JP3993994B2 - 連結した車体の妻面に設けられる車両用幌における幌布取付け装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は連結した車体の妻面に設けられる車両用幌における幌布取付け装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、鉄道車両における連結した車体の妻面間に設けられる車両用幌として、図15及び図16に示すように車体101,102の妻面103,104に幌金枠105,106を固定し、該幌金枠105,106に、幌布107の両端部を取り付けるものがある。
【0003】
そして、このような幌金枠105,106に幌布107の端部の全周を取り付ける装置として、従来、図17に示すように、幌金枠105に幌布107の端部107aを重合し、その外側に帯状の布押え板108を重合し、これらを締結ネジ109で締め付け固定する装置が知られている。なお、幌金枠105,106はパッキン110を介して車体101,102に取り付けられている。これを第1の従来の技術とする。
【0004】
また、図18に示すように、車体101に固着した取付枠201に幌金枠202を取り付けるようにし、該幌金枠202に先部が開口するU状の内外枠壁203,204を形成し、幌布107の端部に芯金205を設け、該芯金205部を前記内外枠壁203,204間に挿入した後、布押え部材206を前記内外枠壁203,204間に挿入し、その布押え部材206をリベット207により外枠壁204に固定して幌布107の端部を取り付けるようにしたものが、例えば実公昭63−42058号公報に開示されている。これを第2の従来の技術とする。
【0005】
また、図19に示すように、幌金枠301に1枚の枠壁302を設け、幌布107の端部に芯材303を設け、該芯材303部を枠壁302の内側に重合した後、幌布押え304を幌金枠301に固定するものが、例えば実開平3−102371号公報に開示されている。これを第3の従来の技術とする。
【0006】
また、図20に示すように、幌金枠401に側壁402,403を設け、その内側の側壁402の先端に係合片404を形成し、芯材406に巻き付けた幌布407の端部407aを入口405より幌布取付室408内に挿入し、その後、幌布押え409を入口405より幌布取付室408内に圧入してこれを前記係合片404に係合させるようにしたものが、例えば実公平3−5499号公報に開示されている。これを第4の従来の技術とする。
【0007】
また、図21に示すように、内外枠壁501,502の先端に係合片503,504を形成した幌金枠505内に、その開口部506より、幌布107の端部に設けた芯金507部を挿入した後、幌布107の端部の内外面に弾性を有する幌布押え508,509を開口部506から圧入するようにしたものが、例えば前記実公平3−5499号公報及び実公昭45−15767号公報に開示されている。これを第5の従来の技術とする。
【0008】
【発明を解決しようとする課題】
前記第1の従来の技術においては、その締結ネジ109を締め付けた場合、布押え板108が剛性不足の場合に、前記隣接する締結ネジ109の相互の間において、弾性を有する幌布107の端部107aにより布押え板108が押し上げられ、この押し上げられた部分での水密性が低下する問題がある。
【0009】
また、前記第2の従来の技術においては、幌金枠202における内外枠壁203と204間の間隔が狭いため、布押え部材206を内枠壁204にリベット207によりかしめ取り付けする作業が困難な問題がある。
【0010】
また、前記第3の従来の技術においては、幌布押え304により幌布107を内枠壁302へ押し付ける力が弱く、幌取付部での水密性が低い問題がある。
【0011】
更に、前記第4及び5の従来の技術においては、幌布押え409又は508,509を夫々係合片404又は503,504に係止するように挿入することから、この幌布押え409又は508,509が硬いと、該幌布押え404又は503,504を圧入する作業が困難になり、また、軟らかいと、水密性が低くなる上に幌布107が幌金枠401,505から外れやすくなり、幌布押えの挿入作業の容易性と水密性の両立を図ることが困難な問題がある。
【0012】
そこで本発明は、前記の各問題を解消できる幌布取付け装置を提供することを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
