JP3998222B2 - 椅子の支持機構 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、座や背凭れをロッキング可能な椅子の支持機構に関する。さらに詳述すると、本発明は、ロッキングの反力を調整できる椅子の支持機構に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
座や背凭れをロッキング可能とした椅子では、座や背凭れを原位置に復帰させるために圧縮コイルばねやガススプリング等から成る付勢ばねを使用している。そして、着座者の体格や使用状態に応じてロッキングの反力の大きさを調整するために、ロッキングの反力調整機構を備えた椅子がある。
【0003】
この反力調整機構としては、例えば調整ねじを使用して付勢ばねの初期圧縮長さを変更するものがある。これは、付勢ばねの初期圧縮長さを変更することにより付勢ばねの初圧を変更してロッキングの反力の大きさを調整するものである。
【0004】
また、反力調整機構の他の例としては、付勢ばねを傾斜させて座等に付勢する角度を変更するものがある。これは、付勢ばねの座等に取り付けられた部分を中心に例えば調整ねじを使用して付勢ばねを傾斜させて座等に付勢する方向を変更するものである。これにより、座や背凭れが傾斜するときに付勢ばねから受ける反力が変化するので、ロッキングの反力の大きさを調整することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した付勢ばねの初期圧縮長さを変更する反力調整機構では、反力を大きくするために調整ねじを締める方向に回転させなければならないので、大きな操作力を必要としてしまう。このため、特に力の弱い女性等にとって操作性が悪いものとなってしまう。
【0006】
また、上述した付勢ばねの付勢角度を変更する反力調整機構では、付勢ばねの付勢角度を変更しても初期圧縮長さは一定であるので、その初圧を変更することはできない。このため、背凭れや座のロッキングの初期の反力がほぼ一定になってしまうので、椅子の使用感が余り良くなかった。
【0007】
そこで、本発明は、ロッキングの反力を操作性良く調整できる椅子の支持機構を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するため、請求項1記載の発明は、支持部材に対して被支持部材をロッキング可能に支持する椅子の支持機構において、変位により弾発力を蓄える付勢手段を備えて伸縮可能な第1リンク部材と、被支持部材と連動して揺動する第2リンク部材と、固定される第3リンク部材とを備え、第2リンク部材に第1リンク部材と第3リンク部材との一端を回転可能に連結すると共に第1リンク部材と第3リンク部材との他端同士を回転可能に連結して拘束回転連鎖を構成し、第3リンク部材の固定位置を調整ねじで移動可能にすることにより被支持部材のロッキングの反力の大きさを調整可能にするようにしている。
【0009】
したがって、被支持部材をロッキングさせるために外力を与えると、第2リンク部材が被支持部材に連動して揺動する。そして、第3リンク部材は固定されていることから、第2リンク部材の揺動により第2リンク部材と第3リンク部材との間で第1リンク部材が伸縮する。第1リンク部材は変位により付勢手段に弾発力を蓄えるので、この弾発力がロッキングの反力となって被支持部材を原位置に復帰させる方向に作用する。
【0010】
ここで、被支持部材をロッキングする際の反力の大きさを調整するときは、調整ねじを操作して第3リンク部材の固定位置を変更する。これにより、第2リンク部材と第3リンク部材との成す角度が変更されるので、第1リンク部材の初期長さ及び第2リンク部材に対する付勢角度が同時に変化する。このため、第1リンク部材の初期長さ及び付勢角度を同時に変更できるので、付勢手段の初期長さまたは付勢角度のいずれか一方のみを変更する従来の反力調整機構に比べて調整ねじの操作量に対する反力の変更量を大きくすることができる。
【0011】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の椅子の支持機構における第1リンク部材と第2リンク部材と第3リンク部材とが、第3リンク部材の移動により第1リンク部材が圧縮するにつれて、第1リンク部材及び第2リンク部材の連結部分の回転中心と第2リンク部材の回転中心とを結ぶ直線に対して第1リンク部材の付勢方向が成す付勢角度θを直角に近付けるように設置されている。
