JP4007689B2 - 受光回路のパワーセーブ回路 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、赤外線通信分野に用いて好適な受光回路のパワーセーブ回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、2つの装置の間を赤外線等の光で通信することが知られている。データはデジタル形態で伝送され、送信側の装置からはデータの「1」、「0」に応じて赤外線が発光または非発光する。そして、受信側の装置では、赤外線の有無により受信信号が発生し、受信信号に基づきデジタルデータが形成され、情報の伝達が行われる。
【0003】
図2は、受信側の装置に備えられて、受光される赤外線を2値信号に変換する受光回路を示している。図2において、例えばフォトダイオード等の受光素子PDに赤外線が照射されると出力電流が発生し、赤外線が照射されないと出力電流は発生しない。受光素子PDの出力電流は電流電圧変換回路1で電圧信号に変換された後、増幅回路2で増幅される。増幅回路2の出力信号はコンパレータ3に印加され基準電圧と比較される。コンパレータ3の比較によって、増幅回路2の出力信号は波形整形され、信号のなまりが除去される。波形整形により2値信号が生成され、後段の回路で信号処理される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、図2の回路では、データ伝送を正確に行わせるために、その周波数特性はデータの低周波から最高周波数に応答できるように設定されている。電流電圧変換回路1乃至コンパレータ3はオペアンプで構成され、それらの応答特性はオペアンプアンプの特性で決まる。また、電流電圧変換回路1乃至コンパレータ3にはバイアス供給回路4からのバイアス電流が供給されており、各々の回路のオペアンプはバイアス電流を動作電流としている。一般に、オペアンプは、その動作電流が大きくなるに従い、スルーレートが大きくなり、その結果入力信号に対する応答性が良くなるとことが知られている。その為、電流電圧変換回路1乃至コンパレータ3では、バイアス電流を大きく設定して、入力信号の高周波成分にも対応できるようにしていた。
【0005】
しかし、データ伝送は常に行われてはおらず、データ伝送が中断している時は赤外線は受光素子PDに照射されず、全く出力信号は発生しない。このような無信号状態でも、図2の回路ではバイアス電流を大きく設定し、高周波信号に応答できるように設定されていた。その為、図2の受光回路は消費電流が大きくなっていた。特に、このような赤外線通信は携帯情報端末でも行われるようになり、電池駆動である為使用時間に制限のある携帯情報端末に従来の受光回路を使用すると、無駄な消費電流が大きくなり、使用時間が短くなっていた。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に依れば、複数種類の光データ信号を受けることが可能な受光回路に用いられるパワーセーブ回路において、受光回路が待機状態になると、光の有無が検出できる程度に受光回路のバイアス電流を最小限に設定し、通常動作時になると光データ信号の種類に応じて前記バイアス電流を変更することを特徴とする。
【0007】
通常動作時には、受光回路の応答性が伝送されてきたデータの最高周波数に応答するように、前記バイアス電流を設定または変更することを特徴とする。
【0008】
また、少なくとも光受信信号を電流電圧変換する電流電圧変換回路と、前記電流電圧変換回路の出力信号を2値信号に変換するコンパレータと、前記電流電圧変換回路及び前記コンパレータにバイアス電流を供給するバイアス供給回路とを有する受光回路に用いられるパワーセーブ回路において、前記コンパレータの出力に基づいて、受信データの種類を判別し、受信データに応じてバイアス供給回路のバイアス電流量を変更させる判別回路とを備えることを特徴とする。
【0009】
さらに、前記コンパレータの出力信号を検波するレベル検波回路と、該レベル検波回路の出力信号に基づいて、バイアス供給回路を制御するバイアス制御回路とを備え、待機時バイアス制御回路はパワーセーブ信号を発生することを特徴とする。
【0010】
またさらに、パワーセーブ信号発生時、前記電流電圧変換回路及びコンパレータの応答性が前記光受信信号のうち低周波成分に応答可能となるように前記バイアス電流を設定することを特徴とする。また、通常動作時、前記電流電圧変換回路及びコンパレータの応答性が伝送されたデータの最高周波数に応答できるようにバイアス電流を設定及び変更することを特徴とする。
【0011】
前記バイアス制御回路はウインドコンパレータから構成されることを特徴とする。
【0012】
本発明に依れば、受光回路の通常動作時、伝送されてくるデータに応じて受光回路のバイアス電流が変更される。それとともに、受光回路が待機状態になると、光の有無が検出できる程度に前記バイアス電流を最小限に設定し、消費電流を低減する。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施の形態を示す図であり、5はコンパレータ3の出力信号をレベル検波するレベル検波回路、6はレベル検波回路5の出力信号に応じてバイアス供給回路4のバイアス電流量を制御するバイアス制御回路、7はコンパレータ3の出力信号に基づいて伝送されるデータの種類を判別し、通常受信時のバイアス電流の大きさを切り換えるためのモード信号MOを出力するマイクロコンピュータである。尚、図1において、従来と同一の回路については図2と同一の符号を付し、説明を省略する。
