JP3999985B2 - センサ付き切削工具およびその作製方法 - Google Patents

センサ付き切削工具およびその作製方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は切削工具とその作製方法に関し、特に切刃の寿命を検知するセンサ回路を設けたセンサ付き切削工具とその作製方法に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
すくい面と逃げ面との交差稜が切刃となる切削工具においては、切刃の逃げ面側への摩耗の大きさは工具寿命の判定基準となる。そのため、切削加工中にインプロセスで切刃の逃げ面側への摩耗量を速やかに観測することは、高精度加工を維持する上で大変重要である。しかし、加工中に工具の摩耗を直接観察することは作業環境上大変難しい。
【0003】
そこで、切削加工を一旦中止して工具をはずして工具顕微鏡などで観測したり、加工中にインプロセスで摩耗量を知りたい場合は、工具摩耗に付随して起こる他の現象(切削力や振動の変化など)を工作機械の加工点付近等に設置したセンサで検出して摩耗量を推定していた。しかしながら、インプロセスでは定量的な摩耗量を求めることが困難であったり、摩耗検知のための十分な感度や信頼性が得られなかった。
【0004】
また、従来から切刃近傍に摩耗量を検知するためのセンサラインを設けて工具寿命を自動的に判定する方法が提案されている。導電性のある切削工具に応用する場合、絶縁層中に導体路を埋設して、切削工程中にその導体路が切断した信号をトリガとして限界摩耗および破断を検出することも提案されている(特開昭62−88552号公報参照)。
【0005】
これらセンサ回路は、印刷法、フォトエッチング法、リフトオフ法などで形成されるが、いずれも生産性が悪く、実用的でない。
【0006】
また、生産性がよく、加工精度がよく、かつ回路変更の自由度を高めるために、レーザー照射で形成する方法も提案されている。しかし、レーザーの原理上、エネルギーが大きいときはレーザー照射部が気化し、エネルギーが小さいときはレーザー照射部が溶融することから、レーザー照射による方法でもセンサ機能を安定して発揮できる回路を作製することは困難であった。
【0007】
すなわち、図5に示すように、レーザー照射で形成する方法を導電性母材3を絶縁層2で覆った工具に適用する場合、絶縁層2の厚み方向のすべてをレーザー照射で取り除くと、導電性母材3と導電膜1との間に溶融部が残ったり残らなかったりする現象が起き、この溶融部分で導電性母材3と導電膜1とが短絡することがあった。
【0008】
また、このような問題を解決するために、図5に示すように、導電膜1を完全に除去し、絶縁層2を厚み方向で一部残す領域5を形成することで、導電性母材3と導電膜1の電気的短絡を防止していたが、これらの方法では導電膜1の全部と絶縁層2の一部を削るために、そこが破壊源となって欠損の原因になり、信頼性の劣るものであった。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明はかかる課題に鑑みてなされたものであり、請求項1に係るセンサ付き切削工具は、母材上に切刃の寿命を検知するセンサ回路の一部を設けたセンサ付き切削工具において、前記母材上に、導電膜部と該導電膜部より電気抵抗値の高い高抵抗化膜部とを有する被膜が設けられており、該被膜の導電膜部で前記センサ回路の一部を構成するとともに、前記高抵抗化膜部は、前記導電膜部の構成元素の少なくとも1つの酸化物を含むことを特徴とする。
上記センサ付き切削工具では、前記導電膜部と前記高抵抗化膜部とが、同一面上に位置してなることが望ましい。
また上記センサ付き切削工具では、前記導電膜部と前記高抵抗化膜部とが、Ti、Zr等の周期律表4a、5a、6a族金属、あるいはAlのうち少なくとも一つの共通の金属を有してなることが望ましい。
【0010】
また、上記センサ付き切削工具では、前記高抵抗化膜部に前記導電膜の構成元素の少なくとも一つの酸化物を含むことが望ましい。
【0011】
また、上記センサ付き切削工具では、前記導電膜がTiN、TiC、TiCN、TiAlNのうちの少なくとも一つを含むことが望ましい。
【0012】
