JP4000490B2 - 4,6−ビス(ペルフルオロアルキル)−2−ピリジノールの製造方法、及びニコチンアミド誘導体とその製造方法 - Google Patents

4,6−ビス(ペルフルオロアルキル)−2−ピリジノールの製造方法、及びニコチンアミド誘導体とその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機合成化学における合成中間体として有用な4,6−ビス(ペルフルオロアルキル)−2−ピリジノールの製造方法、及びそのための新規な中間体とその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
【化7】
Figure 0004000490
(但し、この一般式中、Rf1 、Rf2 は互いに同一の若しくは異なるペルフルオロアルキル基である。)
で表される4,6−ビス(ペルフルオロアルキル)−2−ピリジノールは、有機合成化学における有用な中間体(例えば、フッ素化剤の有用な中間体)である〔ポーリッシュ・ジャーナル・オブ・ケミストリー(Polish Journal Of Chemistry), 56巻,1125−1129ページ(1982年)参照〕。
【0003】
従来、前記一般式(II)で表される4,6−ビス(ペルフルオロアルキル)−2−ピリジノールは、ビス(ペルフルオロアシル)メタンと5−アミノ−3−ピラロゾン又はシアノアセトヒドラジドとを反応させ、得られる3−ヒドロキシ−4,6−ビス(ペルフルオロアルキル)−ピラゾロ〔3,4−b〕ピリジンをラネーニッケルで還元して、2−アミノ−4,6−ビス(ペルフルオロアルキル)ニコチンアミドを得て、これを酸で処理して脱炭酸反応を起こさせた後、得られた2−アミノ−4,6−ビス(ペルフルオロアルキル)ピリジンを亜硝酸ナトリウムで処理して製造していた〔前記ポーリッシュ・ジャーナル・オブ・ケミストリー(Polish Journal Of Chemistry ), 56巻,1125−1129ページ(1982年)参照〕。
【0004】
しかしながら、この従来の製造方法では、高価な原料を必要とする上、多段階工程の反応であって非常に煩雑な方法であり、工業的に実施しようとする場合、満足のいく方法とは言い難いものであった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、入手容易で安価な原料から短い工程で収率良く、有機合成化学における合成中間体として有用な4,6−ビス(ペルフルオロアルキル)−2−ピリジノールの製造方法、更に前記4,6−ビス(ペルフルオロアルキル)−2−ピリジノールを製造するに際し、中間体として有用で新規なニコチンアミド誘導体及びその製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上述した従来の技術の問題点を克服するため、鋭意検討を重ねた結果、入手容易で安価な原料から短い工程で収率良く目的物を得ることのできる製造方法、更にそのための中間体として有用で新規な化合物及びその製造方法を見い出し、本発明に到達したものである。
【0007】
即ち、本発明は、
【化8】
Figure 0004000490
(但し、この一般式中、Rf1 、Rf2 は互いに同一の若しくは異なるペルフルオロアルキル基(例えば、炭素原子数1〜4の低級ペルフルオロアルキル基)である。)で表されるニコチンアミド誘導体を酸(例えば硫酸水溶液)で処理することからなる、
【化9】
Figure 0004000490
(但し、この一般式中、Rf1 、Rf2 は前記したものと同様である。)
で表される4,6−ビス(ペルフルオロアルキル)−2−ピリジノールの製造方法(以下、本発明の第一の製造方法と称する。)に係るものである。
【0008】
本発明の第一の製造方法によれば、有機合成化学における合成中間体(例えば、フッ素化剤の中間体)として有用な一般式(II)の4,6−ビス(ペルフルオロアルキル)−2−ピリジノールを、入手容易な原料から短い工程で収率良く製造することができる。
【0009】
また、本発明は、
【化10】
Figure 0004000490
(但し、この一般式中、Rf、Rf’は互いに同一の若しくは異なるペルフルオロアルキル基(例えば、炭素原子数1〜4の低級ペルフルオロアルキル基)である。)
で表されるニコチンアミド誘導体に係るものである。
【0010】
