JP2002147443A - 流体軸受装置 - Google Patents

流体軸受装置

Info

Publication number
JP2002147443A
JP2002147443A JP2000348902A JP2000348902A JP2002147443A JP 2002147443 A JP2002147443 A JP 2002147443A JP 2000348902 A JP2000348902 A JP 2000348902A JP 2000348902 A JP2000348902 A JP 2000348902A JP 2002147443 A JP2002147443 A JP 2002147443A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
shaft
fluid bearing
lubricant
sleeve
thrust
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000348902A
Other languages
English (en)
Inventor
Ikunori Sakatani
郁紀 坂谷
Katsuhiko Tanaka
克彦 田中
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NSK Ltd
Original Assignee
NSK Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NSK Ltd filed Critical NSK Ltd
Priority to JP2000348902A priority Critical patent/JP2002147443A/ja
Publication of JP2002147443A publication Critical patent/JP2002147443A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Sliding-Contact Bearings (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 薄型で、耐衝撃性に優れ、且つ使用環境が変
化しても不安定振動が発生しにくい流体軸受装置を提供
する。 【解決手段】 一体的に形成されたフランジ部15を一
端に有する軸13と、該軸13にラジアル流体軸受Rの
流体軸受すきまを介して対向するスリーブ12と、を備
えるとともに、軸13の両端面のうちフランジ部15が
設けられた側の端面に、センター穴20を備えるスピン
ドルモータにおいて、センター穴20内に充填剤を充填
して、センター穴20を塞いだ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、情報機器,音響・
映像機器,事務機等に使用される流体軸受装置に係り、
特に、磁気ディスク装置(以降はHDDと記す),光デ
ィスク装置等に最適な流体軸受装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のこの種の流体軸受装置としては、
例えば、図2に示すようなHDD用スピンドルモータが
ある。このものは、ベース101に立設した円筒部10
1aの内側に、底板100aを有する円筒体状のハウジ
ング100が内挿されており、これらは一体的に固着さ
れている。そして、ハウジング100の内周面には円筒
体状のスリーブ102が内挿されていて、一体的に固着
されている。
【0003】さらに、スリーブ102には、軸103が
回転自在に挿通されている。軸103の上端には、逆カ
ップ状のハブ104が一体的に取り付けられており、軸
103の下端には、円板状のスラストプレート105が
圧入により固着されている。このスラストプレート10
5の両平面は、スラスト流体軸受Sのスラスト受面10
5s,105sとされている。そして、上側のスラスト
受面105sには相手部材であるスリーブ102の下端
面がスラスト流体軸受Sの流体軸受すきまを介して対向
し、スリーブ102の下端面がスラスト流体軸受Sのス
ラスト軸受面102sとされている。
【0004】また、下側のスラスト受面105sには、
相手部材であるハウジング100の底板100aの上面
がスラスト流体軸受Sの流体軸受すきまを介して対向
し、この底板100aの上面がスラスト流体軸受Sのス
ラスト軸受面100sとされている。そして、上記スラ
スト受面105s,105sとスラスト軸受面102
s,100sとの少なくとも一方に、ヘリングボーン状
又はスパイラル状の動圧発生用溝(図示せず)を備え
て、スラスト流体軸受Sが構成されている。
【0005】さらに、軸103の外周面には、上下に間
