JP3985577B2 - 回路遮断器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、回路遮断器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、住宅の分岐回路に使用される回路遮断器には、一般に安全ブレーカと呼称される住宅用分電盤用配線用遮断器(JIS C 8370参照)に代わって、分岐回路に接続される電気機器の電源コードが被覆の損傷や劣化によって短絡した場合のように比較的小さな短絡電流でも瞬時に電路を遮断し得るコード短絡保護用瞬時遮断機能付配線用遮断器(日本電機工業会規格 JEM 1477参照)が用いられている。
【0003】
上記コード短絡保護用瞬時遮断機能付配線用遮断器(以下、「回路遮断器」と略す)は、従来の安全ブレーカよりも高感度の電磁釈放装置を備えており、その動作電流(電磁釈放装置が引外し動作を行う短絡電流の大きさ)が上記規格において350Aを上限とし、JIS C 8370に規定する越流試験にて引外し動作を行わない電流値を下限とする値に設定される。
【0004】
このような回路遮断器としては特開2002−25415公報に記載されたものがある。この公報に記載されている従来例は、主回路に含まれる通電導体を間に挟むようにして固定鉄心及び可動鉄心が接離自在に配設されるとともに固定鉄心と可動鉄心を連結する板ばねにより可動鉄心が固定鉄心から離れる向きに付勢され、通電導体に短絡電流のような過大な電流が流れたときに固定鉄心と可動鉄心との間に生じる電磁吸引力で可動鉄心が固定鉄心に吸引され、板ばねのばね力に抗して可動鉄心が固定鉄心と接触する向きに移動することで開閉機構を釈放して主接点を強制的に開極するようにした電磁釈放装置を備えている。そして、この電磁釈放装置の動作電流は、図27(a)に示すように越流(実線イ)のピーク値よりも大きく、且つコード短絡時に流れる比較的に小さな短絡電流(実線ロ)のピーク値よりも小さい値に設定される。なお、実線ハは回路短絡時に流れる大きな短絡電流を示している。
【0005】
ここで、電磁釈放装置の動作を図27を参照して簡単に説明する。なお、同図(b)〜(e)における横軸は時間、縦軸は固定鉄心と可動鉄心の間の距離をそれぞれ示している。まず、通電導体に越流が流れた場合、上述のように動作電流を越流よりも大きい値に設定していることから可動鉄心は移動せず、主接点は開極されない(同図(c)参照)。一方、コード短絡による比較的に小さな短絡電流(以下、「コード短絡電流」と呼ぶ)が通電導体に流れた場合には、上述のように動作電流をコード短絡電流よりも小さい値に設定しているので、同図(d)に示すようにコード短絡電流(同図(a)における実線ロ参照)が動作電流を超えた時点から可動鉄心が固定鉄心に吸引されて固定鉄心に接触する向きに移動し始め、コード短絡電流の上昇に伴って可動鉄心と固定鉄心の間の距離が狭くなり、両者の距離が所定値を下回ったときに開閉機構を釈放して主接点を強制的に開極する。なお、回路短絡による大きな短絡電流(以下、「短絡電流」と略す)が流れた場合には短絡電流がコード短絡電流よりも急激に上昇するから(同図(a)における実線ハ参照)、同図(e)に示すようにコード短絡電流が流れた場合よりも短い時間で可動鉄心と固定鉄心との距離が上記所定値を下回って開閉機構を釈放して主接点を強制的に開極することになる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、モータあるいはインバータのようにその起動の際に瞬時に大きな突入電流が流れる負荷を分岐回路に接続した場合、図27(a)の実線ニに示すように起動時の突入電流がコード短絡電流以上に流れると、電磁釈放装置の動作電流を超えてしまい、可動鉄心が固定鉄心に接触する向きに移動して突入電流の上昇に伴って可動鉄心と固定鉄心の間の距離が狭くなり、コード短絡等の異常が生じていないにもかかわらず、両者の距離が所定値を下回ったときに開閉機構を釈放して主接点を強制的に開極してしまうという問題があった。
【0007】
本発明は上記問題に鑑みて為されたものであり、その目的は、負荷起動の際に瞬時に流れる突入電流により主接点が誤って強制開極されることを防止した回路遮断器を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、上記目的を達成するために、主回路を収納する器体と、少なくとも一部が器体から回動自在に露出するハンドルと、少なくともハンドルの操作に応じて主回路の主接点を開閉する開閉機構と、短絡電流が主回路に流れた場合に開閉機構を釈放して主接点を強制的に開極する電磁釈放装置とを備え、電磁釈放装置は、第1鉄心及び第2鉄心を具備し、主回路を形成する通電導体を間に挟む形で第1鉄心を第2鉄心に揺動自在に接離させるとともに第1鉄心を第2鉄心から離れる向きに付勢し第2鉄心が第1鉄心を吸引して第1鉄心と第2鉄心との距離が所定値を下回ったときに開閉機構を釈放してなる回路遮断器において、第2鉄心を第1鉄心と接離する方向に移動自在に配設するとともに、第1鉄心を第2鉄心から離れる向きに付勢する力よりも弱い力で第2鉄心を第1鉄心から離れる向きに付勢したことを特徴とし、通電導体に定格を超える電流が流れた場合には最初に第2鉄心が第1鉄心に接触する向きに移動した後に第1鉄心が第2鉄心に接触する向きに移動するため、短絡電流やコード短絡電流が流れたときには第1及び第2鉄心がそれぞれ電磁吸引力により互いに接触する向きに移動して主接点が強制開極されるが、負荷起動の際に瞬時に流れる突入電流は第1鉄心が移動し始める前に流れなくなることから第1鉄心と第2鉄心との距離が所定値を下回ることがなく、主接点が誤って強制開極されることを防止できる。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、第2鉄心と通電導体との間に第2鉄心を第1鉄心から離す向きに弾性付勢する圧縮ばねを介装したことを特徴とし、圧縮ばねを第2鉄心の中心位置に当接させることが容易になるため、第2鉄心をスムーズに移動させることができる。
【0010】
請求項3の発明は、請求項2の発明において、バイメタルからなる通電導体を一端で固定して他端を揺動自在としてなり、過負荷電流が通電導体に流れた場合に過負荷電流による温度上昇で通電導体の他端が揺動することにより開閉機構を釈放して主接点を強制的に開極する熱動釈放装置を備え、通電導体の中央から固定された一端側寄りの位置に圧縮ばねを介装したことを特徴とし、通電導体の他端が揺動する際の圧縮ばねと第2鉄心との間の距離の変動を抑えて圧縮ばねの位置ずれや脱落が防止できる。
【0011】
請求項4の発明は、請求項1の発明において、第2鉄心と器体との間に第2鉄心を第1鉄心から離す向きに弾性付勢する圧縮ばねを介装したことを特徴とし、第2鉄心と圧縮ばねを器体内に配設した後に通電導体や第1鉄心を配設することができて組立作業が容易になる。
【0012】
請求項5の発明は、請求項1〜4の何れかの発明において、主接点を閉極状態にラッチさせるラッチ部材と、器体内で揺動自在に配設され、主接点を開極状態へ移行させるラッチ部材の動きを規制するとともに電磁釈放装置が具備する第1鉄心と第2鉄心との距離が所定値を下回ったときに前記規制が解除される引外し部材とを開閉機構に具備し、引外し部材の揺動する部位に第1鉄心を取着したことを特徴とし、電磁釈放装置においては第1鉄心の動きを引外し部材に伝える部材が不要となり、部品点数を削減できるとともに第1鉄心と引外し部材との距離を縮めることで小型化が図れる。
【0013】
請求項6の発明は、上記目的を達成するために、主回路を収納する器体と、少なくとも一部が器体から回動自在に露出するハンドルと、少なくともハンドルの操作に応じて主回路の主接点を開閉する開閉機構と、短絡電流が主回路に流れた場合に開閉機構を釈放して主接点を強制的に開極する電磁釈放装置とを備え、開閉機構は、主接点を閉極状態にラッチさせるラッチ部材と、器体内に揺動自在に配設されて主接点を開極状態へ移行させるラッチ部材の動きを規制するとともにラッチ部材の動きを規制する方向に付勢され、短絡電流が主回路に流れた場合に電磁釈放装置により前記規制を解除する方向に揺動させられる引外し部材とを具備し、電磁釈放装置は、引外し部材の揺動部位に対して固定鉄心と接離する方向に移動自在に設けた可動鉄心と、主回路を形成する通電導体を可動鉄心との間に挟む形で器体に固定した固定鉄心とを具備し、引外し部材をラッチ部材の動きを規制する方向に付勢する力よりも弱い力で可動鉄心を固定鉄心から離れる向きに付勢し、固定鉄心が可動鉄心を吸引して可動鉄心と固定鉄心との距離が所定値を下回ったときに引外し部材による前記規制を解除してなることを特徴とし、通電導体に定格を超える電流が流れた場合には最初に可動鉄心が引外し部材の揺動部位に対して固定鉄心に接触する向きに移動した後に引外し部材を揺動しながら可動鉄心が固定鉄心に接触する向きに移動するため、短絡電流やコード短絡電流が流れたときには可動鉄心が引外し部材を揺動しながら固定鉄心に接触する向きに移動して主接点が強制開極されるが、負荷起動の際に瞬時に流れる突入電流は可動鉄心が引外し部材を揺動しながら移動し始める前に流れなくなることから可動鉄心と固定鉄心との距離が所定値を下回ることがなく、主接点が誤って強制開極されることを防止できる。
【0014】
請求項7の発明は、請求項6の発明において、棒状の主部の先端に鍔部を設けた取付部材を電磁釈放装置に具備し、可動鉄心を表裏に貫通し主部の径よりも大きく且つ鍔部の径よりも小さい径を有する貫通孔に取付部材の主部を挿通するとともに貫通孔に挿通した主部の後端を引外し部材の揺動部位に固定し、取付部材の主部に外挿した圧縮コイルばねを鍔部と可動鉄心との間に配置したことを特徴とし、圧縮コイルばねが鍔部と可動鉄心との間で取付部材の主部に支持されることとなり、圧縮コイルばねの脱落や座屈が防止できる。
【0015】
請求項8の発明は、請求項7の発明において、複数の取付部材を電磁釈放装置に具備するとともに、各取付部材の主部を挿通する複数の貫通孔を可動鉄心に設けたことを特徴とし、引外し部材の揺動部位に対する可動鉄心の位置ずれを防止して特性を安定化させることができる。
【0016】
請求項9の発明は、請求項7又は8の発明において、取付部材の主部の後端を挿抜自在に圧入する圧入孔を引外し部材の揺動部位に設けたことを特徴とし、圧縮ばねや可動鉄心を容易に交換することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
(実施形態1)
以下、本発明を漏電遮断器に適用した実施形態1について図1〜図15を参照して詳細に説明する。
【0018】
本実施形態は、両側の合成樹脂製の第1側ケース1Aと第2側ケース1Bとを連結して構成される器体1内に、器体1の幅方向に並設された2つの固定接点2A,2Bと、これら各固定接点2A,2Bに接離自在に対向する可動接点3A,3Bを固着した2つの可動接触子4A,4Bと、これらの2つの可動接触子4A,4Bを駆動する開閉機構5とを備え、ハンドル6の投入・開放操作により開閉機構5を介して各可動接点3A,3Bを各固定接点2A,2Bに接離(接触・開離)させる構成となっており、各固定接点2A,2B及び各可動接触子4A,4Bを、器体1の高さ方向に上下に配設するとともに両可動接触子4A,4Bの内、高さ方向で2つの固定接点2A,2B間に介在する一方の可動接触子4Bと、他方の可動接触子4Aの可動接点3Aが接離する固定接点2Aとを、各固定接点2A,2Bから各可動接点3A,3Bが開離した状態で器体1の幅方向から見て交差しない高さ位置に配設してある。
【0019】
器体1の長手方向における一端部内には両側ケース1A,1B間に挟み込むようにして、合成樹脂材料から成形された中間ケース7を固定しており、第1側ケース1Aの側壁(外壁)内側の凹部8と中間ケース7の縦壁部35とで構成される区画内に固定接点2Aを一端に設けた電圧極側の出力端子を構成する端子ブロック10Aを収納し、中間ケース7の第2側ケース1B側に設けた凹部9と第2側ケース1Bの側壁(外壁)とで構成される区画内に下側の固定接点2Bを一端に設けた中性極側又は他方の電圧極側の出力端子を構成する端子ブロック10Bを収納してある。
【0020】
