JP3986861B2 - インクジェットプリンタ用インク組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録に適する記録用樹脂組成物およびこれを用いた被記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、インクジェット記録方式は、インクの微小液滴を種々の作動原理により飛翔させて、紙などの被記録媒体に付着させ、画像、文字などの記録を行うものであるが、高速低騒音、多色化が容易であり、現像や定着工程が不要であるなどの特徴があり、情報機器からの画像出力をはじめ、各種の画像を記録する装置において急速に普及している。さらに、カラーインクジェット方式により形成される画像は、製版方式による印刷や、カラー写真方式による印画と比較して遜色のない記録を得ることも可能であり、作成部数が少ない場合には、フルカラー画像記録分野にまで広く応用されつつある。記録の高速化、高精細化、フルカラー化など感度の記録特性の向上に伴って、記録装置の改良が行われてきたが、被記録媒体に対しても高度な特性が要求されるようになってきた。それに伴い、画像記録品位はもちろんのこと、画像保存性(耐光性、耐水性、耐湿性など)に関する要求は次第に高く、厳しくなり、特に、耐光性に関しての改良が望まれている。従って、これらの要求特性を完全に確保することが今やインクジェットプリンタ用インクの必須条件になっているのが現状である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、耐光性、インク自体の保存安定性、印刷安定性など優れたインクジェットプリンタ用インク組成物を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、酸化防止基を含有する特定のポリオールを使用したポリウレタン樹脂の水系エマルションを使用することにより、かかる問題点を解決し得ることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0005】
すなわち本発明の第1は、(a)水、(b)水溶性有機溶媒、(c)色材、及び(e)耐候機能性樹脂を少なくとも含有する組成物であって、(e)耐候機能性樹脂が、(d -o )酸化防止基を有するポリオールを少なくとも反応させて得られる(e-o)酸化防止機能性樹脂であり、かつ(d -o )酸化防止基を有するポリオールが、下記一般式(4)で表されることを特徴とするインクジェットプリンタ用インク組成物を提供する。
【0006】
【化3】
Figure 0003986861
【0007】
本発明の第2は、(e -o )酸化防止機能性樹脂が、(d -o )酸化防止基を有するポリオールおよび(d -u )紫外線吸収基を有するポリエステルポリオールを少なくとも反応させて得られる樹脂である本発明の第1記載のインクジェットプリンタ用インク組成物を提供する。
【0008】
本発明の第3は、(d -u )紫外線吸収基を有するポリエステルポリオールが、下記一般式(1)で表される本発明の第2記載のインクジェットプリンタ用インク組成物を提供する。
【0009】
【化4】
Figure 0003986861
【0010】
(R 〜R は、H、炭素数1〜10のアルキル基、nおよびn’は4〜8の整数、mおよびm’は1〜20、n個のR1及びR2、n’個のR 及びR は互いに同一又は異なっていてもよく、m個及びm’個の構成単位は同一でも異なっていてもよい。)
【0011】
本発明の第4は、(e)耐候機能性樹脂がエマルション樹脂である本発明の第1〜3のいずれかに記載のインクジェットプリンタ用インク組成物を提供する。本発明の第5は、(e)耐候機能性樹脂が、ポリウレタン系樹脂である本発明の第1〜4のいずれかに記載のインクジェットプリンタ用インク組成物を提供する。本発明の第6は、(e-o)酸化防止機能性樹脂が、(d-o)酸化防止基を有するポリオールと必要に応じて加えられる(f)他のポリオールと(g)イオン性基を有する化合物を(h)有機ポリイソシアネートにより、(s)有機溶媒中でウレタン化反応させ、得られた樹脂溶液を(i)中和剤により中和後、水に分散することによりエマルション化した樹脂である本発明の第1〜5のいずれかに記載のインクジェットプリンタ用インク組成物を提供する。本発明の第は、(e -o )酸化防止機能性樹脂が、(d -u )紫外線吸収基を有するポリエステルポリオールと(d -o )酸化防止基を有するポリオールと必要に応じて加えられる(f)他のポリオールと (g)イオン性基を有する化合物を(h)有機ポリイソシアネートにより、(s)有機溶媒中でウレタン化反応させ、得られた樹脂溶液を(i)中和剤により中和後、水に分散することによりエマルション化した樹脂である本発明の第2〜5のいずれかに記載のインクジェットプリンタ用インク組成物を提供する。本発明の第は、(g)イオン性基を有する化合物が、カルボキシル基及び活性水素基を含有する化合物である本発明の第6又は7に記載のインクジェットプリンタ用インク組成物を提供する。本発明の第は、(e)耐候機能性樹脂が、エマルション化した後に(s)有機溶媒を除去することにより得られる樹脂である本発明の第6又は7に記載のインクジェットプリンタ用インク組成物を提供する。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明のインクジェットプリンタ用インク組成物は、水、水溶性有機溶媒、色材、酸化防止基を有するポリオールを反応させて得られる耐候機能性樹脂を必須成分として含有し、必要により分散剤等を含有してもよい。
