JP3991639B2 - コークス炉の黒煙排出防止方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、コークス炉の煙突から黒煙が排出されるのを防止するコークス炉の黒煙排出防止方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
コークス炉は、隣接する燃焼室により炉壁を介して加熱される炭化室を多数有しており、前記燃焼室からの排ガスは、各燃焼室から蓄熱室および排気弁を経て煙道から煙突に排出されている。炭化室に装炭された石炭は、燃焼室内の燃料ガスの燃焼により、約20〜24時間かけて乾留されコークスとなる。乾留により石炭中の揮発分は石炭ガスとなって吸引ブロワーにて炉外に導かれ、ガス精製工程で処理される。また、コークス炉の燃焼ガスの制御は、燃焼用空気と共に、排ガス中のO2 制御または排ガスのドラフト圧力制御を行い、不完全燃焼を常に最小限に抑える制御がなされている。
【0003】
一方、コークス炉の炭化室と燃焼室の間の炉壁は、珪石煉瓦で構築されており、多数の煉瓦目地が存在している。このようなコークス炉は、老朽化に伴い炉壁に目地切れが生じ、前記排ガス中に炭化室から石炭ガスが流れ出し、排ガスと混ざり、煙道から煙突に排出される。即ち、炭化室から燃焼室内に流れ出した石炭ガスが燃焼室内において不完全燃焼することにより、排ガスが黒煙化して煙突から排出されることとなる。
【0004】
この黒煙は、公害等の環境問題となるため、当然に対策が必要となる。この対策として、従来は、煙突に至る煙道部に電気集塵機やバグフィルターを設置し、発生した黒煙を除去する方法が実施されている(以下、従来技術1という)。
【0005】
しかしながら、コークス炉の煙突ごとに集塵機を設置する従来技術1の場合、設備費用および電力代等の運転コスト、さらには設備メンテナンス費用が嵩むことが問題となってくる。
【0006】
この問題を解決するため、コークス炉からの排ガスを極力少なく集塵することで、設備費用および電力代等の運転経費を少なくする方法が提案されている。特開昭56−104992号では、多数の燃焼室の排ガス経路に集塵機の経路を連結し、燃焼室内への石炭ガスの流れ出しが最も多い時間帯である、炭化室への石炭装入直後を主体的に集塵する方法が提案されている(以下、従来技術2という)。また、特開平6−63334号では、多数の燃焼室の排ガス経路に煤塵濃度計を設置し、煤塵の多い時に集塵系に切換えて集塵する方法が提案されている(以下、従来技術3という)。
【0007】
さらに、図3に示すように、煙突の排ガス処理能力に余裕がある場合、複数のコークス炉の燃焼排ガスを統合し、1つの集塵機で処理した後、1つの煙突に戻す方法も公知となっている(以下、従来技術4という)。図3は、2つのコークス炉1a,1bに適用した例であり、2つの煙道2a,2bに入側経路4を介して単一の集塵機5を接続し、集塵機ブロワー6が設けられた出側経路7を一方の煙突3aに接続している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
前述の従来技術2または3の発明は、いずれも、コークス炉の多数ある燃焼室からの排ガスを全て集塵する従来技術1の方法に比べ、処理する排ガス量が少なくなり、設備費用、運転費用の面からは明らかに有利な方法である。しかしながら、燃焼室からの排ガスを集塵機側に吸引するためのダクトおよび切換弁等の数は必然的に多くなり、炭化室数(燃焼室数)が多いコークス炉においては、設備費用の面で必ずしも有利ではなくなる。加えて、コークス炉の老朽化が進むにつれ、黒煙の発生する燃焼室が石炭装入直後等の一定の時間帯とは限らず常時黒煙が発生してきた場合、集塵機の経路で処理する排ガス量が増加し、当初に考えていた集塵機の処理能力では対応しきれなくなる恐れがある。
【0009】
前述の従来技術4の場合、複数のコークス炉から排出された燃焼排ガスを煙道より取り出し1つの集塵機で処理するため、従来技術2または3の上記の問題を解消することができるが、集塵機で処理された排ガスを1つの煙突へ戻すようにしているため、次のような問題点がある。
