JP4014070B2 - パターン検出方法および画像処理制御方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、機密文書の不正コピーを防止するために特定パターンを検出するパターン検出方法および特定パターンの検出に応じて画像処理機能を制御する画像処理制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、不正コピーを防止する方法としては、例えば金属光沢を有する不正コピー不能な特殊な用紙を使用するもの(特開平6−155975号公報を参照)、不正コピーを防止するためのシールを印刷物に貼り付けるもの(特開平6−259013号公報を参照)、あるいは、白黒コピーしたときに再現濃度がほぼ同一となるような2色で文字/背景をそれぞれ印刷するもの(特開平7−89215号公報を参照)、コピー後に潜像が現出するもの(実開平6−68051号公報を参照)など印刷方法に工夫を施した方法などが提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、通常、オフィスなどで機密文書を作成する場合、モノクロプリンターを使用することが多く、特殊な用紙を使ったり特殊な印刷方法を使うことは機能的、コスト的にも難しい。また、機密文書は書かれている内容が問題であるので、コピーした際にきれいに再現されなくなる防止シールを一部に貼っても、シールの貼られているところ以外は読める状態でコピーされてしまうので不正の抑止効果は低い。
【0004】
また、対象となる表面のパターンを識別することにより、画像処理プロセス(複写)を制御する装置もある(特開昭60−229572号公報)。しかし、この装置では、対象となる表面の絵柄全体が特定されている場合には有効であるが、一般の機密文書では文書表面全体のパターンをあらかじめ特定することはできないし、文書の可読性を損なわないように空白部などに特定パターンを印刷した場合でも、画像読み込み時にその部分を隠蔽することは容易であり、不正コピーを防止できない。
【0005】
本発明の目的は、通常のモノクロプリンターまたはカラープリンターで印刷できるような方法で文書の裏面に特殊パターンを印刷することにより、オリジナル文書の可読性を損なうことなく、また文書内容とパターンの容易な分離を防ぎながら、複写機等における不正複写を禁止することができるパターン検出方法および画像処理制御方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、請求項1記載の発明では、画像データを入力するステップと、入力された前記画像データから所定の画素値を有する画素を抽出するステップと、抽出された前記画素から所定間隔で格子状に存在する特定パターン候補を検出するステップと、検出された1つのパターン候補を中心とし、前記所定間隔を半径とする円周上に他のパターン候補が存在するか否かを調べ、存在したときは得点を与え、検出された全てのパターン候補についての得点を累積した値を基に、特定パターンを検出するステップとを有し、前記半径の円周上に他のパターン候補が複数検出されたとき、円の中心に対して前記候補同士のなす角度が特定角度または所定の角度である場合には高い得点を与えることを特徴としている。
【0007】
請求項2記載の発明では、文書を読み取って文書の画像処理動作を制御する画像処理制御方法であって、文書の裏面に印刷されている、複数の特定パターンの配置関係、色の配置関係を請求項1記載の方法によって検出したとき、文書の複写禁止処理動作を制御することを特徴としている。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施例を図面を用いて具体的に説明する。
図1は、本発明の実施例の構成を示す。図において、101はスキャナ部などの画像入力部、102は本発明の特徴の一つである特定パターンの検出部、103はスキャンして得られた画像を作像して印刷する画像出力部、104はスキャンして得た画像データや各処理中のデータなどを記憶するデータ記憶部、105は全体の処理制御部、106はデータ通信路、107はネットワークなどを介して外部の機器などと通信を行う外部通知手段である。また、図2は、本発明の処理フローチャートである。
【0009】
以下、図2を参照しながら実施例を説明する。まず、画像入力部101によって文書を光学的に走査して画像を取得する(ステップ201)。画像信号は白黒多値またはRGBフルカラーであるとする。次に、特定パターン検出部102は、取得した画像から特定パターンの候補を検出する(ステップ202)。
【0010】
第1の実施例では、特定パターンがスキャン(走査)対象となる文書(紙)の裏面に黒色で印刷されている。図3は、特定パターンの一例を示す。文書の裏面に特定パターンが印刷されている文書表面をスキャンして得た画像信号中には、裏面の特定パターンが中間濃度の信号となって現れる。
【0011】
例えば、取得した画像信号が0(白)〜255(黒)の白黒多値の場合には、レベル50程度の中間濃度信号となる(図4)。図4は、濃度が薄い状態を表している。このレベル値は、紙質や画像入力部101の特性に左右されるが、「コピー禁止文書」を意図的に印刷するのであれば紙質は普通紙であってもある程度特定のものを選択可能であり、また画像入力部の特性はあらかじめ判明しているので、予想レベル値は所定の範囲に収めることができる。
