JP4002437B2 - 排ガス処理用触媒、および排ガス処理方法 - Google Patents

排ガス処理用触媒、および排ガス処理方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、排ガス処理用触媒、および排ガスの処理方法に関する。特に、排ガス中の窒素酸化物(NOx)を除去するための脱硝触媒、及び排ガス中のダイオキシン類などの毒性有機ハロゲン化合物を除去するための有機ハロゲン化合物の除去用触媒として優れた排ガス処理用触媒、および、それを用いた排ガスの処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在実用化されている排ガス中の窒素酸化物除去方法としては、アンモニアまたは尿素などの還元剤を用いて排ガス中の窒素酸化物を脱硝触媒上で接触還元し、無害な窒素と水とに分解する選択的触媒還元いわゆるSCR法が一般的である。そして近年、酸性雨に代表されるように窒素酸化物による環境汚染が世界的に深刻化するに伴い、脱硝技術の高効率化が要求されている。
このような状況下、チタンとバナジウムの酸化物およびモリブデン、タングステンなどの酸化物からなる脱硝触媒(特公昭53−28148号公報)や、チタンおよびケイ素からなる二元系酸化物と、バナジウム、タングステン、モリブデンなどの金属酸化物とからなる脱硝触媒(特公昭57−30532号公報)が実用化され、現在、広く用いられている。
【0003】
また、産業廃棄物や都市廃棄物を処理する焼却施設から発生する排ガス中にはダイオキシン類、PCB、クロロフェノールなどの極微量の毒性有機ハロゲン化合物が含まれており、特にダイオキシン類は微量であってもきわめて有毒であり、人体に重大な影響を及ぼすため、その除去技術が早急に求められている。触媒分解法は最も有効な技術のひとつであり、一般的にチタン、バナジウム、タングステン、モリブデンなどの酸化物を含有する触媒が用いられている。
これまでに用いられてきた種々の排ガス処理用触媒の中で、比較的性能が高いものとしてチタン酸化物やバナジウム酸化物を含有する触媒が挙げられ、最近では、これらの酸化物にモリブデン酸化物やタングステン酸化物を高分散させて複合酸化物とした触媒が報告されている(特開2001−286729号公報や特開2001−286733号公報など)。このようにモリブデン酸化物やタングステン酸化物を高分散させて複合酸化物の形態とすることにより、従来からの問題であった排ガス中のSO2によるチタン酸化物やバナジウム酸化物の被毒劣化が抑制されるとともに、チタン酸化物やバナジウム酸化物の本来有する触媒活性の低下も抑えることができる旨が報告されている。
【0004】
しかしながら、これらの触媒であっても、排ガス条件によっては充分な性能を発揮できず、さらなる触媒性能、特に、窒素酸化物の除去性能、排ガス中のダイオキシン類等の有機ハロゲン化合物の除去性能、および耐久性の向上が望まれている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明の課題は、窒素酸化物の除去性能、排ガス中のダイオキシン類等の有機ハロゲン化合物の除去性能、および耐久性に優れた排ガス処理用触媒、および、それを用いた排ガス処理方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するべく鋭意検討を行った。その結果、チタン、モリブデン、および、バナジウムの酸化物を含有する触媒中の、X線回折パターンに着目し、特定のピークを示す触媒が上記課題を解決できることを見出した。また、チタン、モリブデン、および、バナジウムの酸化物を含有する触媒中の、モリブデン酸化物の粒子径に着目し、一定の粒子径範囲のモリブデン酸化物粒子を含有するように触媒を調製することによって、上記課題を解決できることを見出した。
【0007】
すなわち、本発明にかかる排ガス処理用触媒は、チタンとケイ素の複合酸化物と、モリブデンの酸化物と、バナジウムの酸化物を含有する触媒であって、X線回折パターンにおいて2θ=27.3°のモリブデン酸化物によるピーク強度が、アナターゼ型チタンのピークの一つである2θ=25.3°のピーク強度の1%以上50%以下であり、粒子径が1μm以上20μm以下であるモリブデン酸化物粒子の割合が1%以上30%以下である、ことを特徴とする
