JP4006696B2 - ロストワックス精密鋳造用鋳型の製作方法 - Google Patents

ロストワックス精密鋳造用鋳型の製作方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ロストワックス法で用いられるロウ模型の欠点である形状保持性を改善するために、ロウ模型の代わりに樹脂模型を使用したロストワックス精密鋳造法において、その樹脂模型の脱ロウ性を十分に発揮させると共に、鋳型の割れを無くしたロストワックス精密鋳造用鋳型の製作方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来技術としてのロストワックス精密鋳造法全体を説明する。ロストワックス法とは、ロウ模型多量生産用金型に溶融したロウ成分を射出成形し、冷却後脱型することによって、鋳造物製品と同じ形状のロウ模型を製作し、ロウ模型の表面を耐火物で塗り固め、加熱してロウ模型を溶融流出させて、高温焼成で完全に燃やし切り、空洞化した鋳型を製作し、その鋳型に溶融した合金を注湯して、冷却固化後、鋳型を砕いて鋳造物を取り出すと言った製造工程を経るものである。
【0003】
さらに詳しく説明すると、このロウ成分を金型に射出成形し、ロウ模型を製作するが、射出温度・射出圧力・射出圧力保持時間・冷却脱型温度が制御されて、一定品質のロウ模型が生産される。こうして製作されたロウ模型は、一定温度の恒温室で保管され、極力寸法精度の保持するように注意が払われている。このロウ模型の組み立ては、別途に作成した湯口模型に、ロウ模型をロウ付けしてツリー状に一体化して組み立てられる。組み立てられた模型全体をツリーと称している。ツリーの形状は、そのまま湯口系方案となるので、その設計に当たっては溶融金属の性質、鋳物の大きさ形状、鋳造条件、ツリーからの切断性等、多くの因子を考慮して設計される。
【0004】
こうして製作されたツリーは、コーテイングスラリーへの浸漬、乾燥が繰り返し行われ、層状にコーテイングされる。コーテイングスラリーに用いられるバインダーは、コロイダルシリカ、エチルシリケート等である。これらのバインダーに、フイラーとして耐火物微粉末が配合され、スラリーとなる。こうして製作されたスラリーに、ロウ模型を浸漬した後、スタッコ粒を振りかけて乾燥させる。スタッコ粒とは、ジルコサイドやモロカイト粒が使用される。こうした操作を複数回繰り返すことで、コーテイング作業が完了する。
【0005】
次に、オートクレーブ中において、120−150℃の温度で、鋳型よりロウ模型を溶出させる。これを脱ロウと称している。脱ロウの終わったシエル鋳型は、付着したロウや不完全燃焼のカーボン粉が取り除かれ、鋳型の強度を高めるために、700−1000℃の高温焼成炉内で焼成される。こうして製作された鋳型へ溶融合金が鋳込まれ、冷却後、ノックアトマシン等で鋳型を崩壊し、鋳物を取り出して湯道・せき等を切断除去後、ブラストで付着残留耐火物が除去される。補修可能の部位は、溶接にて補修され、表面はNC加工やグラインダーで仕上げられ、熱処理されて鋳物合金の製品となる。
【0006】
ロストワックス法に用いられる模型については、各種各様な研究開発が成されて来た。まず、模型として使用されるロウ模型のロウ成分としては、パラフイン、ロジン、カルナバワックス、テレフタル酸の配合物が一般的である。ロウ成分については、鋳造便覧(日本鋳物協会編集)に詳細が記載されている。また最近では、特許文献1で、ロウ成分にメラミン粉体を配合したロウ成分の有効性が報告されている。ロウ成分が高温溶融し脱ロウし易い特性をキープする限り、ロウ模型の機械的強度物性を向上せしめるには限界があると考えられる。また、模型として、合成樹脂とロウ模型を積層合体させた方式が多数報告されている。例えば、特許文献2は、ワックス表面に合成樹脂膜を形成させた模型である。特許文献3は、歯用綴模型を加熱溶融樹脂で製作し、模型としたものである。特許文献4は、光硬化性樹脂シートにロストワックス台を積層した模型である。特許文献5は、綿糸や合成材料からなる刺繍模型にワックス・プラスチック材料・を塗布した模型である。特許文献6は、光硬化性樹脂模型とか熱溶解樹脂積層模型を金型に挿入しロストワックスを射出成形した模型である。特許文献7は、紫外線硬化樹脂模型にロストワックス台を積層した模型である。このように、模型の一部または全体に合成樹脂が用いられるように成って来たがこれは主にロウ模型の形状保持性向上、簡便な模型製作を狙ったものである。
【0007】
このように、合成樹脂を使用した模型を、精密鋳造ロストワックス法のロウ模型代替えとして利用することは公知である。しかしながら、樹脂模型をロウ模型代替えとして使用する場合、脱ロウ工程で簡単に流失し難く、樹脂模型の樹脂が熱分解を起こす温度領域近辺において、膨張と燃焼ガスの多量発生によって鋳型内部応力が急激増大し、鋳型にヘアークラックや亀裂が発生し、場合によっては鋳型が崩壊する場合もある。この様に、樹脂模型は、脱ロウ工程・初期焼成工程において、流出脱離・熱分解燃焼しにくいため、樹脂模型は使用されていないのが現状である。
【0008】
【特許文献1】
特開平5−38549号公報
【特許文献2】
特開平5−23791号公報
【特許文献3】
特開平5−329174号公報
【特許文献4】
特開平7−9084号公報
【特許文献5】
特開平7−299542号公報
【特許文献6】
特開平7−47443号公報
【特許文献7】
特開2000−263186号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ロストワックス法で精密鋳造品を製作する場合、模型は、ロウ成分からなるロウ模型を使用するのが一般的である。これはロウ成分が融点以上で液化し、脱ロウ工程で溶融脱離流出し易く、焼結工程で完全燃焼する性能に優れていると言った特徴を生かしたものである。しかしながら、近年精密鋳造物は、複雑構造を呈するようになり、また厳しい寸法精度を要求される様になって来た。それに伴い色々な課題が発生しており、ロウ模型では対応出来ない場合も発生しているのが現状である。
【0010】
すなわち、これらロウ模型に関する問題は、エッジが出にくい、細いリブが立ちにくい、細いリブは折れやすいということであり、また肉薄部位は脱型時に細心の注意を持って脱型せねばならないし、1mm以下とあまりにも薄い部位を持つロウ模型は製作に技術的限界が存在するということである。また、製作したロウ模型は、表面硬度が低いため傷つきやすい、寸法精度が甘い、持ち運び時落下衝撃にて損傷するという問題点を有し、さらに、作成したロウ模型は夏場条件で形状変化を起こしやすいため、恒温室にて保存せねばならないという問題点がある。さらにまた、夏場、ロウ模型を移動する時は、細心の注意をはらわねばならないという問題点もある。これらは、ロウ成分が比較的低分子の有機物であり、80℃程度で軟化することに由来する。このように、ロウ模型の問題はロウ成分に起因する問題に集中するものである。このようなロウ成分に起因する問題を改善するために、ロウ成分の組成変更による改善研究がなされているが、ロウ成分が常温よりやや高い温度で融解する低融点有機物であり、常温では結晶化・固体化しているものであるために、根本的な問題の解決には至っていないのが現状である。
