JP3985494B2 - 電気式脱イオン装置及び脱イオン方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は半導体、液晶、製薬、食品工業等の各種の産業において利用される電気式脱イオン装置に係わり、特に処理水の比抵抗値と弱電解質アニオンの除去率の向上を図り、高純度の純水を連続的に製造することができる電気式脱イオン装置に関する。また、本発明は、この電気式脱イオン装置を用いた脱イオン方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電気式脱イオン装置は、電極(陽極と陰極)同士の間に複数のカチオン交換膜とアニオン交換膜とを交互に配列して脱塩室と濃縮室とを交互に形成し、脱塩室にイオン交換樹脂を充填した構成を有する。この電気式脱イオン装置にあっては陽極、陰極間に電圧を印加しながら脱塩室に被処理水を流入させると共に、濃縮室に濃縮水を流入させ被処理水中の不純物イオンを除去し、脱イオン水を製造する。
【0003】
図6はこの電気式脱イオン装置の基本的な構成を示す分解図である。
【0004】
陰極側のエンドプレート1に沿って陰極電極板2が配置され、この陰極電極板2の周縁部に枠状の陰極用スペーサ3が重ね合わされる。この陰極用スペーサ3の上にカチオン交換膜4、脱塩室形成用の枠状フレーム5、アニオン交換膜6及び濃縮室形成用の枠状フレーム7がこの順に重ね合わされる。このカチオン交換膜4、脱塩室形成用の枠状フレーム5、アニオン交換膜6及び濃縮室形成用の枠状フレーム7を1単位として多数重ね合わされる。即ち、膜4、フレーム5、膜6、フレーム7が連続して繰り返し積層される。最後のアニオン交換膜6に対し枠状の陽極用スペーサ8を介して陽極電極板9が重ね合わされ、その上に陽極側エンドプレート10が重ね合わされて積層体とされる。この積層体はボルト等によって締め付けられる。
【0005】
上記の脱塩室用フレーム5の内側スペースが脱塩室となっており、この脱塩室にはイオン交換樹脂等のイオン交換樹脂5Rが充填される。濃縮室用フレーム7の内側が濃縮室となっている。この濃縮室にはメッシュスペーサなどが配置される。
【0006】
このような装置にあっては、陽極9と陰極2の間に直流電流を通じ、且つ被処理水(原水)を被処理水流入ライン11を通して脱塩室内に通水せしめ、また、濃縮水を濃縮水流入ライン12を通して濃縮室8内に通水せしめる。脱塩室内に流入してきた被処理水はイオン交換樹脂の充填層を流下し、その際、該被処理水中の不純物イオンが除かれて脱イオン水となり、これが脱イオン水流出ライン13を経て流出する。
【0007】
一方、濃縮室内に通水された濃縮水は濃縮室内を流下するときに、イオン交換膜4,6を介して移動してくる不純物イオンを受け取り、不純物イオンを濃縮した濃縮水として濃縮水流出ライン14より流出する。電極室にはそれぞれ導入ライン15,16及び取出ライン17,18を介して電極水が流通される。
【0008】
ところで、脱塩室内に上下方向に仕切り用リブを設け、脱塩室内を上下方向に長い小室に区画した電気式脱イオン装置が特公平4−72567号公報に記載されている。このように脱塩室内をリブによって細長い小室に区画し、各小室にそれぞれイオン交換樹脂を充填した電気式脱イオン装置にあっては、脱塩室の入口から出口に向って局部的に偏って水が流れるチャンネル化現象が防止されると共に、脱塩室内においてイオン交換樹脂が圧縮されたり移動したりすることが防止される。
【0009】
この特公平4−72567号の電気式脱イオン装置にあっては、脱塩室を上下に細長い小室に区画するため、小室の数に制限がある。即ち、あまり多くの小室を形成することができない。また、リブによって水の左右方向への流れが阻止されるため、水とイオン交換樹脂との接触効率が悪い。さらに、小室の下部にあってはイオン交換樹脂が圧縮され、上部に隙間があき、イオン交換樹脂の充填率が低くなりがちであるという短所もある。
