JP3997021B2 - 画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真方式、静電記録方式等によって像担持体上に形成された静電潜像を現像して可視画像を形成する複写機、プリンタ、画像記録表示装置、ファクシミリ等の画像形成装置、特に二成分現像剤のトナー濃度を適正に制御する現像剤濃度制御装置を備えた画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、電子写真方式や静電記録方式の画像形成装置が具備する現像装置には、トナー粒子とキャリア粒子を主成分とする二成分現像剤が用いられている。特に、電子写真方式によりフルカラーやマルチカラー画像を形成するカラー画像形成装置には、画像の色味等の観点から、殆どの現像装置が二成分現像剤を使用している。周知のように、この二成分現像剤のトナー濃度、即ち、キャリア粒子及びトナー粒子の合計重量に対するトナー粒子重量の割合は、画像品質を安定化させる上で極めて重要な要素になっている。このため、現像剤濃度制御装置(ATR)を使用して適時現像剤のトナー濃度を正確に検出し、その変化に応じてトナー補給を行い、トナー濃度を常に一定に制御し、画像の品位を保持する必要がある。
【0003】
例えば、現像剤担持体(一般に現像スリーブが用いられる場合が多いので、以下の説明では「現像スリーブ」という)、あるいは現像容器の現像剤搬送経路に近接し、現像スリーブ上に搬送された現像剤あるいは現像容器内の現像剤に光を当てたときの反射率がトナー濃度により異なることを利用して、トナー濃度を制御する現像剤濃度制御装置、あるいは現像容器の側壁に磁性キャリアと非磁性トナーの混合比率による見かけの透磁率を検知して電気信号に変換するインダクタンスヘッドを設置し、このインダクタンスヘッドからの検出信号によって現像容器内の現像剤の実際のトナー濃度を検知し、基準値との比較によりトナーを補給するようにしたインダクタンス検知方式の現像剤濃度制御装置が使用されている。
【0004】
又、像担持体(一般に感光体ドラムが用いられる場合が多いので、以下の説明では「感光体ドラム」という)上に形成したパッチ画像濃度を、その表面に対向した位置に設けた光源及びその反射光を受けるセンサーによって読み取り、アナログ−ディジタル変換器でディジタル信号に変換した後、CPUに送り、CPUで初期設定値と比較し、初期設定値より濃度が高い場合、初期設定値に戻るまでトナー補給を停止し、初期設定値より濃度が低い場合、初期設定値に戻るまで強制的にトナーを補給し、その結果、トナー濃度が間接的に所望の値に維持される方式等がある。
【0005】
しかし、現像スリーブ上に搬送された現像剤あるいは現像容器内の現像剤に光を当てた時の反射率からトナー濃度を検知する方式は、トナー飛散等により検知手段が汚れてしまった場合、正確にトナー濃度を検知できない等の問題がある。又、パッチ画像濃度から間接的にトナー濃度を制御する方式は複写機、或いは画像形成装置の小型化に伴い、パッチ画像を形成するスペースや検知手段を設置するスペースが確保できない等の問題がある。
【0006】
これに対して、インダクタンス検知方式は、センサー単体のコストも安価なことに加え、上記のようなスペースの問題、トナー飛散による汚れの問題の影響を受けないため、低コスト、小スペースの複写機、つまり画像形成装置において、最適なトナー濃度検知方式といえる。
【0007】
上記インダクタンス検知方式の現像剤濃度制御装置(以下、「インダクタンス検知方式ATR」という)は、例えば現像剤の見かけの透磁率が大きいと検知された場合、一定体積内で現像剤中のキャリア粒子が占める割合が多くなりトナー濃度が低くなったことを意味するのでトナー補給を開始し、逆に見かけの透磁率が小さくなった場合、一定体積内で現像剤中のキャリアが占める割合が少なくなりトナー濃度が高くなったことを意味するのでトナー補給を停止する、というような制御に基づきトナー濃度を制御することになる。
【0008】
ところで、電子写真方式や静電記録方式の画像形成装置が具備する、電子写真感光体、静電記録誘電体等の感光体ドラムの帯電処理手段として、一般にコロナ帯電器が使用されてきたが、近年は、低オゾン、低電力等の利点を有することから、接触帯電装置、即ち被帯電体に電圧を印加した部材を当接させて被帯電体の帯電を行う方式の装置が実用化されている。特に、帯電部材として帯電ローラを用いたローラ帯電方式の装置が安定性という点から好ましく用いられている。
【0009】
しかし、上述のローラ帯電方式では、帯電が帯電部材から被帯電体への放電により行われるため、環境の変化による帯電ローラ及び電子写真感光体の電気抵抗の変動により、感光体の表面電位も変動する。
【0010】
そこで、最近、環境変動の少ない帯電方式として、特願平5−66150号等に、導電性の接触帯電部材(帯電ファーブラシ、帯電磁気ブラシ、帯電ローラ等)に電圧を印加し、トラップ準位となる導電粉(SnO2等)を分散させた電荷注入層を表面に有する感光体に、感光体電位と同極の電荷を注入して接触帯電を行う方式が開示されている。
【0011】
この注入帯電方式は、環境依存性が少ないだけでなく、放電を用いないため、印加電圧は感光体電位と同程度で十分であり、又、感光体の寿命を縮めるオゾンを発生しない利点がある。
【0012】
又、放電を用いた接触帯電では被帯電体に所望の帯電準位Vsを得るために、その所望の帯電準位Vsに放電開始電圧Vth(接触帯電部材に直流電圧を印加して被帯電部材の帯電が開始するときの接触帯電部材の印加電圧)を上乗せした直流バイアスVs+Vthを帯電部材に印加する必要があるが、電荷注入帯電では帯電部材に印加した直流バイアスとほぼ同じ帯電電位Vsが得られるため、帯電用の電源のコストダウンも可能になる。
【0013】
このような電荷注入方式の場合の接触帯電部材としては、帯電、接触の安定性等の点から磁気ブラシ帯電部材やファーブラシ帯電部材が好ましく用いられる。
【0014】
磁気ブラシ帯電部材は、給電電極を兼ねる担持体に磁気拘束して形成保持させた導電性磁性粒子の磁気ブラシを有し、該磁気ブラシを被帯電体に接触させ、担持体に給電するものである。より具体的には、導電性磁性粒子に直接マグネット、あるいはマグネットを内包するスリーブ上に磁気ブラシとして磁気的に拘束させて保持させ、該磁気ブラシ帯電部材を停止あるいは回転させながら磁気ブラシ部を被帯電体に接触させ、且つ、電圧を印加することによって被帯電体を帯電処理する。
