JP4007140B2 - 熱転写受容シート - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、染着性樹脂を主成分として含む受容層を有する熱転写受容シート(以下、受容シートと記す)に関するものである。更に詳しく述べるならば、本発明はオーバーラミネート方式において転写画像上に形成される保護層に対する接着性にすぐれ、記録濃度が高く、記録画像の耐光性、及び耐脂性に優れた熱転写受容シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
染料熱転写方式は、インクシートと受容シートを重ね合わせ、サーマルヘッドなどの加熱手段から供給される熱により、インクシート上の昇華性染料を受容シートの受容層上に転写した後、両者を分離して受容シートの受容層上に画像を形成するものである。近年画像の保存性を向上させるために、インクシート上に3色または4色の染料を順次転写した後、転写型ラミネート層(以下保護層と記す)を設ける「オーバーラミネート」方式が主流になってきた(例えば、特開昭59−76298号及び特開昭59−85793号公報など)。この方式に適する染着性樹脂としてはポリ塩化ビニル、酪酸酢酸セルロースなどが一般に知られている。しかしながら、塩化ビニル系樹脂は焼却廃棄の際に、多量の塩化水素、及び一酸化炭素を発生し、かつダイオキシン類が生成しやすいため、その使用が敬遠されつつあり、また酢酸酪酸セルロース等のセルロース誘導体には、染料の転写性がポリ塩化ビニル系樹脂と比較して劣るため、十分な印画濃度を得ることが難かしく、また、油脂類と接触すると、画像の保存性が低下するという問題点がある。
さらに、受容層形成に使用されるセルロース誘導体としては、アクリロイル基含有セルロースアセテートブチレート樹脂のような活性エネルギー線硬化性樹脂(例えば、特開平5−201161号公報参照。)や、環状エステル変性セルロース誘導体(例えば、特開2001−105745号公報参照。)等が開示されているが、保護層転写性等において、必ずしも満足できるものではなかった。
【特許文献1】
特開昭59−76298号公報、第1頁
【特許文献2】
特開昭59−85793号公報、第1頁
【特許文献3】
特開平5−201161号公報、第2頁
【特許文献4】
特開2001−105745号公報、第2頁
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、上記従来技術の欠点を改良し、記録濃度が高く、記録画像の耐光性、耐脂性に優れた熱転写受容シートを提供しようとするものである。この受容シートは、特に「オーバーラミネート」方式により保護層を設ける場合に適するが、それ以外の染料熱転写型受容層にも適応出来る。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の熱転写受容シートは、シート状支持体と、その少なくとも一面上に形成され、かつ染着性樹脂を主成分として含有する受容層とを有し、前記染着性樹脂が、セルロース化合物からなる主鎖と、この主鎖に芳香族基含有(メタ)アクリレート化合物をグラフト重合させることによって形成された複数個の側鎖とを有する少なくとも1種のセルロース誘導体を含むことを特徴とするものである。
本発明の熱転写受容シートにおいて、前記主鎖を形成するセルロース化合物がセルロースエステル類及びセルロースエーテル類から選ばれることが好ましい。
本発明の熱転写受容シートにおいて、前記染着性樹脂用セルロース誘導体における、前記セルロース化合物主鎖と、前記芳香族基含有(メタ)アクリレート化合物のグラフト重合側鎖との質量比が、100/50〜100/400であることが好ましい。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明は、シート状支持体の少なくとも1面上に形成され、かつ染着性樹脂を主成分として含む受容層を有する熱転写受容シートにおいて、該染着性樹脂が、セルロース化合物からなる主鎖と、この主鎖に芳香族基含有(メタ)アクリレート化合物をグラフト重合させることによって形成された複数個の側鎖とを有する少なくとも1種のセルロース誘導体を含むものである。
【0006】
オーバーラミネート方式により、インク画像を熱転写により受像した後に、これを保護層により保護する熱転写受容シートにおいては、その受容層は、インクシートの染料部と接触、熱転写後の離型性がよく、かつ、保護層との接着性もよいことが必要である。これらの性能を満たすための染着性樹脂としてポリ塩化ビニル系樹脂が、用いられることが多かったが、その使用は上記の理由等により敬遠されつつある。また酪酸酢酸セルロース(セルロースアセテートブチレート)等のセルロース誘導体も、上記の性能を満たしていたが、ポリ塩化ビニル系樹脂と比較すると、十分な印画濃度が出にくく、特に画像の油脂類に対する耐性が低く画像保存性も悪かった。このような問題点を解決するために、従来のセルロース誘導体を含有する受容層中に可塑剤等を併用して、受容層のガラス転移点を降下させ、染料染着性を向上させる手法も知られているが、このようにすると、可塑剤のブリードアウトが顕著になったり、受容層のインクシート染料部からの離型性が低下したりする等の問題点が生じていた。
【0007】
本発明の熱転写受容シートにおいて、受容層用染料染着性樹脂として、セルロース化合物に芳香族基含有(メタ)アクリレート化合物をグラフト重合することにより得られたセルロース誘導体を用いることにより染着能力が向上し、かつ耐脂性が向上する理由は未だ十分に明らかではないが、芳香族基含有(メタ)アクリレート化合物のグラフト重合側鎖が、染料に対し高い染料受容性を有すること、及び/又は、受容層の可塑剤として機能することなどが、推測される。
【0008】
本発明において、芳香族基含有(メタ)アクリレート化合物のグラフト重合側鎖が結合する主鎖を形成するセルロース化合物としては、例えばセルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートフタレート及び硝酸セルロース等のセルロースエステル類、並びにエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロースエーテル類等が使用される。好ましくは、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、及び/又はセルロースアセテートプロピオネートが使用され、特にセルロースアセテートブチレートが本発明に好ましく使用される。
【0009】
芳香族基含有(メタ)アクリレート化合物の具体的な例としては、例えば、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、2−メタアクリロイルオキシエチルフタレート、ジメチルアミノエチルベンジルクロライド塩(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノールエチレングリコール(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール(メタ)アクリル酸安息香酸エステル、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、パラクミルフェノールポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノールポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートなどを使用することが出来る。
