なお、物質の光学特性を屈折率で表す近似が成り立つのは、「岩波科学ライブラリー8 小惑星がやってくる」向井正著,1994,岩波書店発行の第58頁に記載されているように、Dが10nm〜5nmより大きい場合である。また、Dが500λを越えると、光の散乱は幾何学的となり、高分子セル18を構成する高分子と液晶分子17との界面での光の散乱がフレネルの反射式に従って増大するので、Dは、実用的には、
7nm≦D≦500λ (20)
とする。
【0028】
図1または図4に示す構成において、上記のnox,noy,no ,nz ,ne ,nP ,ff,D,t,λ,R1 ,R2 ,nLC′,nLC,nA ,nB ,f1 ,f2 、および可変焦点レンズ11の直径φは、具体的には、それぞれ以下の値にする。
ox=noy=no =1.5
z =ne =1.75
P =1.54
ff=0.5
D=50nm
t=125μm
λ=500nm
1 =25mm
2 =∞
LC′=nLC=1.5833
A =1.5617
B =1.52
1 =44.5mm
2 =48.04mm
φ=5mm
【0029】
この場合、上記(19)式の右辺は、
λ・45μm・(1.585−1.45) 2 /( nu −nP ) 2
=500nm ・45μm・(0.135) 2 /(0.0433) 2
≒218712nm・μm
となる。また、D・tは、
Figure 0004014722
となり、確かに(19)式を満足する。
【0030】
また、上記の具体例において、R1 =R2 =∞、とすることもできる。この場合は、高分子分散液晶層14の光路長が、電圧のオン・オフで変わることになるので、可変焦点レンズ11をレンズ系の光束が平行でない部分に配置して、ピント調整を行うのに用いたり、レンズ系全体の焦点距離等を変えるのに用いることができる。
【0031】
図5は、図4に示す可変焦点レンズ11を用いるデジタルカメラ用の撮像光学系の構成を示すものである。この撮像光学系においては、物体(図示せず)の像を、絞り21、可変焦点レンズ11およびレンズ22を介して、例えばCCDよりなる固体撮像素子23上に結像させる。なお、図5では、液晶分子の図示を省略してある。
【0032】
かかる撮像光学系によれば、可変抵抗器19により可変焦点レンズ11の高分子分散液晶層14に印加する交流電圧を調整して、可変焦点レンズ11の焦点距離を変えることより、可変焦点レンズ11およびレンズ22を光軸方向に移動させることなく、例えば、無限遠から600mmまでの物体距離に対して、連続的に合焦させることが可能となる。
【0033】
図6は、この発明に係る可変焦点レンズを用いる電子内視鏡用の対物光学系の構成を示すものである。この対物光学系では、物体(図示せず)の像を、前方レンズ25、絞り26、可変焦点レンズ27および後方レンズ28を経て、例えばCCDよりなる固体撮像素子29上に結像させる。ここで、可変焦点レンズ27は、高分子分散液晶層14を挟む一方のレンズ12aの内面の曲率半径R1 を無限大とし、他方のレンズ12bの内面をフレネルレンズ状に形成する他は、図4と同様に構成して、その高分子分散液晶層14に交流電源16から可変抵抗器19およびスイッチ15を経て交流電圧を印加するようにする。なお、図6では、液晶分子の図示を省略してある。
【0034】
かかる対物光学系においても、物体距離に応じて可変焦点レンズ27の高分子分散液晶層14に印加する交流電圧を調整して、該可変焦点レンズ27の焦点距離を変えることにより、可変焦点レンズ27および後方レンズ28を光軸方向に移動させることなく、ピント調整を行うことが可能となる。
【0035】
図7は、この発明に係る可変焦点回折光学素子の一例の構成を示すものである。この可変焦点回折光学素子31は、平行な第1,第2の面32a,32bを有する第1の透明基板32と、光の波長オーダーの溝深さを有する断面鋸歯波状のリング状回折格子を形成した第3の面33aおよび平坦な第4の面33bを有する第2の透明基板33とを有し、入射光を第1,第2の透明基板32,33を経て出射させるものである。第1,第2の透明基板32,33間には、図1で説明したと同様に、透明電極13a,13bを介して高分子分散液晶層14を設け、透明電極13a,13bをスイッチ15を経て交流電源16に接続して、高分子分散液晶層14に交流電界を印加するようにする。
【0036】
かかる構成において、可変焦点回折光学素子31に入射する光線は、第3の面33aの格子ピッチをpとし、mを整数とすると、
p sinθ=mλ (21)
を満たす角度θだけ偏向されて出射される。また、溝深さをh、透明基板33の屈折率をn33とし、kを整数とすると、
h(nA −n33)=mλ (22)
h(nB −n33)=kλ (23)
を満たせば、波長λで回折効率が100%となり、フレアの発生を防止することができる。
【0037】
ここで、上記(22)および(23)式の両辺の差を求めると、
h(nA −nB )=(m−k)λ (24)
が得られる。したがって、例えば、λ=500nm、nA =1.55、nB =1.5とすると、
0.05h=(m−k)・500nm
となり、m=1,k=0とすると、
h=10000nm=10μm
となる。この場合、透明基板33の屈折率n33は、上記(22)式から、n33=1.5であればよい。また、可変焦点回折光学素子31の周辺部における格子ピッチpを10μmとすると、θ≒2.87°となり、Fナンバーが10のレンズを得ることができる。
【0038】