【0015】
ファーブラシ帯電部材は、給電電極を兼ねる担持体に担持させた導電性繊維のブラシ部(ファーブラシ部)を有し、該導電性繊維ブラシ部を被帯電体に接触させ、担持体に給電するものである。
【0016】
磁気ブラシ帯電部材とファーブラシ帯電部材との対比においては、ファーブラシ帯電部材は、長期使用、長期放置による毛倒れが生じた場合に帯電性が悪化してしまい、また、帯電の均一性がブラシ径の制約等から不均一になりやすいのに対し、磁気ブラシ帯電部材ではそのような現象は起きず、均一で安定した帯電を行うことが可能となる。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような磁気ブラシ帯電装置における問題点として、磁気ブラシを構成している磁性粒子(以下、「帯電キャリア」という)の感光体ドラム表面への付着、流出が起こることがある。それが現像装置に回収、混入するとインダクタンス検知センサーを用いた現像装置では、画像的には特に問題ない感光体ドラムへの微量の帯電キャリア付着であっても、画像形成動作が繰り返されるにつれ、現像装置内に回収、蓄積されることで、現像キャリアと帯電キャリアの透磁率が異なる場合に、現像剤全体の見かけの透磁率が変化し、インダクタンス検知センサーによるトナー濃度制御に誤差が生じることがある。
【0018】
つまり、帯電キャリアの透磁率が現像キャリアの透磁率より大きい場合は、現像容器中のトナー濃度は一定であるのに、帯電キャリアが現像剤中に混入すると現像剤の平均透磁率が大きいとインダクタンス検知センサーには検知される。これは一定体積内で現像剤中のキャリア粒子が占める割合が多くなりトナー濃度が低くなったことを意味するので、トナー補給を開始してしまい、適正なトナー濃度より高い濃度制御をしてしまう。
【0019】
逆に帯電キャリアの透磁率が現像キャリアの透磁率より小さい場合は、帯電キャリアが現像剤中に混入すると現像剤の平均透磁率が小さいとインダクタンス検知センサに検知される。これは一定体積内で現像剤中のキャリアが占める割合が少なくなりトナー濃度が高くなったことを意味するので、トナー補給を停止してしまい、適正なトナー濃度より低い濃度制御をしてしまう、等の問題が起こる。
【0020】
前者の場合、トナー過補給により、画像濃度が濃くなる問題や、トナー量増加に伴い現像剤量が増加し、現像剤が現像容器から溢れてしまう問題、あるいは現像剤中のトナー比率の増加に伴うトナー帯電量低下によりトナー飛散等の問題を引き起こす。
【0021】
一方、後者の場合、現像剤中のトナー量減少による画像劣化、画像濃度薄、或いはトナー帯電量増加による画像濃度薄等の問題を引き起こす。
【0022】
又、上記の問題は特に画像形成動作が繰り返されるに従いその影響が増大する可能性がある。
【0023】
従って、本発明の目的は、画像形成動作の繰り返しによる帯電キャリアの現像剤への混入に伴って生じるトナー濃度制御の誤差をより小さくすることが可能な画像形成装置を提供することである。
【0024】
【課題を解決するための手段】
上記目的は本発明に係る画像形成装置にて達成される。要約すれば、本発明は、像担持体に対向した磁性キャリアを使用した磁気ブラシによる帯電部材を前記像担持体に当接させ、帯電バイアスを前記帯電部材へ印加することで前記像担持体の帯電を行う帯電装置と、
帯電した前記像担持体に静電潜像を形成する露光装置と、
前記静電潜像を非磁性トナー粒子と、前記帯電部材で使用される磁性キャリアと透磁率の異なる磁性キャリア粒子を含む二成分現像剤を用いて可視画像を形成する現像装置と、
を具備する画像形成装置において、
前記二成分現像剤の見かけの透磁率を検知し、該検知結果に基づく検出信号と該検出信号の基準値との比較結果から、トナー補給制御の基準値を基にトナー補給手段を動作させる現像剤濃度制御装置を有し、
前記現像剤濃度制御装置は、前記帯電部材で使用される磁性キャリアの前記現像装置への混入、蓄積に対して画像形成動作の時間又は回数に伴い、それまでに設定されていた検出信号の基準値を、新たな検出信号の基準値に設定する検出信号基準値補正手段を具備することを特徴とする画像形成装置である。
【0025】
前記新たな検出信号の基準値を段階的に変更し設定することが好ましい。別の態様によれば、前記新たな検出信号の基準値を線形的に変更し設定することが好ましい。更に、別の態様によれば、前記新たな検出信号の基準値を非線形的に変更し設定することが好ましい。
【0026】
本発明による他の態様によれば、像担持体に対向した磁性キャリアを使用した磁気ブラシによる帯電部材を前記像担持体に当接させ、帯電バイアスを前記帯電部材へ印加することで前記像担持体の帯電を行う帯電装置と、
帯電した前記像担持体に静電潜像を形成する露光装置と、
前記静電潜像を非磁性トナー粒子と、前記帯電部材で使用される磁性キャリアと透磁率の異なる磁性キャリア粒子を含む二成分現像剤を用いて可視画像を形成する現像装置と、
を具備する画像形成装置において、
前記二成分現像剤の見かけの透磁率を検知し、該検知結果に基づく検出信号と該検出信号の基準値との比較結果から、トナー補給制御の基準値を基にトナー補給手段を動作させる現像剤濃度制御装置を有し、
前記現像剤濃度制御装置は、前記帯電部材で使用される磁性キャリアの前記現像装置への混入、蓄積に対して画像形成動作の時間又は回数に伴い、それまでに設定されていた検出信号の基準値を、新たなトナー補給制御の基準値に設定するトナー補給制御基準値補正手段を具備することを特徴とする画像形成装置が提供される。
【0027】
前記新たなトナー補給制御の基準値を段階的に変更し設定することが好ましい。別の態様によれば、前記新たなトナー補給制御の基準値を線形的に変更し設定することが好ましい。更に、別の態様によれば、前記新たなトナー補給制御の基準値を非線形的に変更し設定することが好ましい。
【0028】
