JP4013615B2 - 繊維強化プラスチック製複合パネル - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉄道、道路および建築や土木分野で使用され、大きな面荷重がかかる、防音性能に優れた繊維強化プラスチック(以下、FRPということがある)製複合パネルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
騒音は公害の中でも苦情やトラブルが一番多く、環境問題として騒音の防止対策は重要な社会的問題となっている。
【0003】
一般に、騒音を防止する防音材料には遮音部材と吸音部材の2種類の部材があり、遮音部材は、空気伝播音を反射して音のエネルギーの伝播を断ち切る役割をするもので、遮音性能の指針である音響透過損失特性は、基本的には質量則に従い、質量が大きものほど大きくなる。例えば、鉄道や道路の平地、高架部分には、周知のように沿線地域住民への騒音を緩和する目的で、特開平8−144227号公報などで開示されているような主としてコンクリート製防音パネルまたは金属製の防音パネルが設置されている。これら材質のものは重量物であることから、質量則に従い、鉄道車輌や自動車から発生する騒音の防止や騒音の拡散に所定の効果が得られるものではあった。故に、軽量化を目的とし、軽量な心材を内包した繊維強化プラスチック製(以下、FRPと称することもある。)防音パネルが、特公平2−57619号公報や特開平9−170292号公報に開示されている。これら2件の公報の防音パネルは使用されるところが住宅やビルの外壁であり、比較的騒音レベルが低く、パネルの軽量化達成が容易である。
【0004】
一方、吸音部材は音のエネルギーを熱エネルギーに変換することによって、音圧を減衰させる役目をするもので、単独では音を遮音する性能が低く、遮音部材と併用するすることにより、遮音性能を良くすることができるため、遮音性能を向上させんとする発明が、特開2000−8331号公報に開示されている。遮音部分はコンクリート製の遮音壁で、その背面に、FRP製の吸音板を所定の間隔で離し、中間空気層を設けた構造の防音パネルを提供せんとする発明であるが、新たに設置する場合には防音壁本体がコンクリート製であるため、前述同様重機が必要である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前記コンクリート製や金属製の防音パネルは、金属製の防音パネルの場合には、腐朽する等の耐久性に問題があり、コンクリート製の防音パネルの場合には、最近問題となっている鉄筋の錆びによる膨れ・亀裂によるコンクリート小片の剥落がある他、比重が大きく重量物であるが故にその運搬と取付けには取付場所に重機類と専用の取付機械の搬入が必須となり、特に設置場所が鉄道の高架橋の場合には、線路側から防音パネル設置場所に専用の建設機械を接近させることが難しいという問題や、たとえ接近し得たとしてもその取付作業は高架下からの高所作業等が避けられず、危険でもあった。
【0006】
また、特公平2−57619号公報や特開平9−170292号公報のFRP製防音パネルは、前述したように住宅やビルの外壁に用いられるものであり、騒音源が離れており、パネルを取り付けるための小梁が縦横かなりの細かなピッチで設けられており、機械特性(強度・剛性)はそれほど必要がない。しかしながら、鉄道や道路用の防音パネルに用いるには、騒音の発生源が比較的近接しており、騒音レベルも高く、質量則に基づく適正な重量を確保しつつ、小梁もないためパネル自体で自立しながら、単位面積当たり300kg/m2 〜400kg/m2 の風圧に耐える必要がある。建築躯体への取付手段も加味し、最適設計をしないと軽量な防音パネルが得られない。さらに、鉄道などの高架橋に防音パネルを設置する場合は、電車などの走行時の躯体の振動による共振を避けなければ、そのものが大きな騒音発生源となることがある。