JP3989282B2 - 動圧型軸受装置の製造方法およびその装置 - Google Patents

動圧型軸受装置の製造方法およびその装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、動圧型軸受装置の製造方法に係り、詳しくは、情報機器、例えばHDD、FDD等の磁気ディスク装置、CD−ROM、CD−R/RW、DVD−ROM/RAM等の光ディスク装置、MD、MO等の光磁気ディスク装置などのスピンドルモータ、複写機、レーザビームプリンタ(LBP)、バーコードリーダー等のスキャナモータ、あるいは電気機器、例えば軸流ファンなどの小型モータに利用される動圧型軸受装置の製造方法およびその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、上記列挙したモータは、高回転精度の他、高速化、低コスト化、低騒音化などが推進されるに至っている。これらの要求性能を決定づける要素の一つとして、当該モータのスピンドルを支持する軸受が重要視されており、近年においては、この種の軸受として、上記要求性能に優れた特性を有する動圧型軸受の使用が検討され、あるいは実用化が図られている。
【0003】
例えば、HDD等のディスク装置のスピンドルモータに組み込まれる動圧型軸受装置では、軸部材をラジアル方向に回転自在に非接触支持するラジアル軸受部と、軸部材をスラスト方向に回転自在に非接触支持するスラスト軸受部とが設けられ、これらの軸受部として、軸受面に動圧発生用の溝(動圧溝)を有する動圧型軸受が用いられる。
【0004】
この場合、ラジアル軸受部の動圧溝は、ハウジングや軸受部材の内周面または軸部材の外周面に形成され、スラスト軸受部の動圧溝は、フランジ部を備えた軸部材を用いる場合、そのフランジ部の両端面、あるいは、これに対向する面(軸受部材の端面やハウジングの底面等)にそれぞれ形成される。
【0005】
また、フランジ部を備えていない軸部材を用いる場合には、スラスト軸受部として、軸受面に動圧溝を形成することなく、ハウジングの底面に装着したスラストプレートによって軸部材の端面を支持する構造が採用される場合もある。
【0006】
更に、これらの動圧型軸受装置においては、ハウジングの開口部より軸部材が外方に突出している関係上、ハウジング内に充填されている潤滑油のシールを目的として、ハウジングの開口部に、軸部材の外周を僅かな隙間を介して覆うシール部が設けられる。
【0007】
一方、これらの動圧型軸受装置の製造に際しては、その終段の工程において、未注油の状態で組立てた動圧型軸受装置を真空槽内で潤滑油中に浸漬させた後、大気圧に開放することによりハウジングの内部空間を潤滑油で充満させることが行われる。
【0008】
そして、潤滑油の注油を終えた動圧型軸受装置は、真空槽から取り出されるが、この取り出された動圧型軸受装置のハウジングの外周面や外底面、シール部の外端面、および軸部材の外端面などには、多量の潤滑油が付着している。
【0009】
そこで、これらの各部位に付着している潤滑油は、その後工程で拭き取られるが、従来においては、ポリエチレン系、ポリ塩化ビニル系、あるいはポリ塩化ビニリデン系の樹脂シートあるいは樹脂フィルム、例えばサランラップ(旭化成株式会社製)を使用して上記の各部位から潤滑油を拭き取ることが行われていた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のように樹脂フィルム等を使用して潤滑油の拭き取り作業を行っていたのでは、その作業に繁雑且つ多大な手間や労苦を要すると共に、作業者に強いられる負担が大きくなり、作業能率の悪化を招くおそれがある。それにも拘わらず、この手法では、上述の各部位から潤滑油を確実に拭き取ることが困難となる傾向がある。
【0011】
すなわち、この種の動圧型軸受装置におけるハウジングは、外周面を有する側部と、外底面を有する底部とが別体で構成されるのが通例であって、この両者は加締め等により固定されるものであるため、この両者の接合部には凹凸或いは段差が形成されることになる。したがって、上述のように樹脂フィルム等を使用してハウジングに付着した潤滑油を拭き取る際には、この凹凸等が邪魔になって、円滑な拭き取り作業が阻害されるばかりでなく、凹み部に潤滑油が残存するおそれがあり、製品の品位低下が懸念される。
【0012】
また、ハウジングの開口部側については、シール部の中心に形成された貫通孔を通じて軸部材が外方に突出している関係上、既述のように樹脂フィルム等を使用してその周辺の潤滑油を拭き取る際には、軸部材が邪魔になるという事態を招く。したがって、シール部の外端面や軸部材の外端面に対する潤滑油の拭き取り作業が困難化されるおそれがあると共に、潤滑油が残存する事態も回避できるとは言い難い。
