JP3984528B2 - 全長を短縮した電子銃およびこれを用いた陰極線管装置 - Google Patents

全長を短縮した電子銃およびこれを用いた陰極線管装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子銃および陰極線管装置に関し、特に、電子銃の全長を短縮する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、PDP(Plasma Display Panel)や液晶ディスプレイ等の平面型ディスプレイ装置の普及が著しい。この流れを受けて、陰極線管装置についても、奥行き寸法の短縮が求められている。かかる課題に対して、偏向ヨークを改良することによって電子ビームの偏向角を拡大し、陰極線管装置の全長を短縮することが試みられている。
【0003】
また、電子銃を短縮することによって、陰極線管装置の全長を短縮する技術についても検討がなされており、かかる技術には、例えば、特開平2−56836号公報に開示の電子銃構体がある。通常、電子銃の陰極、制御電極及び加速電極は別個にマルチフォームロッドに固定されるのに対して、当該公報においては、これら電極を一体としてマルチフォームロッドに固定することによって、電子銃の短縮を図っている。以下、電子銃の陰極、制御電極及び加速電極からなる部分を3極部という。
【0004】
図10は、前記公報に開示の3極部の構造を示す断面図である。図10に示すように、従来公報に係る3極部は、熱陰極101、制御電極106及び加速電極108を備えている。熱陰極101を加熱するヒータ102は、熱の発生および放射効率を高くするために管軸方向に長手の構造を有し、その長さは3〜5mmである。
【0005】
ヒータ102は、筒状のスリーブ103に外囲されており、スリーブ103は筒状のブッシュ104に外囲、支持されている。ブッシュ104は、カソードサポート105に挿嵌されている。また、カソードサポート105の管軸方向スクリーン側には、制御電極106が配置され、制御電極106の更に管軸方向スクリーン側には絶縁スペーサ107が配置されている。
【0006】
加速電極108は、カップ形状となっている。加速電極108の内部には、カップの底から、絶縁スペーサ107、制御電極106、カソードサポート105の順に格納されている。これらの部材は、電極押さえ部品109が加速電極108に挿嵌されることによって、加速電極108内に固定される。
ここで、前記ヒータは、スリーブ103内に、スリーブ103に接触しないように、ヒータ支持金具110によって支持されている。このようにすれば、3極部を構成する各電極間の距離を精度よく維持しつつ、電子銃の全長を短縮することができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来技術に係る電子銃のヒータ支持金具110から加速電極108までの全長は、12〜20mm程度にもなるため、電子銃を更に短縮することができれば、陰極線管装置全体の更なる全長短縮を図ることができると期待される。
【0008】
本発明は、以上のような課題に鑑みてなされたものであり、管軸方向について全長を短縮した電子銃および陰極線管装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明に係る電子銃は、貫通孔を有する絶縁基板と、前記貫通孔に挿設され、熱陰極とヒータとを有する陰極構体と、前記絶縁基板上の、前記陰極構体が電子ビームを射出する方向とは反対側に、配設される薄板状の複数の給電部材と、前記ヒータを前記給電部材に電気的に接続し、かつ、前記陰極構体を支持する第1の導電性支持部材と、前記熱陰極を前記給電部材に電気的に接続し、かつ、前記陰極構体を支持する第2の導電性支持部材とを備えることを特徴とする。
【0010】
このようにすれば、陰極構体の一部をなすヒータが、第1及び第2の導電性支持部材を介して、絶縁基板によって支持されることになる。従って、前記従来公報におけるヒータ支持金具110のような支持部材を省くことができるので、電子銃の全長を短縮することができる。
また、第1及び第2の導電性支持部材は、給電部材から電力の供給を受けて、これを熱陰極やヒータに供給する役割も兼ねている。本発明に係る電子銃は、この意味においても、全長の短縮を図ることができる。
【0011】
また、このような構成をとることによって、陰極構体に取り付けられた第1及び第2の導電性支持部材を給電部材に取り付ける際に、制御電極と陰極構体との距離を調節することができるので、優れた組み立て精度を有する電子銃を歩留まりよく製造することができる。
更に、第1及び第2の導電性支持部材を切断することによって、陰極構体のみを容易に取り外せるので、容易に部品解体することができ、よりリサイクルに適した構成となっている。
【0012】
なお、上記において、給電部材を平板上であるとすれば、電子銃の全長に対する給電部材の寄与を低減することができるので、結果として、電子銃の全長を短縮することができる。
また、前記第1の導電性支持部材や第2の導電性支持部材は、前記絶縁基板の貫通孔に挿通された状態で陰極構体を支持することとしても良い。このようにすれば、これら導電性支持部材の全長を短縮して、陰極構体を安定に支持することができる。これと同時に、導電性支持部材における、無駄な電力消費を削減して省エネルギー化を図ることもできる。
【0013】
また、本発明に係る電子銃は、前記絶縁基板は平板状であって、前記貫通孔は、前記絶縁基板の主面に開口を有しており、前記給電部材は、前記絶縁基板の、前記陰極構体が電子ビームを射出する方向とは反対側の主面に、配設されていることを特徴とする。このようにすれば、電子銃の全長に対する絶縁基板の寄与を低減して、電子銃の全長を短縮することができる。
【0014】
また、本発明に係る電子銃は、前記第2の導電性支持部材は、前記貫通孔内で前記絶縁基板から離間していることを特徴とする。このようにすれば、熱陰極からの金属蒸気が貫通孔の内壁に付着した場合であっても、良好な絶縁状態を保つことができる。したがって、短絡による電子銃の不具合を防止して、その寿命を伸ばすことができる。
【0015】
また、本発明に係る電子銃は、前記絶縁基板は、その外周面において、導電性部材に覆われていない部分を有することを特徴とする。このようにすれば、前記従来公報のように、陰極構体の全周が導電性部材によって囲繞されている場合との比較において、陰極構体と導電性部材との間の静電容量を低減することができるので、電子銃の応答性能を向上させることができる。
【0016】
また、本発明に係る電子銃は、前記絶縁基板の、前記陰極構体が電子ビームを射出する側に、配設されており、かつ、前記陰極構体が射出する電子ビームが通過する位置において、電子ビーム通過孔を有する制御電極を備えることを特徴とする。
また、この場合において、前記絶縁基板の、前記陰極構体が電子ビームを射出する側に、配設されており、かつ、前記制御電極を支持する制御電極支持部材を備えることとするのが好適である。このように制御電極を配置すれば、やはり、電子銃の全長を短縮することができる。
【0017】
また、前記制御電極支持部材は導電性部材であって、前記第2の導電性支持部材と、管軸方向に重ならないように配設されていることとするのが望ましい。このようにすれば、制御電極支持部材と第2の導電性支持部材との間の静電容量を低減することができるので、電子銃の応答性能を向上させることができる。
また、本発明に係る電子銃は、前記制御電極について、前記絶縁基板とは反対側に、配設されており、かつ、前記陰極構体が射出する電子ビームが通過する位置に、電子ビーム通過孔を有する加速電極を備えることを特徴とする。
【0018】
また、この場合において、前記絶縁基板の、前記陰極構体が電子ビームを射出する側に、配設されており、かつ、前記加速電極を支持する加速電極支持部材を備えることとするのが望ましい。このように加速電極を配置すれば、やはり、電子銃の全長を短縮することができる。
また、本発明に係る電子銃は、互いに接続される前記給電部材と前記第1の導電性支持部材は、管軸方向からの平面視において、長手方向を同じくすることを特徴とする。このようにすることによって、前記給電部材と前記第1の導電性支持部材とを固着するための接触面積を確保しつつ、絶縁基板上の給電部材の面積を低減することができる。したがって、給電部材と他の電極との間の静電容量を低減して、電子銃の応答性能を向上させることができる。