端子ブロック10Aは、コ状に折り曲げられた端子板11と、該端子板11の下片の一端より上方に延長片11aが一体延長され、該延長片11aの上端から延長片11aに対し直角に折り曲げて端子板11に対して外向きに一体延長された固定接触子12Aと、該固定接触子12Aの一端上面にかしめ固定された固定接点2Aと、端子板11の下片上に載置されて端子板11内に収納される略ム字状の鎖錠ばね13Aとで構成される。そして、上記第1側ケース1Aの凹部8の下向き傾斜した底面上に端子板11の下片を乗せ、凹部8の一端の立ち上がり壁8aに沿うように延長片11aを配置し、立ち上がり壁8aの上端を越えて固定接触子12Aを凹部8の外へ導出して立ち上がり壁8aと、第1側ケース1Aの底部より立ち上がった隔壁14との間に凹部8の底部と同様に傾斜させて一体形成した固定接点配置部15上に固定接触子12Aの先部を配置することにより、端子ブロック10Aが凹部8内に配設される。固定接点配置部15には固定接触子12Aの下面側に突出した固定接点2Aの下端を逃がす凹部15aが形成されている。端子板11は上片の他端から上向きにT字片11bを一体に延長形成しており、このT字片11bの上端の側方突出部の片側先端を第1側ケース1Aの内側面に形成してある凸平部22の上端面に載置する。また端子板11の側片の側面には鎖錠ばね13Aの押さえ片13b内に挿入され、鎖錠ばね13Aのがたつきを防止する突起23を一体に形成してある。
【0021】
鎖錠ばね13Aと端子板11は導体接続部たる速結端子を構成するもので、第1側ケース1Aに中間ケース7を重ね合わせた時に、第1側ケース1Aの他端部の縦壁部に形成した断面が半円状の斜め下向き溝160と中間ケース7の対向壁面に形成した壁に同様な形状の斜め下向き溝160とで形成される斜め下向き電線挿入孔16Aを介して外部より挿入された電線(図示せず)の芯線が端子板11の上片と鎖錠ばね13Aの鎖錠片13aの上端と押さえ片13bの上端との間に圧入され、鎖錠片13a先端により電線の引き抜き方向に対して芯線を鎖錠し且つ、押さえ片13bの上端面で芯線を端子板11の上片に押し付けることにより、電気的に芯線を接続すると共に、機械的に保持するようになっている。この電線鎖錠を解除するのが解除ハンドル17でこの解除ハンドル17は下部側面に設けた回動軸18が第1側ケース1Aの内側面の凸平部22に設けた軸孔20に回動自在に軸支され且つ中間ケース7の縦壁部35の壁面に突出させている軸(図示せず)を下部他側面に設けた凹部37に回動自在に軸支してあり、器体1の外側に露出する操作部17aを手動操作して回動させることで、下端に設けた駆動突起19が鎖錠ばね13Aの鎖錠片13aの一側端の先部を押して鎖錠片13aを撓ませ、芯線に対する鎖錠を解除することができるようになっている。図中21は解除ハンドル17を常時反手動操作方向に回動付勢する復帰ばねである。
【0022】
一方端子ブロック10Bは、基本的に端子ブロック10Aと同様に端子板11と、鎖錠ばね13Bと、固定接触子12Bとで構成されているが、端子ブロック10Aの端子板11とは異なり、端子ブロック10Bの端子板11はその下片の一端より下向きに延長片11cを延長形成し、その延長片11cの先端より器体1の底部と平行するようにして固定接触子12Bを延長形成し、また端子板11の側片の一端部から直角に延長した奥片11dを形成してある。
【0023】
鎖錠ばね13Bは、鎖錠ばね13Aと同じ構造のものであって、端子板11の下片上に載置され、端子板11の側片より突出させた突起23が押さえ片13b内に挿入されようになっている。
【0024】
この端子ブロック10Bは中間ケース7の凹部9の底部を構成し器体1の底部に略平行に延出形成された横壁部24上に端子板11の下片を載置するともに、凹部9の一端部の縦壁25に奥片11dを沿わせるとともに縦壁25の下端と、横壁部24の一端部との間に形成された切欠27に端子板11の一端を嵌めて延長片11cを凹部9外に出すようになっており、中間ケース7を第1側ケース1A側に重ね合わせときに、固定接触子12Bの先部、つまり固定接点2Bを設けた下面が第1側ケース1Aの底部のリブ26,26上に載置されるようになっている。つまり固定接点2Bは中間ケース7の横壁部24及び後述する膨出部30及び両側ケース1A,1Bの側壁間で構成される空間で両側ケース1A,1B間に跨って配置される。尚リブ26,26間の凹所は固定接触子12Bの先部にかしめ固定された固定接点2Bの固定接触子12Bの下面側に突出した下端部の逃げとなる。
【0025】
また端子板11の上片の他端部より上方に延長形成されたT字片11bの上端の側方突出部の先端は中間ケース7の壁面に形成してある凸平部22’の上端面に載置される。
【0026】
端子ブロック10Bの鎖錠ばね13Bと端子板11は端子ブロック10Aの場合と同様に導体接続部たる速結端子を構成し、第2側ケース1Bに中間ケース7を重ね合わせたときに、中間ケース7の凹部9の他端部の縦壁部に設けられた断面半円状の斜め下向き溝160とこの斜め下向き溝160と同様に第2側ケース1Bの他端部の縦壁に設けられた斜め下向き溝160とで形成される電線挿入孔16Bから電線が挿入されるとその芯線を鎖錠ばね13Bの鎖錠片13aで鎖錠し、押さえ片13bで芯線を端子板11の上片に押しつけて電線を電気的に接続するともに機械的に鎖錠するようになっている。
【0027】
この電線鎖錠を解除するのが解除ハンドル17’で、この解除ハンドル17’は上記の解除ハンドル17と同様に下部側面に設けた回動軸18が中間ケース7の凸平部22’に設けた軸孔20に回動自在に軸支され且つ第2側ケース1Bの内側壁面に突出させている軸38を側面に形成してある凹部37に回動自在に軸支し、器体1の外側に露出する操作部17aを手動操作して回動させたときに下端に設けた駆動突起19が鎖錠ばね13Bの鎖錠片13aの一側端の先部を押して鎖錠片13aを撓ませて鎖錠状態を解除することができるようになっている。図中21’は解除ハンドル17’を常時反手動操作方向に回動付勢する復帰ばねである。
【0028】
中間ケース7は両側ケース1A,1Bの側壁に略平行する縦壁部35に対して第2側ケース1B側へ突出して第2側ケース1Bの側壁内面に当接する膨出部30が形成され、この膨出部30下面より垂下させた壁が上記縦壁25であり、第2側ケース1B側に面する側壁、底壁、一端部の縦壁32及び天井壁33とで囲まれた凹所を第1側ケース1A側に設けてある。そして第1側ケース1A側に中間ケース7を突き合わせときに第1側ケース1A側に組み付けてある端子ブロック10Aの固定接触子12Aの先端側部が凹所の底壁の段面上に載置され、また天井壁33が第1側ケース1Aの内側面より突出している横壁29の下面に沿うよう配置される。また縦壁32には固定接点2Aに対応する可動接触子4Aの自由端を凹所内に挿入するための開口部39を形成してある。
【0029】
一方器体1の長手方向における他端内部には、分電盤内において異なる位置(図2の上下方向)に各々配設された3本の導電バー(図示せず)の内で最下段の電圧極の導電バーを差込接続する1つの固定端子T1を収納配置する収納部90と、最上段の中性極又は中段の他の電圧極の導電バーの何れかを選択して差込接続する1つの選択端子T2を中性極及び他の電圧極の導電バーに対応した少なくとも2つの位置間で移動自在に配設する内方収納部200を設けてある。すなわち、本実施形態では選択端子T2を中性極の導電バーに接続すれば100V、選択端子T2を他方の電圧極の導電バーに接続すれば200Vの配電電圧に選択的に対応させることができる、いわゆる100V/200V兼用型となっている。
【0030】
固定端子T1及び選択端子T2は共に略コ字状で、上下に並行する両側片の先部が互いに近接した後、先端にかけて拡開した刃受ばねから構成され、先端拡開により導電バーの差込を容易とし、中央の近接部位で導電バーを挟み込むようになっている。
【0031】
内方収納部200には、中性極及び電圧極の2本の導電バーに各々対応する2つの位置で選択端子T2を位置決めする位置決め手段として、第1側ケース1Aの内方収納部200を構成する区画の端部壁面に断面略半円状の突起97を第1側ケース1Aの幅方向に設けてある。
【0032】
前記器体1の内方収納部200の天井部に当たる壁には、選択端子T2が中性極又は電圧極の導電バーのうちのどちらに対応する位置にあるのか表示する表示手段として、内方収納部200内に連通する通孔201を設け、この通孔201から選択端子T2を収納したスライド部材83の上部に形成せる円柱状の表示部202が通孔201に臨んで外部から視認できるか、通孔201から離れた位置にあって外部から視認できないかにより選択端子T2の位置を知ることができるようになっている。また通孔201を介してスライド部材83を外部から押し操作して下方移動させることも可能としている。この通孔201は両側ケース1A、1Bの上面側壁に設けた半円の切欠孔201aが突き合わせられて形成される円形の孔からなる。
【0033】
スライド部材83は合成樹脂成形品からなり器体1の両端方向に対応する両端面が開口した枠体状に形成されたもので、選択端子T2を構成する刃受ばねを一端開口から挿入して他端開口より刃受ばねの先端部を突出させるようにして保持しており、選択端子T2はこのスライド部材83と共に内方収納部200内を図2において上下方向に移動自在に配置される。
【0034】
内方収納部200の両側壁を構成する両側ケース1A,1Bの側壁の内面にはスライド部材83の両側部に形成したスライド突起203を上下移動自在に係合してスライドさせる上下方向のガイド溝204を2条の並行する突起205間に形成しており、内方収納部200はこの両側壁のガイド溝204,204にスライド部材83の両側のスライド突起203を係合した状態でスライド部材83とともに選択端子T2を上下方向にスライド移動自在に収納保持している。なお、内方収納部200側にスライド突起を、ガイド溝をスライド部材83側に設けても良い。
【0035】
スライド部材83は第1側ケース1Aの側部より図1に示すように図において下方に延びた脚片83aを一体に延長形成するとともに、脚片83aの下端部には外向きに突出した突出部206を形成してある。
【0036】
この突出部206は内方収納部200の側壁を構成する第1側ケース1Aの側壁の外側に、図2に示すように第1側ケース1Aの底面から上方向に形成されたスライド溝207の上端底部に内方収納部200と連通するように開口した挿通孔(図示せず)からスライド溝207内に挿入されて脚片83aとともにスライド溝207内を上下方向にスライド自在に位置される。
【0037】
スライド溝207、挿通孔は選択端子T2を装着したスライド部材83を上下移動させるためのガイド部を構成しており、スライド溝207の底部は内方収納部200内に突出するように形成され、スライド溝207の上端底部に形成された挿通孔を介してスライド溝207内に上方挿入される脚片83aの裏面がスライド溝207の底部に摺接可能なようになっている。またスライド溝207の最上方には突出部206がスライド溝207の上端部へ移動したときに衝合する突出部207aを設けてある。
【0038】
而して、突出部206が内方収納部200内の選択端子T2を上下移動させる操作部を構成し、器体1外部からこの突出部206を持って或いはドライバ等で押し上げたり、押し下げることによってスライド溝207内をスライド移動させれば、このスライド移動に伴い内方収納部200内のスライド部材83が選択端子T2と共にスライド突起203とガイド溝204とによるガイドによって上又は下へ移動することになる。
【0039】
上記の操作によってスライド部材83が移動する際、位置決め突起97をスライド部材83の先端上部或いは先端下部がその弾性と位置決め突起97のアール面とにより乗り越え、移動後は位置決め突起97に枠部83の先端下部或いは先端上部が当たって、選択端子T2の位置を保持するようになっている。
【0040】