前記の課題を解決するために、請求項1記載の第1の発明は、 幌金枠に、その全周にわたって幌布の端部を取り付ける装置において、幌金枠の幌布取付け側面に、通路側に位置する内枠壁と、通路側と反対側に位置する外枠壁を所定の間隔を有して並列に突設して、これら両枠壁間に、先部が開口する幌布取付用空間を設け、かつ、前記内枠壁の先部に、前記幌布取付用空間側へ突出する係止部を設け、芯材に巻き付けた幌布の端部を、前記開口部から幌布取付用空間内に挿入し、更に、幌布取付用空間内で、かつ、前記外枠壁と前記幌布の端部との間に、硬質材料からなる押え材を幌金枠の全周にわたり挿入し、該押え材と前記幌布の端部との間に、前記幌布の端部を前記内枠壁側へ押圧するための硬質材料からなる隙間材を幌金枠の全周にわたり挿入することにより、前記芯材に巻き付けた幌布の端部を、前記係止部と前記内枠壁とで形成される空間内に収納して、前記係止部の裏面に係止させるようにし、更に、前記幌布取付用空間部の少なくとも開口部分にシーリング材を充てんしたことを特徴とするものである。
【0015】
請求項2記載の第2の発明は、幌金枠に、その全周にわたって幌布の端部を取り付ける装置において、幌金枠の幌布取付け側面に、通路側に位置する内枠壁と、通路側と反対側に位置する外枠壁を所定の間隔を有して並列に突設して、これら両枠壁間に、先部が開口する幌布取付用空間を設け、かつ、前記内枠壁の先部に、前記幌布取付用空間側へ突出する係止部を設け、芯材に巻き付けた幌布の端部を、前記開口部から幌布取付用空間内に挿入し、更に、幌布取付用空間内で、かつ、前記外枠壁と前記幌布の端部との間に、硬質材料からなる複数の押え材を幌金枠の周方向に所定の間隔を有して挿入し、該押え材と前記幌布の端部との間に、前記幌布の端部を前記内枠壁側へ押圧するための硬質材料からなる複数の隙間材を幌金枠の周方向に所定の間隔を有して挿入することにより、前記芯材に巻き付けた幌布の端部を、前記係止部と前記内枠壁とで形成される空間内に収納して、前記係止部の裏面に係止させるようにし、更に、前記幌布取付用空間部の少なくとも開口部分にシーリング材を充てんしたことを特徴とするものである。
【0016】
本発明においては、幌布の端部を挿入した後に、先ず押え材を挿入し、次で隙間材を挿入することにより、幌布の端部を内枠壁側へ圧着する取付作業が容易に行える。
また、幌金枠に対する幌布の端部の取り付けは、主として押え材及び隙間材により行われ、水密性はシーリング材により確保される。
【0019】
【発明の実施の形態】
図1乃至図14に示す実施例に基づいて本発明の実施の形態について説明する。
【0020】
図1乃至図3は第1実施例を示すもので、図1は連結された車体1,2の妻面1a,2a間に幌金枠3,4を介して幌5を架設した状態を示す側面図、図2は図1におけるA−A線より見た幌金枠3の正面図、図3は図2におけるB−B線拡大断面図である。
【0021】
前記幌金枠3,4は、車体間を連結する通路6の外周を囲むように、図2に示すように、正面から見て縦長の長方形状に形成されている。そして、該幌金枠3,4は、図3に示すような横断面形状に形成され、車体1,2の妻面1a,2aに締金10により取り外し可能に連結されるようになっている。なお、前記両幌金枠3と4は同一構造で、かつ、車体妻面に同一構造の締金で連結されているため、以下一方の幌金枠3側の構造について説明する。
【0022】
図3において、幌金枠3の底板8は、その車体側取付面8aと車体1の妻面1a間にパッキン9を介在して車体1の妻面1aに取り付けられるもので、この底板8の妻面1aへの取り付けは、締金10により行われる。該締金10は、幌金枠3に締金受10aの取付部10dを固設し、該締金受10aに、レバー10b、係止爪10cを有する回転軸10eを回転可能に設け、レバー10bの回動により、図3に示すように、係止爪10cが車体1側の係止穴10fに係止し、幌金枠3を車体1に取り外し可能に連結できるようになっている。なお、パッキン9は前記底板8の下側全面に亘って設けられている。
【0023】