かかる、可変焦点回折光学素子31は、高分子分散液晶層14への印加電圧のオン・オフで光路長が変わるので、例えば、レンズ系の光束が平行でない部分に配置して、ピント調整を行うのに用いたり、レンズ系全体の焦点距離等を変えるのに用いることができる。
【0039】
なお、この実施形態において、上記(22)〜(24)式は、実用上、
0.7mλ≦h(nA −n33)≦1.4mλ (25)
0.7kλ≦h(nB −n33)≦1.4kλ (26)
0.7(m−k)λ≦h(nA −nB )≦1.4(m−k)λ (27)
を満たせば良い。
【0040】
図8および図9は、可変焦点眼鏡35を示し、眼鏡レンズとして可変焦点回折光学素子36を用いたものである。可変焦点回折光学素子36は、レンズ37および38を有し、その入射側のレンズ37の内面には、図7で説明したと同様の断面鋸歯波状のリング状回折格子を形成する。これらレンズ37,38の内面上には、それぞれ透明電極13a,13bを介して配向膜39a,39bを設け、これら配向膜39a,39b間に、図1で説明したと同様の高分子分散液晶層14を設ける。また、透明電極13a,13bは、スイッチ15を介して交流電源16に接続し、これにより高分子分散液晶層14に交流電界を印加するようにする。
【0041】
かかる構成の可変焦点眼鏡35によれば、スイッチ15を例えば手動でオン・オフすることにより、図8に示すスイッチ15をオフにしたときと、図9に示すスイッチ15をオンにしたときとで、高分子分散液晶層14の液晶分子17の配列を変えることができるので、眼鏡レンズ全体の視度を変えることができる。したがって、図10に示す従来の二重焦点レンズ41を用いる眼鏡42のように、視線方向で視度が変わるものに比べて、違和感がなくなる。
【0042】
図11は、図8に示す可変焦点眼鏡35において、例えばフレーム35aに物体45までの距離を測定する測距センサ46を設け、この測距センサ46の出力に基づいてスイッチ15をオン・オフ制御して、自動的に視度調整を行うようにしたものである。
【0043】
このように、物体距離に基づいて自動的に視度調整するようにすれば、特に、視度調整力の衰えた老人に便利な眼鏡が得られる。
【0044】
なお、図8および図11に示した可変焦点眼鏡35においては、眼鏡レンズ全体を可変焦点回折光学素子36としたが、眼鏡レンズの一部、例えば図12に示すように、中心よりやや下側に可変焦点回折光学素子36を設けるようにしてもよい。また、可変焦点回折光学素子36に代えて、図1に示した可変焦点レンズ11や、図6に示した可変焦点レンズ27を用いることもできる。さらに、図11では、測距センサ46の出力に基づいてスイッチ15を自動的に切り換えるようにしたが、新たにスイッチを設けて、測距センサ46による自動切り換えと、手動による切り換えとを選択できるようにしたり、測距センサ46による自動切り換え中に、手動による切り換えに変更できるように構成することもできる。さらにまた、上記の可変焦点眼鏡35に一体的に補聴器を設けることもできる。
【0045】
また、図11に示すように測距センサ46を設ける場合には、可変焦点回折光学素子36の高分子分散液晶層14への印加電圧を段階的または連続的に可変できるようにすると共に、ユーザに応じて測距センサ46の出力と印加電圧との対応関係をプリセットして、測距センサ46の出力に基づいて印加電圧を制御するようにすることもできる。このようにすれば、ユーザ毎に物体距離に応じたより正確な視度調整を自動的に行うことができる。
【0046】
さらに、上記の可変焦点眼鏡35において、交流電源16は、電池を電源とするインバータ回路をもって構成することができる。この場合、電池としは、マンガン電池、リチウム電池、太陽電池、充電式電池の一種または複数種を、フレーム35aに一体的に、すなわち内蔵したり、別体に設けてコードで接続したり、あるいは内蔵電池と外部電池とを有するようにすることもできる。
【0047】
また、単に、可変焦点眼鏡を構成する場合には、上述した高分子分散液晶を用いる可変焦点レンズに代えて、ツイストネマティック液晶を用いる可変焦点レンズを用いることもできる。図13および図14は、この場合の可変焦点眼鏡50の構成を示すものであり、可変焦点レンズ51は、レンズ52および53と、これらレンズの内面上にそれぞれ透明電極13a,13bを介して設けた配向膜39a,39bと、これら配向膜間に設けたツイストネマティック液晶層54とを有して構成し、その透明電極13a,13bを可変抵抗器19を経て交流電源16に接続して、ツイストネマティック液晶層54に交流電界を印加するようにする。
【0048】
かかる構成において、ツイストネマティック液晶層54に印加する電圧を高くすると、液晶分子55は、図14に示すようにホメオトロピック配向となり、図13に示す印加電圧が低いツイストネマティック状態の場合に比べて、ツイストネマティック液晶層54の屈折率は小さくなり、焦点距離が長くなる。
【0049】
ここで、図13に示すツイストネマティック状態における液晶分子55の螺旋ピッチPは、光の波長λに比べて十分小さくする必要があるので、例えば、
2nm≦P≦2λ/3 (28)
とする。なお、この条件の下限値は、液晶分子の大きさで決まり、上限値は、入射光が自然光の場合に、図13の状態でツイストネマティック液晶層54が等方媒質として振る舞うために必要な値であり、この上限値の条件を満たさないと、可変焦点レンズ51は偏光方向によって焦点距離の異なるレンズとなり、これがため二重像が形成されてぼけた像しか得られなくなる。
【0050】
図15(A)は、この発明に係る可変偏角プリズムの構成を示すものである。