また、本発明の効果を損なわない範囲で、セルロース化合物のグラフト重合側鎖として芳香族基含有(メタ)アクリレート化合物に加えて、他の不飽和二重結合を有する単量体を使用することができる。これら単量体は特に限定されるものではないが、具体的には、酢酸ビニル、安息香酸ビニル、塩化ビニル、(メタ)アクリロニトリルの様なビニル化合物、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸及びそのエステル類や、スチレン、α−メチルスチレン及びその他のスチレン誘導体、などが挙げられる。これらの単量体の使用量は、芳香族基含有(メタ)アクリレート化合物100質量部に対して、500質量部以下であることが好ましく、特にスチレン系単量体の場合は、25〜400質量%であることが好ましい。
【0010】
本発明に用いられるセルロース誘導体の合成方法については特に限定はなく、例えば、(1)過酸化物に代表されるラジカル発生型重合開始剤を用い、セルロース化合物存在下で芳香族基含有(メタ)アクリレートを重合し、重合開始剤の水素引き抜き反応を利用する方法、(2)セルロース化合物に含まれる水酸基にラジカル重合性不飽和基を予め付加させた後、芳香族基含有(メタ)アクリレートモノマーと反応させグラフト重合体を得る方法、あるいは(3)水酸基と反応し得る官能基を導入した芳香族基含有(メタ)アクリレート重合体を予め合成しておき、その後、セルロース中の水酸基に付加反応させる方法など、一般的に用いられる方法により合成することができる。
重合方式についても、懸濁重合法や、溶液重合、乳化重合、塊状重合等の適宜の重合方式により、目的の重合体を製造することができる。
【0011】
本発明に用いられるセルロース誘導体において、セルロース化合物からなる主鎖(A)と、芳香族基含有(メタ)アクリレート化合物のグラフト重合側鎖(B)との質量比(A)/(B)は、100/50〜100/400であることが好ましく、100/60〜100/300であることがより好ましい。この質量比(A)/(B)が100/50をこえると、芳香族基含有(メタ)アクリレートグラフト重合体側鎖による染着性が不十分になることがあり、またそれが100/400未満では、得られる受容シートの、インクシート染料部からの離型効果が不十分になることがある。芳香族基含有(メタ)アクリレート化合物のグラフト重合度には格別の制限はなく、側鎖が、受容層に適度の染料受容性及びインクシート染料部からの離型性を付与するように設定すればよい。
【0012】
受容層中には、本発明の効果を損なわない範囲内で、セルロース誘導体とともに、他の熱可塑性樹脂が含まれていてもよい。この混用樹脂の種類には格別の制限はないが、例えばポリエステル、ポリビニルブチラール、BPA型エポキシ樹脂、水添BPA型エポキシ樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリビニルブチラール、ポリアセタール、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルホルマール、ポリスチレン、スチレン−アクリルニトリル共重合体、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、ポリアセタール、ポリメチルメタクリレート、MMA−スチレン共重合体、ポリアミド、エチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、酢酸・酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリカーボネート、フェノキシ樹脂、ポリウレタン等の樹脂から選ばれた1種以上を用いることができる。但し、混用樹脂の、受容層中の含有量は、セルロース誘導体の質量に対して950質量%以下であることが好ましく、400質量%以下であることがより好ましく、100質量%以下であることがさらに好ましい。
【0013】
また、インクリボンと受容層の融着防止のために、受容層中に滑剤および離型剤などが含まれていてもよい。例えば、離型剤としてアミノ変性もしくはヒドロキシ変性シリコーンオイル、アクリルシリコーン樹脂などのシリコーン系樹脂、シリコーンオイル、および脂肪酸エステル化合物等が好ましく用いられる。これらは架橋剤を介して架橋反応し得るものであることが好ましい。架橋剤としては、例えば、イソシアネート系化合物およびエポキシ系化合物等が好ましく用いられ、架橋剤を用いることにより受容層の融着防止性をさらに向上させることができる。
【0014】
また染着性をコントロールするなどの目的で、受容層中に1種以上の可塑剤を含有させてもよい。可塑剤としては、フタル酸エステル系、脂肪族二塩基酸エステル系、トリメット酸エステル系、りん酸エステル系、エポキシ系、及びポリエステル系等、従来既知のものを使用できる。受容層中の染料受容性樹脂の合計量100質量部に対して可塑剤1〜50質量部が配合されるが、その効果とブリードアウト性の兼ね合いから、1〜30質量部の配合量であることが好ましい。
【0015】
さらに受容画像の耐光性を向上させるために、紫外線吸収剤(以下、UVAと記す)、及びヒンダードアミン系光安定化剤(以下、HALSと記す)の1種以上を受容層中に含有させてもよい。UVAとしては、一般に、ベンゾトリアゾール系UVA、トリアジン系UVA、蓚酸アニリド系UVA、ベンゾフェノン系UVAが知られているが、特にベンゾトリアゾール系UVAは、他のUVAと比較して、吸収波長域が広く、また高波長側に極大吸収ピークを持ち、また吸光度も大きいので、これをHALSと併用したときに特に優れた効果が得られる、このため本発明においても好ましく用いられる。受容層中の染料受容性樹脂100質量部に対して、UVA1〜70質量部が配合されることが好ましく、特にUVA投入量と効果との兼合いから、UVA1〜40質量部の配合がより好ましく用いられる。HALSは、2,2,6,6−テトラメチルピペレジン骨格を有する化合物であり、この骨格を有するものである限り、その種類に格別の限定はない。熱可塑性樹脂100質量部に対して、HALS1〜70質量部が配合されることが好ましく、特にHALS投入量と効果との兼合いから、HALS1〜40質量部の配合がより好ましい。
【0016】
受容層の塗工量は、好ましくは1〜12g/m2程度であり、より好ましくは2〜10g/m2の範囲内で調節される。受容層の塗工量が1g/m2未満であると、受容層が基材表面を完全に被覆することができず、このため画質の低下を招くことがあり、また、サーマルヘッドの加熱により受容層とインクシートが接着する融着トラブルが発生することがある。一方、受容層の塗工量が12g/m2をこえると、その効果が飽和し不経済であるばかりでなく、受容層の機械的強度が不足したり、受容層の厚さが増大し、基材の断熱効果が十分に発揮されなくなり、このため画像濃度が低下することがある。