さらに、近年、特に鉄道や道路用に適用されている防音パネルは、隣接する住宅、教育施設への防音対策が一層求められており、回折する音をも小さくするため、防音パネルの高さもますます高くなっている。しかしながら、既存の躯体や梁では、強度面からくる重量制限があり、パネルの高さを大きくすることはできない。また、重量の点を考慮して軽量なアクリル製の防音パネルも採用されているが、比較的短い期間での紫外線劣化を起因とする強度低下によるの耐久性に問題と、そのもの自体は確かに軽量であるが、強度と剛性が小さいため、短い間隔で、支柱や横梁が必要であり、施工費全体としては必ずしも安価とは言えない問題を有している。
【0007】
また、特開2000−8331号公報のものは、一見遮音性能は優れているが、遮音パネル自体がコンクリート製であり、上述した剥落は回避できない問題を有している。
【0008】
そこで本発明の課題は、大きな面荷重にも耐えられ、軽量で取扱性に優れるとともに、防音性能および耐久性に優れた繊維強化プラスチック製複合パネルを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明に係る繊維強化プラスチック製(FRP)製複合パネルは、繊維強化プラスチック製(FRP)製遮音パネル部と、吸音部と、繊維強化プラスチック製(FRP)製有孔パネル部の少なくとも三層構造からなり、繊維強化プラスチックの補強繊維として、ガラス繊維および炭素繊維が用いられる繊維強化プラスチックであって、該繊維強化プラスチック製遮音パネル部を形成する繊維強化プラスチック層の厚みの少なくとも5〜20%が、炭素繊維を含む繊維強化プラスチック層であることを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明のFRP製複合パネルは、次の好ましい態様を有している。
(a) 繊維強化プラスチック製遮音パネル部が、相対する繊維強化プラスチック製スキン部材間に芯材を内包するサンドイッチ構造体、または、繊維強化プラスチック製単板の片側または両面に、縦横両方向またはいずれか一方向に実質的に一体化された繊維強化プラスチック製補強部材を有するスチフナ構造体であって、単位巾当たりの曲げ剛性が、(0.1〜10)×10kg・mmであり、かつ単位面積当たりの重量が、10〜60kg/mであること。
(b) 繊維強化プラスチック製スキン部材または繊維強化プラスチック製単板を形成する繊維強化プラスチック層の厚みの少なくとも5〜20%が、炭素繊維を含む繊維強化プラスチック層であること。
(c) 繊維強化プラスチック製スキン部材を形成するマトリックス樹脂が、難燃剤および制振剤の両方またはいずれか一方を含む熱硬化性樹脂からなること。
(d) 繊維強化プラスチック製有孔パネルが、50〜90%の開口率を有すること。
(e) 吸音部が、多孔質材料からなること。
【0011】
本発明のFRP製複合パネルは、このような繊維強化プラスチック部材で主として形成されるので、基本的に錆の発生の問題がなく、耐食性にも優れているので、耐久性の大幅な向上が可能となり、耐用年数の大幅な延長が可能である。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のFRP製複合パネルについて、望ましい実施の形態を説明する。 本発明に係るFRP製複合パネルは、上述した構成を有するが、本発明で用いられるFRP製遮音パネル部とFRP製有孔パネル部を構成する、いわゆるFRP製部分のマトリックス樹脂としては、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂が好適であり、これらの樹脂中に、層状化合物(例えば、マイカ、二硫化モリブデン、窒化硼素など)や針状化合物(例えば、ゾノトライト、チタン酸カリ、炭素繊維など)、粒状および板状化合物(例えば、フェライト、タルク、クレーなど)等の制振剤を添加することができる。制振剤を添加することによって、無機物結晶同士あるいは無機物とマトリックスとの相互運動による摩擦熱への変換がなされ、上記フィラーを充填することによって弾性率と密度が増大し、振動物体の運動エネルギーを消散させて、パネルの振動を軽減することができる。