【0011】
本発明者達は、ロウ模型の欠点改善が約束される樹脂模型において、形状保持時性・脱ロウ性(加温溶融流失性)・高温燃焼性の優れた樹脂組成について鋭意検討を重ねて来た。本発明の課題は、熱分解し易いウレタン樹脂に可塑剤やロウ・ワックス成分を巧み配合した系において、形状保持性と脱ロウ性に優れた模型用樹脂組成を設定すること、その樹脂模型に適した脱ロウ方法を設定すること、さらには脱ロウさせる低温領域での鋳型を補強することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
したがって、本発明は、多官能ポリオール成分(A)と、多官能ポリイソシアネート成分(B)と、可塑剤(C)と、ロウ・ワックス成分(D)と、中空樹脂バルーン(E)から成る2液反応硬化型ウレタン樹脂液(F)を配合し、モールド(G)に注型して硬化させ脱型して樹脂模型(H)を製作する工程:耐火コーテイング液(I)に、前記樹脂模型(H)を浸漬した後、引き上げて乾燥させ、エポキシシリコン(N)を、その表面に塗布して乾燥させ硬化させてコーティング層を形成する作業を複数回繰り返し、前記樹脂模型(H)の表面に複数層に積層されたコーティング層からなるプライマリー層を製作する工程:該樹脂模型(H)を、耐火コーテイング液(I)に浸漬した後、その表面にスタッコ(M)を振りかけて乾燥させ、エポキシシリコン(N)を塗布して乾燥させ硬化させて厚膜コーティング層を形成する作業を複数回繰り返し、前記樹脂模型(H)の表面に複数層に積層された厚膜コーティング層からなるバックアップ層を製作する工程:前記プライマリー層及び前記バックアップ層からなる厚膜耐火コーテイング多層が被覆された樹脂模型(H)を、湯口を下にして炉内に設置し、60〜120℃の低温領域で、2〜8時間予備加熱を行い、樹脂模型重量の5〜50%を初期脱ロウさせる工程:炉内温度を徐々に上昇させて、150〜500℃の中温領域で、2〜5時間加熱を行い、樹脂模型の脱ロウ・燃焼を終了させる工程:及び500〜1000℃の高温領域で、2〜5時間焼成する工程:から成ることにある。
【0013】
さらに、前記多官能ポリオール成分(A)の平均官能基数が2.8以上、前記多官能ポリイソシアネート成分(B)の平均官能基数が2.0以上、NCO/OHが0.8〜1.0であることが望ましい。
【0014】
さらにまた、前記2液反応硬化型ウレタン樹脂液(F)の反応硬化時に、前記可塑剤(C)が相分離ミクロ分散することが望ましい。
【0015】
また、前記2液反応硬化型ウレタン樹脂液(F)が、下記化2の化学構造式で示されるポリエーテル鎖を、2−20重量%含有することが望ましい。
【0016】
【化2】
Figure 0004006696
【0017】
さらに、前記ロウ・ワックス成分(D)が融点60〜130℃で最大5mmの粉末状であり、前記2液反応硬化型ウレタン樹脂液(F)中に3〜30重量%含有することが望ましい。
【0018】
さらにまた、前記エポキシシリコン(N)が、ビスフェノールタイプエポキシ(J)と、アミノシラン(K)と、有機溶剤(L)とからなることが望ましい。
【0019】
また、前記中空樹脂バルーン(E)の粒子経は、10〜100μmで、真比重は0.01〜0.03であり、前記2液反応硬化型ウレタン樹脂液(F)中に0.001〜0.5重量%配合されることが望ましい。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明の樹脂模型を用いたロストワックス精密鋳造用鋳型の製作工程にて説明する。
【0021】
樹脂模型を用いたロストワックス精密鋳造用鋳型の製作の第1の工程において、多官能ポリオール成分(A)と、多官能ポリイソシアネート成分(B)と、可塑剤(C)と、ロウ・ワックス成分(D)と、中空樹脂バルーン(E)とから成る2液反応硬化型ウレタン樹脂液(F)を配合し、この2液反応硬化型ウレタン樹脂液(F)を、モールド(G)に注型し、硬化させ、脱型して、樹脂模型(H)を製作する。
【0022】
この第1工程において、2液反応硬化型ウレタン樹脂液(F)の結合材成分は、多官能ポリオール成分(A)と多官能ポリイソシアネート成分(B)から成るものである。また、可塑剤(C)、ロウ・ワックス成分(D)及び中空樹脂バルーン(E)は、添加剤成分である。前記可塑剤(C)は、多官能ポリオール成分(A)に添加されても良いし、多官能ポリオール成分(A)を製造するときの1成分として添加されてもよい。また、前記可塑剤(C)は、前記多官能ポリイソシアネート成分(B)に添加されても良いし、多官能ポリイソシアネート成分(B)を製造するときの1成分として添加されてもよい。
【0023】
さらに、前記ロウ・ワックス成分(D)は、多官能ポリオール成分(A)へ添加されても良いし、多官能ポリオール成分(A)と多官能ポリイソシアネート成分(B)が配合された後に添加されても良い。さらにまた、前記ロウ・ワックス成分(D)は、多官能ポリイソシアネート成分(B)へ添加されても良いし、多官能ポリオール成分(A)と多官能ポリイソシアネート成分(B)が配合された後に添加されても良い。
【0024】
前記中空樹脂バルーン(E)は、多官能ポリオール成分(A)へ添加されても良いし、多官能ポリオール成分(A)と多官能ポリイソシアネート成分(B)が配合された後に添加されても良い。また、前記中空樹脂バルーン(E)は、多官能ポリイソシアネート成分(B)へ添加されても良い。
【0025】
このようにして、多官能ポリオール成分(A)と、多官能ポリイソシアネート成分(B)と、可塑剤(C)と、ロウ・ワックス成分(D)と、中空樹脂バルーン(E)から成る2液反応硬化型ウレタン樹脂液(F)を配合し、モールド(G)に注型するものである。
【0026】
前記モールド(G)としては、金型・簡易金型・樹脂型・シリコンゴム型が適応可能である。金型は量産用に、簡易金型・樹脂型は中量産用に、シリコンゴム型は少量試作生産用に適する。金型・簡易金型・樹脂型は抜き勾配を付帯させた型設計となるが、シリコンゴム型の場合には、抜き勾配を付帯させた型設計は絶対的条件ではない。つまり、ゴム弾性があるため、シリコンゴム型を多少曲げて模型を取り出し、曲げ応力を解除すれば元の形状に復元される性能を持っているためである。しかしながら、何回も使用すると、ゴム弾性が消失するため、20回程度の成形が限界である。よって、少量試作生産用に適するものである。
【0027】
前記モールド(G)に注型された2液反応硬化型ウレタン樹脂液(F)は、常温で化学反応を起こし、設定した時間で硬化するものである。硬化して形状保持した後、脱型して樹脂模型(H)を取り出すものである。使用するモールド(G)には前もって離型剤を塗布・乾燥しておくのが一般的なやり方である。
【0028】
第2工程において、耐火コーテイング液(I)に、前記樹脂模型(H)を浸漬した後、引き上げて乾燥させ、エポキシシリコン(N)を塗布し、乾燥させて硬化させ、前記樹脂模型(H)の表面に耐火コーティング層を形成する作業を、複数回、たとえば2〜5回繰り返して、耐火コーティング層が複数層の積層したプライマリー層を形成する。