【0008】
また、本発明にかかる排ガス処理方法は、本発明の触媒を用いて窒素酸化物もしくは有機ハロゲン化合物を含む排ガスを処理することを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の排ガス処理用触媒は、触媒成分の主成分としてチタンの酸化物を含有する。チタンの酸化物としては、一般のチタン酸化物(酸化チタン(TiO2)など)でもよいし、チタン−ケイ素複合酸化物(以下、Ti−Si複合酸化物と称する)でもよい。またこれらを併用してもよい。
上記チタン酸化物の供給原料としては、酸化チタン(TiO2)のほか、焼成してチタン酸化物を生成するものであれば、無機および有機のいずれの化合物も使用することができる。例えば、四塩化チタン、硫酸チタンなどの無機チタン化合物またはシュウ酸チタン、テトライソプロピルチタネートなどの有機チタン化合物を用いることができる。
【0010】
上記Ti−Si複合酸化物の調製に用いるチタン源としては、上記の無機および有機のいずれの化合物も使用することができ、またケイ素源としては、コロイド状シリカ、水ガラス、微粒子ケイ素、四塩化ケイ素などの無機ケイ素化合物およびテトラエチルシリケートなどの有機ケイ素化合物から適宜選択して使用することができる。
上記Ti−Si複合酸化物は、例えば、以下の手順(a)〜(d)によって調製することができる。
(a)シリカゾルとアンモニア水を混合し、硫酸チタンの硫酸水溶液を添加して沈澱を生じさせ、得られた沈澱物を洗浄・乾燥し、次いで300〜700℃で焼成する。
(b)硫酸チタン水溶液にケイ酸ナトリウム水溶液を添加し、反応して沈殿を生じさせ、得られた沈殿物を洗浄・乾燥し、次いで300〜700℃で焼成する。
(c)四塩化チタンの水−アルコール溶液にエチルシリケート(テトラエトキシシラン)を添加し、次いで加水分解することにより沈殿を生じさせ、得られた沈殿物を洗浄・乾燥し、次いで300〜700℃で焼成する。
(d)酸化塩化チタン(オキシ三塩化チタン)とエチルシリケートとの水−アルコール溶液に、アンモニアを加えて沈殿を生じさせ、得られた沈殿物を洗浄・乾燥し、次いで300〜700℃で焼成する。
【0011】
上記の方法のうち、(a)の方法が特に好ましく、さらに具体的には、ケイ素源とアンモニア水をモル比が所定量になるように取り、チタン源として酸性の水溶液またはゾル状態(1〜100g/リットル(チタン源はTiO2で換算)の濃度の酸性の水溶液またはゾル状態)で、10〜100℃に保ちながら、滴下し、pH2〜10で10分間から3時間保持してチタンおよびケイ素の共沈物を生成し、この沈殿物をろ過し、十分に洗浄後、80〜140℃で10分間から3時間乾燥し、300〜700℃で1〜10時間焼成することにより、目的とするTi−Si複合酸化物を得ることができる。
【0012】
本発明の排ガス処理用触媒は、バナジウム酸化物を副成分として含有する。バナジウム酸化物の含有量は、前記主成分のチタンの酸化物(チタン酸化物、Ti−Si複合酸化物、あるいは、チタン酸化物とTi−Si複合酸化物の合計)に対して好ましくは0.1〜25重量%、より好ましくは1〜15重量%である。バナジウム酸化物の含有量が0.1重量%より少ないと添加効果が十分得られず、他方、25重量%を超えてもそれほど大きな活性の向上は認められず、場合によっては活性が低下することもあるので、好ましくない。
本発明の排ガス処理用触媒は、モリブデン酸化物を副成分として含有する。モリブデン酸化物の含有量は、前記主成分のチタンの酸化物(チタン酸化物、Ti−Si複合酸化物、あるいは、チタン酸化物とTi−Si複合酸化物の合計)に対して好ましくは0.1〜25重量%、より好ましくは0.1〜20重量%、さらに好ましくは0.5〜15重量%、特に好ましくは1〜15重量%である。モリブデン酸化物の含有量が0.1重量%より少ないと添加効果が十分得られず、他方、25重量%を超えてもそれほど大きな活性の向上は認められず、場合によっては活性が低下することもあるので、好ましくない。