この可変偏角プリズム61は、第1,第2の面62a,62bを有する入射側の第1の透明基板62と、第3,第4の面63a,63bを有する出射側の平行平板状の第2の透明基板63とを有する。入射側の透明基板62の内面(第2の面)62bは、フレネル状に形成し、この透明基板62と出射側の透明基板63との間に、図1で説明したと同様に、透明電極13a,13bを介して高分子分散液晶層14を設ける。透明電極13a,13bは、可変抵抗器19を経て交流電源16に接続し、これにより高分子分散液晶層14に交流電界を印加して、可変偏角プリズム61を透過する光の偏角を制御するようにする。なお、図15(A)では、透明基板62の内面62bをフレネル状に形成したが、例えば、図15(B)に示すように、透明基板62および63の内面を相対的に傾斜させた傾斜面を有する通常のプリズム状に形成することもできるし、あるいは図7に示した回折格子状に形成することもできる。回折格子状に形成する場合には、上記の(21)〜(27)式が同様にあてはまる。
【0051】
かかる構成の可変偏角プリズム61は、例えば、TVカメラ、デジタルカメラ、フィルムカメラ、双眼鏡等のブレ防止用として有効に用いることができる。この場合、可変偏角プリズム61の屈折方向(偏向方向)は、上下方向とするのが望ましいが、さらに性能を向上させるためには、2個の可変偏角プリズム61を偏向方向を異ならせて、例えば図16に示すように、上下および左右の直交する方向で屈折角を変えるように配置するのが望ましい。なお、図15および図16では、液晶分子の図示を省略してある。
【0052】
図17は、この発明に係る可変焦点レンズとしての可変焦点ミラーを示すものである。この可変焦点ミラー65は、第1,第2の面66a,66bを有する第1の透明基板66と、第3,第4の面67a,67bを有する第2の透明基板67とを有する。第1の透明基板66は、平板状またはレンズ状に形成して、内面(第2の面)66bに透明電極13aを設け、第2の透明基板67は、内面(第3の面)67aを凹面状に形成して、該凹面上に反射膜68を施し、さらにこの反射膜68上に透明電極13bを設ける。透明電極13a,13b間には、図1で説明したと同様に、高分子分散液晶層14を設け、これら透明電極13a,13bをスイッチ15および可変抵抗器19を経て交流電源16に接続して、高分子分散液晶層14に交流電界を印加するようにする。なお、図17では、液晶分子の図示を省略してある。
【0053】
かかる構成によれば、透明基板66側から入射する光線は、反射膜68により高分子分散液晶層14を折り返す光路となるので、高分子分散液晶層14の作用を2回もたせることができると共に、高分子分散液晶層14への印加電圧を変えることにより、反射光の焦点位置を変えることができる。この場合、可変焦点ミラー65に入射した光線は、高分子分散液晶層14を2回透過するので、高分子分散液晶層14の厚さの2倍をtとすれば、上記の各式を同様に用いることができる。なお、透明基板66または67の内面を、図7に示したように回折格子状にして、高分子分散液晶層14の厚さを薄くすることもできる。このようにすれば、散乱光をより少なくできる利点がある。
【0054】
なお、以上の説明では、液晶の劣化を防止するため、電源として交流電源16を用いて、液晶に交流電界を印加するようにしたが、直流電源を用いて液晶に直流電界を印加するようにすることもできる。また、液晶分子の方向を変える方法としては、電圧を変化させること以外に、液晶にかける電場の周波数、液晶にかける磁場の強さ・周波数、あるいは液晶の温度等を変化させることによってもよい。
以上に示した実施形態において、高分子分散液晶は液状ではなく固体に近いものもあるので、その場合はレンズ12a,12bの一方、透明基板32、レンズ38、レンズ52,53の一方、図15(A)における透明基板63、図15(B)における透明基板62,63の一方、透明基板66,67の一方はなくてもよい。
【0055】
次に、レンズの一つである不均質媒質レンズの製造方法について説明する。
不均質媒質レンズとは、レンズの部分ごとの屈折率が異なる媒質でできたレンズのことで、例えば、図20に示すような半径方向に屈折率が変化するラジアルグラディエントの不均質媒質レンズ71では、図21に示すように、分光中心軸(屈折率分布中心軸)である光軸Oを中心として、半径rが大きくなるに従って屈折率nが小さくなっている。なお、光軸に沿った方向では屈折率は変化していない。
【0056】
このような不均質媒質レンズ71は、ガラスやプラスチック等の材料を用い、イオン交換法やゾルゲル法等で、その素材が作成される。しかし、図22に示すように、これらの方法で作成される不均質媒質レンズの素材72は棒状であるため、最終製品としての不均質媒質レンズ71を得るためには、切断、研磨、コート等の工程を経る必要がある。
【0057】
一方、ガラス等よりなる通常の均質レンズを得る場合には、先ず、一枚のレンズの両面を研磨し、次に、二つの球面の中心を結ぶ線(光軸)に対して回転対象となるように外周を削るようにしている。この方法は、一般に広く用いられており、安価にできる利点がある。
【0058】
しかしながら、不均質媒質レンズの場合には、通常のレンズ加工と異なり、素材72の分光中心軸がレンズの外周の中心になければならず、また、図20に示すように、レンズ面73は分光中心軸と直交しなければならない。このため、上述した通常のレンズの加工法によって製造すると、分光中心軸とレンズ外周の中心とがずれたり、傾いたり、また、レンズ面73が分光中心軸に対して正確に直交しない場合がある。