【0017】
本発明の受容シートのシート状支持体としては、一般に多層構造基材が用いられる。この多層構造基材の表層には、例えば、画像の均質及び階調性の良好な、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、又はポリスチレンなどを主成分として含む延伸フィルム又は、ポリオレフィンなどの熱可塑性樹脂を主成分とする多層構造フィルム(合成紙)が用いられる。
【0018】
多層構造基材の芯材層としては、セルロースパルプを主成分とする紙、コート紙、アート紙、キャスト紙、紙シートの少なくとも一面上に熱可塑性樹脂層を設けたラミネート紙等、或は、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、又はポリ塩化ビニル等を主成分として含む合成樹脂フィルム、または、シートが用いられる。
【0019】
シート状支持体用多層構造基材の積層方法としては、例えばウェットラミネート、エキストルージョンラミネート、及びドライラミネート等の公知の技術を用いることができる。一般にはドライラミネート法が用いられる。ドライラミネート用接着剤としてはポリエーテル系、ポリエステル系などの接着剤を用いることができる。また、本発明で使用されるシート状支持体は、20〜300μmの厚さを有することが好ましい。
【0020】
本発明の受容シートにおいて、シート状支持体の、受容層に対して反対側の面(裏面)上に、走行性向上、静電気の防止、受容シート相互の擦れによる受容層の損傷防止、並びに、プリントされた多数の受容シートを重ね置きしたとき、受容層からそれに接触する隣接受容シートの裏面への染料の移行防止などを目的として背面被覆層が形成されていてもよい。背面被覆層には接着成分としての樹脂と帯電防止処理のために各種の導電剤を添加することができる。この導電剤としては、カチオン系ポリマーを用いることが望ましい。カチオン系ポリマーとしては、一般的にポリエチレンイミンや、カチオン性モノマーを含むアクリル系重合体、カチオン変性アクリルアミド系重合体およびカチオン化澱粉等を用いることができる。背面被覆層の塗工量は、0.3〜10.0g/m2の範囲内にあることが好ましい。
【0021】
さらに、静電気の防止や白色度などを向上させるために、シート状支持体と受容層との間に、各種既知の導電剤や、白色顔料、蛍光染料等を含む中間層を設けてもよい。
また、受容シートの裏面側に粘着剤層、剥離剤層及び基材シート層等を設け、所謂シールタイプシートとして使用することも勿論可能である。
【0022】
本発明の受容シートの受容層やその他の被覆層は、バーコーター、グラビアコーター、ブレードコーター、エアーナイフコーター、ゲートロールコーター、カーテンコーター、ダイコーター、リップコーター及びスライドビードコーターなどのコーターを用いて塗工し、乾燥して形成することができる。
【0023】
【実施例】
本発明の熱転写受容層を、下記実施例により、さらに詳細に説明するが、勿論本発明はこれによって限定されるものではない。尚、実施例中の「部」および「%」は、すべて「質量部」および「質量%」を意味する。
【0024】
本発明に用いられるグラフト重合型セルロース誘導体の合成例を下記に示す。合成例1(セルロース誘導体(A)の合成)
攪拌機、温度計、窒素導入管及び還流冷却器を備えた反応器内に、溶媒として、トルエン75部、メチルエチルケトン75部を仕込んだ後、セルロース化合物として、セルロースアセテートブチレート(商標:CAB−551−0.01、イーストマンケミカル製、数平均分子量16,000)30部を配合し、均一に攪拌混合した。その後、セルロース化合物にラジカル重合性不飽和基を導入する為に、グリシジルメタクリレート5部及び、トリエチルアミン0.1部を添加し、100℃で8時間反応させた。
その後、芳香族基含有(メタ)アクリレートとして、フェノキシジエチレングリコールアクリレート20部、スチレン50部と、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.5部を仕込み、緩やかに攪拌混合しながら、反応器内を窒素ガスで置換し、内容物温度を80℃に上昇させ、この温度で8時間反応を行った。次いで、アゾビスイソブチロニトリル1.0部を添加し、更に反応器内の温度を90℃に保ち4時間反応させ、トルエン25部、メチルエチルケトン25部で希釈し、目的のセルロース誘導体溶液を得た。
得られたセルロース誘導体溶液は、透明粘稠の液体で、固形分は35.3%、溶液粘度は600[mPa・s]であった。また、得られたセルロース誘導体の重量平均分子量は250,000であった。
【0025】
合成例2(セルロース誘導体(B)の合成)
合成例1において、芳香族基含有(メタ)アクリレートとして、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート28部及びスチレン42部を用いた以外は、合成例1と同様の反応を行った。
得られたセルロース誘導体溶液は、透明粘稠の液体で、固形分は35.5%、溶液粘度は800[mPa・s]であった。また、得られたセルロース誘導体の重量平均分子量は10,000であった。
【0026】
合成例3(セルロース誘導体(C)の合成)
合成例1において、芳香族基含有(メタ)アクリレートとして、フェノキシジエチレングリコールアクリレート20部、スチレン40部、イソボロニルメタクリレート10部を用いた他は、合成例1と同様に行った。
得られたセルロース誘導体溶液は、透明粘稠な液体で、固形分は20.0%で、溶液粘度は400[mPa・s]であった。得られたセルロース誘導体の重量平均分子量は370,000であった。
【0027】
合成例4(セルロース誘導体(D)の合成)
合成例1において、セルロース化合物として、セルロースアセテートブチレート(商標:CAB−551−0.2、イーストマンケミカル製、数平均分子量30,000)を使用したことを除き、その他は、合成例1と同様に行った。
得られたセルロース誘導体溶液は、透明粘稠の液体で、固形分は34.0%で、溶液粘度は3600[mPa・s]であった。得られたセルロース誘導体の重量平均分子量は260,000であった。
【0028】
合成例5(セルロース誘導体(E)の合成)
合成例1において、セルロース化合物としてCAB−551−0.01(商標)10部、芳香族基含有(メタ)アクリレートとして、フェノキシジエチレングリコールアクリレート60部、及びスチレン30部を用いた以外は、合成例1と同様に行なった。得られたセルロース誘導体溶液は透明粘稠の液体で、固形分は35.0%、溶液粘度は100[mPa・s]であった。得られたセルロース誘導体の重量平均分子量は100,000であった。
【0029】
合成例6(芳香族基含有(メタ)アクリレート重合体(F)の合成)