さて可動接触子4A,4Bを開閉駆動する開閉機構5は、ラッチ部材たる作動板43と、クロスバー40と、作動板43の一端を係止する段状の係止部41eを備えた第1引外し板41と、第2引外し板42と、ハンドル6と、コ字状リンク44等からなる。そして、一方の主接点(固定接点2A及び可動接点3A)の閉極状態において地絡事故や短絡事故により異常な大電流が流れれば第1の電磁釈放装置47Aによって、他方の主接点(固定接点2B及び可動接点3B)の閉極状態において同じく地絡事故や短絡事故により異常な大電流が流れれば第2の電磁釈放装置47Bによって、主回路に漏洩電流が流れれば漏電保護用の第3の電磁釈放装置48によって、さらに過負荷電流のような過電流が流れれば熱動釈放装置によって、それぞれ開閉機構5を釈放して主接点を強制的に開極させる。
【0041】
ハンドル6は、操作部6aと回動部6bとハンドル軸6cとで構成され、回動部6bの両側面の中央に突出したハンドル軸6cを第1側ケース1Aの内側面に形成された軸孔49と、第2側ケース1Bの内側面に形成された軸孔49とにそれぞれ回動自在に挿入して両側ケース1A,1B間に保持され、操作部6aは、両側ケース1A,1Bの連結した状態で構成される器体1の上面に開口する窓孔50に臨むようになっている。またハンドル軸6cにはねじりばね36が装着され、ねじりばね36により、ハンドル6は投入操作位置(図2及び図3参照)において、開放操作方向に付勢されている。
【0042】
回動部6bの下端に設けた軸孔6dにはコ字状リンク44の上側軸44aを回動自在に挿入して、コ字状リンク44を介して作動板43と連結されている。
【0043】
作動板43は中央両側に設けた軸受け孔43aにコ字状リンク44の下側軸44bを貫挿させることによりコ字状リンク44を介してハンドル6と連結され、器体1内に上下移動自在に配置される。
【0044】
クロスバー40は上部の両側面に突出させた軸40aを両側ケース1A,1Bの内側面に形成した軸孔52、52に挿入して両側ケース1A,1B間に枢支されるもので、図2に示すように軸40aよりやや下方の第1側ケース1A側の側部には可動接触子4Aの側部を横方向から嵌める切溝54を、また図1に示すように下部の第2側ケース1B側の側部には可動接触子4Bを横方向から嵌める切溝55をそれぞれ設けてある。そして可動接点側端面には、中間ケース7及び第1側ケース1Aの側壁の内面に突設してある止片130を、各可動接点3A,3Bが各固定接点2A,2Bから開離した状態で係入してその底部に当接する凹溝131を幅方向に形成してある(図3参照)。
【0045】
ここで可動接触子4Aは剛体の導電金属板から構成され、クロスバー40の切溝54に側方から挿入されるとともに、切溝54の後ろに設けた凹み部40b(図3参照)において、後部下面と凹み部40bの底部との間に圧縮配置される接圧用のコイルばね53により後部が上方に付勢されるようになっており、クロスバー40が軸40aを中心として回動したときに可動接触子4Aは切溝54の開口縁を中心として回動し、自由端にかしめ固定した可動接点3Aを対応する固定接点2Aに対して開離・接触させるようになっている。
【0046】
また可動接触子4Bは導電性ばね薄板材からなり、クロスバー40が投入動作方向に回動したときには下方に押されて撓み、この撓んだ状態からクロスバー40が開放動作方向に回動したときには復帰し、その撓みと、復帰とで、先端にかしめ固定した可動接点3Bを固定接点2Bに対して接触・開離させるようになっている。
【0047】
クロスバー40の下端部は、該下端部と、第1側ケース1Aの底部より垂立させた壁63との間で圧縮配置されたコイルばね62により押されて回転力が付与される。
【0048】
図5に示すように、第1引外し板41は軸部41aと、この軸部41aの上部に突出する突出部41bと、軸部41aの下部に突出する一対の脚部41c,41dとからなり、軸部41aの両端を両側ケース1A,1Bの内側面に設けられた軸孔56、56に挿入して両側ケース1A,1B間で回動自在に支持されるとともに、ねじりばね81によって突出部41bがバイメタル45から離れる向き(図2における時計回り)に弾性付勢される。突出部41bの上端部には作動板43の一端が係脱する係止部41eを形成し、一方の脚部41cの先端側面には後述するバイメタル45に押し駆動される受け部41gを突設するとともに、他方の脚部41dの先端側面には第2の引外し板42に押し駆動される受け部41fを突設している。
【0049】
第2引外し板42は軸孔42bを有する中央部から対向部42a並びに受け部42cが突出した略へ字形に形成され、後述する隔壁部材31に設けられた軸31fを軸孔42bに挿入して回動自在に枢支される。また対向部42aの端面には、後述するバイメタル46の下端に対向し、バイメタル46の湾曲時に押される駆動片42dが設けてある。
【0050】
厚板金属材からなる導電板71A,71Bは、図1及び図5に示すように一端部側に調整螺子77,77’が螺合するねじ孔71aが貫設され、他端部の下面側に一対のかしめ軸71bが突設されている。そして、熱動釈放装置を構成するバイメタル45,46をそれぞれ一端側に溶着固定して垂下させた薄板金属材からなる調整板72,72’が、その他端側に貫設された一対の孔72aにかしめ軸71bを挿通してかしめることで導電板71A,71Bの下面側にそれぞれ取り付けられている。
【0051】
一方のバイメタル45の調整板72との固定部分には固定端子T1に一端が溶着された編組線79Aの他端が溶着され、後述する第1の回路基板73に一端が接続されたリード線82Aが溶着されるとともに、一端が可動接触子4Aに溶着された編組線79Dの他端がバイメタル45の略中央部に溶着され、固定端子T1,編組線79A,導電板71A,バイメタル45,編組線79D,可動接触子4Aが電気的に接続されている。また、他方のバイメタル46の調整板72’との固定部分には選択端子T2に一端が溶着された編組線79Bの他端が溶着されるとともに、可動接触子4Bに連結された通電導体80(後述する)に一端が溶着された編組線79Cの他端がバイメタル46の略中央部に溶着され、選択端子T2,編組線79B,導電板71B,バイメタル46,編組線79C,通電導体80,可動接触子4Bが電気的に接続されている。なお、調整螺子77,77’を螺進させることで調整板72,72’と導電板71A,71Bとの距離を変化させ、バイメタル45,46の下端位置、すなわち熱動釈放装置の感度が調整可能となっている。
【0052】
ところで、導電板71A,71B並びにバイメタル45,46は隔壁部材31に保持される。この隔壁部材31は絶縁性を有する合成樹脂成型品からなり、2つのバイメタル45,46を隔絶する平板状の隔壁31aと、隔壁31aの周縁よりその厚み方向(器体1の幅方向)両側へ突出する周壁31bとを有し、隔壁31a並びに周壁31bに囲まれた各凹所31c,31cに導電板71Aとバイメタル45並びに導電板71Bとバイメタル46がそれぞれ収納される。凹所31c,31c上部の周壁31bには複数の突起31dが対向して突設されており、これらの突起31d間に導電板71A,71Bを圧入することで導電板71A,71B並びにバイメタル45,46を隔壁部材31に保持させている(図2及び図3参照)。また、導電板71A,71Bを収納した凹所31c,31cの上部周壁31bには、調整螺子77,77’を凹所31c,31cの外へ臨ませるために矩形の切り欠き31e,31eが形成してある。さらに、導電板71B及びバイメタル46を収納する側の凹所31c底部には第2引外し板42の軸孔42bに挿入する軸31fが突設してある。
【0053】
第1の電磁釈放装置47Aは、図5に示すように磁性鉄板を長さの異なる一対の側片60a,60bを有する平面視略コ字型に折曲してなる第2鉄心60と、矩形平板状の磁性鉄板からなる第1鉄心61とで構成される。第2鉄心60は、導電板71Aを収納した凹所31c側の周壁31bに形成された段部31gに載置されるとともに隔壁31aに設けられた凹溝31hに一方(短い方)の側片60aを前後方向(図2における左右方向)において移動自在に嵌合する形で凹所31c内に収納され、バイメタル45と周壁31bとの間に配置される(図2参照)。一方、第1鉄心61は厚み方向に貫通する一対の貫通孔61aが形成され、第1引外し板41の突出部41bの上端部における係止部41eと反対側の面に突設された一対の突起41hを貫通孔61aに挿通してかしめることにより第1引外し板41に取着され、図2に示すように第2鉄心60の他方(長い方)の側片60bの先端である磁極面と対向する。ここで、第2鉄心60の側片60a,60bにおいてバイメタル45と対向する部位に円柱形のばね座60cが突設され、このばね座60cと対向するバイメタル45の長手方向中央から固定された一端(図5における上端)側寄りの位置にも同様に円柱形のばね座45aが突設されており、これら2つのばね座60c,45aに圧縮コイルばねからなる復帰ばね64の両端部がそれぞれ外挿されて第2鉄心60とバイメタル45との間に復帰ばね64が介装されている。すなわち、第2鉄心60は一方の側片60aを凹溝31hに嵌合した状態で第1鉄心61と接離する方向(図2における左右方向)に移動自在であり、且つ復帰ばね64によって第1鉄心61から離れる向きに弾性付勢されている。なお、復帰ばね64のばね力を第1引外し板41を弾性付勢するねじりばね81のばね力よりも弱く設定することによって、第1鉄心61を第2鉄心60から離れる向きに付勢する力(ねじりばね81のばね力)よりも弱い力で第2鉄心60を第1鉄心61から離れる向きに付勢している。なお、このように第2鉄心60とバイメタル45との間に第2鉄心60を第1鉄心61から離す向きに弾性付勢する復帰ばね64を介装すれば、復帰ばね64を第2鉄心60の中心位置に当接させることが容易になるために第2鉄心60をスムーズに移動させることができる。また、バイメタル45の中央から固定された一端側寄りの位置にばね座45aを設けて復帰ばね64を取り付けているので、バイメタル45の他端が揺動する際の復帰ばね64と第2鉄心60との間の距離の変動を抑えて復帰ばね64の位置ずれや脱落が防止できるという利点がある。
【0054】
而して、主接点(固定接点2A及び可動接点3A)を含む一方の極の通電導体であるバイメタル45にコード短絡や回路短絡による異常な大電流が流れたときに第2鉄心60の側片60bの磁極面と第1鉄心61との間に発生する電磁吸引力により、まず第2鉄心60が復帰ばね64のばね力に抗して第1鉄心61に近付く向きに移動し、側片60aが凹溝31hの端面に当接する位置まで第2鉄心60が移動した後にさらに電磁吸引力により第1鉄心61を第2鉄心60に近付く向きに吸引揺動させ、第1鉄心61が取着された第1引外し板41を、図2における反時計回りに回動させるのである。なお、このように第1鉄心61を第1引外し板41に取着することにより、第1鉄心61の動きを第1引外し板41に伝える部材(例えば、第2の電磁釈放装置47Bにおける第2引外し板42のようなもの)が不要となり、部品点数を削減できるとともに第1鉄心61と第1引外し板41との距離を縮めることで小型化が図れるものである。
【0055】
第2の電磁釈放装置47Bは、図6に示すように磁性鉄板を平面視略コ字型に折曲してなる固定鉄心57と、矩形平板状の磁性鉄板からなる可動鉄心58と、可動鉄心58を固定鉄心57の両端磁極面に揺動自在に対向支持させ且つ可動鉄心58を固定鉄心57から離れる向きに弾性付勢する弾性部材たる板ばね59とで構成される。また、通電導体80は先端部に編組線79Cの一端が溶着される内片80aと、内片80aの後端より略L字形に延出されて内片80aと略平行に対向する外片80bとで構成され、外片80bの先端部に可動接触子4Bの後端部が連結される。
【0056】
可動鉄心58は固定鉄心57側の面に突出させた突起58a,58aを、板ばね59の中央片59aの一端部に形成した孔59b,59bに挿入してかしめ固定することで板ばね59に揺動自在に支持される。一方、板ばね59は中央片59aの両側方に折り曲げ形成した両側片59c,59cを固定鉄心57の両側片57a,57aの外面に沿わせるように配置して両側片59c,59cの先端に内向きに突出させた係止片59d,59dを、固定鉄心57の外側角部に形成した凹部57b,57bに係止させることにより、図7に示すように通電導体80の内片80aを固定鉄心57と可動鉄心58の間に介在させ、内片80aと外片80bの間に可動鉄心58を挟む形で固定鉄心57に固持される。このとき、固定鉄心57の両側片57a,57aの先端である磁極面が板ばね59の中央片59aと、両側片59c,59cとの間を介して可動鉄心58に対向する。
