JP3987774B2 - レーザーマーキング用熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

レーザーマーキング用熱可塑性樹脂組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザー光照射によって鮮明なマーキングを成形体の表面に現出することができ、且つ外観性、耐衝撃性及びレーザーマーキングの耐久認識性に優れる成形体を与えるレーザーマーキング用熱可塑性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、熱可塑性樹脂からなる成形体に、レーザー光を照射すると、照射部分が黒色あるいは白色に変色する技術が知られている(特公昭62−59663号公報、特表平10−501014号公報等)。このようなレーザーマーキング技術は、キーボードのキー印字、FAXパネルの文字印字等に使用されており、従来用いられてきたタンポ印刷等に比べ、低コストで、且つ文字の耐久認識性等の点でも優れている。
しかし、特開2001−139758号公報に開示されている、白文字を形成するレーザーマーキング用熱可塑性樹脂材料は、レーザーマーキングによりキーボードのキーに文字を形成後、キータッチによる使用頻度が多くなるにつれて白文字形成部の表面が潰れて認識しにくくなるという問題点があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の課題を背景になされたもので、白文字形成等の鮮明なレーザーマーキングを成形体の表面に現出することができ、且つ外観性、耐衝撃性及びレーザーマーキングの耐久認識性に優れる成形体を与えるレーザーマーキング用樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば下記構成の熱可塑性樹脂組成物が提供されて、本発明の上記の目的が達成される。
下記の(A)成分1〜50重量%、(B)成分1〜93重量%、(C)成分1〜80重量%、(D)成分0〜5重量%、(A+B+C+D=100重量%)を含有することを特徴とするレーザーマーキング用熱可塑性樹脂組成物。
(A)成分;芳香族ポリカーボネート,
(B)成分;(メタ)アクリル酸エステル(b1)60〜100重量%と他の共重合可能なビニル系単量体(b2)0〜40重量%(b1+b2=100重量%)を重合して得られるアクリル系樹脂,
(C)成分;ゴム質重合体(a)の存在下に、芳香族ビニル化合物、または芳香族ビニル化合物およびこれと共重合可能な他のビニル系単量体からなる単量体成分を重合して得られるゴム強化共重合樹脂(c1)、又は該ゴム強化共重合樹脂(c1)とビニル系単量体の(共)重合体(c2)との混合物からなり、ゴム質重合体(a)の含有量が0.5〜40重量%である、ゴム強化熱可塑性樹脂,
(D)成分;黒色系物質。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を更に詳しく説明する。
本発明の(A)成分は、芳香族ポリカーボネート樹脂である。
ここで使用される芳香族ポリカーボネート樹脂としては、種々のヒドロキシアリール化合物とホスゲンとの界面重縮合によって得られるもの、又はジヒドロキシアリール化合物とジフェニルカーボネート等のカーボネート化合物とのエステル交換反応(溶融重縮合)によって得られるもの等、公知の重合法によって得られるものが使用できる。
上記芳香族ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は、13000〜32000が好ましく、更に好ましくは17000〜31000、特に好ましくは18000〜30000である。
【0006】
本発明に用いられる(B)成分は、(メタ)アクリル酸エステル(b1)60〜100重量%と他の共重合可能なビニル系単量体(b2)0〜40重量%(b1+b2=100重量%)を重合して得られるアクリル系樹脂である。
【0007】
上記(メタ)アクリル酸エステル(b1)としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸エステルや、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸sec−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸オクタデシル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル等のメタクリル酸エステルが挙げられる。これらのうち、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸ブチルが好ましい。更に好ましくはメタクリル酸メチルである。また、これらは1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0008】
上記ビニル単量体(b2)として用いることのできる他のビニル系単量体としては、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、マレイミド系化合物、更には、エポキシ基、ヒドロキシル基、カルボン酸基、アミノ基、アミド基、オキサゾリン基等の官能基を有するビニル系単量体等が挙げられる。
【0009】
