JP4002960B2 - 消耗電極式ガスシールドアーク溶接方法とその装置 - Google Patents

消耗電極式ガスシールドアーク溶接方法とその装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この出願の発明は、消耗電極式ガスシールドアーク溶接方法とその装置に関するものである。さらに詳しくは、この出願の発明は、開先内に適正なアーク入熱密度分布を実現し、また、溶接金属の靱性を良好に保持可能とする消耗電極式ガスシールドアーク溶接方法とその装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術とその課題】
金属継手の狭隘な開先、例えば、開先角が30°程度のV、Y、又はレ型形状、また、間隙が5mm程度のI又はU型形状を有する開先の初層溶接並びに多層溶接については、開先底部での融合不良や開先内に形成されるビードの凸型形状化等の溶接欠陥を防止するために、開先内に効果的なアーク熱密度分布を実現することが必要とされている。
【0003】
1パスで大のど厚が得られる効率に優れた消耗電極式ガスシールドアーク溶接方法についても例外ではなく、溶融金属の過大な重力ヘッドに抗して開先底部を溶融することができる強力なアーク力の確保が必要であり、大電流化が望まれる。
【0004】
だが、シールドガスをAr等の不活性ガスとする、又は2〜5%のO2、20%未満のCO2等の酸化性ガスが主成分としての不活性ガスに混合されるミグ(MIG)溶接ではこの要求に応えることはできない。それというのも、MIG溶接は、基本的に省電流、省入熱化を目指すものであり、開先底部の無欠陥溶接を実現する条件範囲は狭いからである。
【0005】
しかしながら、MIG溶接は、ビードに関してきわめて有効である。ビードの表面には、止端部のぬれ性を確保するために安定な微小溶融が不可欠とされる。MIG溶接においてシールドガス雰囲気内で広範囲にわたって顕著に認められる陰極清浄作用は、ビード止端部の安定微小溶融に有効である。
【0006】
酸化性のシールドガスが用いられるマグ(MAG)溶接は、通常のMAG溶接ではシールドガスはAr+20%CO2であり、MIG溶接と同様に、開先底部の無欠陥溶接を実現する条件範囲が狭くなっているため、シールドガスを100%CO2とするCO2溶接が望まれる。
【0007】
しかしながら、酸化性シールドガスを用いた場合、溶接金属の靱性が低下することが知られている。したがって、溶接金属の靱性を良好に保持するためには、O2、CO2等の酸化性ガスの混合比はできるだけ低減させる必要がある。
【0008】
この出願の発明は、以上の通りの事情に鑑みてなされたものであり、溶接欠陥の防止を目指し、開先内に適正なアーク入熱密度分布を実現し、また、溶接金属の靱性を良好に保持可能とする消耗電極式ガスシールドアーク溶接方法とその装置を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この出願の発明は、上記の課題を解決するものとして、消耗電極式ガスシールドアーク溶接方法において、シールドガス中にこれとアーク電流−電圧特性の異なる異種ガスを間欠的に添加し、アーク発生域におけるシールドガスの間欠的な組成変化に対応させてアーク電流を間欠的に変化させ、溶接ワイヤ先端に位置するアーク発生点を母材開先に対して上下方向に変位させることを特徴とする消耗電極式ガスシールドアーク溶接方法(請求項1)を提供する。
【0010】
上記消耗電極式ガスシールドアーク溶接方法において、この出願の発明は、シールドガス又は異種ガスは酸化性ガスであること(請求項2)、シールドガス中への異種ガスの間欠的な添加に同期させて溶接電源の外部特性を変化させ、アーク電流の変化量を増減させ、母材開先内でのアーク発生点の変位幅を拡大又は縮小させること(請求項3)をそれぞれ好ましい態様として提供する。
【0011】
また、この出願の発明は、溶接トーチと、これに溶接ワイヤを連続的に供給するワイヤ供給部と、溶接トーチにシールドガスを供給するシールドガス供給部と、溶接電源とを備えた消耗電極式ガスシールドアーク溶接装置において、シールドガス中にこれとアーク電流−電圧特性の異なる異種ガスを間欠的に添加する異種ガス供給部が設けられ、溶接電源は、その外部特性が異種ガスの間欠添加に同期して変化可能とされていることを特徴とする消耗電極式ガスシールドアーク溶接装置(請求項4)を提供する。