また、上記センサ付き切削工具では、前記導電膜がTiNであり、前記高抵抗化膜部がTiO2を含むことが望ましい。
【0013】
また、上記センサ付き切削工具では、前記導電膜がTiNであり、前記高抵抗化膜部がTiO2を含み、該高抵抗化膜部におけるTiO2の割合が70%以上であることが望ましい。
【0014】
また、請求項に係るセンサ付き切削工具の作製方法では、絶縁層で被覆した導電性母材の表面に切刃の寿命を検知するセンサ回路を形成するセンサ付き切削工具の作製方法において、前記センサ回路を導電膜の一部にレーザー光を照射して酸化して他の領域よりも電気抵抗値の高い領域を設けて形成することを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態をスローアウエイ工具を例に説明する。本発明はドリル等への応用も可能である。
【0016】
図1は請求項1に係るセンサ付き切削工具の一実施形態を示す断面図であり、1は導電膜、2は絶縁層、3は導電性母材、4は導電膜1の一部にレーザーを照射してその他の領域よりも電気抵抗値を高くした領域(高抵抗化膜部)である。
【0017】
導電性母材3としては、酸化アルミニウム質焼結体、窒化珪素質焼結体、サーメット、超硬合金、立方晶窒化ホウ素質焼結体(CBN/cubic Boron Nitride)、ダイヤモンド焼結体(PCD/Polycrystalline Diamond)、また導電性母材3にPVD法およびまたはCVD法で周期律表第4a、5a、6a族元素の1種乃至2種以上の炭化物、窒化物、炭窒化物、酸化物のいずれかひとつの硬質膜をコーティングしたコーティング工具等が使用できる。
【0018】
酸化アルミニウム質焼結体としては、TiCを2〜40重量%、Fe、Ni、Coの酸化物のうちの少なくとも1種を0.01〜5重量%、残部がAl23および不可避不純物からなる酸化アルミニウム質焼結体などが使用できる。
【0019】
窒化珪素質焼結体としては、AlをAl23換算で1.5〜10モル%、Tiの炭化物、窒化物、炭窒化物を30〜80モル%、残部が窒化珪素と希土類酸化物を窒化珪素に対して10重量%以下、不純物的酸素をSiO2換算で10モル%以下の割合で含有する窒化珪素質焼結体などが使用できる。
【0020】
サーメットとしては、Tiを炭化物、窒化物あるいは炭窒化物換算で50〜80重量%、周期律表第6a族元素を炭化物換算で10〜40重量%の割合で含有するとともに、窒素/(炭素+窒素)で表される原子比が0.4〜0.6の範囲内にある硬質相成分70〜90重量%と、鉄族金属から成る結合相成分10〜30重量%とから成るTiCN基サーメットなどがある。
【0021】
超硬合金としては硬質相と結合相で構成されるものなどがあり、硬質相は炭化タングステンまたは炭化タングステンの5〜15重量%を周期律表第4a、5a、6a族金属の炭化物、窒化物、炭窒化物で置換したものなどからなり、結合相はCo等の鉄族金属を主成分とするもので、例えば全量中に5〜15重量%の割合で含有される。
【0022】
導電性母材3の表面には硬質なコーティング膜(不図示)を形成してもよい。このようなコーティング膜としては、Tiの炭化物、窒化物、炭窒化物を厚み0.1〜10μmに形成したもの、Alの酸化物を厚み0.1〜10μmに形成したもの、TiAlの窒化物を厚み0.1〜10μmに形成したものなどがある。これら硬質膜の1種または2種以上を超硬合金、サーメット、セラミックなどの導電性母材3にコーティングしてもよい。
【0023】
絶縁層2の形成方法としては、CVD法、イオンプレーティング、スパッタリング、蒸着等のPVD法、めっき法などがあげられる。例えば母材3の表面に酸化アルミニウム膜をスパッタリング法で0.1〜10μmの厚みに形成する。絶縁層2を0.1μm以上とするのは、絶縁層2として導電性母材3と導電膜1との間の短絡を防ぐためである。また、10μmを越えると切削性能(特に耐欠損性)に悪影響を及ぼす。この絶縁層2はAr雰囲気中で形成する。
【0024】
絶縁層2を酸化アルミニウムで形成する場合、ターゲットの汚れを落とすためにプレスパッタリングを1分以上、母材のエッチングを1分以上、さらにターゲットのプレスパッタリングを1分以上行なった後、アルミナターゲットを用いて膜厚に応じて200分以下で形成する。