【0057】
而して、他方の極の主接点を構成する可動接点3Bと電気的に接続される通電導体80に回路短絡による短絡電流のような異常な大電流が流れたときに固定鉄心57の両側片57a,57aの磁極面に発生する電磁吸引力により可動鉄心58を吸引揺動させるのである。なお、このように固定鉄心57と可動鉄心58を板ばね59で連結してブロック化しているため、後述するように第2の電磁釈放装置47Bの器体1への組み込み作業が容易になるものである。
【0058】
ここで通電導体80の内片80aに流れる電流によって固定鉄心57の両側片57a,57aの磁極面に発生する電磁吸引力の向きと、外片80bに流れる電流によって固定鉄心57の両側片57a,57aの磁極面に発生する電磁吸引力の向きとを同一とし、可動鉄心58を吸引する電磁吸引力を強めて主接点を素早く開極するようにしている。
【0059】
一方、第3の電磁釈放装置48は、第2の電磁釈放装置47Bの固定鉄心57に励磁用のコイル68を巻装して構成される。すなわち、図6に示すように合成樹脂のような絶縁材料により一側面が開放した角筒状に形成されたコイルボビン69を、軸方向両端から固定鉄心57の側片57a,57aをそれぞれ突出するようにして固定鉄心57に装着し、図7に示すようにコイルボビン69の軸方向両端部に設けた外鍔69a,69a間にコイル68が巻回してある。なお、コイルボビン69の外鍔69a,69aの開放された側面近傍には挿着孔69cが貫設された略立方体形の支持部69b,69bが突設され、略L字形の端子ピン69dの一端部が挿着孔69cにそれぞれ挿着されており、挿着孔69cから突出する端子ピン69dの一端部にコイル68の端末68aがそれぞれからげて電気的に接続してある。
【0060】
而して、地絡事故によって漏洩電流が流れたときに後述する漏電保護回路51により端子ピン69dを介してコイル68に通電して固定鉄心57を励磁し、固定鉄心57の両側片57a,57aの磁極面に電磁吸引力を発生させて可動鉄心58を吸引揺動させるのである。つまり、固定鉄心57にコイル68を巻装することで第2の電磁釈放装置47Bを構成する固定鉄心57,可動鉄心58,板ばね59を漏電保護用の第3の電磁釈放装置48に兼用することができるから、各極毎の大電流保護用の電磁釈放装置と漏電保護用の電磁釈放装置とを独立した部品で構成する場合に比較して、部品点数を削減することができて省スペース化並びに小型化が図れるものである。
【0061】
また、固定鉄心57と可動鉄心58との間におけるコイル68並びに通電導体80(内片80a)の通電方向が一致するため、コイル68に通電されて第3の電磁釈放装置48が動作した場合に固定鉄心57の両側片57a,57aの磁極面に発生する電磁吸引力を強めることができ、主接点を素早く開極させることができる。さらにコイル68を固定鉄心57に巻装しているため、コイル68が移動しないことからコイル68の断線を防ぐことができる。但し、可動鉄心58にコイル68を巻装してもよい。
【0062】
漏電保護回路51は図8に示す回路構成を有するものであって、主回路の電圧極の電路(編組線79A)と中性極又は他方の電圧極の電路(編組線79B)が貫挿された零相変流器ZCTを備え、地絡電流等の漏洩電流によって主回路の各極に流れる電流が不平衡となると零相変流器ZCTの出力端子間に不平衡度合いに応じた電流(検出電流)が流れる。この検出電流は交番電流であって、逆並列に接続したダイオードD1,D2からなるクランプ回路でクランプされ、抵抗R1を介して平滑コンデンサC1を充電することにより検出電流を電圧に変換する。そして、平滑コンデンサC1の両端電圧、すなわち検出電流から変換された検出電圧が漏洩電流判定回路51aに入力される。
【0063】
漏洩電流判定回路51aの電源は、端子ピン69dから第3の電磁釈放装置48のコイル68を通して、ダイオードD3、抵抗R2〜R5、平滑コンデンサC2の直列回路を主回路の2つの極の間に接続し、平滑コンデンサC2の両端電圧を漏洩電流判定回路51aの電源端子及び接地端子に印加することで得られる。また、主回路の2つの極の間には、コイル68とサイリスタSCRとダイオードD3の直列回路が接続され、漏洩電流判定回路51aの出力端子から出力する制御信号をサイリスタSCRのゲートに印加することでサイリスタSCRをターンオンさせる。なお、サイリスタSCRの両端間にはコンデンサC0と抵抗R0からなるフィルタ回路が接続されている。
【0064】
漏洩電流判定回路51aは、上記検出電圧を所定の閾値と比較し、比較結果に応じてコンデンサC3を充電又は放電し、コンデンサC3の両端電圧に応じて出力端子から制御信号を出力することによって比較結果を遅延するように構成してある。したがって、主回路に漏洩電流が流れると制御信号によってサイリスタSCRがターンオンし、コイル68に通電されることによって第3の電磁釈放装置48が動作し、可動鉄心58が固定鉄心57に吸引される。漏洩電流判定回路51aは集積回路よりなり、上記コンデンサC3並びに漏電検出後にコンデンサC3を放電するための時定数を決める抵抗R6が外付けされる。
【0065】
また、主回路の2つの極の間には、抵抗RT、常開のテストスイッチSW並びに零相変流器ZCTに貫挿されたリード70aの直列回路からなる試験回路70が接続される。すなわち、テストスイッチSWをオンしてリード70aに電流を流すことにより零相変流器ZCTの1次側に不平衡電流を流して擬似的に漏電状態を作り出し、漏電保護回路51が正常に動作するか否かの試験を行うことができる。なお、抵抗RT並びにテストスイッチSWにはサージ吸収素子SAが並列に接続してある。
【0066】
ところで、漏電保護回路51並びに試験回路70を構成する上記複数種の回路部品は、図9に示すようにプリント配線基板からなる第1及び第2の回路基板73,74に実装される。第1の回路基板73には図8の回路図中に点線で示した境界線Wから左側の強電系の回路を構成する強電系の回路部品(抵抗R2,R3、ダイオードD3、試験回路70、フィルタ回路等)が実装され、第2の回路基板74には境界線Wから右側の弱電系の回路を構成する弱電系の回路部品(漏洩電流判定回路51a、クランプ回路、平滑コンデンサC1、零相変流器ZCT等)並びにサイリスタSCRが実装される。テストスイッチSWは、一端が第1の回路基板73に接合されて揺動自在に支持された可動接点板76aと、可動接点板76aに対向するように第1の回路基板73に実装されたピン状の固定接点76bとで構成され、可動接点板76aの自由端側の上部に移動自在に配設されるテスト釦78を押操作している場合に、テスト釦78に押駆動された可動接点板76aが固定接点76bに接触してオンするものである。
【0067】
零相変流器ZCTは、図9に示すように巻線(図示せず)を巻回したリング形のコア(図示せず)を合成樹脂成型品のハウジング75に納装したものであって、コアの軸方向に対向するハウジング75の側面端部から突出する一対の出力端子75aが第2の回路基板74の上部に設けた切り欠き74a,74aに挿通され、ハウジング75を第2の回路基板74の表面にほぼ密着させた状態で出力端子75aを裏面の配線パターン(図示せず)に半田付けして実装される。
【0068】
また、零相変流器ZCTのハウジング75には、図9に示すように第1及び第2の回路基板73,74を取り付けるための複数の取付部たるコンタクトピン671〜675が軸方向の両側面より突設されている。これらのコンタクトピン671〜675は金属製であってその軸方向を零相変流器ZCTの軸方向に一致させ且つ両端部をハウジング75の側面から各々突出させてハウジング75にインサート成型され、第1の回路基板73と対向する側面側にはコンタクトピン671〜675をその先端部を残して被うボス部75cがハウジング75と一体に形成されている。
【0069】
一方、第1及び第2の回路基板73,74には各コンタクトピン671〜675を挿通するスルーホール73a,74bがそれぞれ穿孔されており、各スルーホール73a,74bに挿通したコンタクトピン671〜675の端部を配線パターンに接合することにより、第1及び第2の回路基板73,74が零相変流器ZCTの厚み方向(軸方向)の両側面に振り分けて取り付けられる。このとき、コンタクトピン671〜674が2つの回路基板73,74間の通電路を兼ね、コンタクトピン671〜675を介して第1及び第2の回路基板73,74に実装された回路部品が電気的に接続される。また、第1の回路基板73の下部には第3の電磁釈放装置48を構成する端子ピン69dがそれぞれ挿通されるスルーホール73bが穿孔されており、各スルーホール73bに挿通した端子ピン69dの端部を配線パターンに接合することでコイル68が漏電保護回路51に電気的に接続される。さらにハウジング75の中央に開口する貫通孔75bの近傍にコンタクトピン675が設けてあり、このコンタクトピン675が零相変流器ZCTのコアを貫挿する試験回路70のリード70aとなる。なお、第1及び第2の回路基板73,74にはハウジング75の貫通孔75bに連通して編組線79A,79Bが挿通される円形の挿通孔73c,74cが設けてある。また、第1の回路基板73には導電板71Aを介して主回路の一方の極(固定接点2A及び可動接点3Aの主接点を有する極)に接続するリード線82Aの一端と、主回路の他方の極(固定接点2B及び可動接点3Bの主接点を有する極)に接続するための接続部材99に一端が溶着されたリード線82Bの他端とが接続されている。
【0070】
而して、漏電保護回路51を構成する複数種の回路部品を第1及び第2の回路基板73,74に実装し、零相変流器ZCTの厚み方向両側に第1及び第2の回路基板73,74を配置して器体1に収納するため、従来のように1枚の回路基板に漏電保護回路51と零相変流器ZCTを実装する場合に比較して各回路基板73,74の長手方向の寸法を小さくでき、器体1の小型化が図れるものである。また、零相変流器ZCTのハウジング75に取付部たるコンタクトピン671〜675を設けることにより、第1及び第2の回路基板73,74に零相変流器ZCTを容易に取り付けることができる。さらに、取付部を金属製のコンタクトピン671〜674とし、第1及び第2の回路基板73,74間を電気的に接続する通電路としているので、別途リード線等を用いて配線する場合に比較して回路基板73,74間の通電路が簡単に形成できるという利点があり、しかもコンタクトピン671〜675をハウジング75にインサート成型することで零相変流器ZCTの巻線と絶縁することができる。
【0071】
また、コンタクトピン675を試験回路70のリード70aとしているため、第1及び第2の回路基板73,74を零相変流器ZCTに取り付けることで試験回路70のリード70aを零相変流器ZCTのコアに簡単に貫挿させることができる。さらに、第1の回路基板73には強電系の回路を構成する強電系の回路部品を実装し、第2の回路基板74には主に弱電系の回路を構成する弱電系の回路部品を実装しているため、強電系に比較して絶縁距離を短くできる弱電系の回路部品を主に実装した第2の回路基板74により多くの回路部品を実装することができる。ここで、主回路の一方の極に接続するためのリード線82Aと他方の極に接続するためのリード線82Bが強電系の回路部品を実装した第1の回路基板73に接続してあるため、第2の回路基板74においてはリード線82A,82Bの接続位置からの絶縁距離を考慮せずに回路部品を配置することができるという利点がある。
【0072】
而して、本実施形態の漏電遮断器を組み立てるに当たっては、まず第1側ケース1Aの凹部8に端子ブロック10Aを収納するとともに解除ハンドル17を復帰ばね21とともに定位置に組み込む。またハンドル6を所定位置にねじりばね36とともに組み込む。そして、クロスバー40を、切溝54に可動接触子4Aを嵌め込むとともにコイルばね53を凹部内に収納し、第1側ケース1Aの所定位置にコイルばね62とともに回動自在に配置する。また作動板43をリンク44でハンドル6と連結させて配設する。
【0073】
さらに、器体1の他端底部に設けた収納部90に固定端子T1を収納するとともに、スライド部材83と一緒に選択端子T2を、第2側ケース1Bと突き合わせたときに構成される内方収納部200に対応する第1側ケース1Aの内側の区画に収納する。またスライド部材83の脚片83aを挿通孔を介して第1側ケース1Aの側壁の外側面に形成せるスライド溝207に入れて突出部206を外部に露出させる。