【0059】
以下、このような不具合を解決し得る不均質媒質レンズの製造方法について、図面を参照して説明する。
先ず、レンズ面73が平面の場合の製造方法の一例について説明する。この場合には、素材72の中心に分光中心軸があるものと仮定する。この仮定は、イオン交換法、ゾルゲル法等で作られた素材72では、実際に一致する。先ず、図23に示すように、分光中心軸が素材72の中心からずれないように、センターレス75で素材72の直径を小さく削る。なお、センターレス75は、削って小さくなった素材72aの外径が必要なレンズの直径となるように、予め2軸の距離を調整しておく。
【0060】
次に、図24に示すように、切断機76で素材72aを、研磨しろを加えた必要なレンズ長さに切断する。その後、切断した素材72bを、図25に示すように、平面上に載置したVブロック77のV溝の側面に、平面に対して分光中心軸が直交するように接着するか、あるいは、図26に示すように歯車78の歯溝の側面に、歯車78の中心軸と分光中心軸とが平行となるように接着する。
【0061】
次に、Vブロック77あるいは歯車78に接着した素材72bを、図27に示すように平面研削盤81にセットして、素材72bの一方のレンズ面を、分光中心軸と直交するようにダイヤモンド砥石で削る。その後、図28に示すように、研磨機82で、徐々に細かいダイヤモンドペレット82aを用いて何段階かの精研削を行ってから、ウレタンシートあるいはピッチ等を用いて、CeO2 と水とで研磨してレンズ面を鏡面状に仕上げる。他方のレンズ面についても、図25〜図28に示す工程を行って、同様に、鏡面状に仕上げる。
【0062】
その後、図29に示すように、ダライ盤84等で両レンズ面の面取りを行った後、両レンズ面に反射防止用のマルチコートあるいはMgF2 等の単層コートを施して、両面が平面の不均質媒質レンズを得る。
【0063】
なお、図24に示した切断工程で、分光中心軸に対する切断面(レンズ面)の直角度が保たれる場合には、図25あるいは図26に示したVブロック77あるいは歯車78に接着することなく、図27および図28に示すレンズ面の精研削および研磨を行うようにすることもできる。また、図28に示す工程で一方のレンズ面の研磨が終了したら、その研磨が終了したレンズ面を、図30に示すように貼りつけ皿86に突き当てて貼り、その状態で研磨機82で精研削および研磨を行うようにしてもよい。このようにすれば、工程が簡単となり、コスト面で有利となる。
【0064】
さらに、レンズ面73が平面の場合の他の製造方法においては、図23で示した外径の研削工程を行うことなく、図24に示した切断工程を行い、その後、図25〜図28に示した工程を両方のレンズ面に対して行う。次に、図31に示すように、レンズ面の研磨が終了した素材72cをピッチ88を介してサイダ式芯取り機90に貼りつける。この貼りつけにあたっては、サイダ式芯取り機90を回転させたときに素材72cが振れないように、ピックテスタ91で調べながら、あるいは顕微鏡92で素材72cの外周を観察しながら行う。この状態で、サイダ式芯取り機90を回転させながら、砥石93で素材72cの外周を、仕上がりレンズの外径となるまで研削する。その後、サイダ式芯取り機90で面取りを行ってから、レンズ面に反射防止コートを施して、レンズ中心と分光中心軸とが一致する不均質媒質レンズを得る。
【0065】
以上、両面が平面の不均質媒質レンズの製造方法について説明したが、上述した製造方法は、片面が平面の不均質媒質レンズの場合や、仕上がり後に外径を揃える場合にも有効に適用することができる。
【0066】
次に、レンズ面が半径Rの球面の不均質媒質レンズを得る場合の製造方法の一例について説明する。図32に示すように、先ず、ガラス、金属、樹脂等により半径Rの面を持つレンズ面部材95を作成する。その後、このレンズ面部材95をサイダ式芯取り機の回転軸に偏芯のないように貼り付けて、回転軸を回転させながら、その中心にダイヤモンド砥石96を用いて、切断した不均質媒質レンズ素材が入る穴を形成すると共に、外周の芯取りを行う。この穴を形成したレンズ面部材をヤトイと呼ぶことにする。
【0067】
次に、図33に示すように、ヤトイ97の穴に、切断した不均質媒質レンズ素材72dを入れて石膏等で固定し、その状態で、図34に示すように、研磨機82でヤトイ97とともに素材72dを精研削および研磨して、分光中心軸に対して偏芯のない球面を形成する。なお、ヤトイ97の穴に入れる切断した不均質媒質レンズ素材72cは、予めセンターレスで仕上がりレンズの外径に削っておくこともできる。この場合には、当然のことながら、ヤトイ97の穴は、仕上がりレンズの外径とほぼ等しい内径とする。
【0068】
他方の面についても、同様にして球面に形成することができるが、特に、レンズの縁肉(外周面の光軸方向の寸法)が小さい場合には、以下の方法で他方の面を球面に形成することができる。すなわち、図35に示すように、一方の面を球面に研磨した不均質媒質レンズ素材72eを、その球面側を半径Rの凹面を有するヤトイ101にピッチ88を介して貼り付ける。この貼り付けにあたっては、図31で説明したと同様に、ヤトイ101を回転させたときに、素材72eが振れないように、ピックテスタ91で調べながら、あるいは顕微鏡92で素材72eの外周を観察しながら行う。ここで、ヤトイ101は、後述するカーブジェネレータや芯取り機の回転軸とほぼ同径で、素材72eを貼り付けたまま、カーブジェネレータや芯取り機に取り付けられるようにする。なお、ヤトイ101に貼り付ける球面は、最終的に形成する二つの球面のうち、曲率半径の大きい球面とするのが、上記の貼り付け作業を容易に行う点で好ましい。