このニコチンアミド誘導体は、新規な化合物であり、特に有機合成化学における合成中間体として有用な4,6−ビス(ペルフルオロアルキル)−2−ピリジノールの製造中間体として有用である。
【0011】
更に、本発明は、
一般式(III):
Rf1 COCH2 CORf2
(但し、この一般式中、Rf1 、Rf2 は互いに同一の若しくは異なるペルフルオロアルキル基(例えば、炭素原子数1〜4の低級ペルフルオロアルキル基)である。)で表されるビス(ペルフルオロアシル)メタンと、マロンアミド〔CH2 (CONH2 2 〕とを反応させることからなる、
【化11】
Figure 0004000490
(但し、この一般式中、Rf、Rf'はそれぞれ前記Rf1 又はRf2 である。)で表されるニコチンアミド誘導体の製造方法(以下、本発明の第二の製造方法と称する。)に係るものである。
【0012】
本発明の第二の製造方法によれば、例えば有機合成化学における合成中間体として有用な4,6−ビス(ペルフルオロアルキル)−2−ピリジノールの製造中間体として特に有用なニコチンアミド誘導体を入手容易な原料から収率良く製造することができる。
【0013】
また、本発明の第一の製造方法(以下、第2工程と称することがある。)においては、本発明の第二の製造方法(以下、第1工程と称することがある。)で得られる前記一般式(I)で表されるニコチンアミド誘導体を出発原料として用いることができる。
【0014】
即ち、前記一般式(III)で表されるビス(ペルフルオロアシル)メタンとマロンアミドとを反応させて、新規な中間体であり前記一般式(I)で表されるニコチンアミド誘導体を得る第1工程と、前記第1工程で得られるニコチンアミド誘導体を酸で処理する第2工程とによって、前記一般式(II)で表される4,6−ビス(ペルフルオロアルキル)−2−ピリジノールを得ることもできる。以下に、この反応のフローを示す。
【0015】
【化12】
Figure 0004000490
但し、上記した反応において、各一般式中のRf、Rf’、Rf1 、Rf2 は上述したものと同様であり、溶媒、反応温度、化合物の量等は、後述するもの等を使用できる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第一の製造方法(第2工程)、本発明の第二の製造方法(第1工程)について順に説明する。
【0017】
本発明の第一の製造方法(第2工程)は、前記一般式(I)で表されるニコチンアミド誘導体を酸で処理することによって、加水分解と脱炭酸反応とを起こさせて前記一般式(II)で表される4,6−ビス(ペルフルオロアルキル)−2−ピリジノールを製造する工程である。
【0018】
本発明の第一の製造方法(第2工程)で用いられる酸とは、通常の化学反応で用いられる酸を使用することができるが、中でも、硫酸、硫酸水溶液、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、リン酸、リン酸水溶液等が好ましいが、反応効率並びに経済性から、硫酸水溶液が特に好ましい。
【0019】
硫酸水溶液中の硫酸の比率は体積比で、硫酸/水=0.5/1〜3/1の範囲内とすることが好ましく、更に、1/1〜2/1の範囲内であることが好ましい。
【0020】
本発明の第一の製造方法(第2工程)で用いられる反応溶媒は、上述の酸が反応溶媒を兼ねるが、反応に不活性であって、原料である前記一般式(I)のニコチンアミド誘導体や生成物である前記一般式(II)で表される4,6−ビス(ペルフルオロアルキル)−2−ピリジノールを溶かすことのできる有機溶媒を添加すると好ましい場合がある。このような有機溶媒としては、スルホランが好適に用いられる。
【0021】
本発明の第一の製造方法(第2工程)の反応温度は、80℃〜250℃の範囲内から選択することができるが、収率よく反応を進行させるためには、100℃〜200℃の範囲内であることが更に好ましい。
【0022】
反応後は、結晶性生成物を単離する通常の後処理を行うことによって、生成物である前記一般式(II)で表される4,6−ビス(ペルフルオロアルキル)−2−ピリジノールを単離することができる。
【0023】
また、本発明の第一の製造方法(第2工程)において、Rf1 及びRf2 は、互いに同一の若しくは異なるペルフルオロアルキル基、特に炭素原子数1〜4の低級ペルフルオロアルキル基であることが好ましい。但し、Rf1 及びRf2 が、互いに異なる場合、得られる生成物には異性体が生じることがある。