合成例1と同様の反応器を用い、芳香族基含有(メタ)アクリレートとしてフェノキシジエチレングリコールアクリレート30部、スチレン70部と、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルを0.2部、及び溶媒としてトルエン50部、メチルエチルケトン50部を仕込み、緩やかに攪拌混合しながら、反応器内を窒素ガスで置換し、内容物温度を80℃に上昇させ、この温度で8時間反応を行った。次いで、アゾビスイソブチロニトリル1.0部を添加し、更に反応器内の温度を90℃に保ち4時間反応させ、トルエン40部、メチルエチルケトン40部で希釈し、目的とする芳香族基含有(メタ)アクリレート重合体溶液を得た。
得られた芳香族基含有(メタ)アクリレート重合体溶液は透明粘稠の液体で、固形分は35.2%、溶液粘度は700[mPa・s]であった。樹脂の重量平均分子量は100,000であった。
【0030】
下記に本発明の熱転写受容層の実施例を示す。
実施例1
厚さ100μmの上質紙の両面に、2軸延伸されたポリプロピレンを主成分として含む多層構造フィルム(商標:ユポFPG50、厚さ:50μm、ユポ・コーポレーション社製)をドライラミネート方式で積層して、シート状支持体を作製した。このシート状支持体の一面上に下記組成の受容層用塗布液を、固形分塗工量が5g/m2となるように塗工し、乾燥(120℃、1分間)した後、さらに50℃で4日間熱処理を行い、受容シートを作製した。
【0031】
実施例2
実施例1と同様にして受容シートを作製した。但し、受容層用塗布液の配合において、グラフト型セルロース誘導体(A)の代りに、ラフト型セルロース誘導体(B)を用いた。
【0032】
実施例3
実施例1と同様にして受容シートを作製した。但し、受容層用塗布液の配合において、グラフト型セルロース誘導体(A)の代りに、グラフト型セルロース誘導体(C)を用いた。
【0033】
実施例4
実施例1と同様にして受容シートを作製した。但し、受容層用塗布液の配合において、グラフト型セルロース誘導体(A)の代りに、グラフト型セルロース誘導体(D)を用いた。
【0034】
実施例5
実施例1と同様にして受容シートを作製した。但し、受容層用塗布液の配合において、グラフト型セルロース誘導体(A)の代りに、グラフト型セルロース誘導体(E)を用いた。
【0035】
比較例1
実施例1と同様にして受容シートを作製した。但し受容層用塗布液の配合において、グラフト型セルロース誘導体(A)の代りに、セルロースアセテートブチレート(商標:CAB−551−0.01、イーストマンコダック社製)を用いた。
【0036】
比較例2
実施例1と同様にして受容シートを作製した。但し、受容層用塗布液の配合において、グラフト型セルロース誘導体(A)の代りに、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂(商標:ソルバインCN、日信化学社製)を用いた。
【0037】
比較例3
実施例1と同様にして受容シートを作製した。但し、受容層用塗布液の配合において、グラフト型セルロース誘導体(A)の代りにポリエステル樹脂(商標:バイロン200、東洋紡社製)を用いた。
【0038】
比較例4
実施例1と同様にして受容シートを作製した。但し、受容層用塗布液の配合において、グラフト型セルロース誘導体(A)の代わりに、予めセルロース化合物として、セルロースアセテートブチレート(商標:CAB−551−0.01、イーストマンケミカル製)35部をトルエン32.5部及びメチルエチルケトン32.5部に溶解した溶液と、合成例6で得た重合体(F)溶液を30:70の割合で配合した溶液を用いた。
【0039】
評価
上記各実施例および比較例で得られた受容シートについて、保護層転写性、画像濃度、画像の耐光性、及び耐脂性を下記方法により評価した。得られた結果を表1に示す。
【0040】
〔保護層転写性試験〕
供試受容シートを熱転写試験機(形式名:TH−PMI2、大倉電機社製)に供して、印加エネルギーを変化させながら、昇華型熱転写リボン(商品名:UP−540、ソニー社製)の保護層部を転写し、保護層が転写可能な最小エネルギーを測定した。この保護層転写性試験において、保護層転写最小エネルギーが1mJ/dot以下であれば、実用上問題ない転写性レベルにあると評価できる。
【0041】
〔画像濃度試験〕
供試受容シートを市販の熱転写ビデオプリンター(形式名:UP−50、ソニー社製)に供して印画し、最高階調を示す画像濃度(OD)を、マクベス濃度計(形式名:RD−914、Kollmorgen CO.製)を使用して測定した。この画像濃度試験において1.75以上のODであれば、実用上問題ない濃度レベルであると評価できる。
また、下記事項の評価のために上記プリンターの印加エネルギーを調整して、OD=1.0の黒ベタを印画した受容シートを作製し、下記試験に供した。
【0042】
〔耐光性試験〕
上記の印画済みシートの黒ベタ画像を、キセノン耐光性試験機(商品名:アトラスフェードメーター)に供して72時間光照射処理し、処理後の黒ベタ画像のODを測定し、下記式に従い、画像の残存率を計算した。この強制試験において、残存率が高い程、耐光性は良好であり、実用上、それが80%以上であることが好ましい。
画像残存率(%)=(処理後OD/処理前OD)×100
【0043】
〔耐脂性試験〕
上記の印画済みシートの黒ベタ画像上に、オレイン酸をスポイトにて0.1g滴下し、室内に1週間保存した後に、オレイン酸をふき取った。処理後の黒ベタ画像のODを測定し、下記式に従い、画像の残存率を計算した。この試験において、残存率が高い程、耐脂性は良好であり、実用上、それが80%以上であることが好ましい。
画像残存率(%)=(処理後OD/処理前OD)×100
【0044】
【表1】
【0045】
表1の結果から、実施例1〜5の受容シートは、保護層転写性、画像濃度、耐光性、耐脂性等の何れにおいても優れていることが確認された。
一方、グラフト化していないセルロースアセテートブチレートを用いた比較例1では画像濃度及び耐脂性が不十分であり、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂を用いた比較例2では十分な耐光性が得られなかった。また、ポリエステル樹脂を使用した比較例3では保護層転写性が劣り、市販の熱転写ビデオプリンターでは転写できないレベルであると考えられる。さらに、比較例4において、セルロース化合物としてセルロースアセテートブチレートを用い、これに芳香族基含有(メタ)アクリレート重合体(F)(合成例6)を併用すると、混合溶液が白濁し、溶液の安定性が不良で、静置後分離し、画像濃度及び耐脂性が不十分であり、かつ塗布面の光沢度が不十分になり、その外観品位が不満足なものとなった。
【0046】
【発明の効果】
本発明の熱転写受容シートは、保護層転写性に優れ、高画像濃度が得られ、画像の耐光性、耐脂性にも優れ、昇華熱転写方式を初めとする熱転写方式のフルカラープリンターに有用なものであって、産業界に寄与するところは大である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、染着性樹脂を主成分として含む受容層を有する熱転写受容シート(以下、受容シートと記す)に関するものである。更に詳しく述べるならば、本発明はオーバーラミネート方式において転写画像上に形成される保護層に対する接着性にすぐれ、記録濃度が高く、記録画像の耐光性、及び耐脂性に優れた熱転写受容シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