【0013】
また、上記の樹脂中に、難燃剤(例えば、水酸化アルミニウム、臭素、無機質粉等)を添加して、難燃性を向上させることができる。フェノール樹脂は、それ自体で難燃性に優れており、かつ安価であるため好ましく使用される。 なお、上記の添加物は、取り付ける箇所つまり、火災による延焼を防ぐところ、振動伝播が著しいところ等の状況に合わせて、両方またはいずれか一方、適宜選択すれば良い。
【0014】
本発明で用いられるFRP製遮音パネル部とFRP製有孔パネル部を構成する、いわゆるFRP部分の補強繊維としては、用途や使用条件に応じて、適宜ガラスや炭素繊維などからなる無機繊維や、アラミド繊維、ナイロン繊維あるいはポリエステル繊維などの有機繊維などを用いることができる。また、用いられる繊維の形態としては、例えば、繊維長が好ましくは1〜3mmである短繊維からなるマットや、連続繊維からなるクロス、ストランドなどを好適に用いることができる。
【0015】
ここで、軽量・高強度のFRPを得るためには、補強繊維として炭素繊維が用いられることが一般的であるが、本発明では、コストとのバランスを取るため、ガラス繊維/炭素繊維のハイブリッドのものが用いられ、その体積比率は1:0.05〜1:1が好ましい。炭素繊維を、かかる割合で配合させることによって、振動減衰性が向上する利点がある。
【0016】
さらに用いられる炭素繊維の種類は、炭素繊維の高い強度・剛性の観点からは特に制限されないが、より低コストを考えると、いわゆるラージ・トウの炭素繊維を用いることが最も好ましい。例えば、炭素繊維糸1本のフィラメント数が通常の10,000本未満のものではなく、できれば10,000〜300,000本の範囲、より好ましくは50,000〜150,000本の範囲にあるトウ状の炭素繊維フィラメント糸を使用する方が、樹脂の含浸性、補強繊維基材としての取扱い性、さらには補強繊維基材の経済性において、より優れるため、好ましい。
【0017】
周知のように、前述マット基材は、前記ガラス繊維や炭素繊維等のフィラメント糸を、約1〜3mmの長さにカットし、PVAなどのバインダーで抄紙することによって得られ、成形品の表面に配置することによって、平滑な面が得られる。また、経糸および緯糸からなるクロス基材は、上記フィラメント糸を織機に掛けて製織することによって得られる。なお、マット基材は、積層する連続繊維からなるクロス基材や一方向基材間の層間剥離強度を増すため配置することもある。
【0018】
また、前記FRP製スキン材は、マトリックス樹脂よってあるいは補強繊維の形態によって、真空、ブロー、射出、スタンピング、BMC、SMC、トランスファー成形、およびRTM、プレス、引抜、ハンドレイアップ成形等の様々な成形方法を用いて容易に形成することが可能である。
【0019】
前者は、短繊維基材と熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂との組合せにおいて、良く用いられるものであり、短繊維故に、強度・剛性が若干低いという弱点はあるが、成形サイクルは短く製造費が安価で、構造体としての機能を有する構造ための後述するリブ等を容易に形成できるためよく用いられる方法であり、プラスチック単体よりも強度・剛性に優れる。後者は、長繊維基材と熱硬化性樹脂との組合せにおいて、良く用いられるものであり、前述同様にリブを形成することは可能である、特に、簡易RTMである真空注入含浸成形によれば、体積含有率等を上げられ、強度、剛性の高いものが比較的安価で製造できる利点がある。
【0020】
上記基材は、必要に応じて、あるいは要求される機械特性等に応じて、補強繊維の層を複数層に積層して補強繊維基材を形成し、その補強繊維基材に樹脂を含浸する。積層する補強繊維層には、一方向に引き揃えた繊維層や織物層を適宜積層でき、その繊維配向方向も、要求される強度の方向に応じて適宜選択することが好ましい。
