JP4012060B2 - 磁性トナー - Google Patents

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法、またはトナージェット方式記録法の如き画像形成方法に用いられる磁性トナーに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、画像形成装置は、単に原稿を複写するだけでなく、デジタル化により他の情報機器と結びついた情報出力機器として普及し、高精細、高品位、高画質、高速、高信頼性などトナーに要求される性能は多くなる一方である。
【0003】
例えば、複写機における画像形成の工程で、感光体上よりトナー像を転写材に転写した場合、感光体上には、転写残のトナーが存在する。連続した複写を速やかに行うために、この感光体上の残余トナーをクリーニングする必要がある。この残余トナーは、本体内に設置した容器または回収箱へ入れられた後に廃棄されるか、しかる工程を経てリサイクルされる。
【0004】
環境問題への取り組みとして、この残余トナーを減らすために、トナーの形状をより球形に近づけることにより、感光体上よりトナー像を転写材に転写する際の転写効率を向上させることが一般的である。
【0005】
しかし、単にトナー形状をより球状に近づけたり、画質向上の目的でトナーを小粒径化すると、結着樹脂と他の内添剤との分散性がトナー性能に影響を及ぼし易くなる。特に、磁性体として酸化鉄粒子を多量に含有する磁性トナーの場合には、酸化鉄粒子の分散が不均一になることにより、トナーの帯電分布の幅が拡大し、さまざまな問題の要因となる。
【0006】
例えば、トナーの帯電特性が環境の影響を受け易くなるだけでなく、非画像部にトナーが現像されるカブリを生じ易くなる。また、感光体上から転写材にトナーを転写する際、過剰帯電されたトナーが存在する場合、飛び散りと言った、文字やライン画像の周囲にトナーが飛散する現象が生じる。特に、高速機においては、転写前帯電(ポスト帯電)を実施し、余剰な電荷を緩和することにより、転写効率を向上させる方法もあるが、この場合飛び散りが悪化しやすくなる問題がある。
【0007】
さらに、補給を繰り返し長期にわたってコピーボリュームが非常に多くなる場合などには特に、酸化鉄粒子の分散が不十分であるために、トナー粒子から遊離、或いは表面に露出した酸化鉄粒子が、現像器内の磁性トナーの流動性や帯電部材との摩擦帯電性に影響を与えるだけでなく、感光体にトナーが付着して画像欠陥の原因になりやすい。
【0008】
トナー粒子中に磁性体を均一に分散させるために、磁性体粒子径を小径化すること及び粒度分布を狭くすることが、特許文献1及び2に開示されている。
【0009】
しかし、単に酸化鉄粒子を微粒子化すると、黒色度の劣化という問題が生じる。従来より、酸化鉄粒子、特に、マグネタイト粒子等FeO(或いはFe2+)を含有する酸化鉄粒子の黒色度は、FeOの含有量に左右されることが知られている。しかし、この酸化鉄粒子中のFeO含有量は製造後の酸化による経時劣化が進むにつれて低下し、その結果、黒色度が劣化するという現象を伴う。この経時劣化は酸化鉄粒子の置かれる環境により大きく左右されることは言うまでも無いが、酸化鉄粒子を微粒子化することにより促進される。
【0010】
一方で近年、フルカラーの複写機やプリンターなどに白黒機兼務としての新たな価値が要求されている。つまり、オフィス環境において、モノクロの画像形成においては、通常一般白黒機と同様のスピード及び高い画像品位を維持しつつ、必要に応じて、鮮明高画質なフルカラー画像を得ることが可能な複写機へのニーズが高まっている。このような複写機においては、黒色トナー単独での使用回数が増加し、必然的にトナー消費も多くなるため、今後のフルカラー複写機における黒色トナーにはさらなる画像再現性や耐久安定性が求められる。一般的に、電子写真においては多数の現像方法が知られているが、中でも耐久安定性やランニングコストの面で、酸化鉄粒子を含有した磁性トナーが優れている。
【0011】
しかし、前述のような黒色度の劣化した酸化鉄粒子を用いた磁性トナーによって、フルカラー画像を形成すると、黒色の部分が赤味を帯びて所望の色味を再現できず、違和感を生じるなど、画像再現性に問題が生じていた。
【0012】
黒色度が高く、且つ耐環境性に優れている酸化鉄粒子を得るために、従来から各種元素を酸化鉄粒子に添加する技術が開示されている。例えば、特許文献3や4に記載のCoを含む複合酸化鉄被覆を有する酸化鉄粒子、特許文献5に記載のZnを含む複合酸化鉄被覆を有する酸化鉄粒子、特許文献6に記載のMn、Zn、Cu、Ni、Co、Mg等を含む複合酸化鉄を含有する酸化鉄粒子等が挙げられる。
【0013】
これらの添加元素の役割は、FeOが直接外界の雰囲気に触れないように粒子を添加元素酸化物で被覆したり、FeOの代わりに黒色度が低下しないような添加元素酸化物に置き換えることにより、黒色度の劣化を抑制させている。
【0014】
しかし、この様な方法で得られた酸化鉄粒子では、トナー粒子中への均一分散を目的とした微粒子化に対しては、黒色度の低下防止や経時劣化の抑制に対して不十分であり、添加元素によっては、酸化鉄粒子自体の磁気特性に影響を与え、色味以外の現像に関わる欠陥の原因となる場合がある。
【0015】
また、酸化鉄粒子の黒色度とトナー化した際の磁性トナーのり量の相関には極大点があり、べた画像及び低濃度のハイライト画像においては黒色度が高く、中濃度のハーフトーン画像において赤味を帯びる傾向がある。そのため、高い黒色度を持つ酸化鉄粒子を使用することにより、黒色品位の高いべた画像を得ることができても、例えば高湿度環境下の長期使用や、長期にわたり放置された直後など、何らかの原因でトナーのり量が減少すると、べた画像が赤味を帯びてしまうことがある。べた画像ではあまり目立たなくても、特にべた画像よりも若干トナーのり量の少なくなる、中〜高濃度のハーフトーン領域においては、黒味の変動が大きくなるという問題もあった。この場合、忠実に色を再現することが難しくなり、特にフルカラー画像を出力した場合に、ブラック部分に違和感が生じてしまう。
【0016】
一方、近年では、荷電制御剤として摩擦帯電制御及び安全性の観点から電荷制御剤樹脂の検討が進められている。特許文献7には、スチレン系単量体と2−アクリルアミド−2−メチルスルホン酸の重合体を使用する方法が開示されている。特許文献8には、ポリエステル樹脂に対してスチレン系単量体と2−アクリルアミド−2−メチルスルホン酸の重合体を電荷制御剤として使用する方法が開示されている。特許文献9には、特定のガラス転移点を有するスルホン酸基含有(メタ)アクリルアミド共重合体を荷電制御剤として含有するトナーが開示されているが、これらの方法は共通して摩擦帯電付与性には優れるが、いずれも磁性トナーの黒味という点に関しては言及されていない。
【0017】
つまり、転写効率を向上させる目的で、より球形に近く、さらに耐久安定性、高現像性を兼ね備え、常に黒色品位の高い画像を提供することができる磁性トナーは実現していない。
【0018】
【特許文献1】
特開平3−101743号公報
【特許文献2】
特開平3−101744公報
【特許文献3】
特開平6−100317号公報
【特許文献4】
特開平8−133744号公報
【特許文献5】
特開平8−133745号公報
【特許文献6】
特開平4−162050号公報
【特許文献7】
特開昭63−184762号公報
【特許文献8】
特開平3−161761号公報
【特許文献9】
特開2000−56518号公報
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来技術における上記のような事情に鑑み、その欠点を改善することを目的としてなされたものである。
【0020】
即ち、本発明の目的は、転写効率を向上させる目的で、より形状を球形に近づけても、帯電安定性、耐久安定性及び高現像性に優れ、フルカラー画像においても違和感のない、高い黒色品位を維持することができる磁性トナーを提供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意検討の結果、少なくとも結着樹脂と磁性体を含有する磁性トナーにおいて、
該磁性体が、
▲1▼平均粒子径が0.1〜0.3μmの酸化鉄粒子であり、
▲2▼酸化鉄粒子総量に対して、チタンに換算して0.3〜1.5質量%のチタンを含有し、
且つ、トナー中に含イオウ樹脂を含有し、
さらに、下記式(1)により求められる円形度(a)の個数基準の円形度分布において、
円形度(a)=L0/L (1)
〔式中、L0は粒子像と同じ投影面積を持つ円の周囲長を示し、Lは粒子像の周囲長を示す。〕
平均円形度が0.94以上であることによって、転写効率を向上すると同時に、耐久安定性、高現像性を兼ね備え、常に黒色品位の高い画像を出力できる磁性トナーが実現することを見出し、本発明の完成に至った。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明者らの検討によれば、粉砕法または重合法で製造された磁性トナーにおいて、感光体上よりトナー像を転写材に転写する際の転写効率を向上させることで、廃トナーの発生を抑制し、且つ、高温高湿及び低湿下においても画質と画像品位としての黒味を両立させるためには、少なくとも結着樹脂と磁性体を含有する磁性トナーにおいて、
該磁性体が、
▲1▼平均粒子径が0.1〜0.3μmの酸化鉄粒子であり、
▲2▼酸化鉄粒子総量に対して、チタンに換算して0.3〜1.5質量%のチタンを含有し、
且つ、トナー中に含イオウ樹脂を含有し、
さらに、下記式(1)により求められる円形度(a)の個数基準の円形度分布において、
円形度(a)=L0/L (1)
〔式中、L0は粒子像と同じ投影面積を持つ円の周囲長を示し、Lは粒子像の周囲長を示す。〕
平均円形度が0.94以上であることが必要である。
【0023】
尚、以下の説明において「円形度」及び「円形度(a)」とは、上記式(1)で求められる円形度(a)を意味するものとする。
【0024】
本発明においては、酸化鉄粒子にチタンを含有させることにより、粒子表面においてもFe2+が安定して生成されることになる。このとき、詳細は後述するが、前記酸化鉄粒子が、粒子表面から10質量%中における総Fe量に対するFeOの割合(A%)と、残りの90質量%中における総Fe量に対するFeOの割合(B%)との比が下記式(2)
0.7≦A/B≦1 (2)
を満足すると、粒子表面近傍のFeO含有量が十分に高く、酸化鉄粒子自体の黒色度が十分高い上、多少の表面酸化があっても黒色度が経時劣化の影響を受けない。また、トナー化したときにも、黒色品位の高いべた画像を得ることができる。
【0025】
従来より、トナー形状がトナーの諸特性に影響を与えることが知られているが、本発明者らは、磁性トナーの粒径及び形状に関して検討を進め、3μm以上の粒子における円形度と転写性及び現像性(画質)、定着性には密接な関係があることを見出した。
【0026】
例えば、近年の高画像、高画質化の要望に対応すべく、トナーは小粒径化される方向にあるが、これにより、トナー粒子の比表面積は増大し、トナーの凝集性や付着性が大きくなる。このため、感光体上よりトナー像を転写材に転写した場合、感光体とトナー間に働く付着力が強くなり、転写効率を低下させる。特に、従来の粉砕方法で製造された磁性黒色トナーは不定形で角張ったものとなり、この傾向は顕著となる。即ち、転写効率を向上させるためには、トナー形状をより球状に近づけることにより、トナーと感光体との接触面積を減少させ、付着性を低減することが重要である。
【0027】
本発明における磁性トナーを製造する場合、重量平均径は5μm〜12μmが好ましい。さらに、特定の円形度を有する磁性トナーを製造する場合は、粒径4.0μm以下の粒子が40個数%以下であり、粒径10.1μm以上の粒子が25体積%以下であるトナーが望ましい。
【0028】
重量平均径が12μmを上回る磁性トナーの場合には、トナー粒子径自体の大きさにより、高画質化の面で問題があり好ましくない。また、重量平均径が5μmを下回る磁性トナーの場合には、トナーの円形度と酸化鉄粒子の分散状態のバランスを十分に取ることができず、カブリ、飛び散りを悪化させることがあり好ましくない。4.0μm以下及び10.1μm以上の粒子の割合に関しても同様である。
【0029】
また、本発明のトナーにおいては、重量平均径が5〜12μmであり、粒径4.0μm以下の粒子が40個数%以下であり、粒径10.1μm以上の粒子が25体積%以下であるトナー中の3μm以上の粒子において、円形度(a)が0.900以上の粒子を個数基準の累積値で90%以上有し、平均円形度が0.94以上であることにより、転写効率が向上し、転写残のトナーを大幅に低減することが可能である。
【0030】
該磁性トナーの3μm以上の粒子における円形度(a)が0.900以上の粒子の存在が個数基準の累積値で90%未満となる場合には、トナー粒子と感光体との接触面積が大きくなり、トナー粒子の感光体への付着力が増大するため、十分な転写効率を得られず好ましくない。
