JP4004232B2 - 映像信号処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、テレビジョン受像機等において、ディジタル化された映像信号に含まれる輝度信号のレベルを補正し、鮮明な画像を表示することを可能にする映像信号処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
テレビジョン受像機においては、黒い部分の少ない画像では、画面中の黒部分が周囲部から浮き、めりはりのない画像となる。これを防止するため黒レベル補正が行われる。黒レベル補正は、入力輝度信号の最黒部分が基準レベルに近づくように黒方向に伸張する補正であり、その入出力特性は後述の図4に示すようなものである。従来、黒レベル補正は、トランジスタ、抵抗等から構成されるアナログ回路で行われてきた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
近年、テレビジョン信号処理回路を高集積化するため、映像信号をディジタル化し、ディジタル処理することが求められている。従って、上記の黒レベル補正も、アナログ回路ではなく、入出力特性を表すディジタルデータを格納するROM等のメモリを備えたディジタル回路で行うことが必要になってきている。
【0004】
しかしながら、図4のような非線形の入出力特性をディジタル回路で実現するためには、大容量のメモリが必要であり、製造コストが上昇するという問題がある。本発明は、ディジタル輝度信号の黒レベル補正を行うディジタル回路に必要なメモリの容量を低減することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、ディジタル映像信号に含まれるディジタル輝度信号の黒レベルを補正する映像信号処理装置であって、入力されるディジタル輝度信号を非線形変換するための入出力特性データを格納したメモリ手段と、前記入力されるディジタル輝度信号の値と第1の固定値とを比較する比較手段と、前記メモリ手段から出力される非線形変換されたディジタル輝度信号の値及び第2の固定値の一方を前記比較手段の比較結果に応じて選択して出力する切り替え手段と、該切り替え手段の出力と前記入力されるディジタル輝度信号とを乗算する乗算手段とを備え、前記メモリ手段は、複数の異なる入出力特性データを格納し、前記複数の異なる入出力特性データの内の、外部から供給される第1の制御信号の値に対応する入出力特性データが、前記非線形変換されたディジタル輝度信号として前記切り替え手段に供給され、前記複数の異なる入出力特性データは、前記切り替え手段が前記メモリ手段から出力される非線形変換されたディジタル輝度信号の値を選択して出力する黒レベル補正範囲と、前記切り替え手段が前記第2の固定値を選択して出力する黒レベル固定範囲との境界点である黒レベル補正開始点を変更するデータであることを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載の発明は、前記比較手段の出力と外部から供給される第2の制御信号との論理和を出力するゲート手段を更に備え、前記切り替え手段は、該ゲート手段の出力の値に応じて前記メモリ手段から出力される非線形変換されたディジタル輝度信号と前記第2の固定値の一方を選択して出力することを特徴とする。
【0007】
請求項3に記載の発明は、ディジタル映像信号に含まれるディジタル輝度信号の黒レベルを補正する映像信号処理装置であって、入力されるディジタル輝度信号を非線形変換するための入出力特性データを格納したメモリ手段と、前記入力されるディジタル輝度信号の値と第1の固定値とを比較する比較手段と、前記メモリ手段から出力される非線形変換されたディジタル輝度信号の値及び第2の固定値の一方を前記比較手段の比較結果に応じて選択して出力する切り替え手段と、該切り替え手段の出力と前記入力されるディジタル輝度信号とを乗算する乗算手段と、前記比較手段の出力と外部から供給される第2の制御信号との論理和を出力するゲート手段とを備え、前記切り替え手段は、該ゲート手段の出力の値に応じて前記メモリ手段から出力される非線形変換されたディジタル輝度信号と前記第2の固定値の一方を選択して出力することを特徴とする。
また、請求項4に記載の発明は、前記メモリ手段は、複数の異なる入出力特性データを格納し、前記複数の異なる入出力特性データの内の、外部から供給される第1の制御信号の値に対応する入出力特性データが、前記非線形変換されたディジタル輝度信号として前記切り替え手段に供給されることを特徴とする。
【0008】
請求項5に記載の発明は、前記第2の制御信号及び前記比較手段の出力はそれぞれ1ビットの信号であることを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1である映像信号処理装置の構成を示す概略ブロック図である。同図において、1はROM、2は比較器、3は切り替え手段、4は乗算器である。
【0010】
図1において、ROM1には、8ビットの入力ディジタル輝度信号Y-INの下位7ビットと、後述の黒レベル補正開始点を設定する2ビットの制御信号BLK-S-Pointの全2ビットの計9ビットの信号が入力される。該ROM1は、この9ビットの信号の値に対応した値を有する8ビットの信号を出力する。
