JP3998561B2 - ジメチルエーテル改質発電システムとその運転方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、原動機からの排熱を用いてジメチルエーテルを水素リッチガスに変換する改質器を具備するジメチルエーテル改質発電システムとその運転方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の改質発電システムでは、水蒸気改質反応を利用して、炭化水素系燃料から水素リッチなガスを生成する方法が広く利用されている。この方法では、吸熱反応によりタービンやガスエンジンなどの原動機の排気から化学的に熱を回収するため、発電システムの効率を向上させることができる。
炭化水素系燃料として、ジメチルエーテル((CH3)2O)を用いた場合には、次の(1)および(2)式の反応により、ジメチルエーテルは、水素を含むガスに転換される。
【0003】
(CH3)2O+H2O ⇔ 2CO+4H2−205kJ/mol (1)
2CO+2H2O ⇔ 2CO2+2H2+82kJ/2mol (2)
(1)式の反応は吸熱反応であり、300℃程度の温度のジメチルエーテルと水蒸気の混合気を触媒反応させることで、ジメチルエーテルと水蒸気は、化学平衡上COおよびH2にほぼ100%転化する。
【0004】
また、最近の研究成果では、(1)式の反応は(3)、(4)式のようにメタノールを経由して進行することが開示されている(例えば、非特許文献1および非特許文献2参照。)。
【0005】
(CH3)2O+H2O ⇔ 2CH3OH−23.6kJ/mol (3)
CH3OH+H2O ⇔ CO2+3H2−49.5kJ/mol (4)
(3)、(4)式の反応を生じる速度が、(5)式に代表されるメタン生成反応に比べて小さい場合には、発熱反応となり、排熱回収が不可能となることがある。
(CH3)2O ⇔ CH4+CO+H2+1.3kJ/mol (5)
【0006】
また、通常、ジメチルエーテルの改質反応には、銅および亜鉛系の触媒が用いられ、ほとんどの銅・亜鉛系の触媒は、耐熱温度が350℃程度である。一方、タービンやガスエンジンの排気温度は500〜550℃であり、触媒の耐熱温度との間に150〜200℃の差がある。そこで、タービンやガスエンジンの排気の熱を利用して、銅・亜鉛系の触媒を用い、ジメチルエーテルを改質させる改質発電システムでは、改質器の触媒の温度が耐熱温度を超えないように、タービンやガスエンジンからの排気を冷却して、改質器に供給しなければならない。そこで、タービンやガスエンジンの出口から改質器に流入するまでに、排気の熱を改質発電システム系統の外部に放出して、改質器に流入する排気の温度を低下させる方法を採用した発明が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0007】
【非特許文献1】
道木 啓介、外1名、DEMのスチームリフォーミング−高効率反応器の開発に向けて、第89回触媒討論会予稿集、2001、p.41
【非特許文献2】
武石 薫、外2名、銅系触媒を用いたジメチルエーテルの水蒸気改質、第89回触媒討論会予稿集、2001、p.236
【特許文献1】
特開平9−119319号公報 ([0016]−[0019]、図1)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来のジメチルエーテルを用いた改質発電システムでは、触媒の耐熱温度が原動機からの排気温度に比べ低いため、原動機からの排気を、直接、触媒を備える改質器に供給すると、触媒の活性は著しく損なわれ再生が不可能になるという問題があった。
【0009】
そこで、この問題を解決するために、原動機からの排気の温度を、触媒が耐熱温度を超えないように低下させて、排気を改質器に供給する場合がある。しかし、この場合には、排気の温度低下に伴う熱量を利用していないため、発電効率の向上を図ることができないという問題があった。
【0010】
また、ジメチルエーテルは、貯蔵時には液体であるが、燃料供給系の圧力や温度などの条件によっては、気体に相変化し、燃料供給系において気液二相流となるため、ジメチルエーテルの安定供給ができないという問題があった。
【0011】
そこで、本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、原動機からの排気の温度を改質器の要求温度まで低下させ、原動機からの排気の熱量を有効利用し、発電効率の向上を図ることができるジメチルエーテル改質発電システムとその運転方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明のジメチルエーテル改質発電システムは、原動機と、前記原動機からの排気の熱により水を蒸発させる蒸発器と、気化されたジメチルエーテルを供給するジメチルエーテル供給部と、前記原動機からの排気の温度を低下させる熱交換器と、前記ジメチルエーテル供給部から供給されたジメチルエーテルと前記蒸発器で発生した蒸気との混合ガスを、前記熱交換器を通過した排気の熱によって改質ガスに転換する改質器と、前記蒸発器で発生した蒸気と飽和水とを分離するセパレータとを具備し、前記熱交換器において、前記セパレータで分離された前記飽和水を前記原動機からの排気の熱によって加熱することを特徴とする。
【0013】
この発明のジメチルエーテル改質発電システムでは、改質器に導入される原動機からの排気の温度を、熱交換器を介すことで最適な温度にできるので、耐熱性の低いジメチルエーテル改質触媒の劣化を防止することができ、改質発電システムの寿命を延ばすことができる。また、改質器に最適な温度範囲で改質を行うことができるので、改質発電システムの安定を図ることができる。さらに、原動機からの排気の熱の一部を、熱交換器におけるセパレータで分離された飽和水の加熱用の熱として利用しているので、発電効率を向上させることができる。
【0014】
