JP3988280B2 - 成形金型のロック装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、射出成形等に使用される成形金型にかかり、一対の型板間の相対移動を規制する成形金型のロック装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に成形金型は、成形機のノズルから射出された樹脂が、成形品が形成されるキャビティ部のどの位置から流入するか、即ち、ランナやゲート等の溶融材料が流れる通路の形状、配置によっていくつかのタイプに分類される。
【0003】
そのうち、ピンポイントゲート方式は、固定側型板と固定側取付板の間にランナプレートを設け、ランナプレートと固定側型板の間にランナを形成し、さらに固定側型板を貫通してランナからキャビティに通じるゲートを形成したものである。
【0004】
このピンポイントゲート方式では、固定側型板とランナプレートを最初に分離し、ランナを取り出す。その後に固定側型板と可動側型板を分離し、エジェクタ手段を用いて成形品を取り出す。このため、ピンポイントゲート方式では、固定側型板とランナプレートが最初に分離し、その後固定側型板と可動側型板が分離するように、ランナを取り出す間は固定側型板と可動側型板の分離を規制するロック装置が設けられている。
【0005】
ところで、近年では、多品種少量生産が進む中で、成形機に対する金型の交換回数が増加する傾向にある。このような事情のため、固定側型板および可動側型板のそれぞれに対し、コア・キャビティをなす入子型を着脱自在に装着するようにしたものが考案され、一部では採用されている。この種の成形金型は、入子型のみの交換によって金型の交換を容易とし、多品種少量生産への対応を図っている。
【0006】
このように着脱自在な入子型を採用した成形金型に対し、従来より用いられているロック装置は、図12に示すように、各入子型112の一方に外周部が樹脂等からなる棒状の雄部材131を有し、他方に穴状の雌部材140を有して、雌部材140に挿通された雄部材131の摩擦力により、各入子型112を介して固定側型板106と可動側型板117の相対移動を規制している。そして、固定側型板106とランナプレート(不図示)が分離し、上記摩擦力を上回る力が加わった時に雄部材131と雌部材140による規制が解除するように構成されている。
【0007】
また、別の従来のロック装置には、図13に示すように、それぞれ各入子型112が取り付けられる固定側型板106と可動側型板117に対して、上述と同様の機構を配設した構成もある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の成形金型のロック装置では、次のような問題があった。
まず、入子型112にロック装置を設けた場合には、成形品をなすキャビティとコアを備える部位にロック装置を設けることとなるため、キャビティとコアを成形する領域(面積)に制限が生じ、比較的大きい成形品を得る際に適さないという問題がある。
【0009】
また、入子型112にロック装置を設けた場合では、多品種少量生産において交換する全ての入子型112にそれぞれロック装置を設ける必要があるため、金型制作費が嵩み経済性に劣るという問題もある。
【0010】
次に、入子型112が取り付けられる固定側型板106と可動側型板117にロック装置を設けた場合、固定側型板106と可動側型板117の付当てによって生じる間隔が、入子型112の厚さを受ける間隔となる。この間隔は、常に不変で決まっているのもであるため、使用する入子型112の厚さの選択ができなくなり、入子型112によって成形される成形品の大きさ、形状等に制限が生じてしまうという問題がある。
【0011】
そこで本発明は、上記課題を解消するために、成形品の大きさ等にかかる自由度を向上し、且つ金型制作にかかるコストを低減することができる成形金型のロック装置を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため本発明による成形金型のロック装置は、対をなす入子型の一方が交換自在に装着される第一の型板と、前記入子型の他方が交換自在に装着される第二の型板との間の相対移動を規制する成形金型のロック装置において、
前記第一の型板あるいは第二の型板の一方より他方に向かって突出する棒体を着脱自在とするとともに、該棒体の突出長さを可変自在とする係止機構と、
前記棒体の突出された先端部を前記第一の型板あるいは第二の型板の他方に挿着する挿着機構と、
を具備したことを特徴としている。
【0013】
また、前記係止機構は、前記係止機構は、前記棒体の軸芯方向に沿って複数並設された係止孔と、