隔をおいて一対のラジアル受面103r,103rが形
成されている。また、スリーブ102の内周面には、ラ
ジアル受面103r,103rにラジアル流体軸受Rの
流体軸受すきまを介して対向してラジアル軸受面102
r,102rが形成されている。そして、ラジアル受面
103r,103rとラジアル軸受面102r,102
rとの少なくとも一方に、ヘリングボーン状又はスパイ
ラル状の動圧発生用溝107,107を備えて、ラジア
ル流体軸受R,Rが構成されている。
【0006】そして、ハウジング100の外周面にはス
テータ108が固定され、ハブ104の内周面下側に固
定されているロータ磁石109とギャップを介して周面
対向して駆動モータMを形成しており、この駆動モータ
Mにより軸103とハブ104とが一体的に回転駆動さ
れるようになっている。軸103が回転すると、スラス
ト流体軸受S及びラジアル流体軸受Rの各動圧発生用溝
のポンピング作用により、各流体軸受S,Rの流体軸受
すきまに充填された微量の潤滑剤に動圧が発生して、軸
103はスリーブ102の内周面及び底板100aの上
面と非接触となり支承される。
【0007】このような従来のスピンドルモータにおい
ては、スラストプレート105は、軸103と一体的に
形成されているものではなく、軸103とは別体となっ
ている。すなわち、軸103を加工した後に、スラスト
プレート105を軸103に圧入して取り付けている。
フランジ部を有する軸(軸とスラストプレートとが一体
的に形成されているもの)の場合は、軸受面となる軸の
外周面の研削加工を行うために必要なセンター穴を、軸
の端面に設ける必要がある。しかしながら、上記のよう
なフランジ部を有していない棒状の軸(ストレート軸)
の場合は、センターレス研削盤等を用いて研削加工を行
うことが可能であるので、センター穴を軸の端面に設け
る必要がない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】近年、HDDは記録密
度の向上が求められていて、情報を記録するためのトラ
ックの幅が狭くなっているため、回転精度の高い流体軸
受の採用が検討されている。さらに、ノート型パソコン
のような携帯機器に搭載されるHDDにおいては、薄型
化が求められているとともに、可搬性能に優れ(800
G以上の耐衝撃性)且つ高信頼性(使用環境が変化して
も不安定振動が発生しにくい)の流体軸受装置が求めら
れている。
【0009】薄型化を実現するための方法としては、ス
ラストプレート105の厚さを薄くすることにより装置
高さを低くする方法がある。しかしながら、スラストプ
レート105の厚さを薄くすると、軸103に圧入した
際の固着強度が弱くなる傾向がある。よって、運搬時等
にスピンドルモータに大きな衝撃が加わると、スラスト
プレート105が軸103から脱落してしまうおそれが
あった。
【0010】このような不都合を解決する方法として、
軸とスラストプレートとを一体的に形成する方法があ
る。軸とスラストプレートとが一体であれば、衝撃が加
わっても脱落のおそれがない。しかしながら、このよう
なフランジ部を有する軸においては、軸受面となる軸の
外周面の研削加工を研削盤等を用いて行うためには、前
述したように、軸の端面にセンター穴を設ける必要があ
る。そうすれば、円筒研削盤やアンギュラ研削盤等を用
いて、軸の研削加工を行うことができる。
【0011】一方、従来のスピンドルモータにおける潤
滑剤の充填方法は、次の通りであった。まず、ハウジン
グ100内に(底板100aの上面に)潤滑剤を注入す
る。続いて、ハウジング100内に軸103を挿入し、
図2のようにスラストプレート105の平面(図2にお
いては下側の平面)を底板100aの上面に対向させ
る。その後に、スリーブ102に軸103を挿通しつつ
スリーブ102をハウジング100内に挿入して、スリ
ーブ102をハウジング100に圧入により固着してい
た。
【0012】よって、軸の端面にセンター穴が備えられ
ている場合に、このような方法により潤滑剤の充填を行
うと、センター穴に空気が閉じ込められ残留するおそれ
がある。そのため、気圧や温度が変化するような使用環
境の場合は、残留した空気が膨張して流体軸受すきま内
を移動,旋回するため、回転中に不安定振動が発生しや
すい。
【0013】つまり、薄型化及び耐衝撃性の向上のた
め、軸とスラストプレートとを一体的に形成すると、ス
ピンドルモータは使用環境の変化により不安定振動が発
生しやすくなり、信頼性が乏しくなるという問題点があ
った。そこで本発明は、上記のような従来の流体軸受装
置が有する問題点を解決し、薄型で、耐衝撃性に優れ、
且つ使用環境が変化しても不安定振動が発生しにくい流