本発明のジメチルエーテル改質発電システムの運転方法は、原動機からの排気の熱により水を蒸発させる蒸発ステップと、前記蒸発ステップで発生した蒸気を、改質用蒸気と飽和水とに分離する分離ステップと、前記分離ステップで分離された飽和水を前記原動機からの排気によってさらに加熱する加熱ステップと、ジメチルエーテルを前記分離ステップで分離された改質用蒸気に混合する混合ステップと、混合ステップで混合された前記ジメチルエーテルと前記改質用蒸気の混合気を、前記加熱ステップで用いた排気によって、250以上400℃以下の温度に保持された改質器を用いて改質ガスに転換する改質ステップとを具備することを特徴とする。
【0015】
この発明のジメチルエーテル改質発電システムの運転方法では、改質器の温度が、所定の温度範囲に保持されているので、触媒にダメージを与えることなく、改質に最適な温度で、改質ガスへの転換を行うことができる。また、原動機からの排気の熱の一部を、分離ステップで分離された飽和水の加熱用の熱として利用しているので、発電効率を向上させることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態のジメチルエーテル改質発電システム1の概要を図1を参照して説明する。
【0017】
図1に示すように、第1の実施の形態のジメチルエーテル改質発電システム1は、蒸発器2、改質器3、熱交換器4および原動機100から主に構成されている。
【0018】
蒸発器2は、ガスタービン103から排出される排気の熱を、例えば、フィンなどを備える熱交換部を介して蒸発器2に供給された水5に与え、水5を蒸発させるものである。
【0019】
改質器3は、ガスタービン103から排出される排気の熱を、ジメチルエーテル6と蒸発器2で発生した蒸気との混合気の改質を行う部分に、例えば、熱交換部を介して与え、改質反応を行わせるものである。この改質が行われる部分には、例えば、銅・亜鉛系の触媒が設けられている。
【0020】
熱交換器4は、ガスタービン103から排出される排気の熱の一部を冷却媒体に与え、改質器3に供給される排気の温度を適正な温度にするのものである。熱交換器4に用いられる冷却媒体は、例えば水、空気または油などである。
【0021】
原動機100は、コンプレッサ101、燃焼器102、タービン103で主に構成されている。コンプレッサ101では、大気104を圧縮し、燃焼器102にその圧縮空気を供給する。燃焼器102では、コンプレッサ101から供給された圧縮空気と、改質器3で改質された水素リッチガス7とによって燃焼し、燃焼ガスを生成する。燃焼器102で生成された高温高圧の燃焼ガスは、タービン103に供給され、タービン103を回転駆動し、排気される。
【0022】
次に、第1の実施の形態のジメチルエーテル改質発電システム1の動作について説明する。
【0023】
図1に示すように、タービン排気8は、熱交換器4、改質器3、蒸発器2の順に熱交換される。その際、タービン排気8は、500℃級排気8a、300℃級排気8b、200℃級排気8c、100℃級排気8dと段階的にその温度レベルを変化させる。ここで、500℃級とは500℃から650℃程度、300℃級とは300℃から450℃程度、200℃級とは200℃から350℃程度、100℃級とは100℃から250℃程度の温度範囲を指す。このように各温度レベルはオーバラップしているが、各温度レベルが逆転したり、温度レベル全体が重複することはない。また、例えば、300℃が299℃になっても本発明の効果が薄れるものではない。
【0024】
蒸発器2に供給された水5は、200℃級排気8cの熱によって、蒸気9となる。蒸気9は、改質用蒸気9aと過熱用蒸気9bとに分離される。そして、改質用蒸気9aとジメチルエーテル6は混合され、改質器3に供給される。触媒を備えた改質器3に供給された改質用蒸気9aとジメチルエーテル6は、300℃級排気8bの熱によって、(1)、(2)式の化学反応を生じ、水素リッチガス7に転換される。転換された水素リッチガス7は、燃焼器102に供給される。
【0025】
第1の実施の形態のジメチルエーテル改質発電システム1によれば、500℃級排気8aの熱の一部が、熱交換器4によって放熱されるので、300℃級排気8bを改質器3に供給することができる。これによって、耐熱性の低いジメチルエーテル改質触媒の劣化を防止することができるので、改質発電システムの寿命を延ばすことができる。
【0026】
また、ジメチルエーテル改質触媒に最適な温度範囲で改質を行うことができるので、改質発電システムの安定を図ることができる。
さらに、タービン排気8の一部の熱を、蒸発器2、改質器3の加熱用の熱として利用しているので、発電効率の向上を図ることができる。
【0027】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態のジメチルエーテル改質発電システム15の概要を図2を参照して説明する。なお、第1の実施の形態のジメチルエーテル改質発電システム1の構成と同一部分には同一符号を付して、重複する説明を省略する。
【0028】
図2に示すように、第2の実施の形態のジメチルエーテル改質発電システム15は、蒸発器2、改質器3、過熱器16、加圧装置17および原動機100から主に構成されている。ここで過熱器16は、第1の実施の形態の熱交換器4に対応するものである。
【0029】
過熱器16は、ガスタービン103から排出される排気の熱を利用して、過熱器16に供給された過熱用蒸気9bを加熱し、過熱蒸気18とするものである。
【0030】
加圧装置17は、ジメチルエーテルを加圧して改質器3に供給するもので、例えば、軸流ポンプなどが用いられる。
【0031】
次に、第2の実施の形態のジメチルエーテル改質発電システム15の動作について説明する。
【0032】
図2に示すように、タービン排気8は、過熱器16、改質器3、蒸発器2の順に熱交換される。その際、タービン排気8は、500℃級排気8a、300℃級排気8b、200℃級排気8c、100℃級排気8dと段階的にその温度レベルを変化させる。
