JP4012406B2 - 架橋シリコーン粒子、その水系分散液、および架橋シリコーン粒子の製造方法 - Google Patents
架橋シリコーン粒子、その水系分散液、および架橋シリコーン粒子の製造方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、架橋シリコーン粒子、その水系分散液、および架橋シリコーン粒子の製造方法に関し、詳しくは、ヒドロシリル化反応および縮合反応により形成された、特異な粘弾性等の物性あるいは構造を有する架橋シリコーン粒子、このような架橋シリコーン粒子を水中に分散してなる、取扱作業性が良好な水系分散液、およびこのような架橋シリコーン粒子を効率良く製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
架橋シリコーン粒子は、化粧品、塗料、樹脂等の改質用添加剤として有用であり、その製造方法としては、架橋性シリコーン組成物を水中に分散した状態でヒドロシリル化反応により架橋する方法(特開昭62−257939号公報および特開昭62−243621号公報参照)、あるいは架橋性シリコーン組成物を水中に分散した状態で縮合反応により架橋する方法(特開昭63−202658号公報、特開昭64−70558号公報、および特開平10−36674号公報参照)が知られている。
【0003】
架橋シリコーン粒子を製造する際、ヒドロシリル化反応によれば、架橋反応が速やかに完結するものの、得られる架橋シリコーン粒子の架橋密度を高めることが困難であるという問題があり、また縮合反応によれば、得られる架橋シリコーン粒子の架橋密度を高めることができるものの、架橋反応が遅いという問題があった。このため、架橋密度の低い架橋シリコーン粒子は、化粧品、塗料、樹脂等に配合されるオイル成分を吸油して特性が変化したりするという問題があった。
【0004】
また、これらの架橋シリコーン粒子は、単一の反応により形成された均質な架橋シリコーン粒子であるが、複数の反応により形成された架橋シリコーン粒子は知られていなかった。なお、不均質な架橋シリコーン粒子としては、コア部としてゲル状シリコーンを有し、このコア部を被覆するシェル部としてシリコーンエラストマーを有するコア−シェル型の二層構造を有する架橋シリコーン粒子(特開昭63−305135号公報参照)、コア部としてシリコーンゴムを有し、このコア部を被覆するシェル部としてポリオルガノシルセスキオキサン樹脂を有するコア−シェル型の二層構造を有する架橋シリコーン粒子(特開平7−196815号公報参照)が知られているが、それらを製造する方法が複雑であったり、特異な粘弾性等の物性あるいは構造を有する架橋シリコーン粒子を得られるものではなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、上記の課題を解決するため、鋭意検討した結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明の目的は、ヒドロシリル化反応および縮合反応により形成された、特異な粘弾性等の物性あるいは構造を有する架橋シリコーン粒子、このような架橋シリコーン粒子を水中に分散してなる、取扱作業性が良好な水系分散液、およびこのような架橋シリコーン粒子を効率良く製造する方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の架橋シリコーン粒子は、(A)( a−1 ) 一分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有し、それ以外のケイ素原子に結合する基として、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、またはハロゲン化アルキル基を有するオルガノポリシロキサン、 ( a−2 ) 一分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合水素原子を有し、それ以外のケイ素原子に結合する基として、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、またはハロゲン化アルキル基を有するオルガノポリシロキサン、および ( a−3 ) ヒドロシリル化反応用触媒からなるヒドロシリル化反応用成分と(B)( b−1 ) 一分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合加水分解性基を有し、それ以外のケイ素原子に結合する基として、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、またはハロゲン化アルキル基を有するオルガノポリシロキサン、 ( b−2 ) 一分子中に少なくとも2個のシラノール基を有し、それ以外のケイ素原子に結合する基として、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、またはハロゲン化アルキル基を有するオルガノポリシロキサンあるいは ( b−3 ) 一分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合加水分解性基を有するシランまたはその部分加水分解縮合物、および ( b−4 ) 有機錫化合物または有機チタン化合物からなる縮合反応用触媒からなる縮合反応用成分を含有する架橋性シリコーン組成物を水中に分散状態でヒドロシリル化反応および縮合反応により架橋してなる平均粒径0.1μm〜10mmの粒子であることを特徴とする。
また、本発明の架橋シリコーン粒子の水系分散液は、前記粒子を水中に分散してなることを特徴とする。
また、本発明の架橋シリコーン粒子の製造方法は、(A)( a−1 ) 一分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有し、それ以外のケイ素原子に結合する基として、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、またはハロゲン化アルキル基を有するオルガノポリシロキサン、 ( a−2 ) 一分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合水素原子を有し、それ以外のケイ素原子に結合する基として、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、またはハロゲン化アルキル基を有するオルガノポリシロキサン、および ( a−3 ) ヒドロシリル化反応用触媒からなるヒドロシリル化反応用成分と(B)( b−1 ) 一分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合加水分解性基を有し、それ以外のケイ素原子に結合する基として、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、またはハロゲン化アルキル基を有するオルガノポリシロキサン、 ( b−2 ) 一分子中に少なくとも2個のシラノール基を有し、それ以外のケイ素原子に結合する基として、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、またはハロゲン化アルキル基を有するオルガノポリシロキサンあるいは ( b−3 ) 一分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合加水分解性基を有するシランまたはその部分加水分解縮合物、および ( b−4 ) 有機錫化合物または有機チタン化合物からなる縮合反応用触媒からなる縮合反応用成分を含有する架橋性シリコーン組成物を水中に平均粒径0.1μm〜10mmとなるように分散した状態でヒドロシリル化反応および縮合反応により架橋することを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
はじめに、本発明の架橋シリコーン粒子を詳細に説明する。
本発明の架橋シリコーン粒子は、(A)ヒドロシリル化反応用成分と(B)縮合反応用成分を含有する架橋性シリコーン組成物を水中に分散状態でヒドロシリル化反応および縮合反応により架橋した粒子であり、その平均粒径は0.1μm〜10mmの範囲内であり、好ましくは0.2〜500μmの範囲内である。このような架橋シリコーン粒子の形状は限定されず、例えば、球状、紡錘形状、偏平形状が挙げられ、好ましくは球状である。
【0008】