体軸受装置を提供することを課題とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明は次のような構成からなる。すなわち、本発
明の流体軸受装置は、一体的に形成されたフランジ部を
一端又はその近傍に有する軸と、該軸に流体軸受すきま
を介して対向する相手部材と、を備えるとともに、前記
軸の両端面のうち前記フランジ部が設けられた側の端面
に、凹部を備える流体軸受装置において、前記凹部内に
充填剤を充填して、該凹部を塞いだことを特徴とする。
【0015】このような構成であれば、流体軸受装置内
に潤滑剤を充填する際に、前記凹部内に空気が残留する
おそれが小さい。よって、流体軸受装置の使用環境が気
圧や温度が変化するような環境であっても、回転時に不
安定振動が発生しにくい。また、軸とフランジ部とが一
体的に形成されているので、流体軸受装置は耐衝撃性に
優れ、且つ薄型化しやすい。
【0016】なお、前記充填剤は、前記凹部を塞ぐこと
ができて、容易に脱落しないものであれば、その種類は
特に限定されるものではないが、接着剤やシール剤等が
好適に用いられる。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明に係る流体軸受装置の実施
の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。図1
は、本発明に係る流体軸受装置の一実施形態である薄型
のHDD用スピンドルモータの縦断面図である。まず、
スピンドルモータの構造を説明する。
【0018】このスピンドルモータは、ハブ14が固着
された軸13と、該軸13が挿通されたスリーブ12と
から構成されていて、軸13とスリーブ12との間にラ
ジアル流体軸受Rが介装されている。なお、スリーブ1
2は、円筒体状のハウジング10に内挿され固着されて
いる。また、軸13の一端にはフランジ部15が一体的
に形成されており、フランジ部15の両平面と、これに
対向するスリーブ12及びハウジング10との間に、ス
ラスト流体軸受Sが設けられている。なお、スリーブ1
2及びハウジング10が本発明の構成要件たる相手部材
に相当する。
【0019】ハウジング10の外周面にはステータ18
が固定されていて、ハブ14の内周面に固定されたロー
タ磁石19とギャップを介して周面対向して駆動モータ
Mを形成している。そして、駆動モータMによりハブ1
4と軸13とを一体的に回転駆動させると、スラスト流
体軸受S及びラジアル流体軸受Rにより、軸13がスリ
ーブ12に対して回転自在に支承されるようになってい
る。
【0020】次に、上記のような本実施形態のスピンド
ルモータの構造を、さらに詳細に説明する。ベース11
に立設した円筒部11aの内側に、底板10aを有する
円筒体状のハウジング10が内挿されており、これらは
一体的に固着されている。そして、ハウジング10の内
周面には円筒体状のスリーブ12が内挿されていて、一
体的に固着されている。
【0021】スリーブ12には軸13が回転自在に挿通
されている。軸13の材質は、硬さが高くて耐食性に優
れた材料であれば特に限定されるものではないが、例え
ばマルテンサイト系のステンレス鋼やオーステナイト系
ステンレス鋼に、熱処理を施して表面を硬化させたもの
あるいはメッキやダイヤモンドライクカーボン(DL
C)膜による表面処理を行って表面を硬化させたものが
あげられる。
【0022】この軸13の上端部13aは他部より小径
となっていて、この小径な上端部13aを浅い逆カップ
状のハブ14の中央部に設けられた穴に圧入することに
より、軸13とハブ14とが一体に固着されている。そ
して、小径な上端部13aと大径な他部との境目に形成
される前記大径な他部の上端面13bにハブ14の下面
が当接されるから、軸13とハブ14とは十分な耐衝撃
性を確保するに足る強度で固着される。
【0023】また、スリーブ12の下端より突出した軸
13の下端には、円板状のフランジ部15が軸13と一
体的に形成されている。このフランジ部15は軸13と
一体に形成されているから、強い衝撃を受けたとしても
軸13から脱落するおそれがない(耐衝撃性に優れ
る)。また、フランジ部15の厚さを薄くすることによ
り装置高さを低くできるから、スピンドルモータの薄型
化が容易となる。
【0024】フランジ部15の下面は、相手部材であり
カウンタープレートに相当するハウジング10の底板1
0aの上面と対向していて、スピンドルモータの停止時
には対向する前記両面が当接している。また、フランジ
部15の上面は、相手部材であるスリーブ12の下端面
と対向している。フランジ部15の上下の両平面はスラ
スト受面15s,15sとされる。そして、上側のスラ
スト受面15sにスラスト流体軸受Sの流体軸受すきま
を介して対向するスリーブ12の下端面と、下側のスラ
スト受面15sにスラスト流体軸受Sの流体軸受すきま