【0031】
また、上述の粒子径及び円形度範囲であれば、転写効率、帯電のコントロールに問題は無いが、粒子径の違うトナーに対して、絶えず同一の効果を与えるためには、以下のようにさらに、詳細な円形度を規定することがより好ましい。
【0032】
トナーの重量平均径(X)が5〜12μmであり、且つ該トナーの粒径3μm以上の粒子において、円形度(a)の個数基準の円形度分布において、0.900以上の円形度(a)を有する粒子が90個数%以上存在し、カット率(Z)とトナー重量平均径(X)の関係、及び、該トナーの3μm以上の粒子において、円形度(a)の個数基準の円形度分布において、0.950以上の円形度(a)を有する粒子の個数基準累積値(Y)とトナー重量平均径(X)の関係が、下記▲1▼或いは▲2▼を満足することが好ましい。尚、カット率(Z)は、東亜医用電子製フロー式粒子像分析装置「FPIA−1000」で測定される全測定粒子の粒子濃度A(個数/μl)、円相当径3μm以上の測定粒子濃度B(個数/μl)とした時、下記式(3)で示される。
【0033】
Z=(1−B/A)×100 (3)
▲1▼Z≦5.3×X
Y≧(exp5.51)×X-0.645
▲2▼Z>5.3×X
Y≧(exp5.37)×X-0.545
【0034】
上記トナーにおいて、
▲3▼Z≦5.3×Xの式を満たし、
Y≧(exp5.51)×X-0.645を満足しない場合、即ち、
Y<(exp5.51)×X-0.645を満足するような場合、
或いは、
▲4▼Z>5.3×Xの式を満たし、
Y≧(exp5.37)×X-0.545を満足しない場合、即ち、
Y<(exp5.37)×X-0.545を満足するような場合には、
定着部材等への付着を促進しやすくなり、トナーの流動性も悪化する場合があり、また、転写効率を低下させる原因となる場合がある。
【0035】
このような各円形度を有する粒子のバラツキの一つの目安として、標準偏差(SD)を用いることもできる。本発明においては標準偏差(SD)が0.030〜0.050であれば問題は無い。
【0036】
〔円形度の測定〕
本発明における平均円形度は、粒子の形状を定量的に表現する簡便な方法として用いたものであり、本発明では東亜医用電子製フロー式粒子像分析装置「FPIA−1000」を用いて測定を行い、測定された粒子の円形度(a)を下記式(1)により求め、さらに下記式(4)で示すように測定された全粒子の円形度の総和を全粒子数で除した値を平均円形度と定義する。
【0037】
円形度(a)=L0/L (1)
〔式中、L0は粒子像と同じ投影面積を持つ円の周囲長を示し、Lは粒子像の周囲長を示す。〕
【0038】
【数1】
Figure 0004012060
【0039】
円形度標準偏差(SD)は、上記式(1)及び(4)で求めた平均円形度をaav、各粒子における円形度をai、測定粒子数をmとすると、下記式(5)から算出される。
【0040】
【数2】
Figure 0004012060
【0041】
本発明における円形度(a)はトナー粒子の凹凸の度合いの指標であり、トナーが完全な球形の場合1.00を示し、表面形状が複雑になるほど円形度は小さな値となる。また、本発明における円形度分布の標準偏差(SD)は、ばらつきの指標であり、数値が小さいほどシャープな分布であることを示す。
【0042】
尚、本発明において円形度の測定に用いられる測定装置である「FPIA−1000」は、各粒子の円形度を算出後、平均円形度及び円形度標準偏差の算出に当たって、粒子を得られた円形度によって、円形度0.4〜1.0を61分割したクラスに分け、分割点の中心値と頻度を用いて平均円形度及び円形度標準偏差の算出を行う算出法を用いている。この算出法で算出される平均円形度及び円形度標準偏差の各値と、上述した各粒子の円形度を直接用いる算出式によって算出される平均円形度及び円形度標準偏差の各値との誤差は、非常に少なく、実質的には無視できる程度であり、本発明においては、算出時間の短縮化や算出演算式の簡略化の如きデータの取り扱い上の理由で、上述した各粒子の円形度を直接用いる算出式の概念を利用し、一部変更したこのような算出法を用いても良い。
【0043】
具体的な測定方法としては、容器中の予め不純物を除去した水100〜150ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩を0.1〜0.5ml加え、さらに測定試料を0.1〜0.5g程度加える。試料を分散した懸濁液は超音波分散機で約1〜3分間分散処理を行い、分散液濃度を1.2〜2.0万個/μlとして、上記フロー式粒子像測定装置を用い、0.60μm以上159.21μm未満の円相当径を有する粒子の円形度分布を測定する。尚、分散液濃度を1.2〜2.0万個/μlとすることで、カット率が大きくなった場合でも装置の精度が保てるだけの粒子濃度を維持することができる。
【0044】
測定の概略は、東亜医用電子社(株)発行の「FPIA−1000」のカタログ(1995年6月版)及び測定装置の操作マニアルに記載されているが、以下の通りである。
【0045】
試料分散液は、フラットで扁平な透明フローセル(厚み約200μm)の流路(流れ方向に沿って広がっている)を通過させる。フローセルの厚みに対して交差して通過する光路を形成するように、ストロボとCCDカメラが、フローセルに対して、相互に反対側に位置するように装着される。試料分散液が流れている間に、ストロボ光がフローセルを流れている粒子の画像を得るために1/30秒間隔で照射され、その結果、それぞれの粒子は、フローセルに平行な一定範囲を有する2次元画像として撮影される。それぞれの粒子の2次元画像の面積から、同一の面積を有する円の直径を円相当径として算出する。それぞれの粒子の2次元画像の投影面積及び投影像の周囲長から上記の円形度算出式を用いて各粒子の円形度を算出する。
【0046】
〔粒度分布の測定〕
トナーの粒度分布については、種々の方法によって測定できるが、本発明においてはコールターカウンターのマルチサイザーを用いて行った。
【0047】
測定装置としてはコールターカウンターのマルチサイザーII型(コールター社製)を用い、個数分布、体積分布を出力するインターフェイス(日科機製)及びCX−1パーソナルコンピューター(キヤノン製)を接続し、電解液は特級または1級塩化ナトリウムを用いて1%NaCl水溶液を調製する。測定法としては前記電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩)を0.1〜5ml加え、さらに測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行い、前記コールターカウンターのマルチサイザーII型により、アパーチャーとして、100μmアパーチャーを用いる。尚、無機微粉末粒径を測定するときは13μmアパーチャーを用いて測定する。トナーの体積、個数を測定して、体積分布と、個数分布とを算出した。ここから体積分布から求めた重量基準の重量平均径(D4)を求めることができる。
【0048】
本発明のトナーは、少なくとも結着樹脂と含イオウ樹脂及び特定の磁性体からなり、その他ワックス、外添剤などを適宜含有させることが好ましい。
【0049】
本発明に使用される磁性体としての酸化鉄粒子とは、好ましくはFeO含有量の高いマグネタイトを主成分とするものである。以下の説明では、酸化鉄粒子としてその代表的なものであるマグネタイト粒子について説明する。また、酸化鉄粒子またはマグネタイト粒子と言う時には、その内容によって個々の粒子またはその集合の何れも意味する。
【0050】
水溶液反応により得られる酸化鉄粒子、特にFeO含有量の高いマグネタイト粒子は、一般的に第一鉄塩水溶液とアルカリ溶液とを中和混合して得られた水酸化第一鉄スラリーを酸化することにより得られる。かかる公知技術で得られるマグネタイト粒子の表面から10質量%中における総Fe量に対するFeOの割合(A%)と、残りの90質量%中における総Fe量に対するFeOの割合(B%)との比A/B(以下、「表面/内部FeO比」と称す)は、約0.3〜0.6程度である。
【0051】
これに対して、本発明におけるマグネタイト粒子は、粒子中にチタンを含有することを特徴とし、且つ前述の理由で、表面/内部FeO比が0.7〜1であることが好ましい。
【0052】
この表面/内部FeO比が0.7未満の場合、表面粒子近傍のFeO量が十分とは言えず黒色度が低くなったり、黒色度は高くても、経時劣化の面で劣る、耐環境性の不良なマグネタイト粒子となるため、トナー化する際には、本発明における含イオウ樹脂と併用しない場合には、出力した画像の黒味が長期耐久により変動しやすくなり、見た目の違和感などを生じてしまう。
【0053】
また、表面/内部FeO比が1を超える場合、黒色度や耐環境性には優れるものの、粒子表面のFeOを必要以上に高くしても、さらなる効果は得られない。この表面/内部FeO比は、黒色度、耐環境性の改善をより高めることを考慮すると、0.8〜1が好ましく、0.9〜1がより好ましい。
【0054】
また、本発明で使用する酸化鉄粒子は、粒子中にチタンを含有していることが重要であり、チタンが、酸化鉄粒子総量に対して、チタン換算で0.3〜1.5質量%含有されていることが好ましい。本発明において、マグネタイト粒子にチタンが含有されていることにより、マグネタイト粒子の表面/内部FeO比を0.7〜1に調整することが可能となる。このチタン含有量が0.3質量%未満では、粒子表面近傍のチタン含有量が少なくなる傾向にあり、水溶液反応により得られるマグネタイト粒子の表面/内部FeO比を0.7〜1にすることが困難であり、1.5質量%を超える場合には、粒子表面近傍のチタン含有量が過剰となる傾向にあり、チタン含有量が高過ぎて、磁気特性や黒色度、色相等、他の特性不良を引き起こす場合があり、好ましくない。このチタン含有量は、チタン含有量をより減らし、且つ、表面/内部FeO比が低下しないように調整する上で、0.4〜1.2質量%とすることが好ましく、0.4〜0.8質量%とすることがより好ましい。
【0055】
また、本発明で使用する酸化鉄粒子は、平均粒子径が0.1〜0.3μmであるため、分散性、黒味等に対して問題がない。さらに、本発明で用いる酸化鉄粒子の特徴をより発揮するためには、平均粒子径を0.1〜0.2μmとすることが好ましく、0.1〜0.15μmとすることがより好ましい。平均粒子径が0.1μm未満となる場合、トナー中における酸化鉄の再凝集等による分散不良を引き起こしたり、トナー黒味を損なう場合があり好ましくない。平均粒子径が0.3μmを超える場合、トナー黒味としては申し分無いが、トナー粒子中の分散悪化の原因となる場合があり好ましくない。
【0056】
本発明で使用する酸化鉄粒子は、粒状粒子であれば、球状、六面体状、多面体状等、いかなる粒子でも問題は無いが、八面体状であることがより好ましい。このような形状を呈する磁性酸化鉄粒子は粒子同士が分離しやすく、凝集性が少なく、結着樹脂へ均一に分散できるためである。また、この様な酸化鉄粒子は、粒子表面に凹凸があったり、多くの面と稜線を有し、適度な角度を有するため、結着樹脂に対する密着性にも優れ物理的に磁性トナー表面上において固着されているので、磁性トナー粒子からの脱落を防止できる。
【0057】
本発明に使用する酸化鉄粒子は、Al、Si、P、S、Cr、Mn、Co、Ni、Cu、Zn、Mgの総含有量が少ないことが好ましい。上記成分はマグネタイト粒子製造時に原料由来の不可避成分として含有されるか、分散性や流動性改良手段として添加されることにより、酸化鉄粒子中に含有される。また、酸化鉄粒子においては、表面/内部FeO比コントロール及び高磁気特性の維持を考慮した場合、上記成分の総含有量は低い方がより効果を発揮しやすく、1質量%以下であることが好ましく、0.8質量%であることがより好ましい。
【0058】
本発明に使用する酸化鉄粒子は、JIS K5101−1991に準拠した粉体の黒色度及び色相測定において、色差計によるL値が20以下、a値が0.1以下、b値が0.1以下であることが好ましい。このL値が20超え、a値が0.1を超え、b値が0.1を超える場合、トナー化後のべた黒画像における黒味を損なう場合があり好ましくない。
【0059】
これらの酸化鉄粒子は、795.8kA/m印加での磁気特性が抗磁力(Hc)1.6〜12.0kA/m、飽和磁化(σs)50〜200Am2/kg(好ましくは50〜100Am2/kg)、残留磁化(σr)2〜20Am2/kgのものが好ましい。
【0060】
結着樹脂100質量部に対して、酸化鉄粒子は50〜150質量部、好ましくは60〜120質量部使用するのが良い。50質量部未満となる場合には、カブリ、飛び散りが悪化するだけでなく、磁性黒色トナーとした場合には、黒味不足となる場合もあり、好ましくない。150質量部を超える場合には、帯電付与部材(現像スリーブ)からの飛翔が十分に行えなくなり、画像濃度低下の原因となる場合もあり、好ましくない。
【0061】