【0013】
バナジウム酸化物やモリブデン酸化物の供給原料としては、各々の酸化物自体のほかに、焼成によってこれらの酸化物を生成するものであれば、無機および有機のいずれの化合物も用いることができる。例えば、各々の金属を含む水酸化物、アンモニウム塩、シュウ酸塩、ハロゲン化物、硫酸塩、硝酸塩などを用いることができる。
本発明にかかる排ガス処理用触媒は、チタン、モリブデン、および、バナジウムの酸化物を含有する触媒であって、X線回折パターンにおいて2θ=27.3°にピークを有することを特徴とする。
【0014】
X線回折パターンにおける2θ=27.3°のピークとは、モリブデン酸化物の与えるピーク群の一つであり、モリブデン酸化物の結晶のX線回折パターンを測定すると、2θ=27.3°にピークの一つが現れる。
X線回折パターンにおいて2θ=27.3°にピークを有さない場合は、モリブデン酸化物がチタンの酸化物中に高分散している状態を表している。さらに、2θ=27.3°のピーク強度が、アナターゼ型チタンのピークの一つである2θ=25.3°のピーク強度の1%に満たない場合には、モリブデン酸化物がチタンの酸化物中に十分に高分散していると判断できる。
【0015】
先に述べたように、モリブデン酸化物などを高分散させて複合酸化物の形態とすることにより、従来からの問題であった排ガス中のSO2によるチタンの酸化物やバナジウム酸化物の被毒劣化を抑制できるとともに、チタンの酸化物やバナジウム酸化物の本来有する触媒活性の低下も抑えることができ、このようにモリブデン酸化物などが高分散状態にあることの確認として上記のような手法を行うことが、特開2001−286729号公報や特開2001−286733号公報などに開示されている。
本発明者は、従来において高分散状態での使用が性能向上に寄与すると考えられているモリブデン酸化物について、従来の考えとは異なる、適度に凝集した結晶性モリブデン酸化物の状態での使用を検討した。その結果、窒素酸化物の除去性能、排ガス中のダイオキシン類等の有機ハロゲン化合物の除去性能、および耐久性に優れることを見出した。そして、X線回折パターンにおいて2θ=27.3°にピークを有する場合に、チタンの酸化物中でモリブデン酸化物が適度に凝集した結晶性の状態で存在している状況であることが判った。
【0016】
さらに、モリブデン酸化物が、より適度に凝集した結晶性の状態で存在するためには、2θ=27.3°のピーク強度が、アナターゼ型チタンのピークの一つである2θ=25.3°のピーク強度の1%以上50%以下であることが好ましい。2θ=27.3°のピーク強度が、アナターゼ型チタンのピークの一つである2θ=25.3°のピーク強度の1%に満たない場合には、モリブデン酸化物の結晶性が不十分であるため、本発明の効果が発揮できないおそれがある。また、2θ=27.3°のピーク強度が、アナターゼ型チタンのピークの一つである2θ=25.3°のピーク強度の50%よりも大きいと、モリブデンが極度に凝集した状態であり、結晶性モリブデン粒子の比表面積が低下するため、発明の効果が発揮できず、好ましくない。
【0017】
本発明の排ガス処理用触媒においては、上述のように、チタンの酸化物中でモリブデン酸化物が適度に凝集した結晶性の状態で存在していることが重要であり、この状況を別の面、すなわち、モリブデン酸化物の粒子径に着目し、一定の粒子径範囲のモリブデン酸化物粒子を含有する状態として捉え、以下の発明をも完成した。
すなわち、本発明の排ガス処理用触媒は、チタン、モリブデン、および、バナジウムの酸化物を含有する触媒であって、粒子径が1μm以上20μm以下であるモリブデン酸化物粒子を含有することを特徴とする。前記粒子径は、好ましくは1μm以上18μm以下、より好ましくは1μm以上15μm以下である。
【0018】
さらに、モリブデン酸化物がより適度に凝集した状態で存在するためには、粒子径が1μm以上20μm以下であるモリブデン酸化物粒子の割合が1%以上30%以下であることが好ましく、1%以上25%以下であることがより好ましい。