【0012】
したがって、ロッキングの反力を調整する際に、第1リンク部材の初期長さ及び付勢角度θの変更によるそれぞれのロッキング反力の変化を増加または減少のいずれか一方に一致させることができる。このため、第1リンク部材の初期長さ及び付勢角度θの変更によるそれぞれのロッキング反力の変化が相殺することはないので、調整ねじの操作量に対する反力の変更量を大きくすることができる。
【0013】
さらに、請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の椅子の支持機構において、支持部材としての座受部材に対し前端側で揺動自在に支持されている被支持部材としての座の後部を形成する後側座と、座の前部を形成する前側座と、前側座を座受部材に前後動可能に支持する摺動手段と、前側座の後端部と後側座の前端部とを連結する連結手段とを備えるようにしている。
【0014】
したがって、着座者が背凭れや座を原位置から後傾させる際には、後側座がその前端側の回転中心周りに後方へ沈み込むように揺動するので、後側座の前端部が持ち上がることなく後方に移動する。そして、後側座は後傾しながら前側座を後方に引いて移動させる。また、後側座は原位置に復帰しながら前側座を前方に押して移動させる。ここで、前側座は摺動手段により座受部材に前後動可能に支持されているので、座を後傾させるときの座の前部の上昇を抑えることができる。このため、着座者の大腿部の圧迫を防止できると共に着座者の大腿部が持ち上げられて脚が床から離れてしまうことを防止できる。
【0015】
また、請求項4記載の椅子の支持機構では、摺動手段は後方に移動する前側座を下降させると共に前方に移動する前側座を上昇させるようにしている。したがって、着座者が座を後傾させたときに座の前部が下降するので、着座者の大腿部の圧迫を防止できると共に着座者の大腿部が持ち上げられて着座者の脚が床から離れることを防止できる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の構成を図面に示す実施の形態の一例に基づいて詳細に説明する。図1〜図5に示すように、本実施形態の椅子の支持機構1は、支持部材である座受部材2に対して被支持部材である後側座3をロッキング可能に支持するものである。
【0017】
この支持機構1は、変位により弾発力を蓄える付勢手段5を備えて伸縮可能な第1リンク部材4と、後側座3と連動して揺動する第2リンク部材14と、固定される第3リンク部材11とを備えると共に、第3リンク部材11の固定位置を調整ねじ12で移動可能にすることにより後側座3のロッキングの反力の大きさを調整可能にしている。ここで、第2リンク部材14に第1リンク部材4と第3リンク部材11とのそれぞれの一端を回転可能に連結すると共に第1リンク部材4と第3リンク部材11との他端同士を回転可能に連結して3つのリンク部材4,14,11により拘束回転連鎖を構成している。このため、調整ねじ12を操作して第3リンク部材11の固定位置を変更することにより、第2リンク部材14と第3リンク部材11とのなす角度が変更されるので、第1リンク部材4の初期長さ及び第2リンク部材14に対する付勢角度θを同時に変更することができる。よって、調整ねじ12の操作量に対するロッキング反力の変更量を大きくすることができる。
【0018】
第1リンク部材4は、付勢手段5と、付勢手段5の前端部を支持する前側ばねマウント7と、付勢手段5の後端部を支持する後側ばねマウント8とを備えている。付勢手段5としては、図2に示すように座受部材2の内側に前後を長手方向として平行に設置した2本の圧縮コイルばねを使用している。本実施形態では付勢手段5として圧縮コイルばねを使用しているが、これには限られず例えばガススプリング等を用いても良い。
【0019】
前側ばねマウント7は、第2リンク部材14に支持軸16により回転可能に連結される。後側ばねマウント8は、第3リンク部材11に支持軸6により回転可能に連結される。そして、後側ばねマウント8には前側ばねマウント7に向けて突出する案内軸9が形成されている。また、前側ばねマウント7には案内軸9を摺動可能に収容する案内孔10が形成されている。このため、各マウント7,8は、付勢手段5を挟持して保持すると共に付勢手段5の弾発力を受けながら互いに接近または離隔可能とされている。