【0013】
以下、図面に沿ってこの出願の発明の消耗電極式ガスシールドアーク溶接方法及び装置についてさらに詳しく説明する。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1は、この出願の発明の消耗電極式ガスシールドアーク溶接方法とその装置の概略を示した構成図である。
【0015】
例えばこの図1に示すように、この出願の発明では、シールドガス供給部から供給されるシールドガス(1)中にこれとアーク電流−電圧特性の異なる異種ガス(2)を異種ガス供給部より間欠的に添加し、アーク(3)の発生域におけるシールドガス(1a)の組成を間欠的に変化させる。
【0016】
すなわち、この出願の発明では、溶接ワイヤ(4)をワイヤ供給部(5)により溶接トーチ(6)に一定速度で連続的に供給しながら、溶接トーチ(6)においてシールドガス(1a)の雰囲気中でアーク溶接する際に、シールドガス(1)中に異種ガス(2)を間欠的に添加し、アーク(3)の発生域におけるシールドガス(1a)の組成を間欠的に変化させる。
【0017】
アーク電流は、シールドガス(1a)の種類により決まるアーク電流−電圧特性と、溶接電源(7)の外部特性とに支配される。
【0018】
異種ガス(2)にシールドガス(1)よりも同一アーク長においてより高いアーク電圧を示すものを採用する場合には、異種ガス(2)の添加にともないアーク電流は低下する。溶接ワイヤ(4)はワイヤ供給部(5)により一定速度で供給されているため、その先端(4a)は、溶接金属(8)側、すなわち、母材(9)の開先(9a)の底部に降下する。異種ガス(2)の添加が終了すると、アーク電流は増大し、したがって、溶接ワイヤ(4)の先端(4a)は上昇し、異種ガス(2)の添加前の位置へと戻る。
【0019】
異種ガス(2)にシールドガス(1)よりも同一アーク長においてより低いアーク電圧を示すものを採用すると、上記の逆の現象が起こる。
【0020】
このようにして、この出願の発明では、アーク(3)の発生域におけるシールドガス(1a)の間欠的な組成変化に対応させてアーク電流を間欠的に変化させ、溶接ワイヤ(4)の先端(4a)に位置するアーク発生点を、母材(9)の開先(9a)に対して上下方向に変位させる。このアーク発生点の開先(9a)に対する上下方向の変位により、開先(9a)内には効果的なアーク入熱密度分布が実現される。
【0021】
すなわち、アーク発生点が母材(9)の開先(9a)の底部に移動した時のアーク入熱状態は、例えば、シールドガスを100%CO2とする時と等価な集中的熱源であり、溶融金属の過大な重力ヘッドに抗しうるに十分強力なアーク力が確保される。開先(9a)の底部は、適正に投入された熱エネルギーにより安定して溶融する。いわゆる大入熱アーク溶接方法を適用せずに済み、過大入熱が回避される。
【0022】
溶接ワイヤ(4)の先端(4a)が開先(9a)の表面側に移動した状態は、ビードに関し有効とされるMIG溶接と等価な状態であり、MIG溶接と同様の陰極清浄作用により分散化した熱源となる。微小溶融が起こり、ビード止端部にぬれ性が確保される。
【0023】
このように、この出願の発明では、母材(9)の開先(9a)内にアーク(3)の入熱の集中と分散を異種ガス(2)の間欠的な添加により制御することができ、開先(9a)内に効果的な、そして適正なアーク入熱分布が実現される。過大な入熱を回避しつつ、母材(9)の溶融を確保することができ、同時に、溶接時の全体としての熱密度を低減することができる。また、溶接時の母材(9)の溶融領域や熱影響部を最小限に抑えることもできる。したがって、母材(9)の特性は損なわれず、金属組織の安定保存が可能となる。変形や残留応力の低減も図れる。
【0024】
この出願の発明では、シールドガス(1)には、Heガス、Arガス等の不活性ガスの単体若しくは混合物、又はこれを主成分とし、O2ガス、CO2ガス等の酸化性ガスをはじめ、N2ガス等が適宜添加されたものを採用することができる。この場合の添加ガス成分の添加量は、例えばMIG溶接若しくは通常のMAG溶接範囲内、又は通常のMAG溶接を超える添加量とすることもできる。また、シールドガス(1)には、O2ガス、CO2ガス等の酸化性ガスの単体又は混合物を採用することもできる。
【0025】