【0019】
また、本発明に係る電子銃は、前記貫通孔は、前記熱陰極からの金属蒸気が当該貫通孔の内部を通過するのを妨げる遮蔽部を有することを特徴とする。このようにすることによって、金属蒸気が貫通孔の内壁や導電性支持部材などに、金属が付着して、電極間の短絡が発生するのを防止することができる。
ここで、例えば、前記遮蔽部は、前記貫通孔の内側面を前記貫通孔の内側に突出させた凸部であることとしても良い。このようにすれば、新たな部材を付け加えることなく、前記遮蔽部を設けることができる。したがって、本発明に係る電子銃の組立工程を複雑化させることなく、上記のように短絡を防止する効果を得ることができる。
【0020】
また、本発明に係る電子銃は、前記貫通孔の近傍において、前記給電部材と前記絶縁基板との間に間隙が設けられていることを特徴とする。このような間隙には、金属蒸気が入り込み難いので、貫通孔の内壁に金属が付着し難い。また、貫通孔の内壁に金属が付着することによって電極間の短絡が発生するためには、かかる間隙を設けた分、より広い面積にわたって金属が付着しなければならないことになる。このような付着が起こるためには長時間を要するので、その結果として、電子銃の長寿命化を図ることができる。
【0021】
また、本発明に係る電子銃は、前記複数の給電部材は、すべて同一の材質からなっていることを特徴とする。このようにすることによって、給電部材をステムピンに溶接するための溶接条件を揃えることができるので、溶接設備を簡略化するとともに溶接作業を効率化することができる。
また、これら給電部材を絶縁基板に溶接するための溶接条件についても、同様に、同一条件とすることができるので、設備の簡略化と作業の効率化を図って、電子銃の製造コストを低減することができる。
【0022】
また、本発明に係る電子銃は、前記材質は、ステンレス系合金、ニッケル系合金、またはコバール系合金のいずれかであることを特徴とする。電子銃の性能や製造コスト、材料コスト等を考慮すれば、給電部材にこれらの金属材料を用いるのが好適である。
また、本発明に係る電子銃は、前記給電部材は、前記絶縁基板上に形成された回路パターンであることを特徴とする。このようにすることによって、熱陰極やヒータに電力を供給するための回路を小型して、電子銃の全長を短縮することができる。
【0023】
また、本発明に係る電子銃は、前記絶縁基板が前記給電部材を迎える凹部を有しており、前記給電部材は当該凹部に嵌め込まれていることを特徴とする。かかる構成に代表されるように、必要な凹凸を絶縁基板に設けることによって、いわゆるガイドピン規制やガイド溝規制を行い、制御電極を組み込む際の位置決めをおこなうことができる。また、絶縁基板の主面や側面に凹凸を設ければ、制御電極に設けられている電子ビーム通過孔の偏心を規制したり、熱陰極と制御電極との間の距離を調整したりすることができる。
【0024】
また、本発明に係る電子銃は、互いに同じ方向に向いた貫通孔をそれぞれ備え、インライン方向に配列されている、3つの絶縁基板と、互いに同じ向きに電子ビームを射出し、それぞれ前記貫通孔に挿設され、熱陰極とヒータとを備える、3つの陰極構体と、前記絶縁基板毎に設けられ、前記絶縁基板上の、前記陰極構体が電子ビームを射出する方向とは反対側に、配設される薄板状の給電部材と、前記絶縁基板毎に設けられ、前記ヒータを前記給電部材に電気的に接続し、かつ、前記陰極構体を支持する第1の導電性支持部材と、前記絶縁基板毎に設けられ、前記熱陰極を前記給電部材に電気的に接続し、かつ、前記陰極構体を支持する第2の導電性支持部材と、前記各絶縁基板の、前記陰極構体が電子ビームを射出する側に、配設されており、前記各陰極構体が射出する電子ビームが通過する位置ごとに、電子ビーム通過孔を有する制御電極と、を備えることを特徴とする。
【0025】
このようにすれば、上記と同様にして、カラー受像管装置に用いられる電子銃の全長を短縮することができる。この場合において、制御電極が3つの陰極ユニットの間で共通して用いられるので、制御電極によって陰極ユニットの位置規制をおこなうとともに、電子銃の部品点数を削減することができる。なお、この場合において、前記各絶縁基板の、前記陰極構体が電子ビームを射出する側に配設されており、前記制御電極を支持する制御電極支持部材を備えることとしてもよい。
【0026】
また、本発明に係る陰極線管装置は、貫通孔を有する絶縁基板と、熱陰極とヒータとを有する陰極構体と、前記絶縁基板上の、前記陰極構体が電子ビームを射出する方向とは反対側に、配設される複数の給電部材と、前記ヒータを前記給電部材に電気的に接続し、かつ、前記陰極構体を支持する第1の導電性支持部材と、前記熱陰極を前記給電部材に電気的に接続し、かつ、前記陰極構体を支持する第2の導電性支持部材と、を備える電子銃を備えていることを特徴とする。このようにすれば、上述のように全長を短縮された電子銃を適用して、薄型の陰極線管装置を提供することができる。
【0027】
また、カラー陰極線管装置にあっては、互いに同じ方向に向いた貫通孔をそれぞれ備え、インライン方向に配列されている、3つの絶縁基板と、互いに同じ向きに電子ビームを射出し、それぞれ熱陰極とヒータとを備える、3つの陰極構体と、前記絶縁基板毎に設けられ、前記絶縁基板上の、前記陰極構体が電子ビームを射出する方向とは反対側に、配設される給電部材と、前記絶縁基板毎に設けられ、前記ヒータを前記給電部材に電気的に接続し、かつ、前記陰極構体を支持する第1の導電性支持部材と、前記絶縁基板毎に設けられ、前記熱陰極を前記給電部材に電気的に接続し、かつ、前記陰極構体を支持する第2の導電性支持部材と、前記各絶縁基板の、前記陰極構体が電子ビームを射出する側に、配設されており、前記各陰極構体が射出する電子ビームが通過する位置ごとに、電子ビーム通過孔を有する制御電極とを備える電子銃を備えていることとしても良い。このようにすれば、上述のような電子銃を適用して、薄型のカラー陰極線管装置を提供することができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る電子銃及び陰極線管装置の実施の形態について、図面を参照しながら、説明する。
[1] 第1の実施の形態
[1−1] 陰極線管装置の構造
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る陰極線管装置の側面図であって、その一部が切り欠かれて断面が示されている。図1に示すように、本実施の形態に係る陰極線管装置は、ファンネル2とパネル3とからなる外囲器を有している。ファンネル2のネック部2aの内部には、電子銃1が収納されている。また、パネル3の内面には、青、緑、及び赤の蛍光体が塗布されており、蛍光体スクリーン4が形成されている。
【0029】
電子銃1は、入力信号を受け付けると、上記各色の蛍光体に対応する電子ビーム5を出射する。当該電子ビーム5は、シャドウマスク6に形成された開孔を通過して、蛍光体スクリーン4に到達する。蛍光体スクリーン4は、電子ビーム5が入射すると、蛍光を発して画像を表示する。
電子銃1は、熱陰極、制御電極、加速電極、およびその他のグリッド電極を備えている。以下において説明するように、前記熱陰極と制御電極とは一体化されている。また、熱陰極を含む陰極構体は、絶縁基板と一体化されて、陰極ユニットを構成している。
【0030】
[1−2] 陰極ユニット等の構造
図2は、一体化された前記陰極ユニットと制御電極の構造を示す図であって、図2(a)は、当該部材を蛍光体スクリーン4側から見た図である。また、図2(b)は、当該部材を図2(a)におけるX−X線で切ったときの断面図である。図2(c)は、当該部材を図2(a)の矢印A方向から見た図である。そして、図2(d)は、当該部材をステム側から見た図である。
【0031】
図2(a)、(b)に示すように、当該部材は平板矩形状の絶縁基板10を備えている。絶縁基板10の主面中央にはほぼ矩形の貫通孔10aが形成されている。貫通孔10aの内部には陰極構体11が挿設されている。この場合において、陰極構体11は、絶縁基板10に接触しないように支持されている。