上記芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、エチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレン、メチル−α−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、ジビニルベンゼン、1,1−ジフェニルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノメチルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルピリジン、モノクロルスチレン、ジクロロスチレン等の塩素化スチレン、モノブロモスチレン、ジブロモスチレン等の臭素化スチレン、モノフルオロスチレン等が挙げられる。これらのうち、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレンが好ましい。また、これらは1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0010】
上記シアン化ビニル化合物としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。これらのうち、アクリロニトリルが好ましい。また、これらは1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0011】
上記マレイミド系化合物としては、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−(2−メチルフェニル)マレイミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)マレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、α,β−不飽和ジカルボン酸のイミド化合物等が挙げられる。これらのうち、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミドが好ましい。また、これらは1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。尚、マレイミド系化合物を導入する他の方法としては、例えば、無水マレイン酸を共重合し、その後イミド化する方法でもよい。
【0012】
上記官能基を有するビニル系単量体としては、メタクリル酸グリシジル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、ビニルオキサゾリン等が挙げられる。これらの官能基含有ビニル単量体を共重合することで、他の熱可塑性樹脂との界面密着性(相溶性)を高めることができる。
前記単量体(b2)としては、好ましくは(メタ)アクリル酸である。
【0013】
上記他のビニル系単量体としては、芳香族ビニル化合物のみであってもよいが好ましくは、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物及びマレイミド系化合物から選ばれる少なくとも2種である。また、更に好ましくは、芳香族ビニル化合物と、シアン化ビニル化合物及び/又はマレイミド系化合物、との組み合わせである。
【0014】
上記アクリル系樹脂を形成するために用いられる(メタ)アクリル酸エステルの使用量は、ビニル系単量体(b2)の全量を100重量%とすると、好ましくは60〜100重量%、より好ましくは65〜100重量%、更に好ましく70〜100重量%である。尚、残部は(メタ)アクリル酸エステル以外の他のビニル系単量体である。(メタ)アクリル酸エステルの使用量が少なすぎると、レーザーマーキング白色発色性が劣ることがある。
上記アクリル系樹脂を製造する方法としては、乳化重合、溶液重合、塊状重合及び懸濁重合が挙げられる。
【0015】
本発明の(C)成分であるゴム強化熱可塑性樹脂は、
(1)ゴム質重合体(a)の存在下に、芳香族ビニル化合物、または芳香族ビニル化合物およびこれと共重合可能な他のビニル系単量体からなる単量体成分(シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル化合物など)をグラフト重合して得られるゴム強化共重合樹脂(c1)、
又は、
(2)上記ゴム強化共重合樹脂(c1)と、ゴム質重合体(a)の非存在下に、別途、上記単量体成分のみを(共)重合して得られる(共)重合体(c2)(例えばスチレン−アクリロニトリル共重合体など)との混合物、
である。ゴム質重合体(a)の含有量は0.5〜40重量%の範囲である。
【0016】
本発明の(C)成分に使用されるゴム質重合体(a)としては、ジエン系ゴム質重合体として、例えばポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−イソプレンブロック共重合体などが挙げられる。
また、非ジエン系ゴム質重合体としては、例えばエチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体などのエチレン−α−オレフィン系ゴム質重合体;スチレン−ブタジエン(ブロック)共重合体の水素添加物、スチレン−イソプレン(ブロック)共重合体の水素添加物、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体の水素添加物、ブタジエン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体の水素添加物、その他のブタジエン系(共)重合体の水素添加物、スチレン−ブタジエンランダム共重合体の水素添加物などのジエン系重合体の水素添加物;シリコーン系ゴム、アクリル系ゴムなどが挙げられる。