一方、異種ガス(2)には、シールドガス(1)とアーク電流−電圧特性の異なる、すなわち、同一アーク長においてより高い又はより低いアーク電圧を示す各種のガスの単体又は混合物を採用することができる。例えば、シールドガス(1)が不活性ガスの単体若しくは混合物、又はこれを主成分とする場合には、異種ガス(2)には、O2ガス、CO2ガス等の酸化性ガスやN2ガス等の単体又は混合物の他、これらガスが、シールドガスに添加された以上の添加量で不活性ガスに添加された混合ガスを採用することができる。シールドガス(1)がO2ガス、CO2ガス等の酸化性ガスの単体又は混合物の場合には、異種ガス(2)には、Heガス、Arガス等の不活性ガスの単体若しくは混合物、又はこれを主成分としてO2ガス、CO2ガス等の酸化性ガスやN2ガス等がシールドガス(1)中の添加量よりも低い添加量で添加されたものを採用することができる。
【0026】
シールドガス(1)及び異種ガス(2)にO2ガス、CO2ガス等の酸化性ガスを使用する場合、溶接金属(8)の靱性低下が懸念されるが、この出願の発明では、シールドガス(1)中に異種ガス(2)が間欠的に添加されるため、酸化性ガスの平均的なガス分圧(ガス濃度)は十分低く抑えられ、したがって、溶接金属(8)の靱性に支障を来さずに済む。溶接金属(8)の靱性は良好に保持可能となる。
【0027】
図2は、Arガス単体のシールドガスにCO2ガスを添加してこの出願の発明の消耗電極式ガスシールドアーク溶接方法を実施した時の、アーク発生域におけるシールドガス中のCO2濃度と溶接金属の吸収エネルギーを示したグラフである。
【0028】
この図2からは、CO2のガス濃度は20%未満である時、溶接金属の靱性が高く保たれることが理解される。このガス濃度20%未満を実現するCO2ガスの間欠的添加は、CO2ガスの流量をArガスの流量の1/4未満とすることにより実現される。
【0029】
異種ガス(2)の流量の調節は、例えば図1に示したように、流量制御部(10)により行うことができる。流量制御部(10)は、シールドガス(1)に異種ガス(2)を間欠的に添加するが、異種ガス(2)をシールドガス(1)及び異種ガス(2)の供給路に設けられた減圧弁及び流量計(11)を監視可能であり、異種ガス(2)を適切な流量比でシールドガス(1)中に添加することもできる。
【0030】
また、異種ガス(2)は、母材(10)の特性を安定に保持する上でも、アーク(3)の発生点が位置する溶接ワイヤ(4)の先端(4a)近傍に局所的に添加することが好ましい。
【0031】
さらに、この出願の発明では、シールドガス(1)中への異種ガス(2)の間欠的な添加に同期させて溶接電源(7)の外部特性を変化させ、アーク電流の変化量を増減させ、母材(9)の開先(9a)内でのアーク発生点の変位幅を拡大又は縮小させることもできる。これによって、開先(9a)内のアーク熱密度分布はより適正化される。
【0032】
例えば溶接電源(7)の外部特性をパルス電圧とし、そのピークが異種ガス(2)の添加中にくるように異種ガス(2)の間欠的な添加に同期させて変化させることにより、アーク電流の変化量を増減させることができる。
【0033】
溶接電源(7)の外部特性を異種ガス(2)の間欠的な添加と同期させる手段及び方法には特に制限はなく、例えば図1に示したように、流量制御部(10)と溶接電源(7)をインターフェース(12)で結び、溶接電源(7)のパルス条件に同期させて流量制御部(10)の動作を制御することが例示される。
【0034】
以下にこの出願の発明の消耗電極式ガスシールドアーク溶接方法とその装置の実施例を示す。
【0035】
【実施例】
(実施例1)
Arガス単体とした流量20リットル/minのシールドガス中に異種ガスとして流量3〜7リットル/minのCO2ガスを0.25sec間隔で間欠的に添加し、図3に示した開先角30°のV型開先内(軟鋼)で溶接を行った。溶接電源には、通常用いられる定電圧特性電源を使用した。溶接ワイヤには1.6mm径のものを用い、供給速度は45cm/minとした。
【0036】
図4(a)〜(g)は、それぞれ、溶接時の溶接ワイヤ先端の位置とアークの挙動を示した観察図である。また、図5<a><b>は、それぞれ、溶接時のアーク電流、アーク電圧、及び母材−コンタクトチップ間電圧と、溶接ワイヤ先端の位置を示したグラフである。ここで、コンタクトチップとは、図1図中の符号13で示される溶接トーチ(6)内に設けられた部材である。また、溶接ワイヤ先端の位置は、図1図中に符号Zで示されるものである。
【0037】