【0020】
後側座3は、クッション(図示せず)を受け支える後側座板13と、この後側座板13の前部に固着された第2リンク部材14とを備えている。第2リンク部材14は、座受部材2に対してロッキング軸15により回転可能に連結されている。第2リンク部材14はL字形状で、座受部材2の内側の左右両側に設けられている。そして、後側座板13を水平にしたときに、図1及び図3に示すように第2リンク部材14の一辺は水平で他辺は鉛直に成るようにしている。これにより、ロッキング軸15は後側座3の前部の下方に配置されるので、図5に示すように座が水平に支持されている基本姿勢時に後側座3の高さが最も高く(脚高さ一定として)、後側座3が後傾するに従ってその前端部を沈めながら後方に移動することができる。これにより、体が後ろに沈む時に座も沈むので大腿部を圧迫することもないし足が床から離れる不安定感も無くすことができる。
【0021】
さらに、第3リンク部材11は、その一端が第2リンク部材14の回転中心となるロッキング軸15で支持されることにより座受部材2及び第2リンク部材14の双方に対して回転可能に連結されている。ここで、第3リンク部材11は、第1リンク部材4と連結されている他端側で第1リンク部材4に付帯する付勢手段5の弾発力で支持軸6を介して押し下げられている。このため、第3リンク部材11の下部の軸受溝21が昇降棒19に押し付けられて固定されている。本実施形態では、第3リンク部材11の一端を座受部材2及び第2リンク部材14に対して同時に回転可能に連結しているが、これには限られずロッキング軸15以外の軸ないしピン等で第2リンク部材14あるいは座受部材2に連結されることによって、座受部材2または第2リンク部材14の一方のみに回転可能に連結しても良い。また、第1リンク部材4と第2リンク部材14と第3リンク部材11とが拘束回転連鎖を構成できるのであれば座受部材2及び第2リンク部材14以外の部材に回転可能に連結しても良い。いずれの場合も、調整ねじ12を操作して第3リンク部材11の固定位置を変更することにより第1リンク部材4の初期圧縮長さ及び第2リンク部材14に対する付勢角度θを同時に変更することができるので、調整ねじ12の操作量に対するロッキング反力の変更量を大きくすることができる。
【0022】
この支持機構1では、第1リンク部材4と第2リンク部材14と第3リンク部材11とは、図1及び図3に示すように第3リンク部材11の移動により第1リンク部材4が圧縮するにつれて、第1リンク部材4及び第2リンク部材14の連結部分の回転中心(即ち支持軸16)と第2リンク部材14の回転中心(即ちロッキング軸15)とを結ぶ直線C2に対して第1リンク部材4の付勢方向C1が成す付勢角度θを直角に近付けるように設置している。このため、ロッキングの反力を調整する際に、第1リンク部材4の初期圧縮長さ及び付勢角度θの変更によるそれぞれのロッキング反力の変化を増加または減少のいずれか一方に一致させることができるので、調整ねじ12の操作量に対する反力の変更量を大きくすることができる。
【0023】
本実施形態では、図4に示すように第3リンク部材11を最も上部に位置させたときにロッキング軸15と支持軸16を結ぶ直線C2と第1リンク部材4の中心線C1とが成す付勢角度θをほぼ直角にしている。そして、第3リンク部材11の回転可能な範囲を約15度としている。すなわち、上述した第1リンク部材4の付勢角度θを、例えば図1に示す約75度から図4に示す約90度の範囲で変更可能なようにしている。そして、第1リンク部材4の付勢角度θを約90度より大きくしようとすると、第3リンク部材11がストッパ(図示せず)に当接してそれ以上回転しないようにしている。また、第1リンク部材4の付勢角度θを約75度より小さくしようとすると、昇降棒19がそれよりも下がらなくなって第1リンク部材4がそれ以上回転しないようにしている。
【0024】