【0013】
(a)水
水(a)は色材(c)、耐候機能性樹脂(e)を溶解/分散させる主溶媒として用いられ、純水、蒸留水、イオン交換水などが好ましい。
【0014】
(b)水溶性有機溶媒
水溶性有機溶媒(b)は、インクジェットプリンタ用インクにおいて、上記水(a)の蒸発を防止するために用いられる。水溶性有機溶媒(b)としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオール、1,5−ペンタンジオール等の多価アルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等のグリコールエーテル類;チオジエタノール、2−メルカプトエタノール、チオグリセロール、スルホラン、ジメチルスルホキシドなどの含イオウ溶媒類;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン等の含窒素溶媒が挙げられる。これらの溶媒の量は、インクジェットプリンタ用インク組成物100重量%中、1〜60重量%、好ましくは5〜40重量%である。
【0015】
(c)色材
色材(c)としては、各種染料、顔料、油溶性染料や顔料で着色されたオイルエマルション、着色ポリマー/ワックス等を用いることができる。色材としては、変退色の点からは、顔料の方が好ましいが、カラー顔料の場合、発色とインクの受像紙への透過浸透による定着性に問題があるため、染料を使用してもよい。染料の場合、溶解性や保存安定性の観点から、可溶化基として、少なくともカルボキシル基及びその塩;並びにスルホン酸基及びその塩からなる群から選ばれる置換基を持つ水溶性アニオン染料が好ましい。より好ましくは、酸性染料、直接染料である。好ましい染料としては、例えば、C.I.(カラーインデックス)ダイレクトブラック-2、-4、-9、-11、-17、-19、-22、-32、-80、-151、-154、-168、-171、-194、-195;C.I.ダイレクトブルー-1、-2、-6、-8、-22、-34、-70、-71、-76、-78、-86、-112、-142、-165、-199、-200、-201、-202、-203、-207、-218、-236、-287、-307;C.I.ダイレクトレッド-1、-2、-4、-8、-9、-11、-13、-15、-20、-28、-31、-33、-37、-39、-51、-59、-62、-63、-73、-75、-80、-81、-83、-87、-90、-94、-95、-99、-101、-110、-189、-227;C.I.ダイレクトイエロー-1、-2、-4、-8、-11、-12、-26、-27、-28、-33、-34、-41、-44、-48、-58、-86、-87、-88、-132、-135、-142、-144、-173;C.I.ダイレクトバイオレット-107;C.I.フードブラック-1、-2;C.I.アシッドブラック-1、-2、-7、-16、-24、-26、-28、-31、-48、-52、-63、-107、-112、-118、-119、-121、-156、-172、-194、-208;C.I.アシッドブルー-1、-7、-9、-15、-22、-23、-27、-29、-40、-43、-55、-59、-62、-78、-80、-81、-83、-90、-102、-104、-111、-185、-249、-254;C.I.アシッドレッド-1、-4、-8、-13、-14、-15、-18、-21、-26、-35、-37、-52、-110、-144、-180、-249、-257;C.I.アシッドイエロー-1、-3、-4、-7、-11、-12、-13、-14、-18、-19、-23、-25、-34、-38、-41、-42、-44、-53、-55、-61、-71、-76、-78、-79、-122等が挙げられる。上記の中で、元来紫外線による分解の進行が遅く、耐光性の高い染料の方が好ましい。すなわち、シアン染料としては、C.I.ダイレクトブルー-86、-199、-307;及びC.I.アシッドブルー-249、マゼンタ染料としては、C.I.ダイレクトレッド-75;及びC.I.アシッドレッド-37、イエロー染料としては、C.I.ダイレクトイエロー-86、-132、-142、-144、-173、ブラック染料としては、C.I.フードブラック-2;及びC.I.ダイレクトブラック-154、-168、-195から選ばれる染料をインク中の主成分の染料として用いるのが、発色の点を含めて好ましい。色材(c)の含有量は、インクジェットプリンタ用インク組成物100重量%中、0.05〜20重量%、好ましくは0.1〜10重量%、より好ましくは0.1〜7重量%である。色材含有量が多すぎると、ノズル先端で水が蒸発したときの目詰まり性が悪く、また、含有量が少ないと十分な画像濃度が得られない。