を介して対向するハウジング10の底板10aの上面と
が、それぞれスラスト軸受面12s及び10sとされ
て、相対するスラスト受面15s,15s及びスラスト
軸受面12s,10sのうち少なくとも一方に、例えば
ヘリングボーン状やスパイラル状の動圧発生用溝(図示
せず)を備えてスラスト流体軸受Sを構成している。
【0025】なお、動圧発生用溝をフランジ部15の両
平面(スラスト受面15s,15s)に設ける加工方法
は特に限定されるものではなく、塑性加工,切削加工,
化学エッチング,電解エッチング等があげられる。塑性
加工であるコイニング加工は、プレス等を用いて金型を
フランジ部15に押圧することにより前記動圧発生用溝
を刻印する方法であるので、エッチング加工と比較する
と量産性に優れていて低コストである。
【0026】また、スリーブ12の内周面は、そのほぼ
全面が軸13の外周面と対向している。スリーブ12の
内周面の上端(外気側)の角の部分は、図1に示すよう
に面取りされていて、傾斜面12aとされている。この
ことにより、軸13の外周面とスリーブ12の内周面と
の間に形成されるすきまのうち最も上端(外気側)の部
分は、外気側(上方)に向かって徐々にすきまが広くな
るテーパ状形状となっている。
【0027】このような構成であれば、スピンドルモー
タの静止時及び回転時に、潤滑剤が流体軸受すきまから
外部に漏出することを防止することができる。なお、図
1から分かるように、このテーパ状形状のすきまの部分
には動圧発生用溝17は設けられておらず、したがっ
て、このテーパ状形状のすきまの部分は、ラジアル流体
軸受Rの流体軸受すきまではない。
【0028】なお、本実施形態においては、傾斜面12
aはスリーブ12の内周面に設けられているが、軸13
の外周面に設けてもよく、あるいはスリーブ12の内周
面と軸13の外周面との双方に設けてもよい。傾斜面1
2aを軸13の外周面に設ける場合には、スリーブ12
の内周面に対向する部分のうち最も外気側の部分に設け
る。
【0029】また、スリーブ12の傾斜面12aと、軸
13の外周面のうち傾斜面12aに対向する部分とに、
撥油剤(潤滑剤をはじく性質を有するもの)を塗布する
等の撥油処理を施すと、撥油処理を施した部分に潤滑剤
がはじかれるから、スピンドルモータの静止時及び回転
時に、撥油処理を施した部分を越えて潤滑剤が外部に漏
出することを、より効果的に防止することができる。
【0030】一方、軸13の外周面には、軸方向に間隔
をおいて上下に一対のラジアル受面13r,13rが形
成されるとともに、このラジアル受面13r,13rに
ラジアル流体軸受Rの流体軸受すきまを介して対向する
ラジアル軸受面12r,12rがスリーブ12の内周面
に形成されている。そして、ラジアル軸受面12r,1
2rに、略くの字状のヘリングボーン状の動圧発生用溝
17,17を備えて、ラジアル流体軸受R,Rが構成さ
れている。ただし、動圧発生用溝17,17は、ラジア
ル受面13r,13rに設けてもよいし、ラジアル受面
13r,13rとラジアル軸受面12r,12rとの双
方に設けてもよい。
【0031】なお、この動圧発生用溝17を設ける加工
方法は特に限定されるものではなく、前述と同様の慣用
の方法が採用される。ラジアル軸受面12r、すなわち
スリーブ12の内周面に動圧発生用溝17を加工する
と、量産性に優れたボール転造等の塑性加工あるいはバ
イトによる切削加工により動圧発生用溝17を加工でき
るので、好ましい。ボール転造は、軸の外周にはめ合わ
せた中空状の外筒に複数個の鋼球を保持させた転造治具
を、スリーブ12に押し込むことによって加工する方法
である。
【0032】すなわち、スリーブ12を旋盤上で切削加
工した後、旋盤の主軸をゆっくり正逆回転させながら転
造治具をスリーブ12に押し込んで相対移動させること
により内周面にヘリングボーン状(略くの字状)の溝加
工を行い、その後に溝周辺の盛り上がり部分を除去する
仕上げ切削やボール通しなどの仕上げ加工を必要に応じ
て行う。もちろん旋盤上でなく、転造装置を用いて転造
治具を左右に正逆回転させながら固定されたスリーブ1
2に押し込み、ヘリングボーン状の溝を転造加工しても
よい。
【0033】2カ所に設けられた動圧発生用溝17,1
7のうち外気側に位置する方を、溝長さが外気側より内
側の方が僅かに短い内向き非対称溝パターンとすること
は、以下の理由により好ましい。すなわち、軸13の回
転に伴って外気側から内側へ向かって潤滑剤を押し込む
圧力が働くので(ポンプイン)、ラジアル流体軸受Rの
流体軸受すきま内の潤滑剤が、軸13の回転に伴う遠心
力によって外部に飛散することが防止される。
【0034】このことをさらに詳細に説明する。動圧発
生用溝17は、軸13の円周方向に沿って所定の間隔で
並べられた複数の略くの字状の溝で構成されている。2