本発明の(C)成分に使用されるゴム質重合体(a)は、1種単独で使用することも、あるいは2種以上を混合して用いることもできる。
【0017】
本発明の(c1)成分を、ゴム質重合体(a)存在下に、乳化重合で得る場合、使用されるゴム質重合体(a)の平均ゴム粒径は、成形品表面外観および耐衝撃性から、好ましくは0.1〜2μm、特に好ましくは0.12〜0.8μmである。
なお、(C)成分中のゴム質重合体(a)の量は、好ましくは0.5〜40重量%、さらに好ましくは1〜35重量%、特に好ましくは5〜20重量%である。ゴム質重合体(a)の量が0・5重量%未満では耐衝撃性が低下し、一方、40重量%を超えた場合は剛性が劣る。(C)成分が(c1)と(c2)の混合物である場合 ゴム含有量の多い(例えばゴム含有量20〜70重量%の)(c1)成分を製造し、それに(c2)成分を混合し、目的のゴム含有量の(C)成分を得ることができる。
【0018】
一方、(C)成分に用いられる芳香族ビニル化合物としては、上記に例示したものが挙げられる。
(c1)成分中の芳香族ビニル化合物の含有量は、単量体成分中に、好ましくは10〜100重量%、さらに好ましくは15〜80重量%、特に好ましくは45〜70重量%である。
【0019】
上記グラフト重合の際に、必要に応じて用いられる、芳香族ビニル化合物と共重合可能な他のビニル系単量体としては、シアン化ビニル化合物;(メタ)アクリル酸エステル;マレイミド系化合物;官能基を有するビニル系単量体などが挙げられる。上記の他のビニル系単量体として、好ましくは、シアン化ビニル化合物、メタアクリル酸エステル及びマレイミド系化合物の群から選ばれた少なくとも一種である。
シアン化ビニル化合物、マレイミド化合物、(メタ)アクリル酸エステル、官能基を有するビニル系単量体は、上記に例示した化合物が挙げられる。
なお、(c1)成分中の芳香族ビニル化合物と共重合可能な他のビニル系単量体のうち、シアン化ビニル化合物の使用量は、単量体成分中に、好ましくは1〜50重量%、さらに好ましくは2〜40重量%、特に好ましくは5〜30重量%である。
メタクリル酸エステルを使用する場合は、単量体成分中に、好ましくは5〜88重量%、さらに好ましくは10〜80重量%、特に好ましくは15〜75重量%である。
(c2)成分は上記に示したビニル系単量体(共)重合体であり、好ましい単量体としては(c1)成分と同様に、芳香族ビニル化合物、または芳香族ビニル化合物およびこれと共重合可能な他のビニル系単量体である。ビニル系単量体の好ましい使用量、好ましいビニル系単量体、ビニル系単量体の例示は(c1)と同様である。
【0020】
上記(C)成分であるゴム強化熱可塑性樹脂をグラフト重合で得る場合、そのグラフト率は、好ましくは20〜200重量%、さらに好ましくは30〜150重量%である。グラフト率が20重量%未満では、ゴム質重合体成分(a)の添加効果が充分発揮されず、充分な耐衝撃強度が得られない。一方、200重量%を超えると、成形加工性が低下する。
上記グラフト率は、ゴム質重合体(a)、重合開始剤、連鎖移動剤、乳化剤などの種類や量、さらに重合時間、重合温度などを変えることにより容易に調整することができる。
ここで、グラフト率(重量%)は、ゴム強化熱可塑性樹脂1g中のゴム成分重量をx、メチルエチルケトン不溶分重量をyとすると、次式により求められた値である。
グラフト率(重量%)=〔(y−x)/x〕×100
【0021】
また、本発明の(C)成分のゴム強化熱可塑性樹脂の分子量は、マトリックス成分であるメチルエチルケトン可溶分の極限粘度〔η〕(30℃、ジメチルホルムアミド中で測定)が、0.2〜1.0dl/g、好ましくは0.3〜1.0dl/g、さらに好ましくは0.3〜0.8dl/gである。この極限粘度〔η〕が0.2dl/g未満であると、耐衝撃性が劣り、一方1.0dl/gを超えると、成形品表面外観が劣る。上記極限粘度〔η〕は、重合開始剤、連鎖移動剤、乳化剤、溶剤などの種類や量、さらに重合時間、重合温度などを変えることにより、容易に制御することができる。
【0022】
本発明の(c1)成分のゴム強化共重合樹脂は、ゴム質重合体(a)の存在下に、上記のような芳香族ビニル化合物を主成分とする単量体成分を乳化重合、懸濁重合、溶液重合、塊状重合などでラジカルグラフト重合を行い、製造することができる。好ましくは、乳化重合である。
この際、乳化重合には、重合開始剤、連鎖移動剤(分子量調節剤)、乳化剤、水などが用いられる。
なお、(c1)成分のゴム強化共重合樹脂を製造するのに用いるゴム質重合体(a)および単量体成分は、ゴム質重合体(a)全量の存在下に、単量体成分を一括添加して重合してもよく、分割もしくは連続添加して重合してもよい。また、これらを組み合わせた方法で、重合してもよい。さらに、ゴム質重合体(a)の全量または一部を、重合途中で添加して重合してもよい。
【0023】
重合開始剤としては、例えば、クメンハイドロパーオキシド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキシド、過硫酸カリウム、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシモノカーボネート等が挙げられる。
【0024】
連鎖移動剤としては、例えば、オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ヘキシルメルカプタン、テトラエチルチウラムスルフィド、アクロレイン、メタクロレイン、アリルアルコール、2−エチルヘキシルチオグリコール等が挙げられる。