【0016】
(e)耐候機能性樹脂
本発明で使用する耐候機能性樹脂(e)は、酸化防止機能性樹脂(e-oである。耐候機能性樹脂(e)は、好ましくは、エマルション樹脂であり、樹脂としては、好ましくはポリウレタン系樹脂である
【0017】
外線吸収基を有するポリエステルポリオール(d-u)としては、前記式(1)で示される化合物を使用することが好ましい。式(1)で表される紫外線吸収性化合物の製造方法としては、下記式(2)で表される紫外線吸収性基を含むアルコールの水酸基に下記式(3)で表されるラクトン類を開環付加重合させて得るものである。
【0018】
【化5】
Figure 0003986861
【0019】
(R〜Rは、H、炭素数1〜10のアルキル基であり、n個のR及びRは互いに同一又は異なっていてもよい。)
【0020】
紫外線吸収性基を含むアルコールは、好ましくは、ビス[3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシ−ベンゼンエタノール]メタンであり、合成物や市販品を用いることができる。ラクトン類としてはε−カプロラクトン、トリメチル−ε−カプロラクトン、モノメチル−ε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン等が挙げられる。紫外線吸収性基を含むアルコールにラクトン類を開環付加重合させる場合に用いる触媒としては、テトラエチルチタネート、テトラブチルチタネート、テトラプロピルチタネート等の有機チタン系化合物、オクチル酸第一スズ、ジブチルスズオキサイド、ジブチルスズジラウレート、モノ−n−ブチルスズ脂肪酸塩等の有機スズ化合物、塩化第一スズ、臭化第一スズ、ヨウ化第一スズ等のハロゲン化第一スズ等が挙げられる。触媒の使用量は仕込み原料に対して0.1〜10000ppm、好ましくは1〜5000ppmである。触媒の使用量が0.1ppm未満ではラクトン類の開環反応が著しく遅く、経済的でない。逆に10000ppm以上では開環反応時間は早くなるが、得られた化合物を用いた合成樹脂の耐久性、耐水性などの物性が悪くなるのでいずれも好ましくない。反応温度は90〜240℃、好ましくは100〜220℃である。反応温度が90℃未満ではラクトン類の開環反応が著しく遅く、経済的でない。逆に、240℃以上では開環付加重合したポリラクトンの解重合反応が生じるので、いずれも好ましくない。また、反応中は窒素ガス等の不活性ガスの雰囲気で合成することが製品の色相等に良い結果を与える。このようにしてポリエステルポリオール(d-u)が合成される。
【0021】
(e-o)酸化防止機能性樹脂
酸化防止機能性樹脂(e-o)は、インクジェットプリンタ用インク組成物に耐光性、オゾン等に対する耐久性を向上させるために使用するものであり、酸化防止基を有するポリオール(d-o)を少なくとも反応させて得られるものである。上記ポリオール(d-o)としては、前記式(4)で示される化合物が挙げられ、式(4)において、R1、R5が表わす炭素数(C数)1〜5のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、アミル、tert-アミルが挙げられる。R2〜R4 表わす炭素数(C数)1〜5のアルキレン基としては、メチレン、エチレン、プロピレン、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン等が挙げられる。特に、下記式(5)で示される化合物が取扱い易さおよび入手のし易すさの点で好ましく、この化合物は、Chinox528(Chitec Chemical社製)として入手することができる。
【0022】
【化6】
Figure 0003986861
【0023】
酸化防止機能性樹脂(e-o)は、好ましくは、上記ポリオール(d-o)と、後述する、必要に応じて加えられる他のポリオール(f)と、イオン性基を有する化合物(g)とを、有機ポリイソシアネート(h)により、有機溶媒(s)中でウレタン化反応させ、得られた樹脂溶液を中和剤(i)により中和後、水に分散することによりエマルション化した樹脂である
【0024】
化防止機能性樹脂(e-o)は、上記ポリエステルポリオール(d-u)およびポリオール(d-o)を少なくとも反応させて得られるものであってもよい。ポリエステルポリオール(d-u)とポリオール(d-o)の使用比率は、(d-u)/(d-o)=100未満/0超〜0超/100未満(重量比)であり、目的により選択される。
【0025】
化防止機能性樹脂(e-o)は、好ましくは、上記ポリエステルポリオール(d-u)及びポリオール(d-o)と、後述する、必要に応じて加えられる他のポリオール(f)と、イオン性基を有する化合物(g)を、有機ポリイソシアネート(h)により、有機溶媒(s)中でウレタン化反応させ、得られた樹脂溶液を中和剤(i)により中和後、水に分散することによりエマルション化した樹脂である。
【0026】
(f)他のポリオール