これにより、図4に示すように第3リンク部材11が最も上部に位置したときに、付勢手段5が最も圧縮されると同時に付勢手段5の付勢方向が第2リンク部材14の回転方向とほぼ同方向となるので、第2リンク部材14への反力が最大になる。一方、図1に示すように第3リンク部材11が最も下部に位置したときに、付勢手段5が最も伸長されると同時に付勢手段5の付勢方向が第2リンク部材14の回転方向から最もずれるので、第2リンク部材14への反力が最小になる。
【0025】
本実施形態では、第3リンク部材11を最も上部に位置させたときの第1リンク部材4の付勢角度θをほぼ直角にすると共に第3リンク部材11の回転可能な範囲を約15度としているが、これには限られないのは勿論である。付勢角度θや第3リンク部材11の回転可能な角度を他の値としても、調整ねじ12を操作して第3リンク部材11の固定位置を変更することにより第1リンク部材4の初期圧縮長さ及び第2リンク部材14に対する付勢角度θを同時に変更することができるので、調整ねじ12の操作量に対するロッキング反力の変更量を大きくすることができる。
【0026】
調整ねじ12は、第3リンク部材11の真下に位置されて座受部材2の外側から内側に貫通して回転可能に取り付けられている。調整ねじ12は、座受部材2の内側に突出するねじ部17と座受部材2の外側にあるグリップ18とを有している。ねじ部17には、昇降棒19の中央部に形成されたねじ孔20が螺合されている。この昇降棒19は、左右方向を長手方向として、中央部に上下に貫通するねじ孔20を有すると共に、第3リンク部材11を下側から押し上げて固定している。図3に示すように、第3リンク部材11の左右の下縁の中央部には昇降棒19の両端部22,22の直径よりも前後に若干長い軸受溝21,21が形成されている。昇降棒19の両端部22,22は、それぞれ第3リンク部材11の左右の軸受溝21,21に収容されている。このため、着座者が調整ねじ12のグリップ18を回転させるとねじ部17が回転して昇降棒19を上下に移動させる。これにより、第3リンク部材11がロッキング軸15を中心に回転して付勢手段5の付勢角度θ及び初期圧縮長さを変更する。よって、第2リンク部材14のロッキング反力を調整することができる。
【0027】
このとき、第3リンク部材11の揺動に伴い、昇降棒19の両端部22,22が第3リンク部材11の軸受溝21,21の内部で前後に摺動する。これにより、両端部22,22が軸受溝21,21に対して前後に固定されることは無いので、これらの干渉により第3リンク部材11の揺動が妨害されることはない。
【0028】
一方、この椅子の支持機構1は、後側座3の前側に設けられて座の前部を形成する前側座23と、前側座23を座受部材2に前後動可能に支持する摺動手段34と、前側座23の後端部と後側座3の前端部とを連結する連結手段29とを備えている。すなわち、この椅子の支持機構1はロッキングの際に座の前後で傾斜角度の異なるいわゆるダブルロッキングを行うものである。前側座23は、クッション(図示せず)を下方から支持する前側座板24と、この前側座板24に固着された摺動部材25とを備えている。また、前側座板24により支持されるクッションと後側座板13により支持されるクッションとは、隙間無く連続したものとしている。
【0029】
連結手段29は、摺動部材25の後部と第2リンク部材14とを回転可能に連結する軸から成る。このため、第2リンク部材14が後方に傾斜すると、連結手段29が前側座23を後方に引っ張って移動させる。また、後傾した第2リンク部材14が原位置に向けて復帰するときは、連結手段29が前側座23を前方に押して移動させる。本実施形態では、連結手段29を摺動部材25の後部と第2リンク部材14とを回転可能に連結する軸としているが、これには限られず例えば摺動部材25の後部に前後を長手方向とする長穴を形成して第2リンク部材14に左右に突出する係合軸を固定すると共にこれら長穴と係合軸を摺動可能に嵌合させるようにしても良い。この場合、後側座3が後傾するときは係合軸が長穴の後端部に引っ掛かって前側座23を後側に移動させると共に、後側座3が原位置に復帰するときは後側座3に取り付けられたクッションが前側座23に取り付けられたクッションを前側に押圧して前側座23を前方に押し出して移動させる。
【0030】