【0025】
乳化重合の際に使用する乳化剤としては、例えば、高級アルコールの硫酸エステル、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム等の脂肪族スルホン酸塩、高級脂肪族カルボン酸塩、ロジン酸塩、リン酸系等のアニオン系界面活性剤が挙げられる。
【0026】
乳化重合では、通常、凝固剤により凝固して得られた粉末を水洗後、乾燥することによってゴム強化ビニル系樹脂の粉末が得られる。この凝固剤としては、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム等の無機塩、あるいは硫酸、塩酸等の酸を用いることができる。これらの凝固剤のうち、硫酸が好ましい。
【0027】
上記ゴム質重合体(a)の存在下、上記ビニル系単量体からなる単量体を重合して得られる上記共重合樹脂(c1)には、上記単量体がゴム質重合体(a)にグラフトした共重合体と上記単量体がゴム質重合体(a)にグラフトしていない未グラフト成分(上記単量体の(共)重合体)が含まれる。
上記(共)重合体(c2)を製造する際の重合方法としては、乳化重合、懸濁重合、塊状重合、溶液重合等が挙げられる。
【0028】
本発明の(D)成分である前記黒色系物質としては、波長−反射率曲線で示される400〜700nmの波長の全領域に対して、反射率が10%以下、好ましくは5%以下のものであれば、染料、顔料等特に限定されない。即ち、この400〜700nmの全領域の波長の光を吸収する物質が好ましく、その例としては、カーボンブラック、黒色酸化鉄、チタンブラック、黒鉛等が挙げられる。これらは1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0029】
上記カーボンブラックとしては、アセチレンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ケッチェンブラック等が挙げられる。上記カーボンブラックの粒径は、好ましくは10〜80nm、更に好ましくは12〜40nmである。粒径が小さいほど、樹脂中での分散性が良く、レーザーマーキング発色性が良好である。また、上記カーボンブラックの好ましい比表面積は20〜1,500m2/gである。また、好ましい吸油量は35〜300ml/100g、好まし いpHは2〜10である。
【0030】
上記黒色酸化鉄は、一般にFe34やFeO・Fe23で表される鉄の酸化物である。上記黒色酸化鉄の粒径は、好ましくは0.3〜0.8μm、更に好ましくは0.4〜0.6μmである。また、その形状は、球状、立方状、針状等いずれをも使用できるが、立方状が好ましい。
また、上記チタンブラックは、二酸化チタンを還元することによって得られる化合物である。チタンブラックの粒径は、好ましくは0.1〜60μm、更に好ましくは、1〜20μmである。
【0031】
本発明のレーザーマーキング用熱可塑性樹脂組成物の各成分の重量%について記す。
(A)成分は、1〜50重量%、好ましくは2〜45重量%、更に好ましくは5〜45重量%である。(A)成分が1重量%未満であると、衝撃強度が劣り、一方、50重量%を越えると、白色発色性が劣る。
(B)成分は、1〜93重量%、好ましくは2〜90重量%、更に好ましくは10〜90重量%である。(B)成分が1重量%未満であると、白色発色性が劣り、一方、93重量%を越えると衝撃強度が劣る。
(C)成分は、1〜80重量%、好ましく2〜75重量%、更に好ましくは5〜70重量%である。(C)成分が1重量%未満であると、成形加工性や成形品の外観性が劣る。一方、80重量%を越えると、白色発色部の耐久性が劣り、例えば、白文字の鮮明性が劣る。
(D)成分は、0〜5重量%、好ましくは0.01〜3重量%、更に好ましくは0.03〜3重量%である。(D)成分が5重量%を越えると白色発色性や衝撃強度が劣る。
本発明のレーザーマーキング用熱可塑性樹脂組成物には、必要に応じて、白色発色部の耐久性を向上させるために、平均粒子径が0.05〜150μmの粒子及び/又はエポキシ基含有重合体等を添加することができる。添加量は、上記レーザーマーキング用熱可塑性樹脂組成物100重量部に対して、好ましくは0.1〜10重量部、更に好ましくは0.2〜8重量部である。
【0032】
上記粒子としては、例えば、無機系粒子、有機系粒子及び無機−有機複合粒子等が挙げられる。
無機系粒子としては、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、シリカ、アルミナ、タルク、二酸化チタン、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、又はそれらを主成分とする化合物等が挙げられる。有機系粒子としては、ポリスチレン系架橋粒子、ジビニルベンゼン系架橋粒子、ポリメタクリル酸メチル系架橋粒子、スチレン・メタクリル酸メチル系架橋粒子、高級脂肪酸の無機塩等が挙げられる。また、無機−有機複合粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ等の無機物質がポリマー内部に分散した粒子、ポリマー表面をシリカ等の微粒子が吸着した粒子等が挙げられる。上記例示した粒子は1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記の主成分とするその含有量は、好ましくは50重量%以上、更に好ましくは60重量%以上である。