【0029】
つまり、この第2工程において、耐火コーテイング液(I)に、前記樹脂模型(H)を浸漬し引き上げると、樹脂模型(H)の表面に耐火コーテイング液(I)が付着して引き上げられて来る。これを乾燥させて、エポキシシリコン(N)を、前記樹脂模型(H)の耐火コーティング層の表面に塗布して、乾燥硬化させて、前記樹脂模型(H)の表面に耐火コーティング層を形成する。この作業を2〜5回繰り返すことによって2層〜5層の耐火コーティング層からなるプライマリー層が形成される。前記エポキシシリコン(N)は、溶剤希釈された低粘度の液体であり、スプレーによって全面塗装または部分塗装されるものである。耐火コーテイング液(I)は、通常、半日〜1日の乾燥が必要であるが、エポキシシリコン(N)は1〜3時間の乾燥で造膜する。
【0030】
プライマリー層は鋳物の肌に転写されるので、比較的細かいフイラーが配合されており、緻密な耐火コーテイング層を形成するものである。プライマリー層は数回繰り返されることによって形成されることが望ましい。一気に厚膜コーテイングすると、乾燥時点で亀裂が発生するため、塗り重ねることが必要である。
【0031】
次いで、第3工程において、耐火コーテイング液(I)に、樹脂模型(H)を浸漬して引き上げ、そこにスタッコ(M)を振りかけて乾燥させ、エポキシシリコン(N)を、塗布して、乾燥させ、硬化させて、前記樹脂模型(H)の表面に厚膜耐火コーティング層を形成する。この作業を2〜5回繰り返すことによって2層〜5層の厚膜耐火コーティング層からなる厚膜バックアップ層が形成される。
【0032】
この第3工程において、耐火コーテイング液(I)に、樹脂模型(H)を浸漬して引き上げ、乾燥する前にスタッコ(M)を振りかけて付着させ、乾燥させる。その後、エポキシシリコン(N)を塗布して、乾燥させ、硬化させて、前記樹脂模型(H)のプライマリー層の表面に厚膜耐火コーティング層を形成する。この作業を2〜5回繰り返して、厚膜耐火コーティング層が2層〜5層積層された厚膜バックアップ層が形成される。つまり、スタッコ(M)を振りかけて、付着せしめることにより厚膜を得ることができる。
【0033】
前述した第2工程と第3工程において、樹脂模型(H)は耐火コーテイング層間にエポキシシリコン(N)層が設けられた構造において緻密に積層されたプライマリー層と、厚膜に積層されたバックアップ層で被覆されることになる。即ち、耐火コーテイング液(I)から成る層とエポキシシリコン(N)層を交互にかませるものである。耐火コーテイング層は、60〜120℃の低温領域では大きな強度は発現していない。500〜1000℃の高温領域で焼成されて強度が発現し、一種のセラミック層と成るものである。
【0034】
一方、エポキシシリコン(N)からなる層は、常温で完全に造膜し、耐熱性のある3次元網目構造となるため、80〜200℃の低温領域で、プライマリー層とバックアップ層から成る耐火被覆層に強度を与えるものとなる。500〜1000℃の高温領域では燃焼し、その強度は消失することが想定される。よって、エポキシシリコン(N)からなる層を層間に設け重ねることによって、低温領域の鋳型強度は格段に向上する。
【0035】
次いで、第4工程において、鋳型となるプライマリー層及びバックアップ層が表面に形成された樹脂模型(H)を、湯口を下にして炉内に設置し、60〜120℃で2〜8時間予備加熱を行い、樹脂模型重量の5〜50%を初期脱ロウさせる。
【0036】
この第4工程において、60〜120℃で2〜8時間予備加熱することによって、可塑剤(C)やロウ・ワックス成分(D)は、軟化又は溶融し、じわじわと樹脂模型(H)の内部から樹脂模型(H)の表面へにじみ出して来る。この温度領域では燃焼ガスの発生はなく、鋳型内部応力は樹脂模型(H)の膨張によるものであり、耐火被覆層からなる鋳型は、エポキシシリコン(N)からなる層によって格段に補強されているため、この程度では亀裂を発生することはない。
【0037】
にじみ出した可塑剤(C)やロウ・ワックス成分(D)は、樹脂模型(H)と鋳型の間隙に蓄積され、ポーラスな鋳型内面部へ浸透し、鋳型内圧上昇は緩和される。さらにロウ・ワックス成分(D)の蓄積が増大すると、ゆっくりと下降し、湯口から垂れさがって脱ロウが始まる。一旦脱ロウ現象が起こると、脱ロウ通路ができ、その後は順次脱ロウが進行する。この工程を短時間に通過するように昇温させた場合、急激に燃焼温度領域となって分解ガスを伴うため、鋳型内圧が急激に上昇し、エポキシシリコン(N)からなる層によって格段に補強された鋳型と言えども、亀裂を発生させることになる。
【0038】
この第4工程において、60〜120℃での予備加熱を、8時間以上行った場合、工程時間が長時間となり、経済性が伴わない。また、2時間以内では、可塑剤(C)やロウ・ワックス成分(D)のにじみ出しが不十分で脱ロウが進行していない。このため、この予備加熱時間は、好ましくは60〜120℃で2〜4時間である。そして、樹脂模型重量の2〜20%を初期脱ロウさせるのが好ましい。
【0039】
次いで、第5工程において、炉内温度を徐々に上昇させて、150〜500℃で2〜8時間加熱を行い、樹脂模型の脱ロウ・燃焼を終了させる。
【0040】
この第5工程において、多官能ポリオール成分(A)、多官能ポリイソシアネート成分(B)、可塑剤(C)、ロウ・ワックス成分(D)及び中空樹脂バルーン(E)から成る2液反応硬化型ウレタン樹脂液(F)の硬化物が、熱分解し、分解ガスを発生しながら溶融し、液化物が流出しようとする。この時点ではすでに樹脂模型(H)と鋳型の間に流出通路ができており、この通路から溶融した液化物がこの流出通路を通って流出しようとする。この時、分解ガスによる鋳型内圧が溶融・液化物を押し出す力となることから、結果的に脱ロウを順調に進行させ、且つ分解ガスも順調に排出されることになり、鋳型のヘアークラック発生は回避される。
【0041】
次いで、第6工程において、500〜1000℃で、前記鋳型が焼成される。
【0042】
この第6工程では、樹脂模型は燃焼しており、鋳型が焼成され、最高強度に到達する。後は徐冷した後、鋳型内部に残留する灰分を除去することによって、亀裂やヘアークラックの無い鋳型が完成する。
【0043】
次ぎに、本発明に使用される2液反応硬化型ウレタン樹脂液(F)の構成成分について説明する。
【0044】
2液反応硬化型ウレタン樹脂液(F)の骨格は、多官能ポリオール成分(A)と多官能ポリイソシアネート成分(B)の2液から構成されるものであり、2液混合により、化学反応が開始され、発熱して硬化するものである。2液反応硬化型ウレタン樹脂液(F)に含有される可塑剤(C)、ロウ・ワックス成分(D)は、多官能ポリオール成分(A)又は多官能ポリイソシアネート成分(B)のどちらに配合されても良いし、両方に配合されてもよい。
【0045】