【0013】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、注油処理後に動圧型軸受装置に付着している潤滑油を、容易に且つ効率良く拭き取ることが可能な製造方法およびその装置を提供して、作業能率の改善、並びに製品の品位向上を図ることを技術的課題とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記技術的課題を解決するためになされた本発明に係る方法は、ハウジングと、該ハウジングに収容された軸部材と、ラジアル軸受隙間に生じる潤滑油の動圧作用で前記軸部材をラジアル方向に非接触支持するラジアル軸受部と、前記ハウジングの一端部に設けられたシール部とを備えた動圧型軸受装置を製造する方法において、前記ハウジング内への潤滑油の注油後に、前記シール部の外端面から軸部材に至る領域を気体の吹き付けによる気体流通経路から遮断した状態で、少なくとも該ハウジングの外底面および外周面に気体を吹き付けて、これらの面に付着した潤滑油を拭き取ることを特徴とするものである。ここで、「気体」としては、エアが好ましいが、窒素やアルゴン等の不活性ガス或いはその他の混合ガス等であってもよい。
【0015】
このような構成によれば、少なくともハウジングの外底面(外部に露出している底面)および外周面に付着している潤滑油が、気体によって吹き飛ばされ、あるいは吹き流されることにより、これらの面から不要な潤滑油が拭き取られることになるので、従来のように樹脂フィルム等で潤滑油を拭き取っていた場合のような面倒且つ繁雑な作業が不要になり、作業能率の大幅な改善が図られる。また、ハウジングが、外周面を有する側部と、外底面を有する底部とから別体として構成され、その両者の接合部に加締め等による凹み部や段差が形成されている場合や、ハウジングのその他の部位に凹み部や段差が形成されている場合であっても、その凹み部や段差に残留し易い状態にある潤滑油が気体によって容易に拭い去られることになる。したがって、ハウジングの少なくとも外底面および外周面からは潤滑油が適切に除去され、高品位の動圧型軸受装置を得ることが可能となる。しかも、シール部の外端面(外部に露出しているシール部の端面)から軸部材に至る領域が気体流通経路から遮断されているため、ハウジング外周面を潤滑油が流れても、この潤滑油がシール部の外端面や軸部材側に流入して付着したり、更にはシール部と軸部材との間のシール空間に流入したり等の不具合が生じなくなる。
【0016】
この場合、前記シール部が下方に位置するように動圧型軸受装置を支持した状態で、少なくとも前記ハウジングの外底面および外周面に気体を吹き付けることが好ましい。このようにすれば、気体を下方に向けて吹き付けることが可能となるため、ハウジングの外底面から外周面に亘って潤滑油が自重に逆らうことなく、吹き流されることになり、効率的に潤滑油の拭き取りを行うことが可能となる。
【0017】
また、前記気体を吹き付ける気体吹き付け手段は、単一の気体吹き付け手段であることが好ましい。このようにすれば、ハウジングの外底面と外周面とが直角もしくは略直角に連なっているにも拘わらず、単一の気体吹き付け手段を設置するだけで、ハウジングの前記両面に付着している潤滑油が気体により一挙に拭き取られることになり、この拭き取りに使用する装置の部品点数の削減、低コスト化および小型化が促進されると共に、製造コストの低廉化にも寄与できることになる。
【0018】
更に、前記ハウジング内への潤滑油の注油を行うに際して、未注油の動圧型軸受装置を組立てた後に該動圧型軸受装置を真空槽内で潤滑油中に浸漬する工程を含むものであれば好都合である。何故ならば、潤滑油の注油が終わると、動圧型軸受装置が真空槽から取り出されるが、この取り出された動圧型軸受装置におけるハウジングの外底面や外周面には、多量の潤滑油が付着しているからである。
【0019】
また、上記技術的課題を解決するためになされた本発明に係る装置は、ハウジングと、該ハウジングに収容された軸部材と、ラジアル軸受隙間に生じる潤滑油の動圧作用で前記軸部材をラジアル方向に非接触支持するラジアル軸受部と、前記ハウジングの一端部に設けられたシール部とを備えた動圧型軸受装置を製造する装置において、前記ハウジング内への潤滑油の注油後における少なくとも該ハウジングの外底面および外周面に付着した潤滑油を拭き取る手段が、これらの面に対して気体を吹き付ける気体吹き付け手段で構成されると共に、前記シール部の外端面から軸部材に至る領域が、前記気体吹き付け手段からの気体が流れる気体流通経路から遮断されるように構成したことを特徴とするものである。
【0020】
このような構成を備えた装置によれば、気体吹き付け手段が、少なくともハウジングの外底面(外部に露出している底面)および外周面に付着している潤滑油を、気体によって吹き飛ばし、あるいは吹き流すことになると共に、シール部の外端面(外部に露出しているシール部の端面)から軸部材に至る領域が気体流通経路から遮断されているため、このような構成による作用効果は、上記の方法による場合と同様となる
【0021】
この装置においても、上記の方法と同様にして更なる作用効果を得るべく、シール部が下方に位置するように動圧型軸受装置を支持した状態で、気体吹き付け手段による気体の吹き付けが行われるように構成すること、及び、前記気体吹き付け手段が、単一の気体吹き付け手段からなることが好ましい。また、この装置は、内部に気体流通空間が形成されたケース部材を有し、該ケース部材の内部を、エアブロー空間と、これに連通するエアバキューム空間とに仕切部材で仕切り、前記エアブロー空間に動圧型軸受装置を配置した状態で、前記気体吹き付け手段から気体を吹き付け、その気体を前記エアブロー空間からエアバキューム空間に至らせ且つバキューム手段により吸引するように構成することができる。このようにすれば、気体吹き付け手段による吹き付け力と、バキューム手段による吸引力との相乗作用によって、気体は高い流速を維持しつつ、ハウジングの外底面および外周面に沿って流れることになり、これらの面に付着している潤滑油の拭き取り作用が高威力をもって行われる。
