JP3992478B2 - 人工乳首、哺乳器及びおしゃぶり - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば乳幼児等が授乳等に際して用いる人工乳首、哺乳器及びおしゃぶりに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の人工乳首は、例えば哺乳瓶に取り付けられ、乳幼児等がこの哺乳瓶に収容されたミルク等を飲むために用いられている。
このような人工乳首は、図15に示すように構成されている。図15は人工乳首10の断面図である。
すなわち、人工乳首10は、その内部にミルク等が哺乳瓶等から流入する部分である中空部Aを有している。そして、この中空部Aを覆うように、乳頭部12、乳首胴部11及びベース部13が形成され、これらはシリコーンゴムやイソプロレンゴムなどで成っている。
そして、乳頭部12には、ミルク等が噴出する開口12aが備えられている。
このような人工乳首10が、図示しない哺乳瓶等に取り付けられ、この哺乳瓶に収容されたミルク等をこの人工乳首10を介して飲むことになる。
【0003】
ところで、乳幼児20は、図16等に示すように、実際に母親等の***をくわえて母乳を嚥下するのであるが、乳幼児20が母親等の***をくわえて母乳を嚥下する動作は、大きく分けて「哺乳準備段階」と「哺乳開始段階」に分けられる。以下、それぞれについて説明する。
【0004】
(哺乳準備段階)
図16は、この哺乳準備段階を示す概略説明図である。図16に示すように、乳幼児20が母親等の***30を捉えるときは、先ず、自己の上***27a及び下***27bを大きく開き、自己の舌23が下歯槽堤28bを越え、下***27bに触れるような状態になる。
次に、***をくわえる段階となる。このとき、乳幼児20の上***27a及び下***27bは大きく開き、図16に示すように、例えば***30の乳輪31に密着し、自然と外側、図においては上下方向にめくれるように開く。
また、乳幼児20は舌23によって母親等の乳首の先32aを自己の哺乳窩22の最深部まで伸びるように変形させることになる。このように乳幼児20が自己の哺乳窩22に乳首の先32aを当接させるまで伸ばすことを「第1次伸展」と呼ぶ。
【0005】
このように第1次伸展をさせられた乳首32は、図16の上口蓋21、上歯槽堤28a及び上***27a側に舌23によって押さえつけることになる。このとき乳首32全体は、同時に自己の頬の内側と舌23で包まれる。
また、特に舌23は包んでいる乳首32を変形させることで乳首32を隙間なく包むことになる。
これで、哺乳準備段階が終了する。
【0006】
(哺乳開始段階)
次に哺乳開始段階について説明する。この哺乳開始段階では、先ず、舌23による蠕動様運動が行われる。
具体的には、***30や乳輪31、乳首31に刺激を与え、母乳の分泌を促すと共に母乳を乳首の先21aに移動させるため、図16において舌23がその先端側より膨らみ始め連続的に膨らみが舌23の根本側に向かって移動することになる。そして、その膨らみが乳首の先32aを僅かに越えるところまで移動し、更に、口腔内に移動する。
この状態を示したのが図17(a)乃至(c)である。図17(a)乃至(c)は、図16の舌23と乳首の先32aとの関係において舌23の膨らみが、乳首の先32aを僅かに越え、更に口腔内へ蠕動様運動をしている状態を示す概略拡大説明図である。
このような舌23の、その先端から始まる膨らみの移動により、乳首32は伸び始め、図17(a)に示すように乳首の先32aは若干潰れるように変形しながら先端側に向かって伸びることになる。また、図17(b)に示すように母乳が噴出する直前まで、舌23の膨らみを蠕動様運動で移動させる。これにより乳首32は伸びることになる。
これを上述の第1次伸展と区別するため「第2次伸展」と呼ぶ。このように舌23の先端側の膨らみが移動を始めることにより「第2次伸展」が開始されることとなる。
【0007】
この後、母乳の噴出段階となる。すなわち、第2次伸展によって舌23は母親等の母乳を乳首の先32a側に引き込むように、その膨らみを移動する。そして、図17(a)に示すように蠕動様運動により舌23の膨らみが乳首の先32aの先端に達した時点では、乳首の先32a、舌23の膨らみ、及び哺乳窩22の口腔の奥側の一部と、その奥の軟口蓋24によって、密閉空間Eが形成される。
【0008】
次に、舌23を軟口蓋24に接触させたまま、更に蠕動様運動を行い舌23の膨らみを更に奥に移動させる。すると、図17(b)に示すように密閉空間Eの容積が大きくなり、密閉空間Eが陰圧となる。
このように陰圧となった密閉空間Eが形成されると、乳首の先32aはこの陰圧空間Eに引き込まれ、更に伸展する。この伸展により「第2次伸展」が完了する。
前記舌23の蠕動様運動や、それに伴う陰圧により、乳首の先23に集まった母乳が乳幼児20の口腔内に噴出する。このとき、乳幼児20は、図17(c)に示すように舌23と軟口蓋24との接触を離して密閉空間Eを開放し、噴出した母乳を乳幼児20が嚥下することになる。このようにして、乳幼児20は母親等の母乳を飲むことになる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
母親等が母乳を乳幼児20に与える場合は、以上のようにして乳幼児20が母乳を嚥下する。一方、母乳以外の人工乳を乳幼児20に与える場合も乳幼児20は同様の哺乳行動をとるため、従来より、図15に示すような、外見上母親等の乳首に近似している人工乳首10を哺乳瓶に取り付け、乳幼児20に授乳させていた。
この人工乳首10の乳頭部12の図15に横方向の長さは、図15に示すように母親等の乳首より長く形成されている。これは、人工乳首10を図16に示す上述の哺乳準備段階における「第1次伸展」の長さに予め形成されているためである。