前記多官能ポリオール成分(A)としては、低分子ポリオール、ポリエーテルポリオール、アミンポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ブタジエンポリオールがある。低分子ポリオールとしてはエチレングリコール・プロピレングリコール・1−4ブタンジオール・グリセリン・トリメチロールプロパン・ペンタエリスリトールなどが挙げられる。ポリエーテルポリオールとしては、上記低分子ポリオールにエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加した各種分子量のポリエーテルポリオールが市販されている。エチレンオキサイド単独付加、プロピレンオキサイド単独付加、混合付加、順次付加など色々な付加方式によって、末端水酸基は1級・2級となる。これによって、末端水酸基の反応性が異なり、付加鎖がエチレンオキサイドかプロピレンオキサイドかによって、親水性が各種各様となるポリエーテルポリオールが市販されている。
【0046】
アミンポリオールとは、アンモニア・エチレンジアミン等の低分子アミンにエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加せしめたものである。よって、分子内に3級窒素を含有することになり、イソシアネートの反応性を促進させる効果を保有したポリオールである。急速硬化を行う本発明には欠かせない成分である。
【0047】
ポリエステルポリオールは、二塩基酸と低分子ジオールをエステル化によって分子末端を水酸基としたものである。二塩基酸と低分子ジオールの種類を選択調整、分子量の調整、多官能低分子ポリオールの少量使用などによって、多種多様なポリエステルポリオールとなる。また、ε−カプロラクタムの開環重合によって得られるラクトンポリエステルポリオールもある。これらにアルキレンオキサイドを付加することによって、ポリエステル鎖とポリエーテル鎖を持ったものもあり非常に多様性があるものである。
【0048】
アクリルポリオールは、メチルアクリレートやメチルメタアクリレートに末端水酸基を含有するアクリルモノマーを重合させたものであり、アクリル鎖の中に複数の水酸基を持ったアクリルオリゴマーである。アクリルモノマーの種類を選択し、分子量を調整することによって形成される各種のアクリルポリオールが市販されている。造膜するレベルまで重合度を上げ、高分子化し、有機溶剤に溶解させた樹脂液は、脂肪族ポリイソシアネートでわずかな架橋を行うことによって耐候性に優れた塗料となる。ブタジエンポリオールは、末端に水酸基を含有するブタジエンと二重結合を有する化合物との共重合物である。比較的疎水性の強いポリオールである。
【0049】
これらの多官能ポリオールを、ポリイソシアネートでジョイントし、末端水酸基としたウレタン化変性ポリオールとしてもよい。ウレタン化変性により、オリゴマー化されて分子量がやや大きくなるので、粘度が増加する傾向が強い。よって、多官能ポリオールの一部をウレタン化変性ポリオールとすることが好ましい。
【0050】
多官能ポリイソシアネート成分(B)とは、1分子中に2個以上のイソシアネート基を含有する化合物であり、ポリオール成分とは、1分子中に2個以上の水酸基を含有するものである。イソシアネート基は、非常に反応性に富んだ官能基であり、活性水素を持つ水酸基とか、アミノ基とかチオール基と反応する。アミノ基とかチオール基とは瞬間的に反応するために、反応性に乏しいイソシアネート成分と、反応性に乏しい芳香族アミンなどに限定適応されるが、それでもあまりにも早く反応するためにその組み合わせは多用されていない。
【0051】
ポリイソシアネート成分としては、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネートがある。芳香族ポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネートとジフエニルメタンジイソシアネートが代表的である。トリレンジイソシアネートは、製造時の化学反応上、各種異性体の混合物として得られ、工業的には2,4−体と2,6−体の混合比により、TDI―100(2,4−TDI 100%)、TDI―80(2,4−TDI 80% 2,6−TDI 201%)、TDI―65(2,4−TDI 65%2,6−TDI 35%)が市販されている。ジフエニルメタンジイソシアネートとしては、これも製造時の化学反応上、各種異性体の混合物として得られ、工業的には純MDIとポリメリックMDIがある。純MDIとは2核体であり、ポリメリックMDIとは多核体であり、純MDIは蒸留で単離され、釜残としてポリメリックMDIが残る。ポリメリックMDIは、製造条件で多核体数が異なるために、各種のポリメリックMDIが各メーカーより市販されている。また、ナフタリン核にイソシアネート基を持たせたナフタレンジイソシアネートやトリジンジイソシアネートが挙げられる。脂肪族ポリイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートが挙げられる。脂環族ポリイソシアネートとしては、キシリレンジイソシアネートを水添した水添キシリレンジイソシアネートやMDIを水添した水添MDIが挙げられる。
【0052】
ポリイソシアネートは反応性に富むため、揮発性のあるポリイソシアネートは毒性が強く、色々な変成を施して使用されている。ウレタン変性、二量化、三量化、ポリカルバジイミド化、ウレア変性、プレポリマー化、ブロック化などがある。これらはイソシアネート基の高反応性を利用して自己縮合させたり、活性成分を介してジョイントさせて、末端にイソシアネート基を残したものである。
【0053】
多官能ポリオール成分(A)と多官能ポリイソシアネート成分(B)を樹脂成分とする2液反応硬化型ウレタン樹脂液(F)は、下記化3の化学構造式で示されるポリエーテル鎖を2−20重量%含有するものである。
【0054】
【化3】
Figure 0004006696
【0055】
多官能ポリオール成分(A)にポリエーテルを使用すると、ポリエーテル鎖が導入されたことになる。ポリエステルポリオールを使用する時、ポリエーテルのエステルならばポリエーテル鎖が導入されたことになる。多官能ポリイソシアネート成分(B)がポリエーテルでジョイントされた末端イソシアネート、言わゆるquasiのプレポリマーならばポリエーテル鎖を導入されたことになる。
【0056】
このポリエーテル鎖はソフト成分であり、脱ロウ・焼成工程で高温に加熱された時、熱分解を起こし、熱分解で液化流出燃焼しやすくなるので、本発明の目的にかなうものである。
【0057】
ポリイソシアネート成分とポリオール成分との配合量は、NCO基数とOH基数を計算し、通常NCO基数とOH基数の比率(NCO/OH)が1.0近辺に成るように設計される。(NCO/OH)=1.0とは、イソシアネート基と水酸基の数が同数であり、きちっと反応が終了する設計である。つまり最高の強度を発現する領域である。本発明では、ポリイソシアネート成分の平均官能基数を2.1以上、ポリオール成分の平均官能基数を3.0以上と多官能とすることによって、NCO/OHは1.0以下の領域で0.7〜1.0に設定されている。好ましくは、0.8〜0.9である。NCO/OHが0.7以下になると、イソシアネート基の大幅不足状態となり、反応硬化後3次元網目構造を取れなくなり、極端に硬度低下を引き起こし、ついには形状保持が難しくなるほど柔らかくなる。一方、NCO/OHが1.0以上になるとイソシアネート基が過剰となり、脱型時間が来ても未反応イソシアネート基が残留し、所定硬度が出ないとか、硬化物表面に色むらが発生するとか、硬化物表面が発泡する等の現象が発生する。