上記発明において、前記帯電部材で使用される磁性キャリアの前記現像装置への混入、蓄積は、前記帯電部材から前記像担持体に付着した前記帯電部材で使用される磁性キャリアが前記像担持体の回転により前記現像装置に運ばれることにより起こる。また、前記画像形成動作の時間又は回数が複写枚数情報を基に決定されることが好ましく、或いは、前記画像形成動作の時間又は回数が前記帯電装置又は前記像担持体の動作時間を元に決定されることが好ましい。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。
【0030】
実施例1
本発明の第1実施例について図1〜図10により説明する。図1には本実施例の電子写真画像形成装置が概略的に示される。
【0031】
図1において、画像形成装置は、矢印方向に回転する像担持体である感光体ドラム1を備え、その周囲には、磁気ブラシ帯電器2、現像装置44、転写帯電器3、及び感光体ドラム1の図中上方に配置したレーザービームスキャナー6等からなる画像形成手段から構成されている。CCD等の光電変換素子を有する原稿読み取り装置は、原稿の白黒情報に対応する画像信号を出力する。レーザービームスキャナー6に内蔵された半導体レーザーは、この画像信号に対応して制御され、レーザービーム5を射出する。
【0032】
この画像形成装置全体のシーケンスは、まず感光体ドラム1が、磁気ブラシ帯電器2によって一様に帯電される。感光体ドラム1は、矢示の時計方向に150mm/secのプロセス速度(周速度)で回転する。
【0033】
次に画像信号により変調されたレーザー光5により走査露光が行われ、感光体ドラム1上に静電潜像が形成され、この静電潜像は現像装置44によって反転現像される。本実施例では現像剤として非磁性トナーと磁性キャリアを混合した現像剤による2成分接触現像方式を用いることで、磁気ブラシ帯電器2から吐き出されたトナーの回収性を向上させている。又、上記工程をイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色の画像について行うことによってフルカラー画像を得ることもできる。
【0034】
感光体ドラム1上のトナー像は、給紙カセット7から取り出され、給紙ローラ、給紙ガイド(不図示)を経由して進行した紙等の転写材8に、転写帯電器(コロナ帯電器)3により転写される。
【0035】
転写されずに感光体ドラム1表面に残ったトナーは磁気ブラシ帯電器2に一時的に回収される。その後、感光体ドラム1は、感光体ドラム1に当接され、ACバイアス、帯電と逆極性のDCバイアス、又はACを重畳した帯電と逆極性のDCバイアスを印加し導電性ブラシ10により除電される。
【0036】
一方、トナーが転写された転写材8は、搬送ベルト(不図示)によって定着器(熱ローラ定着器)9に送られ、画像の定着が行われる。
【0037】
尚、本実施例では像担持体として感光体ドラムが用いられているが、特にそれらに限定されるものではなく、例えば感光体ベルト等であってもかまわない。
【0038】
次に、本実施例における感光体ドラム1について詳しく説明する。
【0039】
本実施例の感光体は、負帯電のOPC感光体であり、直径30mmのアルミニウム製のドラム基体上に下記の第1〜第5の機能層を下から順に設けたものである。
【0040】
第1層は下引き層であり、アルミニウムドラム基体(以下、「アルミ基体」という)の欠陥等をならすため、又、レーザー露光の反射によるモアレの発生を防止するために設けられている厚さ約20μmの導電層である。
【0041】
第2層は正電荷注入防止層であり、アルミ基体から注入された正電荷が感光体表面に帯電された負電荷を打ち消すのを防止する役割を果たし、アミラン樹脂とメトキシメチル化ナイロンによって106Ω・cm程度に抵抗調整された厚さ約1μmの中抵抗層である。
【0042】
第3層は電荷発生層であり、ジスアゾ系の顔料を樹脂に分散した厚さ約0.3μmの層であり、レーザー露光を受けることによって正負の電荷対を発生する。
【0043】
第4層は電荷輸送層であり、ポリカーボネイト樹脂にヒドラゾンを分散したものであり、P型半導体である。従って、感光体表面に帯電された負電荷はこの層を移動することはできず、電荷発生層で発生した正電荷のみを感光体表面に輸送することができる。
【0044】
第5層は電荷注入層であり、バインダーとして光硬化性のアクリル樹脂に光透過性の導電フィラーであるアンチモンをドーピングして低抵抗化(導電化)した粒径0.03μmの酸化錫の超微粒子を樹脂に対して70重量パーセント分散した材料の約3μmの塗工層である。この電荷注入層の電気抵抗値は、十分な帯電性と画像流れを起こさない条件である1×1010〜1×1014Ω・cmである必要がある。本実施例では、表面抵抗が1×1011Ω・cmの感光体ドラムを用いた。
【0045】
次に、図2を用いて本実施例の磁気ブラシ帯電器2について説明する。
【0046】
磁気ブラシ帯電器2は、容器2aと、内部に固定磁石11を有する非磁性ステンレス製のスリーブ12と、感光体1に接触して電荷を注入する磁性粒子13と、磁性粒子13をスリーブ12表面に均一の厚さにコートする規制ブレード14とから構成されている。
【0047】
非磁性材料のスリーブ12は、感光体ドラム1と同じ図中時計方向に225mm/secの周速で回転している。
【0048】
非磁性ステンレス製の規制ブレード14は、スリーブ12表面とのギャップが900μmになるように配置されている。
【0049】
スリーブ12内に固定配置された磁石11は、スリーブ12と感光体ドラム1との最近接位置から感光体ドラム1の回転方向上流10゜に約900Gの磁極(主極)を配置している。この主極は、最近接位置との角度θを感光体ドラム回転方向上流20゜〜下流10゜の範囲に入るように設定することが望ましく、上流15゜〜0゜の範囲内であれば更に良い。それより下流だと主極位置に磁性粒子13が引きつけられ、帯電ニップの感光体ドラム回転方向下流側に磁性粒子13の滞留が発生しやすくなり、又、上流過ぎると、帯電ニップを通過した磁性粒子13の搬送性が悪くなり、滞留が発生しやすくなる。又、帯電ニップ部に磁極がない場合は、磁性粒子13に働くスリーブ12への拘束力が弱くなり、磁性粒子13が感光体ドラム1に付着しやすくなるのは明らかである。ここで述べている帯電ニップは、帯電時に磁性粒子13が感光体ドラム1と接触している領域を示す。
【0050】