尚、上記粒子としては、上記例示した成分に限られず、以下に示す添加剤の成分によっても、本発明の目的を達成することができる。
【0033】
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物を成形する際に加わる熱によって、上記平均粒子径を備えることとなる微粒子を形成する成分を含有させることができる。例えば、シリコーンオイル、熱硬化性ポリマー粒子等である。シリコーンオイルとしては特に限定されず、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、変性シリコーンオイル等が挙げられる。分子量等は特に限定されない。
尚、この場合に形成された粒子は、軟化点が100℃以上であることが好ましい。更に、レーザーマーキングの際に照射されるレーザーによって、微粒子を形成する成分を含有させてもよい。
【0034】
前記エポキシ含有重合体としては、エポキシ基含有不飽和化合物からなる単量体単位を5〜70重量%含有するものが挙げられる。
【0035】
本発明のレーザーマーキング用熱可塑性樹脂組成物には、目的、用途に応じて、各種添加剤、例えば、着色剤、充填剤、耐候剤、帯電防止剤、難燃剤、難燃助剤、酸化防止剤、可塑剤、滑剤、カップリング剤等を含有させることができる。
【0036】
上記着色剤は、レーザー照射の際に、有彩色にレーザーマーキング発色させるために用いるものであり、染料、顔料等を1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。上記着色剤は、波長−反射率曲線で示される400〜700nmの波長の領域において、部分的に反射率が40%以上である領域、好ましくは50%以上である領域を有するものが好ましい。これらの染料・有機顔料を適切に選定することで、赤、黄、青、緑、紫等の有彩色を明彩に発色することができる。
【0037】
上記染料としては、ニトロソ系染料、ニトロ系染料、アゾ系染料、スチルベンアゾ系染料、ケトイミン系染料、トリフェニルメタン系染料、キサンテン系染料、アクリジン系染料、キノリン系染料、メチン系染料、チアゾール系染料、インダミン系染料、アジン系染料、オキサジン系染料、チアジン系染料、硫化系染料、アミノケトン系染料、アンスラキノン系染料、インジゴイド系染料等が挙げられる。
【0038】
これらの染料の具体例としては、Mordant Green 4、Disperse Yellow 14、Disperse Yellow 31、Acid Yellow 2、Direct Yellow 59、Basic Yellow2、Basic Orange 23、Direct Orange 71、Di rect Red 28、Acid Red 52、Solvent Blue 22、Acid Blue 59、Mordant Blue 10、Acid Blu e 45、Vat Blue 41、トルイジンマルーン、パーマネントレッドA G、ハンザエローG、ハンザエロー10G、ベンジジンオレンジ2G等が挙げられる。
【0039】
また、上記顔料のうち、有機顔料としては、モノアゾ系、縮合アゾ系、ジスアゾ系、アンスラキノン系、イソインドリノン系、複素環系、ペリノン系、アゾメチン系、キナクリドン系、ペリレン系、ジオキサジン系、フタロシアニン系等が挙げられる。また、配位している金属がカルシウム、ニッケル、鉄、バリウム、ナトリウム、銅、モリブデン、コバルト、マンガン、亜鉛、チタン、マグネシウム、カリウム等である有機顔料を好ましく用いることができ、具体的には、ウォッチングレッド(Ca)、グリーンゴールド(Ni)、ピグメントグリーンB(Fe)、ピグメントスカーレッド3B(Ba)、ファーストスカイブルー(Ba)、フタロシアニングリーン(Fe)、フタロシアニンブルー(Cu)、ブリリアントカーミン6B(Ca)、ボルドー10B(Na)、リソールレットR(Na)、レーキレッドC(Ba)、レーキッドD(Ba)、ブリリアントスカーレッドG(Ca)、マンガンバイオレット(Mn)、コバルトバイオレット(Co)等が挙げられる。尚、前記括弧内は各有機顔料に含まれる金属元素である。
【0040】
また、無機顔料としては、チタンイエロー、酸化亜鉛、硫化バリウム、硫化亜鉛、酸化鉄、複合酸化物系顔料、群青、コバルトブルー等が挙げられる。
上記染料及び顔料は、それぞれ1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、染料と顔料を組み合わせて用いることもできる。
上記着色剤の配合量は、上記レーザーマーキング用熱可塑性樹脂100重量部に対して、好ましくは0.01〜5重量部、より好ましくは0.05〜2重量部、更に好ましくは0.1〜1重量部である。
【0041】
上記充填剤としては、ガラス繊維、炭素繊維、ガラスビーズ、ワラストナイト、ロックフィラー、マイカ、ガラスフレーク、ミルドファイバー、二硫化モリブデン、酸化亜鉛ウィスカー、チタン酸カルシウムウィスカー等が挙げられる。これらは1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。上記充填剤を配合することによって、本発明のレーザーマーキング用熱可塑性樹脂組成物を用いて得られる成形体の剛性、耐熱性(高熱変形温度)等を付与することができる。
上記ガラス繊維、炭素繊維等の好ましい大きさは、繊維径が6〜20μm、繊維長が30μm以上である。
【0042】