【0058】
多官能ポリオール成分(A)と多官能ポリイソシアネート成分(B)の化学反応を促進する触媒としては、金属触媒及びアミン触媒がある。金属触媒としては、オクチル酸亜鉛・オクチル酸鉛やジブチルチンジラウレート、ジブチルチンジアセテート、等が挙げられる。アミン触媒としてはトリエチレンジアミン、NN−ジメチルピペラジン、N−メチルモルホリン、等が挙げられる。これらの触媒は通常ポリオール成分中に添加される。通常1〜1000ppmが多官能ポリオール成分(A)に添加され、可使時間が調整される。本発明においては、可使時間つまり、可使時間が5分以内となるように多官能ポリオール成分(A)に触媒が添加使用されるものである。可使時間が5分以上になると、硬化脱型時間が2時間以上となり、樹脂模型製作上支障を来すことのなる。よって、可使時間は1〜2分が好ましい。
【0059】
本発明に使用する可塑剤(C)とは、化学反応を起こす官能基を持たない不活性な揮発性が無視できる化合物で、室温において液状のものが好ましい。可塑剤(C)としては、エステル系可塑剤、エーテル系可塑剤、エステル・エーテル系可塑剤が挙げられる。具体的に、エステル系可塑剤としては、ジオクチルアジペート(DOA)、ジオクチルフタレート(DOP)、ジブチルフタレート(DBP)が代表的である。その他、酢酸ベンジル、安息香酸ブチル、安息香酸オクチル、安息香酸イソペンチル、エチレングリコール安息香酸ジエステル、ポリエチレングリコール安息香酸ジエステル、プロピレングリコール安息香酸ジエステル、ポリプロピレングリコール安息香酸ジエステル、エチレングリコールジオリエート、ポリエチレングリコールジオリエート、プロピレングリコールジオリエート、ポリプロピレングリコールジオリエート等が挙げられる。エーテル系可塑剤としては、エチレングリコールブチルエーテル、エチレングリコールジフエニルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルブチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トロエチレングリコールジブチルエーテル,テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられる。エーテルエステル系としては、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチテングリコーリモノフエニルエーテルアセテート等が挙げられる。
【0060】
可塑剤(C)の使用量は、2液反応硬化型ウレタン樹脂液(F)に対して2〜20重量%である。可塑剤(C)の使用量が20重量%以上に高含有させると、可塑剤(C)が樹脂模型の表面へブリードし、ベタツキ・タックが発生する。可塑剤(C)の使用量が2重量%以下になると、脱ロウ・焼成工程において、樹脂が熱分解し、溶融し、流失し、燃焼する時に、流出しにくくなる。何故ならば可塑剤(C)は、室温で液体であり、高温では流出しやすい低粘度となるからである。こう言った効果を強く発揮させるためには可塑剤(C)はできるだけ高含有させたいものである。
【0061】
できるだけ可塑剤(C)を高含有させるために、鋭意検討を行った結果、可使時間5分以内で急速硬化させ、可塑剤(C)が硬化樹脂から相分離し、硬化樹脂の3次元網目構造内にミクロ分散状態で閉じこめられる状態と成すことが有効であることを見い出した。この様な相分離ミクロ分散構造は言葉で表現するならば、蜂の巣状の硬化樹脂の中に幼虫となる可塑剤(C)が存在していると表現できる。蜂の巣状の硬化樹脂は、強度物性に優れた構造であり、可塑剤(C)を蜂の巣内にて大切に保存し、外部へ放出しないような構造である。よって、可塑剤(C)は比較的高含有となっても硬化物表面ににじみ出し、タック発生を引き起こすことはない。相分離ミクロ分散構造を取らない時は、可塑剤は硬化樹脂中に溶解することになり、飽和状態以上になると可塑剤は硬化物表面ににじみ出し、タックが出る。にじみ出しが多いとベタツキが発生し易くなる。このような相分離ミクロ分散構造は電子顕微鏡によって確認されている。相分離ミクロ分散構造を助成するには、可使時間5分以内で急速硬化せしめることが必要である。好ましくは3分以内である。可使時間が5分以上になると、相分離ミクロ分散が終了しにくくなり、また模型製作時脱型に1日以上必要となり模型製作上迅速性が失われる。
【0062】
2液反応硬化型ウレタン樹脂液(F)として存在する時点では、可塑剤(C)は均一溶解状態が必要であり、反応硬化する段階で、硬化樹脂から相分離ミクロ分散が助成され、反応硬化終了時点では、ミクロ分散した可塑剤を包含し表面へのブリードを妨げるものである。こう言った微妙なバランスの上に組成が構成されるものである。つまり、可塑剤(C)と反応硬化性樹脂の親水性・疎水性のバランスをうまく調整された領域に設計されるものである。親水性セグメントとしては、アルキレンオキサイド鎖が有効であり、疎水性セグメントとしては、炭化水素鎖が有効である。これらの親水性セグメント・疎水性セグメントは、使用する原料モノマーの選択にて決定される。これらの親水性と疎水性のバランスは、ある程度乖離させた設計が必要である。2液反応硬化型ウレタン樹脂液(F)にエチレンオキサイド鎖を多用すると親水性が強くなるし、プロピレンオキサイド鎖にするとエチレンオキサイド鎖よりは親水性が弱まる。エチレンオキサイド鎖やプロピレンオキサイド鎖を少なくすると疎水性が強い2液反応硬化型ウレタン樹脂液(F)となり、親水性と疎水性をある範囲内で調整することが出来る。また、可塑剤(C)の種類と使用量を調整することにより、可塑剤(C)自身の親水性と疎水性をある範囲内で調整することが出来る。例えば末端をアルキルエーテルとする場合、メチルエーテル・エチルエーテル・ブチルエーテル・フエニルエーテルと変化するに従って疎水性が大きくなる。このように、可塑剤(C)の化学構造と使用量、2液反応硬化性ウレタン樹脂液(F)の化学構造と使用量を変えて相分離ミクロ分散する領域範囲を設定するものである。
【0063】
可塑剤(C)は常温で液状である。2液反応硬化型ウレタン樹脂液(F)が硬化した樹脂模型の中で可塑剤(C)はミクロ分散状態で樹脂の中に閉じこめられている。よって、脱ロウ・焼成工程にて樹脂が熱膨張・部分熱分解溶融し始めると、可塑剤(C)は高温・低粘度液体として樹脂模型よりしみ出して来るものである。即ち、脱ロウ性を向上させる有力成分として寄与するものである。
【0064】
次いで、本発明に使用されるロウ・ワックス成分(D)について説明する。
【0065】