【0025】
絶縁層2としてはアークイオンプレーティング法で形成した窒化アルミニウムを用いることもできる。この場合、ターゲットとしてアルミニウムを用い、2Pa〜100Paの窒素雰囲気で、成膜温度200℃〜700℃で、ターゲットに150Aのバイアス電流を印加してアーク放電を発生させ、母材に窒化アルミニウムを成膜する。膜厚に応じて成膜時間を変化させる。
【0026】
また、絶縁層2は、酸化ケイ素、窒化珪素、酸化ジルコニウム、酸化チタン等の絶縁性物質で形成してもよい。
【0027】
導電膜1はTi、Zr等の周期律表4a、5a、6a族金属、あるいはAlなどの金属材料やTiC、ZrC、TiN、ZrN、TiCN、ZrCN等の周期律表第4a、5a、6a族金属の炭化物、窒化物、炭窒化物、(Ti、Al)N等を酸化することで電気抵抗が高くなるもので形成される。なかでも、TiNは、スローアウェイチップの母材に対する接合力が強いこと、被削材と反応せず、センサの電気抵抗値が常に所定値を示し、スローアウェイチップの摩耗度合いや欠損の発生の有無を正確に検出できること、被削材の加工表面に反応生成物による傷が形成されるのを有効に防止できること、スローアウェイチップの摩耗度合いや欠損の発生の有無を正確に検出できること、等の理由から好適に使用し得る。
【0028】
導電膜1は、CVD法やイオンプレーティング、スパッタリング、蒸着等のPVD法、めっき法等を採用することで絶縁層2を形成した導電性母材3のほぼ全面に所定厚みに被着される。
【0029】
導電膜1は、その厚みが0.05μm未満の薄いものでは、導電性母材3の表面への接合が弱くなるとともにセンサの電気抵抗値が高くなり、スローアウェイチップの摩耗度合いや欠損を正確に検出するのが困難となる。また10μmを超えると切削性能(特に耐欠損性)に悪影響を及ぼす。
【0030】
導電膜1の一部を高抵抗化してセンサ回路を形成する。工具の刃先のすくい面および逃げ面に刃先稜線と平行になるようにセンサパターンをYAGレーザー等で形成する。センサ幅は一般的には0.01〜0.5mmでよいが、寿命設定により任意の幅を持たせることができる。センサ回路の作製には酸化法などもあるが、センサ回路の作製速度が速いことやセンサ回路の形状の変更が容易なことからレーザー照射法が好ましい。
【0031】
大気中または酸化雰囲気中で導電膜1の一部にレーザーを照射して導電膜1の一部を酸化して他の領域より電気抵抗値の高い領域4を設けることで、図2に示すように、導電膜5と導電膜6との間の電気抵抗値を高くするとともに、図3に示すように、導電性母材3と導電膜5および導電膜6との間の電気抵抗値を高くする。
【0032】
ここでいう高い電気抵抗値とは、図2および図3に示すテスターの計測値が1000kΩ以上のものをいう。図2および図3に示すテスターの計測値が1000kΩ以上あれば、センサ付き切削工具として有効に機能させることができるためである。
【0033】
また、他の領域より電気抵抗値の高い領域4に導電膜1の構成元素の少なくとも一つの酸化物を含ませることで、電気抵抗値の高い領域4をレーザー等で容易に作製できる。
【0034】
また、導電膜5、6がTiN、TiC、TiCN、TiAlNのうちの少なくとも一つを含むことで、好ましくはTiNであることで、レーザー照射で組織が変化しなかった部分における導電膜5、6の密着性が高いことや耐摩耗性に優れることなどから、切削性能のよいセンサ付き切削工具とすることができる。
【0035】
また、導電膜5、6がTiNであり、他の領域より電気抵抗値の高い領域4がTiO2を含むことで、電気抵抗値の高い膜部をレーザー等で容易に作製することができ、かつレーザー照射で組織が変化しなかった部分における導電膜5、6の密着性が高いことや耐摩耗性に優れることなどから、切削性能のよいセンサ付き切削工具とすることができる。
【0036】
また、導電膜5、6がTiNであり、他の領域より電気抵抗値の高い領域4がTiO2を含み、この領域のTiO2の割合が70%以上であることで、電気抵抗値の高い領域4をレーザー等で容易に作製でき、かつレーザー照射で組織が変化しなかった部分における導電膜5、6の密着性が高いことや耐摩耗性に優れることなどから、切削性能のよいセンサ付き切削工具とすることができ、導電膜5と導電膜6との間の電気抵抗値を高くすることができる。ここで、他の領域より電気抵抗値の高い領域4のTiO2の割合が70%未満であると、導電性のTiN膜が残って電気抵抗値が十分に高くならず、導電膜5と導電膜6との間で短絡する恐れがある。