本実施の形態において、絶縁基板10の大きさは、縦5mm、横5mm、厚さ1mmである。なお、絶縁基板10の厚さは、機械的強度を保つことができる範囲で極力薄くすることが好ましく、そうすることによって管軸方向への長さをより短縮することができる。また、貫通孔10aの形状は矩形状に限らず円形状であっても良い。
【0032】
図3は、陰極構体11の構造を示す図であって、図3(a)は陰極構体11の側面図である。図3(a)に示すように、陰極構体11は円盤状の熱陰極部11aと円柱状のヒータ部11bを備えている。熱陰極部11aは含浸型陰極である。ここで、熱陰極部11aの厚さは0.5mmであり、ヒータ部11bの管軸方向の長さは2mmである。
【0033】
図3(b)は、ヒータ部11bを図3(a)の線Y−Yで切った断面図である。図3(b)に示すように、ヒータ部11bは、円筒状の絶縁ブロック11b2を備えている。絶縁ブロック11b2の内部には、アルミナ粉末が充填されて、焼結固化される。この際、ヒータコイル11b1が、アルミナ粉末に埋め込まれて、固定される。従って、ヒータコイル11b1が通電されると、熱陰極11aが加熱されるので、電子が放出される。
【0034】
本実施の形態においては、ヒータコイル11b1として、通常のブラウン管に使用される0.65W型(電圧6.3V、電流100mA)のヒータコイルであって、タングステンにレニウムを少量含有したヒータコイルを用いている。
また、ヒータコイル11b1は、前記断面内においてS字状に屈曲配置されている。こうすることによって、更に、陰極ユニットの全長を短縮することができる。なお、ヒータコール11b1は、十分な発熱量を確保することができるのであれば、前記断面内においてどのような配置をとっても良く、また、材質も問わない。
【0035】
さて、図2(b)に示すように、絶縁基板10の蛍光体スクリーン4側の主面(以下、「第1の主面」という)10Uには、前記貫通孔10aを挟んで互いに対向するようにスペーサ12a、12bが配設されている。スペーサ12a、12bは、絶縁体からなり、本実施の形態においては直方体形状となっている。
絶縁基板10とスペーサ12a、12bとを挟み込むようにして、断面コの字状の制御電極13が配設されている。制御電極13は、コバール系合金(FeNiCo)製である。制御電極13の前記貫通孔10aと対向する箇所には電子ビーム通過孔13aが設けられている。制御電極13の絶縁基板10の主面に平行な部分は、幅1.0mm、長さ5.2mm、厚さ0.1mmである。また、電子ビーム通過孔13aの口径は、0.5mmである。
【0036】
このような構造を採用することによって、制御電極13には機械的強度が通常の制御電極ほどには要求されないので、制御電極を機械的に補強するためのリブ等の部材を省くことができる。同じ理由により、制御電極の構造を決定するに当たって、制御電極の厚さに基づく機械的な強度や、制御電極と陰極構体の距離を考慮する必要がなくなるので、制御電極13の構造を簡略化できる。
【0037】
次に、図2(b)、(c)、(d)に示すように、絶縁基板10のステム側の主面(以下、「第2の主面」という)10Dには、薄板状の陰極電圧供給部材14a、14bが、貫通孔10aを挟んで互いに対向するように配設されている。陰極電圧供給部材14a、14bはニッケル系合金(FeNi)製の導電性部材であって、熱陰極11aに陰極電圧を印加するために用いられる。本実施の形態においては、陰極電圧供給部材14a、14bは、それぞれ平面視長方形状となっており、その長手方向側で貫通孔10aを挟むように、また、制御電極13と長手方向を同じくするように配置されている。
【0038】
図2(d)に示すように、陰極電圧供給部材14a、14bは、それぞれ2本の陰極支持部材15を介して、陰極構体11に電気的に接続されている。4本の陰極支持部材15は、陰極構体11の中心軸を回転軸として90度間隔で配置されている。陰極支持部材15は、陰極電圧供給部材14a、14bに印加された電圧を陰極構体11に印加するとともに、絶縁基板10に接触しないように陰極構体11を支持する。
【0039】
陰極支持部材15は、一般に含浸型陰極の材料として用いられるタングステンにレニウムを少量含有した材料からなっており、長さ1mm、直径0.05mmである。タングステンは高融点金属であるので、陰極支持部材15の温度が陰極の動作温度にまで上昇しても溶融等の不具合を回避することができる。また、タングステンを用いれば、陰極支持部材15を棒状とした場合であっても、陰極構体11を支持するに足る機械的な強度を確保することができる。
【0040】
第2の主面10Dには、さらに、薄板状のヒータ電圧供給部材16a、16bが、貫通孔10aを挟んで互いに対向するように配設されている。ヒータ電圧供給部材16a、16bはステンレス製の導電性部材であって、ヒータコイル11b1に通電するために用いられる。
本実施の形態においては、ヒータ電圧供給部材16a、16bは、それぞれ平面視長方形状となっており、その長手方向の延長上に貫通孔10aが位置するように配置されている。また、ヒータ電圧供給部材16a、16bは、それぞれ制御電極13と長手方向を同じくしている。
【0041】
ヒータ電圧供給部材16a、16bは、ヒータ支持部材17a、17bを介して、ヒータ部11bに電気的に接続されている。ヒータ支持部材17a、17bは、棒状の導電性部材であって、ヒータコイル11b1に通電するために用いられるとともに、陰極構体11を支持する。尚、ヒータ部11bの熱損失及び機械的強度を考慮すると、ヒータコイル11b1の外部への露出はできるだけ少ない方がよい。
【0042】
[1−3] 効果
以上説明したように、本実施の形態に係る電子銃においては、絶縁基板10と陰極構体11とが、マルチフォームロッドを介することなく、一体として形成されているので、陰極構体11のステム側端から制御電極13の蛍光体スクリーン4側端までの長さを3mm以下とすることができる。従って、加速電極を含めた3極部全体の管軸方向の長さを5mm以下とすることができる。前述のように、従来の3極部の全長12〜20mmであることを考慮すれば、従来よりも全長が半分以下と、大幅に短縮することができる。
【0043】
この他、上述のように、制御電極13の形状を断面コの字状とすれば、制御電極13をスペーサ12a、12bに確実に固定することができる。従って、制御電極13を絶縁基板10に確実に一体化することができるので、全体として堅牢な構造を実現することができる。
[1−3−1] 従来技術との比較
本発明は、前記公報との比較において述べると、以下の点に着目したものとなっている。
【0044】
前記従来公報に係る電子銃においては、図10に示すように、ヒータ102に電圧を供給し、かつ、ヒータ102を支持するために、ヒータ支持金具110が配設されている。
また、当該電子銃の3極部のヒータ支持金具110側には電極押さえ部品109が配設されている。この電極押さえ部品109は、加速電極108と接触しており、加速電極108と同電位となっている。加速電極108に電子ビームを制御するための電圧が印加されることを考慮すると、ヒータ支持金具110と電極押さえ部品109との間で短絡が発生するおそれがある。この短絡を防止するためには、ヒータ支持金具110と電極押さえ部品109とを管軸方向に離間して配置せざるを得ない。
【0045】
更に、電子銃マウント工程において、ヒータ支持金具110をマルチフォームロッド111に組み付ける際の作業性を確保するために、ヒータ支持金具110の管軸方向の長さを5mm程度とする必要がある。
このような事情により、従来公報に係る電子銃においては、ヒータ支持金具110から加速電極108までの管軸方向の全長が12〜20mm程度にもなっている。
【0046】
また、熱陰極101に電圧を印加することを考慮すると、スリーブ103やブッシュ104の近傍に導電線(不図示)を配設しなければならない。この場合において、当該導電線と電極押さえ部品109との間、或いは、当該導電線とヒータ支持金具110との間で短絡が発生しないように、これらの部材を離間させておかなければならない。このような理由によっても、電子銃の全長が長くなっている。
【0047】