【0069】
次に、図36に示すように、ヤトイ101をカーブジェネレータ102に取り付けて、素材72eの他方の面(図において、右側の面)を所望の曲率となるように研削する。その後、ヤトイ101を芯取り機に取り付けて、素材72eの外周をレンズの仕上がり外径まで研削する。次に、素材72eの他方の面を通常の研磨機で鏡面に研磨してから、両面に必要なコーティングを施して、両面球面の不均質媒質レンズを得る。
【0070】
なお、芯取り機による素材72eの外周の研削工程は、他方の面の研磨後に行うようにしてもよい。この場合には、図37に示すように、ベルクランプ芯取り機103を用いて、素材72eの外周を研削することもできる。また、他方の面の研磨後に、素材72eの外周を研削する場合には、図38に示すように、両面研磨した素材72eをピッチ88を介してヤトイ101に貼り付け、ヤトイ101を回転させながら砥石で研削することもできる。この場合には、回転振れが生じないように、顕微鏡92で観察しながら、素材72eをヤトイ101に貼り付ける。あるいは、顕微鏡92を用いず、通常のサイダ式芯取り機で素材72eの球面(図38において、右側の面)の反射像の振れを観測して、素材72eの外周を研削することもできる。
【0071】
球面形状の不均質媒質レンズは、上述した製造方法に限らず、特に、レンズの縁肉、すなわちレンズ外周面の光軸方向の寸法が大きい場合には、以下の方法によっても得ることができる。すなわち、図39に示すように、先ず、切断した素材72bをコレットチャック105に取り付け、カーブジェネレータ102で一方の面を所望の球面に研削した後、該面を精研削、ピッチ研磨を行って鏡面にする。次に、図40に示すように、球面を支えるパイプ106を有するコレットチャック107に、素材72bの他方の面(未研磨面)が外側となるように、該素材72bを取り付けて、同様にして、カーブジェネレータ102で他方の面を所望の球面に研削する。なお、パイプ106を用いるのは、レンズの縁肉Lが所望の値になるようにするため、および素材72bの分光中心軸に対して球面が偏芯しないようにするためである。その後、球面に研削した他方の面に対して、精研削、ピッチ研磨を行って鏡面にする。次に、必要に応じて、上述したいずれかの方法で、素材72bの外径をレンズ仕上がり外径に研削した後、面取り、コーティングを行って、両面球面の不均質媒質レンズを得る。なお、上記の説明では、球面形状の不均質媒質レンズを製造するようにしたが、同様にして、非球面形状の不均質媒質レンズを製造することもできる。
【0072】
付記項
1.請求項1記載の可変焦点レンズにおいて、該可変焦点レンズは、
第1および第2の面を有し、入射光を前記第1および第2の面を経て透過させる第1の光学部材と、
該第1の光学部材を透過した光を受ける第3の面を有する第2の光学部材と、
前記第1、第2および第3の面の少なくとも一面に形成したレンズ面と、
前記第2および第3の面側にそれぞれ設けた一対の透明電極と、
これら透明電極間に設けた高分子分散液晶層とを有し、
前記一対の透明電極を介して前記高分子分散液晶層に電界を印加することにより、前記第1および第2の光学部材を透過する光、または前記第1の光学部材を透過し、前記第3の面で反射されて再び前記第1の光学部材を透過する光の焦点位置を可変し得るよう構成したことを特徴とする可変焦点レンズ。
2.請求項2記載の可変焦点回折光学素子において、該可変焦点回折光学素子は、
第1および第2の面を有し、入射光を前記第1および第2の面を経て透過させる第1の光学部材と、
第3および第4の面を有し、前記第1の光学部材を透過した光を前記第3および第4の面を経て出射させる第2の光学部材と、
前記第1、第2および第3の面の少なくとも一面に形成した回折面と、
前記第2および第3の面側にそれぞれ設けた透明電極と、
これら透明電極間に設けた高分子分散液晶層とを有し、
前記一対の透明電極を介して前記高分子分散液晶層に電界を印加することにより、前記第1および第2の光学部材を透過する光の焦点位置を可変し得るよう構成したことを特徴とする可変焦点回折光学素子。
3.請求項3記載の可変偏角プリズムにおいて、該可変偏角プリズムは、
第1および第2の面を有し、入射光を前記第1および第2の面を経て透過させる第1の光学部材と、
第3および第4の面を有し、前記第1の光学部材を透過した光を前記第3および第4の面を経て出射させる第2の光学部材と、
前記第1、第2および第3の面の少なくとも一面に形成した傾斜面と、
前記第2および第3の面側にそれぞれ設けた透明電極と、
これら透明電極間に設けた高分子分散液晶層とを有し、
前記一対の透明電極を介して前記高分子分散液晶層に電界を印加することにより、前記第1および第2の光学部材を透過する光の偏角を可変し得るよう構成したことを特徴とする可変偏角プリズム。
4.請求項1,2、付記項1,2のいずれか一項記載の可変焦点レンズまたは可変焦点回折光学素子を有することを特徴とする可変焦点眼鏡。
5.請求項3または付記項3記載の可変偏角プリズムを、偏角方向が異なるように複数個配置したことを特徴とする光偏向装置。
6.請求項1,2,3、付記項1,2,3のいずれか一項記載の可変焦点レンズ、可変焦点回折光学素子または可変偏角プリズムを有することを特徴とする撮像装置。
7.請求項1,2,3、付記項1,2,3のいずれか一項記載の可変焦点レンズ、可変焦点回折光学素子または可変偏角プリズムよりなる液晶光学素子において、