【0014】
まず、図1の受光回路が待機動作から通常動作に変化した時の動作を説明する。待機状態では、バイアス制御回路6からパワーセーブ信号PSを出力し、パワーセーブ信号PSに応じてバイアス供給回路4からのバイアス電流の値が小に設定されている。その為、電流電圧変換回路1乃至コンパレータ3を構成するオペアンプの動作電流が小さくなり、オペアンプのスルーレートが小さくなり、電流電圧変換回路1乃至コンパレータ3の応答性は低くなる。その結果、図1の受光回路は低周波の入力信号に対して応答するようになり、受光回路は例えば赤外線等の光の有無だけは検出できる状態にある。
【0015】
この状態では、赤外線は照射されず、受光素子PDから出力信号は全く発生せず、コンパレータ3の出力レベルはHレベルまたはLレベルのいずれか一方の固定のレベルとなる。コンパレータ3の出力信号はレベル検波回路5でピーク検波またはボトム検波によってレベル検波されるが、コンパレータ3の出力が固定レベルであるのでレベル検波回路5の出力レベルも「H」または「L」の固定レベルになる。レベル検波回路5の出力信号に応じてバイアス制御回路6は無信号状態であると認識して、パワーセーブ信号PSを出力している。
【0016】
待機状態で、データ伝送が開始または再開され、赤外線が受光素子2に照射されると、受光素子PDの出力電流が電流電圧変換回路1で電圧に変換され、増幅回路2で増幅された後、コンパレータ3で2値信号に波形整形される。このとき、電流電圧変換回路1乃至コンパレータ3は低周波成分に応答可能であるので、コンパレータ3からはデータの周波数に応答はしていない、低周波のHまたはLレベルの出力が交互に発生する。コンパレータ3の出力信号はレベル検波され、レベル検波回路5の出力レベルは「H」レベルと「L」レベルとの中間レベルになる。バイアス制御回路6はこの中間レベルを検出して、パワーセーブ信号PSの発生を停止させる。この中間レベルの検出により、データ伝送が開始または再開されたとして、パワーセーブ信号PSを停止するのである。
【0017】
これにより、バイアス供給回路4からのバイアス電流が大きくなる。バイアス電流が大きくなることにより、電流電圧変換回路1乃至コンパレータ3を構成するオペアンプの動作電流は大きくなり、オペアンプのスルーレートが大きくなる。それにより、電流電圧変換回路1乃至コンパレータ3の応答性は高くなり、図1の受光回路は伝送されてくるデータに対して応答するようになる。電流電圧変換回路1乃至コンパレータ3は入力信号の最高周波数にも応答できるように設定される。その結果、図1の受光回路の特性は入力されてくるデータに応答できるようになり、データに応じたコンパレータ3の出力信号が後段の回路に伝送される。尚、通常動作中、コンパレータ3の出力信号はレベル検波により中間レベルとなり、パワーセーブ信号PSの発生は停止される。
【0018】
また、コンパレータ3の出力信号はマイクロコンピュータ7にも供給される。マイクロコンピュータは、所定のプログラムに従って、コンパレータ3の出力信号即ち伝送されてきたデータの種類を判別する。つまり、伝送されてきたデータが、例えば、キャリア変調によるデータであるか、または、IrDAによるデータであるか、が判別される。マイクロコンピュータ7は判別結果によってモード信号MOを出力し、バイアス供給回路4からのバイアス電流の大きさを切り換える。バイアス電流を切り換えることにより、電流電圧変換回路1乃至コンパレータ3のオペアンプのスルーレートを変化させ、電流電圧変換回路1乃至コンパレータ3の周波数特性が各々のデータの種類に合わせられる。
【0019】
ここで、データ伝送方式がキャリア変調であるか、IrDAであるかによって、伝送されるデータの最高周波数が変わる。データの種類を判別し、受光回路の周波数特性を各々のデータに合わせることにより、必要最小限の動作電流が得られ、無駄な消費電流を削減することが可能である。
【0020】
次に、図1の受光回路が通常動作から待機状態に変化した時の動作を説明する。通常動作では、バイアス電流は大きい値に設定され、電流電圧変換回路1乃至コンパレータ3は入力信号の最高周波数にも応答できるように設定されている。この状態で、データ伝送されると、受光素子PDの出力電流は電流電圧変換回路1で電圧に変換され、増幅回路2で増幅された後、コンパレータ3で2値信号に波形整形された後に、後段回路に伝送される。
【0021】
また、コンパレータ3の出力はHまたはLレベルの出力が交互に継続しているので、レベル検波回路5の出力レベルは中間レベルとなり、バイアス制御回路6からはパワーセーブ信号PSの発生が停止されている。データ伝送中の間、バイアス供給回路4からのバイアス電流は大となり、図1の受光回路の周波数特性は伝送されるデータの最高周波数に対応している。
【0022】