上記耐候機能性樹脂(e)の合成に使用する他のポリオール(f)としては、下記低分子ポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリ(メタ)アクリルポリオール、ポリアルキルポリオール、ポリアルキレンポリオール等が挙げられる。低分子ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、3,5−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール等の脂肪族ジオール化合物、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、テトラメチロールプロパン等の三価以上の脂肪族や、シクロヘキサンジオール、水添キシリレングリコール、水添ビスフェノールA等の脂環族アルコール化合物が挙げられる。これらは、単独あるいは2種以上の併用系で用いられる。耐候機能性樹脂(e)100重量%中の他のポリオール(f)単位の含有量は、0〜200重量%、好ましくは0〜100重量%である。他のポリオール(f)は特に皮膜に弾性が必要とされる場合に使用される。
【0027】
(g)イオン性基を有する化合物
上記耐候機能性樹脂(e)の合成に使用するイオン性基を有する化合物(g)としては、カルボキシル基及び活性水素基を含有する化合物であり、例えば、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸等のアルカノールカルボン酸;ジメチロールプロピオン酸やジメチロールブタン酸を開始剤としたラクトン付加物;その他が挙げられる。これらは、単独あるいは2種以上の併用系で用いられる。耐候機能性樹脂(e)100重量%中の化合物(g)単位の含有量は、1〜15重量%、好ましくは3〜10重量%である。化合物(g)の含有量が上記範囲より多すぎると皮膜の耐水性が低下することがあり、少なすぎると水分散したときの分散安定性が低下することがあるので好ましくない。
【0028】
(h)有機ポリイソシアネート
上記耐候機能性樹脂(e)の合成に使用する有機ポリイソシアネート(h)としては、2,4-トルエンジイソシアネート、2,6-トルエンジイソシアネート、2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、ジベンジルジイソシアネート、ナフチレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2-メチルペンタン-1,5-ジイソシアネート、3-メチルペンタン-1,5-ジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレン-1,6-ジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、水添トリメチルキシリレンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート等が挙げられる。さらに、これらのアダクト変性体、カルボジイミド変性体、アロファネート変性体、ビュレット変性体、ウレトジオン変性体、ウレトイミン変性体、イソシアヌレート変性体等の変性体も使用できる。中でも、耐光性を考慮するとヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネートが好ましい。これらは、単独であるいは2種以上の併用系で用いられる。有機ポリイソシアネート(h)の使用量は、前記ポリエステルポリオール(d-u)、ポリオール(d-o)、必要に応じて加えられる他のポリオール(f)、化合物(g)等の活性水素(アルコール性OH基およびNH基の合計)に対して、イソシアネート基が0.7〜1.5当量倍、好ましくは0.7〜1.2当量倍の範囲である。
【0029】
(s)有機溶剤
有機溶剤(s)としては、例えば、アルコール(例えば、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノールなど);芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンなど);脂肪族炭化水素(例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなど);脂環族炭化水素(例えば、シクロヘキサンなど);エステル(例えば、酢酸エチル、酢酸n−ブチルなど)、ケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトンなど);エーテル(例えば、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフランなど);その他を用いることができる。これら有機溶剤は、支障が無い限り単独で又は2種以上の組み合わせで使用してもよい。
【0030】
(i)中和剤