又、帯電バイアスが、電源15によってスリーブ12と規制ブレード14に印加されている。DCは必要とされる感光体ドラム1の表面電位と同じ値(本実施例では−700V)とした。ACのピーク間電圧(以下、「Vpp」という)は、100V以上、2000V以下、特に300V以上、1200V以下が好ましい。Vppがそれ以下では、帯電均一性、電位の立ち上がり性向上の効果が薄く、それ以上では、磁性粒子13の滞留や感光体ドラム1への付着が悪化する。周波数は100Hz以上、5000Hz以下、特に500Hz以上、2000Hz以下が好ましい。それ以下では、磁性粒子13の感光体ドラム1への付着悪化、帯電均一性、電位の立ち上がり性向上の効果が薄くなり、それ以上でも帯電均一性、電位の立ち上がり性向上の効果が得られにくくなる。ACの波形は矩形波、三角波、サイン波等がよい。
【0051】
本実施例では、磁性粒子として、焼結した強磁性体(フェライト)を還元処理したものを用いたが、他に樹脂と強磁性体粉を混練して粒子状を成形したもの、もしくはこれに抵抗値調節のために導電性カーボン等を混ぜたものや、表面処理を行ったものも同様に用いることができる。この磁性粒子は感光体表面のトラップ準位に電荷を良好に注入する役割と、感光体上に生じたピンホール等の欠陥に帯電電流を集中してしまうことに起因して生じる帯電部材及び感光体の通電破壊を防止する役割を兼ね備えていなければならない。
【0052】
従って、帯電部材の抵抗値は1×104Ω〜1×109Ωであることが好ましく、特には1×104Ω〜1×107Ωであることが好ましい。帯電部材の抵抗値が1×104Ω未満ではピンホールリークが生じやすくなる傾向があり、1×109Ωを超えると良好な電荷の注入がしにくくなる傾向がある。又、抵抗値を上記範囲内に制御するためには、本実施例の磁性粒子の体積抵抗値は1×104Ω・cm〜1×109Ω・cmであることが好ましく、特には、1×109Ω・cm〜1×109Ω・cmであることが好ましい。
【0053】
磁性粒子の体積抵抗値は、図3に示すセルを用いて測定した。セルAは、主電極17、上部電極18、絶縁物19、電流計16、電圧計21、電源22、及びガイドリング24等を備えている。
【0054】
まず、セルAに磁性粒子23を充填し、この充填した磁性粒子23に接するように主電極17と、上部電極18とを配し、該電極17、18間に電源22から電圧を印加し、その時流れる電流を電流計16にて測定することにより体積抵抗値を求めた。その測定条件は、23℃、65%の環境で充填磁性粒子23のセルAとの接触面積S=2cm2、厚みd=1mm、上部電極18の荷重10kg、印加電圧100Vである。
【0055】
本実施例の磁性粒子の平均粒径及び粒度分布測定におけるピークは5〜100μmの範囲にあることが、粒子表面の汚染による帯電劣化防止の観点から好ましい。磁性粒子の磁場1キロエルステッドにおける磁化の強さ(σ1000)は270emu/cm3(測定方法については後述する)である。
【0056】
本実施例の帯電部材の抵抗値は、1×106Ω・cmであり、帯電バイアスのDC成分として−700Vを印加することで、感光体ドラムの表面電位も−700Vとなった。
【0057】
次に本実施例の現像装置44について図4を用いて説明する。
【0058】
現像装置44は、感光体ドラム1に対向して配置されており、その内部は垂直方向に延在する隔壁51によって第1室(現像室)52と、第2室(攪拌室)53とに区画されている。第1室52の開口部には矢印方向に回転する非磁性の現像スリーブ54が配置されており、この現像スリーブ54内にマグネット55が固定配置されている。現像スリーブ54はブレード56によって層厚規制された二成分現像剤(磁性キャリアと非磁性トナーを含む)の層を担持搬送し、感光体ドラム1と対向する現像領域で現像剤を感光体ドラム1に供給して静電潜像を現像する。現像効率、即ち、潜像へのトナーの付与率を向上させるために、現像スリーブ54には電源57から直流電圧を交流電圧に重畳した現像バイアス電圧が印加されている。
【0059】
第1室52及び第2室53にはそれぞれ現像剤攪拌スクリュー58、59が配置されている。スクリュー58は第1室52中の現像剤を攪拌搬送し、又、スクリュー59は、後述するトナー補給槽のトナー排出口61から搬送スクリュー62の回転によって供給されたトナー63と既に現像装置44内にある現像剤43とを攪拌搬送し、トナー濃度を均一化する。隔壁51には図4における手前側と奥側の端部において第1室52と第2室53とを相互に連通させる現像剤通路(不図示)が形成されており、スクリュー58、59の搬送力により、現像によってトナーが消費されてトナー濃度の低下した第1室52内の現像剤が一方の通路から第1室52内へ移動するように構成されている。
【0060】
本実施例では、静電潜像の現像により現像装置44内の現像剤濃度が変化するのを補正するために、即ち、現像装置44に補給するトナー量を制御するために、現像装置44の第1室(現像室)52の底壁にインダクタンス検知センサーであるインダクタンスヘッド20が設置され、このインダクタンスヘッド20からの検出信号によって現像装置44内の、具体的には第1室52内の、現像剤43の実際のトナー濃度を検知し、基準値との比較によりトナーを補給するようにしたインダクタンス検知方式ATRが設けられている。
【0061】
本実施例で使用されるトナー粒子は、球形重合トナーで、その製法は、本実施例では、重合法のモノマーに着色剤及び荷電制御剤を添加したモノマー組成物を水系の媒体中で懸濁し重合することで球形状のトナー粒子を得た。この方法は安価に球形状のトナーを作製するには好適である。
【0062】
本実施例にて使用される現像キャリア粒子は、低磁化キャリアが用いられており、上記球形重合トナーとの組み合わせで高画質化が達成される。本発明者らの実験によると、現像スリーブ54と感光体ドラム1との距離(S−Dgap)が300〜1000μm、単位面積当たりの現像スリーブ上の現像剤量(以下、「M/S」という)が20〜50mg/cm2、T/D比が5〜12%の範囲内では、現像キャリアの磁化の強さは、磁場1キロエルステッドにおける磁化の強さ(σ1000)が2000emu/cm3以下、好ましくは140emu/cm3以下であれば、隣り合う磁気ブラシの磁気的な相互作用が低磁化量のために小さく、その結果磁気ブラシの穂が緻密に且つ短くなることにより、磁気ブラシが潜像上のトナー付着面をソフトに掃くので、現像トナーが掻き取られる、いわゆるスキャベンジングを防ぎ、画像として解像度の高いものを提供できる。本実施例では現像キャリアの磁化の強さ(σ1000)は135emu/cm3である。