図4(a)は、シールドガス中にCO2ガスが添加されず、Arガスのみで溶接している状態に対応し、アークは開先内で広がっている。
【0038】
シールドガス中にCO2ガスを添加すると、溶接ワイヤ先端は、図4(b)→(c)→(d)→(e)の順に開先底部へと次第に降下する。これは、次のような原理に基づいている。
【0039】
シールドガス中にCO2ガスが添加されると、CO2ガスはArガスとアーク電流−電圧特性が異なり、同一アーク長においてより高いアーク電圧を示すため、図5<a>に示したように、アーク電圧が上昇する。定電圧特性電源では電圧がほとんど変化しないため、アーク電圧の上昇にともない開先内に位置する溶接ワイヤに電圧降下が生じ、アーク電流は、図5<a>に示したように減少する。その結果、溶接ワイヤの溶融量が減少し、図5<b>でも確認される上記の通りの溶接ワイヤ先端の降下が起こるのである。
【0040】
溶接ワイヤ先端の降下時には、図4(c)及び(d)に示したように、アークは、溶滴の影響により溶滴の反対側に生じる。これにともないアークは、開先壁面の片側のみに偏り、片溶け現象が現れることが懸念されるが、ArガスにCO2ガスが添加されたシールドガス雰囲気中では、溶滴は、グロビュール型溶滴移行時に、アークの反発力を受けてアークの反対側に移動する(図4(d))。その結果、溶滴と右側の開先壁面の間にアークが発生し、これにともない溶滴は、今度はアークの反対側へ移動する。このような挙動を繰り返しながらアークは、開先内を左右に移動し、全体としてみた場合、アークは開先内を均等に分布する。したがって、片溶け現象は発生せず、開先壁部は良好に溶融する。
【0041】
CO2ガスの添加を遮断すると、シールドガスは再びArガスのみとなるため、図4(f)に示したように、アークは開先底部に広く生じる。図5<a>に示したように、アーク電流は、アーク電圧の降下に従い増大し、これにともない溶接ワイヤの先端は、図4(f)→(g)→(a)の順に次第に上昇する。これは、図5<b>でも確認される。そして、図4(a)に示される初期位置に戻った時には、ぬれ性が確保された凹型のビードが形成される。これは、陰極清浄作用に基づいており、アークが、初期状態の図4(a)に示されたアーク発生点の上方でも発生するためである。
【0042】
このように、異種ガスの間欠的な添加により開先内へのアークの入熱の集中と分散が制御され、開先内に効果的な、そして適正なアーク入熱分布が実現された。開先内の溶融は十分確保され、同時に、溶接時の全体としての熱密度が低減された。また、溶接時の母材の溶融領域や熱影響部が最小限に抑えられた。しかも、CO2ガスの平均的なガス分圧(ガス濃度)を十分低く抑えることができ、溶接金属の靱性を良好に保持可能となった。
(実施例2)
溶接電源の外部特性として無負荷電圧をパルス状に変化させる定電圧特性を選び、これをCO2ガスの添加に同期させて変化させながら実施例1と同様のアーク溶接を行った。その時のアーク電流及び溶接ワイヤ先端の位置を、溶接電源の電圧特性を変化させずにアーク溶接を行った実施例1の場合と比較した。その結果を示したのが図6(a)〜(c)のグラフである。図6(a)は、溶接電源の電圧を変化させずに溶接した、実施例1と同様な直流アーク溶接時の電源電圧、アーク電圧、アーク電流、溶接ワイヤ先端の位置、及び(電流)×(電圧)で表される投入されるエネルギーを示している。図6(b)は、溶接電源の電圧特性を、CO2ガスの添加周期と同じ周期0.25secのパルス電圧とし、CO2ガスの添加に同期させ、その添加周期に一致させて変化させながら溶接した時の電源電圧、アーク電圧、アーク電流、溶接ワイヤ先端の位置、及び投入されるエネルギーを示している。図6(c)は、溶接電源の電圧特性を、CO2ガスの添加周期と同じ周期0.25secのパルス電圧とし、CO2ガスの添加に同期させる一方、その周期にCO2ガスの添加周期対して0.125secの位相差を与えながら溶接した時の電源電圧、アーク電圧、アーク電流、溶接ワイヤ先端の位置、及び投入されるエネルギーを示している。
【0043】
図6(a)〜(c)の比較から確認されるように、溶接電源の電圧パルスの周期をCO2ガスの添加周期と一致させた場合(図6(b))、すなわち電圧パルスのピーク時にCO2ガスが添加される場合には、直流アーク溶接(図6(a))と比較して開先内の溶接ワイヤの先端は、最上位が開先底部側に移動するものの、溶接ワイヤ先端の変位量は減少する。CO2ガスの添加が遮断された時には、ワイヤ先端は開先上部に移動し、(電流)×(電圧)で表される投入されるエネルギーは開先底部に有効に投入されない。