【0033】
蒸発器2に供給された水5は、200℃級排気8cの熱によって蒸気9となる。
蒸気9は、改質用蒸気9aと過熱用蒸気9bとに分離される。そして、改質用蒸気9aと加圧装置17によって加圧されたジメチルエーテル6は混合され、改質器3に供給される。触媒を備えた改質器3に供給さた改質用蒸気9aとジメチルエーテル6は、300℃級排気8bの熱によって、(1)、(2)式の化学反応を生じ、水素リッチガス7に転換される。転換された水素リッチガス7は、燃焼器102に供給される。
【0034】
一方、分離された過熱用蒸気9bは、過熱器16に供給され、500℃級排気8aの熱によって加熱され、過熱蒸気18となり、燃焼器102に供給される。
【0035】
第2の実施の形態のジメチルエーテル改質発電システム15によれば、500℃級排気8aの熱の一部が、過熱器16によって、過熱用蒸気9bの加熱に用いられるので、300℃級排気8bを改質器3に供給することができる。これによって、耐熱性の低いジメチルエーテル改質触媒の劣化を防止することができるので、改質発電システムの寿命を延ばすことができる。
【0036】
また、ジメチルエーテル改質触媒に最適な温度範囲で改質を行うことができるので、改質発電システムの安定を図り、さらに信頼性を向上することができる。さらに、タービン排気8の一部の熱を、蒸発器2、改質器3、過熱器16の加熱用の熱として利用しているので、発電効率の向上を図ることができる。
【0037】
(第3の実施の形態)
本発明の第3の実施の形態のジメチルエーテル改質発電システム20の概要を図3を参照して説明する。なお、第1および2の実施の形態のジメチルエーテル改質発電システムの構成と同一部分には同一符号を付して、重複する説明を省略する。
【0038】
図3に示すように、第3の実施の形態のジメチルエーテル改質発電システム20は、蒸発器2、改質器3、過熱器16、加圧装置17、セパレータ21および原動機100から主に構成されている。
セパレータ21は、蒸発器2から供給される気体と液体を分離するものである。
【0039】
次に、第3の実施の形態のジメチルエーテル改質発電システム20の動作について説明する。
【0040】
図3に示すように、蒸発器2に供給された水5は、200℃級排気8cの熱によって蒸気9となる。セパレータ21に、蒸気9または水5が供給されると、そこで改質用蒸気9aと飽和水9cとに分離される。そして、改質用蒸気9aと加圧装置17によって加圧されたジメチルエーテル6は混合され、改質器3に供給される。触媒を備えた改質器3に供給さた改質用蒸気9aとジメチルエーテル6は、300℃級排気8bの熱によって、(1)、(2)式の化学反応を生じ、水素リッチガス7に転換される。転換された水素リッチガス7は、燃焼器102に供給される。
【0041】
一方、分離された飽和水9cは、過熱器16に供給され、500℃級排気8aの熱によって加熱され、過熱蒸気18となり、燃焼器102に供給される。
【0042】
第3の実施の形態のジメチルエーテル改質発電システム20によれば、500℃級排気8aの熱の一部が、過熱器16によって、飽和水9cの加熱に用いられるので、300℃級排気8bを改質器3に供給することができる。これによって、耐熱性の低いジメチルエーテル改質触媒の劣化を防止することができるので、改質発電システムの寿命を延ばすことができる。
【0043】
また、ジメチルエーテル改質触媒に最適な温度範囲で改質を行うことができるので、改質発電システムの安定を図り、さらに信頼性を向上することができる。
【0044】
さらに、タービン排気8の一部の熱を、蒸発器2、改質器3、過熱器16の加熱用の熱として利用しているので、発電効率の向上を図ることができる。
【0045】
また、セパレータ21により、水5が蒸発器2で全量蒸発しない場合や、蒸気9aに与えられる熱量だけでは500℃級排気8aが300℃級排気8bにならない場合などに有効な手段であり、改質器の性能を維持して改質発電システムの信頼性を向上させることができる。
【0046】
(第4の実施の形態)
本発明の第4の実施の形態のジメチルエーテル改質発電システム25の概要を図4を参照して説明する。なお、第1乃至3の実施の形態のジメチルエーテル改質発電システムの構成と同一部分には同一符号を付して、重複する説明を省略する。
【0047】
図4に示すように、第4の実施の形態のジメチルエーテル改質発電システム25は、蒸発器2、改質器3、過熱器16、加圧装置17、混合ガス予熱器26および原動機100から主に構成されている。
混合ガス予熱器26は、改質用蒸気9aとジメチルエーテル4との混合気を、タービン排気8を利用して加熱するものである。
【0048】
次に、第4の実施の形態のジメチルエーテル改質発電システム25の動作について説明する。
【0049】
図4に示すように、蒸発器2に供給された水5は、200℃級排気8cの熱によって蒸気9となる。そして、改質用蒸気9aと加圧装置17によって加圧されたジメチルエーテル6は混合され、混合ガス予熱器26に供給される。混合ガス予熱器26に供給された混合ガス27aは、200℃級排気8cの熱によって加熱され、加熱された混合ガス27bとして改質器3に供給される。触媒を備えた改質器3に供給さた改質用蒸気9aとジメチルエーテル6は、300℃級排気8bの熱によって、(1)、(2)式の化学反応を生じ、水素リッチガス7に転換される。転換された水素リッチガス7は、燃焼器102に供給される。
【0050】
一方、過熱用蒸気9bは、過熱器16に供給され、500℃級排気8aの熱によって加熱され、過熱蒸気18となり、燃焼器102に供給される。
【0051】
第4の実施の形態のジメチルエーテル改質発電システム25によれば、500℃級排気8aの熱の一部が、過熱器16によって、過熱用蒸気9bの加熱に用いられるので、300℃級排気8bを改質器3に供給することができる。これによって、耐熱性の低いジメチルエーテル改質触媒の劣化を防止することができるので、改質発電システムの寿命を延ばすことができる。