【0010】
本出願人は、このような種々の短所を克服し、水とイオン交換樹脂との接触効率が高く、イオン交換樹脂等の充填密度も高い電気式脱イオン装置を特開2001−25647号にて提案している。
【0011】
同号の電気式脱イオン装置は、脱塩室内を区画部材によって多数の小室に区画し、各小室にイオン交換樹脂を充填したものである。この各小室に臨む区画部材の少なくとも一部は、脱塩室内の平均的な水の流れ方向に対して傾斜しており、この傾斜した部分は、水は通過させるが、イオン交換樹脂は通過させない構造となっている。このため、脱塩室内に流入した水の少なくとも一部は、平均的な水の流れ方向に対し斜め方向に流れるようになり、脱塩室内の全体に分散して流れる。従って、水とイオン交換樹脂との接触効率が向上し、脱イオン特性が向上する。
【0012】
この小室を平均的な水の流れ方向及びこれと直交方向のいずれにおいても膜面に沿って複数個配置することにより、(例えば縦横に多数配置することにより、)水とイオン交換樹脂との接触効率がきわめて高いものとなる。また、各小室内の上下方向の高さが小さくなり、イオン交換樹脂が局部的に圧縮されにくくなる。従って、小室に隙間が生じることがなく、イオン交換樹脂の充填密度が高い。
【0013】
この小室は、イオン交換膜面に投影した形状が六角形又は四角形であってもよい。六角形の場合には、1対の平行な辺が平均的な水の流れ方向となるように各小室を配置するのが好ましい。四角形の場合には、各辺が平均的な水の流れ方向に対し傾斜するように配置する。
【0014】
1つの小室内に1種類のイオン交換特性のイオン交換樹脂のみを充填してもよく、複数種類のイオン交換特性のイオン交換樹脂を充填してもよい。例えば1つの小室内にアニオン交換体と両性イオン交換樹脂とを混合して充填してもよい。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
電気式脱イオン装置は、被処理水中のイオンを電極間の電位差に基づいて脱塩室から濃縮室へ移動させるものであるから、炭酸やシリカのような弱電解質成分は除去されにくい。
【0016】
たとえば市水を逆浸透膜装置で処理し、その透過水を電気式脱イオン装置で処理した場合、比抵抗値10MΩ・cm前後の脱イオン水が得られる。しかしながら給水の炭酸濃度が10ppm以上と高い場合、比抵抗値は1〜5MΩ・cmに低下する。従って、比抵抗値が高い処理水とするために、電気脱イオン装置の前段に脱炭酸装置をあらかじめ設置しなければならない。
【0017】
また、従来の電気式脱イオン装置によると、シリカの除去率は70〜90%程度の低い値である。そのため、電気式脱イオン装置の後段に設置されたポリッシャーの再生頻度あるいは交換頻度が高くなる。
【0018】
本発明は、比抵抗値10MΩ・cm以上の安定した処理水とシリカの除去率を飛躍的に向上し得る電気式脱イオン装置及び脱イオン方法を提供することを目的とするものである。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明の電気式脱イオン装置は、電極同士の間に複数のカチオン交換膜とアニオン交換膜とを交互に配列して脱塩室と濃縮室とを交互に形成し、脱塩室にイオン交換樹脂を充填し、脱塩室に被処理水を通水し、濃縮室に濃縮水を通水するようにした電気式脱イオン装置であって、該脱塩室内に区画部材が配置され、該区画部材と該カチオン交換膜及びアニオン交換膜とによって囲まれた多数の小室が該脱塩室内に形成されており、各小室にそれぞれイオン交換樹脂が充填されており、各小室に臨む区画部材の少なくとも一部は該脱塩室内の平均的な水の流れ方向に対し傾斜しており、該区画部材の少なくとも傾斜した部分は、水を通過させるがイオン交換樹脂の通過を阻止する構造となっている電気式脱イオン装置において、該イオン交換樹脂は、アニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂とを含む混合物であり、該アニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂との合量に対するアニオン交換樹脂の割合が60〜80体積%であることを特徴とする。