摺動手段34は、摺動部材25の前部に取り付けられると共に左右に貫通して突出する前側支持軸26と、座受部材2の各側壁2a,2aの前端部に形成された前後を長手方向とする前側支持穴27とを備えている。前側支持穴27は前側を上にして後側を下にして傾斜している。また、各前側支持穴27,27に前側支持軸26の両端部が摺動可能に支持されている。このため、前側座23が前側に移動するときはその前部が上昇すると共に、前側座23が後側に移動するときはその前部が下降する。これにより、後側座3を後傾させるときの前側座23の上昇を抑えることができるので、着座者の大腿部の圧迫を防止できると共に着座者の脚が床から離れることを防止できる。
【0031】
ここで、前側支持穴27の傾斜角度は、第2リンク部材14の後傾により連結手段29が図1に示す最上位置から図5に示す最下位置に移動するときに描く円弧の軌跡とほぼ平行となるようにしている。このため、第2リンク部材14の後傾により連結手段29が図1に示す最上位置から図5に示す最下位置に移動して前側座23の後部が下降しても前側座23の前部が同量だけ下降するので、前側座23は水平状態をほぼ維持しながら下降する。これにより、前側座23が着座者の大腿部の裏側を押し上げ圧迫することを防止できると共に床から足が離れるのを防いで不安定感を与えないようにできる。
【0032】
本実施形態では、前側支持穴27の傾斜角度を連結手段29の最上位置と最下位置との間の円弧の軌跡とほぼ平行となるようにしているが、これには限られず前側支持穴27の傾斜角度を上述の円弧の軌跡よりも大きく傾斜させても良い。この場合、前側座23が後側に移動するときに前側座23の後側よりも前側の方が大きく下降するので、後側座3を後傾すると前側座23は前傾する。よって、この場合も前側座23が着座者の大腿部の裏側を押し上げることを防止できる。さらに、前側支持穴27の傾斜角度を例えば水平のように上述の円弧の軌跡よりも水平側に傾斜させても良い。この場合、後側座3を後傾すると前側座23も後傾する。よって、この場合も前側座23が着座者の大腿部の裏側を押し上げることを防止できる。
【0033】
一方、後側座3の後端部と座受部材2の後端部との間には、ガスダンパ30が取り付けられている。そして、後側座3の後側には背凭れ(図示せず)が設けられている。この背凭れは後側座3のロッキングに連動するものとしている。この背凭れと後側座3とは一体化して同じ角度だけ傾斜するようにしたり、いわゆるシンクロ機構により背凭れの傾斜角度と後側座3の傾斜角度とが一定関係を維持して傾斜するようにしても良い。このガスダンパ30は、バルブの開閉によってロッドのシリンダからの出入りを許容ないしロックして、全長を伸縮可能にすると共に任意の位置で長さを固定できるガススプリングである。したがって、ガスダンパ30の開閉操作により、背凭れや座の傾きを任意の位置で固定しあるいは傾動可能とする。即ち、ガスダンパ30をフリーにしておけば、着座者が背凭れに体重を掛けると、背凭れ及び後側座3が付勢手段5に抗して傾斜される。着座者が体重を掛けるのを止めると、背凭れ及び後側座3は付勢手段5の付勢力により原位置に復帰する。他方、ガスダンパ30をロックしておけば、座受部材2と後側座3及びガスダンパ30が固定連鎖を構成し、座及び背凭れが傾動不能となる。
【0034】
また、ガスダンパ30の座受部材2に取り付けられる端部には、ガスダンパ30の操作ピン31を押圧してガスダンパ30のバルブを開閉する調整レバー32及びその作動機構(図示せず)が設けられている。このため、作動機構を操作してガスダンパ30のロックとフリーを制御することができる。
【0035】
さらに、座受部材2は脚柱(図示せず)により支持されている。また、座受部材2の周囲はカバー部材33により覆われている。
【0036】
上述した椅子の支持機構1を使用する際は、着座者が背凭れに体重を掛けて傾斜させることによりロッキングを行うことができる。このとき、後側座3をロッキングさせるために外力を与えると、第2リンク部材14が後側座3に連動して揺動する。そして、第3リンク部材11は固定されていることから、第2リンク部材14の揺動により第2リンク部材14と第3リンク部材11との間で第1リンク部材4が伸縮する。さらに、第1リンク部材4の変位により蓄えられた弾発力がロッキングの反力となって後側座3を原位置に復帰させる方向に作用する。これにより、ロッキングを行うことができる。