この架橋シリコーン粒子を形成する架橋性シリコーン組成物は、(A)ヒドロシリル化反応用成分と(B)縮合反応用成分からなる。この(A)成分は、(a−1)一分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有し、それ以外のケイ素原子に結合する基として、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、またはハロゲン化アルキル基を有するオルガノポリシロキサン、(a−2)一分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合水素原子を有し、それ以外のケイ素原子に結合する基として、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、またはハロゲン化アルキル基を有するオルガノポリシロキサン、および(a−3)ヒドロシリル化反応用触媒から少なくともなる。
【0009】
(a−1)成分中のアルケニル基としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基が例示され、特に、ビニル基、ヘキセニル基が好ましい。また、(a−1)成分中のアルケニル基以外のケイ素原子に結合している基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基等のアラルキル基;3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン化アルキル基等の非置換もしくは置換の一価炭化水素基が例示される。(a−1)成分の分子構造としては、直鎖状、環状、網状、一部分岐を有する直鎖状が例示され、ゴム状、ゲル状等のエラストマー状の架橋シリコーン粒子を形成するためには、直鎖状、一部分岐を有する直鎖状が好ましい。また、(a−1)成分の25℃における粘度は限定されないが、20〜100000mPa・sの範囲内であることが好ましく、特に、20〜10000mPa・sの範囲内であることが好ましい。
【0010】
このような(a−1)成分としては、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルビニルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖メチルビニルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、これらのオルガノポリシロキサンのメチル基の一部または全部をメチル基以外のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、またはハロゲン化アルキル基で置換したオルガノポリシロキサン、これらのオルガノポリシロキサンのビニル基の一部または全部をビニル基以外のアルケニル基で置換したオルガノポリシロキサンが例示される。
【0011】
また、(a−2)成分中の水素原子以外のケイ素原子に結合している基としては、前記と同様の非置換もしくは置換の一価炭化水素基が例示される。(a−2)成分の分子構造としては、直鎖状、環状、網状、一部分岐を有する直鎖状が例示される。また、(a−2)成分の25℃における粘度は限定されないが、1〜10000mPa・sの範囲内であることが好ましい。このような(a−2)成分としては、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、これらのオルガノポリシロキサンのメチル基の一部または全部をメチル基以外のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、またはハロゲン化アルキル基で置換したオルガノポリシロキサンが例示される。(a−2)成分の含有量は上記組成物をヒドロシリル化反応により架橋させる量であれば特に限定されないが、(a−1)成分100重量部に対して0.3〜500重量部の範囲内であることが好ましい。
【0012】
また、(a−3)成分は上記組成物のヒドロシリル化反応を促進するための触媒であり、白金系触媒、ロジウム系触媒、パラジウム系触媒が例示され、好ましくは白金系触媒である。この白金系触媒としては、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール溶液、白金のオレフィン錯体、白金のアルケニルシロキサン錯体、白金黒、白金担持のシリカが例示される。(a−3)成分の含有量は上記組成物のヒドロシリル化反応を促進するに十分な量であれば特に限定されないが、例えば、(a−3)成分として白金系触媒を用いた場合には、(a−1)成分と(a−2)成分の合計重量に対して、触媒中の白金金属が0.1〜1000ppmの範囲内となる量であることが好ましい。
【0013】
また、上記組成物において、(B)成分は、(b−1)一分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合加水分解性基を有し、それ以外のケイ素原子に結合する基として、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、またはハロゲン化アルキル基を有するオルガノポリシロキサン、(b−2)一分子中に少なくとも2個のシラノール基を有し、それ以外のケイ素原子に結合する基として、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、またはハロゲン化アルキル基を有するオルガノポリシロキサンあるいは(b−3)一分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合加水分解性基を有するシランまたはその部分加水分解縮合物、および(b−4)有機錫化合物または有機チタン化合物からなる縮合反応用触媒から少なくともなる。
【0014】
(b−1)成分中のケイ素原子結合加水分解性基としては、メトキシ基、エトキシ基、メトキシエトキシ基等のアルコキシ基;メチルエチルケトオキシム、ジメチルケトオキシム基等のオキシム基;その他、アセトキシ基、アミノキシ基が例示され、特に、アルコキシ基が好ましい。(b−1)成分中のケイ素原子結合加水分解性基は、例えば、オルガノポリシロキサンの分子鎖末端および/または分子鎖側鎖のケイ素原子に、一般式:
−R1−SiR2 a(X)(3-a)
で表されるシリルアルキル基で結合しているか、または、一般式:
−O−SiR2 a(X)(3-a)
で表されるシロキシ基で結合していることが好ましい。上式中のR1はアルキレン基であり、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基が例示される。また、上式中のR2は脂肪族炭素−炭素不飽和結合を有しない一価炭化水素基であり、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基等のアラルキル基;3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン化アルキル基等の非置換もしくは置換の一価炭化水素基が例示される。また、上式中のXは加水分解性基であり、前記と同様の基が例示される。また、上式中のaは0または1である。また、(b−1)成分中の加水分解性基以外のケイ素原子に結合している基としては、前記と同様の非置換もしくは置換の一価炭化水素基が例示される。(b−1)成分の分子構造としては、直鎖状、環状、網状、一部分岐を有する直鎖状が例示され、ゴム状、ゲル状等のエラストマー状の架橋シリコーン粒子を形成するためには、直鎖状、一部分岐を有する直鎖状が好ましい。また、(b−1)成分の25℃における粘度は限定されないが、20〜100000mPa・sの範囲内であることが好ましく、特に、20〜10000mPa・sの範囲内であることが好ましい。
【0015】
このような(b−1)成分としては、一般式:
【化1】
{式中、R3は非置換もしくは置換の一価炭化水素基、一般式:
−R1−SiR2 a(X)(3-a)
で表されるシリルアルキル基、または一般式:
−O−SiR2 a(X)(3-a)
で表されるシロキシ基であり、分子中の少なくとも1個のR3は前記シリルアルキル基またはシロキシ基であり、R4は非置換もしくは置換の一価炭化水素基であり、mは正の整数である。}