前記底板8には、その車体側取付面8aと反対の面において、その面に略直交する方向に、通路6側に位置する内枠壁11と、通路6と反対側に位置する外枠壁12が相互に所定の間隔を有して並列的に起立されており、これら内外枠壁11,12と底板8とで、先部が開口する溝状の幌布取付用空間13が形成されている。前記内枠壁11と外枠壁12の夫々の先端部には、前記幌布取付用空間13側へ突出する内側係止部14と外側係止部15が形成されている。更に、内枠壁11側の内側係止部14における幌布取付用空間13側への突出量L6は、外枠壁12側の外側係止部15の突出量よりも大きく設定されている。また、該両係止部14と15との対向間には開口部16が形成されている。前記底板8、内外枠壁11,12、両係止部14,15は、金属材料で一体に形成し、その幌金枠3の全周に亘って形成されている。
【0024】
幌5は幌布17と幌骨18とで形成され、その幌布17の開口側の端部17aには、全周に亘って芯材19が取り付けられている。該芯材19は金属材、樹脂材などの硬質材で形成され、該芯材19の外周に幌布17の端部17aを巻いて縫糸などで固定して、芯材19が幌布17に固着されている。また、芯材19は、幌布17における通路側面において、通路6側へ突出するようにして設けられている。更に、図3の実施例においては、芯材19が横断面方形に形成され、該芯材19に幌布17の端部17aを巻設した状態における縦幅寸法L1が前記内側係止部14の裏面14aと幌布取付用空間13の底面13aとの間の寸法L2より若干短く設定され、横幅寸法L3が前記開口部16の幅寸法L5よりも短く設定されている。
【0025】
そして、前記幌布17の端部17aが芯材19とともに前記幌布取付用空間13内であって、かつ、内枠壁11側、すなわち、内側係止部14の裏面14a部に位置して嵌入されている。
【0026】
また、前記寸法L3は、前記内側係止部14の前記突出寸法L6に幌布17の2枚分の厚み寸法を加算した寸法に設定され、芯材19に巻かれた幌布17の外側布17bが平面状態で開口部16から外部へ延出するようになっている。
【0027】
前記幌布取付用空間13内には、押え材20が、外枠壁12側に位置して挿入され、該押え材20と前記芯材19に巻き付けた幌布17の端部17a、より詳しくは芯材19に巻いた幌布の外側布17bの間に隙間材21が圧入されている。
【0028】
前記押え材20と隙間材21の縦幅(高さ)は、これらを前記底面13aに接触させた状態において、これらの上端より上部に、すなわち、両材20,21の上端面と前記外側係止部15の裏面との間にシーリング材充てん用空間13bが形成されるように設定されている。
【0029】
更に、前記押え材20と隙間材21は、幌金枠3の全周に亘る長さの帯状に形成され、幌金枠3の全周に亘って設けられているが、該押え材20と隙間材21を、幌金枠3の周方向において短いものとして図3のように重ね、これらを幌金枠3の周方向に適宜間隔を有して配置してもよい。更に、押え材20と隙間材21の板厚は、これらを図3に示すように挿入した場合に、芯材19に巻いた幌布17の端部17aが内枠壁11の内面に圧接するように設定されている。すなわち、芯材19に幌布17の端部17aを巻いた状態の前記L3の寸法と、押え材20の板厚寸法と、隙間材21の板厚寸法の総計が幌布取付用空間13の横幅寸法L7と略同等に設定されている。
【0030】
前記押え材20及び隙間材21は硬質材料、例えば塩化ビニール等の硬質樹脂材、アルミニウム等の金属材、硬質ゴム材等で形成されている。更に、前記隙間材21における前記押え材20側の先部にはテーパ面21aが形成され、該隙間材21の圧入操作が容易に行われるようになっている。
【0031】
前記押え材20と隙間材21によって、幌布17の端部17aを、前記内側係止部14を有する内枠壁11側へ押圧する押え部材22を構成している。
【0032】
前記シーリング材充てん用空間13bにはシーリング材23が充てんされている。該シーリング材23としては、予め所定形状に成形されたゴム等の弾性材料からなる成形品を用いて、これをシーリング材充てん用空間13bに圧入してもよい。
【0033】
また、前記シーリング材23として、流動状態で前記開口部16からシーリング材充てん用空間13b内に注入充てんすることにより、注入後、時間の経過によってシーリング材充てん用空間13b内で半硬化或いは硬化し、シール性を発揮するものを使用してもよい。このシーリング材23の材質としては、シリコーン系、ポリウレタン系等のものを使用し、また、製品形態としては、例えば1成分形や多成分形等のものを使用し、また、硬化状態が弾性或いは塑性のものを使用することができる。更に、発泡剤により発泡させるものであってもよく、この場合には水が浸入しない独立気泡のものがよい。
【0034】