【0021】
FRP製遮音パネル部は、例えば、繊維強化プラスチック製スキン材の強化繊維として、ガラス繊維織物と、炭素繊維の一方向織物を積層し、芯材に30倍発泡硬質ポリウレタン発泡体を用いて、簡易RTMである真空注入含浸成形法により、難燃性不飽和ポリエステル樹脂を含浸・硬化させることにより得ることができる。
【0022】
また、FRP製有孔パネルは、ガラス繊維からなるマット基材と、織物基材を交互に、樹脂を含浸しながら積層、硬化させて得た板材に、機械加工により穿孔することによって得ることができる。
【0023】
一般に、遮音材の遮音性能は、音響透過損失(TL)は、TL=10log10(1/τ)と定義され、デシベル(dB)で表現される。透過率(τ)は、材料の表面に入射した音のエネルギー(Ii)に対する透過エネルギー(It)の比で表され、τ=(It/Ii)で定義され、材料を透過した音だけが対象となる。通常遮音材の透過損失は、基本的には質量則に従い、質量が大きいものほど大きくなるが、鉄道や道路に使用される遮音パネルは、125Hz〜4KHzの可聴帯域において10dB以上の透過損失が必要とされている。つまり、90%の音のエネルギーが遮断される材料であることが必要である。そのためのFRP製遮音壁は、遮音部の重量が10kg/m2 以上必要となり、これ以下では必要な透過損失が得られない。透過損失のみを考慮するならば、6mm以上の厚さのFRP単板のみでも可能であるが、防音壁として自立しながら、単位面積当たり300kg/m2 〜400kg/m2 の風圧に耐えるには、単位巾当たりの曲げ剛性が、0.1×107kg・mm以上必要であり、FRPの厚みを厚くする必要があるが、単純に厚みを厚くする手法は、コストおよび軽量化を考えた場合好ましい設計構造とは言えず、サンドイッチ構造体または背面にスチフナーがある構造体に形成するのが通常である。そうすることによって、必要な剛性を確保しつつ軽量なパネルを得ることができる。 軽量で必要な機械特性を選るには、スキン材の厚みが1〜10mmで芯材をも含めた厚みが15〜200mmの範囲にあることが好ましい。本発明の一実施例によれば、スキン層の厚みが3mmで芯材の厚みが50mmであるFRP製遮音パネルのホワイトノイズにおける透過損失は13dBであった。
【0024】
なお、FRP製有孔パネルは、下述する多孔質材料からなる吸音部の飛散を防止する役割を担うものであって、1〜3mmの厚みであればよく、開口部があることによって、材料表面での音を反射することなく、吸音部で効率良く、音の入射エネルギーを減衰させるための一種のカバーであるので、ある程度の強度が必要であるため、開口率が50〜90%の範囲にあればよい。ここで、FRP製有孔パネルにおける開口率とは、穿孔または矩形状に切り取った部分の面積を、穿孔、切り取りが無い面積で除した割合を表す。
【0025】
また、吸音部に用いられる吸音材の吸音特性は、一般に音の入射角度によって変化し、吸音材の吸音率(α)は、材料の表面に入射した音のエネルギー(Ii)に対する透過エネルギー(It)と材料内部で吸収されるエネルギー(Ia)の和の比(α=(It+Ia)/Ii)で定義される。吸音材は、その構造(厚み・空隙量等)外観によって分類され、多孔質材料(綿状形態の鉱物繊維からなるロックウールや石綿、ガラス繊維からなるグラスウール、またそれらをパンチングしたフェルト状のものや、軟質ウレタンフォームであるスポンジ等)、板状材料(合板、石綿セメント、石膏ボードなど)、またそれらの穴あき板材料からなるもので、多孔質材料は、広い周波数帯域にわたって大きな吸音率を持つ材料であることから、吸音材の主力になっている。ちなみにグラスウールを例にとって吸音率の変化を見ると、125Hz〜4KHzの可聴帯域において13mmのもので5〜70%、75mmのもので30〜90%の吸音率を持っており、板状材料は厚さに関係なく約50%である。
【0026】