上記のような粒子の状態を分析する方法としては、特に限定されないが、例えば、EPMAやSEM−EDSなどが挙げられる。以下、EPMA分析を例として説明する。
触媒表面のEPMA分析とは、分析対象触媒中の触媒組成成分の状態を見るための分析であり、通常一般に行うEPMA分析と同様の分析方法で行う。EPMA分析によって触媒の状態を分析する場合には、例えば、任意の触媒表面を少量切り出したものを測定試料とし、この測定試料における特定部分について測定を行う方法や、触媒が小さい場合にはそのまま測定試料とする方法などが挙げられるが、特に限定されない。本発明にかかる排ガス処理用触媒は、例えば、この触媒表面の測定面積を380μm2とした場合のEPMA分析で規定できる。もちろん、この測定面積は条件によって適宜調整すればよい。
【0019】
上記モリブデン粒子径およびその割合は、EPMAチャートから実測した数平均より算出した。上記範囲を満たさない場合、本発明の効果が十分に達成できないので好ましくない。
一般に、触媒表面の任意の一部分において観察される状態は触媒全体の状態をそのまま反映していると扱うことができ、例えば、触媒表面を測定面積380μm2でEPMA分析した場合に、粒子径が1μm以上20μm以下であるモリブデン酸化物の前記測定面積中における割合が1%以上30%以下である場合には、触媒全体においても同様の状態であると推測することができる。なお、任意の数箇所の測定結果を平均してもよい。したがって、本発明の排ガス処理用触媒において、例えば、触媒表面を測定面積380μm2でEPMA分析した場合に、粒子径が1μm以上20μm以下であるモリブデン酸化物粒子が観察されることや、粒子径が1μm以上20μm以下であるモリブデン酸化物の前記測定面積中における割合が1%以上30%以下であることは、当該触媒全体にわたる状態を意味している。
【0020】
なお、本発明における粒子径とは、球状粒子の場合は直径を意味するが、一定の直径を持たない場合(球状でない場合)には最長の径のことを意味する。
本発明の触媒の形状については特に制限はなく、板状、波板状、網状、ハニカム状、円柱状、円筒状などのうちから選んだ所望の形状で用いてもよく、またアルミナ、シリカ、コーディライト、チタニア、ステンレス金属などよりなる板状、波板状、網状、ハニカム状、円柱状、円筒状などのうちから選んだ所望の形状の担体に担持して使用してもよい。
本発明の触媒は、任意の方法で調製することができる。以下にその一例を示すが、本発明の触媒の調製方法はこれらに限定されない。
【0021】
本発明の触媒の調製方法としては、たとえば、主成分であるチタンの酸化物の粉体に、バナジウム酸化物およびモリブデン酸化物の粉体、塩類、またはその溶液を、任意の順序で添加して調製する方法を挙げることができる。また、バナジウム酸化物およびモリブデン酸化物の粉体、塩類、またはその溶液を予め混合した後に、主成分であるチタンの酸化物の粉体に添加する方法でもよく、主成分であるチタンの酸化物の成型体に、バナジウム酸化物およびモリブデン酸化物の塩類の溶液またはその両方の混合物を含浸担持させる方法でもよい。
本発明の触媒の別の調製方法としては、たとえば、主成分であるチタンの酸化物とバナジウム酸化物の混合物に、モリブデン酸化物を担持させる方法や、主成分であるチタンの酸化物とモリブデン酸化物の混合物に、バナジウム酸化物を担持させる方法を挙げることができる。
【0022】
チタン酸化物とTi−Si複合酸化物とを混合する場合は、従来公知の混合方法にしたがえばよく、例えば、ニーダーなどの混合機に、チタン酸化物粉末とTi−Si複合酸化物粉末とを投入して、撹拌・混合することができる。
本発明の排ガス処理用触媒は、各種排ガスの処理に用いられる。排ガスの組成については特に制限はないが、本発明の触媒は、ボイラ、焼却炉、ガスタービン、ディーゼルエンジンおよび各種工業プロセスから排出される窒素酸化物の分解活性に優れるため、これら窒素酸化物を含む排ガス処理に好適に用いられる。
本発明の触媒を用いて脱硝を行うには、本発明の触媒をアンモニアや尿素などの還元剤の存在下、排ガスと接触させ、排ガス中の窒素酸化物を還元除去する。この際の条件については、特に制限がなく、この種の反応に一般的に用いられている条件で実施することができる。具体的には、排ガスの種類、性状、要求される窒素酸化物の分解率などを考慮して適宜決定すればよい。