【0037】
レーザー照射条件の最適値は、導電膜1と絶縁層2の膜質、導電膜1の膜厚みによって変化するが、レーザー照射部分に付与されるエネルギーはなるべく小さい方がよい。大き過ぎるとレーザーの照射部が気化して導電膜1と絶縁層2が除去され、この除去部分が破壊源となって耐欠損性の劣化の恐れがあるためである。レンズ径、レーザーパルスの周波数、照射速度、照射電流を各種変化させることで、レーザー照射部の酸化状態を最適に制御できる。これにより、電気絶縁性と耐欠損性がよくて安定したセンサ工具とすることができる。
【0038】
【実施例】
−実施例1−
以下のサンプルを作製した。導電性母材3として市販のAl23−TiC系セラミック母材を用いた。導電性母材3と導電膜1を絶縁する絶縁層2として、アークイオンプレーティング法で厚さ8μmの窒化アルミニウム膜を作製した。
【0039】
ターゲットとしてアルミニウムを用いて、4Paの窒素雰囲気で、150Aのバイアス電流をターゲットに印加してアーク放電を発生させ、母材に30Vの負の電圧を印加し、成膜温度500℃、成膜時間38分で作製した。その後、導電膜1としてアークイオンプレーティング法で4Paの窒素雰囲気で、母材温度500℃、成膜時間7.5分でTiNを0.5μm成膜した。
【0040】
その後、以下の条件でレーザー照射を行った。レーザー加工機はYAGレーザーを使用して加工した。
《レーザー照射条件》
条件1 条件2
レンズ径 φ160mm φ60mm
照射速度 50mm/sec 100mm/sec
照射周波数 1kHz 35kHz
照射電流 20A 12A
雰囲気 大気中 大気中
条件1および条件2で得られたサンプルの電気抵抗値を図2および図3に示す方法で計測した。図2および図3において、7はテスターであり、図2に示す方法で導電膜5と導電膜6との間の電気抵抗値を求めるとともに、図3に示す方法で導電膜5と導電性母材3との間の電気抵抗値を求めた。図2に示す方法で導電膜5と導電膜6との間の電気抵抗値を測定して、レーザー照射した部分の電気抵抗値がレーザー照射していない部分の電気抵抗値より高いか調査した。また、導電膜5と導電性母材3との間の電気抵抗値も併せて測定した。その結果を表1に示す。
【0041】
また、刃先近傍にレーザー照射した工具を用いて以下の条件で切削し、衝撃回数が400回になるごとに切刃を双眼で観察して損傷したときの衝撃回数を測定して耐欠損性の評価を行った。本発明品である条件1が損傷に要した衝撃回数aを基準(100%)として、各試料の損傷に要した衝撃回数bをパーセント表記(b/a×100)した。なお、各試料とも3回ずつ評価した。その結果を表2に示す。
《切削条件》
切削速度 200m/min
切込み 2.0mm
送り 0.2mm/rev
被削材 SCM435 4本溝付き
切削状態 切削液有り(エマルジョン)
条件1でレーザー照射した部分をX線光電子分光分析法で分析した。X線光電子分光分析装置としてはPHI製のQuantum2000を使用した。その結果を図4に示す。その結果、Ti2pナロースペクトルからレーザー照射部からTiO2が検出された。
【0042】
【表1】
Figure 0003999985
【0043】
【表2】
Figure 0003999985
【0044】
表1および表2から明らかなように、本発明品である導電膜の一部に他の領域より電気抵抗値の高い領域があってTiNの酸化物であるTiO2を含んでいる試料No.1は、従来品であるレーザーを照射してTiNを除去してAlNを露出させた試料No.2と比して耐欠損性が良好であった。
(実施例2)実施例1の母材に実施例1の絶縁膜と導電膜を成膜し、その後YAGレーザーを用いて条件3と条件4でレーザー照射して電気抵抗値を測定した。その結果を表1に示す。
《レーザー照射条件》
条件3 条件4
レンズ径 φ160mm φ160mm
照射速度 50mm/sec 50mm/sec
照射周波数 1kHz 1kHz
照射電流 18A 13A
雰囲気 大気中 大気中