ロウは天然に存在し、代表的なものとしてはロウソクである。ロウの化学組成は、高級脂肪酸と高級アルコールから成るエステルであり、ロウエステルと言われている。高級脂肪酸・高級アルコールの炭素数は、16以上が主体である。エステル化合物であるから多少酸価が残存する。つまり遊離脂肪酸が残存する。また天然には数多くの飽和・不飽和高級脂肪酸が存在するので、ロウによっては高級不飽和脂肪酸やヒドロキシ酸も含有することになる。これらロウは、パラフインに近い化学構造であり、常温で結晶化又は非結晶化した固体であり、その融点は一般的に80℃程度の領域にある。代表的なロウを挙げると、キャンデリラロウ、カルナバロウ、ライスワックス、みつロウ、鯨ロウ、モンタンロウ等が挙げられる。これらのロウは、単独・混合され、また第3成分が添加されたロウでも良い。主成分がロウの化学組成である高級脂肪酸と高級アルコールのエステル化合物であることである。
【0066】
ワックスは石油ワックスと合成ワックスがある。ロウは天然ワックスであると言えば理解しやすい。
【0067】
石油ワックスとは、原油中に存在する常温において固体または半固体の炭化水素であって、パラフインワックス・マイクロクリスタリンワックス・ペトロラクタムに大別される。
【0068】
パラフインワックスとは、炭素数20〜36の直鎖飽和炭化水素を主成分とし、少量の側鎖飽和炭化水素・ナフテイン・芳香属炭化水素を含み、分子量は300〜500の常温で固体のワックスである。
【0069】
マイクロクリスタリンワックスは、パラフインワックスよりも分子量が450〜700と大きく、主鎖に側鎖を持つやや複雑な化合物で、炭素数は大体31〜50の範囲にある。主成分の側鎖飽和炭化水素の外に、少量の直鎖飽和炭化水素・ナフテイン・芳香族炭化水素などを含有している常温で固体のワックスである。
【0070】
ペトロラクタムは、マイクロクリスタリンワックスと同様に主成分の側鎖飽和炭化水素の外に、少量の直鎖飽和炭化水素・ナフテイン・芳香族炭化水素などを含有している常温で半固体のワックスである。
【0071】
合成ワックスとしては、石油系合成ワックス・ポリエチレンワックス・フイッシュアー トロプシュワックス・油脂系合成ワックスがある。
【0072】
石油系合成ワックスとしては、モンタンワックスがあり、ビチューメン含有褐炭より有機溶剤で抽出して得られる黒褐色のワックスで融点約85℃である。粗モンタンワックスの酸化物は酸ワックスとして市販されている。
【0073】
ポリエチレンワックスは、エチレンの重合によって製造されるが、汎用ポリエチレンの熱分解によっても製造されている。天然ロウが分子量1000以下であるのに対し、ポリエチレンワックスは分子量1000〜10000であり、分子量の差に起因する物性の差、エチレン鎖の連続構造であると言った化学構造の差が諸性質を異ならせている。
【0074】
本発明のロウ・ワックス成分(D)は、単一ロウ・単一ワックスで構成されても良いが、むしろブレンドされて使用されるものである。また、ロウ・ワックス成分(D)は、パラフイン性が強い化合物であり、非常に疎水性が強く、常温で固体である。よって、多官能ポリオール成分(A)や多官能ポリイソシアネート成分(B)また可塑剤(C)に溶解しにくい性質を持っている。よって、2液反応硬化型ウレタン樹脂液(F)に配合されても溶解し難く、液中系内で膨潤・浮遊している状態にある。このような状態において、2液反応硬化型ウレタン樹脂液(F)が急速硬化すると、結果的に硬化樹脂の中に固体として埋没包含されることになる。
【0075】
このロウ・ワックス成分(D)は、2液反応硬化型ウレタン樹脂液(F)に対して1〜20重量%使用されるものである。より好ましくは5〜10重量%である。1重量%以下だと、ロウ・ワックス成分(D)を使用する効果が消滅する。20重量%以上に成ると、2液反応硬化型樹脂液(C)の流動性が悪くなり、樹脂模型製作時の作業性が損なわれる。また、樹脂模型自身の強度が低下し、脱型時割れたり折れたりする可能性が高くなる。
【0076】
このロウ・ワックス成分(D)の融点は60〜130℃である。好ましくは60〜120℃である。融点が60℃以下の場合、2液反応硬化型ウレタン樹脂液(F)の硬化発熱でロウ・ワックス成分(D)が溶融し、ロウ・ワックス成分(D)の粒子が融合し、模型の上層に分離するので不適当である。融点が130℃以上になると分子量が大きくなり溶融粘度が高く脱ロウが遅れるため好ましくない。
【0077】
ロウ・ワックス成分(D)の粒子は、最大5mm以下の粒子状である。5mmより大きくなると、模型の5mm以下の肉厚部分に流れ込みにくくなり、模型中のロウ・ワックス成分(D)の均一分布が損なわれる。ロウ・ワックス成分(D)は、好ましくは1mm以下である。このようなロウ・ワックス成分(D)の粒子は、2液反応硬化型ウレタン樹脂液(F)の中で、表面部分膨潤状態で浮遊している。よって、微粒子のロウ・ワックス成分(D)は、瞬時に液面に浮上することはない。硬化した樹脂模型の中では、樹脂膜に覆われた状態において粒子状で分散している。よって、脱ロウ・焼成工程で、樹脂が熱膨張・部分熱分解溶融し始めると、ロウ・ワックス成分(D)は、高温・低粘度液体として樹脂模型よりしみ出して来るものである。即ち、脱ロウ性を向上させる有力成分として寄与するものである。
【0078】
中空樹脂バルーン(E)は、内部が中空となった樹脂ビーズである。フエノール樹脂バルーンやアクリル樹脂バルーンが市販されている。これらの中空樹脂バルーン(E)の粒子径は10〜100μm程度であり、真比重は0.01〜0.03である。このような比重の軽い中空樹脂バルーン(E)を2液反応硬化型ウレタン樹脂液(F)に配合すると、液面に浮遊しようとする。一方、ロウ・ワックス成分(D)の微粒子が配合されているため、中空樹脂バルーン(E)は、ロウ・ワックス成分(D)の微粒子を押しのけて浮上せねば成らないため、液面への浮上は思ったよりも遅れるものである。2液反応硬化型ウレタン樹脂液(F)はショートポットライフであり、2液配合の瞬間から化学反応を起こし、可使時間は1〜5分と短時間であり、注型作業終了時点には粘度上昇があるので、中空樹脂バルーン(E)の液面への集中的浮上は阻止される。
【0079】
中空樹脂バルーン(E)の粒子径が10μm以下になると、2液反応硬化型ウレタン樹脂液(F)配合系の流動性が悪くなり、注型作業が困難となる。粒径が100μm以上になると、2液反応硬化型ウレタン樹脂液(F)配合系での中空樹脂バルーン(E)粒子の浮上が早くなり、液中分離が起こり好ましくない。好ましい粒径は20〜80ミクロンである。
【0080】
これよって、2液反応硬化型ウレタン樹脂液(F)に配合され硬化した樹脂模型(H)の中に、中空樹脂バルーン(E)が比較的均一に分散された状態となる。これは、すなわち樹脂模型(H)の中に気体が封じ込められた状態で分散されたことになり、脱ロウ・燃焼不要成分をちりばめたこととなり、脱ロウ性の大幅寄与・燃焼性の大幅寄与効果を発現する。
【0081】
中空樹脂バルーン(E)の配合量は、2液反応硬化型ウレタン樹脂液(F)に対して0.001〜1.0重量%である。配合量が0.001重量%以下の場合は、脱ロウ性・燃焼性への大幅寄与効果が低減する。1.0重量%以上の場合は配合樹脂液系ががさつき、流動性が悪くなるため、スムースな注型作業が困難となる。好ましくは、中空樹脂バルーン(E)の配合量は2液反応硬化型ウレタン樹脂液(F)に対して0.03〜0.10重量%である。