カ所に設けられた動圧発生用溝17,17のうち、外気
側に位置する動圧発生用溝17(図1においては上方の
動圧発生用溝17)を、そのパターンが軸方向に非対称
な形状とする。そして、他方の動圧発生用溝17(図1
においては下方の動圧発生用溝17)のパターンを、軸
方向に対称な形状とする。
【0035】すなわち、外気側に位置する動圧発生用溝
17においては、略くの字状の溝の軸方向の幅のうち屈
曲部から外気側の端部までの幅を、屈曲部から内側の端
部までの幅より大とする。なお、本実施形態において
は、前記外気側とは、軸13において、スピンドルモー
タの外気に向いている側(図1においては上方)、すな
わち、スラスト流体軸受Sが設けられている側とは反対
側を意味するものである。また、内側とは、外気側とは
反対側、すなわち、スラスト流体軸受Sが設けられてい
る側を意味するものである。
【0036】また、回転中にスラスト流体軸受S及びラ
ジアル流体軸受Rの流体軸受すきま内の潤滑剤へ気泡が
巻き込まれることを少なくするためには、スラスト流体
軸受S及びラジアル流体軸受Rに設ける動圧発生用溝
は、溝角度(回転方向に対してなす角度)を30°以
下、好ましくは25°以下とし、溝の本数を10本以
上、好ましくは12本以上とすることが望ましい。
【0037】特に、ラジアル流体軸受Rに設けるヘリン
グボーン状の動圧発生用溝17の軸受幅(動圧発生用溝
17の軸方向の幅)が軸径よりも小さい場合には、溝角
度を25°以下とし、溝の本数を12本以上、好ましく
は16本以上とすることが望ましい。潤滑剤に気泡が巻
き込まれると、回転中の不安定振動の原因となり回転精
度が劣化しやすい。
【0038】なお、スピンドルモータのトルクを小さく
するために、上下2つのラジアル流体軸受R,Rに挟ま
れたスリーブ12の内周面(軸13の外周面でもよい
し、あるいはスリーブ12の内周面と軸13の外周面と
の双方でもよい)に、ラジアル流体軸受Rの流体軸受す
きまに向かってすきまが狭くなるテーパ状の周溝からな
る逃げ溝を設けてもよい。
【0039】また、駆動モータMを構成するロータ磁石
19及びステータ18の軸方向位置を若干ずらし、軸方
向の吸引力が作用するようにして、スリーブ12の下端
面側で負荷を主に分担するようにし、さらに、フランジ
部15の下側のスラスト受面15sの有効面積を、上側
のスラスト受面15sの有効面積よりも小さく設計する
ことにより(軸受有効径を小さく設計する)、反負荷側
の軸受トルクを削減するようにしてもよい。そうすれ
ば、スピンドルモータの消費電力を少なくすることがで
きる。
【0040】さらに、本実施形態のスピンドルモータに
は設けられていないが、スリーブ12の外周面とハウジ
ング10の内周面との間に、テーパ面からなる環状すき
まを設けて、該環状すきまを潤滑剤溜まりとして使用し
てもよい。潤滑剤溜まりの内面を形成するスリーブ12
の外周面とハウジング10の内周面との少なくとも一方
がテーパ面とされていて、これにより潤滑剤溜まりは下
方のスラスト流体軸受Sに向かってすきまが徐々に狭く
なっている。
【0041】また、潤滑剤溜まりの下端には、フランジ
部15の外周面とそれに対向する部材であるハウジング
10の内周面との間に形成される円環状のすきまに向か
って開口している潤滑剤供給路が設けられている。そし
て、スラスト流体軸受Sの流体軸受すきまに近接して連
通する潤滑剤供給路の開口部は、スラスト流体軸受Sの
流体軸受すきまとほぼ等しいか、又は僅かに大きくなっ
ていて、表面張力に基づく毛管現象により潤滑剤が潤滑
剤供給路からスラスト流体軸受Sの流体軸受すきまに導
入されやすいようになっている。
【0042】潤滑剤溜まりの下部の全体が潤滑剤供給路
を形成するようにしてもよいが(すなわち、潤滑剤供給
路が環状すきま状である)、潤滑剤溜まりの下部のうち
一カ所にスリット状の潤滑剤供給路を設けてもよいし
(つまり、その他の部分は、スリーブ12の外周面とハ
ウジング10の内周面とが接触していて閉口してい
る)、複数箇所にスリット状の潤滑剤供給路を設けても
よい。
【0043】このような潤滑剤溜まりの上部には、外気
と連通する通気孔を開口させる。例えば、潤滑剤溜まり
の上部から水平に延び、途中で上方に屈曲して、スリー
ブ12の上端面に開口するように設けたり(すなわち、
ハウジング10のスリーブ12とのはめあい面に軸方向
のスリットを形成するようにして設ける)、潤滑剤溜ま
りの上部から垂直に延び、スリーブ12の上端面に開口
するように設ける。
【0044】このような潤滑剤溜まり内には、表面張力
に基づく毛管現象により潤滑剤が保持される。そして、
この潤滑剤は表面張力によりすきまの狭い方に吸引さ
れ、一方、組み立て時に巻き込んだ残留気泡は、すきま
の広い方に分離され前記通気孔を介して排出される。そ