【0020】
また、本発明の脱イオン方法は、かかる本発明の電気脱イオン装置を用いて炭酸濃度10mgCO2/L以上の被処理水を脱イオン処理することを特徴とするものである。
【0021】
弱電解質である炭酸の電気式脱イオン装置における除去機構は次のように考えられている。被処理水の炭酸(CO2)は、電気式脱イオン装置内において水酸化物イオン(OH−)とのイオン化反応により重炭酸イオンに変わる(CO2+OH−→HCO3 −)。
【0022】
この重炭酸イオンが脱塩室内を移動し、アニオン交換膜を通過して濃縮室へ移動する。従って、第一にイオン化反応を促進させること、第二に重炭酸イオンの移動度を改善することが炭酸除去によって重要である。
【0023】
この炭酸のイオン化反応(重炭酸イオンの生成)促進のためには、OH−イオンの供給が必要であり、これは水解離(H2O→H++OH−)によってもたらされる。
【0024】
この水解離が発生する場所はイオン交換樹脂同士の間およびイオン交換樹脂とイオン交換膜同士の間である。このうち、イオン交換樹脂同士の間で発生した水素イオンおよび水酸化物イオンは脱塩室内で再び会合するのでその寿命は短い。それ故に、炭酸のイオン化のためのOH−としては、イオン交換膜とイオン交換樹脂との間、特にカチオン交換膜とアニオン交換樹脂との間で発生するOH−イオンが有効である。従って、例えばアニオン交換樹脂の割合を60%から70%に高めると、カチオン交換膜へのアニオン樹脂の接触率が約17%上昇し、これに伴い、発生するOH−イオン量も増加する。この結果、炭酸のイオン化反応が促進される。なお、アニオン交換樹脂の割合を80%に高めると、OH−イオン発生量はさらに増加するが、H+イオンが減少しすぎるためNa+イオンの除去性が低下し、処理水の比抵抗を悪くする。
【0025】
このイオン化した重炭酸イオンは速やかに濃縮室へ移動させる必要がある。アニオン交換樹脂の割合を60%から70%へ上げると、アニオン交換樹脂を介して移動する割合が約3倍に増える。この結果、重炭酸イオンの移動度改善により炭酸の除去性が向上する。しかしながら、カチオン交換樹脂の割合が減少するため、Na+リークを招き、比抵抗を悪くする。
【0026】
このようにアニオンの除去性を改善することは、カチオンの除去性を悪くすることと表裏一体である。従って、通常のリブ式の電気脱イオン装置では、本発明の様なアニオン交換樹脂比では、もはやカチオンの除去性が悪く、Na+リークが発生してしまう。そこで、本発明では、電気式脱イオン装置として脱イオン特性に優れた特開2001−25647号の電気式脱イオン装置の構造を採用する。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。図1は実施の形態に係る脱塩室の構成を示す分解斜視図、図2は区画部材の要部斜視図、図3は区画部材の分解斜視図、図4は区画部材の通水状況を示す正面図である。
【0028】
この脱塩室は、長方形状のフレーム20と、このフレーム20内に配置された好ましくは導電性を有した区画部材21と、区画部材21によって形成された小室22内に充填されたイオン交換樹脂23と、フレーム20を挟むように配置されたアニオン交換膜24及びカチオン交換膜25とによって構成されている。
【0029】
フレーム20の上部には被処理水(原水)の導入用の通水孔26及び濃縮水(流入側)の通水孔27が穿孔され、下部には脱塩水の通水孔28及び濃縮水(排出側)の通水孔29が穿孔されている。この原水導入用通水孔26及び脱塩水の通水孔28は切欠状の水路26a,28aを介してそれぞれフレーム20の内側に連通している。
【0030】