【0012】
従って、上記濃度レベル値をとる画素を文書画像の全体から抽出し、特定パターンのテンプレートとマッチングをとり、一致したとき、文書の裏面に特定パターンが印刷されていることを検出する。マッチング精度を高めるために、特定パターンはできるだけ方向性のないものにする方がよく、また回転不変量を特徴量にとれば多少の回転には左右されずにパターンの照合が可能である。なお、回転不変特徴量として、例えばフーリエ記述子やモーメント法などの公知の方法を用いる。
【0013】
また、上記した特定パターンの検出は、濃度値の絶対値ではなく、地(通常は白)のレベル値との相対的な差分を用いてもよい。
【0014】
また、上記したようにスキャンして得られる文書画像がフルカラーの場合には、単純に輝度成分に変換してから上記したと同様にテンプレートマッチング処理を行ってもよいし、これに加えて色情報による識別(例えば、予め決められた範囲の色画素があるか否か)を行ってもよい。
【0015】
さらに、上記した例では、文書の表面(片面)をスキャンした場合であるが、文書の両面をスキャンすることにより、少なくとも一方の面に印刷された特定パターンを検出するようにしてもよい。
【0016】
次に、特定パターン検出部102は、特定パターン候補の相対位置による判定を行う(ステップ203)。文書の表面には、裏面のパターンの位置とは無関係に文字が印刷されている。従って、図5のように表面の文字(特)と裏面のパターンとが重なることが予想される。重複部分が大きいとマッチングがとれないことがあり得る。また、文書の表面に中間調で印刷された部分があると、その一部を特定パターンとして誤って検出する可能性もある。
【0017】
そこで次に、検出した複数の特定パターン候補の相対位置関係によって、当該文書が特定パターン印刷文書であるか否かを判定する。例えば、特定パターンが図6のような距離dの間隔で印刷されていて、そのパターンの検出結果(パターン候補)が図7に示すようになったとする。
【0018】
ここで、図8に示すように、あるパターン候補の半径dの位置に別の候補が存在するか否かを局所的に調べ、そこに一つ存在した場合は、パターン候補にポイント=1を与える。また、2つの候補が存在していて、それらが180度の対称位置にある場合、またはそれらが90度の角度をなす位置にある場合は、パターン候補にポイント=3を与え、ポイントを算出していく。また、円の中心と検出した候補を結ぶ線上に、dの一定倍率または整数倍の距離に他の候補が存在した場合には高いポイントを与えるようにしてもよい。
【0019】
これらのポイント算出処理を、検出した全候補に対して行い、最終的に総ポイント数がしきい値(絶対値)を越えるか、該総ポイント数を検出パターン候補数で正規化した値がしきい値を越えるなどした場合に、当該文書は裏面に特定パターンが印刷されたものであると判定する。なお、上記した正規化した値として、総ポイント数を文書サイズ(A4、B5、ハガキなどの原稿サイズ)で正規化した値を用いてもよい。
【0020】
コピー禁止文書の裏面に上記した特定パターンを印刷するような運用を行う場合においては、ステップ203で特定パターン印刷文書であると判定されたとき、画像出力部103は、画像の印刷(複写)を行わないように制御する(ステップ204)。単に当該文書の複写印刷を行わないだけでなく、その後の複写機としての動作を、再度何らかの処理がされるまで停止するようにしてもよいし、不正コピー動作を、外部通知部107からネットワークなどを介して他の装置などに通知するようにしてもよい。
【0021】
これとは逆に、コピー許可文書の裏面に上記した特定パターンを印刷するような運用を行う場合においては、ステップ203で特定パターンの検出に成功したときだけ、画像出力部103は画像を印刷(複写)するように画像出力を制御する(ステップ204)。
【0022】
図1ではスキャンして得た画像を一度、データ記憶部104に保存するようになっているが、これは文書全面の画像を保存してもよいし、画像の一部を取り込み保存する度に特定パターン検出部102においてパターン候補を抽出し、後で全体の配置関係を調べる方法を採ってもよい。
【0023】
第2の実施例は、特定パターンが文書の裏面にカラーで印刷されている場合の実施例である。個々の特定パターンを黒以外の一色または予め決めた幾つかの色で印刷しておき、先の実施例のような濃度値または濃度差だけでなく、色情報も使用することによって個々のパターン候補(特定色の画素が検出されたか否か)を検出する。さらに全体の配置関係を調べる際に、パターン候補の配置だけでなく、パターン候補の色の並び(例えば図9にように、特定色のパターンが特定方向に並んでいる)にも規則性を持たせ、このようなカラーのパターンが文書の裏面に存在するか否かを判定する。
【0024】
上記した実施例は、文書の裏面に印刷されている特定パターンの存在または非存在を検出することによって複写動作を制御する複写機に適用した例であるが、本発明はこれに限定されず、スキャナにも適用することができる。すなわち、画像出力部が印刷をするのではなく、外部へ画像を転送する機構とし、文書の裏面に印刷されている特定パターンの存在または非存在を検出することにより、画像読み込み動作または画像転送動作を制御するスキャナの実施例となる。