【0074】
さらに、内方収納部200に沿って第1側ケース1Aの高さ方向に形成された分離壁91と、第1側ケース1Aの長手方向略中央で分離壁91に対向して高さ方向に形成された分離壁65との間の空間上部に、長手方向の寸法が長い第2の回路基板74を隔壁91側として零相変流器ZCTに取り付けた第1及び第2の回路基板73,74を収納するとともに、上記空間下部に第1及び第3の電磁釈放装置47B,48を収納する。ここで、第1側ケース1A底部の隔壁91近傍の部位には器体1の幅方向に沿って2条のリブ92が設けてあり、この2条のリブ92間に形成される嵌合溝92aに第2の回路基板74の下端部を嵌合することにより、その長手方向が第1側ケース1Aの高さ方向と略一致し且つ零相変流器ZCTの軸方向が第1側ケース1Aの長手方向と略一致するように第2の回路基板74を位置決め固定している。
【0075】
また、両側ケース1A,1Bの零相変流器ZCTと対向する側壁に矩形の窓孔98をそれぞれ開口し、ハウジング75の幅寸法が最も大きい部分を窓孔98に挿入してハウジング75の逃げとしている。すなわち、零相変流器ZCTのハウジング75の幅寸法が第1及び第2の回路基板73,74の幅寸法よりも若干大きいために器体1の幅寸法をハウジング75の幅寸法に合わせると無駄なスペースが生じてしまうが、上述のように窓孔98を設けてハウジング75を逃がすことにより、無駄なスペースが生じるのを防いで器体1の幅寸法の小型化が図れる。但し、窓孔98に挿入したハウジング75が両側ケース1A,1Bの側壁外側面よりも突出しないようにハウジング75並びに器体1の幅寸法を設定している。
【0076】
一方、第2及び第3の電磁釈放装置47B,48は、図11に示すように可動鉄心58を器体1の高さ方向において下にして上記空間下部の第1側ケース1A底部に配置され、器体1の高さ方向における固定鉄心57の上部に零相変流器ZCTが配置されている。このように板ばね59で連結した固定鉄心57及び可動鉄心58を器体1の高さ方向にそって器体1底部に配置するとともに、固定鉄心57及び可動鉄心58の上部に、軸方向を器体1の長手方向に略一致させて零相変流器ZCTを配置すれば、固定鉄心57及び可動鉄心58に挟まれる通電導体80をその延出方向を器体1の長手方向に一致させて器体1内に配設することができるために器体1の高さ方向の寸法を小型化することができる。また、固定鉄心57及び可動鉄心58の高さ方向上部に零相変流器ZCTを配置することで器体1の長手方向の寸法を小型化することができる。さらに、零相変流器ZCTの軸方向を器体1の長手方向と一致させているから、主回路の電路(編組線79A,79B)を零相変流器ZCTに貫通させる作業が容易に行える。あるいは、予め編組線79A,79Bを零相変流器ZCTに貫通させた状態で第1側ケース1Aに組み込む場合には、器体1内で編組線79A,79Bを引き回す距離が短くて済む。しかも、可動鉄心58を器体1の底部側に配置しているため、可動鉄心58の吸引動作に零相変流器ZCTの影響が及ばず、後述する主接点の開極特性を安定させることができる。
【0077】
ここで、外片80bの先端部に後端部が連結された可動接触子4Bは、その中央部の斜め上向きの傾斜部位を、第1側ケース1Aの底部よりやや上方に位置する分離壁65の下端より第1側ケース1Aの他端部方向へ底部に平行し、さらにこの平行部より上向きに傾斜して延長された隔壁95と第1側ケース1Aの底部との間に配置して、可動接触子4Bの自由端側を隔壁14の切欠部14aを介して固定接触子12Bが配置される空間に配設される。このとき隔壁95の平行部の下面と第1側ケース1Aの底部とにそれぞれ突設した複数のリブ96で可動接触子4Bの後端部を挟んで固定する。またこのとき第1側ケース1Aの底部と可動接触子4Bとの間に、第1の回路基板73とリード線82Bで接続された接続部材99を挟持固定して漏電保護回路51並びに試験回路70を片方の極の電路に接続している。
【0078】
さらに分離壁65と隔壁95との間の空間に、導電板71A,71B並びにバイメタル45,46を保持させた隔壁部材31を収納する。このとき隔壁部材31の下部周壁31bの斜め上向きに傾斜した傾斜部位を隔壁95の傾斜部位に沿うように載置することにより、隔壁部材31を器体1の上記空間内で位置決めしている。而して、器体1の長手方向においてバイメタル45,46に近い側に第1の回路基板73が配置されることになるため、第2の回路基板74とバイメタル45,46との距離を離して第2の回路基板74に実装したIC(漏洩電流判定回路51a)等の熱に弱い弱電系の回路部品にバイメタル45,46の発する熱の影響が及ぶのを抑えることができる。
【0079】
さらにまた第2鉄心60を復帰ばね64とともに凹所31c内に配置した後に第1引外し板41をねじりばね81とともに定位置に回動自在に配置するとともに、第2引外し板42を定位置に回動自在に配置する。このとき第2引外し板42の受け部42cが可動鉄心58の先端部と対向する。
【0080】
このようにして図11に示すように中間ケース7及びこの中間ケース7の凹部9内に収納する端子ブロック10B、解除ハンドル17’及びその復帰ばね21’以外を第1側ケース1A側に配置、組み付けた後に、端子ブロック10B、解除ハンドル17’及び復帰ばね21’を凹部9に組み付けた中間ケース7を第1側ケース1A側に重ねるように配設する。
【0081】
ここで中間ケース7を第1側ケース1A側の定位置に配設すると、可動接触子4Aの自由端側が縦壁の開口部を介して凹所内に配置されるとともに、端子ブロック10Aに設けられた固定接触子12Aの先端側部が底壁の段面上に載置されることになるとともに軸が解除ハンドル17の凹部37に嵌まることになる。
【0082】
一方端子ブロック10Bに設けられた固定接触子12Bが第1側ケース1Aの底部上のリブ26上に載置される。また中間ケース7の端部に形成せる下向き段部の下面が第1側ケース1Aの端部壁に形成した平坦面上に載置される。
【0083】
この状態で第2側ケース1Bを第1側ケース1A側に重ね合わせて結合するのである。このとき第1側ケース1Aから第2側ケース1B側へ一体突出させた両端上下の4カ所の弾性係止片100の先端の爪状の引掛係止部101が第2側ケース1B側に対応して設けた突起状の被引掛部102に係止されて第1側ケース1Aと第2側ケース1Bとが結合固定されて器体1を構成することになる(図11等参照)。この第1側ケース1Aと第2側ケース1Bの結合固定を外す場合には、第2側ケース1Bに各被引掛部102に対応させて開口した各解除孔150よりドライバを挿入して対応する各弾性係止片100の引掛係止部101を上方へ押圧して、被引掛部102との引掛状態を外すことにより、第1側ケース1Aから第2側ケース1Bを外すことができる。
【0084】
第2側ケース1Bを被着することにより第2側ケース1Bの内側面に設けてある軸孔52,56にクロスバー40の軸40a、第1引外し板41の軸部41aが回動自在に挿入される。
【0085】
また各バイメタル45,46に対応する調整螺子77,77’の頭部は、隔壁部材31の切り欠き31eを通して器体1の上面に開口する開口部104に臨むことになり、組立後の動作試験時に最適な動作点が得られるように開口部104を介して動作調整螺子77,77’を螺進させ、バイメタル45の先端部とクロスバー40の脚部41c並びにバイメタル46の先端部と第2引外し板42の駆動片42dとの間隔を調整し、その調整後に、蓋106をその弾性を利用して器体1の開口部104周縁の部位に嵌め込んで開口部104を被蔽する。
【0086】
ここでバイメタル45,46は、隔壁部材31に保持された状態で器体1の幅方向を幅方向として並設され、器体1の幅方向の寸法の小型化を図っている。また変位方向を互いに器体1の長手方向に沿って第2の回路基板74及び第1及び第3の電磁釈放装置47B,48から遠ざかる向きに設定しているため、バイメタル45,46と第1及び第3の電磁釈放装置47B,48並びに零相変流器ZCT(第2の回路基板74)との間隔を狭くして器体1の長手方向の小型化が図れる。
【0087】
またバイメタル45,46の間を隔壁部材31の隔壁31aで隔絶するため、隔壁31aによって両バイメタル45,46間の絶縁を図るとともにその間隔を狭くすることができる。さらに零相変流器ZCTを器体1の幅方向に隔壁31aを跨ぐように配置することにより、各バイメタル45,46に接続される編組線79A,79Bを零相変流器ZCTに貫通させ易くしている。またさらに固定鉄心57及び可動鉄心58を含む第1及び第3の電磁釈放装置47B,48も器体1の幅方向に隔壁31aを跨ぐように配置しているから、固定鉄心57並びに可動鉄心58の幅寸法を充分に大きくすることができ、電磁吸引力を増大させて主接点の開極に要する時間を短くすることができる。
【0088】
而して器体1の他端内部の内方収納部200及び収納部90には選択端子T2、固定端子T1がそれぞれ収納され、またこれら端子T1,T2に対応するように器体1の一端部には器体1の端面と両側面とに亘るように開口した差込部209a〜209cが形成されることになる。さらに器体1の一端部には斜め上向きに開口した一対の電線挿入孔16A,16Bが並行形成される。
【0089】
よって、電線挿入孔16A,16Bにそれぞれ負荷側の電線を挿入して各端子ブロック10A,10Bに接続し、電圧極の導電バーを差込部209cを介して幅方向に固定端子T1に差込接続し、中性極又は他方の電圧極の導電バーを差込部209a又は209bを介して選択端子T2に幅方向に差込接続すれば電路に本実施形態の漏電遮断器を挿入することができることになる。
【0090】
ところで、図1に示すように第2側ケース1Bの開口部104近傍にはテスト釦78を挿通する挿通孔105aが貫通した突台部105が設けてあり、先端を二股に形成したテスト釦78を上方から挿通孔105aに挿通して係止段部78aを器体1内の挿通孔105a周縁に係止することでテスト釦78が器体1の高さ方向に移動自在且つ抜け止めして突台部105に取り付けられる。このテスト釦78の先端部が第2の回路基板74に実装したテストスイッチSWの可動接点板76aと対向しており、テスト釦78を押操作することでその先端部にて可動接点板76aを押駆動して固定接点76bに接触させ、テストスイッチSWをオンさせることができる。なお、蓋106にはテスト釦78との干渉を避けるためにテスト釦78が挿通する半円形の切り欠き106aが設けてある。
【0091】
ここで、器体1両側面には零相変流器ZCTのハウジング75が部分的に露出する窓孔98が開口しているので、窓孔98から器体1内への異物侵入を防止するとともに外観上の見栄えを良くするために、絶縁性を有するシート状の材料で角筒状に形成された絶縁シート(図示せず)を器体1に取着して窓孔98を覆い隠している。
【0092】
次に本実施形態の動作を図2,図3並びに図12〜図15を参照して説明する。図3は開放状態を示しており、この開放状態ではハンドル6の操作部6aが窓孔50より倒立露出した状態にあり、作動板43の一端と第1引外し板41との係合は外れた状態にある。そしてコイルばね62によりクロスバー40は図3においては反時計回りに回動するように付勢されており、クロスバー40の切溝54に貫挿されている可動接触子4Aが自由端を上方に移動させた状態にあり、また切溝55に貫挿させた可動接触子4Bはそのばね弾性力により自由端を上方に移動させた状態にあり、夫々の自由端に設けてある可動接点3A,3Bが対応する固定接点2A,2Bから開離した状態にある。
【0093】
この状態でハンドル6の操作部6aを図3における反時計回りに回動操作すると、リンク44の上側軸44aが下方向に押し動かされてリンク44は下側軸44bにより作動板43を押し下げる。この作動板43の押し下げにより作動板43の一端(図3において左端)が第1引外し板41の係止部41eに当たり、その位置を回動中心として作動板43は図3において時計回りに回動し、作動板43の他端(図3において右端)がクロスバー40の上端に設けてある突出部84に当たり、クロスバー40を図3において時計回りにばね付勢に抗して回動させる。