前記第一の型板あるいは第二の型板の一方に設けられて、前記棒体の基端部を挿通し得る挿通穴と、
前記第一の型板あるいは第二の型板の一方に設けられて、前記棒体の係止孔に挿入係止する係止具と、
からなることを特徴としている。
【0014】
また、前記挿着機構および前記係止機構は、それぞれ前記第一の型板および第二の型板に対して着脱可能とされた別部材に設けられていることを特徴としている。
【0015】
また、前記棒体の先端部には、前記第一の型板あるいは第二の型板の他方を受ける段部を備えていることを特徴としている。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して具体的に説明する。
図1は本発明にかかる成形金型を示す側面図、図2は図1におけるA−A線矢視図、図3は図1におけるB−B線矢視図である。
【0017】
図1乃至図3に示すように、成形金型1は、図示しない成形機の固定側プラテンに取り付けられる固定側ホルダ2と、同成形機の可動側プラテンに取り付けられる可動側ホルダ3とを有している。
【0018】
まず、固定側ホルダ2は、図1及び図2に示すように、前記固定側プラテンに取り付けられる固定側取付板4と、型開きに合わせてランナを排出するランナプレート5と、第一の型板としての固定側型板6とを有している。
【0019】
ランナープレート5は、固定側取付板4に設けられたガイドピン7およびプラボルト8に沿って摺動自在とされており、所定範囲内で固定側取付板4に対して移動できるようになっている。
【0020】
固定側型板6は、固定側取付板4に設けられたガイドポスト9に沿って摺動自在とされており、固定側取付板4に対して移動できるようになっている。また、固定側型板6には、プラボルト10が摺動自在に挿通しており、その先端はランナプレート5に固定されている。このプラボルト10の下端には、固定側型板6の抜け落ちを係止するストッパ10aが設けられている。また、プラボルト10における固定側型板6とランナプレート5の間には、両部材5,6を離れる方向に付勢するバネ11が介装されている。
【0021】
固定側型板6の内部には、キャビティ・コアをなす如く一対の入子型12を構成する固定側の入子型12aを挿着する凹部13が形成されている。凹部13は、型開閉方向と直交する方向に開口した対向一対の溝14を有している。そして、この溝14に沿って固定側の入子型12aが装着されており、該入子型12aは、クランプ手段15によって固定される。
【0022】
次に、可動側ホルダ3は、図1及び図3に示すように、前記可動側プラテンに取り付けられる可動側取付板16と、第二の型板としての可動側型板17とを有している。
【0023】
可動側型板17の中央には、キャビティ・コアをなす如く一対の入子型12を構成する可動側の入子型12bを装着する凹部18が形成されている。凹部18は、型開閉方向と直交する方向に開口した対向一対の溝19を有している。そして、この溝19に沿って可動側の入子型12bが装着されており、該入子型12bは、クランプ手段20によって固定される。
【0024】
また、可動側ホルダ3には、固定側ホルダ2に設けられたガイドポスト9およびプラボルト10を挿通する如く、ブッシュ21aを備えたガイド穴21およびガイド穴22が設けられている。さらに、図1に示すように、可動側ホルダ3には、入子型12を以て成形された成形品を突き出すエジェクタピン23が入子型12bを貫通する如く設けられている。
【0025】
このように、上述の成形金型1は、主に固定側型板6、ランナプレート5、可動側型板17を備えた3プレート式成形金型として構成されている。
【0026】
次に、本実施の形態の要部であるロック装置30について説明する。
図1乃至図3に示すように、ロック装置30は、棒体31と、該棒体31に関与する係止機構32と、挿着機構33とを有している。
【0027】
棒体31は、図4(a)のロック装置の断面図に示すように、その基端部31aを可動側ホルダ3の可動側型板17に挿通し、先端部31bを固定側型板6側に向ける如く突出して設けられている。また、棒体31の基端部31aは、可動側型板17に対し、係止機構32を介して取り付けられている。
【0028】
係止機構32は、挿通穴34と、係止孔35と、係止具36とからなる。
挿通穴34は、可動側型板17において、固定側型板6側に開口し、棒体31の基端部31aを軸芯方向に挿通させるように設けられている。また、挿通穴34は、本実施の形態では、棒体31の基端部31aの外径を受ける如く内径をなすブッシュ34aを有している。なおブッシュ34aは設けなくてもよい。
【0029】