【0010】
しかし、図15に示すような人工乳首10の乳頭部12には、以下のような問題があった。
すなわち、上述の哺乳準備段階では乳幼児20は、人工乳首10をくわえ、図16に示すように舌23によって乳頭部12の先端を図において上方に変形させ、自己の哺乳窩22の最深部に配置させるようにする。
このとき、人工乳首10が充分な軟らかさを有していないと、その先端は、舌23では上方に変形しづらく、乳幼児20は舌23の蠕動様運動をし難いこととなり、また、図17(a)の密閉空間Eを形成し難くなっていた。
更に、人工乳首10が硬い場合、舌23による蠕動様運動を滑らかに行うことができず、また、特に乳頭部12が上下に潰れる方向に変形しないと、密閉空間Eを形成できないという問題があった。
【0011】
また、乳幼児20が舌23の蠕動様運動を行っても、図17(a)に示すような上述の「第2次伸展」と呼ばれる変形が、人工乳首10の乳頭部12に生じ難く、密閉空間Eがより形成し難かった。そして、これがため、図17(b)のような密閉空間Eにおける舌23の膨らみの移動に伴う陰圧が生じ難くなり、乳頭部12の先端に集まった人工乳を陰圧で噴出し難く、乳幼児20が人工乳を嚥下し難いという問題があった。
更にこの問題に伴い乳幼児20が人工乳首10を使用しても人工乳を摂取できるよう口腔内の動きを変えてしまうと、逆に母親等の乳首から哺乳を行い難くなり、混乱してしまうという問題もあった。
【0012】
そこで、本発明は、以上の点に鑑み、母親等の乳首と同様に乳幼児の舌の蠕動様運動により適度に変形や伸展をする人工乳首、哺乳器及びおしゃぶりを提供することを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】
前記目的は、請求項1の発明によれば、先端に開口部を有する乳頭部と、前記乳頭部と連続する曲線で連接されると共に、外側に向かって膨出するように形成された乳首胴部と、飲料を収容する容器に対して配置するために前記乳首胴部に連接して形成されるベース部と、を有し、前記乳頭部及び前記乳首胴部の内面には、他の部分より薄い溝部又は肉厚の薄い部分が形成され、乳幼児の舌の蠕動様運動により伸展をする人工乳首であって、前記人工乳首を固定具によって前記容器に固定し、前記容器の底部を精密万能試験手段の一方の治具に固定し、前記乳頭部の先端部を前記精密万能試験手段の他方の治具に固定し、前記一方の治具と前記他方の治具とを離間する方向に4mm移動させ、その後、更に2mm移動させた際の前記精密万能試験手段で測定された前記人工乳首に生じた引張応力の変化量が1N(ニュートン)乃至2N(ニュートン)の範囲内となるように構成され、前記一方の治具と前記他方の治具とを離間する方向に4mm移動させ、その後、更に6mm移動させた際の前記精密万能試験手段で測定された前記人工乳首に生じた引張応力の変化量が3N(ニュートン)乃至5.5N(ニュートン)の範囲内となるように構成されることを特徴とする人工乳首により達成される。
【0014】
請求項1の構成によれば、前記人工乳首の先端を固定している前記他方の治具と前記容器の底部を固定している前記一方の治具とを4mm及び/又は6mm離間する方向に移動させることになる。そして、このとき、前記双方の治具の移動により、前記人工乳首と前記固定具との間の相対位置が僅かにズレると共に、前記人工乳首も伸展することになる。
この前記ズレは1mmの移動距離として表れるため、実質的に前記人工乳首が伸展した長さは3mm及び/又は5mmとなる。
【0015】
ところで、乳幼児等が上述の蠕動様運動に伴う「第2次伸展」で母親等の乳首を伸展させるとき、その伸展の長さは、個人差があるが一般に、3mmから5mm程度となっている。この3mmから5mm程度という長さは、「第2次伸展」における長さであり、人工乳首を使用して人工乳等を摂取するにあたって非常に重要な伸展長さである。
発明者は様々な人工乳首を製造し、乳幼児等が使用した際の状況を観察したところ、4mm移動した際の引張応力が4.0N以下又は6mm移動した際の引張応力が6N以下の場合、「第2次伸展」が生じることが確認された。
本発明に係る人工乳首はこの要求を充足する理想的な人工乳首となり、母親の乳首と同様に乳幼児の舌の蠕動様運動により適度に変形や伸展、特に「第2次伸展」をする人工乳首となる。そして、乳幼児等が飲料を嚥下等し易くなる。
本発明に係る人工乳首であれば、乳幼児等は母親等の乳首と同様に伸展、特に「第2次伸展」するので、理想的な人工乳首となる。
【0017】
前記構成によれば、前記容器の底部を精密万能試験手段の一方の治具に固定し、前記人工乳首の前記乳頭部の先端部を前記精密万能試験手段の他方の治具に固定し、前記一方の治具と前記他方の治具とを離間する方向に4mm移動させ、その後、更に2mm移動させた際の前記精密万能試験手段で測定された前記人工乳首に生じた引張応力の変化量が1N(ニュートン)乃至2N(ニュートン)の範囲内となるように構成される。
したがって、前述したように乳幼児等は前記人工乳首を3mmまで伸展させ、更にそこから2mm伸展させる際に必要とされる力が低減されており、更に人工乳首を伸展させることができる。このため、乳幼児等は大きく確実に上記「第2次伸展」を人工乳首に生じさせることができ、前記容器内の飲料を円滑に嚥下等することができる人工乳首となる。
【0021】
また、前記構成によれば、前記人工乳首を固定具によって前記容器に固定し、前記容器の底部を精密万能試験手段の一方の治具に固定し、前記乳頭部の先端部を前記精密万能試験手段の他方の治具に固定し、前記一方の治具と前記他方の治具とを離間する方向に4mm移動させ、その後、更に6mm移動させた際の前記精密万能試験手段で測定された前記人工乳首に生じた引張応力の変化量が3N(ニュートン)乃至5.5N(ニュートン)の範囲内となるように構成されている。