【0010】
(1) 図3において、煙道ダンパー(調整弁)10および煙突遮断弁11は、集塵機設置前(コークス炉操業当初)から設けられている設備である。煙道ダンパー10は煙突3のドラフト力を一定に制御する役割を持ち、煙突遮断弁11は、コークス炉1の立ち上げ時に使用されるもので、稼動後は殆ど開固定となる。集塵機5に排ガスを通す場合には、煙突遮断弁11a,11bを全閉の状態で集塵機入側遮断弁12a,12bおよび集塵機出側遮断弁13aを開にし、煙突3aを使用して排ガスを系外に放出する。従って、排ガスを戻さない煙突3bは、集塵機5で排ガスを処理している間は使用されない。使用されない間に煙突内部温度が低下し、ドラフト力が低下する。煙突遮断弁11は、完全に煙道2を遮断するようには作られていないので、全閉時も少なからず隙間が生じている。煙突3bの温度低下によるドラフト力の低下によって、煙突遮断弁11bより空気がリークして集塵機側に流れ込むという現象が起こる。そのため、本来のコークス炉1からの排ガスを処理することができなくなり、コークス炉の排ガス量を減らすか、煙突遮断弁11bを開にして一部を集塵未処理のまま大気中に放散する処置を取らざるを得ない状況となる。
【0011】
(2) 加えて、長時間使用しないために内部温度が低下した煙突3bを再度使用開始する場合(例えば、集塵機5の保守点検のために排ガスを直接煙突3bに排出する場合など)には、煙突内部をバーナー等で加熱して温度を上昇させ、ドラフト力を確保する方法が採られている。そのため、温度上昇までに相当の時間を要するため、集塵機5が何らかの要因で緊急に停止し、即時に煙突遮断弁11a,11bを開にし、煙突3a,3bを使用して排ガスを系外に排出する必要がある場合などに対応することができない。
【0012】
本発明は、前述のような問題点を解消すべくなされたもので、複数のコークス炉から排出される未燃分を含んだ燃焼排ガスを統合し、単一の集塵機で処理した後、コークス炉の煙突に戻すコークス炉の黒煙排出防止方法において、排ガスを通さない煙突から流入する空気の流れ込みを防止し、コークス炉操業に影響を与えることなく黒煙排出防止を図ることが可能なコークス炉の黒煙排出防止方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1は、複数のコークス炉から排出される燃焼排ガスを統合し、単一の集塵機で処理した後、コークス炉の煙突に戻して排出するコークス炉の黒煙排出防止方法において、前記集塵機から煙突に至る経路を複数のコークス炉がそれぞれ個別に有している煙突のそれぞれに接続し、集塵機で処理された排ガスを任意の煙突から排出することを特徴とするコークス炉の黒煙排出防止方法である。
【0014】
即ち、複数のコークス炉から排出される未燃分を含んだ燃焼排ガスを煙道から取り出して統合し、1つの集塵機で処理した後、1つの煙突から排出する従来技術4の問題点を解決するために、集塵機処理した排ガスを複数のコークス炉がそれぞれ個別に有している煙突のそれぞれに戻すことができるようにした。図1は、2つのコークス炉に適用した場合であり、集塵機5で処理された排ガスGを煙突3bに戻す経路7bを新たに設けている。集約するコークス炉の数を増やすことは可能であり、従って、集約可能なコークス炉の数は特に限定されない。
【0015】
本発明の請求項2は、請求項1に記載の黒煙排出防止方法において、集塵機で処理された排ガスを複数のコークス炉の全ての煙突から排出することを特徴とするコークス炉の黒煙排出防止方法である。即ち、図1の例では、両方の煙突3a,3bに集塵機5で処理された排ガスGを戻す場合である。
【0016】
従来技術4は、2つのコークス炉1a,1bから排出される燃焼排ガスを煙道2a,2bから取り出し、集塵機5を経由して一方の煙突3aに戻す方法であった(図3参照)。これに対して、本発明では、図1に示すように、集塵機出側遮断弁13a,13bの双方を開にして、煙突3a,3bの両方に集塵機処理した排ガスGを通すことができ、煙突3a,3bの温度低下は起こらない。従って、従来技術4のような、煙突3bの温度低下・ドラフト力の低下による煙突遮断弁11bからの空気の流れ込みを抑制することができる。そのため、従来技術4のようにコークス炉の排ガス量を減らす、あるいは、一部を集塵機未処理のまま大気中に放散するという問題を解消することができ、複数のコークス炉からの排ガスを安定して処理し、確実に黒煙排出防止を図ることができる。