【0022】
また、上記技術的課題を解決するためには、以下に示すような第二の方法を採用することもできる。すなわち、ハウジングと、該ハウジングに収容された軸部材と、ラジアル軸受隙間に生じる潤滑油の動圧作用で前記軸部材をラジアル方向に非接触支持するラジアル軸受部と、前記ハウジングの一端部に設けられたシール部とを備えた動圧型軸受装置を製造する方法において、前記ハウジング内への潤滑油の注油後に、少なくとも前記シール部の外端面および軸部材の外端面に吸引手段による負圧吸引力を作用させて、これらの外端面に付着した潤滑油を吸引して拭き取ることを特徴とするものである。このような構成によれば、少なくともシール部の外端面および軸部材の外端面(外部に露出している軸部材の端面)に付着している潤滑油が、吸引手段により負圧吸引されて、これらの外端面から不要な潤滑油が拭き取られることになるので、従来のように樹脂フィルム等で拭き取っていた場合のような面倒且つ繁雑な作業が不要になり、作業能率の大幅な改善が図られる。更に、軸部材がシール部より外方に突出していても、負圧吸引による手法であれば、この軸部材が左程邪魔にならず、したがって、軸部材の存在に起因して拭き取り難い状態になっている部位についても、潤滑油を不当に残存させることなく好適に拭き取り作業を行えることになる。
【0023】
また、上記技術的課題を解決するためには、以下に示すような第二の装置を使用することもできる。すなわち、ハウジングと、該ハウジングに収容された軸部材と、ラジアル軸受隙間に生じる潤滑油の動圧作用で前記軸部材をラジアル方向に非接触支持するラジアル軸受部と、前記ハウジングの一端部に設けられたシール部とを備えた動圧型軸受装置を製造する装置において、前記ハウジング内への潤滑油の注油後における少なくとも前記シール部の外端面および軸部材の外端面に付着した潤滑油を拭き取る手段が、これらの外端面に負圧吸引力を作用させる吸引手段で構成されていることを特徴とするものである。このような構成を備えた装置によれば、吸引手段が、少なくともシール部の外端面および軸部材の外端面(外部に露出している軸部材の端面)に付着している潤滑油を負圧吸引して、これらの外端面から不要な潤滑油を拭き取ることになるので、上記第二の方法による場合と同様の作用効果が得られる。
【0024】
この場合、前記吸引手段は、前記シール部の外端面と軸部材の外端面とにそれぞれ対応する二つの吸引ノズルで構成されていることが好ましい。このようにすれば、各吸引ノズルのノズル径、ノズル先端位置、および吸引力を管理することにより、潤滑油の吸引量を安定して調整できると共に、その管理も容易に行えることになる。しかも、軸部材の存在に起因して拭き取り難い状態になっている部位についても、容易にノズル先端を位置させることができるため、拭き取り作業をより一層好適に行えることになる。
【0025】
また、前記動圧型軸受装置を軸心廻りに回転させながら前記吸引手段により潤滑油を吸引して拭き取ることが好ましい。このようにすれば、吸引手段を定位置に保持させておくか、或いは例えばスイング等の単純な往復運動を行わせるだけで、前記シール部の外端面および軸部材の外端面が、全周に亘って負圧吸引による拭き取り作用を受け得ることになり、吸引手段の移動機構ひいては拭き取り作業に必要な装置の簡略化や低コスト化に寄与できることになる。
【0026】
なお、上記技術的課題を解決するための手段としては、以上の手法に代えて、以下に示すような手法を採用することも可能である。
【0027】
すなわち、ハウジング内への潤滑油の注油後に、動圧型軸受装置に軸心廻りの回転力を付与すると共に、シール部の外端面および軸部材の外端面に油吸収部材を当接させて、これらの外端面に付着した潤滑油を拭き取るようにする。
【0028】
この場合、前記動圧型軸受装置を軸心廻りに間欠回転させ、その回転停止時に、前記各外端面に前記油吸収部材を当接させるように構成することができる。
【0029】
また、前記動圧型軸受装置に軸心廻りの回転力を連続的に付与すると共に、前記外端面に対する前記油吸収部材の当接力によって動圧型軸受装置の回転を停止させるように構成することもできる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明に係る動圧型軸受装置の製造方法の一実施状況を示す潤滑油の拭き取り装置(製造装置)の概略図、図2は、動圧型軸受装置の内部構造を示す拡大縦断正面図である。
【0031】
説明の便宜上、前記製造方法に係る拭き取り装置の説明に先立って、先ず動圧型軸受装置について詳細に説明する。
【0032】
この動圧型軸受装置1は、図2(a)に示すように、一端に開口部7aを有する有底円筒状のハウジング7と、該ハウジング7の内周に固定された円筒状の軸受スリーブ8と、該軸受スリーブ8の内周に配設された軸部材2と、ハウジング7の開口部7aに固定されたシール部材10とを主たる構成要素とする。