【0024】
即ち、炭素原子数1〜4個の低級ペルフルオロアルキル基としては、ペルフルオロメチル基、ペルフルオロエチル基、ペルフルオロプロピル基、ペルフルオロイソプロピル基、ペルフルオロブチル基、ペルフルオロ−sec−ブチル基、ペルフルオロイソブチル基、ペルフルオロ-t- ブチル基等が挙げられる。
【0025】
次に、本発明の第二の製造方法(第1工程)について説明する。
【0026】
本発明の第二の製造方法(第1工程)は、前記一般式(III)で表されるビス(ペルフルオロアシル)メタンとマロンアミドとを反応させて、新規化合物である前記一般式(I)で表されるニコチンアミド誘導体を製造する工程である。
【0027】
本発明の第二の製造方法(第1工程)において、出発原料であり前記一般式(III)で表されるビス(ペルフルオロアシル)メタンは既知の化合物で入手容易な化合物であるか、または、既知の化合物と同様にして容易に製造することができる〔ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソシアティ(J.Am.Chem.Soc.)、69巻、1819ページ(1947年)参照〕。
【0028】
また、本発明の第二の製造方法(第1工程)において、Rf1 、Rf2 、Rf及びRf’は、互いに同一の若しくは異なるペルフルオロアルキル基、特に炭素原子数1〜4の低級ペルフルオロアルキル基であることが好ましい。但し、Rf1 及びRf2 が、互いに異なる場合、得られる生成物には異性体が生じることがある。
【0029】
炭素原子数1〜4個の低級ペルフルオロアルキル基としては、例えば、ペルフルオロメチル基、ペルフルオロエチル基、ペルフルオロプロピル基、ペルフルオロイソプロピル基、ペルフルオロブチル基、ペルフルオロ-sec- ブチル基、ペルフルオロイソブチル基、ペルフルオロ-t- ブチル基等が挙げられる。
【0030】
即ち、前記一般式(III)で表されるビス(ペルフルオロアシル)メタンとしては、例えば、CF3 COCH2 COCF3 、C2 5 COCH2 COC2 5 、CF3 CF2 CF2 COCH2 COCF2 CF2 CF3 、(CF3 2 CFCOCH2 COCF(CF3 2 、CF3 (CF2 2 CF2 COCH2 COCF2 (CF2 2 CF3 、(CF3 2 CFCF2 COCH2 COCF2 CF(CF3 2 等が好ましく挙げられる。
【0031】
また、本発明の第2の製造方法(第1工程)において、もう一つの出発原料であるマロンアミド〔CH2 (CONH2 2 〕は、入手容易で安価な工業原料である。
【0032】
前記一般式(III)で表されるビス(ペルフルオロアシル)メタンの使用量は、マロンアミドに対し、当モル量を用いればよいが、過剰に又は過少に用いることもできる。
【0033】
本発明の第2の製造方法(第1工程)においては、溶媒を必ずしも必要としないが、反応を効率よく進行させるために、溶媒を用いることもできる。
【0034】
本発明の第2の製造方法(第1工程)に用いることのできる好ましい溶媒としては、例えば、スルホラン(テトラメチレンスルホン)、メチルスルホラン等のスルホン類;ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の芳香族化合物;ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン等の脂肪族炭化水素;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン等のハロゲン化脂肪族炭化水素等、又は、これらの混合物が挙げられるが、中でも、後処理工程の簡便さから、スルホランが特に好ましい。
【0035】
本発明の第2の製造方法(第1工程)の反応温度は、室温〜200℃の範囲内から選ぶことができるが、反応を効率よく、しかも収率よく進行させるためには、60℃〜180℃の範囲内であることが更に好ましい。
【0036】
本発明の第2の製造方法(第1工程)の反応は、次式に示すように、1分子のビス(ペルフルオロアシル)メタン〔一般式(III)〕と1分子のマロンアミドとから、1分子のニコチンアミド誘導体〔一般式(I)〕と2分子の水とが生成する、いわゆる脱水反応である。
【化13】
Figure 0004000490