以上のように、従来公報に開示の電子銃の3極部は、各電極間距離を精度よく維持できるという意味では有効であるが、陰極線管の全長を短縮するという点では改善の余地がある。このことは従来公報に開示の電子銃に限らず、従来の電子銃一般について言えることであり、本発明はかかる点に注目して、電子銃の短縮を実現するものである。
【0048】
また、前記公報に係るカソードサポート105(絶縁基板10に相当する)は、その外周がすべて導電性部材である加速電極108で覆われている。この絶縁基板の外周がすべて導電性部材で覆われているという構成は、前記公報に限らず、従来技術全般に見られる。これは絶縁基板としてガラス基板を用いることに起因している。すなわち、ガラス基板には、導電性部材を溶接、接着することができないために、電極を取り付けるに際して、その全周を導電性部材で覆わざるを得ない。
【0049】
一方、本実施の形態にかかる絶縁基板10は、その外周面が導電性部材で覆われていない。この結果、かかる導電性部材と陰極との間に静電容量が発生することがない。従って、従来技術との比較において、より応答性の高い電子銃を実現することができる。
なお、絶縁基板の外周面に導電性部材により覆われている部分があっても、その面積が小さいほど望ましく、そうすることによって、静電容量を小さくすることができる。すなわち、絶縁基板の外周面において、導電性部材に覆われていない部分を設けることによって、かかる静電容量を低減し、電子銃の応答性を改善することができる。
【0050】
[1−3−2] その他の有利な効果
また、本実施の形態に係る電子銃の陰極ユニットは、以下に説明するような有利な特徴を有している。まず、陰極電圧供給部材14a、14bとヒータ電圧供給部材16a、16bとを前記第2の主面10D上に設けることによって、次の2つの利点が得られる。
【0051】
1つ目の利点は、絶縁基板10を、配線基板としても利用できる点である。すなわち、絶縁基板10を配線基板として、その第2の主面10D上に陰極電圧供給部材14a、14bとヒータ電圧供給部材16a、16bを配設したことにより、電圧供給用の配線がステム側に突出するのを回避して管軸方向の長さを短縮することができる。
【0052】
2つ目の利点は、電子銃動作中において、陰極構体11からの蒸発物が第1の主面10U側に付着しても、陰極電圧供給部材14a、14bとヒータ電圧供給部材16a、16bとの電気的な絶縁状態を維持することができる点である。すなわち、陰極電圧供給部材14a、14bとヒータ電圧供給部材16a、16bとが、いずれも第2の主面10D側に配置されているので、これらの部材に陰極構体11からの蒸発物が付着して、絶縁状態が損なわれるのを回避することができる。
【0053】
また、陰極構体11を貫通孔10a内に配置し、かつ、陰極構体11と絶縁基板10とを離間して配置した構造とすることによって、次の3つの利点が得られる。
1つ目の利点は、陰極支持部材15を介して、陰極構体11を絶縁基板10に固定する際に、制御電極13と陰極構体11との間の位置関係を調節することができる点である。この調節により電子銃の特性をさらに向上させることができる。この調節は、例えば、制御電極13と陰極構体11との間の静電容量を測定することによって、これらの間の距離を測定しながら行なえば良い。また、このような調節を可能とするためには、貫通孔10aは、陰極構体11がその内部を管軸方向に平行移動できるような形状並びに大きさであることが望ましい。
【0054】
2つ目の利点は、貫通孔10a内に陰極構体11を配置することにより、電子銃の全長を短縮できるということである。このようにすれば、絶縁基板10の厚さが陰極構体11の厚さよりも小さい場合は、絶縁基板10の厚さは電子銃の全長に寄与せず、逆に、絶縁基板10の厚さが陰極構体11の厚さよりも厚い場合も、陰極構体11の厚さは電子銃の全長に寄与しないこととなるので、その厚さの分だけ電子銃の全長を短縮することができる。
【0055】
3つ目の利点は、陰極構体11を絶縁基板10に接触させないので、ヒータ部11bから発生した熱が絶縁基板10に伝導して、放熱されてしまうのを防ぐことができる点である。これにより、より少ない電量で効率よく熱陰極を加熱して、電子ビームを出射させることができる。
また、金属製の陰極構体11の外周面が貫通孔10aの内周面に対向しているところ、絶縁基板10が非金属の絶縁材からなっているので、陰極構体11と貫通孔10aとの間の静電容量を小さくすることができる。
【0056】
また、上記説明したように、絶縁基板10の外形を平面視正方形、或いは、90度回転対称形状とし、かつ、表裏同一形状とすれば、電子銃1を製造する際に必要な位置決めを容易にすることができる。従って、パーツフィーダにより振動を加えて整列、位置決めする等の工程が不要となるので、生産効率を向上させることができる。また、陰極電圧供給部材14a、14bやヒータ電圧供給部材16a、16bを絶縁基板10に接着するための接着面積を確保することができる。
【0057】
[2] 第2の実施の形態
次に、本発明の第2の実施の形態に係る陰極線管装置について、図面を参照しながら説明する。本実施の形態に係る陰極線管装置は、上記第1の実施の形態に係る陰極線管装置と概ね同様の構造を備えており、陰極、制御電極及び加速電極を一体化して構成した3極部の構造に特長を有している。以下、第1の実施の形態において対応する部材がある部材については、理解が容易となるように、同じ符号を割り当てて説明する。
【0058】
図4は、本実施の形態に係る陰極線管装置の電子銃について、特に3極部に注目して、その構造を示す図である。図4(a)は、本3極部を蛍光体スクリーン4側から見た図である。図4(b)は、図4(a)に示す線X−Xにおける当該3極部の断面図である。また、図4(c)は、図4(a)に示す矢印A方向から当該3極部を見た図である。
【0059】
図4(b)と図2(b)とを比較すると分かるように、本実施の形態に係る3極部は、制御電極13と同様に断面コの字状構造を有する加速電極20を備えていることを特徴とする。加速電極20は、平面視長方形の平板な部材であって、第1の主面10Uとほぼ平行に配設された部材を備えており、当該平板な部材の長手方向が制御電極13の対応する部材の長手方向とほぼ直交するように配設されている。
【0060】
図4(a)、(b)、(c)に示すように、第1の主面10U上には、2つのスペーサ21a、21bが貫通孔10aを挟んで設けられている。スペーサ21a、21bは、いずれも直方体の絶縁性部材である。前記加速電極20は、絶縁基板10とスペーサ21a、21bとを挟み込むようにして取り着けられている。なお、加速電極20は、制御電極13と同様に、コバール系合金(FeNiCo)製である。
【0061】
加速電極20には、制御電極13と同様に電子ビームが通過する口径0.5mmの電子ビーム通過孔20aが形成されている。また、加速電極20の寸法を、蛍光体スクリーン4側から見える矩形部分について述べると、幅1.0mm、長さ5mm、厚さ0.1mmである。
[2−1] 効果
このように、本実施の形態に係る3極部は、制御電極13や加速電極20を絶縁基板10に取り付ける際に、電極間の距離を調整することができるので、精度良く3極部を組み立てることができる。従って、3極部の歩留まりを向上させることができ、延いては高品質の電子銃を歩留まり良く製造することが可能となる。
【0062】
さらに、加速電極20についても、制御電極13と同様に、スペーサ21a、21bによって支持された構造をとっているので、加速電極20自体には機械的強度が要求されず、リブ等の補強材料も不必要となる。従って、加速電極の構造を簡便なものとすることができる。
[3] 第3の実施の形態
次に、本発明の第3の実施の形態に係る陰極線管装置について、図面を参照しながら説明する。本実施の形態に係る陰極線管装置は、上記第1の実施の形態に係る陰極線管装置と概ね同様の構造を備えており、陰極と制御電極とを一体化して構成した陰極ユニットの構造に特長を有している。以下、第1の実施の形態において対応する部材がある部材については、理解が容易となるように、同じ符号を割り当てて説明する。
【0063】
図5は、本実施の形態に係る陰極線管装置の電子銃について、特に陰極ユニットに注目して、その構造を示す図である。図5(a)は、本陰極ユニットを蛍光体スクリーン4側から見た図であり、図5(b)は、図5(a)に示す矢印A方向から当該陰極ユニットを見た図である。