【0052】
また、ジメチルエーテル改質触媒に最適な温度範囲で改質を行うことができるので、改質発電システムの安定を図り、さらに信頼性を向上することができる。
【0053】
さらに、タービン排気8の一部の熱を、蒸発器2、改質器3、過熱器16、混合ガス予熱器26の加熱用の熱として利用しているので、発電効率の向上を図ることができる。
【0054】
また、改質用蒸気9aと加圧装置17によって加圧されたジメチルエーテル6との混合ガス27aは、圧力によっては温度が低下して蒸気が凝縮し、突沸などの流動不安定現象が起こりうる。しかし、第4の実施の形態では、混合ガス予熱器26を改質器3の前段に設置し、加熱された混合ガス27bとして改質器3に導入しているので、流動不安定を抑制することができる。なお、図4では、混合ガス予熱器26は、改質器3と別体で示されているが、両者は一体構造にすることもできる。
【0055】
(第5の実施の形態)
本発明の第5の実施の形態のジメチルエーテル改質発電システム30の概要を図5を参照して説明する。なお、第1乃至4の実施の形態のジメチルエーテル改質発電システムの構成と同一部分には同一符号を付して、重複する説明を省略する。
【0056】
図5に示すように、第5の実施の形態のジメチルエーテル改質発電システム30は、蒸発器2、改質器3、過熱器16、液体加圧装置17a、ジメチルエーテル蒸発器31および原動機100から主に構成されている。
【0057】
液体加圧装置17aは、液体のジメチルエーテルを加圧して、液体の状態でジメチルエーテル蒸発器31に供給するもので、例えば、軸流ポンプなどが用いられる。
ジメチルエーテル蒸発器31は、液体加圧装置17aから圧送された液体のジメチルエーテルを、タービン排気8を利用して加熱し、気化するものである。
【0058】
次に、第5の実施の形態のジメチルエーテル改質発電システム30の動作について説明する。
【0059】
図5に示すように、液体のジメチルエーテル4aは、液体加圧装置17aによって液体のまま加圧され、ジメチルエーテル蒸発器31に供給される。ジメチルエーテル蒸発器31に供給されたジメチルエーテル4aは、蒸発器2を通過後の100℃級排気8dの熱によって気化され、気体のジメチルエーテル4bとなる。
【0060】
また、蒸発器2に供給された水5は、200℃級排気8cの熱によって蒸気9となる。そして、ジメチルエーテル4bと改質用蒸気9aは混合し、触媒を備えた改質器3に供給され、300℃級排気8bの熱によって、(1)、(2)式の化学反応を生じ、水素リッチガス7に転換される。転換された水素リッチガス7は、燃焼器102に供給される。
【0061】
一方、過熱用蒸気9bは、過熱器16に供給され、500℃級排気8aの熱によって加熱され、過熱蒸気18となり、燃焼器102に供給される。
【0062】
第5の実施の形態のジメチルエーテル改質発電システム30によれば、500℃級排気8aの熱の一部が、過熱器16によって、過熱用蒸気9bの加熱に用いられるので、300℃級排気8bを改質器3に供給することができる。これによって、耐熱性の低いジメチルエーテル改質触媒の劣化を防止することができるので、改質発電システムの寿命を延ばすことができる。
【0063】
また、ジメチルエーテル改質触媒に最適な温度範囲で改質を行うことができるので、改質発電システムの安定を図り、さらに信頼性を向上することができる。
【0064】
さらに、タービン排気8の一部の熱を、蒸発器2、改質器3、過熱器16、ジメチルエーテル蒸発器31の加熱用の熱として利用しているので、発電効率の向上を図ることができる。
【0065】
また、ジメチルエーテルは、液体の状態で圧送されるので、気体で圧送する場合に比べて、体積が非常に小さくなるので、加圧装置の所要動力を低減することができ、シ改質発電ステム全体の効率を向上することができる。
【0066】
(第6の実施の形態)
本発明の第6の実施の形態のジメチルエーテル改質発電システム35の概要を図6を参照して説明する。なお、第1乃至5の実施の形態のジメチルエーテル改質発電システムの構成と同一部分には同一符号を付して、重複する説明を省略する。
【0067】
図6に示すように、第6の実施の形態のジメチルエーテル改質発電システム35は、蒸発器2、改質器3、加圧装置17、メタノール転換器36および原動機100から主に構成されている。
【0068】
メタノール転換器36は、ジメチルエーテル6と改質用蒸気9aを加水分解によって、メタノール含有ガス37に転換するものである。このメタノール転換器36には、例えば、αアルミナを中心としたジメチルエーテルの加水分解促進剤が備えられている。
【0069】
次に、第6の実施の形態のジメチルエーテル改質発電システム35の動作について説明する。
【0070】
図6に示すように、蒸発器2に供給された水5は、200℃級排気8cの熱によって改質用蒸気9aとなる。そして、改質用蒸気9aと加圧装置17によって加圧されたジメチルエーテル6は混合され、メタノール転換器36に供給される。メタノール転換器36に供給された改質用蒸気9aとジメチルエーテル6の混合気は、500℃級排気8aの熱を利用して、加水分解され、メタノール含有ガス37に転換される。メタノール含有ガス37は、改質器3に供給され、(5)式で示されるメタン生成反応を生じることなく、300℃級排気8bの熱によって、(4)式の化学反応を生じ、水素リッチガス7に容易に転換される。そして、水素リッチガス7は、燃焼器102に供給される。
【0071】
第6の実施の形態のジメチルエーテル改質発電システム35によれば、500℃級排気8aの熱の一部が、メタノール転換器36によって、吸熱反応である加水分解の反応熱に用いられるので、300℃級排気8bを改質器3に供給することができる。これによって、耐熱性の低いジメチルエーテル改質触媒の劣化を防止することができるので、改質発電システムの寿命を延ばすことができる。