染料熱転写方式は、インクシートと受容シートを重ね合わせ、サーマルヘッドなどの加熱手段から供給される熱により、インクシート上の昇華性染料を受容シートの受容層上に転写した後、両者を分離して受容シートの受容層上に画像を形成するものである。近年画像の保存性を向上させるために、インクシート上に3色または4色の染料を順次転写した後、転写型ラミネート層(以下保護層と記す)を設ける「オーバーラミネート」方式が主流になってきた(例えば、特開昭59−76298号及び特開昭59−85793号公報など)。この方式に適する染着性樹脂としてはポリ塩化ビニル、酪酸酢酸セルロースなどが一般に知られている。しかしながら、塩化ビニル系樹脂は焼却廃棄の際に、多量の塩化水素、及び一酸化炭素を発生し、かつダイオキシン類が生成しやすいため、その使用が敬遠されつつあり、また酢酸酪酸セルロース等のセルロース誘導体には、染料の転写性がポリ塩化ビニル系樹脂と比較して劣るため、十分な印画濃度を得ることが難かしく、また、油脂類と接触すると、画像の保存性が低下するという問題点がある。
さらに、受容層形成に使用されるセルロース誘導体としては、アクリロイル基含有セルロースアセテートブチレート樹脂のような活性エネルギー線硬化性樹脂(例えば、特開平5−201161号公報参照。)や、環状エステル変性セルロース誘導体(例えば、特開2001−105745号公報参照。)等が開示されているが、保護層転写性等において、必ずしも満足できるものではなかった。
【特許文献1】
特開昭59−76298号公報、第1頁
【特許文献2】
特開昭59−85793号公報、第1頁
【特許文献3】
特開平5−201161号公報、第2頁
【特許文献4】
特開2001−105745号公報、第2頁
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、上記従来技術の欠点を改良し、記録濃度が高く、記録画像の耐光性、耐脂性に優れた熱転写受容シートを提供しようとするものである。この受容シートは、特に「オーバーラミネート」方式により保護層を設ける場合に適するが、それ以外の染料熱転写型受容層にも適応出来る。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の熱転写受容シートは、シート状支持体と、その少なくとも一面上に形成され、かつ染着性樹脂を主成分として含有する受容層とを有し、前記染着性樹脂が、セルロース化合物からなる主鎖と、この主鎖に芳香族基含有(メタ)アクリレート化合物をグラフト重合させることによって形成された複数個の側鎖とを有する少なくとも1種のセルロース誘導体を含むことを特徴とするものである。
本発明の熱転写受容シートにおいて、前記主鎖を形成するセルロース化合物がセルロースエステル類及びセルロースエーテル類から選ばれることが好ましい。
本発明の熱転写受容シートにおいて、前記染着性樹脂用セルロース誘導体における、前記セルロース化合物主鎖と、前記芳香族基含有(メタ)アクリレート化合物のグラフト重合側鎖との質量比が、100/50〜100/400であることが好ましい。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明は、シート状支持体の少なくとも1面上に形成され、かつ染着性樹脂を主成分として含む受容層を有する熱転写受容シートにおいて、該染着性樹脂が、セルロース化合物からなる主鎖と、この主鎖に芳香族基含有(メタ)アクリレート化合物をグラフト重合させることによって形成された複数個の側鎖とを有する少なくとも1種のセルロース誘導体を含むものである。
【0006】
オーバーラミネート方式により、インク画像を熱転写により受像した後に、これを保護層により保護する熱転写受容シートにおいては、その受容層は、インクシートの染料部と接触、熱転写後の離型性がよく、かつ、保護層との接着性もよいことが必要である。これらの性能を満たすための染着性樹脂としてポリ塩化ビニル系樹脂が、用いられることが多かったが、その使用は上記の理由等により敬遠されつつある。また酪酸酢酸セルロース(セルロースアセテートブチレート)等のセルロース誘導体も、上記の性能を満たしていたが、ポリ塩化ビニル系樹脂と比較すると、十分な印画濃度が出にくく、特に画像の油脂類に対する耐性が低く画像保存性も悪かった。このような問題点を解決するために、従来のセルロース誘導体を含有する受容層中に可塑剤等を併用して、受容層のガラス転移点を降下させ、染料染着性を向上させる手法も知られているが、このようにすると、可塑剤のブリードアウトが顕著になったり、受容層のインクシート染料部からの離型性が低下したりする等の問題点が生じていた。
【0007】
本発明の熱転写受容シートにおいて、受容層用染料染着性樹脂として、セルロース化合物に芳香族基含有(メタ)アクリレート化合物をグラフト重合することにより得られたセルロース誘導体を用いることにより染着能力が向上し、かつ耐脂性が向上する理由は未だ十分に明らかではないが、芳香族基含有(メタ)アクリレート化合物のグラフト重合側鎖が、染料に対し高い染料受容性を有すること、及び/又は、受容層の可塑剤として機能することなどが、推測される。
【0008】
本発明において、芳香族基含有(メタ)アクリレート化合物のグラフト重合側鎖が結合する主鎖を形成するセルロース化合物としては、例えばセルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートフタレート及び硝酸セルロース等のセルロースエステル類、並びにエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロースエーテル類等が使用される。好ましくは、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、及び/又はセルロースアセテートプロピオネートが使用され、特にセルロースアセテートブチレートが本発明に好ましく使用される。
【0009】
芳香族基含有(メタ)アクリレート化合物の具体的な例としては、例えば、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、2−メタアクリロイルオキシエチルフタレート、ジメチルアミノエチルベンジルクロライド塩(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノールエチレングリコール(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール(メタ)アクリル酸安息香酸エステル、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、パラクミルフェノールポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノールポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートなどを使用することが出来る。