係止孔35は、棒体31の基端部31aにおいて、棒体31の軸芯方向に直交する如く形成された貫通孔であって、棒軸31の軸芯方向に所定間隔で並ぶように複数(図4(a)中三個)設けられている。
【0030】
係止具36は、可動側型板17の側部から操作可能に表出する操作杆37を有している。この操作杆37は、その先端37a側の一部を収納部38を介して可動側型板17に埋設させている。可動側型板17に埋設された操作杆37の先端37aは、挿通穴34に直交するように挿通穴34内に臨み、棒体31の係止孔35の一つに挿通している。また、収納部38の内部には、バネ39が収納されていて、操作杆37の先端37aが常に挿通穴34内に臨むように付勢している。ゆえに、係止具36は、棒体31の係止孔35に係って棒体31を挿通穴34内に係止するとともに、バネ39の付勢力に抗して表出する部位を引くことによって、該係止状態を解除することとなる。なお、収納室38の外周には、雄ネジ(不図示)が形成され、操作杆38の可動側型板17への埋設を容易且つ確実としている。
【0031】
このように構成された係止機構32は、図4(b)に示す如く、各係止孔35に対する操作杆37の先端37aの挿通の組み合わせによって、可動側型板17から突出する棒体31の突出長さを可変することが可能となる。
【0032】
挿着機構33は、可動側型板17から突出する棒体31の先端部31bを、固定側型板6に対して挿着するものである。具体的には、固定側型板6において、可動側型板17側に開口し、棒体31の先端部31bを挿通させる挿着穴40を有している。挿着穴40には、棒体31の先端部31bの外径を受ける如く内径をなすブッシュ40aが配設されている。また、棒体31の先端部31bには、その周方向に括れた凹部41が設けられている。さらに、挿着穴40の内部には、固定側型板6の側部から挿着穴40内に対して球状の突出子42が一部臨む如く配され、且つ、突出子42を常に挿着穴40内に臨むようにバネ43を以て付勢している。
【0033】
ゆえに、挿着穴40に挿通された棒体31の先端部31bは、突出子42に対して凹部41が嵌合することによって挿着穴41に挿着され、固定側型板6と可動側型板17を連結した状態でロックする。また、突出子42を付勢しているバネ43の付勢力に抗する如く所定の力で棒体31を引くことにより、凹部41と突出子42の嵌合状態が解除されて、図4(b)に示す如く、棒体31が挿着穴40から引き抜かれ、固定側型板6と可動側型板17の連結が解除される。
【0034】
なお、突出子42及びバネ43は、固定側型板6の側部から挿着穴41に向かって貫通する貫通穴44に挿入され、ネジ部材45のねじ込みを以てバネ43による付勢力を得ている。即ち、ネジ部材45のねじ込みの度合いによって付勢力の調整が行われ、固定側型板6と可動側型板17の連結強度が調整される。
また、棒体31の先端部31bには、凹部41と突出子42の嵌め合いが円滑に行われるように、凹部41から先端方向に窄むテーパ部46が形成されている。
【0035】
また、上述したロック装置30は、図1乃至図3に示す如く、入子型12を間に置くように各型板6,17の対称位置に配されているが、この配置に限定はなく、適宜数箇所に配置するればよい。
【0036】
以下、上述した成形金型1における成形動作を説明する。
この成形動作は、上記3プレート式成形金型を用いたピンポイントゲート方式の成形に関する。
まず、可動側プラテン(不図示)を固定側プラテン(不図示)側に前進させて図5に示す如く型を閉じる。この際、ロック装置30は、棒体31の先端部31bが挿着機構33を以て挿着穴40に挿着されることにより、固定側型板6と固定側型板17の相対移動を規制して、各入子型12(12a,12b)の接合を維持する。
【0037】
そして、樹脂の射出および成形品の成形が終了した時、可動側プラテンを固定側プラテンから離す如く後退させる。これにより、図6に示す如く、バネ11における付勢力によって固定側型板6とランナプレート5が離れ、固定側型板6とランナプレート5の間に形成されたランナ(不図示)が取り除かれる。この際、ロック装置30は、挿着機構33が機能したままであり、固定側型板6と固定側型板17の相対移動を規制して、各入子型12(12a,12b)の接合を維持する。
【0038】
そして、可動側プラテンの後退がさらに進むと、図7に示す如く、プラボルト10のストッパ10aが固定側型板6に当接する。ゆえに、固定側型板6は、それ以上の移動が阻止されることとなるため、挿着機構33における棒体31の凹部41と、挿着穴40内に臨む突出子42との嵌合が外れる。これにより、固定側型板6と可動側型板17の相対移動の規制が解除されて、各入子型12(12a,12b)が分離する。そして、この時にエジェクタピン23が入子型12bにある成形品を突き出して成形品の取り出しが行われ、成形動作の一工程が終了する。