このため、乳幼児等によっては、蠕動様運動で乳首を、長く伸展させる場合があるが、この場合も、より弱い力で、より大きく前記「第2次伸展」を行うことができる。
【0024】
好ましくは、請求項2の発明によれば、請求項1の構成において、前記乳首胴部の外径が前記乳頭部側から前記ベース部側にかけて徐々に大となるように形成され、乳首胴部の最大外径が30mm以上の大きさで形成されていることを特徴とする人工乳首である。
【0025】
請求項2の構成によれば、前記乳首胴部の外径が前記乳頭部側から前記ベース部側にかけて徐々に大となるように形成され、乳首胴部の最大外径が30mm以上の大きさで形成されている。
したがって、乳幼児が***を大きくあけて前記人工乳首を捉えることができる。このため、乳幼児の舌が自己の歯槽を越え自己の下***(図16参照)に触れるような状態、すなわち乳幼児が***を捉えているのと同様の位置に舌を配置できるので、円滑な舌の前記蠕動様運動をより行いやすくなる。したがって、前記「第2次伸展」を人工乳首に生じさせ易い人工乳首である。
【0026】
前記目的は、請求項3の発明によれば、飲料を収容する容器と、前記容器に装着される人工乳首と、前記人工乳首を前記容器に固定するための固定具と、を有する哺乳器であって、前記人工乳首には、先端に開口部を有する乳頭部と、前記乳頭部と連続する曲線で連接されると共に、外側に向かって膨出するように形成された乳首胴部と、飲料を収容する容器に対して配置するために前記乳首胴部に連接して形成されるベース部と、が備えられ、前記乳頭部及び前記乳首胴部の内面には、他の部分より薄い溝部又は肉厚の薄い部分が形成され、前記人工乳首は、乳幼児の舌の蠕動様運動により変形や伸展をし、前記容器の底部を精密万能試験手段の一方の治具に固定し、前記乳頭部の先端部を前記精密万能試験手段の他方の治具に固定し、前記一方の治具と前記他方の治具とを離間する方向に4mm移動させ、その後、更に2mm移動させた際の前記精密万能試験手段で測定された前記人工乳首に生じた引張応力が1N(ニュートン)乃至2N(ニュートン)の範囲内となるように構成され、前記一方の治具と前記他方の治具とを離間する方向に4mm移動させ、その後、更に6mm移動させた際の前記精密万能試験手段で測定された前記人工乳首に生じた引張応力の変化量が3N(ニュートン)乃至5.5N(ニュートン)の範囲内となるように構成されることを特徴とする哺乳器である。
【0027】
請求項3の構成によれば、上述の請求項1の作用等を奏する人工乳首を備える哺乳器となる。
【0028】
前記目的は、請求項4の発明によれば、座板部と、前記座板部に装着される人工乳首と、を有するおしゃぶりであって、前記人工乳首は、ほぼ球状の乳頭部と、前記乳頭部と連続する曲線で連接されると共に、外側に向かって膨出するように形成された乳首胴部と、が備えられ、前記乳頭部及び前記乳首胴部の内面には、他の部分より薄い溝部又は肉厚の薄い部分が形成され、前記人工乳首は、乳幼児の舌の蠕動様運動により変形や伸展をし、前記座板部の底部を精密万能試験手段の一方の治具に固定し、前記乳頭部の先端部を前記精密万能試験手段の他方の治具に固定し、前記一方の治具と前記他方の治具とを離間する方向に4mm移動させ、その後、更に2mm移動させた際の前記精密万能試験手段で測定された前記人工乳首に生じた引張応力の変化量が1N(ニュートン)乃至2N(ニュートン)の範囲内となるように構成され、前記一方の治具と前記他方の治具とを離間する方向に4mm移動させ、その後、更に6mm移動させた際の前記精密万能試験手段で測定された前記人工乳首に生じた引張応力の変化量が3N(ニュートン)乃至5.5N(ニュートン)の範囲内となるように構成されることを特徴とするおしゃぶりにより達成される。
【0029】
請求項4の構成によれば、上述の請求項1の作用等を奏する人工乳首を備えるおしゃぶりとなる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の好適な実施形態を添付図面を参照しながら、詳細に説明する。
尚、以下に述べる実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0031】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態にかかる人工乳首の引張応力を測定する精密万能試験手段である精密万能試験機100を示す概略斜視図である。
この精密万能試験機100は、例えば島津製作所社製オートグラフAGS−5kNG等が用いられる。
また、図1に示すように精密万能試験機100は、試験機本体110、計測制御装置120、オペレーションユニット130を有している。そして、試験機本体110には、ロードセル140と一方の治具である移動側負荷治具150及び他方の治具である固定側負荷治具160を備えている。ここで、ロードセル140には例えばSBL−200N等が用いられる。
【0032】
図2は、測定対象である本発明の第1の実施の形態である人工乳首210を固定具であるキャップ220で容器である哺乳瓶230に固定した哺乳器200を精密万能試験機100に装着した状態を示す部分拡大概略図である。
図2に示すように、人工乳首210は当該哺乳器200の仕様説明書通りにキャップ220で哺乳瓶230に装着されており、このとき、キャップ220の締めトルクは80N・cmと比較的強く締めている。そして、人工乳首210の乳頭部の先端部が移動側負荷治具160に挟み込むように固定されている。