図5に示すように、本実施の形態に係る陰極ユニットは、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の3原色に対応する3つの陰極ユニットが、制御電極30を介して結合された構造を有している。
【0064】
図5(a)、(b)に示すように、本陰極ユニットは、3つの絶縁基板10R、10G、10Bを備えている。以下、これら3つの絶縁基板の主面であって、蛍光体スクリーン4側の主面を、いずれも第1の主面10Uと呼ぶ。各第1の主面10U上には、それぞれスペーサ12a、12bが配設されている。各スペーサは12a、12bは、いずれも直方体形状をしており、その長手方向がインライン方向(主走査方向)となるように配置されている。
【0065】
従って、各絶縁基板上で同側(N側またはS側)に配置されている、各3つのスペーサはそれぞれインライン方向に並んでいる。また、制御電極30は、コバール系合金(FeNiCo)製の平板状の電極であって、これもその長手方向がインライン方向となるように配置されている。制御電極30の各陰極構体11と対向する位置には、電子ビームが通過できるように、口径0.5mmの電子ビーム通過孔30R、30G、30Bが形成されている。
【0066】
また、制御電極30は長手方向中央部分の両端に突出部分(以下、「埋め込み支持部」という。)31a、31bを備えている。この埋め込み支持部31a、31bは、陰極ユニットをマルチフォームロッドに固定するために用いられる。図5(a)、(b)に示すように、絶縁基板10Gの第1の主面10U上には、支持部材32a、32bが設けられており、制御電極30が撓むのを防止している。
【0067】
[3−1] 効果
以上述べたように、本実施の形態に係る陰極ユニットは、制御電極30を介して絶縁基板10R、10G、10Bを結合した構造を備えているので、カラー受像管装置に用いられる電子銃の管軸方向の全長を短縮することができる。従って、カラー受像管装置そのものの管軸方向の全長(奥行き)を短縮することができる。
【0068】
この他、本実施の形態によれば、制御電極30に埋め込み支持部31a、31bを設けることによって、マルチフォームロッドに陰極ユニットを固定するための部材を別個に設ける必要がないので、従来の電子銃に比べて、電子銃を構成する部品点数を削減することができる。従って、電子銃の組み立て工程の作業時間を削減することができる。また、作業工程を減少させることができるので、電子銃の歩留まりを向上させることができる。
【0069】
[4] 第4の実施の形態
次に、本発明の第4の実施の形態に係る陰極線管装置について、図面を参照しながら説明する。本実施の形態に係る陰極線管装置は、上記実施の形態に係る陰極線管装置と概ね同様の構造を備えており、第1の実施の形態に係る陰極ユニットを加速電極にて一体化させた3極部に特長を有している。以下、第1の実施の形態において対応する部材がある部材については、理解が容易となるように、同じ符号を割り当てて説明する。
【0070】
図6は、本実施の形態に係る陰極線管装置の電子銃について、特に3極部に注目して、その構造を示す図である。図6(a)は、本3極部を蛍光体スクリーン4側から見た図であり、図6(b)は、図6(a)に示す矢印A方向から当該3極部を見た図である。
図6(a)に示すように、本実施の形態に係る3極部は、前記第1の実施の形態に係る電子銃の陰極ユニット及び制御電極の構造体を、3つ、いずれの制御電極もその長手方向が副走査方向と一致するようにして、主走査方向(インライン方向)に並べたものとなっている。そして、これらの構造体は、1の加速電極40を介して、互いに結合され、一体化されている。なお、加速電極40は、各絶縁基板10R、10G、10Bの第1の主面10U側に配設されている。
【0071】
各絶縁基板10R、10G、10Bの第1の主面10U上には、それぞれ電子ビーム通過孔10aを挟んで、副走査方向について対向するようにスペーサ41a、41bが配設されている。絶縁基板10R、10G、10Bには、当該スペーサ41a、41bを介して、平板な加速電極40が取り付けられている。
加速電極40は、コバール系合金(FeNiCo)製であって、各電子ビーム通過孔10aと対向する位置に、電子ビーム通過孔40R、40G、40Bが設けられている。
【0072】
電子ビーム通過孔40R、40G、40Bの口径はいずれも0.5mmである。また、加速電極40は、その長手方向中央部に突出部分(以下、「埋め込み支持部」という。)42a、42bを備えている。
[4−1] 効果
本実施の形態に係る電子銃は、上に説明したように、加速電極40を介して、3つの陰極構体、3つの制御電極が一体として形成された3極部を備えているので、3極部全体について管軸方向の全長を短縮することができる。従って、カラー受像管装置の管軸方向の全長(奥行き)を短縮することができる。
【0073】
また、各電極間の距離を調節しながら3極部を組み立てることができるので、電極間距離が不適切であるといった不良品の発生を抑えて、高い歩留まりで高品質の電子銃を得ることができる。
この他、本実施の形態によれば、加速電極40に埋め込み支持部41a、41bを設けることによって、マルチフォームロッドに陰極ユニットを固定するための部材を別個に設ける必要がないので、従来の電子銃に比べて、電子銃を構成する部品点数を削減することができる。従って、電子銃の組み立て工程の作業時間を削減することができる。また、作業工程を減少させることができるので、電子銃の歩留まりを向上させることができる。
【0074】
また、上記説明したように、絶縁基板10の外形を平面視正方形とすれば、電子銃のインライン方向についての大きさを縮減して、よりコンパクトな電子銃を実現することができる。
[5] 第5の実施の形態
次に、本発明の第5の実施の形態に係る陰極線管装置について、図面を参照しながら説明する。本実施の形態に係る陰極線管装置は、上記第1の実施の形態に係る陰極線管装置と概ね同様の構造を備えており、陰極ユニットの構造等に特長を有している。以下、第1の実施の形態において対応する部材がある部材については、理解が容易となるように、同じ符号を割り当てて説明する。
【0075】
図7は、本実施の形態に係る陰極線管装置が備える陰極ユニットの構造を示す図である。図7(a)は、本陰極ユニットを蛍光体スクリーン4側から見た図であり、図7(b)は、図7(a)に示す矢印A方向から当該陰極ユニットを見た図である。また、図7(c)は、当該陰極ユニットをステム側から見た図となっている。
【0076】
図7(a)、(b)に示すように、当該部材は平面視正方形状の絶縁基板10を備えている。絶縁基板10の主面中央には貫通孔10aが形成されており、貫通孔10aの蛍光体スクリーン4側には陰極構体11が配設されている。本実施の形態においては、貫通孔10aが、正方形の各辺の中央部分を正方形の内側に突出させたような形状となっている。
【0077】
陰極構体11は、第1の実施の形態におけるのと同様に、円盤状の熱陰極部11aと円柱状のヒータ部11bとを備えている。また、ヒータ部11bの内部には、ヒータコイルがアルミナ粉末とともに焼結固化されている。当該ヒータコイルとしては、例えば、前述の0.65W型を用いれば良い。
また、絶縁基板10の第1の主面10U上には、前記貫通孔10aを挟んで互いに対向するように、金属製でL字型の制御電極支持板12a、12bが貼着されている。当該制御電極支持板12a、12bには、カップ形状の制御電極が、制御電極支持板12a、12b、並びに絶縁基板10に覆い被さるようにして配設される(不図示)。
【0078】
この場合において、制御電極支持板12a、12bは、いずれも絶縁基板10から離れた位置において屈曲されているので、絶縁基板10と制御電極の間には一定の間隔が設けられる。このように間隔を設けることによって、陰極構体11と制御電極との間の静電容量を低減することができる。
さて、図7(b)、(c)に示すように、絶縁基板10の第2の主面10D上には、薄板状の陰極電圧供給部材14a〜14dが、貫通孔10aを挟んで互いに対向するように配設されている。陰極電圧供給部材14a〜14dはニッケル系合金(FeNi)製の導電性部材であって、それぞれ接続される陰極支持部材15と長手方向を同じくするように、細長に形成されている。