【0023】
なお、本発明の触媒を用いて脱硝を行う場合の排ガスの空間速度は、通常、100〜100000Hr-1(STP)であり、好ましくは200〜50000Hr-1(STP)である。100Hr-1未満では、処理装置が大きくなりすぎるため非効率となり、一方100000Hr-1を超えると分解効率が低下する。また、その際の温度は、100〜500℃であることが好ましく、より好ましくは150〜400℃である。
また、本発明の触媒は、産業廃棄物や都市廃棄物を処理する焼却施設から発生する、有機ハロゲン化合物を含有する排ガスの処理にも好適に用いられる。
【0024】
本発明の触媒を用いて有機ハロゲン化合物の処理を行うには、本発明の触媒を、排ガスと接触させ、排ガス中の有機ハロゲン化合物を分解除去する。この際の条件については、特に制限がなく、この種の反応に一般的に用いられている条件で実施することができる。具体的には、排ガスの種類、性状、要求される有機ハロゲン化合物の分解率などを考慮して適宜決定すればよい。アンモニアや尿素などの還元剤を添加することにより、同時に脱硝することもできる。
なお、本発明の触媒を用いて有機ハロゲン化合物の処理を行う場合の排ガスの空間速度は、通常、100〜100000Hr-1(STP)であり、好ましくは200〜50000Hr-1(STP)である。100Hr-1未満では、処理装置が大きくなりすぎるため非効率となり、一方100000Hr-1を超えると分解効率が低下する。また、その際の温度は、130〜500℃であることが好ましく、より好ましくは150〜400℃である。
【0025】
【実施例】
以下に実施例と比較例によりさらに詳細に本発明を説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
(XRD測定)
X線回折パターン測定、すなわちXRD測定は、X線回折装置(リガクRU−300)を用いて測定した。
(EPMA分析)
EPMA分析は、(株)島津製作所EPMA−1610を用いて、加重電圧15kV、試料電流50nAの条件で、MoLαのX線像を倍率4000倍で測定した。
【0026】
参考例1)
市販の酸化チタン粉体(DT−51(商品名)、ミレニアム社製)20Kgに、メタバナジン酸アンモニウム1.47Kg、シュウ酸1.8Kg、モノエタノールアミン0.4Kgを水5リットルに溶解させた溶液、および、三酸化モリブデン粉体1.59Kgを加え、成形助材とともに混合し、ニーダーで混練りした後、押出成形機でハニカム状に成形した。得られた成形物を60℃で乾燥後、空気雰囲気下、530℃で5時間焼成して目的の触媒(1)を得た。この時の組成は、酸化物換算重量比で、TiO:MoO:V=88:7:5であった。
【0027】
触媒(1)についてX線回折装置で分析したところ、図1およびその拡大した図2に示すように、2θ=27.3°にピークが観測された。また、2θ=27.3°のピーク強度は、アナターゼ型チタンのピークの一つである2θ=25.3°のピーク強度の2%であった。
さらに、触媒(1)の触媒表面を測定面積380μm2でEPMA分析したところ、粒子径が1μm以上20μm以下であるモリブデン酸化物の前記測定面積中における割合は19%であった。
触媒(1)のEPMA分析により撮影した電子線写真を図7に示す。図7中の白い部分がモリブデン酸化物を表している。
【0028】
(実施例
<Ti−Si複合酸化物粉体の調製>
Ti−Si複合酸化物粉体を次のように調製した。シリカゾル(スノーテックス−30、日産化学社製、SiO換算で30wt%含有)10Kgと工業用アンモニア水(25wt%NH含有)104Kgと水73リットルを混合し、均一溶液を調製した。この溶液に硫酸チタニルの硫酸溶液(テイカ社製、TiOとして70g/リットル、HSOとして287g/リットル含有)243リットルを、攪拌しながら徐々に滴下した。得られたスラリーを約20時間静置したのち、濾過水洗し、続いて150℃で1時間乾燥させた。さらに、空気雰囲気下、550℃で5時間焼成し、さらにハンマーミルを用いて粉砕し、粉体を得た。このようにして調製したTi−Si複合酸化物粉体の組成は、TiO:SiO=85:15(酸化物重量比)であった。