図3は、図2の哺乳器200の全体を示す図である。図示するように、人工乳首200は、先端に開口部213を有する乳頭部212と、乳頭部212と連続する曲面で連接されると共に、外側に向かって膨出するように形成された乳首胴部211が形成されている。そして、この乳頭部212の先端部が上述のように移動側負荷治具160に挟まれて固定されている。具体的には乳頭部212の先端から10mm±1mmを挟むように固定する。
【0033】
また、この人工乳首210は、図3に示すように樹脂製のキャップ220を介して、飲料である例えば人工乳等を収容するガラス製の哺乳瓶230に固定されている。
以下、その固定構造を詳細に説明する。図4は、人工乳首210、キャップ220及び哺乳瓶230の関係を示す概略断面図である。
図4に示すように人工乳首210の乳首胴部211に連接してベース部214が形成されている。
そして、このベース部214の図において上に被さるようにキャップ220が配置されている。このキャップ220の内面と哺乳瓶230の外面とは螺合されて固定されるようになっている。
したがって、キャップ220が人工乳首210のベース部214を覆って哺乳瓶230と螺合させると、結果的に人工乳首210を哺乳瓶230に対して固定する働きをする。
【0034】
また、本実施の形態ではキャップ220のベース部側である内側には、固定具側凸部であるキャップ側凸部221が形成されている。一方、ベース部214のキャップ220側の表面には、このキャップ側凸部221に対応するベース部側凹部214aが形成されている。
したがって、ベース部側凹部214aとキャップ側凸部221とを嵌合させることで、人工乳首210とキャップ220との密閉度が増加し、人工乳首210がキャップ220により固定されないで抜け出てしまうのを未然に防止することができる。
また、キャップ220によるベース部214と哺乳瓶230との間の密着性も向上させることができるので、哺乳瓶230内の人工乳等が外部に漏れ出すことも未然に防ぐことができる。
【0035】
なお、本実施の形態ではキャップ220側に凸部をベース部214側に凹部を設けたが、これに限らず、キャップ220側に凹部をベース部214側に凸部を設け嵌合させても構わない。
すなわち、ベース部214側には、ベース部側凸部又はベース部側凹部が形成され、固定具であるキャップ220側には、対応して固定具側凹部又は固定具側凸部が形成されている。
【0036】
以上のように哺乳瓶230と人工乳首210を固定し哺乳器200が形成され、人工乳首210側は、上述のように移動側負荷治具160に挟まれ固定される。一方、哺乳瓶230は、図2に示すように哺乳瓶治具170を介して固定側負荷治具150に固定される。
この哺乳瓶治具170は、固定側負荷治具150が挟持するために突出部171と、この突出部171を哺乳瓶230の底面に形成するためのボルト172とナット173とを有している。
したがって、突出部171をボルト172とナット173で哺乳瓶230の底面に形成し、この突出部171を図2の固定側負荷治具150で挟み込んで固定することで。哺乳瓶230も精密万能試験機100に装着されることになる。
【0037】
図2の哺乳瓶230は、略円筒状で哺乳瓶230の開口部が底面と対向しているので、哺乳瓶治具170を哺乳瓶230の底面に配置されている。
これに対して、哺乳瓶が、くの字状に屈曲し、哺乳瓶230の開口部の対向する面が底面ではなく側面である場合は、人工乳首210に対して、垂下した方向となる、この側面の部位に哺乳瓶治具170を設置することとなる。
また、図4では人工乳首210にベース部214が設けられ、ベース部214をキャップ220で哺乳瓶230に人工乳首210を固定する場合について説明した。しかし、これに限らず、人工乳首の下端部を哺乳瓶230の開口部の周囲に覆うように取り付け、固定具をその表面から哺乳瓶の径方向に向かって取り付ける形式(主に病産院にて使用される哺乳器)であっても構わない。
この場合、人工乳首の下端部が哺乳瓶230の開口部から外れないようキャップ220に代わる固定具として下端部外周を覆い締め付ける固定具を使用する。
【0038】
次に、このように哺乳瓶230に取り付けられ、精密万能試験機100で測定される本実施の形態の人工乳首210について詳述する。
本発明の実施の形態に係る人工乳首210は、具体的には、図5乃至図7に示すように、第1の人工乳首210a、第2の人工乳首210b及び第3の人工乳首210cに分けられる。
【0039】
(第1の人工乳首210aについて)
図5は、第1の人工乳首210aを示す概略断面図である。
図5に示すように、第1の人工乳首210aは、図3と同様にベース部214a、乳首胴部211a、乳頭部212a、そして開口213aを備えている。
この第1の人工乳首210aは、例えばシリコーンゴムから成り、硬度は例えば、15度±5度に形成されている。硬度の範囲としては、5度乃至25度、更に好ましくは10度乃至20度である。
この硬度はJIS−K6253(ISO7619)におけるA型デュロメータによる硬度であり、従来の人工乳首で用いられているシリコーンの硬度である40度と比べ格段に柔らかくなっている。
【0040】
上述の硬度が5度未満の場合は、シリコーンゴムが柔らかすぎて第1の人工乳首210aを使用する乳幼児等が上述の蠕動用運動等をし難いだけでなく、蠕動様運動による乳幼児等の発達を阻害する可能性がある。
また、硬度5度未満のシリコーンゴムで形成された第1の人工乳首210aを哺乳瓶230に装着した場合、哺乳瓶230内の内容量の減少に伴い哺乳瓶230内が陰圧になると、この陰圧の影響を受けて、第1の人工乳首210aの内側が変形する可能性がある。
さらに、硬度5度未満のシリコーンゴムは、乳幼児等の舌による蠕動様運動で第1の人工乳首210aが口腔内の奥に引かれた際(「第2次伸展」)、この人工乳首が変形して哺乳瓶230から外れる危険もある。