【0033】
前記ハウジング7は、例えば真ちゅう等の軟質金属材料で形成され、円筒状の側部7bと底部7cとを備えると共に、底部7cの内底面7c1のスラスト軸受面となる領域には、例えば図外のスパイラル形状の動圧溝が形成される。なお、この実施形態において、ハウジング7は、側部7bと底部7cとを別体構造とし、底部7cとなる蓋状部材を側部7bの他端開口部に加締めて接着等の手段で固定しているが、側部7bと底部7cとを一体構造としてもよい。
【0034】
前記軸部材2は、例えばステンレス鋼等の金属材料で形成され、軸部2aと、該軸部2aの下端に一体または別体に設けられたフランジ部2bとを備え、軸部2aの外周面に、ぬすみ溝2a1とテーパ面2a2とが形成されている。このテーパ面2a2は、上方に向かって漸次縮径する所定のテーパ角θを有すると共に(図2(b)参照)、このテーパ面2a2の直上方には、円筒面2a3が連続して形成されている。
【0035】
前記軸受部材8は、例えば多孔質体、特に銅を主成分とする焼結金属で形成され、その内部の気孔に潤滑油が含浸されて含油軸受とされている。そして、軸受部材8の内周面8aには、上下二つのラジアル軸受面R1、R2が形成され、これらのラジアル軸受面R1、R2は間隔部R3を挟んで軸方向に離隔しており、何れの軸受面R1、R2も図外のヘリングボ−ン形状の動圧溝を備えている。また、間隔部R3は、軸部2aのぬすみ溝2a1と対向し、両者の間の隙間はラジアル軸受隙間よりも大きくなるように設定されている。なお、この軸受部材8の底面8cのスラスト軸受面となる領域にも、例えば図外のスパイラル形状の動圧溝が形成されている。
【0036】
前記シール部材10は、環状に形成されたものであって、ハウジング7の開口部7aの内周面に圧入および/または接着等の手段で固定されると共に、この実施形態では、シール部材10の内周面10aが円筒状に形成され、シール部材10の下側端面10bが軸受部材8の上側端面8bに当接している。そして、シール部材10の内周面10aは、軸部2aのテーパ面2a2と所定の隙間を介して対向しており、この対向両者間に、ハウジング7の上方に向かって漸次拡大するテーパ形状のシール空間Sが形成されている。
【0037】
次に、上記の内部構造を備えた動圧型軸受装置1の製造方法における潤滑油拭き取り工程に使用される第一の拭き取り装置(製造装置)について説明する。
【0038】
図1に示すように、この第一の拭き取り装置20は、内部にエア流通空間が形成されたケース部材21と、このケース部材21の内部におけるエア流通空間を上方のエアブロー空間22と下方のエアバキューム空間23とに仕切る仕切部材24とを有し、この仕切部材24が動圧型軸受装置1を載置する載置部材としての役割を果たすものである。なお、この実施形態では、ケース部材21は、上部ケース部材21aと下部ケース部材21bとを着脱自在に嵌合させて構成されており、下部ケース部材21bの上端に載置部材(仕切部材)24が固定一体化されている。
【0039】
前記エアブロー空間22は、上部ケース部材21aの内周壁面21aaと、上部ケース部材21aの天井面21abと、載置部材24の上面24aとから画成された空間であると共に、前記エアバキューム空間23は、下部ケース部材21bの内周壁面21baと、載置部材24の下面24bとから覆われた空間である。前記載置部材24の中心部には、シール部材10が下方を指向した動圧型軸受装置1の軸部2a(軸部材2のシール部材10より外方に突出した軸部2a)が遊びをもって嵌入される嵌入孔24cが形成されると共に、その外周側には、エアブロー空間22とエアバキューム空間23とを連通する複数の貫通孔25が形成されている。
【0040】
そして、動圧型軸受装置1が図示のように載置部材24上に載置された状態の下では、シール部材10の外端面10xが載置部材24の上面24aに密接すると共に、ハウジング7の外周面7xとエアブロー空間22の内周壁面21aaとの間にエア流通隙間26が形成され、且つハウジング7の外周面7xの外周側に略外接するように複数の貫通孔25が載置部材24の上面24aに開口している。
【0041】
更に、ケース部材21の上端部には、その先端の噴口27aからエアブロー空間22の下方側に向けてエアを噴射する単一のエア噴射ノズル27(エア吹き付け手段)が装着されると共に、ケース部材21の下端部より下方側には、エアバキューム空間23からエアを吸引するバキューム手段(図示略)が配備されている。したがって、前記エア噴射ノズル27から噴射されたエアは、動圧型軸受装置1のハウジング7の外底面7yから外周面7xに沿うエア流通経路28を通過した後、貫通孔25を経てエアバキューム空間23に至り、バキューム手段により下方に吸引される。なお、ハウジング7の外端面7zおよびシール部材10の外端面10zは、載置部材24の上面24aに密接していることから、この密接領域にエアが流入することはない。
【0042】
以上の構成を備えた潤滑油の第一の拭き取り装置は、動圧型軸受装置1の製造過程において、以下のように使用される。
【0043】