なお、水路26aは、図1では左上の小室にのみ連通するように図示しているが、左右方向の各小室に原水が均等に分配されるように水路26aは実際にはフレーム20の上部に複数設けられ、通水孔26は最上部の各小室に直接に連通している。同様に、図1では水路28aは右下の小室にのみ連通するように図示してあるが、実際には水路28aはフレーム20の下部に複数個設けられており、通水孔28は最下部の各小室に直接に連通している。
【0031】
この実施の形態に係る区画部材21は六角形のハニカム形状のものであり、小室22は上下左右に多数配置されている。各小室22の1対の側辺がフレーム20の長手方向即ち上下方向となるように配置されている。
【0032】
この区画部材21は、予め一体成形されたものであってもよく、複数の部材を組み合わせたものであってもよい。例えば図3のようにジグザグ状の屈曲板30の長手方向面31同士を連結することにより構成される。この屈曲板30は、長手方向面31に対し120゜の角度で連なる通水性の斜向面32,33を備えている。長手方向面31同士を連結するには例えば接着剤を用いることができる。この屈曲板30は、水は通過させるがイオン交換樹脂は通過させない材料、例えば織布、不織布、メッシュ、多孔質材などにより構成されている。この屈曲板30は耐酸性及び耐アルカリ性を有した合成樹脂又は金属により剛性を有するように形成されるのが好ましい。長手方向面31は通水性を有していてもよく、有していなくてもよい。
【0033】
区画部材21はフレーム20に嵌め込まれてもよい。また、フレーム20の片面側に透水性シート又はメッシュを張設し、これに区画部材を接着してもよい。
【0034】
この脱塩室を有した電気式脱イオン装置の全体構造それ自体は前記図6と同じであり、原水、濃縮水及び電極水の通水系路も同じである。
【0035】
この電気式脱イオン装置に通水して脱塩運転を行う場合、脱塩室に流入した原水は、図4の通り小室22を囲む区画部材21を通過して隣接する小室22に流れ込み、徐々に下方に流れ、この間に脱イオン処理を受ける。そして、遂には脱塩室の下部に達し、水路28aを介して脱塩水取出用の孔28に流入し、脱塩水として電気式脱イオン装置外に取り出される。
【0036】
この脱塩室における平均的な水の流れ方向は、原水流入用の水路26aがフレーム20の上部に存在し、脱塩水取出用の水路28aがフレーム20の下部に存在するところから、上から下に向う鉛直方向となっている。この平均的な水の流れ方向に対し小室の上部及び下部が傾斜しているので、被処理水は1つの小室22から左及び右側の小室22へ斜めに分かれて流下するようになる。このため、被処理水が各小室22にほぼ均等に分散して流れるようになり、被処理水とイオン交換樹脂との接触効率が良好なものとなる。
【0037】
この脱塩室にあっては、小室22が比較的小さく、イオン交換樹脂の自重及び水圧によって各小室22内においてイオン交換樹脂に対し加えられる下向きの圧力が小さい。従って、いずれの小室22内においてもイオン交換樹脂が圧縮されることがなく、イオン交換樹脂が小室内の下部において局部的に圧密化されることがない。
【0038】
各小室22に対して充填されるイオン交換樹脂は、アニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂との混合物である。両者の混合割合は、アニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂との合量に対するアニオン交換樹脂の割合が60〜80体積%となる範囲である。
【0039】
アニオン交換樹脂の割合が60体積%よりも少ないと、水の解離によるOH−生成量が不足し、炭酸の重炭酸イオンへのイオン化が不足し、炭酸除去効果が低くなる。一方、アニオン交換樹脂の割合が80体積%よりも多くなると、Na+イオン等のカチオンの除去効率が悪くなり、処理水中のNa+イオン等の濃度が高くなる。アニオン交換樹脂が60〜80体積%好ましくは65〜75体積%の範囲であると、炭酸及びNa+イオン等の除去がいずれも十分に行われると共に、弱酸であるシリカのイオン化も促進され、シリカ除去率も高くなる。