【0079】
このように陰極電圧供給部材14a〜14dを形成すれば、陰極電圧供給部材14a〜14dのそれぞれについて、陰極支持部材15を固定するため用いることができる面積をより大きくすることができる。従って、陰極支持部材15を陰極電圧供給部材14a〜14dにより確実に固定することができるとともに、この固定のための作業(溶接など)をより容易なものとすることができ、生産効率を向上させることができる。
【0080】
さらに、上記のように陰極電圧供給部材14a〜14dを形成することによって、上記第1の実施の形態におけるよりも、陰極電圧供給部材14a〜14dの面積を減少させることができる。従って、陰極電圧供給部材14a〜14dと他の電極との間に発生する静電容量を低減することができるので、電子銃の応答性を高めることができる。
【0081】
例えば、前記従来公報に記載の電子銃においては当該静電容量が4pFであり、上記第1の実施の形態によれば2.6pFであったところ、本実施の形態によれば、これを1.8pFと更に小さな値とすることができる。
また、上記のように、貫通孔10aの開口を平面視した正方形の各辺の中央部分を、正方形の内側に突出させたような形状とすることによって、熱陰極部11aから発生するバリウム(Ba)等の金属蒸気が拡散して、陰極支持部材15や絶縁基板10の第2の主面10Dに付着するのを妨げることができる。従って、電極間で短絡が発生するのを防止することができる。
【0082】
また、図7(b)に示すように、前記の突出させた部分を第2の主面10Dに対して段差を有するようにして形成することにより、Ba等の蒸着物が第2の主面10Dに付着するのを一層妨げることができる。さらに、当該突出させた部分を第1の主面10U及び第2の主面10Dのいずれに対しても段差を有するようにして形成することにより、Ba等の蒸着物が貫通孔10aの内周面に付着して第1の主面10U上の制御電極支持板12a、12bと第2の主面10Dの電極が短絡することを防止することができる。
【0083】
また、図7から明らかなように、本実施の形態においては、制御電極支持板12a、12bが、陰極電圧供給部材14a〜14dやヒータ電圧供給部材16a、16bと、絶縁基板10を挟んで互いに反対側に配置されている。このようにすれば、これら電圧供給部材14a〜14d、16a、16bと制御電極支持板12a、12bとが絶縁基板10の同側に配設される場合との比較において、これら部材間の距離を大きくすることができる。従って、これら部材間に発生する静電容量を低減することができる。
【0084】
更に、本実施の形態においては、電圧供給部材14a〜14d、16a、16bと制御電極支持板12a、12bとが管軸方向に重なり合う面積が少なくなるように、これらの部材が配置されている。特に、陰極電圧供給部材14a〜14dと制御電極支持板12a、12bとについては、管軸方向の重なりがまったくなくなるように配設されている。このような構成によっても、これら部材間に発生する静電容量を低減して、電子銃の応答性能を向上させることができる。
【0085】
次に、図8は、本実施の形態に係る陰極ユニットの断面を示す図であって、図7(c)に示すX−X線における断面を示す図が図8(a)、Y−Y線における断面を示す図が図8(b)である。
図8(a)、(b)に示すように、第1の主面10Uと第2の主面10Dとのいずれにおいても、貫通孔10aの周辺に段部が形成されている。このように段部を設けることによって、ヒータ電圧供給部材16a、16bの陰極構体11に最も近い部分と、絶縁基板10との間に間隙が設けられている。また、陰極電圧供給部材14a〜14dと絶縁基板10との間、更に、制御電極12a、12bと絶縁基板10との間についても、貫通孔10aの周辺において間隙が設けられている。
【0086】
このような間隙を設ければ、ヒータ電圧供給部材16a、16bや陰極電圧供給部材14a〜14dと制御電極支持板12a、12bとが短絡するといった不具合を回避することができる。詳述すると、貫通孔10aの内面には熱陰極部11aからの金属蒸気が付着し易いので、金属箔が形成され易い。このような金属箔が形成されると、ヒータ電圧供給部材16a、16bや陰極電圧供給部材14a〜14dと制御電極支持板12a、12bとが短絡する不具合が発生し易くなる。
【0087】
一方、上述のように間隙を設ければ、このような間隙の内部には前記金属蒸気が入り込み難いので、金属箔が形成され難い。従って、前述のような間隙を設けることによって前記短絡が発生する確率を著しく低減することができる。また、前述のような短絡を発生させるためには、金属箔がより線路長の長い回路となる必要があるので、前記短絡が発生するのに要する時間を延長して、電子銃の寿命を伸ばすことができる。
【0088】
なお、前記間隙を設けるに当たっては、前記段部を形成するのに代えて、ヒータ電圧供給部材16a、16bや陰極電圧供給部材14a〜14d、或いは、制御電極支持板12a、12bの貫通孔10aに近い部分を屈曲させるとしても良い。このようにしても、上記と同様の効果を得ることができる。
また、上記と同様の理由により、貫通孔10aの内側面に導電性部材を配設していないので、絶縁特性を向上させることができ、静電容量を低減することができ、更に、電子銃を小型化することができる。
【0089】
また、本実施の形態においては、ヒータ電圧供給部材16a、16b、陰極電圧供給部材14a〜14d、及び、制御電極支持板12a、12bは、いずれも同一の材料からなっている。このように材料の選択をすることによって、これらの部材をステムピンに溶接する際の溶接条件を同一にすることができる。従って、かかる溶接に供する設備を簡略化できるとともに、溶接の煩雑さを省き、電子銃を効率良く組み立てることができる。
【0090】
なお、上記部材を絶縁基板10に溶接する場合についても、同様の効果を得ることができる。また、溶接以外の手法として、例えば、銀ペースト(Ag)等を用いたロウ付けにより上記部材の接合をおこなう場合でも、同様の効果を得ることができる。
ヒータ電圧供給部材16a、16b、陰極電圧供給部材14a〜14d、及び、制御電極支持板12a、12bの材料としては、例えば、ステンレス系合金、ニッケル系合金(FeNi等)、コバール系合金(FeNiCo等)を用いれば良い。特に、FeNi(Ni42、Fe bal.)やコバール(Kovar:Ni29、 Co17、Mn0.5、Si0.2、Fe bal.)は、陰極構体を構成するアルミナセラミックと熱膨張係数が近い。従って、熱陰極の温度に関わらず、アルミナセラミックとの間で応力が生じ難いという意味で有効である。
【0091】
[6] 第6の実施の形態
次に、本発明の第6の実施の形態に係る陰極線管装置について、図面を参照しながら説明する。本実施の形態に係る陰極線管装置は、上記第1の実施の形態に係る陰極ユニットと、上記第5の実施の形態に係る陰極ユニットとの折衷型の陰極ユニットを備えている。以下、第1の実施の形態において対応する部材がある部材については、理解が容易となるように、同じ符号を割り当てて説明する。
【0092】
図9は、本実施の形態に係る陰極線管装置が備える陰極ユニットの構造を示す図である。図9(a)は、本陰極ユニットを蛍光体スクリーン4側から見た図であり、図9(b)は、図7(a)に示す矢印A方向から当該陰極ユニットを見た図である。また、図9(c)は、当該陰極ユニットをステム側から見た図となっている。
【0093】
図9(a)、(b)に示すように、本実施の形態に係る陰極ユニットは、上記第5の実施の形態に係る陰極ユニットと概ね同様の構成を備えている。ただし、スペーサ12a、12bについては上記第1の実施の形態と同様の構成としている。そして、上記第1の実施の形態におけるのと同様に、断面コの字状の制御電極13がスペーサ12a、12b並びに絶縁基板10を挟み込むように配設される(図示省略)。
【0094】
このような構成とすることによって、上記第5の実施の形態に係る陰極ユニットの管軸方向の全長を更に短縮しながら、上記第5の実施の形態にて得られる効果を達成することができる。また、上記第5の実施の形態においては、カップ状の制御電極を用いるとしたのに対して、本実施の形態においては、第1の実施の形態におけるのと同様に断面コの字状の制御電極13を用いることとしている。この結果、陰極構体11と制御電極13との間の静電容量を低減して、より応答性の高い電子銃を実現することができる。