前記シーリング材23は幌金枠3の全周に亘って設けられている。
【0035】
次に、組み付け作業について説明する。
【0036】
先ず、芯材19に巻き付けた幌布17の端部17aを、幌金枠3における幌布取付用空間13内へ、開口部16を通じて挿入する。このとき、芯材19が内枠壁11側へ突出する状態で挿入される。
【0037】
次で、押え材20を、前記幌布17の端部17aと外枠壁12との間の幌布取付用空間13内へ、開口部16を通じて挿入する。
【0038】
次で、前記芯材19に巻き付けた幌布17の端部17aと前記押え材20との隙間に隙間材21を圧入介在させる。これにより、芯材19に巻いた幌布17の端部17aは芯材19とともに内枠壁11側へ押し移動され、内枠壁11の内面に圧着する。
【0039】
この隙間材21の圧入時には、芯材19を巻いた幌布の内側布17bが平面状態で開口部16から外部へ延出しているため、隙間材21の圧入操作が容易に、かつ、確実に行える。また、隙間材21の先部にテーパ面21aが形成されているため、該隙間材21の圧入が容易に行える。
【0040】
次で、前記両材20,21の上部のシーリング材充てん用空間13b内に開口部16よりシーリング材23を充てんする。このシーリング材23が、前記のように予め所定形状に成形されたゴム等の成形品である場合にはこれをシーリング材充てん用空間13b内に圧入し、また、前記のような流動体である場合にはシーリング材充てん用空間13b内に注入する。
【0041】
以上により、芯材19に巻いた幌布17の端部17aに、これが幌金枠3より外れる方向に力が作用した場合には、その端部17aが内枠壁11に形成した内側係止部14の裏面に係止され、その端部17aが幌金枠3より抜け外れることが阻止される。
【0042】
また、前記のように充てんされたシーリング材23は、前記のように挿入された幌布17の端部17aにおける外側布17bの外面と外枠壁12の内面に密着し、このシーリング材23によって、雨水が、幌金枠3の開口部16から幌5内の通路6側へ浸入することを防止する。
【0043】
また、このシーリング材23は、その幌布17と外枠壁12との接触摩擦力により前記のように挿入された押え材20と隙間材21の外部への脱落防止機能も有する。更に、シーリング材23が外側係止部15に係止することにより、一層シーリング材23の外脱が防止され、前記の脱落防止機能が一層高まる。
【0044】
なお、幌5における幌布17の他方の端部も前記と同様の構造と作業により、他方の幌金枠4に取り付ける。
【0045】
そして、前記のように幌布17を取り付けた両幌金枠3,4を、パッキン9を介して車体1,2の妻面1a,2aに、締金10により連結する。
【0046】
以上のようであるか、幌布取付用空間13内への幌布17の端部17aの挿入と押え材20の挿入は、空間的余裕をもって容易に行え、また、隙間材21の圧入操作も容易に行えるため、幌布17の端部17aの幌金枠3への取付作業が容易に行える。また、シーリング材23の充てん作業も容易で、かつ高いシール性が得られる。
【0047】
なお、幌を長期間使用した後、幌布17を張り替える場合は、シーリング材23を除去して押え材22を取り外すことにより、幌布17の端部17aを幌金枠3から容易に取り外すことができる。また、その取り外した押え材20や隙間材21も再使用でき、材料の節約や廃棄による環境問題にも対応できる。
【0048】
図4は第2実施例を示す。
【0049】
本第2実施例は、前記幌布17において、例えば図1に示すキセ布17cを有する部分の幌布のように、2枚の幌布17d,17eからなる部分での幌布の取付構造を示す。
【0050】
このような部分においては、その幌布取付用空間13の横幅寸法L7が前記図3に示す寸法L7と同一であると、前記の押え材20と隙間材21を挿入する空間が、図3の場合よりも狭くなる。そこで、この場合には、図4に示すように、押え材20を、その板厚寸法が図3に示すものよりも薄いものにする。なお、この場合、隙間材21を薄くしてもよく、また、両材20,21を共に薄くしてもよい。
【0051】
その他の構造は前記図1乃至図3に示す第1実施例と同様であるため、前記と同一の部材及び部分には前記と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0052】
本第2実施例においても前記第1実施例と同様の作用、効果を発揮できる。
【0053】
図5は第3実施例を示す。
【0054】