【0011】
また、この8ビットのディジタル輝度信号Y-INは、比較器2にも入力され、比較器2は、該ディジタル輝度信号の値と固定値、例えば‘7FH’とを比較する。比較器2は、該ディジタル輝度信号の値が‘7FH’より大きいとき‘1’の信号を出力し、それ以外の場合は‘0’の信号を切り替え手段3に切り替え信号として送る。
【0012】
切り替え手段3は、その一方の入力端子にROM1から出力される上記8ビットの信号が入力され、他方の入力端子には固定値、例えば8ビット信号の最大値である‘FFH’が入力される。切り替え手段3は、比較器2からの切り替え信号が‘0’のとき、ROM1の出力信号を選択し、比較器2からの切り替え信号が‘1’のとき、該固定値‘FFH’を選択する。
【0013】
乗算器4は、入力ディジタル輝度信号Y-INの全8ビットと、切り替え手段3の出力の8ビットとを乗算し、乗算結果として全16ビットの信号を出力する。該乗算器4の16ビット出力のうち上位8ビットが黒レベルの補正された輝度信号Y-OUTとして外部に出力される。
【0014】
図3に、ROM1の入出力特性を示す。図3に示すように、ROM1に入力される9ビットの入力信号が‘00H’から‘7FH’の間にあるときは、その8ビットの出力信号の値は、該入力信号の値の増加に伴い‘FFH’から始まり一度‘00H’に下がった後、また‘FFH’に戻る。9ビット入力信号が‘80H’から‘FFH’の間、‘100H’から‘17FH’の間、あるいは‘180H’から‘1FFH’の間にある場合においても8ビットの出力信号の値は同様に変化するが、‘FFH’に戻るポイントがそれぞれ異なっている。これらの4種類の入出力特性の‘FFH’に戻るそれぞれのポイント(a)、(b)、(c)、(d)が、黒レベル補正が開始される点となる。
【0015】
図3において破線で区切られている上記4つの入出力特性のいずれを使用するかは、2ビットの制御信号BLK-S-Pointにより決定される。例えば、この信号が‘00’のとき、‘00H’から‘7FH’の範囲の入出力特性が使用され、この場合、上記(a)点は‘7FH’であり、黒レベル補正の開始点は入力輝度レベルで50IREとなる。また、(b)、(c)、(d)点がそれぞれ‘E6H’、‘14DH’、‘1B4H’であるとき、制御信号BLK-S-Pointを‘01’、‘10’、あるいは‘11’とすれば、黒レベル補正開始点を40IRE、30IRE、あるいは20IREに設定することができる。
【0016】
図4は、制御信号BLK-S-Pointが‘00’のときの本実施形態1の装置の輝度信号の入出力特性を示している。上述したように、出力輝度信号(切り替え手段3の8ビットの出力と入力ディジタル輝度信号の8ビットとを乗算して得られる16ビットの信号の上位8ビット)は、図4に示すように50IRE以下の入力レベルでは黒方向に伸長される。
【0017】
上記実施の形態1では、レベル補正を必要としない入出力特性の線形の部分(例えば、50IREを超える部分)では、切り替え手段3によりROM1の出力に代えて固定値を選択するので、ROM1にこの線形部分に対応するデータを格納する必要がなく、従ってその分、容量を小さくすることができる。
【0018】
実施の形態2.
図2は本発明の実施の形態2である映像処理装置の構成を示す概略ブロック図である。同図において、図1と同一の符号は、実施の形態1のものと同一あるいは相当のものを表している。実施の形態2は、ORゲート5を有する点で実施の形態1と異なる。
【0019】
図2に示すROM1、比較器2、切り替え手段3、乗算器4の動作は実施の形態1と同様である。即ち、切り替え手段3は、ROM1の8ビットの出力がその一方の入力端子に入力され、他方の入力端子に固定値(‘FFH’)が入力され、ORゲート5の出力が‘0’のとき、ROM1の出力信号を選択し、ORゲート5の出力が‘1’のとき、該固定値を選択する。また、乗算器4は、ディジタル輝度信号Y-INの全8ビットと、切り替え手段3の出力8ビットとを乗算し、全16ビットの信号を出力する。該乗算器4の16ビット出力のうち上位8ビットが黒レベルの補正された輝度信号Y-OUTとして外部に出力される。
【0020】
一方、ORゲート5は、その一方の入力端子に比較器2の出力が入力され、他方の入力端子に、黒レベル補正を行うか否かを指示する1ビットの制御信号BLK-S-on/offが供給される。これにより該制御信号が‘1’のときには、比較器2の出力の如何に関わらず、ORゲート5から切り替え手段3に供給される切り替え信号は常に‘1’となり、切り替え手段3は上記固定値(‘FFH’)を選択する。従ってこの場合、入力輝度信号にはこの固定値が掛け合わされるので、入出力特性は、図4の破線で示すように低輝度部分でも線形性を示すものとなる。
【0021】
上記第2の実施形態では、黒レベル補正を行った8ビットの入力輝度信号と黒レベル補正を行なわない8ビットの輝度信号とを切り替えて出力する回路は不要であり、制御信号BLK-S-on/offの1ビットと比較器出力の1ビットとのORを出力するゲートだけで構成できるため、回路構成が簡単になる。
【0022】