で表されるオルガノポリシロキサンが好ましい。上式中、R3の非置換もしくは置換の一価炭化水素基としては、前記と同様の基が例示される。また、R3のシリルアルキル基において、R1、R2、X、およびaは前記と同様である。また、R3のシロキシ基において、R2、X、およびaは前記と同様である。但し、上式中、少なくとも1個のR3は前記シリルアルキル基またはシロキシ基である。また、上式中、R4は非置換もしくは置換の一価炭化水素基であり、前記と同様の基が例示される。また、上式中、mは正の整数である。このようなオルガノポリシロキサンとしては、一般式:
【化2】
(式中、mは正の整数である。)
で表されるオルガノポリシロキサン、一般式:
【化3】
(式中、mは正の整数である。)
で表されるオルガノポリシロキサン、一般式:
【化4】
(式中、mは正の整数であり、nは正の整数である。)
で表されるオルガノポリシロキサン、一般式:
【化5】
(式中、mは正の整数である。)
で表されるオルガノポリシロキサン、一般式:
【化6】
(式中、mは正の整数であり、nは正の整数である。)
で表されるオルガノポリシロキサン、一般式:
【化7】
(式中、mは正の整数である。)
で表されるオルガノポリシロキサン、およびこれらのオルガノポリシロキサン中のメチル基の一部または全部をメチル基以外のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、またはハロゲン化アルキル基で置換したオルガノポリシロキサンが例示される。
【0016】
(b−2)成分中のシラノール基以外のケイ素原子に結合している基としては、前記と同様の非置換もしくは置換の一価炭化水素基が例示される。(b−2)成分の分子構造としては、直鎖状、環状、網状、一部分岐を有する直鎖状が例示され、ゴム状、ゲル状等のエラストマー状の架橋シリコーン粒子を形成するためには、直鎖状、一部分岐を有する直鎖状が好ましい。また、(b−2)成分の25℃における粘度は限定されないが、20〜100000mPa・sの範囲内であることが好ましく、特に、20〜10000mPa・sの範囲内であることが好ましい。このような(b−2)成分としては、分子鎖両末端シラノール基封鎖ジメチルポリシロキサン、このオルガノポリシロキサンのメチル基の一部または全部をメチル基以外のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、またはハロゲン化アルキル基で置換したオルガノポリシロキサンが例示される。(b−2)成分の含有量は上記組成物を縮合反応により架橋させる量であれば特に限定されないが、(b−1)成分100重量部に対して0.01〜100重量部の範囲内であることが好ましい。
【0017】
(b−3)成分としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−メタアクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリアセトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、およびこれらの部分加水分解縮合物が例示される。(b−3)成分の含有量は上記組成物を縮合反応により架橋させる量であれば特に限定されないが、(b−1)成分100重量部に対して0.01〜100重量部の範囲内であることが好ましい。
【0018】
(b−4)成分は上記組成物の縮合反応を促進するための触媒であり、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、オクテン酸錫、ジブチル錫ジオクテート、ラウリン酸錫等の有機錫化合物;テトラブチルチタネート、テトラプロピルチタネート、ジブトキシビス(エチルアセトアセテート)等の有機チタン化合物が例示される。(b−4)成分の含有量は上記組成物の縮合反応を促進するに十分な量であれば特に限定されないが、例えば、(b−1)成分、(b−2)成分、および(b−3)成分の合計100重量部に対して0.01〜5重量部の範囲内であることが好ましく、特に、0.05〜2重量部の範囲内であることが好ましい。
【0019】
上記組成物において、(A)成分と(B)成分の含有量の比率は限定されないが、その比率が重量単位で1:9〜9:1の範囲内であることが好ましく、さらには、2:8〜8:2の範囲内であることが好ましく、特に、3:7〜7:3の範囲内であることが好ましい。これは、上記組成物において、(A)成分と(B)成分の含有量の比率が上記の範囲外であると、特異な粘弾性等の物性を有する架橋シリコーン粒子、あるいはコア−シェル型の二層構造を有する架橋シリコーン粒子や架橋シリコーン粒子中に微小な架橋シリコーン粒子を有するような特殊な構造を有する架橋シリコーン粒子を形成することが困難となるからである。
【0020】
また、上記組成物には、その流動性を調節したり、得られる架橋シリコーン粒子の機械的強度を向上させるために無機質充填剤を含有してもよい。この無機質充填剤としては、沈降性シリカ、フュームドシリカ、焼成シリカ、フュームド酸化チタン等の補強充填剤;粉砕石英、ケイ藻土、アルミノケイ酸、酸化鉄、酸化亜鉛、炭酸カルシウム等の非補強充填剤;これらの充填剤の表面をヘキサメチルシラザン、トリメチルクロルシラン、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルハイドロジェンシロキサン等の有機ケイ素化合物により処理してなる充填剤が例示される。
【0021】
さらに、本発明の架橋シリコーン粒子は(C)非架橋性のオイルを含有してもよい。この(C)成分は、架橋シリコーン粒子の形成反応、すなわち、ヒドロシリル化反応や縮合反応に関与しないものである。この(C)成分の25℃における粘度は限定されないが、1〜100000000mPa・sの範囲内であることが好ましく、特に、2〜10000000mPa・sの範囲内であることが好ましい。このような(C)成分としては、非架橋性シリコーンオイル、非架橋性有機オイルが例示される。
【0022】
この非架橋性シリコーンオイルとしては、直鎖状、一部分岐を有する直鎖状、環状、分岐鎖状等の分子構造を有するシリコーンオイルが例示され、特に、直鎖状、あるいは環状の分子構造を有するシリコーンオイルが好ましい。この非架橋性シリコーンオイルとしては、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、環状ジメチルシロキサン、これらのシリコーンオイルのメチル基の一部または全部をメチル基以外のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、またはハロゲン化アルキル基で置換したシリコーンオイルが例示される。
【0023】
また、非架橋性有機オイルとしては、イソパラフィン、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸セチル、ミリスチン酸2−オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、ステアリン酸ブチル、オレイン酸デシル、オレイン酸2−オクチルドデシル、乳酸ミリスチル、乳酸セチル、酢酸ラノリン、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、オレイルアルコール、アボガド油、アルモンド油、オリブ油、カカオ油、ホホバ油、ゴマ油、サフラワー油、大豆油、ツバキ油、スクワラン、パーシック油、ヒマシ油、ミンク油、綿実油、ヤシ油、卵黄油、牛脂、豚脂;その他、ポリプロピレングリコールモノオレート、ネオペンチルグリコール−2−エチルヘキサノエート等のグリコールエステル油;イソステアリン酸トリグリセライド、椰子油脂肪酸トリグリセライド等の多価アルコールエステル油;ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシプロピレンセチルエーテル等のポリオキシアルキレンエーテル油が例示される。
【0024】
(C)成分の含有量は限定されず、(C)成分を保持する架橋シリコーン粒子を形成するためには、(C)成分を除く架橋シリコーン粒子100重量部に対して200重量部未満であることが好ましく、一方、(C)成分中に架橋シリコーン粒子を有するペースト状物を形成するためには、架橋シリコーン粒子が(C)成分を保持することができる量{すなわち、架橋シリコーン粒子が含有できる(C)成分の量}をこえる量であることが必要であり、この保持し得る量は、架橋シリコーン粒子と(C)成分の組み合わせにより異なるが、一般には、(C)成分を除く架橋シリコーン粒子100重量部に対して200〜5000重量部の範囲内であることが好ましく、特には、250〜2000重量部の範囲内であることが好ましい。