して、スピンドルモータの運転が長期に及んで、各流体
軸受すきまに保持されている潤滑剤が次第に蒸発したり
飛散したりして不足してくると、潤滑剤溜まり内の気泡
を有していない潤滑剤が、その不足分に応じてテーパ面
に案内されつつすきまの狭い方に吸引され、各流体軸受
すきま内に潤滑剤が満たされるまで補給される。すなわ
ち、各流体軸受すきま内の潤滑剤の減少に伴い、潤滑剤
供給路を経由してすきまの狭い各流体軸受すきまに毛管
現象で吸引され、潤滑剤溜まりのテーパ面の表面張力が
釣り合う位置で安定する。こうして、潤滑剤の減少分だ
け自動的に潤滑剤が補給される。
【0045】このように、潤滑剤溜まりを備えている
と、各流体軸受すきまには潤滑剤が自動的に確実に補給
されて、常時潤滑剤で満たされた状態となり、スピンド
ルモータを長期にわたり使用しても信頼性が高く耐久性
に優れている。したがって、潤滑剤の注入量に過不足が
あったとしても、潤滑剤が外部に飛散したり、長期間の
使用において各流体軸受すきま内の潤滑剤が枯渇したり
するおそれが小さい。
【0046】次に、当該スピンドルモータへの潤滑剤の
充填方法について説明する。当該スピンドルモータへの
潤滑剤の充填は、スピンドルモータの組み立て途中に行
う。まず、ハウジング10内に(底板10aの上面に)
潤滑剤を注入する。そして、ハウジング10内に軸13
を挿入し、図1のようにフランジ部15の平面(図1に
おいては下側の平面)を底板10aに対向させる。その
後に、スリーブ12に軸13を挿通しつつスリーブ12
をハウジング10内に挿入して、スリーブ12をハウジ
ング10に圧入により固着する。
【0047】このとき、軸13の両端面のうちフランジ
部15が設けられている側の端面には、センター穴20
が設けられている。なお、このセンター穴20が本発明
の構成要件たる凹部に相当する。このようなセンター穴
20は、ストレート軸では必要ないが、フランジ部を有
する軸においては、軸受面となる軸の外周面の研削加工
を、円筒研削盤やアンギュラ研削盤のような研削盤等を
用いて行うために必要なものである。
【0048】そして、本実施形態のスピンドルモータに
おいては、センター穴20内には充填剤が充填されてい
て、センター穴20は塞がれている。この充填剤は、セ
ンター穴20を塞ぐことができて、容易に脱落しないも
のであれば、その種類は特に限定されるものではない
が、接着剤,シール剤等があげられる。具体的には、接
着剤としてはエポキシ系接着剤等、シール剤としてはシ
リコン樹脂等を例示することができる。
【0049】なお、充填剤をセンター穴20に充填する
際等に、充填剤がセンター穴20からはみ出して、下側
のスラスト受面15sに付着することを防止するため、
センター穴20の周囲に、浅い環状溝21(図1におい
ては、深さHの溝)をセンター穴20に連続して形成し
ておくことが好ましい。そうすれば、充填剤がセンター
穴20からはみ出しても環状溝21内に収納されるか
ら、下側のスラスト受面15sに付着するおそれが小さ
い。
【0050】軸13の端面にセンター穴20が備えられ
ている場合に、上記のような方法により潤滑剤の充填を
行うと、センター穴20内に空気が閉じ込められ残留す
るおそれが大きい。そうすると、気圧や温度が変化する
ような使用環境の場合は、残留した空気が膨張して流体
軸受すきま内を移動,旋回するため、回転中に不安定振
動が発生しやすい。
【0051】しかしながら、本実施形態のスピンドルモ
ータは、センター穴20が予め充填剤により塞がれてい
るので、スピンドルモータの組み立て及び潤滑剤の注入
時にセンター穴20内に空気が残留することがない。こ
のため、回転中に気泡の影響による不安定振動が生じに
くい。なお、わずかな気泡の残留も不安定振動を引き起
こす要因となるので、気泡の脱気をより確実にするため
に、必要により、あらかじめ真空脱気した潤滑剤を用い
たり、潤滑剤を注入後にスピンドルモータを真空槽に入
れ、真空脱気しながら潤滑剤を各流体軸受すきまに充填
するようにしてもよい。
【0052】また、スピンドルモータへの潤滑剤の注入
は、以下のような方法により行ってもよい。すなわち、
底板10aの中心に厚み方向の通し穴からなる貫通穴を
設けておき、全体を組み立てた後に、前記貫通穴からデ
ィスペンサ等を使用して潤滑剤を注入してもよい。スピ
ンドルモータに潤滑剤を注入した後は、前記貫通穴には
ボールや円筒部材等を圧入して、該貫通穴を密封する。
【0053】このようなスピンドルモータは、駆動モー
タMにより、被回転体である図示しない磁気ディスクを
外周部に搭載するハブ14と軸13とを一体的に回転駆
動させると、スラスト流体軸受S及びラジアル流体軸受
Rの各動圧発生用溝のポンピング作用により、各流体軸
受S,Rの流体軸受すきまに充填されている潤滑剤に動