【0029】
<バナジウム酸化物およびモリブデン酸化物の添加>
上記で調製したTi−Si複合酸化物粉体20Kgに、メタバナジン酸アンモニウム1.43Kg、シュウ酸1.7Kg、モノエタノールアミン0.4Kgを水5リットルに溶解させた溶液、および、三酸化モリブデン粉体1.11Kgを加え、成形助剤とともに混合し、ニーダーで混練りした後、押出成形機でハニカム状に成形した。得られた成形物を60℃で乾燥後、空気雰囲気下、530℃で5時間焼成して目的の触媒(2)を得た。この時の組成は、酸化物換算重量比で、Ti−Si複合酸化物:MoO3:V25=90:5:5であった。
【0030】
触媒(2)についてX線回折装置で分析したところ、図3に示すように、2θ=27.3°にピークが観測された。また、2θ=27.3°のピーク強度は、アナターゼ型チタンのピークの一つである2θ=25.3°のピーク強度の16%であった。
さらに、触媒(2)の触媒表面を測定面積380μm2でEPMA分析したところ、粒子径が1μm以上20μm以下であるモリブデン酸化物の前記測定面積中における割合は10%であった。
触媒(2)のEPMA分析により撮影した電子線写真を図8に示す。図8中の白い部分がモリブデン酸化物を表している。
【0031】
(実施例
実施例で調製したTi−Si複合酸化物粉体20Kgに、メタバナジン酸アンモニウム1.43Kg、シュウ酸1.7Kg、モノエタノールアミン0.4Kgを水5リットルに溶解させた溶液と、パラモリブデン酸アンモニウム1.36Kgおよびモノエタノールアミン0.54Kgを水3リットルに溶解させた溶液とを加え、成形助剤とともに混合し、ニーダーで混練りした後、押出成形機でハニカム状に成形した。得られた成形物を60℃で乾燥後、空気雰囲気下、530℃で5時間焼成して目的の触媒(3)を得た。この時の組成は、酸化物換算重量比で、Ti−Si複合酸化物:MoO:V=90:5:5であった。
【0032】
触媒(3)についてX線回折装置で分析したところ、図4に示すように、2θ=27.3°にピークが観測された。また、2θ=27.3°のピーク強度は、アナターゼ型チタンのピークの一つである2θ=25.3°のピーク強度の23%であった。
さらに、触媒(3)の触媒表面を測定面積380μm2でEPMA分析したところ、粒子径が1μm以上20μm以下であるモリブデン酸化物の前記測定面積中における割合は6%であった。
触媒(3)のEPMA分析により撮影した電子線写真を図9に示す。図9中の白い部分がモリブデン酸化物を表している。
【0033】
(比較例1)
市販の酸化チタン粉体(DT−51(商品名)、ミレニアム社製)20Kgに、メタバナジン酸アンモニウム1.43Kg、シュウ酸1.7Kg、モノエタノールアミン0.4Kgを水5リットルに溶解させた溶液と、パラモリブデン酸アンモニウム1.36Kgおよびモノエタノールアミン0.54Kgを水3リットルに溶解させた溶液とを加え、成形助剤とともに混合し、ニーダーで混練りした後、押出成形機でハニカム状に成形した。得られた成形物を60℃で乾燥後、空気雰囲気下、350℃で5時間焼成して目的の触媒(4)を得た。この時の組成は、酸化物換算重量比で、TiO2:MoO3:V25=90:5:5であった。
【0034】
触媒(4)についてX線回折装置で分析したところ、図5に示すように、2θ=27.3°にピークは観測されなかった。
さらに、触媒(4)の触媒表面を測定面積380μmでEPMA分析したところ、粒子径が1μm以上20μm以下であるモリブデン酸化物の前記測定面積中における割合は0%であった。
触媒(4)のEPMA分析により撮影した電子線写真を図10に示す。図10中の白い部分がモリブデン酸化物を表している。
(比較例2)