【0040】
本発明によると、炭酸濃度が10mgCO2/L以上の被処理水からも、10MΩ・cm以上の高比抵抗の処理水を生産することが可能である。
【0041】
なお、小室22に充填されるイオン交換樹脂は、アニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂のみであることが好ましいが、少量のII型のアニオン交換樹脂が混合されてもよい。II型のアニオン交換樹脂の混合割合は、アニオン交換樹脂全体の10体積%以下であることが望ましい。
【0042】
図1〜4では小室は六角形であるが、四角形例えば菱形であってもよい。また、区画部材は、三角形の小室を形成する三角格子状区画部材であってもよく、さらに別形状の小室を有する区画部材であってもよい。
【0043】
本発明の電気式脱イオン装置において、小室のイオン交換膜面への投影面積は1〜100cm2とくに5〜80cm2とりわけ10〜50cm2程度が好ましい。脱塩室を挟む1対のアニオン交換膜とカチオン交換膜の間隔、即ち脱塩室の厚みは1.5〜15mmとくに3〜10mm程度が好ましい。なお、小室を小さくするほど1つの小室に充填するイオン交換樹脂の量が少なくなり、イオン交換樹脂の流動が抑制されると共に、区画部材及び脱塩室の強度も大きくなるが、脱塩室の通水圧損が大きくなる。
【0044】
濃縮室の厚みは0.3〜1mm程度が好ましい。濃縮室内には20〜60メッシュ程度のスペーサが配置されるのが望ましい。
【0045】
イオン交換樹脂の粒径は、0.1〜1mmとくに0.2〜0.6mm程度が好ましい。このイオン交換樹脂は、小室の容積の100〜140%程度の量を小室に収容した後、イオン交換膜で両側から挟みつけ、イオン交換樹脂を小室内に緻密に充填するのが好ましい。
【0046】
小室内にイオン交換樹脂を充填して電気式脱イオン装置を組み立てる場合、小室内にイオン交換樹脂を充填し、両端に相対するイオン交換膜を設置後、原水を供給し内部イオン交換樹脂を膨潤させた後、小室を体積比が100〜102%程度になるように締め付けてもよい。
【0047】
また、濃縮室内にもイオン交換樹脂を充填することができる。濃縮室にイオン交換樹脂を充填することにより、電流が流れ易く、また、乱流効果も改善され、電流効率が向上する。濃縮室に配置されるスペーサの代わりに脱塩室と同様に区画部材で多数の小室を形成し、各小室にイオン交換樹脂を充填しても良い。
【0048】
なお、一般に、陰極室はアルカリ性を呈するため、通常陽極室を通過した酸性の陽極水が供給され、陰極室で中和し、一部純水になる。このため、陰極室の導電性は低下し局部的に電圧が上昇し、スケールが発生し易い。この状況を避けるため、陰極をメッシュ電極又は不織布状の電極を単独又は組み合わせた電極を使用することにより電極面積を増やし、電極面の電流密度を下げることによりスケールの発生を防止するのが好ましい。
【0049】
本発明の電気式脱イオン装置を運転する場合、濃縮水を循環し、循環水中のイオン濃度を給水の5〜40倍の範囲内に制御することが望ましい。この場合、濃縮水のスケール成分である硬度成分を電気的に分離排除し、循環水中のランゲリアインデックスをマイナスにすることが好ましい。硬度成分除去に弱酸性イオン交換樹脂を使用してもよい。
【0050】
【実施例】
以下、実施例1〜3及び比較例1,2について説明する。
【0051】
この実施例及び比較例で用いた電気式脱イオン装置は、図1〜4に示す構造の脱塩室を有し、濃縮室については上下方向に3本のリブを延設した構造のものである。
【0052】
脱塩室及び濃縮室の大きさは幅130mm、高さ400mmであり、脱塩室の厚みは5mm、濃縮室の厚みは2.5mmである。
【0053】