【0037】
従って、反応を効率よく進行させるためには、本工程の反応中に反応系から水分子を除去することが好ましい。
【0038】
反応系から水分子を除去する方法としては、生成する水(水分子)を蒸留により除去する方法、溶媒と共沸させる方法、モレキュラーシーブ等の脱水剤に吸着させる方法等の通常の化学反応で用いられる方法を採用すればよい。
【0039】
また、反応後、生成物である前記一般式(I)で表されるニコチンアミド誘導体は、結晶性生成物を単離するために知られている通常の方法に従って反応生成物を後処理することによって、単離することができる。
【0040】
ここで、本発明の第一の製造方法(第2工程)において、特に、出発原料として、本発明の第二の製造方法(第1工程)で得られる前記一般式(I)のニコチンアミド誘導体を使用することもできる。
【0041】
即ち、前記一般式(III)で表されるビス(ペルフルオロアシル)メタンとマロンアミドとを反応させ、この反応生成物である前記一般式(I)で表されるニコチンアミド誘導体を反応後に単離することなく、この反応生成物に酸を添加して、酸処理(加水分解及び脱炭酸反応)を行い、前記一般式(II)で表される4,6−ビス(ペルフルオロアルキル)−2−ピリジノールを得ることもできる。
【0042】
この方法は、前記一般式(III)で表されるビス(ペルフルオロアシル)メタンとマロンアミドとを反応させるA工程と、前記A工程で得られる反応生成物(特にニコチンアミド誘導体)を酸で処理するB工程とからなる。前記A工程及びB工程はそれぞれ前記第1工程及び第2工程に対応するが、それらを以下に説明する。
【0043】
A工程は、前記一般式(I)で表されるニコチンアミド誘導体を単離する後処理の操作を除けば、出発原料、その使用量、反応溶媒、反応温度等は前述の第1工程の場合と同様である。
【0044】
B工程は、A工程で得られる反応液に、酸を添加して酸処理する工程である。ここで用いる酸、反応温度、反応時間及び後処理等は、前述の第2工程と同様である。
【0045】
【実施例】
以下、本発明を具体的な実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0046】
実施例1
【化14】
Figure 0004000490
ディーンスタークトラップ(Dean-Stark trap )を取り付けた反応容器に1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−2,4−ペンタンジオンを104g(0.5mol)、マロンアミドを51g(0.5mol)、及びスルホラン100mLを加えて、この混合物を80℃の浴で2時間、続いて、160℃の浴で3.5時間加熱した。反応中、生成した水はディーンスタークトラップによって反応系外に取り出された。
【0047】
反応後、反応溶液を800mLの氷水に注ぎ、析出した結晶を濾取し、水洗した。
【0048】
これを、減圧下、80℃で乾燥し、102.5g(収率75%)の2−ヒドロキシ−4,6−ビス(トリフルオロメチル)−3−ニコチンアミドを得た。この生成物の物性値、スペクトルデータ及び元素分析の結果を次に示す。
【0049】
融点: 294〜296 ℃(アセトニトリルより再結晶) 。
19F-NMR(CD3CN 中、CFCl3 内部標準):
-61.2ppm(3F,s,CF3) 、
-67.9ppm(3F,s,CF3) 。
1H-NMR(CD3CN中、TMS 内部標準):
6.45ppm(1H, b.s., CONH)、
6.63ppm(1H, b.s., CONH)、
7.54ppm(1H, s., 5-H) 。
IRスペクトル(KBr):
3457, 3320, 3181, 1695, 1593 cm -1
質量スペクトル : 274(M + )
元素分析 :
実測値 ; C,35.03% ; H,1.34% ; N,10.28%
計算値 ; C,35.05% ; H,1.47% ; N,10.22%
【0050】
実施例2
【化15】
Figure 0004000490
【0051】
濃硫酸22mLと水14mLの混合溶液に2−ヒドロキシ−4,6−ビス(トリフルオロメチル)−3−ニコチンアミド10g(36mmol)を加えた後、この混合物を攪拌しながら、170℃の浴で13時間加熱した。この間、二酸化炭素が発生した。
【0052】