したがって、硬度5度未満のシリコーンゴムは、第1の人工乳首210aに適さない。
【0041】
一方、上述の硬度が25度超のシリコーンゴムの場合は、人工乳首としては硬すぎて人工乳首が伸展できないだけでなく、乳幼児等の蠕動様運動等も妨げることになる。すなわち、蠕動様運動は、上述のように人工乳首を変形や伸展させながら口腔が動くものであるため、硬度25度超のシリコーンゴムは硬すぎて人工乳首を変形等させることができないからである。
したがって、硬度25超のシリコーンゴムは、第1の人工乳首210aに適さない。
【0042】
このような硬度で形成されている第1の人工乳首210aの厚みは、図5に示すように乳頭部212aの先端部で例えば2mm程度に形成されている。
この厚みは、従来の1.5mm程度に比べ厚く形成されている。これは、本実施の形態では、シリコーンゴムを比較的柔らかい範囲で選択したため、第1の人工乳首210aが図5の乳頭部212a等が内側に潰れるおそれがあり、これを避けるため従来より肉厚を厚く形成している。
【0043】
また、上述の開口213aは、具体的には丸穴状、十字状、Y字状又は一文字状のスリットなどにより形成されている。
そして、これら乳頭部212a及び乳首胴部211aの内面には、他の部分より肉厚の薄い溝215aが例えば3カ所、環状に形成されている。
この溝部215aは、最も深い部分から徐々に肉厚になるように形成され、溝部215aと第1の人工乳首210aの内面との境界部がなだらかになるように構成され、図5に示すように波形となっている。
【0044】
このように形成される第1の人工乳首210aの図5nおける全高hは、39.4mmであり、乳首胴部211aの最大外形wは、38.6mmである。
また、図5のベース部214aには、通気弁214cが形成されている。この通気弁214cは、ベース部214aに薄肉部を形成し、その薄肉部にスリットを設けることで形成している。このとき薄肉部を傾斜した形状としてもよい。この通気弁214cは、通常は閉じているが、圧力の不均衡が発生した際に開くことで圧力を調整可能な弁体となるよう形成されている。
【0045】
(第2の人工乳首210b及び第3の人工乳首210cについて)
図6及び図7は、それぞれ第2の人工乳首210b及び第3の人工乳首210cを示す概略斜視図である。
これら第2の人工乳首210b及び第3の人工乳首210cは、その構成の多くが図5に示す第1の人工乳首210aと共通するため、同一部分は図5と同一符号を付す等で説明を省略し、以下相違点を中心に説明する。
【0046】
図6に示す第2の人工乳首210bでは、図5の第1の人工乳首210aと異なり、溝部215bが2カ所、環状に形成されている。
図7に示す第3の人工乳首210cでは、上述の第1の人工乳首210aと第2の人工乳首210aと異なり乳首胴部211cと乳頭部212cにかけて溝部を有しておらず、乳首胴部211cから乳頭部212cにかけて、なだらかに肉厚の薄い部分が形成されている。
【0047】
以上のように構成されている第1の人工乳首210a、第2の人工乳首210b及び第3の人工乳首210cのそれぞれを図3に示すように哺乳瓶230にキャップ220を介して取り付け、哺乳器200を形成する。
そして、その後、図2に示すように図1の精密万能試験機100に装着することとなる。
ところで、図8は、図3の側面図を示す概略側面図である。図8に示すように哺乳瓶230の外面の長さ方向の略中央部には、哺乳瓶230の内側に向かって複数、例えば2カ所の湾曲部231が形成されている。
このように哺乳瓶230の側面に向かい合うように2つの湾曲部231を形成されている。したがって、この湾曲部に使用者、例えば乳幼児が指を配置することで哺乳瓶230を把持し易くなっている。
【0048】
ところで、図1に示す精密万能試験機100は、以下のように試験を行う。
先ず、図2に示す移動側負荷治具160の位置を合わせる。
次に、図1に示す精密万能試験機100に上述のように哺乳器200を取り付けて0点補正を行う。
その後、移動側負荷治具160を舌の蠕動様運動が約0.7秒に1回のサイクルで行われていることに合わせ、500mm/分の速度で所定の距離、例えば4mm、6mm、8mmそして10mm移動させる。
そして、それぞれの距離について固定されている人工乳首210の応力を測定した。なお、このうち4mmは、次の根拠による。
【0049】
すなわち、乳幼児等が上述の蠕動様運動で母親等の乳首を伸展させるとき、その伸展の長さは、個人差があるが一般に、3mmから5mm程度となっている。また、前記移動側負荷治具160を上方に移動させた場合、人工乳首210がキャップ220内で浮く等して僅かにズレてしまう。このズレは1mm程度の移動距離として表されるため、本実施の形態では、このズレ量を考えて4mmから6mm程度移動側負荷治具160を移動させる。
【0050】
また、6mm以上となる8mmから10mmは次の根拠による。すなわち、乳幼児等の中には、比較的少数ではあるが、前記蠕動様運動で母親等の乳首を5mm以上伸展させる場合がある。そこで、このような場合を想定し、且つ前記ズレ量を加え6mm以上となる8mmから10mm程度、移動側負荷治具160を移動させた。更に、伸展の変化量等を詳しく把握するため測定等を行った。
図9は、図1の精密万能試験機100で測定をした試料の条件と結果等を示す表である。
以下、図9に示す実施例1乃至3及び比較例1乃至6について説明する。
【0051】
(実施例1)
実施例1は、図5に示す第1の人工乳首210aを備えた哺乳器である。
(実施例2)
実施例2は、図6に示す第2の人工乳首210bを備えた哺乳器である。
(実施例3)
実施例3は、図7に示す第3の人工乳首210cを備えた哺乳器である。
【0052】