【0072】
また、ジメチルエーテル改質触媒に最適な温度範囲で改質を行うことができるので、改質発電システムの安定を図り、さらに信頼性を向上することができる。
【0073】
さらに、タービン排気8の一部の熱を、蒸発器2、改質器3、メタノール転換器36の加熱用の熱として利用しているので、発電効率の向上を図ることができる。
【0074】
また、メタノール転換器36でメタノール含有ガス37にしておくことで、改質器3内における(5)式で示される副反応を抑制することができ、確実に水素リッチガス7を生成して、タービン排気8からの排熱を回収することができる。
【0075】
また、第6の実施の形態のジメチルエーテル改質発電システム35における他の一例の実施の形態を図7に示す。
【0076】
図7に示した実施の形態では、第6の実施の形態にさらに過熱器16が具備されている。この実施の形態において、メタノール転換器36では、過熱器16の通過後の300℃級排気8bの熱が用いられている。メタノール転換器36における加水分解は、300℃級排気8bでも生じ、また、メタノール転換器36における吸熱量は、改質器3および過熱器16に比べて小さいので、図7に示すように、300℃級排気8bの温度レベルは、メタノール転換器36の通過前後で変わらない。一方、過熱用蒸気9bは、過熱器16に供給され、500℃級排気8aの熱によって加熱され、過熱蒸気18となり、燃焼器102に供給される。この実施の形態においても、タービン排気8からの排熱を有効に利用することができる。
【0077】
(第7の実施の形態)
本発明の第7の実施の形態のジメチルエーテル改質発電システム40の概要を図8を参照して説明する。なお、第1乃至6の実施の形態のジメチルエーテル改質発電システムの構成と同一部分には同一符号を付して、重複する説明を省略する。
【0078】
図8に示すように、第7の実施の形態のジメチルエーテル改質発電システム40は、蒸発器2、改質器3、過熱器16、加圧装置17および原動機100から主に構成されている。
【0079】
次に、第7の実施の形態のジメチルエーテル改質発電システム40の動作について説明する。
【0080】
図8に示すように、蒸発器2に供給された水5は、蒸発器2で200℃級排気8cの熱によって改質用蒸気9aおよび改質用加熱水9dとなり、過熱器16に供給される。過熱器16に供給された改質用蒸気9aおよび改質用加熱水9dは、500℃級排気8aの熱によって、改質用過熱蒸気18aとなる。改質用過熱蒸気18aは、ジメチルエーテル6と混合され、改質器3に供給され、水素リッチガス7に転換される。そして、水素リッチガス7は燃焼器102に供給される。
【0081】
第7の実施の形態のジメチルエーテル改質発電システム40によれば、500℃級排気8aの熱の一部が、過熱器16によって、改質用蒸気9aおよび改質用加熱水9dの加熱に用いられるので、300℃級排気8bを改質器3に供給することができる。これによって、耐熱性の低いジメチルエーテル改質触媒の劣化を防止することができるので、改質発電システムの寿命を延ばすことができる。
【0082】
また、ジメチルエーテル改質触媒に最適な温度範囲で改質を行うことができるので、改質発電システムの安定を図り、さらに信頼性を向上することができる。
【0083】
さらに、タービン排気8の一部の熱を、蒸発器2、改質器3、過熱器16の加熱用の熱として利用しているので、発電効率の向上を図ることができる。
【0084】
また、改質用過熱蒸気18aの温度が高いため、改質用過熱蒸気18aとジメチルエーテル6が混合されても、改質用過熱蒸気18aは凝縮することなく、安定して改質器3に供給される。また、改質器3において、所定の温度より供給される蒸気とジメチルエーテル6の混合気の温度が低いときには、その混合気の温度を上げるための予備的な加熱部が必要とされたが、この実施の形態では、混合気の温度が改質器3の入口で所定の温度になるため予備的な加熱部を設ける必要がなくなる。これによって、改質器3がコンパクトになり、水素リッチガス7の圧力損失も低減される。
【0085】
次に、第7の実施の形態のジメチルエーテル改質発電システム40における他の一例の実施の形態を図9に示す。
【0086】
この実施の形態では、第7の実施の形態における改質用過熱蒸気18aの一部とジメチルエーテル6との混合気に、蒸発器2で生成した蒸気の一部(改質用蒸気9a)を供給している。これによって、改質用過熱蒸気18aとジメチルエーテル6の混合で生じる改質用過熱蒸気18aの凝縮を、第7の実施の形態におけるものよりさらに確実に防止することができる。
【0087】
また、この実施の形態では、改質用過熱蒸気18aの残りの一部を燃焼器102に供給しており、蒸発器2で発生した蒸気9をすべて改質器3に供給していないので、改質器3における圧力損失を低減することができる。
【0088】
(第8の実施の形態)
本発明の第8の実施の形態のジメチルエーテル改質発電システム45の概要を図10を参照して説明する。なお、第1乃至7の実施の形態のジメチルエーテル改質発電システムの構成と同一部分には同一符号を付して、重複する説明を省略する。
【0089】
図10に示すように、第8の実施の形態のジメチルエーテル改質発電システム45は、蒸発器2、改質器3、加圧装置17、水素リッチガス加熱器46および原動機100から主に構成されている。
水素リッチガス加熱器46は、改質器3で生成された低温水素リッチガス7aを、タービン排気8を利用して加熱するものである。
【0090】
次に、第8の実施の形態のジメチルエーテル改質発電システム45の動作について説明する。
【0091】
蒸発器2に供給された水5は、200℃級排気8cの熱によって蒸気9となる。
蒸気9と加圧装置17によって加圧されたジメチルエーテル6は混合され、改質器3に供給される。触媒を備えた改質器3に供給さた蒸気9とジメチルエーテル6は、300℃級排気8bの熱によって、(1)、(2)式の化学反応を生じ、低温水素リッチガス7aに転換される。転換された低温水素リッチガス7aは、水素リッチガス加熱器46において、500℃級排気8aの熱によって、加熱され、高温水素リッチガス7bとなり、燃焼器102に供給される。