このようにして、上記ロック装置30を以て、ピンポイントゲート方式の成形が適宜行われる。
【0039】
また、上述した成形金型1は、3プレート式成形金型として構成されているが、2プレート式成形金型として、サイドゲート方式の成形を行うことが可能とされている。このサイドゲート方式は、入子型12aと入子型12bの間にゲートを形成して、成形品とランナが一体となって得られるようにするものである。
【0040】
成形金型1を2プレート式成形金型として用いる場合の構成としては、図1および図2に示すように、固定側取付板4における側部の略対角線上にあたる二カ所の部位に、連結部材50が設けられている。この連結部材50は、略矩形状をなす一端が固定側取付板4に対して揺動自在となるように支持されている。また、揺動端となる連結部材50の他端には、略U字形の溝51が形成されている。一方、固定側型板6における側部の略対角線上にあたる二カ所の部位には、円錐状の係止ピン52が設けられている。
【0041】
そして、成形金型1を2プレート式成形金型として用いる際には、図5に示す如く、一旦金型を閉じた状態で、連結部材50を係止ピン52に向けて揺動させる。そして、連結部材50の溝51と、係止ピン52が係合することにより、図8に示すように、固定側取付板4と固定側型板6の間で、ランナプレート5を挟持する如く、固定側ホルダ2を閉じた状態として、2プレート式成形金型をなす。
【0042】
なお、成形金型1を2プレート式成形金型として用いる場合では、固定側型板6(入子型12a)と可動側型板17(入子型12b)の型開きの規制をする必要がなくなる。そこで、上述したロック装置30において、係止機構32の操作杆37を引き、棒体31を挿通穴34から抜き取れば、ロック装置30が作動しなくなる。
【0043】
したがって、上述した成形金型のロック装置では、各入子型12を装着する固定側型板6と可動側型板17に対してロック装置30を配したことにより、入子型12におけるキャビティ・コアをなす領域を有効的に使用することが可能となる。
【0044】
さらに、上記ロック装置30は、固定側型板6と可動側型板17を連結する棒体31の突出長さを係止機構32を以て可変自在としているので、ロック装置30を固定側型板6と可動側型板17に対して配していても、棒体31の突出長さの可変によって、固定側型板6と可動側型板17の連結の時の間隔を多段階に変えることができ、採用される入子型12の厚さを替えて用いることが可能となる。
【0045】
このように、上記ロック装置30の採用により、入子型12におけるキャビティ・コアの領域に自由度が増し、同じ成形金型から多品種の成形品を得ることができる。
【0046】
また、ロック装置30が各入子型12毎に必要でなくなるため、入子型12の制作費用を削減してコストを低減することができる。また、ロック装置30が各入子型12にないため、入子型12を保管する際に、各入子型12を組み合わせた状態で保管することが可能となり、保管場所の確保や入子型の管理が容易となる。
【0047】
さらに、ロック装置30が各入子型12に配されていると、入子型12を替えた時に固定側型板6と可動側型板17が離れる際の抵抗力の調整が必要となるが、ロック装置30が各型板6,17にあるため、この調整作業をする必要がなくなる。また、この抵抗力の調整作業が必要な場合は、ネジ部材45のねじ込みの度合いを変えれるだけでよいため、作業性の向上が図られる。
【0048】
また、ロック装置30は、棒体31の先端部31aが固定側型板6の挿着穴40に装着する位置を各入子型12が接合する位置としているため、従来の図13に示すように固定側型板6と可動側型板17の接合を各入子型12の接合位置とすることがないので、各型板6,17の構造(設計)に自由度が増す。
【0049】
また、ロック装置30が固定側型板6と可動側型板17の間を連結する構成であるため、ロック装置30が動作して成形金型1を閉じた状態でも、外部から作動状態を確認できるので、その動作が正常であるか否かを容易に確認することが可能となる。従来の図12に示すように入子型12にロック装置が配されていると、接合した入子型12によってロック装置の作動状態が確認できなくなる。
【0050】
また、ロック装置30は入子型12に関与することのない離れた位置に配されているため、成形品の取り出しに際して邪魔になることがない。
【0051】
また、係止機構32を以て棒体31の突出長さの可変が可能なため、型開き動作に際し、任意の位置で各型板6,17のロックを働かせることが可能となる。これにより、ゲートカットや、入子型12に備えられたスライドコアの作動タイミング合せを容易に行うことができる。