前記高分子分散液晶層の体積に占める液晶分子の体積の割合をffとするとき、0.1≦ff≦0.999
を満足するよう構成したことを特徴とする液晶光学素子。
8.請求項1,2,3、付記項1,2,3のいずれか一項記載の可変焦点レンズ、可変焦点回折光学素子または可変偏角プリズムよりなる液晶光学素子において、
4 ×10-6〔μm〕2 ≦D・t≦λ・45μm・(1.585−1.45) 2 /( nu −nP ) 2
を満足することを特徴とする液晶光学素子。
ただし、D:高分子分散液晶層を構成する液晶分子を含む高分子セルの平均の直径
t:光軸方向における高分子分散液晶層14の厚さ
λ:使用波長
P :高分子セルを構成する高分子の屈折率
(nu −nP 2 :(nLC′−nP 2 と(no ′−nP 2 とのうち大きい方で、
LC′:液晶分子の平均屈折率
o ′:常光線の平均屈折率
9.請求項1,2,3、付記項1,2,3のいずれか一項記載の可変焦点レンズ、可変焦点回折光学素子または可変偏角プリズムよりなる液晶光学素子において、
2nm≦D≦λ/5
を満足することを特徴とする液晶光学素子。
9’.請求項1,2,3、付記項1,2,3のいずれか一項記載の可変焦点レンズ、可変焦点回折光学素子または可変偏角プリズムよりなる液晶光学素子において、
2nm≦D<λ
を満足することを特徴とする液晶光学素子。
10.請求項1,2,3、付記項1,2,3のいずれか一項記載の可変焦点レンズ、可変焦点回折光学素子または可変偏角プリズムよりなる液晶光学素子において、
0.01≦|no ′−nLC′|≦10
を満足することを特徴とする液晶光学素子。
11.請求項1,2,3、付記項1,2,3のいずれか一項記載の可変焦点レンズ、可変焦点回折光学素子または可変偏角プリズムよりなる液晶光学素子において、
7nm≦D≦500λ
を満足することを特徴とする液晶光学素子。
12.請求項2、付記項2,7〜11のいずれか一項記載の可変焦点回折光学素子において、
0.7mλ≦h(nA −n33)≦1.4mλ
0.7kλ≦h(nB −n33)≦1.4kλ
0.7(m−k)λ≦h(nA −nB )≦1.4(m−k)λ
を満足することを特徴とする可変焦点回折光学素子。
ただし、m,k:整数
h:格子の溝深さ
A :電界を印加しない状態での高分子分散液晶層の屈折率
B :電界を印加した状態での高分子分散液晶層の屈折率
33:回折格子を形成した透明基板の屈折率
13.請求項1,2、付記項1,2,7〜12のいずれか一項記載の可変焦点レンズまたは可変焦点回折光学素子を有することを特徴とする液晶可変焦点眼鏡。
14.付記項7〜12いずれか一項記載の可変焦点レンズ、可変焦点回折光学素子または可変偏角プリズムを有することを特徴とする撮像装置。
15.対向する一対の電極と、これら電極間に設けたツイストネマティック液晶層とを有する眼鏡レンズとしての液晶光学素子を有し、
前記ツイストネマティック液晶層は、ツイストネマティック状態における液晶分子の螺旋ピッチPが、
2nm≦P≦2λ/3
を満足することを特徴とする液晶可変焦点眼鏡。
16.付記項1記載の可変焦点レンズにおいて、
前記第3の面に反射膜を設けて、入射光線を前記高分子分散液晶層中に折り返して複数回通過させるよう構成したことを特徴とする可変焦点ミラー。
17.付記項1〜16のいずれか一項記載の可変焦点レンズ、可変焦点回折光学素子または可変偏角プリズムよりなる液晶光学素子と、該液晶光学素子の前記一対の電極間に電圧を印加する電圧源とを有することを特徴とする液晶光学装置。
18.付記項17記載の液晶光学装置において、
前記電圧源は、前記一対の電極間に可変の電圧を印加するよう構成したことを特徴とする液晶光学装置。
19.不均質媒質レンズを製造するにあたり、
不均質素材の外径をセンターレスを用いてレンズ仕上がり外径に研削する工程を含むことを特徴とする不均質媒質レンズの製造方法。
20.不均質媒質レンズを製造するにあたり、
ピックテスタまたは顕微鏡を用いて不均質素材の外周の振れを調節して、該不均質素材を芯取り機の回転軸に固定した後、その外径をレンズ仕上がり外径に研削する工程を含むことを特徴とする不均質媒質レンズの製造方法。
21.不均質媒質レンズを製造するにあたり、
不均質素材に、中心が分光中心軸とほぼ一致するように所望の形状の曲面を形成した後、前記不均質素材の外周をベルクランプまたはサイダ式芯取り機を用いてレンズ仕上がり外径に研削する工程を含むことを特徴とする不均質媒質レンズの製造方法。
22.不均質媒質レンズを製造するにあたり、
不均質素材を、その研削面方向に対して垂直となるように治具に固定した状態で、前記不均質素材を平面に研削および研磨する工程を含むことを特徴とする不均質媒質レンズの製造方法。
23.付記項22記載の不均質媒質レンズの製造方法において、
前記治具として、Vブロックまたは歯車を用いることを特徴とする不均質媒質レンズの製造方法。
24.不均質媒質レンズを製造するにあたり、
外径が製造すべき不均質媒質レンズの外径よりも大きく、かつ所望の形状の曲面を有し、その中心部に不均質素材の直径にほぼ等しい穴を形成したガラス、金属、樹脂等からなるヤトイを用い、該ヤトイの穴に不均質素材を固定して、該不均質素材を前記ヤトイとともに所望の形状の曲面に研削および研磨する工程を含むことを特徴とする不均質媒質レンズの製造方法。
25.不均質媒質レンズを製造するにあたり、
一方の面を所望の形状の曲面に研削した不均質素材の前記曲面を、逆の形状の曲面を有するヤトイの回転軸に、ピックテスタまたは顕微鏡を用いて外周の振れを調節して固定した後、カーブジェネレータを用いて前記不均質素材の他方の面を所望の形状の曲面に研削する工程を含むことを特徴とする不均質媒質レンズの製造方法。