【0037】
ここで、後側座3の第2リンク部材14の後傾に伴い前側座23が下降しながら後側に移動する。このため、着座者の大腿部の裏側を圧迫することや脚を床から持ち上げることを防止できる。
【0038】
また、グリップ18を回転させることにより昇降棒19が昇降して第3リンク部材11を回転させる。このため、第1リンク部材4の初期圧縮長さと第2リンク部材14に対する付勢角度θが同時に変更されるので、後側座3の後傾の反力を調整ねじ12の操作量に対して大きく変更することができる。
【0039】
上述した本実施形態の椅子の支持機構1によれば、後側座3の後傾の反力を調整するために第1リンク部材4の初期圧縮長さと第2リンク部材14に対する付勢角度θを同時に変更しているので、付勢ばねの初期圧縮長さまたは付勢角度のいずれか一方のみを変更する従来の椅子の支持機構に比べて調整ねじ12の操作量に対する反力の変更量を大きくすることができる。このため、調整ねじ12の操作可能な範囲を従来と同じくした場合は、ロッキング反力の変更可能な範囲を広くすることができる。また、反力を一定量だけ変更するためには、従来に比べて調整ねじ12の操作量を少なくしたり、若しくは操作量を従来と同等にして操作力を軽くすることができる。したがって、反力調整の際の操作性を向上することができる。
【0040】
しかも、付勢手段5の初期圧縮長さを変更しているのでロッキングの初圧を調整することができる。これにより、椅子の使用感を向上させることができる。
【0041】
また、昇降棒19が第3リンク部材11に係合する軸受溝21の形成位置を第3リンク部材11の前後方向の中央部分としているので、支持軸6のストロークは昇降棒19のストロークの約2倍になる。このため、調整ねじ12の少ない操作で第3リンク部材11の大きな回転角度を得ることができるので、反力調整の際の操作性を向上することができる。
【0042】
さらに、本実施形態の椅子の支持機構1によれば、後側座3の第2リンク部材14の後傾に伴い前側座23が下降しながら後側に移動するので、着座者の大腿部の裏側を圧迫することや脚を床から持ち上げることを防止できる。このため、着座者がロッキングする時の違和感を無くして座り心地を向上することができる。
【0043】
なお、上述の実施形態は本発明の好適な実施の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば本実施形態では支持機構1を座受部材2に対して後側座3を支持するものとしているが、これには限られず例えば座受部材2や座に対して背凭れを支持するものに適用することができる。また、本実施形態では支持機構1をダブルロッキング可能な椅子に搭載しているが、これには限られず通常のロッキングを行う椅子に搭載しても良い。この場合も、後側座3の後傾の反力を調整するために第1リンク部材4の初期圧縮長さと第2リンク部材14に対する付勢角度θを同時に変更することにより、反力調整の際の操作性を向上することができる。
【0044】
【発明の効果】
以上の説明より明らかなように、請求項1記載の椅子によれば、第2リンク部材に第1リンク部材と第3リンク部材との一端を回転可能に連結すると共に第1リンク部材と第3リンク部材との他端同士を回転可能に連結して拘束回転連鎖を構成しているので、調整ねじを操作して第1リンク部材の初期長さ及び傾斜角度θを同時に変更することにより被支持部材をロッキングさせる際の反力を調整することができる。これにより、付勢ばねの圧縮長さまたは付勢角度のいずれか一方のみを変更する従来の反力調整機構に比べて調整ねじの操作量に対する反力の変更量を大きくすることができる。このため、調整ねじの操作可能な範囲を従来と同じくした場合は、ロッキング反力の変更可能な範囲を広くすることができる。また、反力を一定量だけ変更するためには、従来に比べて調整ねじの操作量を少なくしたり、若しくは操作量を従来と同等にして操作力を軽くすることができる。したがって、反力調整の際の操作性を向上することができる。
【0045】
しかも、付勢ばねの初期長さを変更しているのでロッキングの初圧を調整できる。よって、椅子の使用感を向上させることができる。
【0046】