また、本発明の効果を損なわない範囲で、セルロース化合物のグラフト重合側鎖として芳香族基含有(メタ)アクリレート化合物に加えて、他の不飽和二重結合を有する単量体を使用することができる。これら単量体は特に限定されるものではないが、具体的には、酢酸ビニル、安息香酸ビニル、塩化ビニル、(メタ)アクリロニトリルの様なビニル化合物、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸及びそのエステル類や、スチレン、α−メチルスチレン及びその他のスチレン誘導体、などが挙げられる。これらの単量体の使用量は、芳香族基含有(メタ)アクリレート化合物100質量部に対して、500質量部以下であることが好ましく、特にスチレン系単量体の場合は、25〜400質量%であることが好ましい。
【0010】
本発明に用いられるセルロース誘導体の合成方法については特に限定はなく、例えば、(1)過酸化物に代表されるラジカル発生型重合開始剤を用い、セルロース化合物存在下で芳香族基含有(メタ)アクリレートを重合し、重合開始剤の水素引き抜き反応を利用する方法、(2)セルロース化合物に含まれる水酸基にラジカル重合性不飽和基を予め付加させた後、芳香族基含有(メタ)アクリレートモノマーと反応させグラフト重合体を得る方法、あるいは(3)水酸基と反応し得る官能基を導入した芳香族基含有(メタ)アクリレート重合体を予め合成しておき、その後、セルロース中の水酸基に付加反応させる方法など、一般的に用いられる方法により合成することができる。
重合方式についても、懸濁重合法や、溶液重合、乳化重合、塊状重合等の適宜の重合方式により、目的の重合体を製造することができる。
【0011】
本発明に用いられるセルロース誘導体において、セルロース化合物からなる主鎖(A)と、芳香族基含有(メタ)アクリレート化合物のグラフト重合側鎖(B)との質量比(A)/(B)は、100/50〜100/400であることが好ましく、100/60〜100/300であることがより好ましい。この質量比(A)/(B)が100/50をこえると、芳香族基含有(メタ)アクリレートグラフト重合体側鎖による染着性が不十分になることがあり、またそれが100/400未満では、得られる受容シートの、インクシート染料部からの離型効果が不十分になることがある。芳香族基含有(メタ)アクリレート化合物のグラフト重合度には格別の制限はなく、側鎖が、受容層に適度の染料受容性及びインクシート染料部からの離型性を付与するように設定すればよい。
【0012】
受容層中には、本発明の効果を損なわない範囲内で、セルロース誘導体とともに、他の熱可塑性樹脂が含まれていてもよい。この混用樹脂の種類には格別の制限はないが、例えばポリエステル、ポリビニルブチラール、BPA型エポキシ樹脂、水添BPA型エポキシ樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリビニルブチラール、ポリアセタール、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルホルマール、ポリスチレン、スチレン−アクリルニトリル共重合体、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、ポリアセタール、ポリメチルメタクリレート、MMA−スチレン共重合体、ポリアミド、エチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、酢酸・酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリカーボネート、フェノキシ樹脂、ポリウレタン等の樹脂から選ばれた1種以上を用いることができる。但し、混用樹脂の、受容層中の含有量は、セルロース誘導体の質量に対して950質量%以下であることが好ましく、400質量%以下であることがより好ましく、100質量%以下であることがさらに好ましい。
【0013】
また、インクリボンと受容層の融着防止のために、受容層中に滑剤および離型剤などが含まれていてもよい。例えば、離型剤としてアミノ変性もしくはヒドロキシ変性シリコーンオイル、アクリルシリコーン樹脂などのシリコーン系樹脂、シリコーンオイル、および脂肪酸エステル化合物等が好ましく用いられる。これらは架橋剤を介して架橋反応し得るものであることが好ましい。架橋剤としては、例えば、イソシアネート系化合物およびエポキシ系化合物等が好ましく用いられ、架橋剤を用いることにより受容層の融着防止性をさらに向上させることができる。
【0014】
また染着性をコントロールするなどの目的で、受容層中に1種以上の可塑剤を含有させてもよい。可塑剤としては、フタル酸エステル系、脂肪族二塩基酸エステル系、トリメット酸エステル系、りん酸エステル系、エポキシ系、及びポリエステル系等、従来既知のものを使用できる。受容層中の染料受容性樹脂の合計量100質量部に対して可塑剤1〜50質量部が配合されるが、その効果とブリードアウト性の兼ね合いから、1〜30質量部の配合量であることが好ましい。
【0015】
さらに受容画像の耐光性を向上させるために、紫外線吸収剤(以下、UVAと記す)、及びヒンダードアミン系光安定化剤(以下、HALSと記す)の1種以上を受容層中に含有させてもよい。UVAとしては、一般に、ベンゾトリアゾール系UVA、トリアジン系UVA、蓚酸アニリド系UVA、ベンゾフェノン系UVAが知られているが、特にベンゾトリアゾール系UVAは、他のUVAと比較して、吸収波長域が広く、また高波長側に極大吸収ピークを持ち、また吸光度も大きいので、これをHALSと併用したときに特に優れた効果が得られる、このため本発明においても好ましく用いられる。受容層中の染料受容性樹脂100質量部に対して、UVA1〜70質量部が配合されることが好ましく、特にUVA投入量と効果との兼合いから、UVA1〜40質量部の配合がより好ましく用いられる。HALSは、2,2,6,6−テトラメチルピペレジン骨格を有する化合物であり、この骨格を有するものである限り、その種類に格別の限定はない。熱可塑性樹脂100質量部に対して、HALS1〜70質量部が配合されることが好ましく、特にHALS投入量と効果との兼合いから、HALS1〜40質量部の配合がより好ましい。
【0016】
受容層の塗工量は、好ましくは1〜12g/m2程度であり、より好ましくは2〜10g/m2の範囲内で調節される。受容層の塗工量が1g/m2未満であると、受容層が基材表面を完全に被覆することができず、このため画質の低下を招くことがあり、また、サーマルヘッドの加熱により受容層とインクシートが接着する融着トラブルが発生することがある。一方、受容層の塗工量が12g/m2をこえると、その効果が飽和し不経済であるばかりでなく、受容層の機械的強度が不足したり、受容層の厚さが増大し、基材の断熱効果が十分に発揮されなくなり、このため画像濃度が低下することがある。
【0017】
本発明の受容シートのシート状支持体としては、一般に多層構造基材が用いられる。この多層構造基材の表層には、例えば、画像の均質及び階調性の良好な、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、又はポリスチレンなどを主成分として含む延伸フィルム又は、ポリオレフィンなどの熱可塑性樹脂を主成分とする多層構造フィルム(合成紙)が用いられる。