すなわち、図2に示す状態に各構成要素が組立てられた動圧型軸受装置1に潤滑油を注油するに際しては、先ず、未注油の動圧型軸受装置1を組立てた後、この動圧型軸受装置1を真空槽内で潤滑油中に浸漬する。これにより、ハウジング7の内部空間の空気が真空槽内の真空圧で引かれて排出され、該内部空間に空気が介在しない状態となる。この後、大気圧に開放することにより、ハウジング7の内部空間が潤滑油で充満される。
【0044】
このように潤滑油の注油が終わると、動圧型軸受装置1が真空槽から取り出されるが、この取り出された動圧型軸受装置1におけるハウジング7の外底面7yや外周面7x、シール部材10の外端面10z、およびシール部材10より外方に突出している軸部2aの外端面2zや外周面2yには、多量の潤滑油が付着している。
【0045】
この後の拭き取り工程において、前記動圧型軸受装置1を図1に示すように拭き取り装置20の載置部材24上にセットし、エア噴射ノズル27から高圧のエアを下方に向けて噴射する。これにより、ハウジング7の外底面7yおよび外周面7xに沿うエアの流れが生成される。
【0046】
詳述すると、エアブロー空間22内における高圧のエアは、図1に矢印aで示すように、ハウジング7の外底面7yに衝突して、該外底面7yに付着している潤滑油を吹き飛ばすと共に、該ハウジング7の外周面7xに沿って流れることにより、該外周面7xに付着している潤滑油を吹き流し、これらの潤滑油のミストと共に載置部材24の貫通孔25を通過してエアバキューム空間23に至る。
【0047】
そして、エアバキューム空間23に至った潤滑油のミストを含むエアは、同図に矢印bで示すように、バキューム手段によって下方に吸引される。したがって、エア噴射ノズル27による下方への噴射圧と、バキューム手段による下方への吸引力との相乗作用によって、エアは高い流速を維持しつつ、ハウジング7の外底面7yおよび外周面7xに沿って流れることになり、これらの面7y,7xに付着している潤滑油の拭き取り作用が高威力をもって行われる。
【0048】
この場合、図2に示すように、ハウジング7の外周面7xには段差部7x1,7x2が形成され、またハウジング7の外底面7yにも段差部7y1が形成されているが、これらの段差部7x1,7x2,7y1に残留し易い状態で付着している潤滑油も、エアの流れによって好適に拭い去られることになる。
【0049】
図3は、動圧型軸受装置1の製造方法における潤滑油拭き取り工程において、上述のハウジング7の外底面7yおよび外周面7xに対する拭き取り処理の後段または前段の処理で使用される第二の拭き取り装置(製造装置)を例示している。
【0050】
この第二の拭き取り装置30は、シール部材10の外端面10z(軸部2aの外端面2z)が上方を指向した状態にある動圧型軸受装置1を下方より支持する回転治具31を備える。この回転治具31は、ステッピングモータあるいはサーボモータ(図示略)の動作により、動圧型軸受装置1を軸心Z廻りに回転させるべく矢印r方向に回転するように構成されている。なお、この回転治具31には、回転時における動圧型軸受装置1の傾倒を防止するため、該動圧型軸受装置1の下部が嵌合される嵌合凹部31aが形成されている。
【0051】
そして、回転治具31の上方には、該回転治具31により支持された状態にある動圧型軸受装置1の軸部2aの外端面2zと、シール部材10からハウジング7に至る部位の外端面10z,7zとにそれぞれ負圧吸引力を作用させる吸引手段としての二つの吸引ノズル32が配設されている。この二つの吸引ノズル32,32は、ノズル先端32a,32aがそれぞれ、対応する外端面2z,10z(7z)に当接または略当接した状態、好ましくはこれらの外端面2z,10z(7z)との間に僅かな隙間(例えば0.5mm)を介在させた状態で、水平面に対する傾斜角度が30°〜65°に設定され、ノズル位置制御手段33の動作により、径方向に移動(例えば往復動)するように構成されている。また、この第二の拭き取り装置30には、二つの吸引ノズル32に発生する負圧吸引力の制御、換言すれば上述の各外端面2z,10z(7z)に作用する負圧吸引力の大きさや負圧の発生および停止などの制御を行う吸引制御手段34が配備されている。
【0052】
以上の構成を備えた潤滑油の第二の拭き取り装置は、動圧型軸受装置1の製造過程において、以下のように使用される。
【0053】
すなわち、既述の潤滑油の注油工程を終えた動圧型軸受装置1に、ハウジング7の外底面7yおよび外周面7xに対する潤滑油拭き取り処理を終えた後、またはその拭き取り処理を行う前に、前記動圧型軸受装置1を図3に示すように回転治具31上にセットし、該回転治具31を回転させることにより、動圧型軸受装置1を軸心Z廻りに矢印r方向に回転させる。
【0054】
このような状態の下で、ノズル位置制御手段33の動作により、二つの吸引ノズルズル32,32のノズル先端32a,32aを、軸部2aの外端面2zと、シール部材10およびハウジング7の外端面10z,7zとに対して、僅かな隙間を介在させた状態となる位置まで移動させ、必要に応じて径方向に往復動させる。これと同時期に、吸引制御手段34の動作により、二つの吸引ノズル32に負圧吸引力を発生させ、上記の各外端面2z,10z,7zに付着している余分な潤滑油を吸引する。
【0055】