【0094】
この回動によりクロスバー40の切溝55に貫挿された可動接触子4Bが自由端を下向きに移動させる方向に撓むことになり、自由端の可動接点3Bを固定接点2Bに接触させる。また切溝54に貫挿された可動接触子4Aが図3において時計回りに回動してその自由端の可動接点3Aを固定接点2Aに接触させる。この接触は可動接点3Bが固定接点2Bに接触するよりも遅れるようなっている。
【0095】
そしてハンドル6をさらに回動させると、リンク44の下側軸44bの位置とハンドル6の回転中心を結ぶ線より上側軸44aが図2に示すように右方向に移動し、この状態でハンドル6のねじりばね36、クロスバー44を付勢するコイルスばね62、更に可動接触子4Bのばね力等が均衡して作動板43の一端と第1引外し板41の係止部41eとのラッチ状態が保持され、図2の投入状態が維持される。
【0096】
さて投入状態でハンドル6の操作部6aを図2において時計回りに回動させると、リンク44の上側軸44aの位置が、ハンドル6の回転中心と、下側軸44bを結ぶ線を図2において左方向に越えて上方へ移動するため作動板43の図2における左端と第1引外し板41の係止部41eとのラッチ状態が解かれ、クロスバー40はコイルばね62の付勢力で図2において反時計回りに回動するとともに、ハンドル6がねじりばね36の付勢力でオフ側に急速に回動復帰する。クロスバー40の図2における反時計回りへの回動により可動接触子4Aが図2における反時計回りに回動して自由端を上方へ移動させ可動接点3Aを固定接点2Aより開離させる。また可動接触子4Bが下向きの押し下げが無くなって、そのばね力で元の状態に復帰することになり、自由端の可動接点3Bを固定接点2Bより開離する。この開離は上記可動接点3Aが固定接点2Aから開離するよりも遅れる。この遅れは後述する強制開極時も同様である。
【0097】
ここで上記のように両極の主接点の開閉に上記のように遅れを持たせているため接点開閉時に生じるアークは剛体側の可動接触子4Aのみとなり、ばね材からなる可動接触子3Bのアークによる消耗を防止できる。
【0098】
さらに主接点の開離時に回動するクロスバー40の先端面の幅方向に形成した凹溝131に両ケース1A,1B及び中間ケース7に形成した止片130…が係入して凹溝131の底部に当接するため、一方の区画で発生したアークが器体1の奥側のクロスバー40側から回りこんで他の区画へ入り込む恐れを無くして、器体1内部でのアークによる極間短絡を防止する。
【0099】
さて図2に示す上記投入状態において、負荷に過電流が流れると、バイメタル45,46は過電流により発熱して湾曲変位することになる。ここで上方から垂下したバイメタル45,46は下端が図2において右方向に移動するように変位し、バイメタル46の下端は第2引外し板42の駆動片42dを図2における右方向に押し、バイメタル45の下端は第1引外し板41の脚部41c先端の受け部41gを図2における右方向に押す。そしてバイメタル46の変位によって第2引外し板42が図2における時計回りに回動し、第2引外し板42の対向部42aが第1引外し板41の受け部41fを右方向に押す。そして、第1引外し板41は受け部41gがバイメタル45に押されるとともに受け部41fが第2引外し板42に押されることで図2において反時計回りに回動する。
【0100】
さて第1引外し板41が図2において反時計回りに回動すると、係止部41eと作動板43の一端(図2における左端)とのラッチ状態が解除され、作動板43はリンク44の下側軸44bを中心として図2において反時計回りに回動することになる。そのため作動板43の他端(図2における右端)によるクロスバー40の規制が無くなり、クロスバー40はコイルばね62のばね力により図2において反時計回りに回動し、可動接触子4A,4Bを開放状態に復帰させ、可動接点3A,3Bを固定接点2A,2Bからそれぞれ開離させる。すなわち、主回路に過負荷電流が流れた場合には、熱動釈放装置によって開閉機構5が釈放されて主接点を強制的に開極して負荷を保護することができる。
【0101】
その後、電路遮断によりバイメタル45,46は元の状態に戻り、第1引外し板41はねじりばね81の付勢により元の位置へ回動復帰し、同時に第2引外し板42の対向部42aを受け部41fが押し動かして第2引外し板42を元へ戻す。またハンドル6はねじりばね36の付勢により開放方向(図2における時計回り)に回動することになる。
【0102】
また上記投入状態において、短絡電流(回路短絡による大きな短絡電流)のような異常な大電流が一方の極の通電導体80に流れると、固定鉄心57に電磁吸引力が発生して可動鉄心58を吸引して揺動させる。これにより図12に示すように、可動鉄心58の先端部が第2引外し板42の受け部42cを押し上げて第2引外し板42を反時計回りに回動させる。過負荷電流が流れたときと同様に第2引外し板42が反時計回りに回動すると、第2引外し板42の対向部42aが第1引外し板41の受け部41fを左方向に押して時計回りに回動する。そして、第1引外し板41が時計回りに回動すると、係止部41eと作動板43の一端(右端)とのラッチ状態が解除され、作動板43はリンク44の下側軸44bを中心として時計回りに回動することになる。そのため作動板43の他端(左端)によるクロスバー40の規制が無くなり、クロスバー40はコイルばね62のばね力により時計回りに回動し、可動接触子4A,4Bを開放状態に復帰させ、可動接点3A,3Bを固定接点2A,2Bからそれぞれ開離させる。すなわち、主回路の一方の極(固定接点2B及び可動接点3B)に短絡電流のような異常な大電流が流れた場合には、第2の電磁釈放装置47Bによって開閉機構5が釈放されて主接点を強制的に開極することができる。
【0103】
その後、電路遮断により固定鉄心57に電磁吸引力が発生しなくなると、可動鉄心58は板ばね59のばね力により元の状態に戻り、第1引外し板41はねじりばね81の付勢により元の位置へ回動復帰し、同時に第2引外し板42の対向部42aを受け部41fが押し動かして第2引外し板42を元へ戻す。またハンドル6はねじりばね36の付勢により開放方向(反時計回り)に回動することになる。なお、第2の電磁釈放装置47Bの動作電流はコード短絡電流よりも大きい値に設定されており、上述のように回路短絡による短絡電流(同図における実線ハ参照)では動作するが、コード短絡電流(同図における実線ロ参照)では動作しないようになっている。
【0104】
さらに上記投入状態において、地絡電流等の漏洩電流が流れると、漏電保護回路51がコイル68に通電することにより固定鉄心57に電磁吸引力が発生して可動鉄心58を吸引して揺動させる。これにより短絡電流が流れたときと同様、図12に示すように、可動鉄心58の先端部が第2引外し板42の受け部42cを押して第2引外し板42を反時計回りに回動させるとともに第1引外し板41を時計回りに回動させ、可動接触子4A,4Bを開放状態に復帰させて可動接点3A,3Bを固定接点2A,2Bからそれぞれ開離させる。すなわち、主回路に漏洩電流が流れた場合には、第3の電磁釈放装置48によって開閉機構5が釈放されて主接点を強制的に開極して地絡保護ができる。
【0105】
一方上記投入状態において、コード短絡電流や短絡電流が他方の極のバイメタル45に流れると、第1の電磁釈放装置47Aによって開閉機構5が釈放されて主接点を強制的に開極する。すなわち、第1の電磁釈放装置47Aの動作電流は越流(図15(a)における実線イ参照)よりも大きく且つコード短絡電流よりも小さい値に設定されており(同図(a)のレベルB)、短絡電流に比較してレベルの小さいコード短絡電流でも動作するようになっている。
【0106】
而して、通電導体であるバイメタル45にコード短絡電流又は短絡電流が流れると、第2鉄心60の側片60bの磁極面と第1鉄心61との間に発生する電磁吸引力により、まず第2鉄心60が復帰ばね64のばね力に抗して第1鉄心61に近付く向きに移動し、側片60aが凹溝31hの端面に当接する位置まで第2鉄心60が移動した後にさらに電磁吸引力により第1鉄心61が第2鉄心60に近付く向きに吸引揺動させる。これにより図13に示すように、第1鉄心61が取着されている第1引外し板41が図13における反時計回りに回動し、係止部41eと作動板43の一端(左端)とのラッチ状態が解除され、作動板43はリンク44の下側軸44bを中心として反時計回りに回動することになる。そのため作動板43の他端(右端)によるクロスバー40の規制が無くなり、クロスバー40はコイルばね62のばね力により反時計回りに回動し、可動接触子4A,4Bを開放状態に復帰させ、可動接点3A,3Bを固定接点2A,2Bからそれぞれ開離させる。
【0107】
図15はバイメタル45に越流(同図(a)の実線イ)、コード短絡電流(同図(a)の実線ロ)、短絡電流(同図(a)の実線ハ)、並びにモータやインバータのような負荷を起動したときに越流よりも遙かに短い時間で瞬時に流れる突入電流(同図(a)の実線ニで表し、以下「瞬時突入電流」と呼ぶ)が流れた場合の第1鉄心61と第2鉄心60の移動する様子を表している。また、第2鉄心60が復帰ばね64のばね力に抗して移動を開始するときの電流の閾値を同図(a)においてはレベルCとしている。ここで、図15(b)〜(e)における横軸は上述のような定格を超える電流が流れ始めた時点からの経過時間〔秒〕を示し、縦軸は第1鉄心61と第2鉄心60の位置を示している。但し、定格以下の電流しか流れていないときの第1鉄心61及び第2鉄心60のそれぞれの位置(初期位置)は、第1鉄心61についてはP1、第2鉄心60については縦軸のゼロの位置とし、第2鉄心60が移動して第1鉄心61に最も近付いたときの位置(移動完了位置)をP2とする。また、図16は第1鉄心61と第2鉄心60の間にはたらく電磁吸引力(動作時荷重)〔N〕と両者の距離〔mm〕との関係を示しており、電磁吸引力が閾値X1を超えると復帰ばね64のばね力に電磁吸引力が勝って第2鉄心60が第1鉄心61に近付く向きに移動し始め、電磁吸引力が閾値X2に達した時点で第2鉄心60が移動完了位置P2に至る。そこからさらに電磁吸引力が増大して閾値X3を超えると、ねじりばね81のばね力とラッチ状態にある作動板43が第1引外し板41に与える荷重の和に電磁吸引力が勝って、今度は第1鉄心61が第2鉄心60に近付く向きに移動し始め、電磁吸引力が閾値X4に達した時点で第1引外し板41の係止部41eと作動板43の一端とのラッチ状態が解除されて引外し動作が行われる。なお、第1の電磁釈放装置47Aの動作電流(レベルB)は第2鉄心60が移動完了位置にあるときの第1鉄心61との距離に基づいた値(閾値X4の電磁吸引力を生じる電流値)となっている。また、図15(a)におけるレベルAは第2鉄心60が復帰ばね64のばね力に抗して移動を開始する電流レベルであり、レベルDは第2鉄心60が初期位置にあるときの動作電流を示している。
【0108】
而して、バイメタル45に越流が流れた場合、図15(c)に示すように越流がレベルCを超えた時点から第2鉄心60が初期位置から移動を開始して移動完了位置P2まで移動するものの、越流がレベルAを超えないために第1鉄心61は移動を開始せずに初期位置P1に留まっているから、越流が流れても主接点が強制開極されることはない。
【0109】
一方、バイメタル45にコード短絡電流が流れた場合、図15(d)に示すようにコード短絡電流がレベルCを超えた時点から第2鉄心60が初期位置から移動を開始して移動完了位置P2まで移動し、その後、コード短絡電流がレベルAを超えた時点から第1鉄心61が初期位置P1から移動を開始して第2鉄心60に近づき、コード短絡電流がレベルBを超えて第2鉄心60と第1鉄心61との距離が所定値以下となったときに第1引外し板41の係止部41eと作動板43の一端とのラッチ状態が解除されて引外し動作が行われて主接点(固定接点2Aと可動接点3A)が強制開極される。また、図15(e)に示すようにバイメタル45に短絡電流が流れた場合もコード短絡電流が流れた場合と同様であるが、短絡電流の立ち上がり時間がコード短絡電流の立ち上がり時間よりも短いため、電流が流れ始めてから動作電流(レベルA)に達するまでの時間も短くなって引外し動作の開始も早まることになる。