【0018】
多層構造基材の芯材層としては、セルロースパルプを主成分とする紙、コート紙、アート紙、キャスト紙、紙シートの少なくとも一面上に熱可塑性樹脂層を設けたラミネート紙等、或は、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、又はポリ塩化ビニル等を主成分として含む合成樹脂フィルム、または、シートが用いられる。
【0019】
シート状支持体用多層構造基材の積層方法としては、例えばウェットラミネート、エキストルージョンラミネート、及びドライラミネート等の公知の技術を用いることができる。一般にはドライラミネート法が用いられる。ドライラミネート用接着剤としてはポリエーテル系、ポリエステル系などの接着剤を用いることができる。また、本発明で使用されるシート状支持体は、20〜300μmの厚さを有することが好ましい。
【0020】
本発明の受容シートにおいて、シート状支持体の、受容層に対して反対側の面(裏面)上に、走行性向上、静電気の防止、受容シート相互の擦れによる受容層の損傷防止、並びに、プリントされた多数の受容シートを重ね置きしたとき、受容層からそれに接触する隣接受容シートの裏面への染料の移行防止などを目的として背面被覆層が形成されていてもよい。背面被覆層には接着成分としての樹脂と帯電防止処理のために各種の導電剤を添加することができる。この導電剤としては、カチオン系ポリマーを用いることが望ましい。カチオン系ポリマーとしては、一般的にポリエチレンイミンや、カチオン性モノマーを含むアクリル系重合体、カチオン変性アクリルアミド系重合体およびカチオン化澱粉等を用いることができる。背面被覆層の塗工量は、0.3〜10.0g/m2の範囲内にあることが好ましい。
【0021】
さらに、静電気の防止や白色度などを向上させるために、シート状支持体と受容層との間に、各種既知の導電剤や、白色顔料、蛍光染料等を含む中間層を設けてもよい。
また、受容シートの裏面側に粘着剤層、剥離剤層及び基材シート層等を設け、所謂シールタイプシートとして使用することも勿論可能である。
【0022】
本発明の受容シートの受容層やその他の被覆層は、バーコーター、グラビアコーター、ブレードコーター、エアーナイフコーター、ゲートロールコーター、カーテンコーター、ダイコーター、リップコーター及びスライドビードコーターなどのコーターを用いて塗工し、乾燥して形成することができる。
【0023】
【実施例】
本発明の熱転写受容層を、下記実施例により、さらに詳細に説明するが、勿論本発明はこれによって限定されるものではない。尚、実施例中の「部」および「%」は、すべて「質量部」および「質量%」を意味する。
【0024】
本発明に用いられるグラフト重合型セルロース誘導体の合成例を下記に示す。合成例1(セルロース誘導体(A)の合成)
攪拌機、温度計、窒素導入管及び還流冷却器を備えた反応器内に、溶媒として、トルエン75部、メチルエチルケトン75部を仕込んだ後、セルロース化合物として、セルロースアセテートブチレート(商標:CAB−551−0.01、イーストマンケミカル製、数平均分子量16,000)30部を配合し、均一に攪拌混合した。その後、セルロース化合物にラジカル重合性不飽和基を導入する為に、グリシジルメタクリレート5部及び、トリエチルアミン0.1部を添加し、100℃で8時間反応させた。
その後、芳香族基含有(メタ)アクリレートとして、フェノキシジエチレングリコールアクリレート20部、スチレン50部と、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.5部を仕込み、緩やかに攪拌混合しながら、反応器内を窒素ガスで置換し、内容物温度を80℃に上昇させ、この温度で8時間反応を行った。次いで、アゾビスイソブチロニトリル1.0部を添加し、更に反応器内の温度を90℃に保ち4時間反応させ、トルエン25部、メチルエチルケトン25部で希釈し、目的のセルロース誘導体溶液を得た。
得られたセルロース誘導体溶液は、透明粘稠の液体で、固形分は35.3%、溶液粘度は600[mPa・s]であった。また、得られたセルロース誘導体の重量平均分子量は250,000であった。
【0025】
合成例2(セルロース誘導体(B)の合成)
合成例1において、芳香族基含有(メタ)アクリレートとして、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート28部及びスチレン42部を用いた以外は、合成例1と同様の反応を行った。
得られたセルロース誘導体溶液は、透明粘稠の液体で、固形分は35.5%、溶液粘度は800[mPa・s]であった。また、得られたセルロース誘導体の重量平均分子量は10,000であった。
【0026】
合成例3(セルロース誘導体(C)の合成)
合成例1において、芳香族基含有(メタ)アクリレートとして、フェノキシジエチレングリコールアクリレート20部、スチレン40部、イソボロニルメタクリレート10部を用いた他は、合成例1と同様に行った。
得られたセルロース誘導体溶液は、透明粘稠な液体で、固形分は20.0%で、溶液粘度は400[mPa・s]であった。得られたセルロース誘導体の重量平均分子量は370,000であった。
【0027】
合成例4(セルロース誘導体(D)の合成)
合成例1において、セルロース化合物として、セルロースアセテートブチレート(商標:CAB−551−0.2、イーストマンケミカル製、数平均分子量30,000)を使用したことを除き、その他は、合成例1と同様に行った。
得られたセルロース誘導体溶液は、透明粘稠の液体で、固形分は34.0%で、溶液粘度は3600[mPa・s]であった。得られたセルロース誘導体の重量平均分子量は260,000であった。
【0028】
合成例5(セルロース誘導体(E)の合成)
合成例1において、セルロース化合物としてCAB−551−0.01(商標)10部、芳香族基含有(メタ)アクリレートとして、フェノキシジエチレングリコールアクリレート60部、及びスチレン30部を用いた以外は、合成例1と同様に行なった。得られたセルロース誘導体溶液は透明粘稠の液体で、固形分は35.0%、溶液粘度は100[mPa・s]であった。得られたセルロース誘導体の重量平均分子量は100,000であった。
【0029】
合成例6(芳香族基含有(メタ)アクリレート重合体(F)の合成)
合成例1と同様の反応器を用い、芳香族基含有(メタ)アクリレートとしてフェノキシジエチレングリコールアクリレート30部、スチレン70部と、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルを0.2部、及び溶媒としてトルエン50部、メチルエチルケトン50部を仕込み、緩やかに攪拌混合しながら、反応器内を窒素ガスで置換し、内容物温度を80℃に上昇させ、この温度で8時間反応を行った。次いで、アゾビスイソブチロニトリル1.0部を添加し、更に反応器内の温度を90℃に保ち4時間反応させ、トルエン40部、メチルエチルケトン40部で希釈し、目的とする芳香族基含有(メタ)アクリレート重合体溶液を得た。