【0095】
[7] 変形例
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明は、上述の実施の形態に限定されないのは勿論であり、以下のような変形例を実施することができる。
[7−1] 熱陰極の材質
上記実施の形態においては、熱陰極部11aとして含浸型の陰極を用いるとしたが、これに代えて、酸化物型陰極を用いるとしても良く、この場合においても上述と同様の効果を得ることができる。
【0096】
[7−2] 導電性部材の材質
陰極電圧供給部材14a、14b、陰極支持部材15、ヒータ電圧供給部材16a、16b、及びヒータ支持部材17a、17bといった導電性部材の材料は、ステンレス、ニッケル系合金(FeNi)、コバール系合金(FeNiCo)、ニッケル(Ni)、ニッケルクロム(NiCr)、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、レニウム(Re)、金(Au)、銀(Ag)又は銅(Cu)等の種々の金属材料から適宜必要に応じて選択すると良い。この場合において、各部材の動作時温度、熱膨張、ガス吸蔵特性、剛性強度、加工性あるいは接着性等が考慮されるべきである。
【0097】
また、絶縁基板10は、上述したセラミックス以外にも絶縁ガラス等を用いれば良く、この場合において、500℃程度の温度に耐える耐熱性と、絶縁性を備えていることが必要である。
[7−3] 制御電極13の形状
上記実施の形態においては、いずれも制御電極13の形状を断面コの字状としたが、これに代えて、全体として平板状としても良い。このように平板状とした場合には、制御電極13をスペーサ12a、12bに接着、固定するとしても良い。
【0098】
また、カップ状の制御電極を用いるとしても良い。この場合において、カップ状の制御電極は、前述の制御電極13と同様にスペーサ12a、12bを介して絶縁基板に固定されるとしても良い。
[7−4] 陰極支持部材の本数
上記実施の形態においては、陰極支持部材15の本数を4本としたが、陰極支持部材の本数はこれに限定されず、陰極構体11を支持することができれば他の本数(1本以上)であるとしても良い。ただし、陰極構体11が振動するのを防止するためには3本以上あると好適である。
【0099】
[7−5] 電圧供給部材の形状
上記実施の形態においては、陰極電圧供給部材14a、14bやヒータ電圧供給部材16a、16bの形状は平面視長方形状であるとしたが、これらの部材の形状は平面視長方形状に限定されず、陰極支持部材やヒータ支持部材と電気的に接続されるのであれば、かかる形状以外の形状をとるとしても良い。
【0100】
平面視長方形状以外の形状として、例えば、屈曲、或いは、湾曲した線状の形状をとるとしても良い。
また、上記実施の形態においては、絶縁基板10に電圧供給部材を貼着するとしたが、これに代えて、絶縁基板10上に電圧供給部材を迎える凹部を形成し、当該凹部に電圧供給部材を嵌め込むとしても良い。この場合、電圧供給部材は、前記陰極支持部材15やヒータ支持部材17a、17bと電気的に接続できるようになっている必要がある。
【0101】
例えば、電圧供給部材の一部が露出しているとしても良いし、陰極支持部材15等を挿し込んで電圧供給部材と接合できるように支持部材挿入孔を設けるとしても良い。更に、絶縁基板10上に、エッチング等の方法によって回路パターンを形成し、これを電圧供給部材としても、上記実施の形態におけるのと同容に、本発明の効果を得ることができる。
【0102】
[7−6] 制御電極の固定方法
上記実施の形態においては、制御電極13をスペーサ12a、12bを介して絶縁基板10等に固定するとしたが、これに代えて次のようにするとしても良い。すなわち、絶縁基板10の第1の主面10Uにスペーサ12a、12bに相当する凸部を形成し、当該凸部に制御電極13を固定するとしてもよい。このようにすれば、電子銃の部品点数を減少させることができるので、電子銃の組み立てに要する手間を省き、組み立てコストを低減することができる。
【0103】
[7−7] 制御電極の湾曲防止方法
上記第3の実施の形態においては、絶縁基板10Gの第1の主面10U上に、支持部材32a、32bが設けて、制御電極30が撓むのを防止するとしたが、この他、次のようにしても制御電極30の撓みを防止することができる。すなわち、絶縁基板10Gと同様に、更に絶縁基板10R、10Bの第1の主面10U上にも支持部材32a、32bを設ければ、より効果的に制御電極30の撓みを防止することができる。また、制御電極30の厚みをより大きくしたり、剛性の高い材料を制御電極30に用いたりしても、同効果を高めることができる。
【0104】
[7−8] カラー電子銃における絶縁基板の構成
上記第3の実施の形態、並びに第4の実施の形態においては、いずれも原色毎に絶縁基板を配設するとしたが、これに代えて次のようにするとしても良い。すなわち、3つの絶縁基板に代えて、電子銃全体で1つの絶縁基板を用いることとしも良い。そして、当該絶縁基板に3つの貫通孔を形成して、それぞれの貫通孔に陰極構体を配置した構成とすれば、制御電極30の撓みを防止することができる。また、各原色に対応する陰極構体間の位置関係のバラツキを抑えて、精度よく電子銃を製造することができる。
【0105】
[7−9] 位置決め手法
従来、絶縁基板の材料としては、ガラス素材を用いるのが一般的であり、ガラス製の絶縁基板では精密な凹凸をその表面に設けることが困難である。一方、上記実施の形態においては、上述のように、本実施の形態に係る電子銃は絶縁基板10の材料としてセラミックを採用している。
【0106】
このため、絶縁基板10の表面に凸部や凹部、或いは、貫通孔を設けて他の部材を取り付ける際のガイドとすることが簡単にできる。例えば、制御電極の位置決めのためのガイドを設ければ、当該制御電極の電子ビーム通過孔の偏心を所定範囲に規制したり、陰極と制御電極との間の距離を所定範囲に規制したりすることができる。
【0107】
[7−10] 制御電極支持板の配置
上記第5の実施の形態においては、制御電極支持板12a、12bを、絶縁基板10について、陰極電圧供給部材14a〜14dやヒータ電圧供給部材16a、16bとは反対側に配設するとしたが、これに代えて次のようにするとしても良い。
【0108】
すなわち、制御電極支持板12a、12bを、絶縁基板10について、陰極電圧供給部材14a〜14dやヒータ電圧供給部材16a、16bと同側に配設するとしても良い。このようにすれば、絶縁基板10の第2の主面10Dにこれら部材のすべてが配設されることとなる。従って、絶縁基板10の両面に各部材を配設する場合との比較において、陰極ユニットをより簡単に組み立てることができる。
【0109】
また、熱陰極11aと制御電極支持板12a、12bとが、絶縁基板10によって隔てられることになるので、熱陰極11aからの金属蒸気が制御電極支持板12a、12bに付着し難くなる。従って、絶縁特性を改善することができる。
【0110】
【発明の効果】
以上、本発明に係る電子銃は、絶縁基板上に導電体を配設するとともに、当該導電体から陰極構体に陰極電圧やヒータ電圧を供給するための電圧供給線により、当該陰極構体を支持することを特徴とする。換言すれば、電子銃の全長に寄与しない絶縁基板を陰極構体へ電圧を供給するための配線基板として利用するので、従来技術のように、ヒータ支持部材を別途設ける必要がなく、電子銃の全長を短縮することができる。
【0111】
また、陰極構体を絶縁基板に取着する際に、陰極構体と制御電極との間の距離を調節することができるので、より精度よく電子銃を組み立てることができる。また、絶縁基板の周囲が導電性部材で完全に囲繞されてしまうことがないので、制御電極や加速電極と同電位の導電性部材と陰極構体との間の静電容量を低減することができる。したがって、本発明によれば、電子銃の応答性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態に係る陰極線管装置の側面図であって、その一部が切り欠かれて断面が示されている図である。