26.不均質媒質レンズを製造するにあたり、
不均質素材の両端に、中心が分光中心軸にほぼ一致する所望の形状の曲面をそれぞれ形成した後、該不均質素材をベルクランプ法により芯取りする工程を含むことを特徴とする不均質媒質レンズの製造方法。
27.不均質媒質レンズを製造するにあたり、
不均質素材の両端に、中心が分光中心軸にほぼ一致する所望の形状の曲面をそれぞれ形成した後、一方の曲面を、それとは逆の形状の曲面を有するヤトイに固定し、他方の曲面による反射像を観測して、サイダ式芯取り機により前記不均質素材を芯取りする工程を含むことを特徴とする不均質媒質レンズの製造方法。
28.不均質媒質レンズを製造するにあたり、
不均質素材の両端に、中心が分光中心軸にほぼ一致する所望の形状の曲面をそれぞれ形成した後、該不均質素材をサイダ式芯取り機により芯取りする工程を含むことを特徴とする不均質媒質レンズの製造方法。
29.不均質媒質レンズを製造するにあたり、
不均質素材をコレットチャックにて固定した状態で、カーブジェネレータを用いて一方の面を所望の形状の曲面に研削する工程を含むことを特徴とする不均質媒質レンズの製造方法。
30.不均質媒質レンズを製造するにあたり、
不均質素材の一方の面を、分光中心軸にほぼ一致する中心を有する所望の形状の曲面に形成した後、該曲面をパイプで支えながら不均質素材をコレットチャックにて固定し、その状態でカーブジェネレータを用いて他方の面を所望の形状の曲面に研削する工程を含むことを特徴とする不均質媒質レンズの製造方法。
31.付記項19〜30のいずれか一項記載の不均質媒質レンズの製造方法において、
前記不均質素材として、該素材の中心軸と分光中心軸とがほぼ一致しているものを用いることを特徴とする不均質媒質レンズの製造方法。
【0073】
付記項6記載の撮像装置によれば、液晶光学素子の応答が速いので、動画のオートフォーカスが可能になると共に、光量損失が少ないので、暗いところでも撮像できる利点がある。
付記項19記載の不均質媒質レンズの製造方法によれば、安価な費用で偏芯の少ない不均質媒質レンズを得ることができる。
付記項20記載の不均質媒質レンズの製造方法によれば、付記項19記載の製造方法と比較して、より精度の良い不均質媒質レンズを得ることができ、品質管理がし易くなる。
付記項21記載の不均質媒質レンズの製造方法によれば、所望の形状の曲面を精度良く形成することにより、簡単な加工で偏芯の少ない不均質媒質レンズを得ることができる。
付記項22記載の不均質媒質レンズの製造方法によれば、面偏芯の少ない不均質媒質レンズを得ることができる。
付記項24記載の不均質媒質レンズの製造方法によれば、ヤトイさえ精度良く形成すれば、偏芯の少ない不均質媒質レンズを容易に得ることができる。
付記項25記載の不均質媒質レンズの製造方法によれば、縁肉の小さい不均質媒質レンズでも容易に得ることができる。
付記項26記載の不均質媒質レンズの製造方法によれば、偏芯の少ない不均質媒質球面レンズを得ることができる。
付記項27記載の不均質媒質レンズの製造方法によれば、より偏芯の少ない高精度の不均質媒質球面レンズを得ることができる。
付記項28記載の不均質媒質レンズの製造方法によれば、簡単な加工で、偏芯の少ない高精度の不均質媒質球面レンズを得ることができる。
付記項29および30記載の不均質媒質レンズの製造方法によれば、偏芯の少ない不均質媒質球面レンズを簡単に得ることができる。
【0074】
【発明の効果】
この発明に係る液晶光学素子としての可変焦点レンズ、可変焦点回折光学素子および可変偏角プリズムによれば、高分子分散液晶を用いるようにしたので、例えば電界の印加によって屈折率を迅速に変化させて、その光学特性を変更することができる。したがって、液晶光学素子を介する光線の光路を迅速に変更することができる。また、高分子分散液晶を用いることにより、必ずしも偏光板を必要としないので、光量低減を抑えることができ、したがって、フィルムカメラ、顕微鏡、TVカメラ、双眼鏡、眼鏡、内視鏡、デジタルカメラ、光ピックアップ等の各種の光学機器の焦点調整、ズームレンズ、ぶれ防止用として広く用いることができる。さらに、特に、可変焦点回折光学素子および可変偏角プリズムにおいては、全体を薄くできるので、光散乱も少なくできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る可変焦点レンズの原理的構成を示す図である。
【図2】一軸性のネマティック液晶分子の屈折率楕円体を示す図である。
【図3】図1に示す高分子分散液晶層に電界を印加状態を示す図である。
【図4】図1に示す高分子分散液晶層への印加電圧を可変にする場合の一例の構成を示す図である。
【図5】この発明に係る可変焦点レンズを用いるデジタルカメラ用の撮像光学系の一例の構成を示す図である。
【図6】同じく、この発明に係る可変焦点レンズを用いる電子内視鏡用の対物光学系の一例の構成を示す図である。
【図7】この発明に係る可変焦点回折光学素子の一例の構成を示す図である。
【図8】この発明に係る可変焦点回折光学素子を眼鏡レンズとして用いる可変焦点眼鏡を示す図である。
【図9】図8に示す可変焦点回折光学素子に電圧を印加した状態を示す図である。
【図10】従来の二重焦点レンズを用いる眼鏡を示す図である。
【図11】図8に示す可変焦点眼鏡の変形例を示す図である。
【図12】同じく、他の変形例を示す図である。