【0092】
第8の実施の形態のジメチルエーテル改質発電システム45によれば、500℃級排気8aの熱の一部が、水素リッチガス加熱器46によって、低温水素リッチガス7aの加熱に用いられるので、300℃級排気8bを改質器3に供給することができる。これによって、耐熱性の低いジメチルエーテル改質触媒の劣化を防止することができるので、改質発電システムの寿命を延ばすことができる。また、水素リッチガス加熱器46を通過する流量は、蒸気9だけでなく、蒸気9とジメチルエーテル17とを合わせた流量となるため、500℃級排気8aから300℃級排気8bに温度を低下させることが容易である。
【0093】
また、ジメチルエーテル改質触媒に最適な温度範囲で改質を行うことができるので、改質発電システムの安定を図り、さらに信頼性を向上することができる。
【0094】
さらに、タービン排気8の一部の熱を、蒸発器2、改質器3、水素リッチガス加熱器46の加熱用の熱として利用しているので、発電効率の向上を図ることができる。
【0095】
また、この構成にすることで、燃焼器102において、高温水素リッチガス7bのノズル1系統で済むので構造を簡略化することができる。
【0096】
(第9の実施の形態)
本発明の第9の実施の形態のジメチルエーテル改質発電システム50の概要を図11を参照して説明する。なお、第1乃至8の実施の形態のジメチルエーテル改質発電システムの構成と同一部分には同一符号を付して、重複する説明を省略する。
【0097】
図11に示すように、第9の実施の形態のジメチルエーテル改質発電システム50は、蒸発器2、改質器3、過熱器16、加圧装置17および原動機100から主に構成されている。
【0098】
次に、第9の実施の形態のジメチルエーテル改質発電システム50の動作について説明する。
【0099】
蒸発器2に供給された水5は、200℃級排気8cの熱によって蒸気9となる。
蒸気9は、改質用蒸気9aと過熱用蒸気9bとに分離される。そして、改質用蒸気9aと加圧装置17によって加圧されたジメチルエーテル6は混合され、改質器3に供給される。触媒を備えた改質器3に供給さた改質用蒸気9aとジメチルエーテル6は、500℃級排気8aの熱によって過熱器16で加熱された過熱蒸気18の熱によって、(1)、(2)式の化学反応を生じ、水素リッチガス7に転換される。転換された水素リッチガス7は、燃焼器102に供給される。過熱蒸気18は、改質器3において熱を放出した後、燃焼器102に供給される。
【0100】
第9の実施の形態のジメチルエーテル改質発電システム50によれば、改質器3は、過熱蒸気18の熱を利用して反応し、酸化源となりうるタービン排気8と直接熱交換することはないので信頼性を向上させることができる。
【0101】
また、タービン排気8の一部の熱を、蒸発器2、過熱器16の加熱用の熱として利用しているので、発電効率の向上を図ることができる。
【0102】
次に、第9の実施の形態のジメチルエーテル改質発電システム50における他の一例の実施の形態を図12に示す。
【0103】
図12に示した実施の形態では、改質器3の内部において、改質器3で生成した水素リッチガスと過熱蒸気18とを混合している。これによって、改質器3が第9の実施の形態の改質器3に比べて多少大きくなるものの、燃焼器102への導入ラインが1系統で済むので構造が簡略化できる。なお、過熱蒸気18は、改質用蒸気9aとジメチルエーテル6の混合気が、改質器3に供給される前に、その混合気と混合されてもよい。
【0104】
さらに、第9の実施の形態のジメチルエーテル改質発電システム50における他の一例の実施の形態を図13に示す。
【0105】
図13に示した実施の形態では、改質器3の熱源として500℃級排気8aによって加熱された過熱蒸気18を用い、その一部を改質用過熱蒸気18aとしてジメチルエーテル6と混合している。これによって、ジメチルエーテル6との混合時における蒸気の凝縮による流動不安定を回避することができる。
【0106】
(第10の実施の形態)
本発明の第10の実施の形態のジメチルエーテル改質発電システムの概要を図14を参照して説明する。
【0107】
図14では、横軸には、ジメチルエーテルを燃料としたシンプルサイクルガスタービンシステムの発電効率が、縦軸には、その排熱で発生可能な蒸気量とジメチルエーテルとのモル比が示されている。また同図には、15℃の水が17気圧で蒸発し、ジメチルエーテルが100%水素と二酸化炭素に改質され、その水素リッチガスが400℃まで加熱されると仮定し、設定した発電効率における排熱量と回収系の熱量が見合うような蒸気/ジメチルエーテルモル比が示されている。
【0108】
図14から、汎用ガスタービンの下限付近の発電効率である20%の場合、蒸気/ジメチルエーテルモル比は約15である。発電効率が20%を下回るガスタービンにおいては、蒸気/ジメチルエーテルモル比を15より大きくすることもできるが、実際には、排熱回収の蒸発器における排気の露点やピンチポイント温度差などの問題、タービンの作動流体質量流量などによって制限されるので15付近が上限となる。一方、蒸気/ジメチルエーテルの当量モル比は、(1)および(2)式の反応によれば3であり、これが下限となる。本発明による蒸気/ジメチルエーテルモル比であれば、ジメチルエーテルを用いた高効率な発電システムを実現することができる。原動機が内燃往復動機関の場合でも、発電効率は30〜40%であるのでこの範囲に収まる。
【0109】
(第11の実施の形態)
本発明の第11の実施の形態のジメチルエーテル改質発電システム55の概要を図15を参照して説明する。なお、第1乃至9の実施の形態のジメチルエーテル改質発電システムの構成と同一部分には同一符号を付して、重複する説明を省略する。
【0110】