【0110】
しかしながら、図15(a)の実線ニに示すような瞬時突入電流がバイメタル45に流れた場合には、同図(b)に示すように瞬時突入電流が非常に短い時間しか流れないので、移動を開始した第2鉄心60が移動完了位置P2に達する前に瞬時突入電流が流れなくなる。そのために第1鉄心61と第2鉄心60との距離が所定値を下回ることがなく、主接点が誤って強制開極されることを防止できるものである(図14参照)。
【0111】
(実施形態2)
本実施形態は、第2鉄心60と器体1との間に第2鉄心60を第1鉄心61から離す向きに弾性付勢する復帰ばね64を介装した点に特徴があり、これ以外の構成は実施形態1と共通である。よって、実施形態1と共通の構成要素には同一の符号を付して説明を省略し、本実施形態の特徴となる構成についてのみ説明する。
【0112】
図17に示すように第2鉄心60の短い方の側片60aの先端面に円柱形のばね座60cが突設されるとともに、側片60aの先端面と対向する凹溝31hの片側(図17における右側)の端面にも円柱形のばね座31iが突設されており、これら2つのばね座60c,31iに復帰ばね64の両端部がそれぞれ外挿されて第2鉄心60と器体1(隔壁部材31)との間に復帰ばね64が介装されている。
【0113】
而して、バイメタル45に定格を超える電流が流れていなければ、図18(a)に示すように第2鉄心60は復帰ばね64のばね力で第1鉄心61から離れる向きに付勢されて隔壁部材31の周壁31bに当接した状態で保持されている。そして、バイメタル45に流れる電流が上記レベルCを超えると、同図(b)に示すように復帰ばね64のばね力に抗して第2鉄心60が第1鉄心61に近付く向きに移動し始め、復帰ばね64の圧縮限界において第2鉄心60の移動が停止する。バイメタル45に流れる電流がさらに大きくなって上記レベルAを超えれば、第1鉄心61が第2鉄心60に近付く向きに移動を開始し、上記レベルBを超えた時点で同図(c)に示すように第1鉄心61と第2鉄心60との距離が所定値以下となったときに第1引外し板41の係止部41eと作動板43の一端とのラッチ状態が解除されて引外し動作が行われて主接点(固定接点2Aと可動接点3A)が強制開極される。
【0114】
上述のように本実施形態では、第2鉄心60と器体1との間に第2鉄心60を第1鉄心61から離す向きに弾性付勢する復帰ばね64を介装したので、第2鉄心60と復帰ばね64を隔壁部材31に配設した後にバイメタル45や第1鉄心61を配設することができて組立作業が容易になるものである。
【0115】
(実施形態3)
本実施形態は、実施形態1,2における第2鉄心60を隔壁部材31に対して移動しないように固定した固定鉄心とし、第1鉄心(可動鉄心)61を第1引外し板41に対して固定鉄心60と接離する方向に移動自在に設けるとともに、第1引外し板41を作動板43の動きを規制する方向に付勢する力(ねじりばね81のばね力)よりも弱い力で可動鉄心61を固定鉄心60から離れる向きに付勢するようにした点に特徴がある。このように第1の電磁釈放装置47A以外の構成は実施形態1又は2と共通であるから、共通の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0116】
本実施形態における第1の電磁釈放装置47Aは、棒状の主部66aの先端に鍔部66bを設けた一対の取付部材66を具備し、可動鉄心61を表裏に貫通し主部66aの径よりも大きく且つ鍔部66bの径よりも小さい径を有する一対の貫通孔61aに各々取付部材66の主部66aを挿通するとともに貫通孔61aに挿通した主部66aの後端を、第1引外し板41の突出部41bの上端部における係止部41eと反対側の面に形成される一対の圧入孔41iに圧入することで固定し、圧縮コイルばねからなる復帰ばね64を取付部材66の主部66aに挿通して鍔部66bと可動鉄心61との間に配置して構成される。すなわち、可動鉄心61は取付部材66により第1引外し板41に対して固定鉄心60に接離する方向で移動自在に取り付けられており、復帰ばね64のばね力によって固定鉄心60から離れる向きに弾性付勢されている。なお、復帰ばね64のばね力は第1引外し板41を作動板43の動きを規制する方向に付勢するねじりばね81のばね力よりも弱く設定される。
【0117】
而して、バイメタル45にコード短絡電流や短絡電流が流れたときに固定鉄心60の側片60bの磁極面と可動鉄心61との間に発生する電磁吸引力により、まず可動鉄心61が復帰ばね64のばね力に抗して取付部材66の鍔部66bに近付く向きに移動し、復帰ばね64の圧縮限界まで移動した後、さらに電磁吸引力によりねじりばね81のばね力に抗して可動鉄心61を固定鉄心60に近付く向きに吸引揺動させ、可動鉄心61が取着された第1引外し板41を、図20における反時計回りに回動させるのである。
【0118】
次に本実施形態の動作を図20〜図26を参照して説明する。但し、投入状態から開放状態又は開放状態から投入状態へ手動で切り換える場合の動作、並びに第2及び第3の電磁釈放装置47B、48と熱動釈放装置によって主接点を強制開極させる場合の動作については実施形態1と共通であるから説明を省略し、本実施形態の特徴である第1の電磁釈放装置47Aにより主接点を強制開極される場合の動作についてのみ説明する。
【0119】
図20に示す投入状態において、コード短絡電流や短絡電流がバイメタル45に流れると、第1の電磁釈放装置47Aによって開閉機構5が釈放されて主接点を強制的に開極する。すなわち、実施形態1と同様に第1の電磁釈放装置47Aの動作電流は越流(図25(a)における実線イ参照)よりも大きく且つコード短絡電流よりも小さい値に設定されており(同図(a)のレベルB)、短絡電流に比較してレベルの小さいコード短絡電流でも動作するようになっている。
【0120】
而して、バイメタル45にコード短絡電流又は短絡電流が流れると、固定鉄心60の側片60bの磁極面と可動鉄心61との間に発生する電磁吸引力により、まず可動鉄心61が復帰ばね64のばね力に抗して取付部材66の鍔部66bに近付く向きに移動し、復帰ばね64の圧縮限界まで移動した後、さらに電磁吸引力によりねじりばね81のばね力に抗して可動鉄心61を固定鉄心60に近付く向きに吸引揺動させる。これにより図23に示すように、可動鉄心61が取着されている第1引外し板41が図23における反時計回りに回動し、係止部41eと作動板43の一端(左端)とのラッチ状態が解除され、作動板43はリンク44の下側軸44bを中心として反時計回りに回動することになる。そのため作動板43の他端(右端)によるクロスバー40の規制が無くなり、クロスバー40はコイルばね62のばね力により反時計回りに回動し、可動接触子4A,4Bを開放状態に復帰させ、可動接点3A,3Bを固定接点2A,2Bからそれぞれ開離させる。
【0121】
図25はバイメタル45に越流(同図(a)の実線イ)、コード短絡電流(同図(a)の実線ロ)、短絡電流(同図(a)の実線ハ)、並びに瞬時突入電流(同図(a)の実線ニ)が流れた場合の可動鉄心61と固定鉄心60の移動する様子を表している。また、可動鉄心61が復帰ばね64のばね力に抗して第1引外し板41に対して移動を開始するときの電流の閾値を同図(a)においてはレベルCとしている。ここで、図25(b)〜(e)における横軸は上述のような定格を超える電流が流れ始めた時点からの経過時間〔秒〕を示し、縦軸は可動鉄心61と固定鉄心60の位置を示している。但し、固定鉄心60の位置P3、定格以下の電流しか流れていないときの可動鉄心61の位置(初期位置)を縦軸のゼロの位置とし、可動鉄心61が第1引外し板41に対して移動して取付部材66の鍔部66bに最も近付いたときの位置(移動完了位置)をP4とする。また、図26は可動鉄心61と固定鉄心60の間にはたらく電磁吸引力〔N〕と両者の距離〔mm〕との関係を示しており、電磁吸引力が閾値Y1を超えると復帰ばね64のばね力に電磁吸引力が勝って可動鉄心61が第1引外し板41に対して鍔部66bに近付く向きに移動し始め、電磁吸引力が閾値Y2に達した時点で可動鉄心61が移動完了位置P4に至る。そこからさらに電磁吸引力が増大して閾値Y3を超えると、ねじりばね81のばね力とラッチ状態にある作動板43が第1引外し板41に与える荷重の和に電磁吸引力が勝って、可動鉄心61が固定鉄心60に近付く向きに移動し始め、電磁吸引力が閾値Y4に達した時点で第1引外し板41の係止部41eと作動板43の一端とのラッチ状態が解除されて引外し動作が行われる。なお、第1の電磁釈放装置47Aの動作電流(レベルB)は可動鉄心61が移動完了位置P4にあるときの固定鉄心60との距離に基づいた値(閾値Y4の電磁吸引力を生じる電流値)となっている。また、図25(a)におけるレベルAは可動鉄心61が復帰ばね64のばね力に抗して移動を開始する電流レベルであり、レベルDは可動鉄心61が初期位置にあるときの動作電流を示している。
【0122】
而して、バイメタル45に越流が流れた場合、図25(c)に示すように越流がレベルCを超えた時点から可動鉄心61が初期位置から移動を開始して移動完了位置P3まで移動するものの、越流がレベルAを超えないために可動鉄心61は移動完了位置P3からさらに固定鉄心60に近付く向きに移動しないから、越流が流れても主接点が強制開極されることはない。
【0123】
一方、バイメタル45にコード短絡電流が流れた場合、図25(d)に示すようにコード短絡電流がレベルCを超えた時点から可動鉄心61が初期位置から移動を開始して移動完了位置P3まで移動し、その後さらに、コード短絡電流がレベルAを超えた時点から可動鉄心61が移動完了位置P3からさらに固定鉄心60に近付く向きに移動し、コード短絡電流がレベルBを超えて固定鉄心60と可動鉄心61との距離が所定値以下となったときに第1引外し板41の係止部41eと作動板43の一端とのラッチ状態が解除されて引外し動作が行われて主接点(固定接点2Aと可動接点3A)が強制開極される。また、図25(e)に示すようにバイメタル45に短絡電流が流れた場合もコード短絡電流が流れた場合と同様であるが、短絡電流の立ち上がり時間がコード短絡電流の立ち上がり時間よりも短いため、電流が流れ始めてから動作電流(レベルA)に達するまでの時間も短くなって引外し動作の開始も早まることになる。
【0124】
しかしながら、図25(a)の実線ニに示すような瞬時突入電流がバイメタル45に流れた場合には、同図(b)に示すように瞬時突入電流が非常に短い時間しか流れないので、移動を開始した可動鉄心61が移動完了位置P4に達する前に瞬時突入電流が流れなくなる。そのために可動鉄心61と固定鉄心60との距離が所定値を下回ることがなく、主接点が誤って強制開極されることを防止できるものである(図24参照)。
【0125】
ここで本実施形態における第1の電磁釈放装置47Aでは、取付部材66の主部66aに外挿した復帰ばね64を鍔部66bと可動鉄心61との間に配置しているので、復帰ばね64が鍔部66bと可動鉄心61との間で取付部材66の主部66aに支持されることとなり、復帰ばね64の脱落や座屈が防止できる。また、複数の取付部材66を第1の電磁釈放装置47Aに具備するとともに、各取付部材66の主部66aを挿通する複数の貫通孔61aを可動鉄心61に設けているので、第1引外し板41の揺動部位(突出部41b)に対する可動鉄心61の位置ずれを防止して特性を安定化させることができる。さらに取付部材66の主部66aの後端を挿抜自在に圧入する圧入孔41iを第1引外し板41の揺動部位に設けているので、復帰ばね64や可動鉄心61を容易に交換することができるという利点がある。
【0126】
【発明の効果】