本第3実施例は、前記図3に示す実施例における芯材19の代わりに、その図3に示すものよりも板厚が薄い芯材19Aを使用する場合の構造例を示す。
【0055】
幌布取付用空間13の横幅寸法L7及び内側係止部14の突出量L6、更には押え材20と隙間材21の板厚が前記図3のものと同寸法である場合において、芯材19Aとして、その板厚寸法が前記図3の芯材19の板厚寸法よりも薄いものを使用する場合には、幌布取付用空間13の横幅方向に残り空間が生じる。そこで、図5の実施例においては、前記の残り空間を埋めるように、芯材19Aを巻いた幌布17の端部17aと内枠壁11間に板状の調整材24を挿入介在したものである。
【0056】
その他の構造は前記図3に示す第1実施例と同様であるため、同一の部材及び部分は前記と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0057】
本第3実施例においても前記第1実施例と同様の作用、効果を発揮できる。
【0058】
図6は第4実施例を示す。
【0059】
本実施例は、前記図3に示す第1実施例におる芯材19の代わりに、該芯材19の横幅寸法と同径の円形断面の芯材19Bを使用する場合を示す。
【0060】
このような断面円形の芯材19Bを使用すると、幌布取付用空間13において、芯材19Bに巻いた幌布17の端部17aと底面13a又は内枠壁14の裏面14a間に残り空間13cが生じる。そこで、この残り空間13cにおいて、前記内枠壁11と隙間材21との間に間隔保持部材25を介在して、隙間材21と内枠壁11との間隔を保持するようにしたものである。
【0061】
なお、芯材の断面形状が円形以外の場合において、前記のような残り空間13cが生じる場合にも、前記の間隔保持部材25を介在する。
【0062】
その他の構造は前記図3に示す第1実施例と同様であるため、同一部材及び部分は前記と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0063】
本第4実施例においても前記第1実施例と同様の作用、効果を発揮できる。
【0064】
図7乃至図10は第5実施例を示す。
【0065】
図7は本第5実施例を示す斜視図であり、図8は図7におけるC−C線断面図で、シーリング材を除いた図、図9は図7におけるD−D線断面図で、シーリング材を除いた図、図10はシーリング材を充てんした状態のC−C線での断面図である。
【0066】
本第5実施例は、前記のような芯材に巻いた幌布端部17aの略全周にシーリング材を充てんする場合の例である。
【0067】
この実施例では、図7乃至図9に示すように、芯材19Cに巻いた幌布17の端部17aと内枠壁11との間に空間13dが形成されるようにし、かつ、幌布取付空間13内に、幌金枠3の周方向において所定の間隔を有して図7及び図9に示すように、前記と同様の押え材20及び隙間材21と、別に隙間形成材26を挿入介在したものである。
【0068】
前記隙間形成材26は、前記図3に示す幌布取付用空間13の底部において、内枠壁11と外枠壁12の間にほぼ一ぱいに嵌合する長さを有する底板26aと、内枠壁11側の端部において、前記空間13dに嵌合する厚みを有する立上り板26bとからなる断面L状に形成されている。更に、前記芯材19Cの板厚と前記立上がり板26bの板厚と、前記内側係止部14の突出量L6との関係は、図9に示すように組み付けた場合に、前記内側係止部14の内端面と幌布17との間に空間27が形成されるように設定されている。また、芯材19Cの高さは、内側係止部14の裏面と幌布17間に空間28が形成されるように設定されている。
【0069】
更に、前記隙間形成材26における幌金枠3の周方向の長さL8(図7参照)は、該隙間形成材26が、幌布取付用空間13の長手方向において部分的に設置されるように短く設定されており、該隙間形成材26が幌金枠3の周方向に複数個、所定の間隔を有して設置されている。該隙間形成材26は金属材料や樹脂材料などで形成されている。
【0070】
前記押え材20及び隙間材21は前記図3に示すものと同様のもので、前記隙間形成材26の底板26aの表面側に載置されるようになっているとともに、幌金枠3の周方向に対する長さは、図7に示すように、前記隙間形成材26の長さL8と略同等に設定されている。そして、該押え材20と隙間材21は、前記のように所定の間隔を有して配置された各隙間形成材26毎に設けられている。
【0071】