【0082】
多官能ポリオール成分(A)、多官能ポリイソシアネート成分(B)、可塑剤(C)、ロウ・ワックス成分(D)及び中空樹脂バルーン(E)から成る2液反応硬化型ウレタン樹脂液(F)には、活性水素を持たない不活性な有機化合物を、必要により配合しても良い。例えば、有機溶剤・酸化防止剤・着色剤・硬化促進剤・分散剤・揺変剤等である。有機溶剤としては、粘度低減を目的に、酢酸メチル・酢酸エチル・酢酸ブチル・メチルエチルケトン・メチルイソブチルケトン・トルエン・キシレン等が配合されても良い。酸化防止剤としては、熱劣化・紫外線劣化防止を目的に、ヒンダードフエノール類やヒンダードアミン等が配合されても良い。着色剤としては、美的感覚を目的に、有機染料が配合されても良い。硬化促進剤としては、三級アミン・微量のオクチル酸亜鉛やヂブチルチンラウレートが添加されても良い。分散剤としては、アミド化合物や界面活性剤が添加されても良い。但し、燃焼後灰分となる無機物の配合は好ましくない。
【0083】
次ぎに耐火コーテイング液(I)について詳しく説明する。
【0084】
耐火コーテイング液(I)は、通常コロイダルシリカやエチルシリケートに微粉末ジルコニアやアルミナを配合したスラリー状の液体である。耐火コーテイング液(I)に使用されるバインダーであるコロイダルシリカやエチルシリケートは、可使時間なるものが存在するため、特に液のPH管理をしっかりと行う必要がある。コロイダルシリカやエチルシリケートは、脱水反応によって硬化する。これを高温で焼成すると、さらに脱水を起こし、Si−O−Si結合によってセラミック化し、高硬度の鋳型となる。エチルシリケートは、アルコール溶剤系で使用されるため、乾燥時アルコールが飛散する。コロイダルシリカは、水系であり、乾燥時水が飛散する。鋳造業界では、環境汚染の問題から、アルコールの飛散のないコロイダルシリカが多用される傾向にある。
【0085】
次ぎに、本発明で使用するエポキシシリコン(N)について詳しく説明する。
【0086】
エポキシシリコン(N)とは、ビスフエノールAタイプエポキシ(J)にアミノシラン(K)を配合し、有機溶剤(L)で希釈した低粘度で、スプレー可能な液体である。
【0087】
ビスフエノールタイプエポキシ(J)とは、下記化4の化学構造式で表される分子末端グリシジール基を持つエポキシであり、ビスフエノールAタイプエポキシとビスフエノールFタイプエポキシがある。ビスフエノールAタイプエポキシは、エピコート828・エピコート1001なる商標にて市販されている。ビスフェノールタイプエポキシ(J)は、下記化4の化学構造式で表されるものである。
【0088】
【化4】
Figure 0004006696
【0089】
アミノシラン(K)とはシランカップリング剤として市販されており、下記化5の化学構造式で表される分子末端にアルコキシシリル基とアミノ基を有する化合物である。
【0090】
【化5】
Figure 0004006696
【0091】
具体的に例をあげると、γアミノプロピルトリエトキシシラン、N−(βアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(βアミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。
【0092】
有機溶剤(L)とは、エポキシとアミンの反応を損なわないエポキシ樹脂用希釈溶剤が好ましい。例えば、エポキシ樹脂を溶解する真溶剤としてのケトン系有機溶剤・エステル系有機溶剤、エポキシ樹脂を真溶剤で溶解後希釈する希釈溶剤となるエーテル系有機溶剤・芳香属系有機溶剤・アルコール系有機溶剤等である。
【0093】
ケトン系有機溶剤としては、メチルエチルケトン・メチルイソブチルケトン等が挙げられる。エステル系有機溶剤としては、酢酸メチル・酢酸エチル・酢酸プロピル・酢酸ブチル等が挙げられる。エーテル系有機溶剤としてはジオキサン・エチレングリコールジメチルエーテル・エチレングリコールジエチルエーテル・エチレングリコールジブチルエーテル等がある。芳香属系有機溶剤としては、トルエン・キシレンが代表的である。アルコール系有機溶剤としては、メタノール・エタノール・イソプロピルアルコール・ブチルアルコール・エチレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。これらの有機溶剤には微量水分が含まれているので、極力脱水して使用するのが好ましい。
【0094】
ビスフエノールタイプエポキシ(J)とアミノシラン(K)が混合されると、ビスフエノールタイプエポキシ(J)のグリシジル基とアミノシラン(K)のアミノ基は、常温において付加反応を起こし結合する。アミノシランのアルコキシシリル基は、空気中の湿気や下地の耐火被覆層表面のOH基と脱アルコール反応を起こし造膜する。グリシジル基とアミノ基の付加反応及びアルコキシシリル基の脱アルコール縮合反応は常温でスムースに進行するものである。
【0095】
ビスフエノールタイプエポキシ(J)とアミノシラン(K)の配合比は、ビスフエノールタイプエポキシ(J)の1モルにアミノシラン(K)を1.5〜2モルとなる様に配合重量を決定すればよい。
【0096】
エポキシシリコン(N)層は、下地のプライマリー層やバックアップ層に強固に接着する。接着機構は、アミノシラン(K)のアルコキシシリル基が下地の耐火コーテイング層表面のSi−OH基と脱アルコール反応を起こし、Si−O−Si結合の形成が起こり、共有結合で強く接合する。また、エポキシ基とアミノ基の付加反応により生成するOH基が、下地耐火コーテイング層のSi−OHと水素結合を生成し、強固に接着すると考えられる。
【0097】
また、樹脂の中では比較的耐熱性に富んだ化学構造であり、低温領域(100〜200℃)では熱分解し難く、鋳型強度アップに寄与する。中温領域(300〜500℃)では燃焼するため、強度アップキープ力は徐々に消滅するであろう。高温領域(500〜1000℃)で、鋳型は焼結されてセラミック化し、鋳型強度は最高強度に到達する。鋳型強度の発現が不足し、割れを起こし易い低温領域(100〜200℃)での強度不足を、エポキシシリコン(N)が補うものである。
【0098】
本発明の樹脂模型(H)を脱ロウする場合、ロウ模型(H)の脱ロウに適合した最適条件を適応することが必用である。一般にロストワックス精密鋳造では、ロウ模型の脱ロウ温度条件は、120℃に昇温し、120〜150℃で1〜2時間脱ロウし、300〜500℃に昇温される。この条件をそのまま適応すると、樹脂模型の熱膨張と熱分解による燃焼ガスの発生によって、鋳型内圧が急激に増大し、鋳型に亀裂を発生させ、場合によっては鋳型が崩壊することになる。鋳型が脱ロウ時にクラックを発生するのは、鋳型強度が低レベル時に内部応力が大きくなり、鋳型強度が内部応力に耐えないためであると考えられる。
【0099】
本発明の樹脂模型に適した脱ロウ・焼成条件を検討した結果、60〜120℃の低温領域において2〜8時間予備加熱を行い、樹脂模型重量の5〜50%を初期脱ロウさせる工程を設け、炉内温度を徐々に上昇して150〜500℃の中温領域で2〜5時間加熱を行い、樹脂模型の脱ロウ・燃焼を終了させる工程、500〜1000℃の高温領域で焼成する工程から成るものである。つまり、脱ロウしにくい樹脂成分が主体なるため、急速昇温を避けた低温脱ロウ条件を導入するものである。