実施例で調製したTi−Si複合酸化物粉体20Kgに、メタバナジン酸アンモニウム1.40Kg、シュウ酸1.7Kg、モノエタノールアミン0.4Kgを水5リットルに溶解させた溶液と、パラモリブデン酸アンモニウム0.8Kgおよびモノエタノールアミン0.32Kgを水3リットルに溶解させた溶液とを加え、成形助剤とともに混合し、ニーダーで混練りした後、押出成形機でハニカム状に成形した。得られた成形物を60℃で乾燥後、空気雰囲気下、350℃で5時間焼成して目的の触媒(5)を得た。この時の組成は、酸化物換算重量比で、Ti−Si複合酸化物:MoO:V=92:3:5であった。
【0035】
触媒(5)についてX線回折装置で分析したところ、図6に示すように、2θ=27.3°にピークは観測されなかった。
さらに、触媒(5)の触媒表面を測定面積380μmでEPMA分析したところ、粒子径が1μm以上20μm以下であるモリブデン酸化物の前記測定面積中における割合は0%であった。
触媒(5)のEPMA分析により撮影した電子線写真を図11に示す。図11中の白い部分がモリブデン酸化物を表している。
(脱硝性能試験およびダイオキシン類分解試験)
参考例1、実施例1、2および比較例1、2で得られた触媒(1)〜(5)を用いて下記の条件で脱硝性能試験およびダイオキシン類分解試験を行った。
【0036】
脱硝率およびダイオキシン類分解率は下記の式に従って求めた。
脱硝率(%)=[(反応器入口NOx濃度)−(反応器出口NOx濃度)]÷(反応器入口NOx濃度)×100
ダイオキシン類分解率(%)=[(反応器入口ダイオキシン類濃度)−(反応器出口ダイオキシン類濃度)]÷(反応器入口ダイオキシン類濃度)×100
<脱硝反応ガス組成>
NOx:100ppm
SO2:20ppm
NH3:100ppm
2:10%
2O:15%
2:バランス
ガス温度:240℃
空間速度:19000Hr-1
<ダイオキシン類分解反応ガス組成>
ダイオキシン類濃度:約1ng
2:15%
2O:12%
SO2:20ppm
煤塵:100mg/Nm3
2:バランス
ガス温度:200℃
空間速度:2500Hr-1
脱硝性能試験の結果を表1に、ダイオキシン類分解試験の結果を表2に示した。
【0037】
【表1】
Figure 0004002437
【0038】
【表2】
Figure 0004002437
【0039】
【発明の効果】
本発明によると、窒素酸化物の除去性能、排ガス中のダイオキシン類等の有機ハロゲン化合物の除去性能、および耐久性に優れた排ガス処理用触媒を提供することができる。
そのため、脱硝触媒として用いた場合には、脱硝性能が向上する。
また、有機ハロゲン化合物の除去用触媒として用いた場合には、排ガス中のダイオキシン類等の有機ハロゲン化合物を効率良く除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】参考例1で調製した触媒(1)のX線回折パターン図
【図2】参考例1で調製した触媒(1)のX線回折パターンの拡大図
【図3】実施例で調製した触媒(2)のX線回折パターン図
【図4】実施例で調製した触媒(3)のX線回折パターン図
【図5】比較例1で調製した触媒(4)のX線回折パターン図
【図6】比較例2で調製した触媒(5)のX線回折パターン図
【図7】参考例1で調製した触媒(1)のEPMA分析による電子線写真
【図8】実施例で調製した触媒(2)のEPMA分析による電子線写真
【図9】実施例で調製した触媒(3)のEPMA分析による電子線写真
【図10】比較例1で調製した触媒(4)のEPMA分析による電子線写真
【図11】比較例2で調製した触媒(5)のEPMA分析による電子線写真

Claims (2)

  1. チタンとケイ素の複合酸化物と、モリブデンの酸化物と、バナジウムの酸化物とを含有する触媒であって、
    X線回折パターンにおいて2θ=27.3°のモリブデン酸化物によるピーク強度が、アナターゼ型チタンのピークの一つである2θ=25.3°のピーク強度の1%以上50%以下であり、
    粒子径が1μm以上20μm以下であるモリブデン酸化物粒子の割合が1%以上30%以下である、
    ことを特徴とする、排ガス処理用触媒。
  2. 請求項1に記載の触媒を用いて窒素酸化物もしくは有機ハロゲン化合物を含む排ガスを処理する、排ガス処理方法。
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