JP4011822B2

JP4011822B2 - 金属ガスケット

Info

Publication number: JP4011822B2
Application number: JP2000082122A
Authority: JP
Inventors: 道夫藤野; 雄規上田; 敏彦熊坂; 正哉関
Original assignee: Nichias Corp
Current assignee: Nichias Corp
Priority date: 2000-03-23
Filing date: 2000-03-23
Publication date: 2007-11-21
Anticipated expiration: 2020-03-23
Also published as: JP2001271936A

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明の内燃機関を構成するシリンダブロックとチェーンケースとシリンダヘツドの三面合わせ部を含む接合シールに用いられる金属ガスケットの改良に関する。
【０００２】
【従来の技術】
チェーン駆動のエンジンでは、図７〜図８に示すように、シリンダブロック１に、これと別に製作されたチェーンケース２が隣接して締結され、これらの面とシリンダヘッド３の下面との三面合わせ部に金属ガスケットＡを介装して締結することにより、前記三面合わせ部にシール機能を付与している。Ｂはシリンダブロックとチェーンケースとの接合面に介装された金属ガスケットであり、（イーイ）線は接合境界を示している。
【０００３】
上記のようにチェーンケース２をシリンダブロック１と別個に製作して締結した構成では、図９に示すように、シリンダブロック１とチェーンケース２のあいだに、熱膨張差により段差ｈが発生する。
【０００４】
上記段差ｈの発生は、チェーンケースカバーの穴部２ａに対するシール機能の低下を招くことから、例えば、図１０〜図１１（図１０のＸ₁−Ｘ₁線断面図）に示すように、金属ガスケットＡ側のチェーン用開口４を囲む部分に、前記段差ｈを跨ぐエラストマビード等による断面半円形の弾性シール部材５を設け、これに図１２（図１０のＸ₃−Ｘ₃線断面図）に示すように、ペースト状液状ガスケット剤６を併用し、良好なシール性を確保する手段が適用されている。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、シリンダブロックとチェーンケースカバーとの間で、エンジンの冷熱に伴って、それぞれの材質で熱膨張に差が生じる結果、前記段差ｈが変動する。
このように、前記段差ｈが変動することにより、金属ガスケットに設けたシール部材５の弾性にも変化が生じる。
【０００６】
また、一方で、シリンダブロックとチェーンケースカバー間の上面の液状ガスケット剤の体積が少ないと、冷熱による段差変動時に液状ガスケット剤の追従量が少なくなる。このためエンジンオイルの漏れが発生することになる。つまり液状ガスケット剤を併用しても、シール性能が低下し、漏れに至ることがある。
【０００７】
本発明は、シリンダブロックとチェーンケースカバーとの熱膨張差が原因となって段差ｈが変動することによるエンジンオイルの漏れを防止することができる金属ガスケットを提供することを主たる目的としている。
【０００８】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するため、シリンダブロックとチェーンケースとシリンダヘッドの三面合わせ部を含む接合シールに用いられる金属ガスケットであって、前記金属ガスケットのチェーン用開口の内周縁に弾性シール部材が装着されており、前記弾性シール部材のうち、前記三面合わせ部に配置される部分では、ガスケットの金属部分と共に弾性シール部材をシール軌跡が外側に向くように膨らませ、その膨らませ部分で作られた空所部を液状ガスケット剤の貯留部とし、該貯留部に貯留された液状ガスケット剤により前記三面合せ部をシールすることを特徴とする金属ガスケットを要旨としている。
【０００９】
【発明の実施の形態】
本発明の好ましい実施の形態としては、図１〜図４に示すように、チェーン駆動のエンジンに配設される金属ガスケットＡにおいて、金属ガスケットＡのチェーン用開口４の内周縁に弾性シール部材７を装着し、前記弾性シール部材７のうち、シリンダブロック１とチェーンケース２とシリンダヘッドの三面合わせ部に配置される部分では、ガスケットの金属部分と共に弾性シール部材７をシール軌跡が外側に向くように膨らませ、その膨らませ部分７ａで作られた空所部８を液状ガスケット剤の貯留部として構成する。
【００１０】
【実施例】
図１〜図４に、本発明の一実施例を示す。なお、図７〜図１２と同一または類似する部材には同じ符号が付されている。
即ち、Ａは金属ガスケットであり、この金属ガスケットＡのチェーン用開口４の内周縁に断面円形のゴム製弾性シール部材７が挟み込みで装着されている。図２は、図１のＹ₁−Ｙ₁線で切断した弾性シール部材７を示したものである。
【００１１】
上記弾性シール部材７のうち、シリンダブロック、チェーンケースカバーおよびシリンダヘッドの三面合わせ部に配置される部分では、ガスケットの金属部分と共に外周側に膨らませ、この膨らませ部分７ａで作られた空所部８が液状ガスケット剤の貯留部とされている。