本発明で用いられる酸化鉄粒子の製造方法は一般的なマグネタイト粒子の製造方法を用いても特に問題は無いが、特に好ましい製造方法について、以下、具体的に説明する。
【0062】
本発明に用いられる酸化鉄粒子は、第一鉄塩水溶液とアルカリ溶液とを中和混合して得られた、水酸化第一鉄スラリーを酸化して、酸化鉄粒子を製造する方法において、該第一鉄塩水溶液に4価のチタン塩及び/またはチタン酸塩を添加、混合しておくことにより製造される。
【0063】
ここで、重要なのは、4価のチタン塩及び/またはチタン酸塩が、水酸化チタンとして析出しないように、第一鉄塩水溶液のpHを1.5以下、且つ温度70℃以下に調整しておくことにある。この方法によれば、粒子の核生成から最終的な粒子成長完了に至るまで、価数4価のチタン成分が粒子内に均一に含有され、粒子表面においてもFe2+が安定して生成されることになる。
【0064】
添加するチタン塩及び/またはチタン酸塩は、最終的な酸化鉄粒子総量に対して、チタン換算して0.3〜1.5質量%となるように調整する。
【0065】
上記製造方法において、第一鉄塩として利用できるものは、硫酸第一鉄、塩化第一鉄等、水可溶性塩ならば特に限定されない。また、添加に用いられるチタン塩やチタン酸塩として使用できるものは、硫酸チタン(IV)、塩化チタン(IV)、硫酸チタニル、硝酸チタニル等が挙げられる。
【0066】
次に、得られた4価のチタン成分を含有する第一鉄塩水溶液とアルカリ溶液とを中和混合して、水酸化第一鉄スラリーを生成させる際のアルカリ溶液量は、求める酸化鉄粒子の形状に応じて調整すればよい。具体的には、水酸化第一鉄スラリーのpHが8.0未満となるように調整すれば球状粒子が得られ、8.0〜9.5となるように調整すれば六面体状粒子が得られ、9.5を超えるように調整すれば八面体状粒子が得られるので、適宣調整する。
【0067】
アルカリ溶液としては、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム水溶液等の水酸化アルカリ水溶液を用いることができる。
【0068】
こうして得られた、水酸化第一鉄スラリーより酸化鉄粒子を得るために、常法の酸素含有ガス、好ましくは空気をスラリー中に吹き込みながら酸化反応を行ない、酸化反応終了後のスラリーを用いて常法のろ過、洗浄、乾燥、粉砕処理を行う。
【0069】
本発明においては、トナー中に荷電制御剤として少なくとも含イオウ樹脂を含有することを特徴とする。これにより、トナーが長期放置された直後や耐久により劣化したときなどにも、幅広い濃度領域の画像において、トナーのり量の減少を抑制し、フルカラー画像においても違和感のない黒味を維持することが可能な磁性トナーが実現する。
【0070】
上記含イオウ樹脂として、スルホン酸基を有する重合体を使用すると、樹脂への分散性、トナーの帯電安定性という面でより好ましい。スルホン酸基を含有する重合体とは、スルホン酸基を有する単量体を有するものである。本発明においては、特にスチレン系単量体及びアクリル系単量体とスルホン酸含有アクリルアミド単量体との共重合体(スルホン酸基含有共重合体)が好ましく用いられる。
【0071】
スルホン酸基含有共重合体に用いられるスチレン系単量体及びアクリル系単量体としては、後述する結着樹脂としてのビニル系樹脂を生成するためのビニル系モノマーの中から適宜選択される。好ましくはスチレンとアクリル酸エステル、または、スチレンとメタクリル酸エステルとの組み合わせが挙げられる。
【0072】
スルホン酸基含有共重合体に用いられるスルホン酸含有アクリルアミド系単量体としては、2−アクリルアミドプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−n−ブタンスルホン酸、2−アクリルアミド−n−ヘキサンスルホン酸、2−アクリルアミド−n−オクタンスルホン酸、2−アクリルアミド−n−ドデカンスルホン酸、2−アクリルアミド−n−テトラデカンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルフェニルエタンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−(4−クロロフェニル)プロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−カルボキシメチルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−(2−ピリジン)プロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−1−メチルプロパンスルホン酸、3−アクリルアミド−3−メチルブタンスルホン酸、2−メタクリルアミド−n−デカンスルホン酸、2−メタクリルアミド−n−テトラデカンスルホン酸等を挙げることができる。この中で、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸が帯電性の面からより好ましい。
【0073】
スルホン酸基含有重合体を合成する際に使用される重合開始剤としては、後述の結着樹脂としてのビニル系樹脂を生成する際に使用される開始剤の中から適宜選択される。好ましくは過酸化物開始剤が使用される。
【0074】
また、スルホン酸基含有重合体の合成方法としては、特に制限はなく、溶液重合、懸濁重合、塊状重合等、いずれの方法も使用可能であるが、低級アルコールを含む有機溶剤中で重合させる溶液重合が好ましい。
【0075】
スチレン系単量体及びアクリル系単量体とスルホン酸含有アクリルアミド系単量体との共重合質量比は、スチレン系単量体及びアクリル系単量体:スルホン酸含有アクリルアミド系単量体=98:2〜80:20であることが好ましい。スルホン酸含有アクリルアミド系単量体の割合が2質量%よりも少ない場合には、十分な帯電特性が得られない場合があり好ましくなく、20質量%よりも多い場合には、環境安定性が不安定になる場合があり好ましくない。
【0076】
上記含イオウ樹脂の酸価(mgKOH/g)は3〜80が好ましい。より好ましくは5〜50、望ましくは10〜40が良い。酸価が3未満の場合には、本発明で言及するような十分な電荷制御作用が得られず、且つ環境特性が悪い。酸価が80を超える場合には、高温高湿下において水分の影響を受けやすく環境安定性が低下する。
【0077】
該含イオウ樹脂の分子量は重量平均分子量(Mw)が2000〜200000であればよいが、好ましくは、17000〜100000であり、より好ましくは、27000〜50000である。重量平均分子量(Mw)が2000未満の場合には、該含イオウ樹脂が結着樹脂中に相溶する、或いは、微分散状態となり、帯電特性が改良されない場合があるばかりか、トナーの流動性、転写性が悪化する場合があり好ましくない。また、重量平均分子量(Mw)が200000を超える場合には、該含イオウ樹脂が結着樹脂と相分離し、トナー粒子から完全に遊離する場合もあり、カブリ、環境安定性が悪化する場合があり好ましくない。
【0078】
該含イオウ樹脂のガラス転移点(Tg)は30〜120℃が好ましく、より好ましくは50〜100℃であり、望ましくは70〜95℃である。該含イオウ樹脂のガラス転移点(Tg)が30℃未満の場合には、トナーの流動性や保存性に劣り、さらに転写性も劣る場合があり好ましくない。ガラス転移点(Tg)が120℃を超える場合には、トナー印字率の多い画像の時の定着性が劣る場合があり好ましくない。
【0079】
該含イオウ樹脂の揮発分は0.01〜2.0%が好ましい。揮発分を0.01%未満とするためには、揮発分除去工程が複雑になり、揮発分が2.0%を超える場合には、高温高湿下での帯電、特に放置後の帯電に関して劣るようになる。該重合体揮発分は、高温(135℃)で1時間加熱したときに減少する質量の割合である。
【0080】
該含イオウ樹脂の「MELT INDEX値」(MI値:g/10min)は、0.1〜200が好ましく、より好ましくは0.2〜150である。MI値が0.1未満の場合には、重合体の結着樹脂との相溶性が低下するのでトナー中での分散性が不均一になり、トナーの帯電量分布が広がってしまう。MI値が200を超える場合には、重合体がシャープメルト過ぎ、トナー化した時に耐ブロッキング性が悪くなり、耐久性に悪影響を及ぼす。該MI値の測定方法は、JIS規格K7210のA法に則って行われる。その後、測定値を10分値に換算する。
【0081】
尚、含イオウ樹脂のトナーからの抽出は特に制限されるものではなく、任意の方法が扱える。
【0082】
上記含イオウ樹脂の各物性の測定方法を以下に示す。
【0083】
〔酸価の測定〕
基本操作は、JIS−K0070に準ずる。
【0084】
試料1g中に含有されている遊離脂肪酸、樹脂酸などを中和するのに要する水酸化カリウムのmg数を酸価といい、次によって試験を行う。
【0085】
(1)試薬
(a)溶剤:エチルエーテル−エチルアルコール混液(1/1または2/1(容量比))またはベンゼン−エチルアルコール混液(1/1または2/1(容量比))で、これらの溶液は使用直前にフェノールフタレインを指示薬としてN/10水酸化カリウムエチルアルコール溶液で中和しておく。
(b)フェノールフタレイン溶液:フェノールフタレイン1gをエチルアルコール(95v/v%)100mlに溶かす。
(c)N/10水酸化カリウム−エチルアルコール溶液:水酸化カリウム7.0gをできるだけ少量の水に溶かしエチルアルコール(95v/v%)を加えて1リットルとし、2〜3日放置後ろ過する。標定はJIS K 8006(試薬の含量試験中滴定に関する基本事項)に準じて行う。
【0086】
(2)操作:試料1〜20gを正しくはかりとり、これに溶剤100ml及び指示薬としてフェノールフタレイン溶液数滴を加え、試料が完全に溶けるまで十分に振る。固体試料の場合は水浴上で加温して溶かす。冷却後これをN/10水酸化カリウムエチルアルコール溶液で滴定し、指示薬の微紅色が30秒間続いたときを中和の終点とする。
【0087】
(3)計算式:下記式によって酸価を算出する。
【0088】
A=B×f×5.611/S
A:酸価(mgKOH/g)
B:N/10水酸化カリウムエチルアルコール溶液の使用量(ml)
C:N/10水酸化カリウムエチルアルコール溶液のファクター
S:試料(g)
【0089】
〔分子量及び分子量分布の測定〕
40℃のヒートチャンバ中でカラムを安定化させ、この温度におけるカラムに、溶媒としてTHF(テトラヒドロフラン)を毎分1mlの流速で流し、THF試料溶液を約100μl注入して測定する。試料の分子量測定にあたっては、試料の有する分子量分布を、数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント数との関係から算出する。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、例えば、東ソー社製或いは、昭和電工社製の分子量が102〜107程度のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当である。検出器にはRI(屈折率)検出器を用いる。カラムとしては、市販のポリスチレンジェルカラムを複数本組み合わせるのが良く、例えば昭和電工社製のshodex GPC KF−801,802,803,804,805,806,807,800Pの組み合わせや、東ソー社製のTSKgelG1000H(HXL),G2000H(HXL),G3000H(HXL),G4000H(HXL),G5000H(HXL),G6000H(HXL),G7000H(HXL),TSKguardcolumnの組み合わせが挙げられる。
【0090】
試料は以下のようにして作製する。
【0091】
試料をテトラヒドロフラン(THF)中に入れ、数時間放置した後、十分振とうしTHFと良く混ぜ(試料の合一体がなくなるまで)、さらに12時間以上静置する。このときTHF中への放置時間が24時間以上となるようにする。その後、サンプル処理フィルター(ポアサイズ0.45〜0.5μm、例えば、「マイショリディスクH−25−5」東ソー社製、「エキクロディスク25CR」ゲルマン サイエンス ジャパン社製などが利用できる)を通過させたものを、GPCの試料とする。試料濃度は、樹脂成分が0.5〜5mg/mlとなるように調整する。
【0092】
〔ガラス転移点の測定〕
該含イオウ樹脂の「ガラス転移点」はDSC測定により求められる。
【0093】
DSC測定では、測定原理から、高精度の内熱式入力補償型の示差走査熱量計で測定することが好ましい。例えば、パーキンエルマー社製の「DSC−7」が利用できる。
【0094】
測定方法は、ASTM D3418−82に準じて行う。測定は、1回昇温、降温させ前履歴を取った後、温度速度10℃/minで、昇温させた時に測定されるDSC曲線を用いる。
【0095】
さらに、上記含イオウ樹脂は、そのまま使用することができるが、公知の粉砕手段により粉砕して粒径を揃えることが、他材料との相溶性・分散性向上となり好ましい。粉砕粒子径としては、好ましくは300μm以下、さらに好ましくは150μm以下とすることで、他材料との分散が良好となり、画質面で特にカブリが抑制できる。