また、条件3および条件4でレーザー照射した部分をX線光電子分光分析法で分析した。Ti2pナロースペクトルからTiO2とTiNの比を求めた。その結果を表3に示す。
【0045】
【表3】
Figure 0003999985
【0046】
表1および表3から明らかなように、本発明品である導電膜の一部に他の領域より電気抵抗値の高い領域があってTiNの酸化物であるTiO2を70%以上含んでいる試料No.3は導電膜間の電気抵抗値が1000kΩ以上であり、レーザー照射部の電気抵抗値が高くなっていた。これに対して、TiO2が70%未満である試料No.4は導電膜間の電気抵抗値が10Ωであり、レーザー照射部の電気抵抗値が低いままであった。
【0047】
【発明の効果】
以上のように、請求項1に係るセンサ付き切削工具によれば、母材上に切刃の寿命を検知するセンサ回路の一部を設けたセンサ付き切削工具において、前記母材上に、導電膜部と高抵抗化膜部とを有する被膜が設けられており、該被膜の導電膜部で前記センサ回路の一部を構成するとともに、前記高抵抗化膜部に前記導電膜部の構成元素の少なくとも1つの酸化物を含むことから、高抵抗化膜部の加工が容易であり、かつ、絶縁領域で隔てられた導電膜部同志の短絡を防止でき、耐欠損性がよくて安定して正常に機能させることができる。
【0048】
また、請求項に係るセンサ付き切削工具の作製方法によれば、導電膜にレーザー光を照射して、導電膜の一部を酸化して電気抵抗の高い部分を生成することから、生産性がよく加工精度がよくかつ回路変更の自由度が高いセンサ付き切削工具を作製できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るセンサ付き切削工具の断面図である。
【図2】 導電膜間の電気抵抗値を調査した方法を示す図である。
【図3】 導電膜−導電性母材間の電気抵抗値を調査した方法を示す図である。
【図4】 レーザー照射部の化学結合状態の分析結果である。
【図5】 従来のセンサ付き切削工具の断面図である。
【符号の説明】
1:導電膜
2:絶縁層
3:導電性母材
4:レーザー照射部(電気抵抗値の高い部分)
5:導電膜
6:導電膜
7:テスター

Claims (7)

  1. 母材上に切刃の寿命を検知するセンサ回路の一部を設けたセンサ付き切削工具において、
    前記母材上に、導電膜部と該導電膜部より電気抵抗値の高い高抵抗化膜部とを有する被膜が設けられており、
    該被膜の導電膜部で前記センサ回路の一部を構成するとともに、
    前記高抵抗化膜部は、前記導電膜部の構成元素の少なくとも1つの酸化物を含むことを特徴とするセンサ付き切削工具。
  2. 前記導電膜部と前記高抵抗化膜部とが、同一面上に位置してなることを特徴とする請求項1記載のセンサ付き切削工具。
  3. 前記導電膜部と前記高抵抗化膜部とが、Ti、Zr等の周期律表4a、5a、6a族金属、あるいはAlのうち少なくとも一つの共通の金属を有してなることを特徴とする請求項1または2記載のセンサ付き切削工具。
  4. 前記導電膜部がTiN、TiC、TiCN、TiAlNのうちの少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項1ないしのいずれか記載のセンサ付き切削工具。
  5. 前記導電膜部がTiNであり、前記高抵抗化膜部がTiO2を含むことを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載のセンサ付き切削工具。
  6. 前記導電膜部がTiNであり、前記高抵抗化膜部がTiO2を含み、該高抵抗化膜部におけるTiO2の割合が70%以上であることを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載のセンサ付き切削工具。
  7. 絶縁層で被覆した導電性母材の表面に切刃の寿命を検知するセンサ回路を形成するセンサ付き切削工具の作製方法において、前記センサ回路を導電膜の一部にレーザー光を照射して酸化して他の領域よりも電気抵抗値の高い領域を設けて形成することを特徴とするセンサ回路付き切削工具の作製方法。
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