上記充填剤の配合量は、上記レーザーマーキング用熱可塑性樹脂組成物100重量部に対して、好ましくは1〜50重量部、より好ましくは2〜30重量部である。上記充填剤の配合量が多すぎると、レーザーマーキング性が損なうことがある。
【0043】
上記耐候剤としては、有機リン系化合物、有機硫黄系化合物、ヒドロキシル基を含有する有機化合物等が挙げられ、これらは1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。上記耐候剤の配合量は、上記レーザーマーキング用熱可塑性樹脂組成物100重量部に対して、好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.5〜5重量部である。
また、上記帯電防止剤としては、ポリエーテル、アルキル基を有するスルホン酸塩等が挙げられ、これらは1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。上記帯電防止剤の配合量は、上記レーザーマーキング用熱可塑性樹脂組成物100重量部に対して、好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.5〜5重量部である。
【0044】
上記難燃剤としては、ハロゲン系難燃剤、有機リン系難燃剤、含窒素化合物、金属の水酸化物、アンチモン化合物等が挙げられる。
上記ハロゲン系難燃剤としては、テトラブロモビスフェノール−Aのオリゴマー(末端はエポキシ基のまま、あるいはエポキシ基をトリブロモフェノール、メチルアルコール、エチルアルコール等で封止してあってもよい)、臭素化スチレン、後臭素化スチレン、臭素化ポリカーボネートのオリゴマー、テトラブロモビスフェノール−A、デカブロモジフェニルエーテル、塩素化ポリスチレン、脂肪族塩素化合物等が挙げられる。これらのうち、テトラブロモビスフェノール−Aのオリゴマーが好ましく、好ましい分子量は1,000〜6,000である。
【0045】
上記有機リン系難燃剤としては、トリフェニルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルチオホスフェート、ハイドロキノンビス(ジフェニルホスフェート)、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)、レゾルシノールビス(ジキシレニルホスフェート)、トリフェニルホスフェートのオリゴマー等が挙げられる。これらのうち、トリフェニルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、レゾルシノールビス(ジキシレニルホスフェート)が好ましい。また、有機リン系難燃剤中の、好ましいリン濃度は4〜30重量%であり、より好ましくは6〜25重量%である。
【0046】
上記含窒素化合物としては、メラミン、イソシアネートの環化物等が挙げられる。また、上記アンチモン化合物としては、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、コロイダル五酸化アンチモン等が挙げられる。さらに、金属の水酸化物としては、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等が挙げられる。
【0047】
上記難燃剤の配合量は、上記レーザーマーキング用熱可塑性樹脂組成物100重量部に対して、好ましくは1〜50重量部、より好ましくは2〜30重量部である。難燃剤の配合量が1重量部未満であると、難燃性の付与効果が不十分であり、一方、50重量部を超えると、耐衝撃性、レーザーマーキング性が劣る。
【0048】
本発明のレーザーマーキング用熱可塑性樹脂組成物には、要求される性能、用途に応じて、更に他の熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、熱硬化性樹脂等を配合することができる。その例としては、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリアミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、液晶ポリマー、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、スチレン・酢酸ビニリデン共重合体、ポリアセタール樹脂、ポリエーテルエステルアミド、ポリアミドエラストマー、ポリアミドイミドエラストマー、ポリエステルエラストマー等を含有させることができる。これらは1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0049】
上記例示した熱可塑性樹脂のうち、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド等を配合することにより、優れたレーザーマーキング発色性を付与することができる。このときのこれらの重合体の配合量は、上記レーザーマーキング用熱可塑性樹脂組成物100重量部に対して、好ましくは1〜50重量部、更に好ましくは5〜50重量部である。
また、上記例示した熱可塑性樹脂のうち、ポリアミドエラストマー、ポリエーテルエステルアミド等を配合することにより、永久帯電防止性を付与することができる。このときのこれらの重合体の配合量は、上記レーザーマーキング用熱可塑性樹脂組成物100重量部に対して、好ましくは0.1〜30重量部、更に好ましくは1〜20重量部である。
【0050】