【0096】
該含イオウ樹脂は、結着樹脂100質量部当り0.01〜15質量部含有されていることが良い。好ましくは0.1〜10質量部、より好ましくは0.5〜8質量部が良い。
【0097】
上記含イオウ樹脂の含有量が0.01質量部未満の場合には、十分な電荷制御作用が得られにくく、15質量部を超えると、他材料との相溶性が悪化したり、低湿下において帯電過剰になったりする場合があり好ましくない。
【0098】
トナー中の含イオウ樹脂の含有量は、キャピラリー電気泳動法等を用いて測定することができる。
【0099】
また、本発明のトナーは、その帯電性をさらに安定化させるために、必要に応じて、上記含イオウ樹脂に1種または2種以上の荷電制御剤を組み合わせて用いてもよい。荷電制御剤は、結着樹脂100質量部当り0.1〜10質量部、好ましくは0.1〜5質量部使用するのが好ましい。
【0100】
本発明のトナーの帯電性は正負のどちらでも良いが、結着樹脂自体は負帯電性が高いので、負帯電性トナーであることが好ましい。
【0101】
負帯電性に制御する荷電制御剤としては、例えば、有機金属錯体、キレート化合物が有効で、その例としては、モノアゾ金属錯体;アセチルアセトン金属錯体;芳香族ヒドロキシカルボン酸または芳香族ジカルボン酸の金属錯体及びその金属塩、無水物、エステル類やビスフェノールの如きフェノール誘導体類が挙げられる。
【0102】
正帯電性に制御する荷電制御剤としては、ニグロシン及び脂肪酸金属塩等による変性物;トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルホン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートの如き四級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩等のオニウム塩、及びこれらのレーキ顔料;トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、リンタングステン酸、リンモリブテン酸、リンタングステンモリブテン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン酸、フェロシアン化合物など);高級脂肪酸の金属塩;ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイドの如きジオルガノスズオキサイド;ジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレートの如きオルガノスズボレートが挙げられる。
【0103】
本発明のトナーを構成する結着樹脂としては、ポリエステル系樹脂、ビニル系樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂等、従来公知の樹脂を用いることができるが、特にポリエステル系樹脂とビニル系樹脂が帯電性や定着性でより好ましい。
【0104】
本発明に用いられるポリエステル系モノマーとしては以下のものが挙げられる。
【0105】
アルコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、水素化ビスフェールA、下記(1−1)式で表わされるビスフェノール誘導体及び下記(1−2)式で示されるジオール類が挙げられる。
【0106】
【化1】
Figure 0004012060
【0107】
酸成分としては、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸の如きベンゼンジカルボン酸類またはその無水物;コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸の如きアルキルジカルボン酸類またはその無水物、またさらに炭素数6〜18のアルキル基またはアルケニル基で置換されたコハク酸もしくはその無水物;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸の如き不飽和ジカルボン酸またはその無水物等が挙げられる。
【0108】
また本発明に用いられるポリエステル樹脂は、三価以上の多価カルボン酸またはその無水物及び/または三価以上の多価アルコールを含むポリエステル樹脂であると、さらに分子量や粘度をコントロールしやすく好ましい。三価以上の多価カルボン酸またはその無水物としては、例えば、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸及びこれらの酸無水物または低級アルキルエステルなどが挙げられ、三価以上の多価アルコールとしては、例えば、1,2,3−プロパントリオール、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、ペンタエリスリトールなどが挙げられる。本発明の結着樹脂においては、環境変動による安定性も高い芳香族系アルコールが特に好ましく、例えば1,2,4−ベンゼントリカルボン酸及びその無水物等が挙げられる。
【0109】
ビニル系樹脂を生成するためのビニル系モノマーとしては、次の様なものが挙げられる。
【0110】
スチレン;o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレンの如きスチレン及びその誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンの如きスチレン不飽和モノオレフィン類;ブタジエン、イソプレンの如き不飽和ポリエン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニルの如きハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニルの如きビニルエステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルの如きα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニルの如きアクリル酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルの如きビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトンの如きビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンの如きN−ビニル化合物;ビニルナフタリン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドの如きアクリル酸もしくはメタクリル酸誘導体が挙げられる。
【0111】
さらに、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸の如き不飽和二塩基酸;マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物の如き不飽和二塩基酸無水物;マレイン酸メチルハーフエステル、マレイン酸エチルハーフエステル、マレイン酸ブチルハーフエステル、シトラコン酸メチルハーフエステル、シトラコン酸エチルハーフエステル、シトラコン酸ブチルハーフエステル、イタコン酸メチルハーフエステル、アルケニルコハク酸メチルハーフエステル、フマル酸メチルハーフエステル、メサコン酸メチルハーフエステルの如き不飽和二塩基酸のハーフエステル;ジメチルマレイン酸、ジメチルフマル酸の如き不飽和二塩基酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイヒ酸の如きα,β−不飽和酸;クロトン酸無水物、ケイヒ酸無水物の如きα,β−不飽和酸無水物、該α,β−不飽和酸と低級脂肪酸との無水物;アルケニルマロン酸、アルケニルグルタル酸、アルケニルアジピン酸、これらの酸無水物及びこれらのモノエステルの如きカルボキシル基を有するモノマーが挙げられる。
【0112】
さらに、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートなどのアクリル酸またはメタクリル酸エステル類;4−(1−ヒドロキシ−1−メチルブチル)スチレン、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルヘキシル)スチレンの如きヒドロキシ基を有するモノマーが挙げられる。
【0113】
本発明のトナーにおいて、結着樹脂として用いうるビニル系樹脂は、ビニル基を2個以上有する架橋剤で架橋された架橋構造を有してもよいが、この場合に用いられる架橋剤は、芳香族ジビニル化合物として例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンが挙げられ;アルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類として例えば、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールアクリレート、1,6−へキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられ;エーテル結合を含むアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類としては、例えば、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、及び以上の化合物のアクリレー卜をメタクリレートに代えたものが挙げられ;芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で緒ばれたジアクリレート化合物類として例えば、ポリオキシエチレン(2)−2,2−ビス(4ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレード、ポリオキシエチレン(4)−2,2−ビス(4ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられ;ポリエステル型ジアクリレート化合物類として例えば、商品名MANDA(日本化薬)が掲げられる。
【0114】
多官能の架橋剤としては、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの;トリアリルシアヌレート、トリアリルトリメリテート;が挙げられる。
【0115】
これらの架橋剤は、他のモノマー成分100質量部に対して、0.01〜10質量部(さらに好ましくは0.03〜5質量部)用いることができる。
【0116】
これらの架橋性モノマーのうち、結着樹脂に定着性、耐オフセット性の点から好適に用いられるものとして、芳香族ジビニル化合物(特にジビニルベンゼン)、芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物類が挙げられる。
【0117】
上記ビニル系樹脂を製造する際に用いられる重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2−(カーバモイルアゾ)−イソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2−フェニルアゾ−2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル、2,2−アゾビス(2−メチルプロパン)、メチルエチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパ−オキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイドの如きケトンパーオキサイド類、2,2−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ブタン、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、tert−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、α,α’−ビス(tert−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、イソブチルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、m−トリオイルパーオキサイド、ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシカーボネート、ジメトキシイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシカーボネート、アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシアセテート、tert−ブチルパーオキシイソブチレート、tert−ブチルパーオキシネオデカノエイト、tert−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエイト、tert−ブチルパーオキシラウレート、tert−ブチルパーオキシベンゾエイト、tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジ−tert−ブチルパーオキシイソフタレート、tert−ブチルパーオキシアリルカーボネート、tert−アミルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、ジ−tert−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート、ジ−tert−ブチルパーオキシアゼレートが挙げられる。