これにより、軸部2aの外端面2zの全域、並びにシール部材10およびハウジング7の外端面10z,7zの全域から、余分な潤滑油が拭き取られることになる。この場合、図2に示すように、ハウジング7の外端面7zとシール部材10の外端面10zとの間には凹み部17が形成されているが、この凹み部17に残留し易い状態で付着している潤滑油も、吸引ノズル32の負圧吸引力によって好適に拭い取られることになる。なお、軸部2aの外端面2z、およびシール部材10からハウジング7に至る外端面10z,7zは、極めて小面積の端面であるため、吸引ノズル32を径方向に往復動させることなく定位置に保持させておいても、潤滑油の負圧による吸引は充分に行われ得る。
【0056】
図4は、上記と同様に軸部2aの外端面2zおよびシール部材10からハウジング7に至る部位の外端面10z,7zに対して潤滑油の拭き取りを施す拭き取り装置の他の例を示している。
【0057】
この拭き取り装置40は、回転軸41aが上方を指向して直立状態となるように基台Fに固定設置されたモータ41と、該モータ41の回転軸41aの上端部に一体回転可能に固定された受け部材42と、該受け部材42の上方に軸受43(例えばアンギュラ軸受)を介して取り付けられた回転治具44とを備える。そして、この回転治具44の上面部に形成された嵌合凹部44aに、シール部材10の外端面10zが上方を指向した状態にある動圧型軸受装置1の下部が嵌合保持されている。
【0058】
また、回転治具44の上方には、綿棒等の油吸収部材45を上下動させることにより該油吸収部材45を動圧型軸受装置1のシール部材10およびハウジング7の外端面10z,7zに当接・離反させる上下昇降機構46が配備されている。この上下昇降機構46は、油吸収部材45の上部に連結ロッド47を介して固定されたウェイト48と、中間軸49廻りに揺動可能に支持されて油吸収部材45をウェイト48と共に上下動させる揺動部材50と、偏心軸51廻りに回転することにより揺動部材50をスプリング52のバネ力と協働して揺動させる偏心カム53とを備える。この場合、揺動部材50の一端部は、連結ロッド47の上下方向中間部に固定された上下一対の鍔部54,54間に介設されて連結ロッド47の上下動に連動して移動すると共に、揺動部材50の他端部は、スプリング52のバネ力によって偏心カム53の外周面に常時当接するように構成されている。
【0059】
この拭き取り装置40によれば、以下に示す動作に基づいて潤滑油の拭き取り作用が行われる。
【0060】
すなわち、モータ41の回転軸41aは、常時回転駆動されており、この状態の下で偏心カム53および揺動部材50がウェイト48と共に油吸収部材45を押し上げている間は、油吸収部材45が動圧型軸受装置1から離反していることにより、受け部材42の回転に連れて回転治具44および動圧型軸受装置1が軸心Z廻りに回転する。
【0061】
これに対して、偏心カム53および揺動部材50がウェイト48と共に油吸収部材45を押し下げることにより、油吸収部材45がシール部材10およびハウジング7の外端面10z,7zに当接した場合には、その当接圧力によって軸受43が空転することになり、これに伴って回転治具44および動圧型軸受装置1の回転が停止する。そして、この回転停止時に、油吸収部材45によって上記各外端面10z,7zから潤滑油が拭き取られる。
【0062】
この後、再び偏心カム53および揺動部材50の動作により、ウェイト48と共に油吸収部材45を押し上げて、回転治具44および動圧型軸受装置1を所定角度だけ回転させた後、再度ウェイト48と共に油吸収部材45を押し下げる。これにより、動圧型軸受装置1のシール部材10およびハウジング7の外端面10z,7zに油吸収部材45を当接させることにより、動圧型軸受装置1の回転を停止させ、前記各外端面10z,7zから潤滑油を拭き取る。
【0063】
このように、動圧型軸受装置1が軸心Z廻りに間欠的に回転し、その回転停止時にのみ油吸収部材45による潤滑油の拭き取りが行われることにより、シール部材10の外端面10zと油吸収部材45との間には摺動が生じなくなり、これによりシール部材10の内周側に塗布されている撥油剤を擦れによる剥離等から有効に保護しつつ、潤滑油の拭き取りを効率良く行うことが可能となる。
【0064】
なお、上述の注油工程の前工程であって、且つ動圧型軸受装置1が組立てられる前工程においては、動圧型軸受装置1の各構成部品に対して、超純水によるイオン除去洗浄が行われる。この場合において、各構成部品(以下、被洗浄物という)を水中から大気へ引き上げる際の移行速度を制御することが好ましい。詳述すると、この移行速度は、20mm/秒以下、好ましくは10〜20mm/秒の範囲内に設定される。これは、20mm/秒以下の移行速度であれば、被洗浄物へのイオン付着量(イオン成分を溶解した水の付着量)が好適に少なくなるのに対して、20mm/秒を超えた場合にはイオン付着量が不当に多くなることが、本発明者らが行った実験により判明している。また、10mm/秒以下の移行速度であれば、それ以上イオン付着量が減らず、引き上げに要する時間が長期化し過ぎるという難点がある。
【0065】
また、超純水によるイオン除去洗浄においては、被洗浄物が水中から大気へ引き上げられた後、次洗浄槽あるいは次工程(乾燥工程)に移る前に、被洗浄物に振動または衝撃(ショック)を与えて、付着水を振り落とすことが好ましい。