【0100】
60〜120℃で2〜8時間予備加熱を行うことによって、樹脂成分中にミクロ相分離した可塑剤(C)が、樹脂膜を通過して樹脂と鋳型の界面ににじみ出て来ると思われる。これが蓄積されて、鋳型内面を伝って湯口より可塑剤(C)が流出し始める。更に、ロウ・ワックス成分(D)は、融点近辺または融点以上の温度にあるため、軟化・液化し始めており、可塑剤(C)と共ににじみ出し、または可塑剤(C)が流出した通路を伝って湯口より流出しはじめる。60〜120℃の低温領域においては、樹脂成分は軟化劣化した状態であり、ガスを発生した熱分解はまだ起こっていない。よって、鋳型内部は樹脂成分の熱膨張に起因する内圧であり、可塑剤(C)やロウ・ワックス成分(D)を湯口へ押し出す力となる。よって、鋳型内部の圧力はこの押し出し流出によって緩和されるため、鋳型は内圧に耐えクラックが発生することは回避可能となる。
【0101】
300℃以上に昇温すると、樹脂成分は、熱分解を起こし、分解ガスを発生しながら、主鎖・側鎖の解裂によって低分子化し、樹脂自身が部分的に液化する。分解ガスは、鋳型内部で発生し、封じこめられている。これによって、鋳型内圧が増大するが、60〜120℃で可塑剤(C)やロウ・ワックス成分(D)が抜け出た通路が開かれれば、分解ガスは簡単に抜け出て行く。また残留液化物を湯口へ押し出す力ともなり、残留液化物が湯口より流出すると分解ガスは系外へ放出され、鋳型の内圧は低下する。鋳型内部では、樹脂がどんどん熱分解し、分解ガスが発生する。こう言った諸現象を伴って脱ロウと燃焼が順次に起こり、鋳型内圧の急激な増大は相当に緩和されると考えられる。脱ロウと燃焼が同時に活発化する時には、鋳型と樹脂模型の間にかなり大きい空間が発生しており、炎を出して残留液化物が流出する。
【0102】
本発明に使用される2液反応硬化型ウレタン樹脂液(F)の構成成分は、注型作業性・硬化性・硬化物の形状保持性・脱ロウ性・熱分解燃焼性等のバランスを取り、ロウ模型の欠点を改善した樹脂模型となるように構成されている。こう言った構成成分からなる樹脂模型を脱ロウする場合、鋳型に無理な応力がかからないように、ゆっくりと徐々に脱ロウする温度条件を設定した点に、大きなポイントがある。更に、耐火コーテイング層にエポキシシリコン層を挟む構造としたことによって、低温領域での鋳型強度アップを加えた。
【0103】
樹脂模型の組成・耐火コーテイング材の強度アップ、樹脂模型に適した脱ロウ条件の適応と言った3方向から鋭意検討し、脱ロウ・焼成工程にてクラックの無い鋳型と成す方法を見出し、本発明に至った。
【0104】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のロストワックス精密鋳造用鋳型を用いて精密鋳造を行うことにより、幾多の効果が発現する。その効果を挙げると次の通りである。
【0105】
従来のロストワックス精密鋳造では成し得なかったシャープエッジ及びリブ立ちの有る薄肉複雑形状鋳物製品が製作できる。
【0106】
チタン合金に適応することにより、寸法精度に優れた軽量・高硬度・高耐熱・高腐食性の薄肉複雑形状チタン鋳物製品が製作できる。
【0107】
レース用自動車の機構部品・航空機ジエットエンジン部品・ロボット部品・宇宙開発ロケット部品が高精度で軽量化できる。
【0108】
特に、ハイテク産業向け鋳造部品の製作が可能となり、大きな効果が期待される。

Claims (7)

  1. 多官能ポリオール成分(A)と、多官能ポリイソシアネート成分(B)と、可塑剤(C)と、ロウ・ワックス成分(D)と、中空樹脂バルーン(E)から成る2液反応硬化型ウレタン樹脂液(F)を配合し、モールド(G)に注型して硬化させ脱型して樹脂模型(H)を製作する工程:
    耐火コーテイング液(I)に、前記樹脂模型(H)を浸漬した後、引き上げて乾燥させ、エポキシシリコン(N)を、その表面に塗布して乾燥させ硬化させてコーティング層を形成する作業を複数回繰り返し、前記樹脂模型(H)の表面に複数層に積層されたコーティング層からなるプライマリー層を製作する工程:
    該樹脂模型(H)を、耐火コーテイング液(I)に浸漬した後、その表面にスタッコ(M)を振りかけて乾燥させ、エポキシシリコン(N)を塗布して乾燥させ硬化させて厚膜コーティング層を形成する作業を複数回繰り返し、前記樹脂模型(H)の表面に複数層に積層された厚膜コーティング層からなるバックアップ層を製作する工程:
    前記プライマリー層及び前記バックアップ層からなる厚膜耐火コーテイング多層が被覆された樹脂模型(H)を、湯口を下にして炉内に設置し、60〜120℃の低温領域で、2〜8時間予備加熱を行い、樹脂模型重量の5〜50%を初期脱ロウさせる工程:
    炉内温度を徐々に上昇させて、150〜500℃の中温領域で、2〜5時間加熱を行い、樹脂模型の脱ロウ・燃焼を終了させる工程:及び
    500〜1000℃の高温領域で、2〜5時間焼成する工程:から成ることを特徴とするロストワックス精密鋳造用鋳型の製作方法。
  2. 前記多官能ポリオール成分(A)の平均官能基数が2.8以上、前記多官能ポリイソシアネート成分(B)の平均官能基数が2.0以上、NCO/OHが0.8〜1.0であることを特徴とする請求項1記載のロストワックス精密鋳造用鋳型の製作方法。
  3. 前記2液反応硬化型ウレタン樹脂液(F)の反応硬化時に、前記可塑剤(C)が相分離ミクロ分散することを特徴とする請求項1又は2記載のロストワックス精密鋳造用鋳型の製作方法。
  4. 前記2液反応硬化型ウレタン樹脂液(F)が
    Figure 0004006696
    で示されるポリエーテル鎖を、2−20重量%含有することを特徴とする請求項1〜3記載の樹脂模型を用いたロストワックス精密鋳造用鋳型の製作方法。
  5. 前記ロウ・ワックス成分(D)が融点60〜130℃で最大5mmの粉末状であり、前記2液反応硬化型ウレタン樹脂液(F)中に3〜30重量%含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載のロストワックス精密鋳造用鋳型の製作方法。
  6. 前記エポキシシリコン(N)が、ビスフェノールタイプエポキシ(J)と、アミノシラン(K)と、有機溶剤(L)とからなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載のロストワックス精密鋳造用鋳型の製作方法。
  7. 前記中空樹脂バルーン(E)の粒子経は、10〜100μmで、真比重は0.01〜0.03であり、前記2液反応硬化型ウレタン樹脂液(F)中に0.001〜0.5重量%配合されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載のロストワックス精密鋳造用鋳型の製作方法。
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