図15に示すように、第11の実施の形態のジメチルエーテル改質発電システム55は、蒸発器2、改質器3、過熱器16、加圧装置17、弁56および原動機100から主に構成されている。
弁56は、燃焼器102から改質器3に向かう方向の逆流を防ぐための遮断弁である。
【0111】
次に、第11の実施の形態のジメチルエーテル改質発電システム55の動作について説明する。
【0112】
蒸発器2に供給された水5は、200℃級排気8cの熱によって蒸気9となる。
蒸気9は、改質用蒸気9aと過熱用蒸気9bとに分離される。そして、改質用蒸気9aと加圧装置17によって加圧されたジメチルエーテル6は混合され、改質器3に供給される。触媒を備えた改質器3に供給さた改質用蒸気9aとジメチルエーテル6は、300℃級排気8bの熱によって、(1)、(2)式の化学反応を生じ、水素リッチガス7に転換される。転換された水素リッチガス7は、燃焼器102への導入経路の途中に設けられた弁56を通過し、燃焼器102に供給される。万一、水素リッチガス7の供給圧力が、燃焼器102内の圧力よりも低くなった場合は、改質器3への酸化源の流入を防止するため、弁56によって経路が閉鎖される。この弁56は、燃焼器102にできるだけ近い位置に設置されるのが好ましい。
【0113】
一方、分離された過熱用蒸気9bは、過熱器16に供給され、500℃級排気8aの熱によって加熱され、過熱蒸気18となり、燃焼器102に供給される。
【0114】
第11の実施の形態のジメチルエーテル改質発電システム55によれば、500℃級排気8aの熱の一部が、過熱器16によって、過熱用蒸気9bの加熱に用いられるので、300℃級排気8bを改質器3に供給することができる。これによって、耐熱性の低いジメチルエーテル改質触媒の劣化を防止することができるので、改質発電システムの寿命を延ばすことができる。
【0115】
また、ジメチルエーテル改質触媒に最適な温度範囲で改質を行うことができるので、改質発電システムの安定を図り、さらに信頼性を向上することができる。
【0116】
さらに、タービン排気8の一部の熱を、蒸発器2、改質器3、過熱器16の加熱用の熱として利用しているので、発電効率の向上を図ることができる。
【0117】
また、燃焼器102内の圧力が、水素リッチガス7の供給圧力よりも高くなった場合でも、改質発電システムを安全に停止することができ、改質発電システムの信頼性を向上することができる。
【0118】
(第12の実施の形態)
本発明の第12の実施の形態のジメチルエーテル改質発電システム60の概要を図16を参照して説明する。なお、第1乃至11の実施の形態のジメチルエーテル改質発電システムの構成と同一部分には同一符号を付して、重複する説明を省略する。
【0119】
図16に示すように、第12の実施の形態のジメチルエーテル改質発電システム60は、蒸発器2、改質器3、過熱器16、加圧装置17、温度測定部61および原動機100から主に構成されている。
【0120】
第12の実施の形態のジメチルエーテル改質発電システム60は、第2の実施の形態のジメチルエーテル改質発電システム15(図2)における改質器3または300℃級排気8bの温度を測定する温度測定部61を付加したものである。
【0121】
温度測定部61は、300℃級排気8bの温度または改質器3の内部の温度を測定し、その測定結果を水5または過熱用蒸気9bの流量を制御する制御部(図示しない)に出力するものである。温度測定部61は、例えば、熱電対などで構成することができるが、これに限るものではない。
【0122】
図16において、温度測定部61は、300℃級排気8bの温度または改質器3の内部の温度を測定する。その測定結果を、水5または過熱用蒸気9bの流量を制御する制御部(図示しない)に出力する。制御部(図示しない)では、その測定結果に基づいて、改質器3内の触媒にダメージを与える温度である400℃を超えないように水5または過熱用蒸気9bの流量を制御する。一方、300℃級排気8bの温度が低く、改質に必要な温度レベルである250℃を下回る場合には、水5または過熱用蒸気9bの流量を絞って300℃以上になるように調整する。
【0123】
第12の実施の形態のジメチルエーテル改質発電システム60によれば、温度測定部61による測定結果に基づいて、水5または過熱用蒸気9bの流量を調整することができるので、触媒にダメージを与える耐熱温度を超過することもなく、改質に最適な温度レベルを保持することができる。
【0124】
また、第12の実施の形態のジメチルエーテル改質発電システム60で示した、改質器3または300℃級排気8bの温度に基づいて水5または過熱用蒸気9bの流量を制御する方法は、他の実施の形態でも利用することができる。
【0125】
なお、上記第1乃至12の実施の形態では、原動機としてガスタービンを用いた場合を例を示したが、これに限るものではなく、原動機は内燃往復動機関であってもよい。その場合にも、上記した各実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0126】
【発明の効果】
本発明のジメチルエーテル改質発電システムとその運転方法によれば、原動機からの排気の温度を改質器の要求温度まで低下させ、原動機からの排気の熱量を有効利用し、発電効率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態のジメチルエーテル改質発電システムを示す図。
【図2】本発明の第2の実施の形態のジメチルエーテル改質発電システムを示す図。
【図3】本発明の第3の実施の形態のジメチルエーテル改質発電システムを示す図。
【図4】本発明の第4の実施の形態のジメチルエーテル改質発電システムを示す図。
【図5】本発明の第5の実施の形態のジメチルエーテル改質発電システムを示す図。
【図6】本発明の第6の実施の形態のジメチルエーテル改質発電システムを示す図。
【図7】本発明の第6の実施の形態の他の一例の実施の形態のジメチルエーテル改質発電システムを示す図。