上記耐候機能性樹脂(e)のエマルション化に使用する中和剤(i)としては、アンモニア、エチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、トリブチルアミン、トリエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、N-フェニルジエタノールアミン、モノエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、モルホリン、N-メチルモルホリン、2-アミノ-2-エチル-1-プロパノール等の有機アミン類、リチウム、カリウム、ナトリウム等のアルカリ金属、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機アルカリ類等が挙げられるが、乾燥後の耐候性や耐水性を向上させるためには、加熱によって容易に解離する揮発性の高いものが好ましく、アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミンが好ましい。また、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸等の有機酸、塩化メチル、臭化メチル、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸、塩化ベンジル、p−ニトロベンジルクロライド、臭化ベンジル、エチレンクロルヒドリン、エチレンブロムヒドリン、エピクロルヒドリン、ブロムブタン等の4級化剤が挙げられる。これらは、単独であるいは2種以上の併用系で用いられる。中和剤(i)の使用量は、イオン性基を有する化合物(g)のイオン性基の0.5〜1.2当量倍、好ましくは0.7〜1.2当量倍の範囲である。
【0031】
耐候機能性樹脂(e)のエマルション
前記耐候機能性樹脂(e)の一種である各種ポリウレタン系樹脂は、エマルション化されて水分散能を持たせるために、イオン性基を有する化合物(g)を分子中に導入しているが、必要に応じて、カルボン酸塩、スルホン酸塩、リン酸塩、ホスホン酸塩等のアニオン性極性基、4級アンモニウム塩以外のカチオン性極性基、エーテル基等のノニオン性極性基を導入してもよい。
【0032】
本発明のインクジェットプリンタ用インク組成物100重量%中の耐候機能性樹脂(e)の配合割合としては、特に制限がなく広い範囲内から適宜選択できるが、通常、0.001〜20重量%、好ましくは0.001〜10重量%、さらに好ましくは0.002〜5重量%である。
【0033】
上述のように、耐候機能性樹脂(e)は、好ましくは、上記ポリエステルポリオール(d-u)および/またはポリオール(d-o)、他のポリオール(f)及びイオン性基を有する化合物(g)を、有機ポリイソシアネート(h)により、有機溶媒(s)中でウレタン化反応させ、得られた樹脂溶液を中和剤(i)により中和後、水に分散することによりエマルション化され、必要に応じて、上記耐候機能性樹脂(e)の水エマルションから、有機溶剤(s)を除去したものを用いることができる。エマルション化の方法としては、従来既知の方法を用いることができる。
【0034】
その他の添加剤
本発明のインクジェットプリンタ用インク組成物は、その他の添加剤を含有してもよい。その他の添加剤として、例えば、界面活性剤、pH調整剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、物性調整剤、可溶化剤、防かび剤、防錆剤、殺菌剤、キレート化剤、デンドリマー等が挙げられる。界面活性剤は、インクの表面張力を低下させ、インクの記録媒体やヘッドに対する濡れ性を調整する機能を有している。界面活性剤として、ノニオン系、アニオン性、両イオン性の界面活性剤をいずれも用いることができる。色材にアニオン性染料を使用する場合が多いことから、染料溶解安定性を考慮して、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両イオン性界面活性剤を用いることが好ましい。
【0035】
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンステロール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンコポリマー、テトラメチルデシンジオール、テトラメチルデジンジオールエチレンオキサイド付加物などが挙げられる。アニオン性界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルフェニルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、高級脂肪酸塩、高級脂肪酸エステルの硫酸エステル塩、高級脂肪酸エステルのスルホン酸塩、高級アルコールエーテルの硫酸エステル塩及びスルホン酸塩、高級アルキルスルホコハク酸塩、ナフタレンスルホン酸塩のホルマリン縮合物、ポリスチレンスルホン酸塩、ポリアクリル酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アルキル硫酸塩、アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。両イオン性界面活性剤として、ベタイン、スルホベタイン、サルフェートベタイン、イミダゾリン等を用いることができる。その他にポリシロキサンポリオキシエチレン付加物等のシリコーン系界面活性剤やパーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、オキシエチレンパーフルオロアルキルエーテルなどのフッ素系界面活性剤、スピクリスポール酸やラムノリピド、リゾレシチンなどのバイオサーフェクタントなども用いることができる。界面活性剤の添加量は、インクジェットプリンタ用インク組成物100重量%中、0.001〜5重量%、好ましくは0.005〜3重量%の範囲である。