前記幌布取付用空間13であって、前記芯材19Cを巻いた幌布17の端部17aと、前記隙間形成材26と、前記押え材20と、隙間材21を除く空間部には、図7及び図10に示すように、シーリング材22Aが充てんされている。該シーリング材22Aは、前記図3に示す第1実施例において説明したシーリング材23と同様の材質のものであるが、図7乃至図10に示す第5実施例においては、流動状態で開口部16から注入した後に、幌布取付用空間13内で、時間の経過とともに半硬化或いは硬化するものを使用する。
【0072】
本第5実施例の組み付け作業について説明する。
【0073】
先ず、隙間形成材26を幌布取付用空間13内に開口部16から挿入して図7及び図9に示すように設置する。この隙間形成材26は、幌金枠3の周方向において適宜間隔を有して複数設置する。
【0074】
次で、芯材19Cに巻き付けた幌布17の端部17aを、幌布取付用空間13内に、開口部16から挿入して、隙間形成材26の底板26aに載置するとともに立上り板26bの内側面に図示のように位置させる。
【0075】
次で、押え板20を開口部19から挿入して隙間形成材26の底板26a上に設置し、次で、該押え材20と前記芯材19Cに巻き付けた幌布17の端部17aとの隙間に隙間材21を圧入介在させる。これにより、前記第1実施例と同様に、芯材19Cに巻いた幌布17の端部17aは幌金枠3に固定される。
【0076】
次で、開口部16から、流動状のシーリング材23Aを注入する。この注入により、そのシーリング材23Aは、先ず押え材20、隙間材21及び隙間形成材26が存在しない図8に示すような空間13eから、芯材19Cに巻き付けた幌布17の端部17aにおける先端と幌布取付用空間13の底面13aとの空間13fを通って幌布17の端部17aと内枠壁11との空間13dに回り込んで該空間13dに充てんされる。このとき、空間13d内の空気は空間27,28から排出され、図10に示すような空間13d内へのシーリング材23Aの充てんが支障なく行われ、また、隙間27,28内にもシーリング材23Aが充てんされる。
【0077】
そして、更に、空間13e内にもシーリング材23Aを図10に示すように充てんする。これにより、芯材19Cに巻いた幌布17の端部17a、押え材20、隙間材21、隙間形成材26以外の空間にシーリング材23Aが充てんされる。
【0078】
本第5実施例においては、幌布17における端部17aの幌金枠3への連結を、前記第1実施例と同様に、容易かつ確実なものとし、更に、幌金枠3内に挿入した幌布17の端部17aの略全面にシーリング材23Aを行き渡らせて、水密性を高めることができる。
【0079】
更に、本第5実施例のように押え材20と隙間材21と隙間形成材26を、幌金枠3の周方向に短いものにすることにより、幌金枠3の周方向の略全長に亘って設ける場合に比べて材料の節約を図ることができる。
【0080】
図11は第6実施例を示す。
【0081】
本第6実施例は前記図3に示す第1実施例におけるシーリング材23に代え、紐状に成形された弾性型材からなるシーリング材23Bを用い、これをリング材充てん用空間13bに詰め込んだものである。この弾性型材からなるシーリング材23Bの断面形状は、開口部16の幅寸法L5に多少のばらつきがあっても水密性が良く、外側係止部15に係止しやすく、かつ組み付けが容易なものにするもので、例えば図11(b)に示すように横断面形状をV字形に形成して、これを図11(a)に示すように閉じ状態で詰め込み、その復元力でシールするようにしてもよい。
【0082】
その他の構造は前記第1実施例と同様であるため、同一部材及び部分には前記と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0083】
本第6実施例においても、前記第1実施例と同様の作用、効果を発揮できる。
【0084】
なお、前記図3乃至図6に示す実施例におけるシーリング材23を前記弾性型材23Bに代えて使用してもよい。
【0085】
図12は第7実施例を示す。
【0086】
本第7実施例は、前記第1実施例において、その幌金枠3と車体1との連結構造が異なる例を示す。
【0087】
本第7実施例は、前記第1実施例における幌金枠3の底板8に、車体1側へ突出する座部30を金属材料で一体成形し、その座部30の車体接触面31の一部に凹部32を形成し、該凹部32にパッキン33を備えて幌金枠3Aを形成したものである。
【0088】