【0017】
加えて、集塵機5が何らかの原因で停止して集塵機5を介して排ガスを処理する経路が使用できない場合も、煙突3a,3bは温度低下がなくドラフト力が確保されているため、煙突遮断弁11a,11bを開にすることによって、コークス炉1a,1bのそれぞれの排ガスを直接煙突3a,3bにおいて速やかに処理することができる。
【0018】
本発明の請求項3は、請求項1に記載の黒煙排出防止方法において、集塵機で処理された排ガスを複数のコークス炉の一部の煙突から排出することを特徴とするコークス炉の黒煙排出防止方法である。即ち、本発明では、集塵機処理した排ガスを通す煙突と通さない煙突を切り替えて操業することも可能である。これは、例えば、煙突内部の補修を行う場合に有効である。
【0019】
煙突の切替方法については次の通りである。図1において、煙突3aが集塵機5で処理された排ガスGを通し(煙突遮断弁11a閉、集塵機入側遮断弁12aと集塵機出側遮断弁13a開)、煙突3bが排ガスGを通さない状態(集塵機入側遮断弁12b開、煙突遮断弁11bと集塵機出側遮断弁13b閉)であるとする。煙突3bに排ガスを通す際には、先ず集塵機出側遮断弁13bを徐々に開けていく。集塵機出側遮断弁13bが開くと、排ガスGは、遮断弁13aと13bの2つの経路を流れることになる。この時、コークス炉の煙道2a,2bの圧力は、2つの経路が開くことにより、変動することになるが、集塵機入側の圧力計31の圧力を一定に保つように集塵機ダンパー14が閉方向に制御され、さらに微小なドラフト圧変動は、煙道ダンパー10a,10bで制御される。最終的にはある一定のバランスが保たれ、切替が完了することになる。従って、上記切替操作中は、コークス炉1a,1bの燃焼制御に影響を与えることなく切替が可能となる。
【0020】
反対に、一方の煙突、例えば煙突3bに排ガスGを通さなくする場合には、集塵機ダンパー14を開方向に制御し、集塵機出側遮断弁13bを徐々に閉めていく。この時にも、コークス炉1a,1bのドラフト圧は変動することになるが、前記と同様な制御が行えるため、コークス炉1a,1bのドラフト圧は一定に保持され、コークス炉の燃焼制御に影響を与えない。
【0021】
また、煙突3bに排ガスGを通さない時間が長くなった場合、本発明であれば、上記切替方法により、比較的短期間に煙突3bを使用可能にできる。何故ならば、集塵機ブロワー6を介して煙突3bに強制通風することができるため、ドラフト力が低い状態でも煙突3b内に通す排ガス量をある程度調整することができる上に、排ガスGの顕熱により煙突内部の温度上昇を図ることができる。バーナー等を用いてドラフト力を確保する従来法は、自然通風であることから比較すると、短時間に煙突を使用可能とできる。
【0022】
本発明の請求項4は、請求項1に記載の黒煙排出防止方法において、複数のコークス炉を交互に操業し、操業中のコークス炉の燃焼排ガスを集塵機を通してそのコークス炉の煙突から排出し、非操業中のコークス炉の排ガスを集塵機を通さずそのコークス炉の煙突から直接排出することを特徴とするコークス炉の黒煙排出防止方法である。即ち、コークス炉操業に必要な装炭車や押出機を複数のコークス炉で共有している等の理由で、複数のコークス炉を交互に操業する場合である。
【0023】