三面合わせ部に配置する金属ガスケットＡのチェーン用開口４の内周縁に装着された弾性シール部材７のシール軌跡を外側に向くように膨らませることにより、図５（図４のＹ₂−Ｙ₂線断面図）及び図６（図１０のＸ₂−Ｘ₂線断面図）に示すように、液状ガスケット剤６によるシール幅をＷ₁＞Ｗ₂と広く確保できる。また、図５〜図６に示すように、弾性シール部材７の圧縮時の直径分の厚さｈ₁＞ｈ₂だけの液状ガスケット剤を貯留できる。
【００１２】
したがって、冷熱サイクルによってシリンダブロックとチェーンケースカバーとの間の段差ｈが変動しても、十分な量の液状ガスケット剤が三面合わせ部に存在することになるから、エンジンオイルの漏れを防ぐことができる。
【００１３】
前記断面円形のゴム製弾性シール部材７は、図３〔Ｉ〕，〔II〕，〔III〕に示すように、金属ガスケット側に挟着することができる。
図３〔Ｉ〕は、金属ガスケットにテーパー部を設け、そのテーパー部から内周部に連結部７−１を介して弾性シール部材７を設けた構造である。そして連結部７−１には、弾性シール部材７が圧縮された際のゴムの逃げ道となるくびれ部７−２を設けている。
図３〔II〕は、前記テーパー部を台形形状、図３〔III〕は、前記テーパー部をテーパー付き台形形状としたもののほかに他のテーパー形状としてもよい。
図３〔Ｉ〕〜〔III〕の構造は、図２の構造と比較すると、金属ガスケットの板厚まで圧縮することができる。
なお、前記弾性シール部材は断面円形のものに限らず、例えば断面角形のものであってもよく、上記のシール機能が得られるものであれば、他の断面形状を有するものを任意に選択使用することができる。
また、弾性シール部材の材質はゴム材に限定されず、ゴム状弾性を有するものであれば、他の材質のものを任意に選択使用できる。
上記金属ガスケットは、１枚の金属板でなく、耐熱性の薄板を積層したものであってもよい。
また、上記金属ガスケットは、その構造に特別な制限はなく、例えばチェーンケースの上面に重ね合わされる部分を別個に作り、これをシリンダブロックの上面に重ね合わされる金属ガスケットに結合させた構造にしてもよい。
【００１４】
液状ガスケット剤は、特に材質に限定されることなく、公知のものが使用できる。
上記のように構成した金属ガスケットを、冷熱サイクルシール試験に供したところ、オイル漏れを生じないことが確認されている。
【００１５】
上記実施例では、三面合わせ部として、シリンダブロック、チェーンケース、シリンダヘッドとの合わせ部を例にとったが、他の三面合わせ部、たとえばシリンダブロック、チェーンケース、オイルパンとの合わせ部に適用することもできる。
【００１６】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、シリンダブロックとチェーンケースとシリンダヘッドの三面合わせ部を含む接合シールに用いられる金属ガスケットにおいて、金属ガスケットのチェーン用開口の内周縁に弾性シール部材を装着し、その弾性シール部材のうち、前記三面合わせ部に配置される部分では、ガスケットの金属部分と共に弾性シール部材をシール軌跡が外側に向くように膨らませ、その膨らませ部分で作られた空所部を液状ガスケット剤の貯留部として構成しているので、エンジンの冷熱が起因となり、シリンダブロックとチェーンケースの間の段差が変動しても、それによりエンジンオイル漏れが生じることを確実に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の一実施例を示す金属ガスケットの主要部の平面図である。
【図２】図１のＹ₁−Ｙ線₁の切断拡大図面である。
【図３】〔Ｉ〕，〔II〕，〔III〕は弾性シール部材を金属ガスケットに接合した例の断面図である。
【図４】チェーンケースカバー穴に対する弾性シール部材の配置を示す説明図である。
【図５】図４のＹ₂−Ｙ₂線の断面図である。
【図６】図１０のＸ₂−Ｘ₂線の断面図である。
【図７】従来のチェーン駆動エンジンの概略構成図である。
【図８】上記エンジンチェーンケース、シリンダブロック面の平面図である。
【図９】上記エンジンの分解構成図である。
【図１０】従来のチェーン駆動エンジン用金属ガスケットの平面図である。
【図１１】図１０のＸ₁−Ｘ₁線の切断拡大図面である。
【図１２】図１０のＸ₃−Ｘ₃線の切断図であって、金属ガスケットに液状ガスケット剤を併用させた部分の構造を示す側面図である。
【符号の説明】
１シリンダブロック
２チェーンケース
２ａチェーンケースカバー穴
３シリンダヘッド
４チェーン用開口
Ａ金属ガスケット
Ｂシリンダブロックとチェーンケースの接合部に設けた金属ガスケット
５弾性シール部材
６液状ガスケット剤
７弾性シール部材
７−１弾性シール部材の連結部
７−２くびれ部
７ａ膨らませ部分
８空所部

Claims

シリンダブロックとチェーンケースとシリンダヘッドの三面合わせ部を含む接合シールに用いられる金属ガスケットであって、前記金属ガスケットのチェーン用開口の内周縁に弾性シール部材が装着されており、前記弾性シール部材のうち、前記三面合わせ部に配置される部分では、ガスケットの金属部分と共に弾性シール部材をシール軌跡が外側に向くように膨らませ、その膨らませ部分で作られた空所部を液状ガスケット剤の貯留部とし、該貯留部に貯留された液状ガスケット剤により前記三面合せ部をシールすることを特徴とする金属ガスケット。