【0025】
また、複写の禁止または許可を判定するための特定パターンを文書印刷面の裏面に印刷する印刷機にも適用できる。図10は、本発明をプリンタに適用した場合の構成例を示す。ホストとなるパーソナルコンピュータ(以下、PC)とプリンタが接続され、PCからプリンタに対して、文書データと共に機密文書命令を送る。プリンタでは、両面印刷機構を利用して、機密文書印刷命令に対して、まず片面に特定パターンを印刷し、もう一方の面に本来の文書データを印刷する。
【0026】
図11は、図10の処理をプリンタのドライバソフトで実行する場合の構成を示す。図示しないPCのドライバソフトによって、表に文書データ、裏に特定パターンを配置した印刷命令(データ)を作成し、それをプリンタに送る。
【0027】
図12は、本発明を両面印刷機構がないプリンタに適用した場合の構成を示す。両面印刷機構がない場合には、あらかじめ特定パターンを印刷する特定モードを設け、特定パターンを片面に印刷する。この特定モードは、PCからの命令でもよいし、プリンタの操作パネルからの指定でもよい。
【0028】
この特定モードで特定パターンを片面に印刷した紙を給紙トレイの一つに、表裏反転してプリンタに再セットし、機密文書印刷命令に対してはこの給紙カセットから給紙を行うようにする。その後、PCからの機密文書印刷命令で文書を印刷すると、裏面に特定パターンがプリントアウトされる。これにより、複写機などで不正複写を防止できる機密文書を印刷することができる。
【0029】
なお、本発明は特定のハード構成に限定されるものではなく、本発明の主題となる特定パターン検出部をプログラムによっても実現することができる。図13は、特定パターン検出による画像処理制御をプログラムで実行する場合の構成例を示す。
【0030】
例えば、特定パターン検出プログラム、画像出力制御プログラムをCD−ROMなどの記録媒体に格納しておき、これをCD−ROMドライブからシステムにインストールしたり、あるいはネットワークから上記プログラムをダウンロードする。画像入力デバイスにより入力された文書画像から特定のパターンが検出されたことに応じて、画像出力デバイスにおける画像出力を禁止または許可するように制御する。なお、図13に示す構成例において、入力画像を一時的に保持しない場合には、HDなどの外部記憶装置を設けなくてもよい。また入力画像を紙に出力しない場合には、画像出力デバイスを設けなくてもよい。さらに画像処理制御結果を外部に通信しない場合には、外部通信機器を設けなくてもよい。
【0031】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明によれば、文書の可読性を損なわずに、また通常の印刷方法によって文書の裏面に印刷された特定パターンを精度よく検出できる。また、複写が禁止されている文書などの裏面にこのような特定パターンを予め印刷しておき、複写機やスキャナなどを用いて複写禁止文書の印刷を実行しようとしたとき、特定パターンの検出に応じて不正な複写を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例の構成を示す。
【図2】 本発明の実施例の処理フローチャートである。
【図3】 特定パターンの一例を示す。
【図4】 取得画像の現れかたを示す。
【図5】 文字と特定パターンが重なっているときの取得画像の現れかたを示す。
【図6】 パターン配置の第1の例を示す。
【図7】 パターン候補検出結果の例を示す。
【図8】 パターン候補の相対位置検出を説明する図である。
【図9】 パターン配置の第2の例を示す。
【図10】 本発明をプリンタに適用した場合の構成例を示す。
【図11】 図10の処理をプリンタのドライバソフトで実行する場合の構成を示す。
【図12】 本発明を両面印刷機構がないプリンタに適用した場合の構成を示す。
【図13】 特定パターン検出による画像処理制御をプログラムで実行する場合の構成例を示す。
【符号の説明】
101 画像入力部
102 特定パターン検出部
103 画像出力部
104 データ記憶部
105 制御部
106 データ通信路
107 外部通知部
Claims (2)
- 画像データを入力するステップと、入力された前記画像データから所定の画素値を有する画素を抽出するステップと、抽出された前記画素から所定間隔で格子状に存在する特定パターン候補を検出するステップと、検出された1つのパターン候補を中心とし、前記所定間隔を半径とする円周上に他のパターン候補が存在するか否かを調べ、存在したときは得点を与え、検出された全てのパターン候補についての得点を累積した値を基に、特定パターンを検出するステップとを有し、前記半径の円周上に他のパターン候補が複数検出されたとき、円の中心に対して前記候補同士のなす角度が特定角度または所定の角度である場合には高い得点を与えることを特徴とするパターン検出方法。
- 文書を読み取って文書の画像処理動作を制御する画像処理制御方法であって、文書の裏面に印刷されている、複数の特定パターンの配置関係、色の配置関係を請求項1記載の方法によって検出したとき、文書の複写禁止処理動作を制御することを特徴とする画像処理制御方法。
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