例えば図1において、2つのコークス炉1a,1bに対して、コークス排出と石炭装入に関わる操業を交互に行うと、黒煙も交互に発生するため、操業中すなわち黒煙発生中のコークス炉1aの燃焼排ガスGa のみを集塵機5に送り、集塵機処理された排ガスGを煙突3aに戻し、他方の非操業中のコークス炉1bの燃焼排ガスGb は集塵機5を通さず煙突3bから直接排出させる。2つのコークス炉の排ガスを全て集塵機で処理する場合と比較して、集塵機での排ガス処理量は半分で済むため、その分だけ集塵機ブロワー6の電力を削減することができる。なお、切替運転時には、煙突3a,3bには排ガスが常に流れているため、煙突内部の温度低下は起こらず、ドラフト力の確保により、交互操業を支障なく行うことができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図示する一実施形態に基づいて説明する。この実施形態は、2つのコークス炉の黒煙排出防止に本発明を適用した例である。図1は、本発明の2つのコークス炉における黒煙排出防止方法を実施するための設備を示したものである。図2は、2つのコークス炉における操業パターン例と煤煙濃度推移の関係を示したものである。
【0025】
図1において、従来技術4の図3と同一部分については、同一符号が付されており、従来技術4と同様に、2つのコークス炉1a,1bの2つの煙道2a,2bに入側経路4を介して単一の集塵機5が接続され、集塵機処理された排ガスGが集塵機ブロワー6を有する出側経路7により排出される。コークス炉1には、燃料制御弁15を介して燃料ガス20が供給され、燃焼空気21が供給される。煙道2には、煙道ダンパー(調整弁)10と煙突遮断弁11が設けられている。煙道2から入側経路7への取り出し経路には、集塵機入側遮断弁12が設けられている。集塵機5と集塵機ブロワー6の間には集塵機ダンパー(調整弁)14が設けられている。また、コークス炉1の出側には圧力計(O2 濃度計)30が設けられ、集塵機5の入側には圧力計31が設けられ、それぞれの検出信号に基づいて煙道ダンパー10、集塵機ダンパー14が制御される。
【0026】
このような構成の設備において、本発明では、集塵機5の出側経路7に煙突3bへの経路を追設し、煙突3bにも集塵機処理した排ガスGを集塵機出側遮断弁13bを介して排出できるようにする。集塵機処理した排ガスGは、煙突3aと3bの両方に戻すことができ、また、煙突3aと3bのいずれか一方に戻すことができ、例えば、次に示すような操業が可能である。
【0027】
(1) 集塵機処理した排ガスGを煙突3aと3bの両方に戻す操業
2つのコークス炉1a,1bが同時に操業している場合であり、黒煙が発生する時間帯に、煙突遮断弁11a,11bを閉じた状態で、集塵機入側遮断弁12a,12bと集塵機出側遮断弁13a,13bを開にして、集塵機処理した排ガスGを煙突3a,3bの両方に戻す。黒煙が発生していない時間帯には、煙突遮断弁11a,11bを開けてコークス炉1a、1bからの燃焼排ガスGa , Gb を直接煙突3a,3bに排出することができる。この操業方法では、従来技術4のような、煙突3bの温度低下・ドラフト力の低下による煙突遮断弁11bからの空気の流れ込みを抑制することができ、2つのコークス炉1a,1bからの排ガスを安定して処理し、確実に黒煙排出防止を図ることができる。加えて、集塵機5が何らかの原因で停止した場合も、煙突3a,3bは温度低下がなくドラフト力が確保されているため、2つのコークス炉1a,1bからの排ガスを直接煙突3a,3bにおいて速やかに処理することができる。
【0028】
(2) 集塵機処理した排ガスGを煙突3aと3bのいずれか一方に戻す操業
例えば、煙突3aまたは3bの内部を補修する場合であり、一方の煙突3bを補修する場合、集塵機出側遮断弁13bを閉じ、コークス炉1aと1bからの燃焼排ガスGa , Gb を集塵機5に通し、集塵機処理された排ガスGを他方の煙突3aに戻す。煙突3bの補修が終了すると、集塵機出側遮断弁13bを開ければ、集塵機ブロワー6の強制通風により煙突3bを短時間に使用可能とすることができ、排ガスGを煙突3bから速やかに排出することができる。
【0029】
以上のような(1) と(2) の操業を切り替える場合に、コークス炉の煙道2a,2bの圧力が変動することになるが、圧力計31の圧力信号に基づいて集塵機ダンパー14を制御し、圧力計30a,30bの圧力信号に基づいて煙道ダンパー10a,10bを制御することで、圧力を一定に保つことができ、コークス炉1a,1bの燃焼制御に影響を与えることなく、切替を行うことができる。
【0030】
(3) コークス炉1a,1bの交互操業