(比較例1)
比較例1の哺乳器の詳細は以下のとおり。
販売元(製造元):ピジョン社製、商品名・コード:母乳相談室哺乳瓶A723(日本製)、母乳相談室乳首B361(日本製)
人工乳首の材料等:硬度35度のシリコーンゴム、最大外形(w)が38. 0mm、全高(h)が39.4mm
哺乳瓶:ガラス製、キャップ:PP(ポリプロピレン)製
【0053】
(比較例2)
比較例2の哺乳器の詳細は以下のとおり。
販売元(製造元):APRICA(HANDI−CRAFT)社製、
商品名・コード:Dr.BROWN’S Bottle哺乳器42003(イスラエル国製)、専用乳首42004(ドイツ国製)、
人工乳首の材料等:硬度43度のシリコーンゴム、最大外形(w)が37. 5mm、全高(h)が47.5mm
哺乳瓶:PES(ポリエーテルサルホン)製、キャップ:PP(ポリプロピレン)
【0054】
(比較例3)
比較例3の哺乳器の詳細は以下のとおり。
販売元(製造元):トライスターインターナショナル(EVENFLO)社製、
商品名・コード:elite哺乳器1118111J(1173)(米国製)、elite乳首2115611J(1171)(米国製)
人工乳首の材料等:硬度45度のシリコーンゴム、最大外形(w)が50. 0mm、全高(h)が42.8mm
哺乳瓶:ポリカーボネート製、キャップ:PP(ポリプロピレン)製
【0055】
(比較例4)
比較例4の哺乳器の詳細は以下のとおり。
販売元(製造元):トイザラス(LUVN’CARE)社製、
商品名・コード:NURSINNG SYSTEM哺乳器1508WD(20001111)(中国製)、乳首1314DLA(2000100)(中国製)
人工乳首の材料等:硬度47度のシリコーンゴム、最大外形(w)が38. 0mm、全高(h)が42.8mm
哺乳瓶:ポリカーボネート、キャップ:PP(ポリプロピレン)
【0056】
(比較例5)
比較例5の哺乳器の詳細は以下のとおり。
販売元(製造元):チュチュベビー(ジェックス)社製、
商品名・コード:ファンシーボトルCP−1 CP800、やわらかタイプ乳首YT1050(OA0405)
人工乳首の材料等:硬度33度のシリコーンゴム、最大外形(w)が27. 8mm、全高(h)が40.4mm
哺乳瓶:ポリカーボネート製、キャップ:PP(ポリプロピレン)製
【0057】
(比較例6)
比較例6の哺乳器の詳細は以下のとおり。
販売元(製造元):ピジョン社製商品名・コード:哺乳瓶KP200 A573(日本製)、乳首デラックスS B050(タイ国製)
人工乳首の材料等:硬度35度のシリコーンゴム、最大外形(w)が27.5mm、全高(h)が38.5mm哺乳瓶:ポリカーボネート製、キャップ:PP(ポリプロピレン)製
尚、比較例にて示される商品の硬度は、特定部位となるベース部をJIS−K6253(ISO7619)におけるA型デュロメータに準じて測定することで得た数値である。また、生産国等については包装における表記を使用している。
【0058】
図10は上述の実施例1乃至3及び比較例1乃至6の哺乳器を図1の精密万能試験器100に装着し、上述のように移動側負荷治具160を4mm、6mm、8mm及び10mm移動させた際に、それぞれの人工乳首に生じた引張応力を示すグラフである。
図11は、図10のうち比較例3及び比較例4のデータを削除し、Y軸の値を小さく設定して表したグラフである。
図11に示すように実施例1乃至実施例3の哺乳器は、それらの人工乳首に生じる引張応力が4N(ニュートン)以下で4mm人工乳首を伸展させることができることが分かる。
【0059】
したがって、このときのキャップ220と人工乳首210との間のズレである上述の1mmを考慮すると実施例1乃至実施例3の哺乳器は、4N以下で3mm伸展する人工乳首210であることになる。
一般に、乳幼児等が上述の舌の蠕動様運動を行い母親等の乳首を伸展(上述の「第2次伸展」)させるときは、その伸展の長さは個人差があるが少ないときで3mm程度ととなっている。
したがって、実施例1乃至実施例3の哺乳器の人工乳首210(具体的には第1の人工乳首210a、第2の人工乳首210b及び第3の人工乳首210cである)は、弱い力で母親等の乳首と同様の伸展をすることとなる。このため、実施例1乃至実施例3の人工乳首210は、母親等の乳首と同様に乳幼児等の舌の蠕動様運動で適度に変形や伸展をすることになる。
【0060】
すなわち、乳幼児等が人工乳首210をくわえ、図16に示すように、自己の哺乳窩22の最深部に人工乳首210の先端を当接させるため、舌23で人工乳首210を変形させるときも、人工乳首210の乳頭部212は、容易に変形する(第1次伸展)。このため、乳幼児等は、容易に自己の哺乳窩22の最深部にその先端部を当接させることができる人工乳首210となる。
これに対して、図11の比較例1乃至比較例6の哺乳器の人工乳首は硬く、実施例1乃至実施例3の人工乳首210より大きなエネルギーを加えなければ変形しないので、乳幼児等の舌の動きだけでは変形し難い、すなわち乳頭部の先端部が哺乳窩22の最深部に届きにくい人工乳首となる。
【0061】
また、実施例1乃至実施例3の人工乳首は蠕動様運動で変形し易い柔らかさを有しているため、乳幼児等は乳頭部212を変形させ、その先端部を哺乳窩22の最深部に当接させると共に、自己の舌23と哺乳窩22で人工乳首210全体を覆うことができ、蠕動様運動において舌23を動かし易くなる。
【0062】
このように乳頭部212の先端部が哺乳窩22の最深部に当接しているため、人工乳首210がしっかり哺乳窩22に固定され、舌23の蠕動様運動でも潰れ難い人工乳首210となる。
【0063】
そして、舌23の膨らみの移動に合わせて変形しながら人工乳首210は3mm程度、伸展することなる(第2次伸展)。