【0025】
次に、本発明の架橋シリコーン粒子の水系分散液を詳細に説明する。
本発明の水系分散液は、上記のような架橋シリコーン粒子を水中に分散していることを特徴とする。この水系分散液において、架橋シリコーン粒子の含有量は限定されないが、好ましくは1〜95重量%の範囲内であり、特に好ましくは20〜90重量%の範囲内である。
【0026】
また、この水系分散液では、架橋シリコーン粒子を水中に安定性よく分散させるために、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、両性界面活性剤等の界面活性剤を1種もしくは2種以上含有することが好ましい。この界面活性剤の含有量は、架橋シリコーン粒子100重量部に対して0.1〜20重量部の範囲内であることが好ましく、特に、0.5〜10重量部の範囲内であることが好ましい。
【0027】
最後に、本発明の架橋シリコーン粒子の製造方法を詳細に説明する。
本発明の製造方法では、はじめに架橋性シリコーン組成物を水中にその平均粒径が0.1μm〜10mmの範囲内となるように分散させ、好ましくは平均粒径が0.2〜500μmの範囲内となるように分散させる。この架橋性シリコーン組成物は(A)ヒドロシリル化反応用成分と(B)縮合反応用成分からなるものである。この(A)成分は、(a−1)一分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有し、それ以外のケイ素原子に結合する基として、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、またはハロゲン化アルキル基を有するオルガノポリシロキサン、(a−2)一分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合水素原子を有し、それ以外のケイ素原子に結合する基として、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、またはハロゲン化アルキル基を有するオルガノポリシロキサン、および(a−3)ヒドロシリル化反応用触媒から少なくともなる。
【0028】
(a−1)成分中のアルケニル基は前記と同様であり、また、アルケニル基以外のケイ素原子に結合している基も前記と同様である。(a−1)成分の分子構造も前記と同様である。(a−1)成分の25℃における粘度は、得られる架橋性シリコーン組成物を水中に分散できるのであれば特に限定されないが、20〜100000mPa・sの範囲内であることが好ましく、特に、20〜10000mPa・sの範囲内であることが好ましい。このような(a−1)成分としては、前記と同様のオルガノポリシロキサンが例示される。
【0029】
(a−2)成分中の水素原子以外のケイ素原子に結合している基は前記と同様である。(a−2)成分の分子構造も前記と同様である。(a−2)成分の25℃における粘度は、得られる架橋性シリコーン組成物を水中に分散できるのであれば特に限定されないが、1〜10000mPa・sの範囲内であることが好ましい。このような(a−2)成分としては、前記と同様のオルガノポリシロキサンが例示される。(a−2)成分の含有量は上記組成物をヒドロシリル化反応により架橋させる量であれば特に限定されないが、(a−1)成分100重量部に対して0.3〜500重量部の範囲内であることが好ましい。
【0030】
(a−3)成分は上記組成物のヒドロシリル化反応を促進するための触媒であり、白金系触媒、ロジウム系触媒、パラジウム系触媒が例示され、好ましくは白金系触媒である。この白金系触媒としては、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール溶液、白金のオレフィン錯体、白金のアルケニルシロキサン錯体、白金黒、白金担持のシリカが例示される。(a−3)成分の含有量は上記組成物のヒドロシリル化反応を促進するに十分な量であれば特に限定されないが、例えば、(a−3)成分として白金系触媒を用いた場合には、(a−1)成分と(a−2)成分の合計重量に対して、触媒中の白金金属が0.1〜1000ppmの範囲内となる量であることが好ましい。
【0031】
本発明の製造方法では、(a−3)成分を有する架橋性シリコーン組成物を水中に分散させてもよく、また、この(a−3)成分を除く架橋性シリコーン組成物を水中に分散させた後、この(a−3)成分を添加してもよい。後者の場合、(a−3)成分を水中に平均粒径1μm以下に分散させた水系分散液として添加することが好ましい。
【0032】
また、上記組成物において、(B)成分は、(b−1)一分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合加水分解性基を有し、それ以外のケイ素原子に結合する基として、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、またはハロゲン化アルキル基を有するオルガノポリシロキサン、(b−2)一分子中に少なくとも2個のシラノール基を有し、それ以外のケイ素原子に結合する基として、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、またはハロゲン化アルキル基を有するオルガノポリシロキサンまたは(b−3)一分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合加水分解性基を有するシランまたはその部分加水分解縮合物、および(b−4)有機錫化合物または有機チタン化合物からなる縮合反応用触媒から少なくともなる。
【0033】
(b−1)成分中のケイ素原子結合加水分解性基は前記と同様であり、また、加水分解性基以外のケイ素原子に結合している基も前記と同様である。(b−1)成分の分子構造も前記と同様である。(b−1)成分の25℃における粘度は、得られる架橋性シリコーン組成物を水中に分散できるのであれば特に限定されないが、20〜100000mPa・sの範囲内であることが好ましく、特に、20〜10000mPa・sの範囲内であることが好ましい。このような(b−1)成分としては、前記と同様のオルガノポリシロキサンが例示される。
【0034】
(b−2)成分中のシラノール基以外のケイ素原子に結合している基は前記と同様である。(b−2)成分の分子構造も前記と同様である。(b−2)成分の25℃における粘度は、得られる架橋性シリコーン組成物を水中に分散できるのであれば特に限定されないが、20〜100000mPa・sの範囲内であることが好ましく、特に、20〜10000mPa・sの範囲内であることが好ましい。このような(b−2)成分としては、前記と同様のオルガノポリシロキサンが例示される。(b−2)成分の含有量は上記組成物を縮合反応により架橋させる量であれば限定されないが、(b−1)成分100重量部に対して0.01〜100重量部の範囲内であることが好ましい。
【0035】
(b−3)成分としては、前記と同様のシランまたはその部分加水分解縮合物が例示される。(b−3)成分の含有量は上記組成物を縮合反応により架橋させる量であれば特に限定されないが、(b−1)成分100重量部に対して0.01〜100重量部の範囲内であることが好ましい。
【0036】
(b−4)成分は上記組成物の縮合反応を促進するための触媒であり、前記と同様の触媒が例示される。(b−4)成分の含有量は上記組成物の縮合反応を促進するに十分な量であれば特に限定されないが、例えば、(b−1)成分、(b−2)成分、および(b−3)成分の合計100重量部に対して0.01〜5重量部の範囲内であることが好ましく、特に、0.05〜2重量部の範囲内であることが好ましい。
【0037】
本方法では、(b−4)成分を有する架橋性シリコーン組成物を水中に分散させてもよく、また、(b−4)成分を除く架橋性シリコーン組成物を水中に分散させた後、(b−4)成分を添加してもよい。後者の場合、(b−4)成分を水中に平均粒径10μm以下に分散させた水系分散液として添加することが好ましい。
【0038】
上記組成物において、(A)成分と(B)成分の含有量の比率は限定されないが、その比率が重量単位で1:9〜9:1の範囲内であることが好ましく、さらには、2:8〜8:2の範囲内であることが好ましく、特に、3:7〜7:3の範囲内であることが好ましい。これは、上記組成物において、(A)成分と(B)成分の含有量の比率が上記の範囲外であると、特異な粘弾性等の物性を有する架橋シリコーン粒子、あるいはコア−シェル型の二層構造を有する架橋シリコーン粒子や架橋シリコーン粒子中に微小な架橋シリコーン粒子を有するような特殊な構造を有する架橋シリコーン粒子を形成することが困難となるからである。