放冷後、反応溶液を800mLの氷水に注ぎ、析出した結晶を濾取した。この結晶を塩化メチレンに溶かして、この塩化メチレン層を水洗し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。この無水硫酸マグネシウムを濾過して取り除いた後、この濾過液から溶媒を減圧下で留去して、6.59g(収率79%)の4,6−ビス(トリフルオロメチル)−2−ピリジノールを得た。この生成物の融点とスペクトルデータを次に示す。
【0053】
融点: 80〜 81 ℃(ヘキサンから再結晶) 。
19F-NMR(重クロロホルム中、CFCl3 内部標準):
-66.2ppm(3F,s,CF3) 、
-68.4ppm(3F,s,CF3) 。
1H-NMR( 重クロロホルム中、TMS 内部標準):
7.23ppm(1H, s. ) 、
7.27ppm(1H, s. ) 。
IRスペクトル(KBr):
3071, 1684, 1643, 1594, 1473, 1432, 1285 cm -1
質量スペクトル : 231(M + )
【0054】
実施例3
【化16】
Figure 0004000490
【0055】
ディーンスタークトラップ(Dean-Stark trap )を取り付けた反応容器に1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−2,4−ペンタンジオンを832g(4mol)、マロンアミドを405g(4mol)、及びスルホラン800mLを加えて、この混合物を70℃(反応液の温度)で2時間、続いて、徐々に反応温度を上昇させ、160℃まで加熱した。この間、生成した水はディーンスタークトラップによって反応系外に取り出した。
【0056】
放冷後、反応溶液に、濃硫酸1480mLと水920mLの混合液を加えて、反応液を135℃(反応液の温度)で35.5時間加熱、攪拌した。この間、二酸化炭素が発生した。
【0057】
放冷後、反応溶液を10Lの氷水に注いで、析出した結晶を濾取し、水洗した。得られた結晶を塩化メチレンに溶かし、この塩化メチレン層を水洗後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。この無水硫酸マグネシウムを濾過して取り除いた後、この濾過液から溶媒を減圧下で留去して、725.6g(全収率78%)の4,6−ビス(トリフルオロメチル)−2−ピリジノールを得た。
【0058】
この生成物の融点とスペクトルデータは実施例2のものと一致した。
【0059】
応用例1
【化17】
Figure 0004000490
上記のプロセスに示されるように、4,6−ビス(トリフルオロメチル)−2−ピリジノールは、MEC−05試薬(ダイキン化成品販売(株)製)として知られる有用なフッ素化剤であるN−フルオロ−4,6−ビス(トリフルオロメチル)ピリジニウム−2−スルホナートの有用中間体である。
【0060】
即ち、4,6−ビス(トリフルオロメチル)−2−ピリジノールを五塩化リンで常法に従って塩素化して2−クロロ−4,6−ビス(トリフルオロメチル)ピリジンとし、これを亜硫酸ナトリウムで処理して4,6−ビス(トリフルオロメチル)ピリジン−2−スルホン酸に誘導し、これをフッ素ガスと反応させることによりフッ素化剤であるN−フルオロ−4,6−ビス(トリフルオロメチル)ピリジニウム−2−スルホナートを得ることができる〔ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー(J. Org. Chem.), 60巻、6563−6570ページ(1995年)及び特開平5−294937号公報参照〕。
【0061】
【発明の作用効果】
本発明によれば、入手容易で安価な原料から短い工程で収率良く、有機合成化学における合成中間体(例えばフッ素化剤の中間体)として有用な4,6−ビス(ペルフルオロアルキル)−2−ピリジノールの製造方法、更にこの4,6−ビス(ペルフルオロアルキル)−2−ピリジノールを製造するに際し、中間体として有用で新規なニコチンアミド誘導体及びその製造方法を得ることができる。

Claims (21)

  1. Figure 0004000490
    (但し、この一般式中、Rf1 、Rf2 は互いに同一の若しくは異なるペルフルオロアルキル基である。)
    で表されるニコチンアミド誘導体を酸で処理することからなる、
    Figure 0004000490