2つのコークス炉1a,1bを交互に操業する場合であり、例えば、コークス炉操業に必要な装炭車や押出機を2つのコークス炉1a,1bで共有し、コークス排出と石炭装入に関わる操業を同時に行えない場合である。コークス排出と石炭装入に関わる操業を交互に行うと、黒煙も交互に発生するため、操業中すなわち黒煙発生中のコークス炉1aの燃焼排ガスGa のみを集塵機5に送り、集塵機処理された排ガスGを煙突3aに戻し、他方の非操業中のコークス炉1bの燃焼排ガスGb は集塵機5を通さず煙突3bから直接排出させる。切替運転時には、煙突3a,3bには排ガスが常に流れているため、煙突内部の温度低下は起こらず、ドラフト力の確保により、交互操業を支障なく行うことができる。
【0031】
【実施例】
図1に示すように、2つのコークス炉1a,1bを統合した設備を設置した。なお、本実施例の2つのコークス炉1a,1bとも、炭化室数46門、燃焼室数47列の炉であり、燃料ガス20は、約4514J/Nm3 (1080kcal/Nm3 )の高炉と石炭ガスを混合したMixガスを使用し、燃焼後の排ガス量は、約2000m3 /min(at200°C)である。
【0032】
先ず、本発明で追設した集塵機出側遮断弁13bを開にした場合と閉にした場合とでの操業の変化を表1に示す。このとき、煙突遮断弁11は両炉とも閉、集塵機入側遮断弁12は両炉とも開、集塵機出側遮断弁13aは開、その他のダンパーは操業条件に応じ任意で変化するものとする。なお、表1で集塵機出側遮断弁13bを閉にした状態が図3の従来技術4を模擬的に表し、集塵機出側遮断弁13bを開にした場合が本発明の方法である。
【0033】
【表1】
【0034】
表1の集塵機出側遮断弁13bを閉にした場合、時間の経過と共に集塵機ダンパー14の開度が大きくなり、全開となる。さらに時間が経過すると、煙道ダンパー10の開度が大きくなり、操業4日目で煙道2b圧力を一定に保つことができなくなり、煙突遮断弁3bを開にする状態となった。これに対して、集塵機出側遮断弁13bを開にした場合は、時間が経過しても集塵機ダンパー14の開度には余裕がある状態を保つことができる。即ち、2つのコークス炉1a,1bからの排ガスGを安定して処理し、確実に黒煙排出防止を図ることができる。
【0035】
なお、本発明では、集塵機出側遮断弁13bを閉にした場合でも、集塵機出側遮断弁13bを開くことで、集塵機ブロワー6の強制通風により煙突3bを短時間に使用可能とすることができ、排ガスGを煙突3bから速やかに排出することができ、従来技術4のバーナー等による方法と比較して,煙突3bを短時間に使用可能とすることができる。
【0036】
次に、図1に示した設備を設置した2つのコークス炉について、操業パターンと煤煙濃度推移との関係を調べた。その結果を図2に示す。この操業パターン例では、設備上の制約(コークス炉操業に必要な装炭車や押出機を共有している等の理由による)から、2つのコークス炉1a,1bは、コークス排出と石炭装入に関わる操業を同時に行うことができない。また、煤煙濃度をみると、操業を行っている時間帯のみ黒煙が発生している。これは、石炭ガスの発生が石炭装入直後の時間帯に多いために、燃焼室排ガス中に流入する石炭ガスも石炭装入直後に多くなるためと考えられる。結果的にコークス炉1a,1bの交互の操業により、黒煙も交互に発生していることが分かった。
【0037】
そこで、集塵機5に通す排ガス量を減少し、集塵機ブロワー6の電力を削減する目的で、表2のような切替運転を行った。
【0038】
【表2】
【0039】
表2に示すように、石炭装入操業中すなわち黒煙発生中のコークス炉1a(あるいは1b)の排ガスのみ集塵機5に通し、もう片方のコークス炉1b(あるいは1a)の排ガスは集塵機5を通さず煙突3bより直接排出し、これを交互に繰り返すこととした。2つのコークス炉1a,1bの排ガスを全て集塵機5で処理する比較例に比べ、排ガスの処理量は半分で済むため、その分、集塵機ブロワー6の電力を削減することが可能となる。なお、切替運転時に煙突3a,3bには排ガスが常に流れているため、煙突内部の温度低下は起こらず、ドラフト力の確保により、交互操業を支障なく行うことができる。
【0040】