【0039】
また、上記組成物には、その流動性を調節したり、得られる架橋シリコーン粒子の機械的強度を向上させるため、前記と同様の無機質充填剤を含有してもよい。また、上記組成物には、ヒドロシリル化反応および縮合反応に関与しない(C)非架橋性のオイルを含有してもよい。この(C)成分の25℃における粘度は限定されないが、1〜100000000mPa・sの範囲内であることが好ましく、特に、2〜10000000mPa・sの範囲内であることが好ましい。このような(C)成分としては、前記のような非架橋性シリコーンオイル、および前記のような非架橋性有機オイルが例示される。(C)成分の含有量は限定されず、(C)成分を保持する架橋シリコーン粒子を形成するためには、架橋性シリコーン組成物100重量部に対して200重量部未満であることが好ましく、一方、(C)成分中に架橋シリコーン粒子を有するペースト状物を形成するためには、架橋シリコーン粒子が(C)成分を保持することができる量{すなわち、架橋シリコーン粒子が含有できる(C)成分の量}をこえる量であることが必要であり、この保持し得る量は、架橋性シリコーン組成物と(C)成分の組み合わせにより異なるが、一般には、架橋性シリコーン組成物100重量部に対して200〜5000重量部の範囲内であることが好ましく、特には、250〜2000重量部の範囲内であることが好ましい。
【0040】
本発明の製造方法において、水の使用量は限定されないが、得られる架橋性シリコーン組成物の水系エマルジョンに対して5〜99重量%の範囲内であることが好ましく、特には、10〜80重量%の範囲内であることが好ましい。
【0041】
また、本発明の製造方法において、架橋性シリコーン組成物を水中に安定性よく分散させるために、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、両性界面活性剤等の界面活性剤を1種もしくは2種以上用いることが好ましい。この界面活性剤の使用量は、架橋性シリコーン組成物100重量部に対して0.1〜20重量部の範囲内であることが好ましく、特に、0.5〜10重量部の範囲内であることが好ましい。
【0042】
本発明の製造方法において、架橋性シリコーン組成物を水中に分散させる方法は限定されないが、水中に分散している架橋性シリコーン組成物の平均粒径が0.1μm〜10mmの範囲内、好ましくは0.2〜500μmの範囲内となるように効率よく分散させるためには、ホモミキサー、パドルミキサー、ヘンシェルミキサー、ホモディスパー、コロイドミキサー、プロペラ攪拌機、ホモディスパー、ホモジナイザー、インライン式連続乳化機、超音波乳化機、真空式練合機等の混合装置を用いることが好ましい。
【0043】
次に、水中に分散状態の架橋性シリコーン組成物を加熱したり、あるいは室温で静置することによって、ヒドロシリル化反応および縮合反応させる。本発明の製造方法では、例えば、水中に分散状態の架橋性シリコーン組成物をヒドロシリル化反応により架橋させた後、縮合反応させたり、縮合反応により架橋した後、ヒドロシリル化反応させたり、あるいはヒドロシリル化反応および縮合反応を同時に行うことができる。特に、ヒドロシリル化反応および縮合反応の反応速度の差を利用することにより、コア−シェル型の二層構造を有する架橋シリコーン粒子や架橋シリコーン粒子中に微小な架橋シリコーン粒子を有するような特殊な構造を有する架橋シリコーン粒子を選択的に製造することができる。本発明の製造方法では、水中に分散状態の架橋性シリコーン組成物をヒドロシリル化反応により架橋させた後、縮合反応させる方法が好ましい。
【0044】
本発明の製造方法により得られる架橋シリコーン粒子は、平均粒径が0.1μm〜10mmの範囲内であり、好ましくは0.2〜500μmの範囲内である。また、その形状としては、球状、紡錘形状、偏平形状が例示され、好ましくは、球状である。さらに、(C)成分の含有量が架橋シリコーン粒子が保持し得る量を超えた場合、架橋シリコーン粒子は水中に分散状態の(C)成分のオイル液滴中に有されており、架橋シリコーン粒子を有する水系分散液から水を除去すると、架橋シリコーン粒子を分散した(C)成分からなるペースト状物が得られる。このような架橋シリコーン粒子、その水系分散液、あるいは架橋性シリコーン粒子を含有するペースト状のオイル組成物は、化粧品原料として用いることができる。
【0045】
【実施例】
本発明の架橋シリコーン粒子、その水系分散液、および架橋シリコーン粒子の製造方法を、実施例、比較例により詳細に説明する。なお、実施例中の粘度は25℃における値である。また、架橋シリコーン粒子の平均粒径、粘弾性特性、および吸油量は次のようにして測定した。
【0046】
[架橋シリコーン粒子の平均粒径]
架橋シリコーン粒子の水系分散液をレーザー回折式粒度分布測定器(株式会社堀場製作所製のLA−500)により測定して、得られたメジアン径(累積分布の50%に相当する粒径)を架橋シリコーン粒子の平均粒径とした。なお、平均粒径が数十〜数百μmである架橋シリコーン粒子については、実体顕微鏡により観察して、10個の粒径の数平均を架橋シリコーン粒子の平均粒径とした。
【0047】
[架橋シリコーン粒子の粘弾性特性]
架橋シリコーン粒子をARES粘弾性測定装置(Reometric Scientific社製)により測定して、架橋シリコーン粒子の貯蔵弾性率G'(×1000dyne/cm2)、損失弾性率G''(×1000dyne/cm2)、複素弾性率G*(×1000dyne/cm2)、および損失正接tanδを求めた。なお、粘弾性特性の測定条件は次の通りである。
測定温度:25℃
プレート形状:直径25mmのパラレルプレート
ギャップ:0.8mm
プレート圧力:400〜700g
歪み:10%
振動数:0.1〜50rad/s
【0048】
[架橋シリコーン粒子の吸油量]
50mlのガラスビーカーに架橋シリコーン粒子2.0gを入れ、ガラス棒で攪拌しながら、スクワラン(岸本特殊肝油工業所製)をスポイトで滴下した。架橋シリコーン粒子とスクワランの混合物が約2mm以上のダンゴ状となるまでに滴下したときのスクワランの総量(g)を架橋シリコーン粒子の吸油量とした。
【0049】
[参考例1]
○白金系触媒の水系エマルジョンの調製
白金の1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体の1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサンとイソプロピルアルコールの溶液からなる白金系触媒をポリオキシエチレン第2級アルキルエーテル(HLB=14.5、三洋化成工業株式会社製のサンノニックSS120)の3.5重量%水溶液中に乳化して、平均粒径が0.05μmであり、白金金属濃度が0.05重量%である白金系触媒の水系エマルジョンを調製した。
【0050】
[参考例2]
○オクチル酸スズの水系エマルジョンの調製
オクチル酸スズ、ポリオキシエチレン第2級アルキルエーテル(HLB=14.5、三洋化成工業株式会社製のサンノニックSS120)、および水が重量比で1:1:10となるように乳化して、平均粒径が1.3μmであるオクチル酸スズの水系エマルジョンを調製した。
【0051】
[比較例1]
粘度400mPa・sの分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン94.8重量部、および粘度45mPa・sの分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(ケイ素原子結合水素原子の含有量=0.3重量%)5.2重量部を混合して架橋性シリコーン組成物を調製した後、2.3重量%−ポリオキシエチレン第2級アルキルエーテル(HLB=14.5、三洋化成工業株式会社製のサンノニックSS120)の水溶液87重量部を加え、次いで、ホモディスパー(回転数=500rpm)により乳化して架橋性シリコーン組成物の水系エマルジョンを調製した。
【0052】
次に、この水系エマルジョンに参考例1で調製した白金系触媒の水系エマルジョンを、架橋性シリコーン組成物に対して、白金金属が重量単位で7ppmとなる量を混合した後、室温で1日間静置することにより架橋性シリコーン組成物をヒドロシリル化反応させて架橋シリコーン粒子の水系分散液を調製した。