【0118】
結着樹脂として、ポリエステル系樹脂とビニル系樹脂を混合して用いると、帯電性や定着性、保存安定性のうえで好ましく、さらに、両者が一部反応したハイブリッド樹脂成分を含有することが特に好ましい。このハイブリッド樹脂は、本来相溶性の悪い2種類の樹脂が均一に分散しているため、両樹脂の特性を活かすことができる。
【0119】
定着性の観点で見れば、ポリエステル系樹脂のシャープメルトであり、低温定着性に有利な点、ビニル系樹脂の耐高温オフセット性、耐ブロッキング性を活かしたトナーを得ることができる。また、帯電性の観点で見れば、ポリエステル系樹脂の帯電性が高く、立ち上がりの早い点と、ビニル系樹脂の帯電性が安定な点の両方が活かされる。さらにハイブリッド樹脂は、ワックスなど他の内添剤との相溶性に優れるため、帯電量分布が均一で、濃度低下及びカブリのない良好な画像を得ることができる。
【0120】
また、樹脂中での酸化鉄粒子の分散を考慮した場合、酸化鉄粒子が小粒径になると、比表面積が大きくなるために、その表面性状が樹脂中での分散状態に与える影響は大きくなる。本発明の酸化鉄粒子は表面近傍のFeO含有量が相対的に多くなっており、従来公知の酸化鉄粒子に対して、より非極性的な表面を有していると考えられる。そのため、結着樹脂として、ビニル樹脂と極性の高いポリエステル系樹脂が適当な割合で混合されていることが望ましい。特に、ポリエステル系モノマーとビニル系モノマーの混合比(質量比)が50/50〜90/10であると、樹脂と酸化鉄粒子表面の親和性が高く、酸化鉄粒子表面を効率的に結着樹脂が覆うことになる。すると、立体障害効果により、酸化鉄粒子同士の磁気的引力を低下させ、その分散状態をより安定に維持することが可能になる。
【0121】
また、ビニル系樹脂とポリエステル系樹脂との反応生成物であるハイブリッド樹脂を含有させるために、ビニル系樹脂成分及び/またはポリエステル系樹脂成分中に、両樹脂成分と反応し得るモノマー成分を含むことが好ましい。ポリエステル樹脂成分を構成するモノマーのうちビニル系樹脂と反応し得るものとしては、例えば、フタル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸の如き不飽和ジカルボン酸またはその無水物などが挙げられる。ビニル系樹脂成分を構成するモノマーのうちポリエステル系樹脂成分と反応し得るものとしては、カルボキシル基またはヒドロキシ基を有するものや、アクリル酸もしくはメタクリル酸エステル類が挙げられる。
【0122】
上記ハイブリッド樹脂を得る方法としては、先に挙げたビニル系樹脂及びポリエステル系樹脂のそれぞれと反応しうるモノマー成分を含むポリマーが存在しているところで、どちらか一方もしくは両方の樹脂の重合反応をさせることにより得る方法が好ましい。
【0123】
このハイブリッド樹脂においては、ポリエステル系モノマーとビニル系モノマーとの共重合比(質量比)が、50/50〜90/10であることが好ましく、より好ましくは60/40〜85/15である。ポリエステル系モノマーが50質量%未満の場合は低温定着性が損なわれるだけでなく、90質量%超となった場合は耐高温オフセット性が悪化したり、粉砕性に悪影響を及ぼす場合がある。また、50質量%未満となっても90質量%超となっても、前述の理由で良好な分散性を達成することが難しくなる。
【0124】
上記のような結着樹脂を単品で使用しても良いが、軟化点の異なる2種以上の結着樹脂を混合して使用しても良い。このような系では、トナーの分子量分布の設計を比較的容易に行うことができ、幅広い定着領域を持たせることができるので好ましい。
【0125】
〔軟化点の測定〕
樹脂の「軟化点」は、「JIS K 7210」に示される測定方法にのっとり、高化式フローテスターにより測定されるものを指す。具体的な測定方法を以下に示す。
【0126】
高化式フローテスター(島津製作所製)を用いて1cm3の試料を昇温速度6℃/minで加熱しながら、プランジャーにより1960N/m2(20kg/cm2)の荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルを押し出すようにし、これにより、プランジャー降下量(流れ値)−温度曲線を描き、そのS字曲線の高さをhとするとき、h/2に対応する温度(樹脂の半分が流出した温度)を軟化点とする。
【0127】
本発明においては、必要に応じてワックスを用いることができ、該ワックスとしては、トナー中での分散のしやすさ、離型性の高さから、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックスなどの炭化水素系ワックスが好ましく用いられるが、必要に応じて一種または二種以上のワックスを、少量併用してもかまわない。例としては次のものが挙げられる。
【0128】
酸化ポリエチレンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物、または、それらのブロック共重合物;カルナバワックス、サゾールワックス、モンタン酸エステルワックスなどの脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;及び脱酸カルナバワックスなどの脂肪酸エステル類を一部または全部を脱酸化したものなどが挙げられる。さらに、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸などの飽和直鎖脂肪酸類;プラシジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸などの不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールなどの飽和アルコール類;長鎖アルキルアルコール類;ソルビトールなどの多価アルコール類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドなどの脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドなどの飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N−ジオレイルセバシン酸アミドなどの不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N−ジステアリルイソフタル酸アミドなどの芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪酸金属塩(一般に金属石けんといわれているもの)、また、脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸などのビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;また、ベヘニン酸モノグリセリドなどの脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物、また、植物性油脂の水素添加などによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物などが挙げられる。
【0129】
また、該ワックスの示差走査型熱量計(DSC)で測定される昇温時の最大吸熱ピーク温度で規定される融点は、70〜140℃であることが好ましい。より好ましくは90〜135℃であることがよい。融点が70℃未満の場合は、トナーの粘度が低下し、感光体へのトナー付着が発生しやすくなり、融点が140℃を超える場合は、低温定着性が悪化してしまう。
【0130】
〔融点の測定〕
ワックスの「融点」は、示差走査熱量計(DSC測定装置)「DSC−7」(パーキンエルマー社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定することによって求められる。
【0131】
5〜20mg、好ましくは10mgの測定試料を精密に秤量する。これをアルミパン中に入れ、リファレンスとして空のアルミパンを用い、測定温度範囲30〜200℃の間で、昇温速度10℃/minで常温常湿下で測定を行う。
【0132】
2回目の昇温過程で、温度40〜100℃の範囲において最大吸熱ピークが得られるので、その時の温度をワックスの融点として用いる。
【0133】
ワックスの量は、結着樹脂100質量部あたり0.1〜20質量部、好ましくは0.5〜10質量部が好ましい。
【0134】
また、これらのワックスは、樹脂製造時、樹脂を溶剤に溶解し、樹脂溶液温度を上げ、撹拌しながら添加混合する方法や、トナー製造中の溶融混練時に添加する方法などにより結着樹脂に含有させることができる。
【0135】
本発明のトナーは、トナーの流動性を向上させるために無機微粉体をトナー粒子に外添して用いても良い。このような無機微粉体としては、例えばフッ化ビニリデン微粉末、ポリテトラフルオロエチレン微粉末の如きフッ素系樹脂粉末;湿式製法シリカ、乾式製法シリカの如き微粉末シリカ、微粉末酸化チタン、微粉末アルミナ、それらをシランカップリング剤、チタンカップリング剤、シリコ−ンオイル等により表面処理を施した処理シリカ、処理酸化チタン、処理アルミナ等が挙げられる。
【0136】
好ましい無機微粉体としては、ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成された微粉体であり、乾式法シリカまたはヒュームドシリカと称されるものである。例えば、四塩化ケイ素ガスの酸素、水素中における熱分解酸化反応を利用するもので、基礎となる反応式は次の様なものである。
【0137】
SiCl4+2H2+O2→SiO2+4HCl
【0138】
この製造工程において、例えば塩化アルミニウムまたは塩化チタンの如き他の金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによってシリカと他の金属酸化物の複合微粉体を得ることも可能であり、それらも包含する。その粒径は、平均一次粒径として、0.001〜2μmの範囲内であることが好ましく、特に好ましくは、0.002〜0.2μmの範囲内のシリカ微粉体を使用するのが良い。
【0139】
ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成された市販のシリカ微粉体としては、例えば以下の様な商品名で市販されているものがある。
【0140】
AEROSIL(日本アエロジル社)
130
200
300
380
TT600
MOXl70
MOX80
COK84
Ca−O−SiL(CABOT Co.社)
M−5
MS−7
MS−75
HS−5
EH−5
Wacker HDK N 20
V15
(WACKER−CHEMIE GMBH社)
N20E
T30
T40
D−C Fine Si1iCa(ダウコーニングCO.社)
Franso1(Fransil社)
【0141】
さらには、該ケイ素ハロゲン化合物の気相酸化により生成されたシリカ微粉体に疎水化処理した処理シリカ微粉体を用いることがより好ましい。該処理シリカ微粉体において、メタノール滴定試験によって測定された疎水化度が30〜80の範囲の値を示すようにシリカ微粉体を処理したものが特に好ましい。
【0142】
疎水化方法としては、シリカ微粉体と反応或いは物理吸着する有機ケイ素化合物及び/またはシリコーンオイルで化学的に処理することによって付与される。好ましい方法としては、ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成されたシリカ微粉体を有機ケイ素化合物で処理する。
【0143】
有機ケイ素化合物としては、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルシラン、トリメチルクロルシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α−クロルエチルトリクロルシラン、β−クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシロキサン及び1分子当り2〜12個のシロキサン単位を有し末端に位置する単位にそれぞれ1個宛のSiに結合した水酸基を含有するジメチルポリシロキサン等が挙げられる。これらは1種或いは2種以上の混合物で用いられる。