なお、1週間程度、排ガスを通さず内部温度が低下した煙突を復帰するのにかかる時間を比較した。バーナーを使用し温度上昇を図る従来法では、30分程度の時間を要するのに対して、集塵機ブロワー6による排ガス強制通風を利用した本発明の方法を用いれば、約5分で復帰が可能となった。
【0041】
なお、以上は、2つのコークス炉の場合について説明したが、3つ以上のコークス炉の場合にも本発明を適用できることはいうまでもない。
【0042】
【発明の効果】
(1) 複数のコークス炉から排出される燃焼排ガスを統合し、単一の集塵機で処理した後、コークス炉の煙突に戻して排出するコークス炉の黒煙排出防止方法において、前記集塵機から煙突に至る経路を複数のコークス炉がそれぞれ個別に有している煙突のそれぞれ煙突に接続して集塵機処理された排ガスを流すようにしたため、煙突内部の温度低下によるドラフト力低下が抑制され、煙突から流入する空気の流れ込みを防止することができる。これにより、従来のようにコークス炉の排ガス量を減らす、あるいは、一部を集塵機未処理のまま大気中に放散するという問題を解消することができ、複数のコークス炉からの排ガスを安定して処理し、確実に黒煙排出防止を図ることができる。加えて、集塵機が何らかの原因で停止して集塵機を介して排ガスを処理する経路が使用できない場合も、煙突は温度低下がなくドラフト力が確保されているため、煙突遮断弁を開にすることで、コークス炉のそれぞれの排ガスを直接煙突において速やかに処理することができる。
【0043】
(2) 複数のコークス炉の煙突ごとに設けられた集塵機から煙突に至る経路を活用して、長時間排ガスを通さずドラフト力が低下した煙突に集塵機ブロワーで強制的に排ガスを送り込むことができ、速やかに煙突のドラフト力を回復させることが可能となる。
【0044】
(3) 複数のコークス炉の煙突ごとに設けられた集塵機から煙突に至る経路を活用して、集塵機処理する必要のあるコークス炉の排ガスのみ集塵機で処理することができ、集塵機ブロワーで消費する電力を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の黒煙排出防止方法を実施するための設備の1例を示すコークス炉の系統図である。
【図2】2つのコークス炉における操業パターン例と煤煙濃度推移の関係を示す図である。
【図3】従来の黒煙排出防止方法を実施するための設備を示すコークス炉の系統図である。
【符号の説明】
G……集塵機処理された排ガス
Ga …コークス炉の燃焼排ガス
Gb …コークス炉の燃焼排ガス
1……コークス炉
2……煙道
3……煙突
4……集塵機の入側経路
5……集塵機
6……集塵機ブロワー
7……集塵機の出側経路
10……煙道ダンパー
11……煙突遮断弁
12……集塵機入側遮断弁
13……集塵機出側遮断弁
14……集塵機ダンパー
15……燃料制御弁
20……燃料ガス
21……燃焼空気
30……圧力計(O2 濃度計)
31……圧力計
a,b…2つのコークス炉設備を区別する符号
Claims (4)
- 複数のコークス炉から排出される燃焼排ガスを統合し、単一の集塵機で処理した後、コークス炉の煙突に戻して排出するコークス炉の黒煙排出防止方法において、前記集塵機から煙突に至る経路を複数のコークス炉がそれぞれ個別に有している煙突のそれぞれに接続し、集塵機で処理された排ガスを任意の煙突から排出することを特徴とするコークス炉の黒煙排出防止方法。
- 請求項1に記載の黒煙排出防止方法において、集塵機で処理された排ガスを複数のコークス炉の全ての煙突から排出することを特徴とするコークス炉の黒煙排出防止方法。
- 請求項1に記載の黒煙排出防止方法において、集塵機で処理された排ガスを複数のコークス炉の一部の煙突から排出することを特徴とするコークス炉の黒煙排出防止方法。
- 請求項1に記載の黒煙排出防止方法において、複数のコークス炉を交互に操業し、操業中のコークス炉の燃焼排ガスを集塵機を通してそのコークス炉の煙突から排出し、非操業中のコークス炉の排ガスを集塵機を通さずそのコークス炉の煙突から直接排出することを特徴とするコークス炉の黒煙排出防止方法。
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