脱塩室の数は3、濃縮室の数は4であり、両者は図6の如く交互に配設されている。最も外側の濃縮室の両側(外側)に図6と同様に電極室が配置されている。
【0054】
脱塩室内の小室は、図示の通り正六角形であり、六角形の一辺の長さは16.1mmである。小室を形成する区画部材の材質は縦の壁部がポリプロピレン、斜めのメッシュ部がポリエステル製である。
【0055】
脱塩室の各小室には、それぞれアニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂との混合物を充填した。両樹脂の含量に対するアニオン交換樹脂の割合は次の通りである。
比較例1 50%
実施例1 65%
実施例2 70%
実施例3 75%
比較例2 90%
【0056】
濃縮室にはカチオン交換樹脂とアニオン交換樹脂とを4:6の体積比で混合したものを充填し、電極室には活性炭を充填した。
【0057】
その他の運転条件は次の通りである。
被処理水 :市水を逆浸透膜分離処理した炭酸濃度18mgCO2/L、シリカ濃度0.35mgSiO2/L、導電率10μS/cmの水。
脱塩室通水量:190L/h
濃縮室通水量: 60L/h
電圧 :40V
電流 :4.4A
電流効率 :20%
【0058】
得られた処理水の水質を表1に示すと共に、電気式脱イオン装置からのCO2及びNa+のイオンリーク量の測定結果を図5に示す。表1及び図5の通り、アニオン交換樹脂の割合を60〜80%とすることにより、炭酸及びNa+イオンがいずれも十分に除去される。
【0059】
【表1】
【0060】
【発明の効果】
上記実施例及び比較例からも明らかな通り、本発明によると炭酸濃度の高い被処理水であっても十分に比抵抗の高い処理水を生産することができる。本発明によると、シリカも十分に除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態に係る脱塩室の構成を示す分解斜視図である。
【図2】区画部材の要部斜視図である。
【図3】区画部材の分解斜視図である。
【図4】区画部材の通水状況を示す正面図である。
【図5】イオンリーク量(ppb)とアニオン交換樹脂の比率(%)との関係を示すグラフである。
【図6】電気式脱イオン装置の一般的な構成を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
20 フレーム
21 区画部材
22 小室
23 イオン交換樹脂
24 アニオン交換膜
25 カチオン交換膜
Claims (2)
- 電極同士の間に複数のカチオン交換膜とアニオン交換膜とを交互に配列して脱塩室と濃縮室とを交互に形成し、脱塩室にイオン交換樹脂を充填し、脱塩室に被処理水を通水し、濃縮室に濃縮水を通水するようにした電気式脱イオン装置であって、
該脱塩室内に区画部材が配置され、該区画部材と該カチオン交換膜及びアニオン交換膜とによって囲まれた多数の小室が該脱塩室内に形成されており、
各小室にそれぞれイオン交換樹脂が充填されており、
各小室に臨む区画部材の少なくとも一部は該脱塩室内の平均的な水の流れ方向に対し傾斜しており、
該区画部材の少なくとも傾斜した部分は、水を通過させるがイオン交換樹脂の通過を阻止する構造となっている電気式脱イオン装置において、
該イオン交換樹脂は、アニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂とを含む混合物であり、該アニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂との合量に対するアニオン交換樹脂の割合が60〜80体積%であることを特徴とする電気式脱イオン装置。 - 水中の炭酸濃度が10mgCO2/L以上の被処理水を請求項1に記載の電気脱イオン装置を用いて脱イオン処理することを特徴とする電気脱イオン方法。
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