圧が発生して、軸13はスリーブ12及びハウジング1
0の底板10aと非接触となり支承される。なお、前記
磁気ディスクはクランプ部材でねじ止めされているの
で、十分な耐衝撃性を確保するに足る強度で固着されて
いる。
【0054】なお、本実施形態は本発明の一例を示した
ものであって、本発明は本実施形態に限定されるもので
はない。例えば、スピンドルモータは、スリーブ固定−
軸回転タイプでもよいし、軸固定−スリーブ回転タイプ
でもよい。また、軸13に設けるフランジ部15の位置
は、軸端に限らず軸端近傍や軸の中央部であってもよ
い。
【0055】さらに、本実施形態のスピンドルモータ
は、フランジ部15の下面と対向してスラスト流体軸受
Sを形成する部材(カウンタープレートに相当する)で
ある底板10aが、ハウジング10と一体になっていて
いる。しかし、このような構成ではなく、底板10aの
部分がハウジング10と別体となっているような構成で
も、全く差し支えないことは勿論である。また、ハウジ
ング10とベース11とが一体になっていているような
構成でも、全く差し支えない。
【0056】さらに、流体軸受の構造,動圧発生用溝の
パターン、スピンドルモータの細部の構造等に関して
は、本実施形態に限定されるものではなく、本発明の目
的を達成できるならば、必要に応じて適宜変更すること
が可能である。さらにまた、動圧発生用溝はヘリングボ
ーン状やスパイラル状に限定されるものではなく、動圧
流体軸受として機能すれば、どのような溝パターンでも
よい。また、該溝の加工方法は、材質や必要精度に応じ
て、エッチング,電解エッチング,塑性加工,切削加
工,レーザ加工,イオンビーム加工,ショットブラスト
等を適用することができる。
【0057】さらに、軸13,スリーブ12等のスピン
ドルモータを構成する部材の材質は、特に限定されるも
のではなく、スピンドルモータを構成する部材に通常使
用される金属(ステンレス鋼,銅合金,アルミ合金
等),焼結金属,焼結含油金属,プラスチック,セラミ
ック等の材料であれば問題なく使用できる。すなわち、
ステンレス鋼同士や銅合金同士の組み合わせでもよく、
鉄と銅合金,鉄とアルミ合金といった異種金属の組み合
わせでもよく、さらに、金属とプラスチック等の組み合
わせでもよい。もちろん、メッキやDLC膜(ダイヤモ
ンドライクカーボンコーティング)のような表面処理を
必要に応じて流体軸受面に施して、起動停止時の摺動性
を向上させてもよい。
【0058】さらに、本実施形態においては、流体軸受
装置としてスピンドルモータを例示して説明したが、本
発明は他の種々の流体軸受装置に対して適用することが
できる。
【0059】
【発明の効果】以上のように、本発明の流体軸受装置
は、薄型で、耐衝撃性に優れ、且つ使用環境が変化して
も不安定振動が発生しにくい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る流体軸受装置の一実施形態である
スピンドルモータの縦断面図である。
【図2】従来のスピンドルモータの縦断面図である。
【符号の説明】
10 ハウジング 12 スリーブ 13 軸 15 フランジ部 20 センター穴 R ラジアル流体軸受 S スラスト流体軸受

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一体的に形成されたフランジ部を一端又
    はその近傍に有する軸と、該軸に流体軸受すきまを介し
    て対向する相手部材と、を備えるとともに、前記軸の両
    端面のうち前記フランジ部が設けられた側の端面に、凹
    部を備える流体軸受装置において、前記凹部内に充填剤
    を充填して、該凹部を塞いだことを特徴とする流体軸受
    装置。
JP2000348902A 2000-11-16 2000-11-16 流体軸受装置 Pending JP2002147443A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000348902A JP2002147443A (ja) 2000-11-16 2000-11-16 流体軸受装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000348902A JP2002147443A (ja) 2000-11-16 2000-11-16 流体軸受装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002147443A true JP2002147443A (ja) 2002-05-22

Family

ID=18822395