【0063】
尚、上記の磁化特性は理研電子(株)製の振動磁場型磁気特性自動記録装置BHV−3を用いて測定した。キャリア粉体の磁気特性値は1キロエルステッドの外部磁場を作り、その時の磁化の強さを求める。キャリアは円筒状のプラスチック容器に十分密になるようにパッキングした状態を作製する。この状態で磁化モーメントを測定し、試料を入れたときの実際の重量を測定して、磁化の強さ(emu/g)を求める。次いで、キャリア粒子の真比重を乾式自動密度計アキュピック1330(島津製作所(株)製)により求め、磁化の強さ(emu/g)に真比重をかけることで本実施例の単位体積当たりの磁化の強さ(emu/cm3)を求めた。
【0064】
本実施例にて用いている帯電キャリア、現像キャリアは共に軟磁性体であり、1キロエルステッド(kOe)程度の磁場中までは磁化の強さは磁場の増加と共に線形的に増加する。従って、透磁率は、図5に示す傾きtanα、tanβに比例することになる。帯電キャリアは現像キャリアと比較して磁化の強さ(σ1000)がほぼ2倍なので、透磁率も2倍になる。このことから同じトナー濃度であっても透磁率の異なる磁性キャリアであった場合、インダクタンス検知センサーの検知出力信号は異なるものとなることが分かる。
【0065】
さて上述したように、二成分現像剤は磁性キャリアと非磁性トナーを主成分としており、現像剤43のトナー濃度(キャリア粒子及びトナー粒子の合計重量に対するトナー粒子重量の割合)が変化すると、磁性キャリアと非磁性トナーの混合比率による見かけの透磁率が変化する。この見かけの透磁率をインダクタンスヘッド20によって検知して電気信号に変換すると、図6のグラフに示すように、この電気信号(センサー出力電圧:V)はトナー濃度(T/C比:%)に応じてほぼ直線的に変化する。即ち、インダクタンスヘッド20からの出力電気信号は現像装置44内の二成分現像剤の実際のトナー濃度に対応する。
【0066】
このインダクタンスヘッド20からの出力電気信号の処理を図7を用いて説明する。
【0067】
インダクタンスヘッド20からの出力信号を比較器21の一方に供給する。この比較器21の他方の入力には、基準電圧信号源22から、現像剤43の規定のトナー濃度(初期設定値におけるトナー濃度)における見かけの透磁率に対応する基準電気信号が入力されている。従って、比較器21の規定濃度と現像装置内の実際のトナー濃度とを比較することになるので、両入力信号の比較結果として、比較器21の検出信号はCPU67に供給される。
【0068】
CPU67は、比較器21からの検出信号に基づいて、次回のトナー補給時間を補正するように制御する。例えば、インダクタンスヘッド20によって検出された現像剤43の実際のトナー濃度が規定値よりも小である場合には、つまり、トナーが補給不足である場合には、CPU67は不足分のトナーを現像装置44に補給するようにトナー補給槽60の搬送スクリュー62を作動させる。即ち、比較器21からの検出信号に基づいて、不足分のトナーを現像装置44に補給するに要するスクリュー回転時間を算出し、モータ駆動回路69を制御してその時間だけモータ70を回転駆動し、クラッチ71を介して搬送スクリュー62を作動させ、不足分のトナー63を現像装置44に補給する。
【0069】
また、インダクタンスヘッド20によって検出された現像剤43の実際のトナー濃度が規定値よりも大である場合には、つまり、トナーが過剰補給である場合には、CPU67は比較器21からの検出信号に基づいて現像剤中の過剰トナー量を算出する。そして、その後の原稿による画像形成に際しては、この過剰トナー量がなくなるようにトナーを補給させるか、或いは過剰トナー量が消費されるまでトナーを補給せずに画像を形成させ、即ち、トナー無補給で画像を形成して過剰トナー量が消費されたらトナー補給動作を前述の通り行わせる等の制御を行う。
【0070】
次に、図8のフローチャートを参照して上記動作について更に説明する。
【0071】
まず、画像形成装置をスタートさせると(S501)、トナー濃度検出がスタートする(S502)。インダクタンスヘッド20からの検出電圧信号aを比較器21に入力し(S503)、比較器21にて基準電圧信号源22による基準電圧信号bと比較され(S504)、その検出信号差(a−b)をCPU67に送る。
【0072】
CPU67において(a−b)>0かどうかを判断し(S506)、トナー濃度基準値より低い場合(YES)、トナー補給時間が決定される(S507)。次いで、コピー動作が開始された後(S508)、ステップS507にて決定されたトナー補給時間だけ像間でトナー補給が行われ(S509)、スタートに戻る。
【0073】
一方、ステップS506でトナー濃度が基準値より高い場合(NO)、コピー動作が開始され(S510)、トナーの補給がされることなくスタートに戻る。
【0074】
尚、トナー濃度検出のタイミングはコピー動作再開直前でも、コピー動作中でも構わない。例えば画像形成動作1枚目はコピー動作再開直前、それ以後はコピー動作中に検出しても構わない。
【0075】
又、本実施例にて用いているインダクタンス検知方式ATRにおいては、最適な濃度(本実施例では6%、この値より高すぎるとトナーの飛散が生じ、低すぎると画像濃度が薄くなる等の問題が生じることがある。)における検出信号の基準値を2.5Vになるように調整しており、基準値よりセンサーの検出信号が大きければ(例えば3.0V)、トナーを補給し、センサーの検出信号が小さければ(例えば2.0V)、トナー補給を停止することになっているが、本発明は当然上記の信号処理に限定されるものではなく、回路の構成を変更して基準値が2.5V以外の値であってもよく、又トナー濃度が最適値より低い時、センサーの基準値よりセンサーの検出信号が小さくなるようにし、トナー濃度が最適値より高い時センサーの検出信号が大きくなるようにしても構わない。
【0076】