【0066】
更に、超純水によるイオン除去洗浄においては、被洗浄物に付着した水の真空乾燥工程の実行時に、水の付着量と被洗浄物の温度とを制御することが好ましい。詳述すると、被洗浄物の比熱を、n(cal/(g・℃))、被洗浄物の重量を、m(g)、温度変化を、ΔT(℃)、付着水量を、M(g)、水の蒸発熱を、Q(cal/g)・583(cal/g) とし、n×m×ΔT=MQ として、乾燥前の被洗浄物の温度T1が、T1−ΔT>0 となるように、付着水量
Mと乾燥前の被洗浄物の温度T1とを制御することが好ましい。なお、上述の被洗浄物は、銅合金で形成されていることが好適であり、またHDDスピンドルモータ用の動圧型軸受装置の構成部品であることが好適である。
【0067】
このように、水の付着量が減少するように被洗浄物の引き上げ速度を制御すれば、洗浄効率が高められると共に、真空乾燥時に被洗浄物の温度制御を行えば、乾燥時間が短くなり、作業能率が改善されるという利点が得られる。
【0068】
以上のような各処理を行った後は、最終の仕上げ処理を行うことにより、動圧型軸受装置1の完成品が得られることになり、この完成品としての動圧型軸受装置1は、以下に示すようにして、モータの一構成要素として使用される。
【0069】
すなわち、図5に例示する情報機器用のスピンドルモータ60は、HDD等のディスク駆動装置に用いられるもので、上述の動圧型軸受装置1の軸部材2に装着されたディスクハブ61と、例えば半径方向のギャップを介して対向させたモータステータ62およびモータロータ63とを備えている。ステータ62はケーシング64の外周に取付けられ、ロータ63はディスクハブ61の内周に取付けられる。動圧軸受装置1のハウジング7は、ケーシング64の内周に装着される。ディスクハブ61には磁気ディスク等のディスクDが一又は複数枚保持される。そして、ステータ62に通電することにより、ステータ62とロータ63との間の励磁力でロータ63が回転し、これによりディスクハブ61および軸部材2が一体となって回転するようになっている。
【0070】
なお、以上の実施形態では、フランジ部を備えた軸部材を用い、そのフランジ部の両端面あるいはこれに対向する面に、スラスト軸受部の動圧溝を形成した動圧型軸受装置に本発明を適用したが、これ以外に、フランジ部を備えていない軸部材を用い、スラスト軸受部として、軸受面に動圧溝を形成することなく、ハウジングの底面に装着したスラストプレートによって軸部材の端面を支持するように構成した動圧型軸受装置についても、同様にして本発明を適用することが可能である。
【0071】
また、以上の実施形態では、ハウジングとシール部材とを別体で構成した動圧型軸受装置に本発明を適用したが、ハウジングにシール部材(シール部)を一体に形成した動圧型軸受装置についても、同様にして本発明を適用することが可能である。
【0072】
更に、以上の実施形態では、ハウジングと軸受部材とシール部材とを別体で構成した動圧型軸受装置に本発明を適用したが、この三者を一体に形成した動圧型軸受装置についても、同様にして本発明を適用することが可能である。
【0073】
【発明の効果】
以上のように本発明に係る動圧型軸受装置の製造方法およびその装置によれば、未注油の動圧型軸受装置に注油を施した後工程において、該装置に付着している潤滑油を拭き取るに際し、少なくともハウジングの外底面および外周面に気体を吹き付けて、これらの面に付着した潤滑油を吹き飛ばし、あるいは吹き流すようにしたから、従来のように樹脂フィルム等で潤滑油を拭き取っていた場合のような面倒且つ繁雑な作業が不要になり、作業能率の大幅な改善が図られる。しかも、ハウジングに凹み部や段差が形成されている場合であっても、その凹み部や段差に残留し易い状態にある潤滑油が気体によって容易に拭い去られることになり、高品位の動圧型軸受装置を得ることが可能となる。加えて、シール部の外端面(外部に露出しているシール部の端面)から軸部材に至る領域が気体流通経路から遮断されているため、ハウジング外周面を潤滑油が流れても、この潤滑油がシール部の外端面や軸部材側に流入して付着したり、更にはシール部と軸部材との間のシール空間に流入したり等の不具合が生じなくなる。
【0074】
この場合、前記シール部が下方に位置するように動圧型軸受装置を支持した状態で、少なくとも前記ハウジングの外底面および外周面に気体を吹き付けるようにすれば、気体を下方に向けて吹き付けることが可能となるため、ハウジングの外底面から外周面に亘って潤滑油が自重に逆らうことなく、吹き流されることになり、効率的に潤滑油の拭き取りを行うことが可能となる。
【0075】
また、前記気体を吹き付ける気体吹き付け手段を、単一の気体吹き付け手段とすれば、ハウジングの外底面と外周面とが直角もしくは略直角に連なっているにも拘わらず、単一の気体吹き付け手段を設置するだけで、ハウジングの前記両面に付着している潤滑油が気体により一挙に拭き取られることになり、この拭き取りに使用する装置の部品点数の削減、低コスト化および小型化が促進されると共に、製造コストの低廉化にも寄与できることになる。
【0076】