データ伝送が終了すると、赤外線の照射は停止され、受光素子PDから出力信号は全く発生しない。その為、コンパレータ3の出力レベルはHレベルまたはLレベルのいずれか一方の固定のレベルとなる。コンパレータ3の出力信号はレベル検波回路5でレベル検波され、レベル検波回路5から「H」または「L」の固定レベルの出力が発生する。レベル検波回路5の出力信号に応じてバイアス制御回路6は無信号状態であると認識して、パワーセーブ信号PSを出力する。
【0023】
バイアス制御回路4はパワーセーブ信号PSを優先してバイアス電流の値を小に設定する。バイアス電流が小さくなることにより、電流電圧変換回路1乃至コンパレータ3を構成するオペアンプの動作電流は小さくなり、オペアンプのスルーレートが小さくなる。オペアンプのスルーレートが小さくなると、電流電圧変換回路1乃至コンパレータ3の応答性は低くなり、図1の受光回路は低周波の入力信号に対して応答するようになる。その為、受光回路は赤外線の有無だけを検出できる状態になる。上記の動作状態になることにより、受光回路は待機状態になる。待機状態では、受光回路は、消費電流が少なく、赤外線が照射されたか否かの検出可能な状態にある。
【0024】
尚、バイアス制御回路6は例えばウインドコンパレータで構成することができる。ウインドコンパレータに第1基準値及びそれより高い第2基準値を設定し、通常動作時レベル検波回路5の出力レベルは「H」または「L」レベルになるので、レベル検波回路5の出力は第1基準値より低く、または、第2基準値より高くなり、ウインドコンパレータからパワーセーブ信号PSの発生は停止される。待機時、コンパレータ3の出力は交互に「H」または「L」レベルとなり、レベル検波回路5の出力は中間値となるので、第1基準値及び第2基準値の範囲内となり、ウインドコンパレータからパワーセーブ信号PSが発生する。バイアス制御回路6をウインドコンパレータで構成すると、回路構成を簡単にすることができる。
【0025】
尚、上記のマイクロコンピュータの動作は所定のプログラムに従って動作されている。
【0026】
【発明の効果】
本発明に依れば、通常動作時、伝送される光信号の伝送方式の種類を判別した結果によって、受光回路が入力データの最高周波数に応答できるように受光回路のバイアス電流量を変更するので、必要最小限の消費電流で受光回路を光信号に応答させることができる。
【0027】
待機状態になると、電流電圧変換回路やコンパレータの周波数特性を伝送データの低周波成分に応答できるようにそのバイアス電流を低下させるので、消費電流を削減することができる。また、データ伝送が行われているときには、電流電圧変換回路やコンパレータにバイアス電流を十分に供給するので、受光回路を伝送させるデータに十分に追従させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示すブロック図である。
【図2】従来例を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 電流電圧変換回路
2 増幅器
3 コンパレータ
4 バイアス供給回路
5 レベル検波回路
6 バイアス制御回路
7 マイクロコンピュータ
Claims (7)
- 複数種類の光データ信号を受けることが可能な受光回路に用いられるパワーセーブ回路において、
受光回路が待機状態になると、光の有無が検出できる程度に受光回路のバイアス電流を最小限に設定し、通常動作時になると光データ信号の種類に応じて前記バイアス電流を変更することを特徴とする受光回路のパワーセーブ回路。 - 通常動作時には、受光回路の応答性が伝送されてきたデータの最高周波数に応答するように、前記バイアス電流を設定または変更することを特徴とする請求項1記載の受光回路のパワーセーブ回路。
- 少なくとも光受信信号を電流電圧変換する電流電圧変換回路と、前記電流電圧変換回路の出力信号を2値信号に変換するコンパレータと、前記電流電圧変換回路及び前記コンパレータにバイアス電流を供給するバイアス供給回路とを有する受光回路に用いられるパワーセーブ回路において、
前記コンパレータの出力に基づいて、受信データの種類を判別し、受信データに応じてバイアス供給回路のバイアス電流量を変更させる判別回路とを備えることを特徴とする受光回路の判別回路。 - 前記コンパレータの出力信号を検波するレベル検波回路と、
該レベル検波回路の出力信号に基づいて、バイアス供給回路を制御するバイアス制御回路とを備え、待機時バイアス制御回路はパワーセーブ信号を発生することを特徴とする請求項3記載の受光回路のパワーセーブ回路。 - パワーセーブ信号発生時、前記電流電圧変換回路及びコンパレータの応答性が前記光受信信号のうち低周波成分に応答可能となるように前記バイアス電流を設定することを特徴とする請求項4記載の受光回路のパワーセーブ回路。
- 通常動作時、前記電流電圧変換回路及びコンパレータの応答性が伝送されたデータの最高周波数に応答できるようにバイアス電流を設定及び変更することを特徴とする請求項3記載の受光回路のパワーセーブ回路。
- 前記バイアス制御回路はウインドコンパレータから構成されることを特徴とする請求項5記載の受光回路のパワーセーブ回路。
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