【0052】
また、棒体31の取り外しが簡単に行われるので、2プレート方式成形金型への切り替えに容易に対応することができる。このため、可動側ホルダ3は、ロック装置30の構成を除けば、2プレート方式成形金型および3プレート方式成形金型の双方において共通の構成として用いることができる。ゆえに、成形金型を供給する製造元としては、ロック装置30を備える可動側ホルダ3を2プレート方式成形金型専用の固定側ホルダ2と組んで提供することができるため、金型製造コストを低減することが可能となる。
【0053】
なお、上述したロック装置30は、上述の構成に限らず、以下のような構成とすることが可能である。
具体的には、図9に示すように、固定側型板6と可動側型板17の間の結合および各型板6,7が離れる際の抵抗力を付与する挿着機構33を、棒体31の先端部31bと挿着穴40との摩擦力によって得られるようにしてもよい。
なお、棒体31の先端部31bは樹脂材料で形成され、図9に示す如くボルト31cによって棒体31に取り付けられている。そして、ボルト31cの棒体31に対する締め付け力を調整すれば、ボルト31cと棒体31側との間隔が可変して先端部31bの外周形状が拡縮変化し、先端部31bと挿着穴40との摩擦力を調整することができる。また、ボルト31cにおける先端部31bに挿通する部分の周面をテーパ状とし、先端部31bにおけるボルト31cが挿通する穴部をすり鉢状として、ボルト31cの棒体31に対する締め付け力の調整によるテーパ状の部分とすり鉢状の部分との接触を以て先端部31bの外周形状を拡縮変化するようにしてもよい。
【0054】
また、図4(a)及び図9で示すロック装置30を、図10(a)及び図10(b)で示す如く、係止機構32および挿着機構33をそれぞれ可動側型板17および固定側型板6に直接設けず、可動側型板17および固定側型板6に対して固定される別部材であるブロック55を以て構成してもよい。ブロック55の各型板6,17への固定は、例えばボルト止めなど適宜手段を用いればよい。
【0055】
この構成によれば、ロック装置30自体が各型板6,17の構成と独立して着脱可能となるため、ロック装置30の交換や、メンテナンスが容易となる。また、ロック装置30が入子型12からさらに離れた位置に配されることとなるため、入子型12におけるキャビティ・コアの領域にさらなる自由度が増すとともに、成形品の取り出しをさらに効率良くすることが可能となる。
【0056】
また、上述したロック装置30は、図9及び図10(b)に示す如く、棒体31の先端部31b側に固定側型板6を受ける段部56を形成してもよい。
この構成によれば、成形金型1を2プレート式成形金型として採用する時に、例えば棒体31を取り付けたままとした場合、段部56を以てそれ以上は固定側型板6と可動側型板17とを近づけないように働くため、入子型12や各型板6,17を破損することがなく、安全性を向上することができる。
【0057】
この段部56は、図9及び図10(b)に示す摩擦力による棒体31の先端部31bと挿着穴40との挿着を行う挿着機構33に関して設ける以外に、棒体31の凹部41と突出子42との嵌合を以て棒体31の先端部31bと挿着穴40との挿着を行う挿着機構33に関して設けてもよい。
【0058】
また、上述したロック装置30は、図11に示す如く、係止機構32における操作杆37を可動側型板17(あるいはブロック55)に対して螺合させる構成とし、操作杆37の螺子回転によって先端37aと係止孔35の係合をなし得てもよい。
【0059】
また、上述したロック装置30は、可動側型板17に係止機構32を備え、固定側型板6に挿着機構33を備えた構成であるが、可動側型板17に挿着機構33を備え、固定側型板6に係止機構32を備えた構成としてもよい。
【0060】
【発明の効果】
以上説明したように本発明による成形金型のロック装置は、各入子型を装着する第一の型板あるいは第二の型板にかかり、各型板間を挿着する棒体からなる挿着機構と、該棒体を着脱自在、且つ、棒体の突出長さを可変自在とした係止機構とをなすロック装置を備えたことにより、入子型におけるキャビティ・コアの使用領域(面積および厚さ)に自由度が増し、同じ成形金型から多品種の成形品を低コストで得ることができる。
【0061】
また、ロック装置が各入子型毎にないため、入子型にかかる制作費用を削減しすることができる。さらに、ロック装置が各入子型毎にないため、未使用の入子型を保管する際、各入子型を組み合わせた状態で保管することが可能となり、保管場所の確保や入子型の管理を容易とすることができる。
【0062】