前述したように吸音材は、音圧を減衰させる役目をするもので、単独では音を遮音する性能が低く、遮音部材と併用するすることにより、遮音性能を良くするものであって、通常は、無機ボードの背面やコンクリート壁に貼り付けて使用される。従って、FRP製遮音パネルとしては、騒音発生源側から観ると、有孔パネル、吸音体、遮音体の順番が好ましい。両側に騒音発生源がある場合は有孔パネル、吸音体、遮音体、吸音体、有孔パネルの順になることは言うまでもない。ただし、有孔パネルは、吸音体が高密度に成形されたフェルト状、板状のものは、その自信形状保持およびある程度の強度を有するため必ずしも必要ではない。本発明の一実施例によれば、上記スキン層の厚みが3mmで芯材の厚みが50mmであるFRP製遮音パネルに13mmのグラスウールを貼付た状態で、ホワイトノイズにおける透過損失を測定したところ18dBであった。
【0027】
次に、上記本発明のFRP製複合パネルの望ましい実施の形態を図面を参照して、さらに詳しく説明する。
【0028】
図1および2は、いずれも本発明の一実施態様に係るFRP製複合パネルを例示している。すなわち、図1は、本発明のFRP製複合パネルの一実施態様を示す斜視図であり、図2は、本発明の別の実施態様を示す斜視図である。
【0029】
図1および図2において、FRP製複合パネル1は、FRP製遮音パネル部2と、吸音部3と、FRP製有孔パネル部4の三層構造で基本的に構成されている。このようなFRP製複合パネルにおいて、基本的に遮音性能の指標である音響透過損失は、質量則に従い、質量が大きいものほど大きくなる。しかしながら、FRP製複合パネル設置に際し、遮音壁としての構造体の重量に制限があることが多く、遮音パネルをFRP製とすると、軽量で取扱性が良いという長所を有するが、質量則に基づく透過損失効果が小さいという短所を持っている。
【0030】
本発明で三層構造としたのは、FRP製有孔パネル部方向から入射した音を、吸音部の多孔質材料内の空気層のバネによる振動系によりエネルギーを吸収させて、音圧レベルが小さくし、さらに外層の遮音パネル部の質量則に基づく振動系によりさらに、音のエネルギーを小さくして、防音効果を高めるためである。
【0031】
ここで、FRP製遮音パネル部2は、例えば、図1に示すような、相対するFRP製スキン部材5間に芯材6を内包するサンドイッチ構造のもの、または図2のような、FRP製単板7の片側に、FRP製補強部材8を縦横両方向またはいずれか一方向に実質的に一体化したスチフナ構造のものであっても良く、この形態に限定するものではないが、単位巾当たりの曲げ剛性が、(0.1〜10)×107kg・mmの範囲にあることが好ましい。その理由は、例えば、所定の間隔の支柱に、遮音パネルを設置する場合、風圧などの負荷に対する強度、剛性を確保するため必要であり、つまり曲げ剛性がこの範囲より小さいと、バタツキ現象により振動が大きくなり、かえって騒音発生源となるばかりか、共振を起こしやすく、必要な強度も確保することが難しくなる。一方、曲げ剛性がこの範囲より大きくなると、単位重量も増大し、施工時重機が必要となり取扱性が損なわれることがある。また、単位面積当たりの重量は、10〜60kg/m2の範囲にあることが好ましい。単位面積当たりの重量がこれより小さいと、上述した質量則による遮音性能が著しく損なわれ、これより大きいと、遮音効果は良くなるが、前述同様重くて取扱性が悪くなる傾向を示す。
【0032】
このようなFRP製遮音パネル部2のFRP製スキン部材5を形成するFRP層の厚みの少なくとも5〜20%が炭素繊維を含むFRP層であることを必須とし、さらに、FRP製単板7およびFRP製補強部材8を形成するFRPは、FRP層の厚みの少なくとも5〜20%が、炭素繊維を含むFRP層であることが好ましい。厚みがこの範囲にあると、所定の重量を保持しつつ、パネルとしての強度、面内剛性をより高めることができるとともに、パネルの固有振周波数を高くすることができる利点がある。なお、前述の芯材6としては、フォーム材や木材、無機質をバインダーで固めたものなど、パネルとしての機械特性、価格、軽量化など要求される特性に応じて適宜選択できる。また、FRP製補強部材8を、中空のスチフナ構造としたが、ソリッド形態であっても良く、特に限定するものではない。