更に、前記ハウジング内への潤滑油の注油を、未注油の動圧型軸受装置を組立てた後、この動圧型軸受装置を真空槽内で潤滑油中に浸漬することにより行うようにすれば、潤滑油の注油を終えた後に真空槽から取り出された動圧型軸受装置におけるハウジングの外底面や外周面には、多量の潤滑油が付着しているため、上記の利点を顕著に得ることができる。
【0077】
また、内部に気体流通空間が形成されたケース部材を有し、該ケース部材の内部を、エアブロー空間と、これに連通するエアバキューム空間とに仕切部材で仕切り、前記エアブロー空間に動圧型軸受装置を配置した状態で、前記気体吹き付け手段から気体を吹き付け、その気体を前記エアブロー空間からエアバキューム空間に至らせ且つバキューム手段により吸引するように構成すれば、気体吹き付け手段による吹き付け力と、バキューム手段による吸引力との相乗作用によって、気体は高い流速を維持しつつ、ハウジングの外底面および外周面に沿って流れることになり、これらの面に付着している潤滑油の拭き取り作用が高威力をもって行われる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る動圧型軸受装置の製造方法に使用される第一の拭き取り装置を示す概略正面図である。
【図2】図2(a)は、本発明の実施形態に係る動圧型軸受装置の内部構造を示す縦断正面図、図2(b)は、図2(a)に符号Aで示す箇所の部分拡大縦断正面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る動圧型軸受装置の製造方法に使用される第二の拭き取り装置を示す概略正面図である。
【図4】本発明の実施形態に係る動圧型軸受装置の製造方法に使用される第三の拭き取り装置を示す概略正面図である。
【図5】本発明の実施形態に係る製造方法により製作された動圧型軸受装置がスピンドルモータに組み込まれた状態を示す概略縦断正面図である。
【符号の説明】
1 動圧型軸受装置
2 軸部材
2a 軸部
2z 軸部の外端面
7 ハウジング
7x ハウジングの外周面
7y ハウジングの外底面
7z ハウジングの外端面
10 シール部材(シール部)
10z シール部の外端面
20 油拭き取り装置(製造装置)
27エア噴射ノズル(気体吹き付け手段)
28気体流通経路
32吸引ノズル(吸引手段)
31 回転治具
R1 ラジアル軸受部
R2 ラジアル軸受部

Claims (8)

  1. ハウジングと、該ハウジングに収容された軸部材と、ラジアル軸受隙間に生じる潤滑油の動圧作用で前記軸部材をラジアル方向に非接触支持するラジアル軸受部と、前記ハウジングの一端部に設けられたシール部とを備えた動圧型軸受装置を製造する方法において、
    前記ハウジング内への潤滑油の注油後に、前記シール部の外端面から軸部材に至る領域を気体の吹き付けによる気体流通経路から遮断した状態で、少なくとも該ハウジングの外底面および外周面に気体を吹き付けて、これらの面に付着した潤滑油を拭き取ることを特徴とする動圧型軸受装置の製造方法。
  2. 前記シール部が下方に位置するように動圧型軸受装置を支持した状態で、少なくとも前記ハウジングの外底面および外周面に気体を吹き付けることを特徴とする請求項1に記載の動圧型軸受装置の製造方法。
  3. 前記気体を吹き付ける気体吹き付け手段が、単一の気体吹き付け手段であることを特徴とする請求項2に記載の動圧型軸受装置の製造方法。
  4. 前記ハウジング内への潤滑油の注油を行うに際して、未注油の動圧型軸受装置を組立てた後に該動圧型軸受装置を真空槽内で潤滑油中に浸漬する工程を含むことを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の動圧型軸受装置の製造方法。
  5. ハウジングと、該ハウジングに収容された軸部材と、ラジアル軸受隙間に生じる潤滑油の動圧作用で前記軸部材をラジアル方向に非接触支持するラジアル軸受部と、前記ハウジングの一端部に設けられたシール部とを備えた動圧型軸受装置を製造する装置において、
    前記ハウジング内への潤滑油の注油後における少なくとも該ハウジングの外底面および外周面に付着した潤滑油を拭き取る手段が、これらの面に対して気体を吹き付ける気体吹き付け手段で構成されると共に、前記シール部の外端面から軸部材に至る領域が、前記気体吹き付け手段からの気体が流れる気体流通経路から遮断されるように構成したことを特徴とする動圧型軸受装置の製造装置。
  6. 前記シール部が下方に位置するように動圧型軸受装置を支持した状態で、前記気体吹き付け手段による気体の吹き付けが行われるように構成したことを特徴とする請求項5に記載の動圧型軸受装置の製造装置。
  7. 前記気体吹き付け手段が、単一の気体吹き付け手段からなることを特徴とする請求項6に記載の動圧型軸受装置の製造装置。
  8. 内部に気体流通空間が形成されたケース部材を有し、該ケース部材の内部を、エアブロー空間と、これに連通するエアバキューム空間とに仕切部材で仕切り、前記エアブロー空間に動圧型軸受装置を配置した状態で、前記気体吹き付け手段から気体を吹き付け、その気体を前記エアブロー空間からエアバキューム空間に至らせ且つバキューム手段により吸引するように構成したことを特徴とする請求項5から7の何れかに記載の動圧型軸受装置の製造装置。
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