また、請求項2記載の椅子の支持機構では、第3リンク部材の移動により第1リンク部材が圧縮するにつれて、第1リンク部材及び第2リンク部材の連結部分の回転中心と第2リンク部材の回転中心とを結ぶ直線に対して第1リンク部材の付勢方向が成す付勢角度θを直角に近付けるようにしているので、第1リンク部材の初期圧縮長さ及び付勢角度θの変更によるそれぞれのロッキング反力の変化を増加または減少のいずれか一方に一致させることができる。このため、第1リンク部材の初期圧縮長さ及び付勢角度θの変更によるそれぞれのロッキング反力の変化が相殺することはないので、調整ねじの操作量に対する反力の変更量を大きくすることができる。
【0047】
また、請求項3記載の椅子の支持機構では、支持部材としての座受部材に対し前端側で揺動自在に支持されている被支持部材としての座の後部を形成する後側座と、座の前部を形成する前側座と、前側座を座受部材に前後動可能に支持する摺動手段と、前側座の後端部と後側座の前端部とを連結する連結手段とを備えるようにしているので、座を後傾させるときの座の前部の上昇を抑えることができる。このため、ロッキング時に着座者の大腿部の圧迫を防止できると共に足が床から離れて不安定感を与えることを防止できる。よって、着座者が座や背凭れをロッキングさせる時の違和感を無くして椅子の座り心地を向上することができる。
【0048】
さらに、請求項4記載の椅子の支持機構では、摺動手段は後方に移動する前側座を下降させると共に前方に移動する前側座を上昇させるので、着座者の大腿部の圧迫を防止できると共に着座者の大腿部が持ち上げられて脚が床から離れてしまうことを防止できる。よって、着座者が座や背凭れをロッキングさせる時の違和感を無くして椅子の座り心地を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の椅子の支持機構のロッキング反力が最も小さいときに座が原位置にある状態を示す中央縦断面図である。
【図2】椅子の支持機構を示す平面図である。
【図3】図1に示す椅子の支持機構の主要部を示す側面図である。
【図4】椅子の支持機構のロッキング反力が最も大きいときに座が原位置にある状態を示す中央縦断面図である。
【図5】椅子の支持機構のロッキング反力が最も小さいときに座が後傾した状態を示す中央縦断面図である。
【符号の説明】
1 椅子の支持機構
2 座受部材(支持部材)
3 後側座(被支持部材)
4 第1リンク部材
5 付勢ばね
6 反力調整機構
11 第3リンク部材
12 調整ねじ
14 第2リンク部材
15 ロッキング軸
23 前側座
29 連結手段
34 摺動手段
Claims (4)
- 支持部材に対して被支持部材をロッキング可能に支持する椅子の支持機構において、変位により弾発力を蓄える付勢手段を備えて伸縮可能な第1リンク部材と、前記被支持部材と連動して揺動する第2リンク部材と、固定される第3リンク部材とを備え、前記第2リンク部材に前記第1リンク部材と前記第3リンク部材との一端を回転可能に連結すると共に前記第1リンク部材と前記第3リンク部材との他端同士を回転可能に連結して拘束回転連鎖を構成し、前記第3リンク部材の固定位置を調整ねじで移動可能にすることにより前記被支持部材のロッキングの反力の大きさを調整可能にしたことを特徴とする椅子の支持機構。
- 前記第1リンク部材と前記第2リンク部材と前記第3リンク部材とは、前記第3リンク部材の移動により前記第1リンク部材が圧縮するにつれて、前記第1リンク部材及び前記第2リンク部材の連結部分の回転中心と前記第2リンク部材の回転中心とを結ぶ直線に対して前記第1リンク部材の付勢方向が成す付勢角度θを直角に近付けるように設置したことを特徴とする請求項1記載の椅子の支持機構。
- 前記支持部材としての座受部材に対し前端側で揺動自在に支持されている前記被支持部材としての座の後部を形成する後側座と、前記座の前部を形成する前側座と、前記前側座を前記座受部材に前後動可能に支持する摺動手段と、前記前側座の後端部と前記後側座の前端部とを連結する連結手段とを備えることを特徴とする請求項1または2記載の椅子の支持機構。
- 前記摺動手段は、後方に移動する前記前側座を下降させると共に前方に移動する前記前側座を上昇させることを特徴とする請求項3記載の椅子の支持機構。
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