以上説明した実施の形態1及び2においては、入出力されるディジタル輝度信号を共に8ビット、ROM1への入力を9ビット、該ROM1からの出力を8ビットとしたが、ビット数はこれらに限られるものではなく、例えば入出力ディジタル輝度信号を共に10ビットとし、ROMへの入力を11ビットとし、該ROMからの出力を10ビットとすることも可能である。
【0023】
また、実施の形態1及び2においては、ROM1における入出力の諧調数を等しくしているが、例えばROM1からの出力を7ビットとし、黒レベル補正の際の諧調を粗くすることによりROM1の容量を更に低減することも可能である。
【0024】
【発明の効果】
請求項1及び3に記載の発明によれば、レベル補正を必要としない入出力特性の線形部分では、切り替え手段によりメモリ手段の出力に代えて固定値を選択するので、メモリ手段に線形部分に対応するデータを格納する必要がなく、従ってその分、メモリ手段の容量を小さくすることができる。
【0025】
請求項1及び4に記載の発明によれば、黒レベル補正の開始点を調整することが可能となる。
【0026】
請求項2及び3に記載の発明によれば、黒レベルの補正を行わない輝度信号及び黒レベルを補正した輝度信号を簡単な回路で切り替えて出力することができる。
【0027】
請求項5に記載の発明によれば、黒レベルの補正を行わない輝度信号と黒レベルを補正した輝度信号とを切り替える回路を、2つの1ビット信号の論理和を出力するORゲートで構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の映像信号処理装置の実施の形態1の構成を示す概略ブロック図である。
【図2】 本発明の映像信号処理装置の実施の形態2の構成を示す概略ブロック図である。
【図3】 実施の形態1及び2の装置のROMに格納される入出力特性データの説明図である。
【図4】 実施の形態1及び2の装置の輝度信号の入出力特性を示す図である。
【符号の説明】
1 ROM、 2 比較器、 3 切り替え手段、 4 乗算器、 5 ORゲート。
Claims (5)
- ディジタル映像信号に含まれるディジタル輝度信号の黒レベルを補正する映像信号処理装置において、
入力されるディジタル輝度信号を非線形変換するための入出力特性データを格納したメモリ手段と、
前記入力されるディジタル輝度信号の値と第1の固定値とを比較する比較手段と、
前記メモリ手段から出力される非線形変換されたディジタル輝度信号の値及び第2の固定値の一方を前記比較手段の比較結果に応じて選択して出力する切り替え手段と、
該切り替え手段の出力と前記入力されるディジタル輝度信号とを乗算する乗算手段とを備え、
前記メモリ手段は、複数の異なる入出力特性データを格納し、前記複数の異なる入出力特性データの内の、外部から供給される第1の制御信号の値に対応する入出力特性データが、前記非線形変換されたディジタル輝度信号として前記切り替え手段に供給され、
前記複数の異なる入出力特性データは、前記切り替え手段が前記メモリ手段から出力される非線形変換されたディジタル輝度信号の値を選択して出力する黒レベル補正範囲と、前記切り替え手段が前記第2の固定値を選択して出力する黒レベル固定範囲との境界点である黒レベル補正開始点を変更するデータである
ことを特徴とする映像信号処理装置。 - 前記比較手段の出力と外部から供給される第2の制御信号との論理和を出力するゲート手段を更に備え、前記切り替え手段は、該ゲート手段の出力の値に応じて前記メモリ手段から出力される非線形変換されたディジタル輝度信号と前記第2の固定値の一方を選択して出力することを特徴とする請求項1に記載の映像信号処理装置。
- ディジタル映像信号に含まれるディジタル輝度信号の黒レベルを補正する映像信号処理装置において、
入力されるディジタル輝度信号を非線形変換するための入出力特性データを格納したメモリ手段と、
前記入力されるディジタル輝度信号の値と第1の固定値とを比較する比較手段と、
前記メモリ手段から出力される非線形変換されたディジタル輝度信号の値及び第2の固定値の一方を前記比較手段の比較結果に応じて選択して出力する切り替え手段と、
該切り替え手段の出力と前記入力されるディジタル輝度信号とを乗算する乗算手段と、
前記比較手段の出力と外部から供給される第2の制御信号との論理和を出力するゲート手段とを備え、
前記切り替え手段は、該ゲート手段の出力の値に応じて前記メモリ手段から出力される非線形変換されたディジタル輝度信号と前記第2の固定値の一方を選択して出力する
ことを特徴とする映像信号処理装置。 - 前記メモリ手段は、複数の異なる入出力特性データを格納し、前記複数の異なる入出力特性データの内の、外部から供給される第1の制御信号の値に対応する入出力特性データが、前記非線形変換されたディジタル輝度信号として前記切り替え手段に供給されることを特徴とする請求項3に記載の映像信号処理装置。
- 前記第2の制御信号及び前記比較手段の出力はそれぞれ1ビットの信号であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の映像信号処理装置。
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