さて、上記のような構成においては、「発明が解決しようとする課題」の項にて述べたように、磁気ブラシ帯電器における問題点として、帯電磁気ブラシを構成している磁性粒子の感光体ドラム表面への磁性キャリア付着、流出が起こることがある。これが現像装置に回収されると、インダクタンス検知方式センサーを用いた現像装置では、画像的には特に問題ない感光体ドラムへの微量の帯電キャリアが現像装置内に蓄積されることで、現像キャリアと帯電キャリアの透磁率が異なる場合に現像剤全体の見かけの透磁率が変化し、インダクタンス検知方式センサーによるトナー濃度制御に誤差が生じることがある。
【0077】
例えば、図9(b)に示すように、現像剤の最適なトナー濃度6%においてはインダクタンスヘッド20からの検出信号の初期値は2.5Vに設定されている。しかし、画像形成動作が繰り返されるにつれ、現像装置内に帯電キャリアが徐々に蓄積されてくると、帯電キャリアの透磁率が現像キャリアの透磁率よりも大きい場合は、現像剤の見かけの透磁率は、図9(a)の点線(i)のように徐々に大きくなっていき、帯電キャリアの透磁率が現像キャリアの透磁率よりも小さい場合は図9(a)の点線(ii)のように徐々に小さくなっていくことになる。従ってもしトナー濃度が初期の6%に制御されているとすると、その出力は帯電キャリアの透磁率が現像キャリアの透磁率よりも大きい場合は図9(b)の点線(i)のように徐々に大きくなっていき、帯電キャリアの透磁率が現像キャリアの透磁率よりも小さい場合は図9(b)の点線(ii)のように徐々に小さくなっていくことになる。
【0078】
しかし、実際はインダクタンス検知センサーではあくまでも初期の基準値2.5Vになるように(図9(b)(iii))、トナー補給がなされる結果、図9(c)に示すように、帯電キャリアの透磁率が現像キャリアの透磁率よりも大きい場合は図9(c)の点線(i)のように、トナー濃度は徐々に高くなってしまい、帯電キャリアの透磁率が現像キャリアの透磁率よりも小さい場合は図9(c)の点線(ii)のようにトナー濃度が徐々に低くなってしまうことになる。
【0079】
上記では、帯電キャリアの透磁率が現像キャリアの透磁率より大きい場合、小さい場合それぞれについてその現象を述べたが、以下には本実施例に用いているように、帯電キャリアの透磁率が現像キャリアの透磁率より大きい場合(約2倍)について、より具体的に述べることにする。但し、本発明は帯電キャリアの透磁率が現像キャリアの透磁率より大きい場合に限定されるものではなく、両者の透磁率が異なれば当然適用することが可能である。
【0080】
本発明者らの検討では、本実施例に示した画像形成装置においては、画像形成動作を5万回繰り返すと、帯電キャリアの現像剤への混入は約10g程度であった。そこで、最適なトナー濃度に設定してその時のインダクタンス検知センサーの検出信号2.5Vに設定した場合に、その現像剤に強制的に帯電キャリアを混入させると、現像剤の見かけの透磁率が大きくなるので、初期の最適なトナー濃度を維持した場合のインダクタンス検知センサーの検出信号は初期の基準値2.5Vから3.0Vへ0.5V上昇してしまっていた。従って、実際は検出信号が2.5Vになるようにトナー補給がなされるため、結果的にトナー補給が過剰に行われ、本画像形成装置に用いたインダクタンス検知センサーの感度は0.5V/%(図6参照)なので、画像形成動作を5万回繰り返した結果、最終的にはトナー濃度が最適なトナー濃度6%から1%ずれてしまい、7%に制御されてしまった。
【0081】
そこで、本実施例では、帯電キャリアの現像剤への混入によるインダクタンス検知方式ATRの誤検知を補正し、画像形成動作が繰り返されても、トナー濃度を所定の値に一定に保つような検出信号基準値補正手段により、上記の欠点を除去するものである。
【0082】
詳述すると次のようになる。本実施例における検出信号基準値補正手段は、インダクタンス検知センサーの初期の基準値を、画像形成動作をある時間又は回数繰り返したときに、検出信号の基準値を設定し直すように予めCPU25(図7参照)に命令を設定しておく。CPU25はそのタイミングになると基準電圧信号源22から出力させる検出信号基準値を新たに設定する。
【0083】
具体的にはインダクタンス検知センサーの初期の基準値が2.5Vであったものを、画像形成動作を2.5万回繰り返したときに、図8のフローチャートにおけるステップS504における検出信号基準値を2.75Vに設定し直すように、予めCPU25に命令を設定しておく。CPU25はそのタイミングになると、基準電圧信号源22から出力させる検出信号基準値を2.75Vに設定し直す。検出信号が2.75Vになるまでトナー補給が停止するため、それまでに生じていたトナー濃度の誤差が解消され、初期のトナー濃度6%に制御し直されることになる。その結果、画像形成動作を5万回繰り返した時におけるトナー濃度は約6.5%程度と、検出信号の補正をしない場合と比べてトナー濃度制御の誤差を小さくすることができた。
【0084】
実施例2
次に本発明の第2実施例について更に図10を参照して説明する。
【0085】
第1実施例では、検出信号基準値補正手段により帯電キャリアの現像剤への混入によるインダクタンス検知方式ATRの誤検知を補正し、画像形成動作が繰り返されても、トナー濃度を所定の値に一定に保持することを行ったが、本実施例ではトナー補給制御基準値補正手段により、同様に、画像形成動作が繰り返されても、トナー濃度を所定の値に一定に保持することを行うものである。
【0086】
すなわち、本実施例におけるトナー補給制御基準値補正手段は、図7による比較器21の検出信号によるトナー補給開始、停止を決定する基準値を、画像形成動作をある時間又は回数繰り返したときに検出信号の基準値を設定し直すように予めCPU67に命令を設定しておく。CPU67はそのタイミングになると、比較器21の検出信号によるトナー補給開始、停止を決定する基準値を新たに設定する。
【0087】
具体的には、初期のトナー補給制御基準値(a−b)>0を、画像形成動作を2.5万回繰り返したときに、図8のフローチャートのステップS506において、トナー補給制御基準値を(a−b)>0.25Vに設定し直すように、予めCPU67に命令を設定しておく。CPU67はそのタイミング、例えば図10に示すように、2.5万枚になると初期のトナー補給制御基準値を(a−b)>0.25に設定し直す。すると検出信号が2.75Vになるまでトナー補給が停止するため、それまでに生じていたトナー濃度の誤差が解消され、初期のトナー濃度6%に制御し直されることになる。