【図2】(a)は、第1の実施の形態に係る陰極ユニットと制御電極とを、蛍光体スクリーン4側から見た図である。
(b)は、第1の実施の形態に係る陰極ユニットと制御電極との、図2(a)におけるX−X断面図である。
(c)は、第1の実施の形態に係る陰極ユニットと制御電極とを、図2(a)に示す矢印A方向から見た図である。
(d)は、第1の実施の形態に係る陰極ユニットと制御電極とをステム側から見た図である。
【図3】(a)は、第1の実施の形態に係る電子銃の陰極構体の側面図である。
(b)は、第1の実施の形態に係る電子銃のヒータ部の、図3(a)におけるY−Y断面図である。
【図4】(a)は、第2の実施の形態に係る3極部を、蛍光体スクリーン4側から見た図である。
(b)は、第2の実施の形態に係る3極部の、図4(a)におけるX−X断面図である。
(c)は、第2の実施の形態に係る3極部を、図4(a)に示す矢印A方向から見た図である。
【図5】(a)は、第3の実施の形態に係る陰極ユニット及び制御電極を、蛍光体スクリーン4側から見た図である。
(b)は、第3の実施の形態に係る陰極ユニット及び制御電極を、図5(a)に示す矢印A方向から見た図である。
【図6】(a)は、第4の実施の形態に係る3極部を、蛍光体スクリーン4側から見た図である。
(b)は、第4の実施の形態に係る3極部を、図6(a)に示す矢印A方向から見た図である。
【図7】(a)は、第5の実施の形態に陰極ユニットを、蛍光体スクリーン4側から見た図である。
(b)は、第5の実施の形態に陰極ユニットを、図7(a)に示す矢印A方向から見た図である。
(c)は、第5の実施の形態に陰極ユニットをステム側から見た図である。
【図8】(a)は、第5の実施の形態に陰極ユニットの、図7(c)におけるX−X断面図である。
(b)は、第5の実施の形態に陰極ユニットの、図7(c)におけるY−Y断面図である。
【図9】(a)は、第6の実施の形態に陰極ユニットを、蛍光体スクリーン4側から見た図である。
(b)は、第6の実施の形態に陰極ユニットを、図9(a)に示す矢印A方向から見た図である。
(c)は、第6の実施の形態に陰極ユニットをステム側から見た図である。
【図10】従来公報に係る電子銃であって、特に、その3極部の断面を示す断面図である。
【符号の説明】
1………………………………………電子銃
2………………………………………ファンネル
3………………………………………パネル
4………………………………………蛍光体スクリーン
5………………………………………電子ビーム
6………………………………………シャドウマスク
10……………………………………絶縁基板
10U…………………………………絶縁基板10の第1の主面
10D…………………………………絶縁基板10の第2の主面
10a…………………………………貫通孔
11……………………………………陰極構体
11a…………………………………熱陰極部
11b…………………………………ヒータ部
11b1………………………………ヒータコイル
11b2………………………………絶縁ブロック
12a、12b、21a、21b…スペーサ
13……………………………………制御電極
14a、14b………………………陰極電圧供給部材
15……………………………………陰極支持部材
16a、16b………………………ヒータ電圧供給部材
17a、17b………………………ヒータ支持部材
20……………………………………加速電極

Claims (20)

  1. 貫通孔を有する絶縁基板と、
    前記貫通孔に挿設され、熱陰極とヒータとを有する陰極構体と、
    前記絶縁基板上の、前記陰極構体が電子ビームを射出する方向とは反対側に、配設される薄板状の複数の給電部材と、
    前記ヒータを前記給電部材に電気的に接続し、かつ、前記陰極構体を支持する第1の導電性支持部材と、
    前記熱陰極を前記給電部材に電気的に接続し、かつ、前記陰極構体を支持する第2の導電性支持部材と、
    を備えることを特徴とする電子銃。
  2. 前記第2の導電性支持部材は、前記貫通孔内で前記絶縁基板から離間している
    ことを特徴とする請求項1に記載の電子銃。
  3. 前記絶縁基板は、その外周面において、導電性部材に覆われていない部分を有する
    ことを特徴とする請求項1に記載の電子銃。
  4. 前記絶縁基板の、前記陰極構体が電子ビームを射出する側に、配設されており、かつ、
    前記陰極構体が射出する電子ビームが通過する位置に、電子ビーム通過孔を有する制御電極
    を備えることを特徴とする請求項1に記載の電子銃。
  5. 前記絶縁基板の、前記陰極構体が電子ビームを射出する側に、配設されており、かつ、
    前記制御電極を支持する制御電極支持部材
    を備えることを特徴とする請求項4に記載の電子銃。
  6. 前記制御電極支持部材は導電性部材であって、
    前記第2の導電性支持部材と、管軸方向に重ならないように配設されている
    ことを特徴とする請求項5に記載の電子銃。
  7. 前記制御電極について、前記絶縁基板とは反対側に、配設されており、かつ、
    前記陰極構体が射出する電子ビームが通過する位置に、電子ビーム通過孔を有する加速電極
    を備えることを特徴とする請求項4に記載の電子銃。
  8. 前記絶縁基板の、前記陰極構体が電子ビームを射出する側に、配設されており、かつ、
    前記加速電極を支持する加速電極支持部材
    を備えることを特徴とする請求項7に記載の電子銃。
  9. 互いに接続される前記給電部材と前記第1の導電性支持部材は、管軸方向からの平面視において、長手方向を同じくする
    ことを特徴とする請求項1に記載の電子銃。
  10. 前記貫通孔は、前記熱陰極からの金属蒸気が当該貫通孔の内部を通過するのを妨げる遮蔽部を有する
    ことを特徴とする請求項1に記載の電子銃。
  11. 前記遮蔽部は、前記貫通孔の内側面を前記貫通孔の内側に突出させた凸部である
    ことを特徴とする請求項10に記載の電子銃。
  12. 前記貫通孔の近傍において、前記給電部材と前記絶縁基板との間に間隙が設けられている
    ことを特徴とする請求項1に記載の電子銃。
  13. 前記複数の給電部材は、すべて同一の材質からなっている
    ことを特徴とする請求項1に記載の電子銃。
  14. 前記材質は、ステンレス系合金、ニッケル系合金、またはコバール系合金のいずれかである
    ことを特徴とする請求項13に記載の電子銃。
  15. 前記給電部材は、前記絶縁基板上に形成された回路パターンである
    ことを特徴とする請求項1に記載の電子銃。
  16. 前記絶縁基板は、前記給電部材を迎える凹部を有しており、
    前記給電部材は、前記凹部に嵌め込まれている
    ことを特徴とする請求項1に記載の電子銃。
  17. 互いに同じ方向に向いた貫通孔をそれぞれ備え、インライン方向に配列されている、3つの絶縁基板と、
    互いに同じ向きに電子ビームを射出し、それぞれ前記貫通孔に挿設され、熱陰極とヒータとを備える、3つの陰極構体と、
    前記絶縁基板毎に設けられ、前記絶縁基板上の、前記陰極構体が電子ビームを射出する方向とは反対側に、配設される薄板状の給電部材と、
    前記絶縁基板毎に設けられ、前記ヒータを前記給電部材に電気的に接続し、かつ、前記陰極構体を支持する第1の導電性支持部材と、
    前記絶縁基板毎に設けられ、前記熱陰極を前記給電部材に電気的に接続し、かつ、前記陰極構体を支持する第2の導電性支持部材と、
    前記各絶縁基板の、前記陰極構体が電子ビームを射出する側に、配設されており、前記各陰極構体が射出する電子ビームが通過する位置ごとに、電子ビーム通過孔を有する制御電極と、
    を備えることを特徴とする電子銃。
  18. 前記各絶縁基板の、前記陰極構体が電子ビームを射出する側に配設されており、前記制御電極を支持する制御電極支持部材
    を備えることを特徴とする請求項17に記載の電子銃。
  19. 請求項1に記載の電子銃
    を備えることを特徴とする陰極線管装置。
  20. 請求項17に記載の電子銃
    を備えることを特徴とする陰極線管装置。
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