本発明のレーザーマーキング用熱可塑性樹脂組成物は、各種押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール、フィーダールーダー等を用いて、各成分を混練りすることにより得られる。好ましい製造方法は二軸押出機を用いる方法である。各成分を混練りする際は、一括して混練りしても、数回に分けて添加混練りしてもよい。
【0051】
本発明のレーザーマーキング用熱可塑性樹脂組成物は、射出成形、シート押出、真空成形、異形押出、発泡成形、インジェクションプレス、プレス成形、ブロー成形等によってOA製品、家電製品、車両内装部品、車載用カーナビゲーション等の機器のハウジング、CDプレーヤー、MDプレーヤー等音響機器のハウジング、各種ボタン、各種スィッチ、各種ハウジング、シャーシ、トレー等の各種成形体とすることができる。
【0052】
本発明のレーザーマーキング用熱可塑性樹脂組成物を用いて得られた成形体の、ASTM D648に準じて測定した熱変形温度(HDT)は、好ましくは87℃以上、更に好ましくは89℃以上、特に好ましくは91℃以上である。
また、上記製品の表面にレーザー光を照射することによって鮮明な白あるいは有彩色を発色させることができる。ここで、レーザー光としては、He−Neレーザー、Arレーザー、CO2レーザー、エキシマレーザー等の気体レーザー、 YAGレーザー等の固体レーザー、半導体レーザー、色素レーザー等が挙げられる。これらのうち、CO2レーザー、エキシマレーザー、YAGレーザーが好ま しい。YAGレーザー光の波長は、1,054nmである。
レーザーマーキングで発色させた印字部分は印刷によって得られたものよりも耐候性が優れ、更に、耐摩耗性にも優れるので印刷よりもはるかに実用上好ましい。
【0053】
本発明のレーザーマーキング用熱可塑性樹脂組成物を用いて得られた成形体にレーザー光を照射したときに発色する現象について、その機構は明らかではないが、次のように考えられる。即ち、成形体に含まれる黒色物質、例えばカーボンがレーザー光を吸収して、照射部に存在するカーボンが気化する。これによって、照射部における黒色物質が無くなる、あるいは、少なくなる。成形前の組成物に着色剤が含まれない場合は、レーザー光の照射部は、通常、白色となる。組成物に有彩色を有する染料・顔料等が含まれる場合は、レーザー光を吸収しないので、照射部にそのまま存在し、染料・顔料に由来する有彩色が照射部に残り、発色することとなる。
【0054】
また、他の機構としては、黒色物質がレーザー光を吸収し、光を熱変換する。発生した熱が、成形体に含まれる(メタ)アクリル酸エステル成分を分解し発泡させることで、発泡した部分がレーザー光の照射されなかった部分と屈折率が異なることによって、黒色とはならず、染料・顔料に由来する有彩色を発色することとなる。
このような発泡現象は、レーザー光の波長、出力によってその度合いは異なるが、未照射部分より盛り上がることがある。その高さは、通常、1〜100μmであるが、10〜80μmであれば、レーザーマーキング発色、照射(印字)部分の認識がより鮮明となる。また、この発泡高さを利用して、点字用製品を製造することも可能である。尚、レーザー光の照射により、成形体の表層部にも発泡現象が生じ、発泡現象の生じる深さは10〜200μm程度である。
【0055】
本発明のレーザーマーキング用熱可塑性樹脂組成物の白色発色性の耐久性とは、レーザー照射によって盛り上がった時に、発泡による形成で盛り上がった部分にキータッチされることで白文字形成部の表面が潰れて認識しにくくなることをいう。
【0056】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に詳述するが、本発明は、その要旨を越えない限り下記に掲げる例に何等制約されるものではない。尚、下記の実施例及び比較例において部及び%は、特に断らない限り重量部及び重量%である。
【0057】
1.評価方法
本実施例において用いられる評価方法は以下のとおりである。
(1)成形体の外観評価
各成分を配合して得られる組成物を用い、射出成形機により縦40mm、横100mm、厚さ2.5mmの板状成形体を作製し、その外観を目視にて評価した。判断基準は下記の通りである。
○;良好
×;劣る(外観上問題あるものと判断される)。
【0058】
(2)耐衝撃性
上記(1)で得られた板状成形体を測定試料として、デュポンインパクト測定装置を用いて、荷重200gfを高さ40cmから落下させ、評価した。
○;割れないため問題なし
×;割れてしまい、問題となる可能性がある。
【0059】
(3)レーザーマーキング性の評価
上記で得られた板状の成形体の表面を、カールバーゼル社製の「レーザーマーカー スターマーク65W(YAGレーザー光)」を用いてレーザーマーキングした。照射することにより発色する部分の発色性、認識性及び鮮明さを目視で判断した。判断基準を以下に示す。
○;良好(鮮明で且つ認識性の良好な印字発色を呈する)
△;認識性又は鮮明さが劣る
×;不良(認識性及び鮮明さに劣る)。
(4)レーザーマーキング処理面耐久試験評価
上記でレーザーマーキングした成形体を用い、マーキング処理を施した面(縦30mm、横30mm)に対して、2kg荷重で繰り返し1,000,000回の打鍵試験を実施し、試験後の外観評価を目視にて判断した。
○;良好
△;良好(実用上問題ない)
×;劣る(鮮明度及び認識性に劣り問題あるものと判断される)。
【0060】
2.(A)成分の芳香族ポリカーボネート
A−(1);三菱エンジニアリングプラスチック社製7022PJ
A−(2);三菱エンジニアリングプラスチック社製7022PJ−LH1