【0053】
この水系分散液の一部を採取して、水を除去することにより架橋シリコーン粒子を得た。この架橋シリコーン粒子は、平均粒径が約50μmであり、均一な構造を有し、べたつきがなかった。なお、この水系分散液を室温で1週間静置したが、得られる架橋シリコーン粒子の特性に変化はなかった。
【0054】
[比較例2]
式:
【化8】
で表されるトリエトキシシリルエチル基含有オルガノポリシロキサン27.3重量部、粘度40mPa・sの分子鎖両末端シラノール基封鎖ジメチルポリシロキサン63.6重量部、およびジイソプロポキシチタンビス(エチルアセトアセテート)9.1重量部を混合して架橋性シリコーン組成物を調製した後、2.3重量%−ポリオキシエチレン第2級アルキルエーテル(HLB=14.5、三洋化成工業株式会社製のサンノニックSS120)の水溶液87重量部を加え、次いで、ホモディスパー(回転数=500rpm)により乳化して架橋性シリコーン組成物の水系エマルジョンを調製した。
【0055】
この水系エマルジョンを室温で1日間静置したが、架橋シリコーン粒子は形成されていなかった。この水系エマルジョンを室温で1週間静置することにより、架橋性シリコーン組成物を脱アルコール縮合反応させて架橋シリコーン粒子の水系分散液を調製した。
【0056】
この水系分散液の一部を採取して、水を除去することにより球状でゴム状の架橋シリコーン粒子を得た。この架橋シリコーン粒子は、平均粒径が約50μmであり、均一な構造を有し、べたつきがなかった。
【0057】
[実施例1]
粘度400mPa・sの分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン47.4重量部、粘度45mPa・sの分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(ケイ素原子結合水素原子の含有量=0.3重量%)2.6重量部、式:
【化9】
で表されるトリエトキシシリルエチル基含有オルガノポリシロキサン15重量部、粘度40mPa・sの分子鎖両末端シラノール基封鎖ジメチルポリシロキサン35重量部、およびジイソプロポキシチタンビス(エチルアセトアセテート)5重量部を混合して架橋性シリコーン組成物を調製した後、2.3重量%−ポリオキシエチレン第2級アルキルエーテル(HLB=14.5、三洋化成工業株式会社製のサンノニックSS120)の水溶液87重量部を加え、次いで、ホモディスパー(回転数=500rpm)により乳化して架橋性シリコーン組成物の水系エマルジョンを調製した。
【0058】
次に、この水系エマルジョンに参考例1で調製した白金系触媒の水系エマルジョンを、架橋性シリコーン組成物に対して、白金金属が重量単位で7ppmとなる量を混合して、室温で1日間静置することにより架橋性シリコーン組成物をヒドロシリル化反応させて架橋シリコーン粒子の水系分散液を調製した。さらに、この水系分散液を室温で一週間静置することにより脱アルコール縮合反応させた。
【0059】
この水系分散液の一部を採取して、水を除去することにより球状でゴム状の架橋シリコーン粒子を得た。この架橋シリコーン粒子は、平均粒径が約50μm〜100μmであり、その構造はコア−シェル型であった。この架橋シリコーン粒子の顕微鏡写真を図1に示した。また、顕微鏡下で架橋シリコーン粒子のシェル部分をスパチュラにより裂いて分離した状態の架橋シリコーン粒子の顕微鏡写真を図2に示した。この架橋シリコーン粒子は、シェル部分がコア部分より高硬度であることから、シェル部分は脱アルコール縮合反応により形成され、コア部分はヒドロシリル化反応により形成されたものと推測される。
【0060】
[実施例2]
粘度400mPa・sの分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン66.4重量部、粘度45mPa・sの分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(ケイ素原子結合水素原子の含有量=0.3重量%)3.6重量部、式:
【化10】
で表されるトリエトキシシリルエチル基含有オルガノポリシロキサン9重量部、粘度40mPa・sの分子鎖両末端シラノール基封鎖ジメチルポリシロキサン21重量部、およびジイソプロポキシチタンビス(エチルアセトアセテート)5重量部を混合して架橋性シリコーン組成物を調製した後、2.3重量%−ポリオキシエチレン第2級アルキルエーテル(HLB=14.5、三洋化成工業株式会社製のサンノニックSS120)の水溶液87重量部を加え、次いで、ホモディスパー(回転数=500rpm)により乳化して架橋性シリコーン組成物の水系エマルジョンを調製した。
【0061】
次に、この水系エマルジョンに参考例1で調製した白金系触媒の水系エマルジョンを、架橋性シリコーン組成物中に対して、白金金属が重量単位で7ppmとなる量を混合した後、室温で1日間静置することにより架橋性シリコーン組成物をヒドロシリル化反応させて架橋シリコーン粒子の水系分散液を調製した。さらに、この水系分散液を室温で一週間静置することにより脱アルコール縮合反応させた。
【0062】
この水系分散液の一部を採取して、水を除去することにより球状でゴム状の架橋シリコーン粒子を得た。この架橋シリコーン粒子は、平均粒径が約50μm〜100μmであり、その構造は、架橋シリコーン微粒子がシェル内部に複数個含有されているコア−シェル型であることが確認された。この架橋シリコーン粒子の顕微鏡写真を図3に示した。また、この架橋シリコーン粒子を半分に切断した断面の顕微鏡写真を図4に示した。
【0063】
[実施例3]
粘度400mPa・sの分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン47.4重量部、粘度45mPa・sの分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(ケイ素原子結合水素原子の含有量=0.3重量%)2.6重量部、式:
【化11】
で表されるトリエトキシシリルエチル基含有オルガノポリシロキサン15重量部、および粘度40mPa・sの分子鎖両末端シラノール基封鎖ジメチルポリシロキサン35重量部を混合して架橋性シリコーン組成物を調製した後、2.3重量%−ポリオキシエチレン第2級アルキルエーテル(HLB=14.5、三洋化成工業株式会社製のサンノニックSS120)の水溶液58重量部を加え、次いで、コロイドミルにより乳化して架橋性シリコーン組成物の水系エマルジョンを調製した。
【0064】
次に、この水系エマルジョンに参考例1で調製した白金系触媒の水系エマルジョンを、架橋性シリコーン組成物に対して、白金金属が重量単位で7ppmとなる量を混合した後、室温で1日間静置することにより架橋性シリコーン組成物をヒドロシリル化反応させて架橋シリコーン粒子の水系分散液を調製した。この水系分散液の一部を採取し、水を除去したところ、粘着性の無い、乳白色のペースト状物が得られた。
【0065】
次に、この水系分散液全量に参考例2で調製したオクチル酸スズの水系エマルジョン11重量部を混合した後、50℃で4時間加熱することにより脱アルコール縮合反応させた。得られた架橋シリコーン粒子の水系分散液から水を除去して、平均粒径が3.5μmである球状でゴム状の架橋シリコーン粒子を得た。この架橋シリコーン粒子はべとつきやオイルの滲み出しのないものであった。この架橋シリコーン粒子の粘弾性特性および吸油量を測定し、それらの結果を表1に示した。
【0066】
[実施例4]
粘度400mPa・sの分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン28.4重量部、粘度45mPa・sの分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(ケイ素原子結合水素原子の含有量=0.3重量%)1.6重量部、式:
【化12】
で表されるトリエトキシシリルエチル基含有オルガノポリシロキサン21重量部、および粘度40mPa・sの分子鎖両末端シラノール基封鎖ジメチルポリシロキサン49重量部を混合して架橋性シリコーン組成物を調製した後、2.3重量%−ポリオキシエチレン第2級アルキルエーテル(HLB=14.5、三洋化成工業株式会社製のサンノニックSS120)の水溶液58重量部を加え、次いで、コロイドミルにより乳化することにより架橋性シリコーン組成物の水系エマルジョンを調製した。
【0067】