また、このような変形や伸展で図17(a)で示す密閉空間Eの容積を小さくすることができる。そして、その後の図17(b)で示すように舌23が移動した場合、大きな陰圧が形成でき、人工乳等の飲料を乳頭部212の開口213から噴出させやすい人工乳首210となる。
【0064】
また、実施例1乃至実施例3の人工乳首210の乳首胴部211の最大外形(w)はいずれも30mm以上となっている。また、乳首胴部211の外形が乳頭部212側からベース部214側にかけて徐々に大となるように形成されている。
したがって、乳幼児等が***を大きく開けて人工乳首210を捉えることができる。このため、乳幼児等の舌23が図16に示す自己の下歯槽28bを越え、下***27bに触れるような状態、すなわち、乳幼児等が母親等の***を捉えているのと同様の位置に自己の舌23を配置できる。更に、徐々に形状を変化させているためスムーズな舌23の前記蠕動様運動がより行い易く、これにより上述の「第2次伸展」を生じやすい人工乳首210となる。
【0065】
ところで、図11に示すように実施例1乃至実施例3の哺乳器は、それらの人工乳首に生じる引張応力が6N(ニュートン)以下で6mm人工乳首を伸展させることができることが分かる。
乳幼児等は、その幅に個人差はあるものの、前記舌23の蠕動様運動で母親等の乳首を多いときで5mm程度まで伸展させる。この場合でも、上記実施例1乃至実施例3の哺乳器の人工乳首210であれば、5mm程度まで容易に伸展させることができ、前記「第2次伸展」の個人差に対応した人工乳首210となる。なお、ここで6mmとしたのは、4mmの場合と同様にキャップ220と人工乳首210とのズレを1mm考慮したものである。
【0066】
ところで、図12は、図10で示す各実施例及び各変形例の4mmに対応する引張応力(N)と6mmに対応する引張応力の変化量と、4mmに対応する引張応力(N)との変化量の数値を表した表である。そして、図13は、図12の数値をグラフ化したものである。
【0067】
図13に示すように実施例1乃至実施例3の哺乳器の人工乳首210は4mm伸展させたのち、その後6mmまで、すなわち2mm伸展させるのに2N(ニュートン)以下となっている。
したがって、乳幼児等は人工乳首210を上述のように3mmまで伸展させた後に、2N以下という非常に僅かな力で、更に2mm人工乳首210を伸展させることができることとなる。
また、比較例1乃至比較例6に比べても極めて小さなエネルギーで人工乳首210を伸展させることできることが分かる。
このため、実施例1乃至実施例3の人工乳首210を使用する乳幼児等はより確実に大きく上記「第2次伸展」を生じさせることができる。
【0068】
また、図12及び図13によれば、実施例1乃至実施例3の哺乳器の人工乳首210を4mmから10mm、すなわち6mm伸展させるには、3N乃至5.5Nの範囲のエネルギーが必要であることがわかる。
このように大きく人工乳首210を伸展させる場合でも、他の比較例1乃至比較例6に比べ著しく小さなエネルギーで伸展させることができるので、乳幼児等の舌の蠕動様運動により、より大きく人工乳首210を伸展等させることができる。
このような実施例1乃至実施例3の人工乳首210a、210b、210cを使用し、実際に乳幼児が哺乳器から授乳を行う様子を外観からの観察及びエコー撮影したところ、母親等の***から授乳を行っている際と同様な口腔の動きを行っていることが確認された。特に、舌の蠕動様運動に伴って人工乳首210a等が「第2次伸展」をしていることが、エコー撮影を観察することで確認された。
【0069】
(第2の実施の形態)
図14は、第2の実施の形態に係るおしゃぶりを示す概略斜視図である。図14に示すように、おしゃぶりは座板部310と、これに取り付けられている人工乳首310を有している。
この人工乳首310は第1の実施の形態の人工乳首210と異なり乳頭部に開口213が形成されていない点を除き略同様の構成である。
したがって、乳幼児等がこのおしゃぶり300を使用することにより舌の蠕動様運動をスムーズに行うことができるので、乳幼児等にとって好ましい刺激を与えることができるおしゃぶりとなる。
なお、このおしゃぶり300を図1の精密万能試験器100に取り付けることで、第1の実施の形態と同様に、所定の伸展量(長さ)における引張応力(N)を測定することができ、その結果は、第1の実施形態と同様であった。
【0070】
また、前記各実施の形態の各構成は、その一部を省略したり、上述していない他の任意の組み合わせに変更することができる。
【0071】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、母親等の乳首と同様に乳幼児の舌の蠕動様運動により適度に変形や伸展をする人工乳首、哺乳器及びおしゃぶりを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態にかかる人工乳首の引張応力を測定する精密万能試験手段である精密万能試験機を示す概略斜視図である。
【図2】測定対象である本発明の第1の実施の形態である人工乳首を固定具であるキャップで容器である哺乳瓶に固定した哺乳器を精密万能試験機に装着した状態を示す部分拡大概略図である。
【図3】図2の哺乳器の全体を示す図である。
【図4】人工乳首、キャップ及び哺乳瓶の関係を示す概略断面図である。
【図5】第1の人工乳首を示す概略断面図である。
【図6】第2の人工乳首を示す概略斜視図である。
【図7】第3の人工乳首を示す概略斜視図である。
【図8】図3の側面図を示す概略側面図である。
【図9】図1の精密万能試験機で測定をした試料の条件と結果等を示す表である。