【0144】
窒素原子を有するアミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、ジメチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジプロピルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジブチルアミノプロピルトリメトキシシラン、モノブチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジオクチルアミノプロピルジメトキシシラン、ジブチルアミノプロピルジメトキシシラン、ジブチルアミノプロピルモノメトキシシラン、ジメチルアミノフェニルトリエトキシシラン、トリメトキシシリル−γ−プロピルフェニルアミン、トリメトキシシリル−γ−プロピルベンジルアミンの如きシランカップリング剤も単独或いは併用して使用される。好ましいシランカップリング剤としては、へキサメチルジシラザン(HMDS)が挙げられる。
【0145】
好ましいシリコーンオイルとしては、25℃における粘度が0.5〜10000センチストークス、好ましくは1〜1000センチストークス、さらに好ましくは10〜200センチストークスのものが用いられ、例えばジメチルシリコーンオイル、メチルフェルシリコーンオイル、α−メチルスチレン変性シリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイルが特に好ましい。シリコーンオイル処理の方法としては、例えばシランカップリング剤で処理されたシリカ微粉体とシリコーンオイルとをヘンシェルミキサーの如き混合機を用いて直接混合する方法;ベースとなるシリカ微粉体にシリコーンオイルを噴霧する方法;或いは適当な溶剤にシリコーンオイルを溶解或いは分散せしめた後、シリカ微粉体を加え混合し溶剤を除去する方法;を用いることが可能である。
【0146】
シリコーンオイル処理シリカは、シリコーンオイルの処理後にシリカを不活性ガス中で200℃以上(より好まし〈は250℃以上)に加熱し表面のコートを安定化させることがより好ましい。
【0147】
本発明においては、シリカをあらかじめ、カップリング剤で処理した後にシリコーンオイルで処理する方法、または、シリカをカップリング剤とシリコーンオイルで同時に処理する方法によって処理されたものが好ましい。
【0148】
上記無機微粉体は、BET法で測定した窒素吸着による比表面積が30m2/g以上、好ましくは50m2/g以上のものが良好な結果を与える。無機微粉体はトナー100質量部に対して0.01〜8質量部、好ましくは0.1〜4質量部使用するのが良い。
【0149】
本発明のトナーには、研摩効果に加え、帯電性付与及び流動性付与、クリーニング助剤として、上述以外の無機微粉体を添加しても良い。無機微粉体は、トナー粒子に外添することにより、添加前後を比較するとより効果が増加し得るものである。本発明に用いられる無機微粉体としては、マグネシウム、亜鉛、コバルト、マンガン、ストロンチウム、セリウム、カルシウム、バリウム等のチタン酸塩及び/またはケイ酸塩が挙げられる。
【0150】
特に本発明の効果をより発揮できることから、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)及びチタン酸カルシウム(CaTiO3)、ケイ酸ストロンチウム(SrSiO3)、チタン酸バリウム(BaTiO3)が好ましい。これら無機微粉体は、例えば焼結法によって生成し、機械粉砕した後、風力分級して、所望の粒度分布であるものを用いるのが良い。また、該無機微粉体は、トナー100質量部に対して、0.1〜10質量部、好ましくは0.2〜8質量部用いるのが良い。
【0151】
本発明の磁性トナーの製造方法としては、一般的なトナー製造装置を用いることができ、特に限定されないが、所望の円形度及び粒子径が容易に制御できる製造方法が特に好ましい。
【0152】
具体的な例としては、結着樹脂と磁性体及び含イオウ樹脂、その他の添加剤として電荷制御剤や離型剤等を加えて、ヘンシェルミキサー、ボールミルの如き混合機により乾式混合し、ニーダー、ロールミル、エクストルーダーの如き熱混練機を用いて溶融・混練して樹脂類を互いに相溶せしめ、溶融混練物を冷却固化後に固化物を粗粉砕し、得られた租粉砕物をジェットミル、ミクロンジェット、IDS型ミル等の衝突式気流粉砕機またはクリプトロン、ターボミル、イノマイザー等の機械式粉砕機を用いて微粉砕し、得られた微粉砕品を気流式分級機等を用いて所望の粒度分布とした後、流動化剤や研磨剤等の無機微粉体を外添混合することで本発明のトナーを得ることができる。
【0153】
トナーを混合する際の混合機としては、例えば、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製);スーパーミキサー(カワタ社製);リボコーン(大川原製作所社製);ナウターミキサー、タービュライザー、サイクロミックス(ホソカワミクロン社製);スパイラルピンミキサー(太平洋機工社製);レーディゲミキサー(マツボー社製)が挙げられ、混練機としては、KRCニーダー(栗本鉄工所社製);ブス・コ・ニーダー(Buss社製);TEM型押し出し機〈東芝機械社製〉;TEX二軸混練機(日本製鋼所社製);PCM混練機(池貝鉄工所社製);三本ロールミル、ミキシングロールミル、ニーダー(井上製作所社製);ニーデックス(三井鉱山社製);MS式加圧ニーダー、ニーダールーダー(森山製作所社製);バンバリーミキサー(神戸製銅所社製)が挙げられ、粉砕機としては、カウンタージェットミル、ミクロンジェット、イノマイザ(ホソカワミクロン社製);IDS型ミル、PJMジェット粉砕機(日本ニューマチック工業社製);クロスジェットミル(栗本鉄工所社製);ウルマックス(日曹エンジニアリング社製);SKジェット・オー・ミル(セイシン企業社製);クリプトロン(川崎重工業社製);ターボミル(ターボ工業社製)が挙げられ、分級機としては、クラッシール、マイクロンクラッシファイアー、スペディッククラシファイアー(セイシン企業社製);ターボクラッシファイアー(日新エンジニアリング社製);ミクロンセパレータ、ターボプレックス(ATP)、TSPセパレータ(ホソカワミクロン社製);エルボージェット(日鉄鉱業社製)、ディスパージョンセパレータ(日本ニューマチック工業社製);YMマイクロカット(安川商事社製)が挙げられ、粗粒などをふるい分けるために用いられる箭い装置としては、ウルトラソニック(晃栄産業社製);レゾナシーブ、ジャイロシフター(徳寿工作所社);バイブラソニックシステム(ダルトン社製);ソニクリーン(新東工業社製);ターボスクリーナー(ターボエ業社製);ミクロシフター(槙野産業社製);円形振動飾い等が挙げられる。
【0154】
本発明の磁性トナーを得る際の微粉砕装置としては、前述のような粉砕装置を用いることができるが、ジェットミルなどのような気流式粉砕機を用いる場合には、円形度の大きなトナーが得られにくく、転写率が低くなり廃トナー減を達成することが難しい。その対策としては、処理量を下げて、粉砕圧を下げることによってソフト粉砕を行うなどして粉砕条件を工夫するか、微粉砕後または分級後にさらに表面改質処理工程を加えることが好ましい。
【0155】
具体的には、機械式粉砕機を用いることで、トナーの円形度を上げたい場合には、装置内負荷を上げ、装置内温度を上昇させ、逆に、トナーの円形度を下げたい場合には、装置内負荷を下げ、装置内温度を下げることで容易に円形度をコントロールすることができる。
【0156】
前述のように、微粉砕後または分級後に表面改質工程を加えることにより、より大きな円形度のトナーを得ることが可能になる。熱気流中に粉体を噴霧させる「熱球形化処理」や、機械的衝撃力によるものである。衝撃力による球形化処理としては、具体的には、ホソカワミクロン社製のメカノフュージョンシステムや奈良機械製作所製のハイブリダイゼーションシステムのように、高速回転する羽根によりトナーをケーシングの内側に遠心力により押し付け、摩擦力・圧縮力によりトナーに機械的衝撃力を与え、球形化する方法が挙げられる。
【0157】
本発明のトナーを最適に生産できる機械式粉砕・分級システムは、混練過程において、溶融混練・冷却・粗粉砕することによって得られた粗粉砕物からなる粉体原料を、第1定量供給機に導入し、少なくとも中心回転軸に取り付けられた回転体からなる回転子と、該回転子表面と一定間隔を保持して回転子の周囲に配置されている固定子とを具備し、且つ間隔を保持することによって形成される環状空間が気密状態となるように構成されている機械式粉砕機内に、上記第1定量供給機から所定量の粉体原料を該機械式粉砕機の粉体導入口を介して導入し、該機械式粉砕機の上記回転子を高速回転させることによって粉体原料を微粉砕する。このとき、冷却装置、回転子の周速、負荷、または回転子と固定子の最小間隔を微調節することによって、粒度・円形度を制御することが可能である。
【0158】
該微粉砕された微粉砕物を機械式粉砕機の粉体排出口から排出して第2定量供給機に導入し、第2定量供給機から所定量の微粉砕物を、交差気流とコアンダ効果を利用して粉体を気流分級する多分割気流式分級機に導入し、該多分割気流式分級機内で微粉砕物を少なくとも微粉体、中粉体及び粗粉体に分級し、分級された粗粉体を粉体原料と混入し、上記機械式粉砕機に導入して粉砕し、分級された中粉体からトナーを生成するシステムである。
【0159】
以下に、本発明の実施態様を示す。
【0160】
〔実施態様1〕
少なくとも結着樹脂と磁性体を含有する磁性トナーにおいて、
該磁性体が、
▲1▼平均粒子径が0.1〜0.3μmの酸化鉄粒子であり、
▲2▼酸化鉄粒子総量に対して、チタンに換算して0.3〜1.5質量%のチタンを含有し、
且つ、トナー中に含イオウ樹脂を含有し、
さらに、下記式(1)により求められる円形度(a)の個数基準の円形度分布において、
円形度(a)=L0/L (1)
〔式中、L0は粒子像と同じ投影面積を持つ円の周囲長を示し、Lは粒子像の周囲長を示す。〕
平均円形度が0.94以上であることを特徴とする磁性トナー。
【0161】
〔実施態様2〕
実施態様1において、酸化鉄粒子が、粒子表面から10質量%中における総Fe量に対するFeOの割合(A%)と、残りの90質量%中における総Fe量に対するFeOの割合(B%)との比が下記式(2)を満足する。
【0162】
0.7≦A/B≦1 (2)
【0163】
〔実施態様3〕
実施態様1または2において、酸化鉄粒子が八面体形状である。
【0164】
〔実施態様4〕
実施態様1乃至3のいずれかにおいて、酸化鉄粒子が結着樹脂100質量部に対して50〜150質量部含有されている。
【0165】
〔実施態様5〕
実施態様1乃至4のいずれかにおいて、酸化鉄粒子が結着樹脂100質量部に対して60〜120質量部含有されている。
【0166】
〔実施態様6〕
実施態様1乃至5のいずれかにおいて、酸化鉄粒子が酸化鉄粒子総量に対して、チタンに換算して0.4〜1.2質量%チタンを含有する。
【0167】
〔実施態様7〕
実施態様1乃至6のいずれかにおいて、含イオウ樹脂がスルホン酸基を含有する。
【0168】
〔実施態様8〕
実施態様7において、含イオウ樹脂がアクリルアミドスルホン酸系モノマーの共重合体である。
【0169】
〔実施態様9〕
実施態様8において、含イオウ樹脂が、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸を重合成分として含む。
【0170】
〔実施態様10〕
実施態様1乃至9のいずれかにおいて、該結着樹脂が少なくともポリエステル樹脂とビニル系樹脂を含有し、各々の樹脂を合成するために使用されたポリエステル系モノマーとビニル系モノマーの質量比が50/50〜90/10である。
【0171】
〔実施態様11〕
実施態様1乃至9のいずれかにおいて、結着樹脂がポリエステル樹脂とビニル系樹脂とが反応したハイブリッド樹脂を含有し、該樹脂を合成するために使用されたポリエステル系モノマーとビニル系モノマーとの質量比が、50/50〜90/10である。
【0172】
〔実施態様12〕
実施態様1乃至9のいずれかにおいて、結着樹脂がポリエステル樹脂とビニル系樹脂とが反応したハイブリッド樹脂を含有し、該樹脂を合成するために使用されたポリエステル系モノマーとビニル系モノマーとの質量比が、60/40〜85/15である。
【0173】
〔実施態様13〕
実施態様10乃至12のいずれかにおいて、ポリエステル系樹脂が、三価以上の多価カルボン酸またはその無水物及び/または三価以上の多価アルコールで架橋された構造を有している。
【0174】
【実施例】