次に、この水系エマルジョンに参考例1で調製した白金系触媒の水系エマルジョンを、架橋性シリコーン組成物に対して、白金金属が重量単位で7ppmとなる量を混合した後、室温で1日間静置することにより架橋性シリコーン組成物をヒドロシリル化反応させて架橋シリコーン粒子の水系分散液を調製した。この水系分散液の一部を採取して水を除去したところ、粘着性の無い、乳白色のペースト状物が得られた。
【0068】
次に、この水系分散液全量に参考例2で調製したオクチル酸スズの水系エマルジョン11重量部を混合した後、50℃で4時間加熱することにより脱アルコール縮合反応させた。得られた架橋シリコーン粒子の水分散液から水を除去することにより、平均粒径が3.5μmである球状でゴム状の架橋シリコーン粒子を得た。この架橋シリコーン粒子はべとつきやオイルの滲み出しのないものであった。この架橋シリコーン粒子の粘弾性特性および吸油量を測定し、それらの結果を表1に示した。
【0069】
[実施例5]
粘度400mPa・sの分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン66.4重量部、粘度45mPa・sの分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(ケイ素原子結合水素原子の含有量=0.3重量%)3.6重量部、式:
【化13】
で表されるトリエトキシシリルエチル基含有オルガノポリシロキサン9重量部、および粘度40mPa・sの分子鎖両末端シラノール基封鎖ジメチルポリシロキサン21重量部を混合して架橋性シリコーン組成物を調製した後、2.3重量%−ポリオキシエチレン第2級アルキルエーテル(HLB=14.5、三洋化成工業株式会社製のサンノニックSS120)の水溶液58重量部を加え、次いで、コロイドミルで乳化して架橋性シリコーン組成物の水系エマルジョンを調製した。
【0070】
次に、この水系エマルジョンに参考例1で調製した白金系触媒の水系エマルジョンを、架橋性シリコーン組成物に対して、白金金属が重量単位で7ppmとなる量を混合した後、室温で1日間静置することにより架橋性シリコーン組成物をヒドロシリル化反応させて架橋シリコーン粒子の水系分散液を調製した。この水系分散液の一部を採取して水を除去したところ、粘着性の無い、白色のペースト状物が得られた。
【0071】
次に、この水系分散液全量に参考例2で調製したオクチル酸スズの水系エマルジョン11重量部を混合した後、50℃で4時間加熱することにより脱アルコール縮合反応させた。得られた架橋シリコーン粒子の水系分散液から水を除去して、平均粒径が3.1μmである球状でゴム状の架橋シリコーン粒子を得た。この架橋シリコーン粒子はべとつきやオイルの滲み出しのないものであった。この架橋シリコーン粒子の粘弾性特性および吸油量を測定し、それらの結果を表1に示した。
【0072】
[比較例3]
粘度400mPa・sの分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン94.8重量部、粘度45mPa・sの分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(ケイ素原子結合水素原子の含有量=0.3重量%)5.2重量部を混合して架橋性シリコーン組成物を調製した後、2.3重量%−ポリオキシエチレン第2級アルキルエーテル(HLB=14.5、三洋化成工業株式会社製のサンノニックSS120)の水溶液58重量部を加え、次いで、コロイドミルで乳化して架橋性シリコーン組成物の水系エマルジョンを調製した。
【0073】
次に、この水系エマルジョンに参考例1で調製した白金系触媒の水系エマルジョンを、架橋性シリコーン組成物に対して、白金金属が重量単位で7ppmとなる量を混合した後、室温で1日間静置することにより架橋性シリコーン組成物をヒドロシリル化反応させて架橋シリコーン粒子の水系分散液を調製した。この水系分散液の一部を採取して水を除去したところ、粘着性の無い、白色の粉状物が得られた。
【0074】
次に、この水系分散液全量に参考例2で調製したオクチル酸スズの水系エマルジョン11重量部を混合した後、50℃で4時間加熱したが変化はなかった。この水系分散液から水を除去して、平均粒径が3.6μmである球状でゴム状の架橋シリコーン粒子を得た。この架橋シリコーン粒子はべとつきやオイルの滲み出しのないものであった。この架橋シリコーン粒子の粘弾性特性および吸油量を測定し、それらの結果を表1に示した。
【0075】
[比較例4]
式:
【化14】
で表されるトリエトキシシリルエチル基含有オルガノポリシロキサン30重量部、および粘度40mPa・sの分子鎖両末端シラノール基封鎖ジメチルポリシロキサン70重量部を混合して架橋性シリコーン組成物を調製した後、2.3重量%−ポリオキシエチレン第2級アルキルエーテル(HLB=14.5、三洋化成工業株式会社製のサンノニックSS120)の水溶液58重量部を加え、次いで、コロイドミルで乳化して架橋性シリコーン組成物の水系エマルジョンを調製した。
【0076】
次に、この水系エマルジョンに参考例1で調製した白金系触媒の水系エマルジョンを、架橋性シリコーン組成物に対して、白金金属が重量単位で7ppmとなる量を混合した後、室温で1日間静置したが変化はなく、架橋シリコーン粒子を得ることはできなかった。
【0077】
次に、この水系エマルジョン全量に参考例2で調製したオクチル酸スズの水系エマルジョン11重量部を混合した後、50℃で4時間加熱することにより脱アルコール縮合反応させて架橋シリコーン粒子の水系分散液を得た。この水系分散液から水を除去して、平均粒径が3.2μmである球状でゴム状の架橋シリコーン粒子を得た。この架橋シリコーン粒子はべとつきやオイルの滲み出しのないものであった。この架橋シリコーン粒子の粘弾性特性および吸油量を測定し、それらの結果を表1に示した。
【0078】
[実施例6]
粘度400mPa・sの分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン37.9重量部、粘度45mPa・sの分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(ケイ素原子結合水素原子の含有量=0.3重量%)2.1重量部、式:
【化15】
で表されるトリエトキシシリルエチル基含有オルガノポリシロキサン12重量部、粘度40mPa・sの分子鎖両末端シラノール基封鎖ジメチルポリシロキサン28重量部、および粘度100mPa・sの分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン20重量部を混合して架橋性シリコーン組成物を調製した後、2.3重量%−ポリオキシエチレン第2級アルキルエーテル(HLB=14.5、三洋化成工業株式会社製のサンノニックSS120)の水溶液58重量部を加え、次いで、コロイドミルにより乳化して架橋性シリコーン組成物の水系エマルジョンを調製した。
【0079】
次に、この水系エマルジョンに参考例1で調製した白金系触媒の水系エマルジョンを、架橋性シリコーン組成物に対して、白金金属が重量単位で7ppmとなる量を混合した後、室温で1日間静置することにより架橋性シリコーン組成物をヒドロシリル化反応させて架橋シリコーン粒子の水系分散液を調製した。この水系分散液の一部を採取して水を除去したところ、粘着性の無い、半透明のペースト状物が得られた。
【0080】
次に、この水系分散液全量に参考例2で調製したオクチル酸スズの水系エマルジョン11重量部を混合した後、50℃で4時間加熱することにより脱アルコール縮合反応させた。得られた架橋シリコーン粒子の水系分散液から水を除去したところ、平均粒径が3.4μmである球状でゴム状の架橋シリコーン粒子が得られた。この架橋シリコーン粒子は常態ではオイルの滲み出しがないが、押し付けるとオイルが染み出してくるものであった。この架橋シリコーン粒子の粘弾性特性および吸油量を測定し、それらの結果を表1に示した。
【0081】
[実施例7]
粘度400mPa・sの分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン28.4重量部、粘度45mPa・sの分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(ケイ素原子結合水素原子の含有量=0.3重量%)1.6重量部、式:
【化16】