【図13】ツイストネマティック液晶を用いる可変焦点レンズを有する可変焦点眼鏡の構成を示す図である。
【図14】図13に示すツイストネマティック液晶層への印加電圧を高くしたときの液晶分子の配向状態を示す図である。
【図15】この発明に係る可変偏角プリズムの二つの例の構成を示す図である。
【図16】図15に示す可変偏角プリズムの使用態様を説明するための図である。
【図17】この発明に係る可変焦点レンズとしての可変焦点ミラーの一例の構成を示す図である。
【図18】従来の液晶レンズを用いる光学系の構成を示す図である。
【図19】図18に示す液晶レンズに電界を印加した状態を示す図である。
【図20】ラジアルグラディエントの不均質媒質レンズを示す図である。
【図21】図20に示す不均質媒質レンズの屈折率分布を示す図である。
【図22】不均質媒質レンズの素材を示す図である
【図23】センターレスによる不均質素材の研削工程を説明するための図である。
【図24】切断機による不均質素材の切断工程を説明するための図である。
【図25】切断した不均質素材のVブロックへの接着状態を示す図である。
【図26】切断した不均質素材の歯車への接着状態を示す図である。
【図27】平面研削盤による不均質素材の研削工程を説明するための図である。
【図28】研磨機による不均質素材の精研削、研磨工程を説明するための図である。
【図29】ダライ盤による不均質素材の面取り工程を説明するための図である。
【図30】研磨機による不均質素材の精研削、研磨工程の他の例を説明するための図である。
【図31】サイダ式芯取り機による不均質素材の研削工程を説明するための図である。
【図32】球面の不均質媒質レンズの製造に用いるヤトイの形成工程を説明するための図である。
【図33】ヤトイへの不均質素材の取り付け状態を示す図である。
【図34】研磨機による不均質素材の精研削、研磨工程を説明するための図である。
【図35】不均質素材のヤトイへの貼り付け工程を説明するための図である。
【図36】カーブジェネレータによる不均質素材の曲率面研削工程を説明するための図である。
【図37】ベルクランプ芯取り機による不均質素材の外周の研削工程を説明するための図である。
【図38】両面研磨後の不均質素材の外周の研削工程を説明するための図である。
【図39】カーブジェネレータによる不均質素材の一方の面の研削工程を説明するための図である。
【図40】同じく、カーブジェネレータによる不均質素材の他方の面の研削工程を説明するための図である。
【符号の説明】
8a 第1の面
8b 第2の面
9a 第3の面
9b 第4の面
11 可変焦点レンズ
12a,12b レンズ
13a,13b 透明電極
14 高分子分散液晶層
15 スイッチ
16 交流電源
17 液晶分子
18 高分子セル
19 可変抵抗器
21 絞り
22 レンズ
23 固体撮像素子
25 前方レンズ
26 絞り
27 可変焦点レンズ
28 後方レンズ
29 固体撮像素子
31 可変焦点回折光学素子
32,33 透明基板
32a 第1の面
32b 第2の面
33a 第3の面
33b 第4の面
35 可変焦点眼鏡
35a フレーム
36 可変焦点回折光学素子
37,38 レンズ
39a,39b 配向膜
45 物体
46 測距センサ
61 可変偏角プリズム
62,63 透明基板
62a 第1の面
62b 第2の面
63a 第3の面
63b 第4の面
65 可変焦点ミラー
66,67 透明基板
66a 第1の面
66b 第2の面
67a 第3の面
67b 第4の面
68 反射膜

Claims (2)

  1. 高分子分散液晶を用いた液晶光学素子としての可変焦点レンズ、可変焦点回折光学素子、または可変偏角プリズムであって、
    前記液晶光学素子は、第1の光学部材と、第2の光学部材と、一対の透明電極を備えており、
    前記一対の透明電極は、前記第1の光学部材と前記第2の光学部材の間に、一方の透明電極が前記第1の光学部材に配置され、他方の透明電極が前記第2の光学部材に配置されるように配置され、
    前記一対の透明電極の間に前記高分子分散液晶の層が配置されており、
    下記条件
    0.01≦|no′−nLC′|≦10
    D・t≦λ・15μm
    を満足することを特徴とする液晶光学素子。
    ただし、no′は、常光線の平均屈折率であり、nLC′は、液晶分子の平均屈折率、Dは前記高分子分散液晶を構成する液晶分子を含む高分子セルの平均の直径、tは前記高分子分散液晶層における光軸方向における厚さ、λは光の波長であってλ=500nmである。
  2. 高分子分散液晶を用いた液晶光学素子としての可変焦点レンズ、可変焦点回折光学素子、または可変偏角プリズムであって、
    前記液晶光学素子は、第1の光学部材と、第2の光学部材と、一対の透明電極を備えており、
    前記一対の透明電極は、前記第1の光学部材と前記第2の光学部材の間に、一方の透明電極が前記第1の光学部材に配置され、他方の透明電極が前記第2の光学部材に配置されるように配置され、
    前記一対の透明電極の間に前記高分子分散液晶の層が配置されており、
    下記条件
    7nm≦D≦500λ
    D・t≦λ・15μm
    を満足することを特徴とする液晶光学素子。
    ただし、Dは前記高分子分散液晶層を構成する液晶分子を含む高分子セルの平均の直径、tは前記高分子分散液晶層における光軸方向における厚さ、λは光の波長であってλ=500nmである。
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