【0044】
一方、溶接電源の電圧パルスをCO2ガスの添加に同期させて変化させ、その周期にCO2ガスの添加周期対して所定の位相差を与えた場合(図6(c))には、開先内における溶接ワイヤの先端は、最上位及び最下位ともに直流アーク溶接(図6(a))と比較して開先底部側に移動し、しかも変位幅(ΔZ)も最大となる。さらに、溶接ワイヤの先端が開先底部にある3.5〜3.7sec付近では、投入されるエネルギーが、図6(a)及び(b)の場合よりも大きくなり、開先底部に有効に入熱され、底部の溶込みが確保される。
【0045】
シールドガス中への異種ガスの間欠的な添加に同期させて溶接電源の外部特性を変化させ、アーク電流の変化量を増大させることにより、開先内でのアーク発生点の変位幅を拡大することができる。したがって、開先内のアーク熱密度分布をより適正なものとすることが可能となる。
【0046】
勿論、この出願の発明は、以上の実施形態及び実施例によって限定されるものではない。細部については様々な態様が可能であることは言うまでもない。
【0047】
【発明の効果】
以上詳しく説明した通り、この出願の発明によって、開先内に適正なアーク熱密度分布が実現され、溶接欠陥の防止に有効となる。また、溶接金属の靱性を良好に保持することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この出願の発明の消耗電極式ガスシールドアーク溶接方法の概略を示した構成図である。
【図2】CO2ガスをArガス単体のシールドガスに添加してこの出願の発明の消耗電極式ガスシールドアーク溶接方法を実施した時の、アーク発生域におけるシールドガス中のCO2濃度と溶接金属の吸収エネルギーを示したグラフである。
【図3】実施例1で用いられた母材開先を示した拡大断面図である。
【図4】(a)〜(g)は、それぞれ、溶接時の溶接ワイヤ先端の位置とアークの挙動を示した観察図である。
【図5】<a><b>は、それぞれ、溶接時のアーク電流、アーク電圧、及び母材−コンタクトチップ間電圧と、溶接ワイヤ先端の位置を示したグラフである。
【図6】(a)〜(c)は、それぞれ、溶接電源の電圧特性を変化させずにアーク溶接した場合、溶接電源の電圧特性を、CO2ガスの添加に同期させ、これに一致させて変化させながらアーク溶接した場合、溶接電源の電圧特性を、CO2ガスの添加に同期させる一方、パルス周期にCO2ガスの添加周期に対して0.125secの位相差を与えて変化させながらアーク溶接した場合の、電源電圧、アーク電圧、アーク電流、溶接ワイヤ先端の位置、及び投入されるエネルギーを示したグラフである。
【符号の説明】
1、1a シールドガス
2 異種ガス
3 アーク
4 溶接ワイヤ
4a 先端
5 ワイヤ供給部
6 溶接トーチ
7 溶接電源
8 溶接金属
9 母材
9a 開先
10 流量制御部
11 減圧弁及び流量計
12 インターフェース
13 コンタクトチップ

Claims (4)

  1. 消耗電極式ガスシールドアーク溶接方法において、シールドガス中にこれとアーク電流−電圧特性の異なる異種ガスを間欠的に添加し、アーク発生域におけるシールドガスの間欠的な組成変化に対応させてアーク電流を間欠的に変化させ、溶接ワイヤ先端に位置するアーク発生点を母材開先に対して上下方向に変位させることを特徴とする消耗電極式ガスシールドアーク溶接方法。
  2. シールドガス又は異種ガスは酸化性ガスである請求項1記載の消耗電極式ガスシールドアーク溶接方法。
  3. シールドガス中への異種ガスの間欠的な添加に同期させて溶接電源の外部特性を変化させ、アーク電流の変化量を増減させ、母材開先内でのアーク発生点の変位幅を拡大又は縮小させる請求項1又は2記載の消耗電極式ガスシールドアーク溶接方法。
  4. 溶接トーチと、これに溶接ワイヤを連続的に供給するワイヤ供給部と、溶接トーチにシールドガスを供給するシールドガス供給部と、溶接電源とを備えた消耗電極式ガスシールドアーク溶接装置において、シールドガス中にこれとアーク電流−電圧特性の異なる異種ガスを間欠的に添加する異種ガス供給部が設けられ、溶接電源は、その外部特性が異種ガスの間欠添加に同期して変化可能とされていることを特徴とする消耗電極式ガスシールドアーク溶接装置。
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