また、この幌金枠3Aは、前記図3に示すような締金10によって、車体1に取り外し可能に連結される。
【0089】
その他の構造は前記第1実施例と同様であるため、前記と同一部材及び部分には前記と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0090】
本第7実施例においては、幌金枠3Aを締金10によって車体1側へ押圧的に連結することにより、パッキン33が圧縮されて、該パッキン33が存在しない車体接触面31が直接車体1の妻面1aに接触して車体1に連結される。したがって、図3に示す実施例のパッキン9及び図17に示すパッキン110に比べて、幌金枠3Aにおける剛体の座部30が、その車体接触面31で車体1に直結し、幌金枠3Aが強固に安定して車体1に連結できる。更に、パッキン33が小さなものでもよく、更に締金10によってパッキン33を一定の適切圧縮量にすることができ、水密性が良く、かつパッキン33の寿命を長くすることができる。
【0091】
図13は第8実施例を示す。
【0092】
本第8実施例は、前記図12に示す実施例の他の応用例を示すもので、図12における締金10を車体1側に固設した締金10Aとし、該締金10Aによって幌金枠3Aを車体1側へ連結するようにしたものである。すなわち、座部30の横幅を前記内枠壁11と外枠壁12の対向間隔と略同等にし、かつ、座部30に係止段部34を形成し、また、車体1側に備えた取付板10hに、係止爪10gを固着したボルト10iを設けて、係止爪10gを前記係止段部34に回転して係止した後、ボルト10iをダブルナット10jにより締め付けて、幌金枠3Aを車体1に取り外し可能に連結するようにしたものである。
【0093】
その他の構造は前記図12に示す第7実施例と同様であるため、前記と同一部材及び部分には前記と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0094】
本第8実施例においても前記第7実施例と同様の作用、効果を発揮できる上に、幌金枠3Aの横幅を狭くして車体1に少面積で取り付けられる利点を有する。
【0095】
なお、本第8実施例における幌金枠と車体との連結構造を前記図4乃至図11に示す第2乃至第6実施例に適用してもよい。
【0096】
図14は第9実施例を示す。
【0097】
本第9実施例は、前記図13に示す第8実施例の幌金枠3Aにおける座部30の先部を、図14に示すような曲面座部30Aとし、該曲面座部30Aを、車体1に固着した取付枠35に設けられたパッキン36に圧接するようにした幌金枠3Bである。
【0098】
また、締金10Bは、前記取付枠35に取付板37を固設し、該取付板37に止板39を固着したボルト40を備え、幌金枠3Bの前記曲面座部30Aをパッキン36に当接し、その後、ボルト40とともに止板39を回転して該止板39を係止段部38に係止し、ダブルナット41によりボルト40を締め付け固定して、幌金枠3Bを取付枠35に取り外し容易に連結するようになっている。
【0099】
その他の構造は前記第1実施例と同様であるため、前記と同一部材、部分には前記と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0100】
本第9実施例においても前記第1実施例と同様の作用、効果を発揮できる。
【0101】
なお、前記各実施例においては、外枠壁12側にも外側係止部15を形成したが、この外側係止部15をなくしてもよい。
【0102】
また、前記各実施例においては、幌布17の端部17aを内枠壁11側へ押圧する押え部材22を、押え材20と隙間材21に2分割して形成したが、これらを1枚の板材で形成してもよい。この場合には、外側係止部15を設けないことが望ましい。
【0103】
【発明の効果】
以上のようであるから、請求項1及び2記載の発明によれば、幌金枠に対する幌布の端部の取付作業は、幌布取付用空間内への幌布の端部の挿入と、押え材及び隙間材(押え部材)の挿入作業でよく、更に、その押え部材は挿入された幌布の端部の片側のみへの挿入操作であるため、前記図18のようなリベット止めや図20に示すように幌布の両側に幌布押えを圧入するものに比べて幌布の端部の取付作業が極めて容易になる。
【0104】
更に、本発明の押え部材にはシール機能を要求しないため、該押え部材として、前記図20や図21に示す幌布押えのような挿入性と水密性の両立を図る材質にする必要がなく、挿入作業の容易性を主として、幌布の取付作業性の向上を図ることができる。