また、ロック装置が各入子型に配されていると、入子型を替えた時に第一の型板と第二の型板が離れる際の抵抗力の調整が必要となるが、ロック装置が各型板にあるため、この調整作業をなくすことができる。
【0063】
また、挿着機構は、第一の型板あるいは第二の型板の一方より突出された棒体の先端部を第一の型板あるいは第二の型板の他方に挿着する構成のため、各入子型の接合時には、各型板が関与することなく未接触とすることができ、各型板の構造(設計)に自由度を増すことができる。さらに、各型板を未接触な状態で、金型を作動させることが可能なため、外部からロック装置の作動状態が確認できるので、その動作が正常であるか否かを容易に確認することが可能となる。
【0064】
また、ロック装置が入子型に関与することのない離れた位置に配しているため、成形品の取り出しに際して邪魔になることがない。
【0065】
また、棒体を着脱自在としたことにより、3プレート方式成形金型から2プレート方式成形金型への切り替え可能な成形金型の場合、2プレート方式成形金型への切り替えに容易に対応することができる。
このため、成形金型の可動側では、ロック装置の構成を除けば、2プレート方式成形金型および3プレート方式成形金型の双方において共通の構成として用いることができる。ゆえに、成形金型を供給する製造元としては、ロック装置を備える可動側を2プレート方式成形金型専用の固定側と組んで提供することができるため、金型製造コストを低減することができる。
【0066】
また、挿着機構および係止機構を第一の型板および第二の型板に対して着脱可能とされた別部材に設ければ、ロック装置自体が各型板の構成と独立するため、ロック装置の交換や、メンテナンスが容易となる。また、ロック装置が各入子型からさらに離れた位置に配されるため、各入子型におけるキャビティ・コアの領域にさらなる自由度が増すとともに、成形品の取り出しをさらに効率良くすることができる。
【0067】
また、棒体の先端部に、第一の型板あるいは第二の型板の他方を受ける段部を備えれば、成形金型を2プレート式成形金型として採用する時、例えば棒体を取り付けたままの場合に、段部を以てそれ以上各型板を近づけないように働くため、各入子型や各型板の破損を防止し、安全性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる成形金型を示す側面図。
【図2】図1におけるA−A線矢視図。
【図3】図1におけるB−B線矢視図。
【図4】(a)(b)本発明のロック装置を示す断面図。
【図5】ロック装置及び成形金型における成形動作を示す動作図。
【図6】ロック装置及び成形金型における成形動作を示す動作図。
【図7】ロック装置及び成形金型における成形動作を示す動作図。
【図8】成形金型の別の使用形態を示す図。
【図9】ロック装置の他の形態を示す図。
【図10】(a)(b)ロック装置の他の形態を示す図
【図11】ロック装置の他の形態を示す図
【図12】従来のロック装置を示す図。
【図13】従来のロック装置を示す図。
【符号の説明】
1…成形金型、6…固定側型板、12(12a,12b)…入子型、17…可動側型板、30…ロック装置、31…棒体、31a…基端部、31b…先端部、32…係止機構、33…挿着機構、34…挿通穴、35…係止孔、36…係止具、55…ブロック(別部材)、56…段部。
Claims (4)
- 対をなす入子型の一方が交換自在に装着される第一の型板と、前記入子型の他方が交換自在に装着される第二の型板との間の相対移動を規制する成形金型のロック装置において、
前記第一の型板あるいは第二の型板の一方より他方に向かって突出する棒体を着脱自在とするとともに、該棒体の突出長さを可変自在とする係止機構と、
前記棒体の突出された先端部を前記第一の型板あるいは第二の型板の他方に挿着する挿着機構と、
を具備したことを特徴とする成形金型のロック装置。 - 前記係止機構は、前記棒体の軸芯方向に沿って複数並設された係止孔と、
前記第一の型板あるいは第二の型板の一方に設けられて、前記棒体の基端部を挿通し得る挿通穴と、
前記第一の型板あるいは第二の型板の一方に設けられて、前記棒体の係止孔に挿入係止する係止具と、
からなることを特徴とする請求項1に記載の成形金型のロック装置。 - 前記挿着機構および前記係止機構は、それぞれ前記第一の型板および第二の型板に対して着脱可能とされた別部材に設けられていることを特徴とする請求項1あるいは請求項2に記載の成形金型のロック装置。
- 前記棒体の先端部には、前記第一の型板あるいは第二の型板の他方を受ける段部を備えていることを特徴とする請求項1〜請求項3の何れかに記載の成形金型のロック装置。
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