得られた芳香族基含有(メタ)アクリレート重合体溶液は透明粘稠の液体で、固形分は35.2%、溶液粘度は700[mPa・s]であった。樹脂の重量平均分子量は100,000であった。
【0030】
下記に本発明の熱転写受容層の実施例を示す。
実施例1
厚さ100μmの上質紙の両面に、2軸延伸されたポリプロピレンを主成分として含む多層構造フィルム(商標:ユポFPG50、厚さ:50μm、ユポ・コーポレーション社製)をドライラミネート方式で積層して、シート状支持体を作製した。このシート状支持体の一面上に下記組成の受容層用塗布液を、固形分塗工量が5g/m2となるように塗工し、乾燥(120℃、1分間)した後、さらに50℃で4日間熱処理を行い、受容シートを作製した。
【0031】
実施例2
実施例1と同様にして受容シートを作製した。但し、受容層用塗布液の配合において、グラフト型セルロース誘導体(A)の代りに、ラフト型セルロース誘導体(B)を用いた。
【0032】
実施例3
実施例1と同様にして受容シートを作製した。但し、受容層用塗布液の配合において、グラフト型セルロース誘導体(A)の代りに、グラフト型セルロース誘導体(C)を用いた。
【0033】
実施例4
実施例1と同様にして受容シートを作製した。但し、受容層用塗布液の配合において、グラフト型セルロース誘導体(A)の代りに、グラフト型セルロース誘導体(D)を用いた。
【0034】
実施例5
実施例1と同様にして受容シートを作製した。但し、受容層用塗布液の配合において、グラフト型セルロース誘導体(A)の代りに、グラフト型セルロース誘導体(E)を用いた。
【0035】
比較例1
実施例1と同様にして受容シートを作製した。但し受容層用塗布液の配合において、グラフト型セルロース誘導体(A)の代りに、セルロースアセテートブチレート(商標:CAB−551−0.01、イーストマンコダック社製)を用いた。
【0036】
比較例2
実施例1と同様にして受容シートを作製した。但し、受容層用塗布液の配合において、グラフト型セルロース誘導体(A)の代りに、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂(商標:ソルバインCN、日信化学社製)を用いた。
【0037】
比較例3
実施例1と同様にして受容シートを作製した。但し、受容層用塗布液の配合において、グラフト型セルロース誘導体(A)の代りにポリエステル樹脂(商標:バイロン200、東洋紡社製)を用いた。
【0038】
比較例4
実施例1と同様にして受容シートを作製した。但し、受容層用塗布液の配合において、グラフト型セルロース誘導体(A)の代わりに、予めセルロース化合物として、セルロースアセテートブチレート(商標:CAB−551−0.01、イーストマンケミカル製)35部をトルエン32.5部及びメチルエチルケトン32.5部に溶解した溶液と、合成例6で得た重合体(F)溶液を30:70の割合で配合した溶液を用いた。
【0039】
評価
上記各実施例および比較例で得られた受容シートについて、保護層転写性、画像濃度、画像の耐光性、及び耐脂性を下記方法により評価した。得られた結果を表1に示す。
【0040】
〔保護層転写性試験〕
供試受容シートを熱転写試験機(形式名:TH−PMI2、大倉電機社製)に供して、印加エネルギーを変化させながら、昇華型熱転写リボン(商品名:UP−540、ソニー社製)の保護層部を転写し、保護層が転写可能な最小エネルギーを測定した。この保護層転写性試験において、保護層転写最小エネルギーが1mJ/dot以下であれば、実用上問題ない転写性レベルにあると評価できる。
【0041】
〔画像濃度試験〕
供試受容シートを市販の熱転写ビデオプリンター(形式名:UP−50、ソニー社製)に供して印画し、最高階調を示す画像濃度(OD)を、マクベス濃度計(形式名:RD−914、Kollmorgen CO.製)を使用して測定した。この画像濃度試験において1.75以上のODであれば、実用上問題ない濃度レベルであると評価できる。
また、下記事項の評価のために上記プリンターの印加エネルギーを調整して、OD=1.0の黒ベタを印画した受容シートを作製し、下記試験に供した。
【0042】
〔耐光性試験〕
上記の印画済みシートの黒ベタ画像を、キセノン耐光性試験機(商品名:アトラスフェードメーター)に供して72時間光照射処理し、処理後の黒ベタ画像のODを測定し、下記式に従い、画像の残存率を計算した。この強制試験において、残存率が高い程、耐光性は良好であり、実用上、それが80%以上であることが好ましい。
画像残存率(%)=(処理後OD/処理前OD)×100
【0043】
〔耐脂性試験〕
上記の印画済みシートの黒ベタ画像上に、オレイン酸をスポイトにて0.1g滴下し、室内に1週間保存した後に、オレイン酸をふき取った。処理後の黒ベタ画像のODを測定し、下記式に従い、画像の残存率を計算した。この試験において、残存率が高い程、耐脂性は良好であり、実用上、それが80%以上であることが好ましい。
画像残存率(%)=(処理後OD/処理前OD)×100
【0044】
【表1】
【0045】
表1の結果から、実施例1〜5の受容シートは、保護層転写性、画像濃度、耐光性、耐脂性等の何れにおいても優れていることが確認された。
一方、グラフト化していないセルロースアセテートブチレートを用いた比較例1では画像濃度及び耐脂性が不十分であり、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂を用いた比較例2では十分な耐光性が得られなかった。また、ポリエステル樹脂を使用した比較例3では保護層転写性が劣り、市販の熱転写ビデオプリンターでは転写できないレベルであると考えられる。さらに、比較例4において、セルロース化合物としてセルロースアセテートブチレートを用い、これに芳香族基含有(メタ)アクリレート重合体(F)(合成例6)を併用すると、混合溶液が白濁し、溶液の安定性が不良で、静置後分離し、画像濃度及び耐脂性が不十分であり、かつ塗布面の光沢度が不十分になり、その外観品位が不満足なものとなった。
【0046】
【発明の効果】
本発明の熱転写受容シートは、保護層転写性に優れ、高画像濃度が得られ、画像の耐光性、耐脂性にも優れ、昇華熱転写方式を初めとする熱転写方式のフルカラープリンターに有用なものであって、産業界に寄与するところは大である。
Claims (3)
- シート状支持体と、その少なくとも1面上に形成され、かつ染着性樹脂を主成分として含む受容層とを有し、
前記染着性樹脂が、セルロース化合物からなる主鎖と、この主鎖に芳香族基含有(メタ)アクリレート化合物をグラフト重合させることによって形成された複数個の側鎖とを有する少なくとも1種のセルロース誘導体を含むことを特徴とする熱転写受容シート。 - 前記主鎖を形成するセルロース化合物がセルロースエステル類及びセルロースエーテル類から選ばれる、請求項1に記載の熱転写受容シート。
- 前記染着性樹脂用セルロース誘導体において、前記セルロース化合物主鎖と、前記芳香族基含有(メタ)アクリレート化合物のグラフト重合側鎖との質量比が、100/50〜100/400である、請求項1又は2に記載の熱転写受容シート。
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