【0105】
更に、幌布の端部及び押え部材を挿入するための開口部にシーリング材を充てんしたので、前記図17乃至図21に示す従来の構造に比べて水密性が高くなり、防水効果を高めることができる。更に、シーリング材の存在によって、挿入された押え部材が外部へ脱落することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用する車両用幌を車体に取り付けた状態の側面図。
【図2】図1のA−A線より見た幌金枠を示す図。
【図3】本発明の幌取付装置の第1実施例を示すもので、図2におけるB−B線拡大断面図。
【図4】本発明の第2実施例を示す要部断面図。
【図5】本発明の第3実施例を示す要部断面図。
【図6】本発明の第4実施例を示す要部断面図。
【図7】本発明の第5実施例を示す要部の斜視図。
【図8】図7におけるC−C線断面図で、シーリング材は除かれている。
【図9】図7におけるD−D線断面図で、シーリング材は除かれている。
【図10】シーリング材を充てんした図7におけるC−C線断面図。
【図11】本発明の第6実施例を示すもので、(a)は要部の断面図、(b)はシーリング材を示す断面図。
【図12】本発明の第7実施例を示す要部の断面図。
【図13】本発明の第8実施例を示す要部の断面図。
【図14】本発明の第9実施例を示す要部の断面図。
【図15】従来構造を説明するための車両用幌を示す側面図。
【図16】図15におけるE−E線より見た幌金枠を示す図。
【図17】図16におけるF−F線拡大断面図で、第1の従来の技術を示す。
【図18】第2の従来の技術を示す断面図。
【図19】第3の従来の技術を示す断面図。
【図20】第4の従来の技術を示す断面図。
【図21】第5の従来の技術を示す断面図。
【符号の説明】
3,3A,3B 幌金枠
11 内枠壁
12 外枠壁
13 幌布取付用空間
13b,13d〜13f 空間
14,15 係止部
16 開口部
17 幌布
17a 幌布の端部
19,19A,19B,19C 芯材
20 押え材
21 隙間材
22 押え部材
23,23A,23B シーリング材
Claims (2)
- 幌金枠に、その全周にわたって幌布の端部を取り付ける装置において、幌金枠の幌布取付け側面に、通路側に位置する内枠壁と、通路側と反対側に位置する外枠壁を所定の間隔を有して並列に突設して、これら両枠壁間に、先部が開口する幌布取付用空間を設け、かつ、前記内枠壁の先部に、前記幌布取付用空間側へ突出する係止部を設け、芯材に巻き付けた幌布の端部を、前記開口部から幌布取付用空間内に挿入し、更に、幌布取付用空間内で、かつ、前記外枠壁と前記幌布の端部との間に、硬質材料からなる押え材を幌金枠の全周にわたり挿入し、該押え材と前記幌布の端部との間に、前記幌布の端部を前記内枠壁側へ押圧するための硬質材料からなる隙間材を幌金枠の全周にわたり挿入することにより、前記芯材に巻き付けた幌布の端部を、前記係止部と前記内枠壁とで形成される空間内に収納して、前記係止部の裏面に係止させるようにし、更に、前記幌布取付用空間部の少なくとも開口部分にシーリング材を充てんしたことを特徴とする連結した車体の妻面に設けられる車両用幌における幌布取付け装置。
- 幌金枠に、その全周にわたって幌布の端部を取り付ける装置において、幌金枠の幌布取付け側面に、通路側に位置する内枠壁と、通路側と反対側に位置する外枠壁を所定の間隔を有して並列に突設して、これら両枠壁間に、先部が開口する幌布取付用空間を設け、かつ、前記内枠壁の先部に、前記幌布取付用空間側へ突出する係止部を設け、芯材に巻き付けた幌布の端部を、前記開口部から幌布取付用空間内に挿入し、更に、幌布取付用空間内で、かつ、前記外枠壁と前記幌布の端部との間に、硬質材料からなる複数の押え材を幌金枠の周方向に所定の間隔を有して挿入し、該押え材と前記幌布の端部との間に、前記幌布の端部を前記内枠壁側へ押圧するための硬質材料からなる複数の隙間材を幌金枠の周方向に所定の間隔を有して挿入することにより、前記芯材に巻き付けた幌布の端部を、前記係止部と前記内枠壁とで形成される空間内に収納して、前記係止部の裏面に係止させるようにし、更に、前記幌布取付用空間部の少なくとも開口部分にシーリング材を充てんしたことを特徴とする連結した車体の妻面に設けられる車両用幌における幌布取付け装置。
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