以下実施例によって本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0175】
(1)酸化鉄粒子の製造
(酸化鉄粒子の製造例1)
2mol/lの硫酸第一鉄水溶液50リットルに、0.14mol/lの硫酸チタニル水溶液5リットルを、pH=1、温度50℃の条件下で混合させ、十分攪拌する。このチタン塩含有硫酸第一鉄水溶液と、5mol/lの水酸化ナトリウム水溶液43リットルを混合して水酸化第一鉄スラリーを得る。この水酸化第一鉄スラリーをpH=12に維持し、85℃にて空気を吹き込み酸化反応を行った。得られたマグネタイト粒子を含むスラリーを常法のろ過、洗浄、乾燥、粉砕を行ない、酸化鉄粒子(M−1)を得た。得られた酸化鉄粒子は、下記に示す方法にて分析した。分析結果を表1に示す。
【0176】
(a)平均粒子径
走査型電子顕微鏡(30000倍)の写真を撮影し、フェレ径にて算出した。
【0177】
(b)磁気特性
東英工業製振動試料型磁力計「VSM−P7」を使用して、外部磁場796kA/mにて測定した。
【0178】
(c)表面/内部FeO比
3.8リットルの脱イオン水に試料25gを加え、ウオーターバスで35〜40℃を保ちながら、攪拌速度200rpmで攪拌した。このスラリー中に特急塩酸試薬424mlを溶解した塩酸水溶液(脱イオン水)1250mlを加え、溶解を開始する。溶解開始から全て溶解して透明になるまで、10分毎に50mlサンプリングし、0.1μmメンブランフィルターでろ過して、ろ液を採取した。採取したろ液の内、25mlをプラズマ発光分析(ICP)によって鉄元素の定量を行った。
【0179】
【数3】
Figure 0004012060
【0180】
各サンプルのFeO含有量は、残りのろ液25mlに脱イオン水約75mlを加えて試料を調整して、指示薬としてジフェニルアミンスルホン酸ナトリウムを加えて、0.1N−重クロム酸カリウムを用いて酸化還元滴定し、該試料が青紫色に着色したところを終点として滴定量を求め、次式によりFeOの鉄元素に対する比率(質量%)を求めた。
【0181】
【数4】
Figure 0004012060
【0182】
粒子表面から10質量%中における総Fe量に対するFeOの割合及び残りの90質量%中における総Fe量に対するFeOの割合は、各部位に含有されるFeO含有量を各部位に含有されるFe量に対する割合(質量%)で求めた。そして、次式にて表面/内部FeO比を求めた。
【0183】
【数5】
Figure 0004012060
【0184】
(d)酸化鉄粒子中のTi含有量測定
試料を溶解して、ICPにて酸化鉄粒子中のTiの含有量を測定した。
【0185】
(酸化鉄粒子の製造例2〜8)
酸化鉄粒子の製造例1における硫酸チタニル水溶液の添加量を変更した以外は同様にして、酸化鉄粒子(M−2)〜(M−8)を得た。尚、(M−4)製造時には乾燥条件も真空乾燥を採用することで、表面FeO量増加を試みた。得られた酸化鉄粒子の分析結果を表1に示す。
【0186】
(酸化鉄粒子の製造例9〜11)
酸化鉄粒子の製造例1における、空気流入量及び反応温度、反応時間を変更する以外は同様にして、酸化鉄粒子(M−9)〜(M−11)を得た。得られた酸化鉄粒子の分析結果を表1に示す。
【0187】
(酸化鉄粒子の製造例12)
酸化鉄粒子の製造例1において硫酸チタニル水溶液を添加しなかった以外は同様にして、酸化鉄粒子(M−12)を得た。得られた酸化鉄粒子の分析結果を表1に示す。
【0188】
(酸化鉄粒子の製造例13)
2mol/lの硫酸第一鉄水溶液50リットルに、0.14mol/lの硫酸チタニル水溶液5.2リットルを、pH=2.5、温度75℃の条件下で混合させ、十分攪拌する。このチタン塩含有硫酸第一鉄水溶液と、5mol/lの水酸化ナトリウム水溶液43リットルを混合して水酸化第一鉄スラリーを得る。この水酸化第一鉄スラリーのpHを12に維持し、85℃にて空気を吹き込み酸化反応を行った。得られたマグネタイト粒子を含むスラリーを常法のろ過、洗浄、乾燥、粉砕を行ない、酸化鉄粒子(M−13)を得た。得られた酸化鉄粒子の分析結果を表1に示す。
【0189】
(酸化鉄粒子の製造例14)
酸化鉄粒子の製造例1において、水酸化第一鉄スラリーを生成させる際のアルカリ溶液量を調整し、水酸化第一鉄スラリーのpHが7.8となるように調整した以外は同様にして、酸化鉄粒子(M−14)を得た。得られた酸化鉄粒子の分析結果を表1に示す。
【0190】
【表1】
Figure 0004012060
【0191】
(2)含イオウ樹脂の製造
(含イオウ樹脂の製造例1)
・メタノール 300質量部
・トルエン 100質量部
・スチレン 480質量部
・2−エチルヘキシルアクリレート 78質量部
・2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸 42質量部
・ラウロイルパーオキサイド 6質量部
上記原料をフラスコに仕込み、撹拌装置、温度測定装置、窒素導入装置を装着して、窒素雰囲気下70℃で溶液重合させ、10時間保持して重合反応を終了させた。得られた重合物を減圧乾燥・粗粉砕して、重量平均分子量(Mw)33000、ガラス転移点(Tg)73.8℃、平均粒子径420μmの含イオウ樹脂aを得た。
【0192】
(含イオウ樹脂の製造例2)
・メタノール 300質量部
・トルエン 100質量部
・4−tert−ブチルスチレン 570質量部
・2−アクリルアミド−n−ヘキサンスルホン酸 30質量部
・ラウロイルパーオキサイド 10質量部
上記原料を用いる他は、含イオウ樹脂の製造例1と同様にして、重量平均分子量(Mw)31000、ガラス転移点(Tg)72.5℃、平均粒子径380μmの含イオウ樹脂bを得た。
【0193】
(3)結着樹脂の製造
(結着樹脂の製造例1)
・フマル酸 346g
・無水トリメリット酸 355g
・プロポキシ化ビスフェノールA 1060g
・エトキシ化ビスフェノールA 966g
上記ポリエステルモノマーをエステル化触媒と共にオートクレーブに仕込み、減圧装置、水分離装置、窒素ガス導入装置、温度測定装置及び撹拌装置を装着して窒素雰囲気下、減圧しながら常法に従って210℃まで加熱しながら縮重合反応を行うことにより、樹脂Aを得た。
【0194】
(結着樹脂の製造例2)
・テレフタル酸 610g
・無水トリメリット酸 610g
・フマル酸 310g
・プロポキシ化ビスフェノールA 1050g
・エトキシ化ビスフェノールA 450g
上記ポリエステルモノマーを、炭化水素系ワックス:189g、エステル化触媒とともに4口フラスコに仕込み、減圧装置、水分離装置、窒素ガス導入装置、温度測定装置及び撹拌装置を装着して窒素雰囲気下にて130℃の温度で撹拌しつつ、ビニル系樹脂モノマー(スチレン621g、2−エチルヘキシルアクリレート136g、ジビニルベンゼン0.13g)を混合したものを滴下ロートから4時間かけて滴下した。130℃に保持したまま3時間熟成し、230℃に昇温して反応を行った。反応終了後容器から取り出し、冷却、粉砕し、樹脂Bを得た。
【0195】
(結着樹脂の製造例3〜8)
結着樹脂の製造例2において、表2に示すようなモノマーに変更したこと以外は同様にして、樹脂C〜Hを得た。
【0196】
【表2】
Figure 0004012060
【0197】
〔実施例1〕
・樹脂A 100質量部
・酸化鉄粒子(M−1) 90質量部
(平均粒子径:0.14μm、795.8kA/m磁場でのHc:11.7kA/m、σs:86.3Am2/kg、σr:15.5Am2/kg)
・含イオウ樹脂a 2質量部
・炭化水素系ワックス 4質量部
上記の処方の材料を、ヘンシェルミキサー(FM−75型、三井三池化工機(株)製)でよく混合した後、温度130℃に設定した2軸混練機(PCM−30型、池貝鉄工(株)製)にて混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、トナー製造用粉体原料である粉体原料A(粗粉砕物)を得た。
【0198】
粉体原料Aをターボ工業社製ターボミルT−250型を用い、粗砕品供給量を20kg/hrとして、機械式粉砕機内の入口温度は−10℃、出口温度は48℃となるように粉砕し、重量平均径が7.3μmである微粉砕品を得た。
【0199】
次いで、風力分級機で分級することで、重量平均径が7.4μmである分級品(B−1)を得た。この分級品(B−1)100質量部に対して、疎水性シリカ微粉体(BET比表面積:300m2/g)1.2質量部をヘンシェルミキサーにて外添添加して評価用トナー1とした。
【0200】
このトナーは表3に示すように重量平均径が7.3μmであり、FPIA 1000にて測定した結果、平均円形度が0.954であった。
【0201】
(評価1)
キヤノン製複写機「IR6000」の現像、感光体、光学、紙搬送系等を全て調整して複写速度を20%アップさせ、さらに転写前帯電器(ポスト帯電器)を取り外した。
【0202】
上記改造機と評価用トナー1を、高温高湿環境室(32.5℃/85%RH)に二晩(24時間以上)放置した。このとき、結露防止として、高温高湿環境室に入れる際、トナー及び「IR6000」改造機をビニールで包装し、6時間以上調温・調湿後開封した。二晩放置後、トナーを現像器に補給し、現像器の質量を測定後、「IR6000」へ設置し、現像スリーブを3分間空回転させた。このとき、本体内のクリーナー部及び廃トナー回収部は事前に一旦取り外し、質量を測定しておく。印字比率6%のテストチャートを用いて、500枚画出しを行い転写率を評価した。評価用トナー1の転写率は90%となった。
【0203】
転写率は以下の計算式で算出した。
【0204】
【数6】
Figure 0004012060
【0205】
(評価2)
評価1で使用した改造機に転写前帯電器(ポスト帯電器)を装備させた「IR6000」改造機を、評価用トナー1とともに、常温低湿室(23℃/5%)に一晩(12時間以上)放置した。その後、改造機にトナーを設置し、現像スリーブを1分間空回転させた。印字比率4%のテストチャートを用いて、1000枚画出しを行い、テストチャート上の白部のカブリと文字周辺へのトナーの飛び散り具合に関して画質評価を行った。カブリは初期から1000枚目まで0.3〜1.0%であり、実用上問題の無いレベルであった。また、1000枚後の字周辺の飛び散りに関しても、ルーペで目視確認したが、ほとんど無い状態だった。
【0206】
〈カブリ〉
カブリ測定用反射測定機「リフレクトメーター」(東京電色(株))にて、上記の画像の白部及び未使用紙の反射率を測定し、両者の差をカブリ(%)とした。結果を表4に示す。尚、評価基準は以下の通りである。
◎:カブリ0.3%未満
○:カブリ0.3%以上1.0%未満
△:カブリ1.0%以上2.0%未満
×:カブリ2.0%以上2.5%未満
××:カブリ2.5%以上
【0207】
〈飛び散り〉
文字周辺へのトナー飛び散り具合は画像上の文字をルーペにて拡大して、目視にて判断した。結果を表4に示す。評価基準は以下の通りである。
◎:文字周辺に飛び散ったトナーが無い。
○:文字周辺に飛び散ったトナーが極僅か確認できる。
△:文字周辺に飛び散ったトナーがあるが、ラインははっきりしている。
×:文字周辺に飛び散ったトナーが多数存在する。
××:文字周辺に飛び散ったトナーが多数存在し、ラインもはっきりしない。
【0208】
(評価3)
評価2で使用した「IR6000」改造機と評価用トナー1を、高温高湿環境下(32.5℃/85%)に二晩(24時間以上)放置した。このとき、評価1と同様に調温・調湿後開封した。二晩放置後、現像スリーブを3分間回転させたのち、印字比率5%のテストチャートを用いて、100万枚の通紙試験を行い、耐久前後での画像濃度の比較、ハーフトーン画像及びべた画像の黒味変動、及び耐久後のカブリ、感光体へのトナー付着を評価した。
【0209】
〈濃度安定性〉
マクベス濃度計(マクベス社製)でSPIフィルターを使用して反射濃度測定を行い、画像中の5mm丸(5φ)の画像濃度を測定し、耐久初期の値と耐久後の濃度差で評価した。結果を表4に示す。評価基準は以下の通りである。
◎:優れている(0.02未満)
○:良好(0.02−0.08未満)
△:問題なし(0.08−0.2未満)
×:問題あり(0.2以上)
【0210】
〈黒味変動〉
黒味変動の評価は、中濃度域とべた画像についてそれぞれ色調測定を行い定量的に評価した。
【0211】
耐久前に、中濃度域のハーフトーン画像において、透過濃度が1.1となるように、現像コントラストを調整後、A3用紙にてハーフトーン画像3枚を出力し、出力した3枚目の画像の色調を測定し、さらに、べた黒画像の透過濃度が1.7となるように現像コントラストを調整後、A3用紙にてべた黒画像3枚を出力し、出力した3枚目のべた黒画像の色調を測定した。100万枚の耐久後に、ハーフトーン画像及びべた黒画像を、それぞれ耐久前に出力したときと同じ現像コントラストで同様に色調を測定することによって判断した。色調測定は1976年に国際照明委員会(CIE)で規格された表色系の定義に基づき、定量的に測定した。測定機にはX−Rite社製分光測色計タイプ938を用い、観察用光源はC光源、視野角は2°とした。その結果、耐久前のべた画像においては、a値が+0.30、b値が−0.49、L値が+20.5、ハーフトーン画像においては、a値が+0.38、b値が−0.33、L値が+24.5であったが、耐久後のべた画像では、a値が+0.34、b値が−0.42、L値が+20.6となり、ハーフトーン画像においては、a値が+0.39、b値が−0.11、L値が+24.6となり、べた画像・ハーフトーン画像共に若干赤味がかる方向であったが、全く問題のないレベルであった。結果を表5に示す。