で表されるトリエトキシシリルエチル基含有オルガノポリシロキサン9重量部、粘度40mPa・sの分子鎖両末端シラノール基封鎖ジメチルポリシロキサン21重量部、および粘度100mPa・sの分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン40重量部を混合して架橋性シリコーン組成物を調製した後、2.3重量%−ポリオキシエチレン第2級アルキルエーテル(HLB=14.5、三洋化成工業株式会社製のサンノニックSS120)の水溶液58重量部を加え、次いで、コロイドミルにより乳化して架橋性シリコーン組成物の水系エマルジョンを調製した。
【0082】
次に、この水系エマルジョンに参考例1で調製した白金系触媒の水系エマルジョンを、架橋性シリコーン組成物に対して、白金金属が重量単位で7ppmとなる量を混合した後、室温で1日間静置することにより架橋性シリコーン組成物をヒドロシリル化反応させて架橋シリコーン粒子の水系分散液を調製した。この水系分散液の一部を採取して水を除去したところ、粘着性の無い、半透明のペースト状物が得られた。
【0083】
次に、この水系分散液全量に参考例2で調製したオクチル酸スズの水系エマルジョン11重量部を混合した後、50℃で4時間加熱することにより脱アルコール縮合反応させた。得られた架橋シリコーン粒子の水系分散液から水を除去して、平均粒径が3.7μmである球状でゴム状の架橋シリコーン粒子を得た。この架橋シリコーン粒子は常態ではオイルの滲み出しのないものであるが、押し付けるとオイルが染み出してくるものであった。この架橋シリコーン粒子の粘弾性特性および吸油量を測定し、それらの結果を表1に示した。
【0084】
【表1】
【0085】
【発明の効果】
本発明の架橋シリコーン粒子は、ヒドロシリル化反応および縮合反応により形成されており、特異な粘弾性等の物性あるいは構造を有するという特徴がある。また、本発明の架橋シリコーン粒子の水系分散液は、このような架橋シリコーン粒子を水中に分散してなり、取扱作業性が良好であるという特徴がある。また、本発明の架橋シリコーン粒子の製造方法は、このような架橋シリコーン粒子を効率良く製造することができるという特徴がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1で調製した架橋シリコーン粒子の顕微鏡写真である。
【図2】 実施例1で調製した架橋シリコーン粒子のシェル部分を裂いて分離した状態の架橋シリコーン粒子の顕微鏡写真である。
【図3】 実施例2で調製した架橋シリコーン粒子の顕微鏡写真である。
【図4】 実施例2で調製した架橋シリコーン粒子を半分に切断した断面の顕微鏡写真である。
Claims (11)
- (A)( a−1 ) 一分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有し、それ以外のケイ素原子に結合する基として、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、またはハロゲン化アルキル基を有するオルガノポリシロキサン、 ( a−2 ) 一分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合水素原子を有し、それ以外のケイ素原子に結合する基として、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、またはハロゲン化アルキル基を有するオルガノポリシロキサン、および ( a−3 ) ヒドロシリル化反応用触媒からなるヒドロシリル化反応用成分と(B)( b−1 ) 一分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合加水分解性基を有し、それ以外のケイ素原子に結合する基として、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、またはハロゲン化アルキル基を有するオルガノポリシロキサン、 ( b−2 ) 一分子中に少なくとも2個のシラノール基を有し、それ以外のケイ素原子に結合する基として、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、またはハロゲン化アルキル基を有するオルガノポリシロキサンあるいは ( b−3 ) 一分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合加水分解性基を有するシランまたはその部分加水分解縮合物、および ( b−4 ) 有機錫化合物または有機チタン化合物からなる縮合反応用触媒からなる縮合反応用成分を含有する架橋性シリコーン組成物を水中に分散状態でヒドロシリル化反応および縮合反応により架橋してなる、平均粒径0.1μm〜10mmの架橋シリコーン粒子。
- 架橋性シリコーン組成物中、(A)ヒドロシリル化反応用成分と(B)縮合反応用成分の含有量の比率が重量単位で1:9〜9:1であることを特徴とする、請求項1記載の架橋シリコーン粒子。
- (C)非架橋性のオイルを含有することを特徴とする、請求項1記載の架橋シリコーン粒子。
- 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の架橋シリコーン粒子を水中に分散してなることを特徴とする架橋シリコーン粒子の水系分散液。
- 水中に界面活性剤を含有することを特徴とする、請求項4記載の架橋シリコーン粒子の水系分散液。
- (A)( a−1 ) 一分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有し、それ以外のケイ素原子に結合する基として、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、またはハロゲン化アルキル基を有するオルガノポリシロキサン、 ( a−2 ) 一分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合水素原子を有し、それ以外のケイ素原子に結合する基として、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、またはハロゲン化アルキル基を有するオルガノポリシロキサン、および ( a−3 ) ヒドロシリル化反応用触媒からなるヒドロシリル化反応用成分と(B)( b−1 ) 一分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合加水分解性基を有し、それ以外のケイ素原子に結合する基として、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、またはハロゲン化アルキル基を有するオルガノポリシロキサン、 ( b−2 ) 一分子中に少なくとも2個のシラノール基を有し、それ以外のケイ素原子に結合する基として、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、またはハロゲン化アルキル基を有するオルガノポリシロキサンあるいは ( b−3 ) 一分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合加水分解性基を有するシランまたはその部分加水分解縮合物、および ( b−4 ) 有機錫化合物または有機チタン化合物からなる縮合反応用触媒からなる縮合反応用成分を含有する架橋性シリコーン組成物を水中に平均粒径0.1μm〜10mmとなるように分散した状態でヒドロシリル化反応および縮合反応により架橋することを特徴とする、架橋シリコーン粒子の製造方法。
- 架橋性シリコーン組成物中、(A)ヒドロシリル化反応用成分と(B)縮合反応用成分の含有量の比率が重量単位で1:9〜9:1であることを特徴とする、請求項6記載の架橋シリコーン粒子の製造方法。
- 架橋性シリコーン組成物を界面活性剤水溶液中に分散することを特徴とする、請求項6記載の架橋シリコーン粒子の製造方法。
- (a−3)ヒドロシリル化反応用触媒を除く架橋性シリコーン組成物を水中に分散させた後、前記触媒を添加してヒドロシリル化反応させることを特徴とする、請求項6記載の架橋シリコーン粒子の製造方法。
- (b−4)縮合反応用触媒を除く架橋性シリコーン組成物を水中に分散させた後、前記触媒を添加して縮合反応させることを特徴とする、請求項6記載の架橋シリコーン粒子の製造方法。
- 架橋性シリコーン組成物が(C)非架橋性のオイルを含有することを特徴とする、請求項6記載の架橋シリコーン粒子の製造方法。
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