【図8】本発明の第7の実施の形態のジメチルエーテル改質発電システムを示す図。
【図9】本発明の第7の実施の形態の他の一例の実施の形態のジメチルエーテル改質発電システムを示す図。
【図10】本発明の第8の実施の形態のジメチルエーテル改質発電システムを示す図。
【図11】本発明の第9の実施の形態のジメチルエーテル改質発電システムを示す図。
【図12】本発明の第9の実施の形態の他の一例の実施の形態のジメチルエーテル改質発電システムを示す図。
【図13】本発明の第9の実施の形態のさらに他の一例の実施の形態のジメチルエーテル改質発電システムを示す図。
【図14】本発明の第10の実施の形態のジメチルエーテル改質発電システムを示す図。
【図15】本発明の第11の実施の形態のジメチルエーテル改質発電システムを示す図。
【図16】本発明の第12の実施の形態のジメチルエーテル改質発電システムを示す図。
【符号の説明】
1…ジメチルエーテル改質発電システム、2…蒸発器、3…改質器、4…熱交換器、5…水、6…ジメチルエーテル、7…水素リッチガス、8…タービン排気、8a…500℃級排気、8b…300℃級排気、8c…200℃級排気、8d…100℃級排気、9…蒸気、9a…改質用蒸気、9b…過熱用蒸気、100…原動機、101…コンプレッサ、102…燃焼器、103…ガスタービン
Claims (11)
- 原動機と、
前記原動機からの排気の熱により水を蒸発させる蒸発器と、
気化されたジメチルエーテルを供給するジメチルエーテル供給部と、
前記原動機からの排気の温度を低下させる熱交換器と、
前記ジメチルエーテル供給部から供給されたジメチルエーテルと前記蒸発器で発生した蒸気との混合ガスを、前記熱交換器を通過した排気の熱によって改質ガスに転換する改質器と、
前記蒸発器で発生した蒸気と飽和水とを分離するセパレータと
を具備し、
前記熱交換器において、前記セパレータで分離された前記飽和水を前記原動機からの排気の熱によって加熱することを特徴とするジメチルエーテル改質発電システム。 - 前記改質器が、
前記蒸発器で発生し、前記熱交換器で加熱された蒸気と前記ジメチルエーテル供給部から供給されたジメチルエーテルとの混合ガスを、改質ガスに転換することを特徴とする請求項1記載のジメチルエーテル改質発電システム。 - 前記改質器が、
前記熱交換器で加熱された蒸気、前記蒸発器で発生した蒸気と、前記ジメチルエーテル供給部から供給されたジメチルエーテルとの混合ガスを、改質ガスに転換することを特徴とする請求項1記載のジメチルエーテル改質発電システム。 - 前記改質器内の温度または前記改質器に導入される前記排気の温度を測定する温度測定部と、
前記温度測定部の測定結果に基づいて、前記熱交換器から流出する前記排気の温度を制御する温度制御部と
をさらに具備することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載のジメチルエーテル改質発電システム。 - 前記改質器に供給される前記混合ガスを、前記原動機からの排気の熱によって加熱する混合ガス加熱器をさらに具備することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載のジメチルエーテル改質発電システム。
- 前記ジメチルエーテル供給部が、
ジメチルエーテルを液体で供給する液体ジメチルエーテル供給部と、
前記液体ジメチルエーテル供給部から供給された液体のジメチルエーテルを気化させるジメチルエーテル蒸発器と
を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載のジメチルエーテル改質発電システム。 - 前記改質器が、
前記ジメチルエーテル供給部から供給されたジメチルエーテルと前記蒸発器で発生した蒸気との混合ガスの少なくとも一部を、前記原動機からの排気の熱によってメタノールに転換するメタノール転換器と、
前記メタノール転換器で発生したメタノールを含有するガスを、前記メタノール転換器を通過した前記排気の熱によって改質ガスに転換するメタノール改質器と
を具備することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載のジメチルエーテル改質発電システム。 - 前記改質器において転換された前記改質ガスを、前記原動機からの排気の熱によって加熱する改質ガス加熱器をさらに具備することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項記載のジメチルエーテル改質発電システム。
- 前記改質器内の温度または前記改質器に導入される前記排気の温度を測定する温度測定部と、
前記温度測定部の測定結果に基づいて、前記改質ガス加熱器の温度を制御する温度制御部と
をさらに具備することを特徴とする請求項8記載のジメチルエーテル改質発電システム。 - 前記ジメチルエーテル改質発電システムに供給される、水または蒸気の供給モル流量とジメチルエーテルの供給モル流量の比が、3以上15以下であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項記載のジメチルエーテル改質発電システム。
- 原動機からの排気の熱により水を蒸発させる蒸発ステップと、
前記蒸発ステップで発生した蒸気を、改質用蒸気と飽和水とに分離する分離ステップと、
前記分離ステップで分離された飽和水を前記原動機からの排気によってさらに加熱する加熱ステップと、
ジメチルエーテルを前記分離ステップで分離された改質用蒸気に混合する混合ステップと、
混合ステップで混合された前記ジメチルエーテルと前記改質用蒸気の混合気を、前記加熱ステップで用いた排気によって、250以上400℃以下の温度に保持された改質器を用いて改質ガスに転換する改質ステップと
を具備することを特徴とするジメチルエーテル改質発電システムの運転方法。
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