【図10】実施例1乃至3及び比較例1乃至6の哺乳器を図1の精密万能試験器に装着し、移動側負荷治具160を4mm、6mm、8mm及び10mm移動させた際に、それぞれの人工乳首に生じた引張応力を示すグラフである。
【図11】図10のうち比較例3及び比較例4のデータを削除し、Y軸の値を小さく設定して表したグラフである。
【図12】図10で示す各実施例及び各変形例の4mmに対応する引張応力(N)と6mmに対応する引張応力(N)の変化量と、4mmに対応する引張応力(N)との10mmに対応する引張応力(N)との変化量の数値をそれぞれ表した表である。
【図13】図12の数値をそれぞれグラフ化したものである。
【図14】第2の実施の形態に係るおしゃぶりを示す概略斜視図である。
【図15】従来の人工乳首の断面図である。
【図16】哺乳準備段階を示す概略説明図である。
【図17】図16の舌と乳首の先との関係において舌が蠕動様運動をしている状態を示す概略拡大説明図である。
【符号の説明】
100・・・精密万能試験機、110・・・試験機本体、120・・・計測制御装置、130・・・オペレーションユニット、140・・・ロードセル、150・・・固定側負荷治具、160・・・移動側負荷治具、170・・・哺乳瓶治具、171・・・突出部、172・・・ボルト、173・・・ナット、200・・・哺乳器、210、310・・・人工乳首、210a・・・第1の人工乳首、210b・・・第2の人工乳首、210c・・・第3の人工乳首、211・・・乳首胴部、212・・・乳頭部、213・・・開口、214・・・ベース部、214a・・・ベース部凹部、214c・・・通気弁、215a・・・溝部、220・・・キャップ、221・・・キャップ側凹部、230・・・哺乳瓶、231・・・湾曲部、300・・・おしゃぶり、320・・・座板部、h・・・全高、w・・・最大外径
Claims (4)
- 先端に開口部を有する乳頭部と、
前記乳頭部と連続する曲線で連接されると共に、外側に向かって膨出するように形成された乳首胴部と、
飲料を収容する容器に対して配置するために前記乳首胴部に連接して形成されるベース部と、を有し、
前記乳頭部及び前記乳首胴部の内面には、他の部分より薄い溝部又は肉厚の薄い部分が形成され、乳幼児の舌の蠕動様運動により伸展をする人工乳首であって、
前記人工乳首を固定具によって前記容器に固定し、
前記容器の底部を精密万能試験手段の一方の治具に固定し、
前記乳頭部の先端部を前記精密万能試験手段の他方の治具に固定し、
前記一方の治具と前記他方の治具とを離間する方向に4mm移動させ、その後、更に2mm移動させた際の前記精密万能試験手段で測定された前記人工乳首に生じた引張応力の変化量が1N(ニュートン)乃至2N(ニュートン)の範囲内となるように構成され、
前記一方の治具と前記他方の治具とを離間する方向に4mm移動させ、その後、更に6mm移動させた際の前記精密万能試験手段で測定された前記人工乳首に生じた引張応力の変化量が3N(ニュートン)乃至5.5N(ニュートン)の範囲内となるように構成されることを特徴とする人工乳首。 - 前記乳首胴部の外径が前記乳頭部側から前記ベース部側にかけて徐々に大となるように形成され、乳首胴部の最大外径が30mm以上の大きさで形成されていることを特徴とする請求項1に記載の人工乳首。
- 飲料を収容する容器と、
前記容器に装着される人工乳首と、
前記人工乳首を前記容器に固定するための固定具と、を有する哺乳器であって、
前記人工乳首には、先端に開口部を有する乳頭部と、
前記乳頭部と連続する曲線で連接されると共に、外側に向かって膨出するように形成された乳首胴部と、
飲料を収容する容器に対して配置するために前記乳首胴部に連接して形成されるベース部と、が備えられ、
前記乳頭部及び前記乳首胴部の内面には、他の部分より薄い溝部又は肉厚の薄い部分が形成され、前記人工乳首は、乳幼児の舌の蠕動様運動により変形や伸展をし、
前記容器の底部を精密万能試験手段の一方の治具に固定し、
前記乳頭部の先端部を前記精密万能試験手段の他方の治具に固定し、
前記一方の治具と前記他方の治具とを離間する方向に4mm移動させ、その後、更に2mm移動させた際の前記精密万能試験手段で測定された前記人工乳首に生じた引張応力の変化量が1N(ニュートン)乃至2N(ニュートン)の範囲内となるように構成され、
前記一方の治具と前記他方の治具とを離間する方向に4mm移動させ、その後、更に6mm移動させた際の前記精密万能試験手段で測定された前記人工乳首に生じた引張応力の変化量が3N(ニュートン)乃至5.5N(ニュートン)の範囲内となるように構成されることを特徴とする哺乳器。 - 座板部と、
前記座板部に装着される人工乳首と、を有するおしゃぶりであって、
前記人工乳首は、ほぼ球状の乳頭部と、
前記乳頭部と連続する曲線で連接されると共に、外側に向かって膨出するように形成された乳首胴部と、が備えられ、
前記乳頭部及び前記乳首胴部の内面には、他の部分より薄い溝部又は肉厚の薄い部分が形成され、前記人工乳首は、乳幼児の舌の蠕動様運動により変形や伸展をし、
前記座板部の底部を精密万能試験手段の一方の治具に固定し、
前記乳頭部の先端部を前記精密万能試験手段の他方の治具に固定し、
前記一方の治具と前記他方の治具とを離間する方向に4mm移動させ、その後、更に2 mm移動させた際の前記精密万能試験手段で測定された前記人工乳首に生じた引張応力の変化量が1N(ニュートン)乃至2N(ニュートン)の範囲内となるように構成され、
前記一方の治具と前記他方の治具とを離間する方向に4mm移動させ、その後、更に6mm移動させた際の前記精密万能試験手段で測定された前記人工乳首に生じた引張応力の変化量が3N(ニュートン)乃至5.5N(ニュートン)の範囲内となるように構成されることを特徴とするおしゃぶり。
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