【0033】
次に、吸音部3は、材料からの反射音を減少させることを目的としており、例えば、ロックウール、グラスウール、軟質ウレタンフォーム、フェルト、不織布等の多孔質材料が良く、広い周波数帯域において大きな吸音効果を呈する。その他、孔あき石膏ボード等でも良く、またそれらを組み合わせたものでも良く、吸音する周波数によって適宜選定することが好ましい。好ましい厚みは、10〜80mmの範囲である。
【0034】
また、FRP製有孔パネル部4は、開口部9を有し、開口率が50〜90%である構造体であることが好ましい。FRP製有孔パネル部4は、例えば、格子状、孔あき板などの形態のものである。これらのものは、前記多孔質材料からなる吸音部の飛散を防止する役割を担いつつ、開口部9があることによって、音を反射することなく、吸音部3で効率良く、音の入射エネルギーを減衰させることができる。開口率が小さいと音の反射が大きくなり、開口率が大きすぎると必要な強度が確保できないことになる。
【0035】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のFRP製複合パネルによれば、FRP製であるため、錆の発生もなく耐久性に優れ、本発明のような少なくとも三層構造とすることにより、軽量で取扱性が良くかつ、より防音性能の優れたものが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明の一実施態様に係るFRP製複合パネルの斜視図。
【図2】 図2は、本発明の別の実施態様を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 FRP製複合パネル
2 FRP製遮音パネル部
3 吸音部
4 FRP製有孔パネル部
5 FRP製スキン部材
6 芯材
7 FRP製単板
8 FRP製補強部材
9 開口部

Claims (6)

  1. 繊維強化プラスチック製遮音パネル部と、吸音部と、繊維強化プラスチック製有孔パネル部の少なくとも三層構造からなり、繊維強化プラスチックの補強繊維として、ガラス繊維および炭素繊維が用いられる繊維強化プラスチックであって、該繊維強化プラスチック製遮音パネル部を形成する繊維強化プラスチック層の厚みの少なくとも5〜20%が、炭素繊維を含む繊維強化プラスチック層である、繊維強化プラスチック。
  2. 繊維強化プラスチック製遮音パネル部が、相対する繊維強化プラスチック製スキン部材間に芯材を内包するサンドイッチ構造体、または、繊維強化プラスチック製単板の片側または両面に、縦横両方向またはいずれか一方向に実質的に一体化された繊維強化プラスチック製補強部材を有するスチフナ構造体であって、単位巾当たりの曲げ剛性が、(0.1〜10)×10kg・mmであり、かつ単位面積当たりの重量が、10〜60kg/mである、請求項1記載の繊維強化プラスチック製複合パネル。
  3. 繊維強化プラスチック製スキン部材または繊維強化プラスチック製単板を形成する繊維強化プラスチック層の厚みの少なくとも5〜20%が、炭素繊維を含む繊維強化プラスチック層である、請求項2記載の繊維強化プラスチック製複合パネル。
  4. 繊維強化プラスチック製スキン部材を形成するマトリックス樹脂が、難燃剤および制振剤の両方またはいずれか一方を含む熱硬化性樹脂からなる、請求項2または3に記載の繊維強化プラスチック製複合パネル。
  5. 繊維強化プラスチック製有孔パネルが、50〜90%の開口率を有する、請求項1〜4のいずれかに記載の繊維強化プラスチック製複合パネル。
  6. 吸音部が、多孔質材料からなる、請求項1〜5のいずれかに記載の繊維強化プラスチック製複合パネル。
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