【0088】
その結果、画像形成動作を5万回繰り返した時におけるトナー濃度は、図10(c)に示したように、約6.5%程度と、検出信号の補正をしない場合と比べてトナー濃度制御の誤差を小さくすることができた。
【0089】
実施例3
現像剤の透磁率は、画像形成動作が繰り返される度に、刻々と変化するので、第1実施例にて説明したような検出信号基準値補正手段、及び第2実施例にて説明したようなトナー補給制御基準値補正手段においてその補正が1回である場合、まだトナー濃度制御にわずかな誤差が生じることが避けられない。
【0090】
そこで、第3実施例においては、第1実施例における検出信号基準値補正手段によって新たに設定された基準値b、あるいは第2実施例におけるトナー補給制御基準値補正手段によって新たに設定された基準値(a−b)を、図11(b)に示すように例えば1万枚毎に段階的に新たに設定し直すことで、図11(c)に示すようにより精度の高いトナー濃度制御が可能となった。
【0091】
実施例4
次に、本発明の第4実施例について図12により説明する。
【0092】
本実施例においては、第1実施例における検出信号基準値補正手段によって新たに設定された基準値b、あるいは第2実施例におけるトナー補給制御補正手段によって新たに設定された基準値(a−b)を、図12(b)に示すように線形的に新たに設定し直すことで、図12(c)に示すように精度の高いトナー濃度制御が可能になった。
【0093】
実施例5
次に、本発明の第5実施例について図13により説明する。
【0094】
帯電キャリアはその粒径の分布にある程度の広がりをもっており、本発明者らの検討では微小なものから帯電キャリア付着しやすいことがわかっている。そのような微小帯電キャリアは、図13(a)に示すように、特に画像形成動作の時間又は回数が初期のうちにキャリア付着してしまい、初期における現像剤の見かけの透磁率の変化は大きくなるものと考えられる。その後帯電器内に微小帯電キャリアが減少してくると現像剤の見かけの透磁率の変化は徐々に小さくなり、非線形的に変化していくことが考えられる。
【0095】
従って、上記の第1実施例における検出信号基準値手段によって新たに設定された基準値b、あるいは上記の第2実施例におけるトナー補給制御基準値補正手段によって新たに設定された基準値(a−b)を、図13(b)に示すように非線形的に新たに設定し直すことで、図13(c)に示すように精度の高いトナー濃度制御が可能となった。
【0096】
次に、上記第1実施例において検出信号基準値補正手段によって新たに設定される基準値bあるいは上記の第2実施例におけるトナー補給制御手段によって新たに基準値(a−b)を、どのタイミングで新たに設定するかを決定するためにどのような制御をするかについて説明する。
【0097】
帯電キャリア付着は帯電器及び感光体ドラムの動作時に起こるので、そのキャリア付着量を知るには、主に画像形成枚数情報から制御を行えば比較的簡単に類推することができる。
【0098】
そこで、本発明においては、一例として検出信号基準値補正手段によって新たに設定される基準値bを、下記の式(1)に示すように複写枚数情報をもとに決定することとし、例えば初期の検出信号基準値bが2.5Vだったとすると複写が1000枚行われる毎に検出信号基準値を0.01Vずつ大きくしていき、5万枚で3.0Vになるようにする。
【0099】
その結果、画像形成動作の時間又は回数が増加していっても、誤差の少ないT/C非制御が可能となる。
【0100】
検出信号基準値b=2.5+0.01×(複写枚数/1000) 式(1)
同様にトナー補給制御基準値補正手段によって新たに基準値(a−b)を、下記の式(2)に示すように複写枚数情報をもとに決定されることとし、例えば初期のトナー補給制御基準値が(a−b)>0だったとすると複写が1000枚行われる毎にトナー補給制御基準値を0.01Vずつ大きくしていき、5万枚で0.5Vになるようにする。
【0101】
その結果、画像形成動作に時間又は回数が増加していっても、誤差の少ないT/C比制御が可能となる。
【0102】
トナー補給制御基準値(a−b)=0.01×(複写枚数/1000)・・・式(2)
又、他の一例として、帯電キャリア付着は帯電器又は感光体ドラムが駆動しているときに主に起こるので、検出信号基準値補正手段によって新たに設定される基準値bを、下記の式(3)に示すように、帯電器又は感光体ドラムの駆動時間から変換テーブルにより算出された値をもち、それをもとに徐々に初期の検出信号基準値から新たに基準値を設定する。このような制御方法では、上記複写枚数情報には含まれていない複写紙サイズの違いによる帯電器又は感光体ドラムの駆動時間が異なるという情報が加味されているため、画像形成動作の時間又は回数が増加していっても、誤差の少ないT/C比制御が可能となる。
【0103】
検出信号基準値b=2.5+0.01×(帯電器又は感光体ドラムの駆動時間から算出された値) ・・・ 式(3)
尚、上記の各実施例では、本発明を電子写真方式のデジタル複写機に適用した場合について説明したが、本発明はそれ以外の電子写真方式、静電記録方式等の種々の複写機、プリンタ等の画像形成装置に等しく適用できるものである。例えば、本発明は画像の濃淡表現をディザ法で行う画像形成装置にも適用でき、又、原稿のコピーではなく、コンピュータ等から出力された画像情報信号によりトナー像を形成する画像形成装置にも適用できる。更に、画像形成装置の制御系の構成等について必要に応じて種々の変形及び変更がなし得ることはいうまでもない。