【0036】
その他の添加剤としてのpH調整剤としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、クエン酸、シュウ酸、マロン酸、ホウ酸、リン酸、亜リン酸及び乳酸等の酸;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム及びアンモニウム等の塩基;並びにリン酸塩、シュウ酸塩、アミン塩及びグッドバッファー等の各種緩衝剤が用いられる。本発明のインクジェットプリンタ用インク組成物のpHは、ヘッドやカートリッジ部材の腐食を考慮するとpH4〜12、好ましくはpH5〜11である。
【0037】
その他の添加剤として、耐光性改善の補助的役割として、紫外線吸収剤や酸化防止剤を加えてもよい。インクジェットプリンタ用インク組成物100重量%中の紫外線吸収剤や酸化防止剤の添加量は、それぞれ、0.001〜3重量%、好ましくは0.001〜1重量%である。
【0038】
その他の添加剤としての物性調整剤としては、ポリエチレンイミン、ポリアミン類、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、セルロース誘導体等;包接化合物としてシクロデキストリン、ポリシクロデキストリン、環状アミン類、クラウンエーテル類などが挙げられる。可溶化剤としては、アセトアミド、ベタイン、尿素及びその類縁体等が挙げられる。
【0039】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、重量部、重量%は固形分換算とする。
【0040】
実施例および比較例で得られたインクジェットプリンタ用インク組成物について以下のように評価した。
(耐光性1)
イエロー:Y、マゼンタ:M、シアン:C、ブラック:Bのカラーパターンをインクジェット用普通紙に印刷し、南向き窓ガラス越しの室内環境に1ヶ月間(合計日照時間330時間)保管し、保管前後の色濃度をマクベス色濃度計で測定した。
CMYBの平均色濃度保持率が85%以上:○、70〜85%:△、70%未満:×とした。
(耐光性2)
イエロー:Y、マゼンタ:M、シアン:C、ブラック:Bのカラーパターンをインクジェット用普通紙に印刷し、キセノンウエザーメーターのブラックパネル温度65℃、槽内湿度50%RH、340nmにおける照射エネルギー:0.35W/m2で90kJ/m2暴露した。次いで、暴露前後の色濃度をマクベス色濃度計で測定した。CMYBの平均色濃度保持率が85%以上:○、70〜85%:△、70%未満:×とした。
(耐ガス性)
イエロー:Y、マゼンタ:M、シアン:C、ブラック:Bのカラーパターンを記録シートに印刷し、ガス濃度5ppm、温度40℃、加湿なしのオゾン暴露槽に6時間保管し、保管前後の色濃度をマクベス色濃度計で測定した。色濃度変化の大きいシアン印刷部の平均色濃度保持率が85%以上:◎、70〜85:○、60〜70%:△、60%未満:×とした。
(インク乾燥性)
下記プリンタを用いてシアン、マゼンタ、イエロー、ブラック及びこれらの混色であるレッド、グリーン、ブルーのベタ画像印刷(使用した紙はエプソン社製純正フォト光沢紙)を行なった後、30秒後に印字部分にPPCコピー紙を載せ、荷重(500g/cm2)を10秒間かけた後、PPC用紙を剥がし、下記の基準でコピー用紙へのインクの移り具合を目視判断した。
○:コピー用紙へのインクの移りがまったく認められない。
△:僅かにインクの移りが認められる。
×:インクの移りが著しい
(印刷画質)
得られたインクを用いて、下記プリンタでISO標準画像をエプソン社製純正フォト光沢紙に印刷し、下記の基準で目視判断した。
○:にじみやムラ等の画質不良がまったく認められない。
△:僅かににじみやムラなどの画質不良が認められる。
×:にじみやムラ等の画質不良が著しく、明確な画像が得られない。
(印刷安定性)
得られたインクを用いて、下記プリンタでISO標準画像を連続で10枚印刷し、下記の基準で目視判断した。
〇:画質に変化なく10枚の画像が得られる。
△:僅かににじみやムラなどの画質不良が発生する。
×:ノズルつまりで10枚の画像が得られない。
(インクの保存安定性)
得られたインクを室温で1ヶ月間静置し、インクの状態を目視で以下の基準で評価した。〇:変化なし、×:沈降物あり。
【0041】
紫外線吸収基を有するポリエステルポリオールの合成
下記ポリエステルポリオール(1)と(2)は、特開平10−265557号公報に記載された[合成例1]、[合成例2]と同様のものを使用したので、得られた反応生成物の特性などは、特開平10−265557号公報に記載されている。
【0042】