請求項1の発明は、主回路を収納する器体と、少なくとも一部が器体から回動自在に露出するハンドルと、少なくともハンドルの操作に応じて主回路の主接点を開閉する開閉機構と、短絡電流が主回路に流れた場合に開閉機構を釈放して主接点を強制的に開極する電磁釈放装置とを備え、電磁釈放装置は、第1鉄心及び第2鉄心を具備し、主回路を形成する通電導体を間に挟む形で第1鉄心を第2鉄心に揺動自在に接離させるとともに第1鉄心を第2鉄心から離れる向きに付勢し第2鉄心が第1鉄心を吸引して第1鉄心と第2鉄心との距離が所定値を下回ったときに開閉機構を釈放してなる回路遮断器において、第2鉄心を第1鉄心と接離する方向に移動自在に配設するとともに、第1鉄心を第2鉄心から離れる向きに付勢する力よりも弱い力で第2鉄心を第1鉄心から離れる向きに付勢したので、通電導体に定格を超える電流が流れた場合には最初に第2鉄心が第1鉄心に接触する向きに移動した後に第1鉄心が第2鉄心に接触する向きに移動するため、短絡電流やコード短絡電流が流れたときには第1及び第2鉄心がそれぞれ電磁吸引力により互いに接触する向きに移動して主接点が強制開極されるが、負荷起動の際に瞬時に流れる突入電流は第1鉄心が移動し始める前に流れなくなることから第1鉄心と第2鉄心との距離が所定値を下回ることがなく、主接点が誤って強制開極されることを防止できるという効果がある。
【0127】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、第2鉄心と通電導体との間に第2鉄心を第1鉄心から離す向きに弾性付勢する圧縮ばねを介装したので、圧縮ばねを第2鉄心の中心位置に当接させることが容易になるため、第2鉄心をスムーズに移動させることができるという効果がある。
【0128】
請求項3の発明は、請求項2の発明において、バイメタルからなる通電導体を一端で固定して他端を揺動自在としてなり、過負荷電流が通電導体に流れた場合に過負荷電流による温度上昇で通電導体の他端が揺動することにより開閉機構を釈放して主接点を強制的に開極する熱動釈放装置を備え、通電導体の中央から固定された一端側寄りの位置に圧縮ばねを介装したので、通電導体の他端が揺動する際の圧縮ばねと第2鉄心との間の距離の変動を抑えて圧縮ばねの位置ずれや脱落が防止できるという効果がある。
【0129】
請求項4の発明は、請求項1の発明において、第2鉄心と器体との間に第2鉄心を第1鉄心から離す向きに弾性付勢する圧縮ばねを介装したので、第2鉄心と圧縮ばねを器体内に配設した後に通電導体や第1鉄心を配設することができて組立作業が容易になるという効果がある。
【0130】
請求項5の発明は、請求項1〜4の何れかの発明において、主接点を閉極状態にラッチさせるラッチ部材と、器体内で揺動自在に配設され、主接点を開極状態へ移行させるラッチ部材の動きを規制するとともに電磁釈放装置が具備する第1鉄心と第2鉄心との距離が所定値を下回ったときに前記規制が解除される引外し部材とを開閉機構に具備し、引外し部材の揺動する部位に第1鉄心を取着したので、電磁釈放装置においては第1鉄心の動きを引外し部材に伝える部材が不要となり、部品点数を削減できるとともに第1鉄心と引外し部材との距離を縮めることで小型化が図れるという効果がある。
【0131】
請求項6の発明は、主回路を収納する器体と、少なくとも一部が器体から回動自在に露出するハンドルと、少なくともハンドルの操作に応じて主回路の主接点を開閉する開閉機構と、短絡電流が主回路に流れた場合に開閉機構を釈放して主接点を強制的に開極する電磁釈放装置とを備え、開閉機構は、主接点を閉極状態にラッチさせるラッチ部材と、器体内に揺動自在に配設されて主接点を開極状態へ移行させるラッチ部材の動きを規制するとともにラッチ部材の動きを規制する方向に付勢され、短絡電流が主回路に流れた場合に電磁釈放装置により前記規制を解除する方向に揺動させられる引外し部材とを具備し、電磁釈放装置は、引外し部材の揺動部位に対して固定鉄心と接離する方向に移動自在に設けた可動鉄心と、主回路を形成する通電導体を可動鉄心との間に挟む形で器体に固定した固定鉄心とを具備し、引外し部材をラッチ部材の動きを規制する方向に付勢する力よりも弱い力で可動鉄心を固定鉄心から離れる向きに付勢し、固定鉄心が可動鉄心を吸引して可動鉄心と固定鉄心との距離が所定値を下回ったときに引外し部材による前記規制を解除してなるので、通電導体に定格を超える電流が流れた場合には最初に可動鉄心が引外し部材の揺動部位に対して固定鉄心に接触する向きに移動した後に引外し部材を揺動しながら可動鉄心が固定鉄心に接触する向きに移動するため、短絡電流やコード短絡電流が流れたときには可動鉄心が引外し部材を揺動しながら固定鉄心に接触する向きに移動して主接点が強制開極されるが、負荷起動の際に瞬時に流れる突入電流は可動鉄心が引外し部材を揺動しながら移動し始める前に流れなくなることから可動鉄心と固定鉄心との距離が所定値を下回ることがなく、主接点が誤って強制開極されることを防止できるという効果がある。
【0132】
請求項7の発明は、請求項6の発明において、棒状の主部の先端に鍔部を設けた取付部材を電磁釈放装置に具備し、可動鉄心を表裏に貫通し主部の径よりも大きく且つ鍔部の径よりも小さい径を有する貫通孔に取付部材の主部を挿通するとともに貫通孔に挿通した主部の後端を引外し部材の揺動部位に固定し、取付部材の主部に外挿した圧縮コイルばねを鍔部と可動鉄心との間に配置したので、圧縮コイルばねが鍔部と可動鉄心との間で取付部材の主部に支持されることとなり、圧縮コイルばねの脱落や座屈が防止できるという効果がある。
【0133】
請求項8の発明は、請求項7の発明において、複数の取付部材を電磁釈放装置に具備するとともに、各取付部材の主部を挿通する複数の貫通孔を可動鉄心に設けたので、引外し部材の揺動部位に対する可動鉄心の位置ずれを防止して特性を安定化させることができるという効果がある。
【0134】
請求項9の発明は、請求項7又は8の発明において、取付部材の主部の後端を挿抜自在に圧入する圧入孔を引外し部材の揺動部位に設けたので、圧縮ばねや可動鉄心を容易に交換することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1を示す分解斜視図である。
【図2】同上の投入状態を示し、第1側ケースを取り外した状態の側面図である。
【図3】同上の開放状態を示し、第1側ケースを取り外した状態の側面図である。
【図4】同上の背面断面図である。
【図5】同上における第1の電磁釈放装置並びに熱動釈放装置の分解斜視図である。
【図6】同上における第2及び第3の電磁釈放装置の分解斜視図である。
【図7】同上における第2及び第3の電磁釈放装置の斜視図である。
【図8】同上における漏電保護回路並びに試験回路の回路図である。
【図9】同上における零相変流器、第1及び第2の回路基板の構造部位の分解斜視図である。
【図10】同上における零相変流器、第1及び第2の回路基板の構造部位の斜視図である。
【図11】同上の背面断面図である。
【図12】同上の投入状態から第2の電磁釈放装置が動作した状態を示し、第2側ケースを取り外した状態の側面図である。
【図13】同上の投入状態から第1の電磁釈放装置が動作した状態を示し、第1側ケースを取り外した状態の側面図である。
【図14】同上の投入状態から第1の電磁釈放装置の第2鉄心が移動した状態を示し、第1側ケースを取り外した状態の側面図である。
【図15】(a)〜(e)は同上における第1の電磁釈放装置の動作説明図である。
【図16】同上における第1の電磁釈放装置の動作説明図である。
【図17】実施形態2における第1の電磁釈放装置並びに熱動釈放装置の分解斜視図である。
【図18】(a)〜(c)は同上における第1の電磁釈放装置の動作説明図である。
【図19】実施形態3における第1引外し板と可動鉄心の分解斜視図である。
【図20】同上の投入状態を示し、第1側ケースを取り外した状態の側面図である。
【図21】同上の開放状態を示し、第1側ケースを取り外した状態の側面図である。
【図22】同上の開放状態を示し、第2側ケースを取り外した状態の側面図である。
【図23】同上の投入状態から第1の電磁釈放装置が動作して主接点が開極した状態を示し、第1側ケースを取り外した状態の側面図である。
【図24】同上の投入状態から第1の電磁釈放装置の可動鉄心が第1引外し板に対してのみ移動した状態を示し、第1側ケースを取り外した状態の側面図である。
【図25】(a)〜(e)は同上における第1の電磁釈放装置の動作説明図である。
【図26】同上における第1の電磁釈放装置の動作説明図である。
【図27】(a)〜(e)は従来例における電磁釈放装置の動作説明図である。
【符号の説明】
1 器体
2A,2B 固定接点
3A,3B 可動接点
5 開閉機構
6 ハンドル
41 第1引外し板
45 バイメタル
47A 第1の電磁釈放装置
60 第2鉄心
61 第1鉄心
64 復帰ばね
81 ねじりばね
Claims (9)
- 主回路を収納する器体と、少なくとも一部が器体から回動自在に露出するハンドルと、少なくともハンドルの操作に応じて主回路の主接点を開閉する開閉機構と、短絡電流が主回路に流れた場合に開閉機構を釈放して主接点を強制的に開極する電磁釈放装置とを備え、電磁釈放装置は、第1鉄心及び第2鉄心を具備し、主回路を形成する通電導体を間に挟む形で第1鉄心を第2鉄心に揺動自在に接離させるとともに第1鉄心を第2鉄心から離れる向きに付勢し第2鉄心が第1鉄心を吸引して第1鉄心と第2鉄心との距離が所定値を下回ったときに開閉機構を釈放してなる回路遮断器において、第2鉄心を第1鉄心と接離する方向に移動自在に配設するとともに、第1鉄心を第2鉄心から離れる向きに付勢する力よりも弱い力で第2鉄心を第1鉄心から離れる向きに付勢したことを特徴とする回路遮断器。
- 第2鉄心と通電導体との間に第2鉄心を第1鉄心から離す向きに弾性付勢する圧縮ばねを介装したことを特徴とする請求項1記載の回路遮断器。
- バイメタルからなる通電導体を一端で固定して他端を揺動自在としてなり、過負荷電流が通電導体に流れた場合に過負荷電流による温度上昇で通電導体の他端が揺動することにより開閉機構を釈放して主接点を強制的に開極する熱動釈放装置を備え、通電導体の中央から固定された一端側寄りの位置に圧縮ばねを介装したことを特徴とする請求項2記載の回路遮断器。
- 第2鉄心と器体との間に第2鉄心を第1鉄心から離す向きに弾性付勢する圧縮ばねを介装したことを特徴とする請求項1記載の回路遮断器。
- 主接点を閉極状態にラッチさせるラッチ部材と、器体内で揺動自在に配設され、主接点を開極状態へ移行させるラッチ部材の動きを規制するとともに電磁釈放装置が具備する第1鉄心と第2鉄心との距離が所定値を下回ったときに前記規制が解除される引外し部材とを開閉機構に具備し、引外し部材の揺動する部位に第1鉄心を取着したことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の回路遮断器。
- 主回路を収納する器体と、少なくとも一部が器体から回動自在に露出するハンドルと、少なくともハンドルの操作に応じて主回路の主接点を開閉する開閉機構と、短絡電流が主回路に流れた場合に開閉機構を釈放して主接点を強制的に開極する電磁釈放装置とを備え、開閉機構は、主接点を閉極状態にラッチさせるラッチ部材と、器体内に揺動自在に配設されて主接点を開極状態へ移行させるラッチ部材の動きを規制するとともにラッチ部材の動きを規制する方向に付勢され、短絡電流が主回路に流れた場合に電磁釈放装置により前記規制を解除する方向に揺動させられる引外し部材とを具備し、電磁釈放装置は、引外し部材の揺動部位に対して固定鉄心と接離する方向に移動自在に設けた可動鉄心と、主回路を形成する通電導体を可動鉄心との間に挟む形で器体に固定した固定鉄心とを具備し、引外し部材をラッチ部材の動きを規制する方向に付勢する力よりも弱い力で可動鉄心を固定鉄心から離れる向きに付勢し、固定鉄心が可動鉄心を吸引して可動鉄心と固定鉄心との距離が所定値を下回ったときに引外し部材による前記規制を解除してなることを特徴とする回路遮断器。
- 棒状の主部の先端に鍔部を設けた取付部材を電磁釈放装置に具備し、可動鉄心を表裏に貫通し主部の径よりも大きく且つ鍔部の径よりも小さい径を有する貫通孔に取付部材の主部を挿通するとともに貫通孔に挿通した主部の後端を引外し部材の揺動部位に固定し、取付部材の主部に外挿した圧縮コイルばねを鍔部と可動鉄心との間に配置したことを特徴とする請求項6記載の回路遮断器。
- 複数の取付部材を電磁釈放装置に具備するとともに、各取付部材の主部を挿通する複数の貫通孔を可動鉄心に設けたことを特徴とする請求項7記載の回路遮断器。
- 取付部材の主部の後端を挿抜自在に圧入する圧入孔を引外し部材の揺動部位に設けたことを特徴とする請求項7又は8記載の回路遮断器。
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