【0104】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の画像形成装置によれば、二成分現像剤の見かけの透磁率を検知し、該検知結果に基づく検出信号と該検出信号の基準値との比較結果から、トナー補給制御の基準値を元にトナー補給手段を動作させる現像剤濃度制御装置を有し、該現像剤濃度制御装置が、画像形成動作の時間又は回数に伴いそれまでに設定されていた検出信号の基準値を、新たな検出信号の基準値に設定する検出信号基準値補正手段を具備することにより、或いは、画像形成動作の時間又は回数に伴いそれまでに設定されていた検出信号の基準値を、新たなトナー補給制御の基準値を設定するトナー補給制御基準値補正手段を具備することにより、磁気ブラシ帯電に用いている帯電キャリアが、画像形成動作が繰り返されることで像担持体の帯電キャリア付着等により現像装置内への帯電キャリアの混入が蓄積された場合において、帯電キャリアと現像キャリアの透磁率の相違により最適なトナー濃度である現像剤全体の見かけの透磁率が徐々に変化しても、現像剤濃度制御装置の検出信号の基準値或いはトナー補給制御の基準値を補正することで、画像形成動作が繰り返されていっても常にトナー補給が適切に行われるため、トナー濃度制御の誤差をより小さくすることができ、従って、現像容器からの現像剤が溢れる問題や、トナー飛散、或いは画像劣化を防止でき、高品質画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一実施例を示す概略構成図である。
【図2】図1の画像形成装置が具備する帯電器を示す構成図である。
【図3】本発明に係る磁性粒子の電気抵抗値の測定装置を示す説明図である。
【図4】図1の画像形成装置が具備する現像装置を示す構成図である。
【図5】本発明に係る帯電キャリアと現像キャリアの透磁率の違いを説明するためのグラフである。
【図6】現像剤のトナー濃度の変化によってインダクタンスヘッドからの検出信号が変化する状態を示す特性図である。
【図7】本発明に係るインダクタンス検知センサーによるトナー補給制御の説明図である。
【図8】本発明に係るトナー補給制御の基本動作を説明するためのフローチャートである。
【図9】現像剤に帯電キャリアが混入、蓄積していった場合の現像剤の見かけの透磁率の変化(a)、インダクタンス検知センサーの検出信号(b)、現像剤のT/D比の関係(c)を簡便に表したグラフである。
【図10】第1及び第2実施例における現像剤の見かけの透磁率の変化(a)、インダクタンス検知センサーの検出信号(b)、現像剤のT/C比の関係(c)を簡便に表したグラフである。
【図11】第3実施例における現像剤の見かけの透磁率の変化(a)、インダクタンス検知センサーの検出信号(b)、現像剤のT/C比の関係(c)を簡便に表したグラフである。
【図12】第4実施例における現像剤の見かけの透磁率の変化(a)、インダクタンス検知センサーの検出信号(b)、現像剤のT/C比の関係(c)を簡便に表したグラフである。
【図13】第5実施例における現像剤の見かけの透磁率の変化(a)、インダクタンス検知センサーの検出信号(b)、現像剤のT/C比の関係(c)を簡便に表したグラフである。
【符号の説明】
1 感光体ドラム(像担持体)
2 帯電器
6 露光装置
13 磁性粒子
20 インダクタンスヘッド(インダクタンス検知センサー)
44 現像装置
Claims (11)
- 像担持体に対向した磁性キャリアを使用した磁気ブラシによる帯電部材を前記像担持体に当接させ、帯電バイアスを前記帯電部材へ印加することで前記像担持体の帯電を行う帯電装置と、
帯電した前記像担持体に静電潜像を形成する露光装置と、
前記静電潜像を非磁性トナー粒子と、前記帯電部材で使用される磁性キャリアと透磁率の異なる磁性キャリア粒子を含む二成分現像剤を用いて可視画像を形成する現像装置と、
を具備する画像形成装置において、
前記二成分現像剤の見かけの透磁率を検知し、該検知結果に基づく検出信号と該検出信号の基準値との比較結果から、トナー補給制御の基準値を基にトナー補給手段を動作させる現像剤濃度制御装置を有し、
前記現像剤濃度制御装置は、前記帯電部材で使用される磁性キャリアの前記現像装置への混入、蓄積に対して画像形成動作の時間又は回数に伴い、それまでに設定されていた検出信号の基準値を、新たな検出信号の基準値に設定する検出信号基準値補正手段を具備することを特徴とする画像形成装置。 - 前記新たな検出信号の基準値を段階的に変更し設定する請求項1の画像形成装置。
- 前記新たな検出信号の基準値を線形的に変更し設定する請求項1の画像形成装置。
- 前記新たな検出信号の基準値を非線形的に変更し設定する請求項1の画像形成装置。
- 像担持体に対向した磁性キャリアを使用した磁気ブラシによる帯電部材を前記像担持体に当接させ、帯電バイアスを前記帯電部材へ印加することで前記像担持体の帯電を行う帯電装置と、
帯電した前記像担持体に静電潜像を形成する露光装置と、
前記静電潜像を非磁性トナー粒子と、前記帯電部材で使用される磁性キャリアと透磁率の異なる磁性キャリア粒子を含む二成分現像剤を用いて可視画像を形成する現像装置と、
を具備する画像形成装置において、
前記二成分現像剤の見かけの透磁率を検知し、該検知結果に基づく検出信号と該検出信号の基準値との比較結果から、トナー補給制御の基準値を基にトナー補給手段を動作させる現像剤濃度制御装置を有し、
前記現像剤濃度制御装置は、前記帯電部材で使用される磁性キャリアの前記現像装置への混入、蓄積に対して画像形成動作の時間又は回数に伴い、それまでに設定されていた検出信号の基準値を、新たなトナー補給制御の基準値に設定するトナー補給制御基準値補正手段を具備することを特徴とする画像形成装置。 - 前記新たなトナー補給制御の基準値を段階的に変更し設定する請求項5の画像形成装置。
- 前記新たなトナー補給制御の基準値を線形的に変更し設定する請求項5の画像形成装置。
- 前記新たなトナー補給制御の基準値を非線形的に変更し設定する請求項5の画像形成装置。
- 前記帯電部材で使用される磁性キャリアの前記現像装置への混入、蓄積は、前記帯電部材から前記像担持体に付着した前記帯電部材で使用される磁性キャリアが前記像担持体の回転により前記現像装置に運ばれることにより起こる請求項1から8のいずれかの画像形成装置。
- 前記画像形成動作の時間又は回数は複写枚数情報を基に決定する請求項1から9のいずれかの画像形成装置。
- 前記画像形成動作の時間又は回数が前記帯電装置又は前記像担持体の動作時間を元に決定される請求項1から9のいずれかの画像形成装置。
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