[合成例1(ポリエステルポリオール(1))]
冷却管、窒素導入管、温度計及び撹拌器を備えたガラス製フラスコに、1,1−ビス−[3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシ−ベンゼンエタノール]メタン(商品名「MBEP」、大塚化学(株)製)129.3g、ε−カプロラクトン170.3g、モノ−n−ブチルスズ脂肪酸塩(商品名「SCAT−24」、三共有機合成(株)製)50ppm加えた。反応温度を150℃に保ち6時間後反応液中のε−カプロラクトン濃度をガスクロマトグラフで測定したところ0.43%であったので反応を終了させた。この反応物は、酸価1.8mgKOH/g、粘度2645cP/60℃、GPC分析から求めた数平均分子量(Mn)1391、重量平均分子量(Mw)1688、Mw/Mn1.213の室温液状の物が得られた。上記、ポリエステルポリオール(1)は特開平10−265557号公報に記載されたように紫外線領域で充分大きな吸収を示す。
【0043】
[合成例2(ポリエステルポリオール(2))]
合成例1と同様な装置を使用し、合成例1で使用したMBEP93.7g、ε−カプロラクトン206.3g、SCAT−24を50ppm加えた。反応温度を150℃に保ち6時間後反応液中のε−カプロラクトン濃度をガスクロマトグラフで測定したところ0.55%であったので反応を終了させた。この反応物は、酸価2.5mgKOH/g、粘度987cP/60℃、GPC分析からMn2017、Mw2465、Mw/Mn1.222の室温固体のポリエステルポリオールが得られた。上記ポリエステルポリオール(2)は特開平10−265557号公報に記載されたように紫外線領域で充分大きな吸収を示す。
【0044】
紫外線吸収性樹脂の合成[合成例U-1:紫外線吸収性樹脂−1]
冷却管、窒素導入管、滴下ロート、温度計及び撹拌器を備えたガラス製フラスコに、アセトン250重量部、イソホロンジイソシアネート(IPDI)262.2重量部を入れ、窒素雰囲気下、攪拌しながら、合成例1で得られたポリエステルポリオール(1)689.77重量部を滴下する。フラスコの温度を65℃に昇温し、2時間反応を行い、ジメチロールブタン酸(DMBA)48.02重量部を仕込み、さらに、ジブチルスズジラウレート0.30重量部を仕込んで、10時間反応を継続した。プレポリマーの反応終了時のNCO濃度は、0.452mmol/g(理論NCO濃度0.44mmol/g)で、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)による数平均分子量は、4400、重量平均分子量は8100であった。次に、ジメチルアミノエタノール28.65重量部を加えて、カルボン酸分を中和し、水1600重量部中にプレポリマーのアセトン溶液を滴下し、エマルション化した。その後、溶媒のアセトンを減圧で除去し、目的の水系紫外線吸収性樹脂を得た。この水系紫外線吸収性樹脂の不揮発分濃度は40%で、光散乱粒子径測定装置(大塚電子製,ELS-800、以下同じ)による平均粒子径は95nmであった。
【0045】
[合成例U-2:紫外線吸収性樹脂−2]
ポリエステルポリオール(1)を合成例2で得られたポリエステルポリオール(2)に変えた以外は、合成例U-1と同様にして、目的の水系紫外線吸収性樹脂を得た。この水系紫外線吸収性樹脂の不揮発分濃度は40%で、平均粒子径は82nmであった。
【0046】
各インクは、下記の各成分を十分混合し、0.45μmのフィルターで加圧ろ過して調製した。
【0047】
[参考例U-1]
各色のインクの組成を表1に示す。なお、紫外線吸収性樹脂の重量部は不揮発分を示す。
【0048】
【表1】
Figure 0003986861
【0049】
[参考例U-2]
紫外線吸収性樹脂−1の代りに、紫外線吸収性樹脂−2を2重量部用いた以外は、参考例U-1と同じ配合で各色のインクを調製した。
【0050】
[比較例U-1]
紫外線吸収性樹脂−1の代りに、2-(2’-ヒドロキシ-3’-t-ブチル-5’-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾールを2重量部用いた以外は、参考例U-1と同じ配合で各色のインクを調製した。
【0051】
[比較例U-2]
参考例U-1のインクの紫外線吸収性樹脂−1の代りに純水を2重量部用いた以外は、参考U-1と同じ配合で各色のインクを調製した。
【0052】
参考例U-1〜U-2及び比較例U-1〜U-2で得られたインクジェットプリンタ用インク組成物を用いてインクジェットプリンター(エプソン社製PM800C、以下同じ)で、インクジェット用普通紙に印刷した。評価結果を表2に示す。
【0053】
【表2】
Figure 0003986861
【0054】
酸化防止機能性樹脂の合成[合成例o-1]