【0061】
3.(B)成分のアクリル系樹脂
B−(1);三菱レイヨン社製ACRYPET VH
B−(2);三菱レイヨン社製ACRYPET IRD70
【0062】
4.(C)成分のゴム強化熱可塑性樹脂の調製
製造例1.C−(1)の製造
攪拌機を備えた内容積7リットルのガラス製フラスコに、イオン交換水100部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1.5部、t−ドデシルメルカプタン0.1部、ゴム質重合体として、平均粒径280nmのポリブタジエン15部(固形分換算)、スチレン15部、アクリロニトリル5部を加え、攪拌しながら昇温した。温度が45℃に達した時点で、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム0.1部、硫酸第1鉄0.003部、ホルムアルデヒドナトリウムスルホキシラート・2水和物0.2部及びイオン交換水15部よりなる活性剤水溶液、並びにジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド0.1部を添加し、1時間反応を続けた。
その後、イオン交換水50部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1部、t−ドデシルメルカプタン0.1部、ジイソプロピルハイドロパーオキサイド0.2部、スチレン50部、アクリロニトリル15部からなる混合物を3時間にわたって連続的に添加し、重合反応を続けた。添加終了後、更に攪拌を1時間続けたのち、2,2−メチレン−ビス−(4−エチレン−6−t−ブチルフェノール)0.2部を添加し、反応生成物をフラスコより取り出した。反応生成物のラテックスを、塩化マグネシウム2部で凝固し、反応生成物を良く水洗したのち、75℃で24時間乾燥し、共重合樹脂(C−(1))の白色粉末を得た。得られた樹脂の組成は、ブタジエンゴム/スチレン/アクリロニトリル=15/65/20(%)であった。重合転化率は97%、グラフト率は40%、極限粘度は0.55dl/gであった。
【0063】
製造例2.C−(2)の製造
ゴム質重合体として、平均粒径310nmのポリブタジエンを用い、製造例1と同様にして、ブタジエンゴム/スチレン/アクリロニトリル=40/42/18(%)の組成を有する共重合樹脂(c1)を得た。グラフト率は50%、極限粘度は0.45dl/gであった。
共重合体(c2)
スチレン・アクリロニトリル共重合体〔重合比75/25(%)〕を用いた。極限粘度は0.5dl/gであった。
上記の(c1)と(c2)を混合(c1/c2=40/60(部))して、混合物であるC−(2)を得た。
【0064】
5.(D)成分の黒色系物質
カーボンブラックを用いた。
【0065】
6.実施例1〜7、比較例1〜6
成分(A)〜(D)を表1に示す配合処方で、混合し、単軸押出機を用いて、220〜240℃の温度で溶融混練りし、射出成形により評価用試験片を得た。
この評価用試験片を用いて上記の各種評価を行い、その結果を表1に示した。尚、実施例7は、溶融混練もしくは射出成形の時点で、オイルから粒子に変化していることを確認した。該粒子の平均粒子径は0.5μmである。
【0066】
7.実施例の効果
実施例1〜7は本発明のレーザーマーキング用熱可塑製樹脂組成物であり、本発明の目的を達成している。
実施例7のレーザーマーキング耐久性は○であるが、○評価の中で上位にあった。
比較例1は(A)成分が本発明の範囲未満の例であり、耐衝撃性が劣る。
比較例2は(A)成分が本発明の範囲を越えた例であり、白色発色性が不良であった。耐久性評価は省略した。
比較例3は(B)成分が本発明の範囲未満の例であり、白色発色性が不良であった。耐久性評価は省略した。
比較例4は(B)成分が本発明の範囲を越えた例であり、耐衝撃性が劣る。
比較例5は(C)成分が本発明の範囲未満の例であり、成形体の外観性が劣る。
比較例6は(C)成分が本発明の範囲を越えた例であり、耐衝撃性、レーザーマーク耐久性が劣る。
【0067】
【表1】
Figure 0003987774
【0068】
【発明の効果】
本発明のレーザーマーキング用熱可塑性樹脂組成物は、これを用いて得られる成形体に優れた耐衝撃性を付与しつつレーザー光の照射による鮮明で且つその耐久認識性の高いマーキングを現出することができる。そして、上記のような優れたマーキングの可能な成形体を与えることができる。

Claims (1)

  1. 下記の(A)成分1〜50重量%、(B)成分1〜93重量%、(C)成分1〜80重量%、(D)成分0〜5重量%、(A+B+C+D=100重量%)を含有することを特徴とするレーザーマーキング用熱可塑性樹脂組成物。
    (A)成分;芳香族ポリカーボネート,
    (B)成分;(メタ)アクリル酸エステル(b1)60〜100重量%と他の共重合可能なビニル系単量体(b2)0〜40重量%(b1+b2=100重量%)を重合して得られるアクリル系樹脂,
    (C)成分;ゴム質重合体(a)の存在下に、芳香族ビニル化合物、または芳香族ビニル化合物およびこれと共重合可能な他のビニル系単量体からなる単量体成分を重合して得られるゴム強化共重合樹脂(c1)、又は該ゴム強化共重合樹脂(c1)とビニル系単量体の(共)重合体(c2)との混合物からなり、ゴム質重合体(a)の含有量が0.5〜40重量%である、ゴム強化熱可塑性樹脂,
    (D)成分;黒色系物質。
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