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000348902A Pending JP2002147443A (ja) 2000-11-16 2000-11-16 流体軸受装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002147443A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004010014A1 (ja) * 2002-07-18 2004-01-29 Yoshinari Yokoo 動圧軸受装置、スピンドルモータおよびディスク駆動装置ならびに動圧軸受装置の製造方法
JP2006189155A (ja) * 2005-01-07 2006-07-20 Minebea Co Ltd 流体動圧軸受システム
US7854552B2 (en) * 2007-05-28 2010-12-21 Panasonic Corporation Hydrodynamic bearing device, spindle motor equipped with same, and recording and reproducing apparatus

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004010014A1 (ja) * 2002-07-18 2004-01-29 Yoshinari Yokoo 動圧軸受装置、スピンドルモータおよびディスク駆動装置ならびに動圧軸受装置の製造方法
US7134791B2 (en) 2002-07-18 2006-11-14 Yoshinari Yokoo Dynamic pressure bearing device, spindle motor, disk drive device, and method of manufacturing dynamic pressure bearing device
JP2006189155A (ja) * 2005-01-07 2006-07-20 Minebea Co Ltd 流体動圧軸受システム
US7854552B2 (en) * 2007-05-28 2010-12-21 Panasonic Corporation Hydrodynamic bearing device, spindle motor equipped with same, and recording and reproducing apparatus

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2001187920A (ja) スピンドルモータ
US8304946B2 (en) Spindle motor
US7059771B2 (en) Motors with oil dynamic pressure bearing, oil dynamic pressure bearing devices and method for manufacturing the same
JP2002122134A (ja) 流体軸受装置
JP2004084864A (ja) 流体軸受装置
JP2000197309A (ja) 流体動圧軸受を備えたモ―タ及びこのモ―タを備えた記録ディスク駆動装置
JP2002147443A (ja) 流体軸受装置
JP2002161912A (ja) 流体軸受装置の製造方法
JPH11280755A (ja) 流体軸受装置及びこれを用いたスピンドルモータ
JP2002238228A (ja) 流体軸受装置
JP4032517B2 (ja) 流体軸受ブラシレスモータ
JP2002174242A (ja) 流体軸受装置への潤滑剤充填方法
JP2001107946A (ja) 動圧軸受装置及びその製造方法並びにその製造方法に用いる成形用金型の製造方法
JP2001289242A (ja) 流体軸受スピンドルモータ
JP2002147444A (ja) 流体軸受装置
JP2012031969A (ja) 流体動圧軸受装置用のハブ一体軸及びその製造方法
JP2002357219A (ja) 流体軸受装置
JP2002130258A (ja) 流体軸受装置
US7432621B2 (en) Fluid dynamic bearing motor
JP2002174241A (ja) 流体軸受装置
US20120112587A1 (en) Hydrodynamic bearing assembly and motor including the same
JPH11313461A (ja) 動圧流体軸受を備えたモータ及びモータを搭載した装置
US6502992B2 (en) Hydrodynamic type bearing unit
JP2002021841A (ja) 流体軸受装置
JP2002048133A (ja) 流体軸受装置