冷却管、窒素導入管、滴下ロート、温度計及び撹拌器を備えたガラス製フラスコにアセトン250重量部、イソホロンジイソシアネート(IPDI)262.2重量部を入れ、窒素雰囲気下、攪拌しながら、さらに酸化防止基を有するポリオールChinox528(Chitec Chemical社製)689.77重量部を滴下する。フラスコの温度を65℃に昇温し、2時間反応を行い、ジメチロールブタン酸(DMBA)48.02重量部を仕込み、さらに、ジブチルスズジラウレート0.30重量部を仕込んで、10時間反応を継続した。プレポリマーの反応終了時のNCO濃度は、0.452mmol/g(理論NCO濃度0.44mmol/g)で、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)による数平均分子量は、4400、重量平均分子量は8100であった。次に、ジメチルアミノエタノール28.65重量部を加えて、カルボン酸分を中和し、水1600重量部中にプレポリマーのアセトン溶液を滴下し、エマルション化した。その後、溶媒のアセトンを減圧で除去し、目的の水系酸化防止機能性樹脂を得た。この水系酸化防止機能性樹脂の不揮発分濃度は40%で、平均粒子径は95nmであった。
【0055】
[実施例o-1]
紫外線吸収性樹脂−1の代りに、上記で得られた酸化防止機能性樹脂を2重量部用いた以外は、参考例U-1と同じ配合で各色のインクを調製した。
【0056】
[比較例o-1]
酸化防止機能性樹脂の代りに、オクタデシル-3-(3,5- -t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを2重量部用いた以外は、実施例o-1と同じ配合で各色のインクを調製した。
【0057】
[比較例o-2]
実施例o-1における酸化防止機能性樹脂の替わりに純水を2重量部用いた以外は、実施例o-1と同じ配合で各色のインクを調製した。
【0058】
実施例o-1及び比較例o-1〜o-2で得られたインクジェットプリンタ用インク組成物を用いて、インクジェットプリンターで、インクジェット用普通紙に印刷した。評価結果を表3に示す。
【0059】
【表3】
Figure 0003986861
【0060】
【発明の効果】
本発明によれば、耐光性、インク自体の保存安定性、印刷安定性が良好であるインクジェットプリンタ用インク組成物を提供できる。

Claims (9)

  1. (a)水、(b)水溶性有機溶媒、(c)色材、及び(e)耐候機能性樹脂を少なくとも含有する組成物であって、(e)耐候機能性樹脂が、(d -o )酸化防止基を有するポリオールを少なくとも反応させて得られる(e-o)酸化防止機能性樹脂であり、かつ(d -o )酸化防止基を有するポリオールが、下記一般式(4)で表されることを特徴とするインクジェットプリンタ用インク組成物。
    Figure 0003986861
  2. (e-o)酸化防止機能性樹脂が、(d-o)酸化防止基を有するポリオールおよび(d-u)紫外線吸収基を有するポリエステルポリオールを少なくとも反応させて得られる樹脂である請求項1記載のインクジェットプリンタ用インク組成物。
  3. (d-u)紫外線吸収基を有するポリエステルポリオールが、下記一般式(1)で表される請求項記載のインクジェットプリンタ用インク組成物。
    Figure 0003986861
    (R〜Rは、H、炭素数1〜10のアルキル基、nおよびn’は4〜8の整数、mおよびm’は1〜20、n個のR1及びR、n’個のR及びRは互いに同一又は異なっていてもよく、m個及びm’個の構成単位は同一でも異なっていてもよい。)
  4. (e)耐候機能性樹脂がエマルション樹脂である請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェットプリンタ用インク組成物。
  5. (e)耐候機能性樹脂が、ポリウレタン系樹脂である請求項1〜4のいずれかに記載のインクジェットプリンタ用インク組成物。
  6. (e-o)酸化防止機能性樹脂が、(d-o)酸化防止基を有するポリオールと必要に応じて加えられる(f)他のポリオールと(g)イオン性基を有する化合物を(h)有機ポリイソシアネートにより、(s)有機溶媒中でウレタン化反応させ、得られた樹脂溶液を(i)中和剤により中和後、水に分散することによりエマルション化した樹脂である請求項1〜5のいずれかに記載のインクジェットプリンタ用インク組成物。
  7. (e -o )酸化防止機能性樹脂が、(d -u )紫外線吸収基を有するポリ エステルポリオールと(d -o )酸化防止基を有するポリオールと必要に応じて加えられる(f)他のポリオールと(g)イオン性基を有する化合物を(h)有機ポリイソシアネートにより、(s)有機溶媒中でウレタン化反応させ、得られた樹脂溶液を(i)中和剤により中和後、水に分散することによりエマルション化した樹脂である請求項2〜5のいずれかに記載のインクジェットプリンタ用インク組成物。
  8. (g)イオン性基を有する化合物が、カルボキシル基及び活性水素基を含有する化合物である請求項6又は7に記載のインクジェットプリンタ用インク組成物。
  9. (e)耐候機能性樹脂が、エマルション化した後に(s)有機溶媒を除去することにより得られる樹脂である請求項6又は7に記載のインクジェットプリンタ用インク組成物。
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