【0212】
〈カブリ〉
測定方法及び評価基準は、評価2に記載のカブリの評価と同じである。結果を表4に示す。
【0213】
〈トナー付着〉
トナー付着の評価は、べた黒画像における画像欠陥である白点の個数によって評価した。結果を表4に示す。評価基準は以下の通りである。
◎:白点が10万枚の耐久後にも、5個以下。
〇:白点が5万枚の耐久後に5個以下で、実用上問題なし。
△:白点が3万枚の耐久後に5個以下、30万枚の耐久後に5個以上。
×:白点が3万枚の耐久後に5個以上確認できる。実用上問題あり。
【0214】
(評価4)
キヤノン製「CLC700」を、現像手段として感光体に対しロータリー型の現像装置を配置したものに改造し、ロータリー型現像装置の4ステーションのうち、3ステーションを非磁性トナー現像のための二成分現像装置、1ステーションを磁性トナーを現像するための磁性一成分(ジャンピング)現像装置に改造した。
【0215】
二成分現像装置としては、現像スリーブとしてアルミコートスリーブを使用し、スリーブと感光体間を450μmに設定した。現像に使用する交流バイアスはピークトゥピークの電界強度で1300Vpp、周波数は2000Hzとした。一成分現像装置としては、現像スリーブとしてカーボンコートスリーブを使用し、スリーブと感光体間を250μmに設定した。現像に使用する交流バイアスは、ピークトゥピークの電界強度で1500Vpp、周波数は2700Hzとした。
【0216】
磁性トナーとして、評価用トナー1を用い、イエロー、シアン、マゼンタの各色のカラートナーは、キヤノン製CLC700用のカラートナーを使用し、改造機に設置した。
【0217】
上記トナーと「CLC700」改造機を、高温高湿環境下(32.5℃/85%)に二晩(24時間以上)放置した。このとき、評価1と同様に調温・調湿した。二晩放置後、印字比率6%のブラック単色のテストチャートを用いて、10万枚の通紙を行ったのち、オリジナルカラーチャートを用いて、フルカラー画像を出力した。
【0218】
この画像について、複写機開発及びトナー開発に関わる10人に目視にて黒味確認してもらったところ、10人全員が、フルカラー画像中のブラック部分に違和感はなく、オリジナルカラーチャートを忠実に再現しているとの回答を出した。結果を表5に示す。評価基準を以下に示す。
◎:10人全員が違和感無しと判定
○:8人以上10人未満が違和感無しと判定
△:6人以上8人未満が違和感無しと判定
×:5人以上7人未満がブラック部分の赤味が強く、違和感ありと判定
××:7人以上がブラック部分の赤味が強く、違和感ありと判定
【0219】
〔実施例2〕
実施例1で使用した酸化鉄粒子(M−1)の代わりに、酸化鉄粒子(M−3)を使用した以外は実施例1と同様に混合、混練、粗粉砕を行い、粉体原料B(粗粉砕物)を得た。この粉体原料Bを、日本ニューマチック工業社製I−2型ミルを用い、粗砕品供給量を1.8kg/hr、粉砕圧2.5kgPaとし、さらに、所定の粒径に粉砕されなかったトナー粗砕品は再度、粉砕機内へ戻るように設定して粉砕し、重量平均径が7.3μmである微粉砕品を得た。さらに、風力分級機で分級することで、重量平均径が7.4μmである分級品(B−2)を得た。
【0220】
この分級品(B−2)100質量部に対して、疎水性シリカ微粉体(BET比表面積:300m2/g)1.0質量部とチタン酸ストロンチウム(平均粒径:1.8μm)4.0質量部をヘンシェルミキサーにて外添添加して評価用トナー2とした。このトナーの重量平均径、平均円形度を表3に示す。評価用トナー2を実施例1と同様に評価して、表4、5に示す結果を得た。
【0221】
〔実施例3〕
実施例1で使用した酸化鉄粒子(M−1)の代わりに、酸化鉄粒子(M−4)を使用した以外は実施例1と同様に混合、混練、粗粉砕を行い、粉体原料C(粗粉砕物)を得た。この粉体原料Cを、日本ニューマチック工業社製I−2型ミルを用い、粗砕品供給量を5.5kg/hr、粉砕圧6.0kgPaとした以外は、実施例2と同様にして粉砕し、微粉砕品を得た。続いて、この微粉砕品を奈良機械製作所製のハイブリダイゼーションシステムに通すことで、トナーに機械的衝撃力を与えた後、実施例2と同様に風力分級機で分級し、重量平均径が6.0μmである分級品(C−2)を得た。この分級品を実施例2と同様にして外添処理し、評価用トナー3を得た。このトナーの重量平均径、平均円形度を表3に示す。評価用トナー3を実施例1と同様に評価して、表4、5に示す結果を得た。
【0222】
〔実施例4〜7〕
実施例1で使用した酸化鉄粒子(M−1)の代わりに、酸化鉄粒子(M−5)、(M−6)、(M−7)、(M−10)とし、(M−10)については内添量を75質量部とし、機械式粉砕機で微粉砕する際の粗砕品供給量及び、粉砕機内の入口温度と出口温度を任意に調整した以外は全て実施例1と同様にして、評価用トナー4〜7を得た。これらのトナーの粒度、円形度を表3に示す。評価用トナー4〜7を実施例1と同様に評価して、表4、5に示す結果を得た。
【0223】
〔実施例8〕
実施例1で使用した酸化鉄粒子(M−1)の代わりに、酸化鉄粒子(M−13)を使用した以外は実施例1と同様に混合、混練、粗粉砕、微粉砕を行い、微粉砕品を得た。この微粉砕品を65℃に設定した熱球形化装置を通すこと以外は、実施例1と同様にして、評価用トナー8を作成した。このトナーの重量平均径、平均円形度を表3に示す。評価用トナー3を実施例1と同様に評価して、表4、5に示す結果を得た。
【0224】
〔実施例9〜13〕
実施例1において、結着樹脂、酸化鉄粒子、含イオウ樹脂について、表3に示す種類・内添量に変更し、機械式粉砕機で微粉砕する際の粗砕品供給量及び、粉砕機内の入口温度と出口温度を任意に調整した以外は全て実施例1と同様にして、評価用トナー9〜13を得た。これらのトナーの重量平均径、平均円形度を表3に示す。これらの評価用トナーを実施例1と同様に評価して、表4、5に示す結果を得た。
【0225】
〔実施例14〕
・樹脂B 100質量部
・酸化鉄粒子(M−1) 90質量部
(平均粒子径:0.14μm、795.8kA/m磁場でのHc:11.7kA/m、σs:86.3Am2/kg、σr:15.5Am2/kg)
・含イオウ樹脂a 2質量部
実施例1において、上記の処方の材料を用いたこと以外は全て実施例1と同様にして、評価用トナー14を得た。このトナーの重量平均径、平均円形度を表3に示す。この評価用トナーを実施例1と同様に評価して、表4、5に示す結果を得た。
【0226】
〔実施例15〜20〕
実施例14において、結着樹脂、酸化鉄粒子、含イオウ樹脂について、表3に示す種類・内添量に変更し、機械式粉砕機で微粉砕する際の粗砕品供給量及び、粉砕機内の入口温度と出口温度を任意に調整した以外は全て実施例14と同様にして、評価用トナー15〜20を得た。ただし、評価用トナー16及び20に関しては、微粉砕品が得られた段階で、実施例3で使用したハイブリダイゼーションシステムに導入することにより機械的衝撃力を与えた。これらのトナーの重量平均径、平均円形度を表3に示す。これらの評価用トナーを実施例1と同様に評価して、表4、5に示す結果を得た。
【0227】
〔比較例1〜5〕
実施例1で使用した酸化鉄粒子(M−1)の代わりに、酸化鉄粒子(M−2)、(M−8)、(M−9)、(M−11)、(M−12)を使用し、機械式粉砕機で微粉砕する際の粗砕品供給量及び、粉砕機内の入口温度と出口温度を任意に調整した以外は実施例1と同様にして、比較評価用トナー22〜26を得た。これらのトナーの重量平均径、平均円形度を表3に示す。これらの評価用トナーを実施例1と同様に評価して、表4、5に示す結果を得た。
【0228】
〔比較例6〕
・樹脂B 100質量部
・酸化鉄粒子(M−3) 120質量部
(平均粒子径:0.16μm、795.8kA/m磁場でのHc:11.7kA/m、σs:83.4Am2/kg、σr:15.4Am2/kg)
・アゾ系鉄錯体化合物 2質量部
上記の処方の材料を使用して、機械式粉砕機で微粉砕する際の粗砕品供給量及び、粉砕機内の入口温度と出口温度を任意に調整した以外は実施例1と同様にして、比較評価用トナー27を得た。このトナーの重量平均径、平均円形度を表3に示す。この評価用トナーを実施例1と同様に評価して、表4、5に示す結果を得た。
【0229】
〔比較例7〕
実施例1で使用した含イオウ樹脂aの代わりに、含イオウ樹脂bを使用し、機械式粉砕機で微粉砕する際の粗砕品供給量及び、粉砕機内の入口温度と出口温度を任意に調整した以外は実施例1と同様にして、比較評価用トナー28を得た。このトナーの重量平均径、平均円形度を表3に示す。この評価用トナーを実施例1と同様に評価して、表4、5に示す結果を得た。
【0230】
【表3】
Figure 0004012060
【0231】
【表4】
Figure 0004012060
【0232】
【表5】
Figure 0004012060
【0233】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、トナー粒子の形状を球形に近づけて転写効率を向上させた上で、帯電安定性、耐久安定性及び高現像性に優れ、フルカラー画像においても違和感のない、高い黒色品位を維持する磁性トナーが提供される。

Claims (13)

  1. 少なくとも結着樹脂と磁性体を含有する磁性トナーにおいて、
    該磁性体が、
    〔1〕平均粒子径が0.1〜0.3μmの酸化鉄粒子であり、
    〔2〕酸化鉄粒子総量に対して、チタンに換算して0.3〜1.5質量%のチタンを含有し、
    且つ、トナー中に含イオウ樹脂を含有し、
    さらに、下記式(1)により求められる円形度(a)の個数基準の円形度分布において、
    円形度(a)=L0/L(1)
    〔式中、L0は粒子像と同じ投影面積を持つ円の周囲長を示し、Lは粒子像の周囲長を示す。〕
    平均円形度が0.94以上であることを特徴とする磁性トナー。
  2. 前記酸化鉄粒子が、粒子表面から10質量%中における総Fe量に対するFeOの割合(A%)と、残りの90質量%中における総Fe量に対するFeOの割合(B%)との比が下記式(2)を満足する請求項1に記載の磁性トナー。
    0.7≦A/B≦1 (2)
  3. 前記酸化鉄粒子が八面体形状である請求項1または2に記載の磁性トナー。
  4. 前記酸化鉄粒子が結着樹脂100質量部に対して50〜150質量部含有されている請求項1乃至3のいずれかに記載の磁性トナー。
  5. 前記酸化鉄粒子が結着樹脂100質量部に対して60〜120質量部含有されている請求項1乃至3のいずれかに記載の磁性トナー。
  6. 前記酸化鉄粒子が酸化鉄粒子総量に対して、チタンに換算して0.4〜1.2質量%チタンを含有する請求項1乃至5のいずれかに記載の磁性トナー。
  7. 前記含イオウ樹脂がスルホン酸基を含有する請求項1乃至6のいずれかに記載の磁性トナー。
  8. 前記含イオウ樹脂がアクリルアミドスルホン酸系モノマーの共重合体である請求項7に記載の磁性トナー。
  9. 前記含イオウ樹脂が、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸を重合成分として含む請求項8に記載の磁性トナー。
  10. 前記結着樹脂が少なくともポリエステル樹脂とビニル系樹脂を含有し、各々の樹脂を合成するために使用されたポリエステル系モノマーとビニル系モノマーの質量比が50/50〜90/10である請求項1乃至9のいずれかに記載の磁性トナー。
  11. 前記結着樹脂がポリエステル樹脂とビニル系樹脂とが反応したハイブリッド樹脂を含有し、該樹脂を合成するために使用されたポリエステル系モノマーとビニル系モノマーとの質量比が、50/50〜90/10である請求項1乃至9のいずれかに記載の磁性トナー。
  12. 前記結着樹脂がポリエステル樹脂とビニル系樹脂とが反応したハイブリッド樹脂を含有し、該樹脂を合成するために使用されたポリエステル系モノマーとビニル系モノマーとの質量比が、60/40〜85/15である請求項1乃至9のいずれかに記載の磁性トナー。
  13. 前記ポリエステル系樹脂が、三価以上の多価カルボン酸またはその無水物及び/または三価以上の多価アルコールで架橋された構造を有している請求項10乃至12のいずれかに記載の磁性トナー。
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