    (但し、この一般式中、Rf1 、Rf2 は前記したものと同様である。)
    で表される4,6−ビス(ペルフルオロアルキル)−2−ピリジノールの製造方法。
  2. 前記ペルフルオロアルキル基を炭素原子数1〜4の低級ペルフルオロアルキル基とする、請求項1に記載した製造方法。
  3. 硫酸、硫酸水溶液、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、リン酸及びリン酸水溶液からなる群より選ばれた少なくとも一種からなる前記酸を使用する、請求項1に記載した製造方法。
  4. 前記酸として、硫酸水溶液を使用する、請求項3に記載した製造方法。
  5. 前記硫酸水溶液中の硫酸と水の比率を体積比で、硫酸/水=0.5/1〜3/1の範囲内とする、請求項4に記載した製造方法。
  6. 反応温度を80℃〜250℃の範囲内とする、請求項1に記載した製造方法。
  7. 一般式(III):
    Rf1 COCH2 CORf2
    (但し、この一般式中、Rf1 、Rf2 は互いに同一の若しくは異なるペルフルオロアルキル基である。)
    で表されるビス(ペルフルオロアシル)メタンと、マロンアミドとを反応させ、
    Figure 0004000490
    (但し、この一般式中、Rf、Rf'はそれぞれ前記Rf1 又はRf2 である。)で表される前記ニコチンアミド誘導体からなる中間体を得る第1工程と、このニコチンアミド誘導体と前記酸とを反応させ、
    Figure 0004000490
    (但し、この一般式中、Rf、Rf’は前記したものと同じである。)
    で表される4,6−ビス(ペルフルオロアルキル)−2−ピリジノールを得る第2工程とを有する、請求項1に記載した製造方法。
  8. 前記一般式(III)中の前記ペルフルオロアルキル基を炭素原子数1〜4の低級ペルフルオロアルキル基とする、請求項7に記載した製造方法。
  9. 前記一般式(III)のビス(ペルフルオロアシル)メタンに対して、マロンアミドを当モル量使用する、請求項7に記載した製造方法。
  10. 硫酸、硫酸水溶液、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、リン酸及びリン酸水溶液からなる群より選ばれた少なくとも一種からなる前記酸を使用する、請求項7に記載した製造方法。
  11. 前記酸として、硫酸水溶液を使用する、請求項10に記載した製造方法。
  12. 前記硫酸水溶液中の硫酸と水の比率を体積比で、硫酸/水=0.5/1〜3/1の範囲内とする、請求項11に記載した製造方法。
  13. 前記第1工程における反応温度を室温〜200℃の範囲内とする、請求項7に記載した製造方法。
  14. 生成する水を反応系から除去しながら前記第1工程の反応を行う、請求項7に記載した製造方法。
  15. Figure 0004000490
    (但し、この一般式中、Rf、Rf’は互いに同一の若しくは異なるペルフルオロアルキル基である。)
    で表されるニコチンアミド誘導体。
  16. 前記ペルフルオロアルキル基を炭素原子数1〜4の低級ペルフルオロアルキル基とする、請求項15に記載したニコチンアミド誘導体。
  17. 一般式(III):
    Rf1 COCH2 CORf2
    (但し、この一般式中、Rf1 、Rf2 は互いに同一の若しくは異なるペルフルオロアルキル基である。)
    で表されるビス(ペルフルオロアシル)メタンと、マロンアミドとを反応させることからなる、
    Figure 0004000490
    (但し、この一般式中、Rf、Rf'はそれぞれ前記Rf1 又はRf2 である。)で表されるニコチンアミド誘導体の製造方法。
  18. 前記ペルフルオロアルキル基を炭素原子数1〜4の低級ペルフルオロアルキル基とする、請求項17に記載した製造方法。
  19. 前記一般式(III)のビス(ペルフルオロアシル)メタンに対して、マロンアミドを当モル量使用する、請求項17に記載した製造方法。
  20. 反応温度を室温〜200℃の範囲内とする、請求項17に記載した製造方法。
  21. 生成した水を反応系から除去しつつ反応を行う、請求項17に記載した製造方法。
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