JP3983863B2 - 中望遠レンズ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、画角が20°乃至40°程度で、Fナンバーが2.8程度と明るく、撮像管や固体撮像素子などを用いたいわゆる電子カメラやビデオカメラに適した中望遠レンズに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、撮像管や固体撮像素子などを用いたいわゆる電子カメラやビデオカメラ等は、レンズと撮像面との間にローパスフィルターや赤外線カットフィルター等の光学部材を配置する必要があるため、これらカメラに用いるレンズ系は、焦点距離に比較して長いバックフォーカスが必要になる。
【0003】
とりわけカラー画像の画質を向上させるために、RGB3色を複数の撮像素子で撮影するために、いわゆる色分解光学系を用いる撮像装置の場合、前記光学部材のほかに光路分割のためのミラーやプリズムなどの光学部材を挿入する必要があり、レンズ系は一層長いバックフォーカスが必要になる。
【0004】
そのため、撮影レンズは、特に長い焦点距離を有するレンズ系を除いて、物体側から順に、負−正のいわゆるレトロフォーカスタイプのレンズ構成にすることが一般的である。又、銀塩カメラでは望遠タイプや、絞りに対して対称な屈折力配置のレンズ構成を採用することが多い。これは画角が20°乃至40°程度の中望遠レンズにおいても同様である。
【0005】
いわゆるレトロフォーカスタイプのレンズ構成の中望遠レンズの従来例として、例えば特開昭61−200519号公報や特開平2−118507号公報、特開平5−134174号公報、特開平7−248447号公報に記載されているレンズ系が知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
近年、製造技術の発展により電子カメラやビデオカメラ等に用いられる撮像素子は、撮像管から固体撮像素子へと主力が移り、また固体撮像素子も、大きさに比べてピクセル数の非常に多い素子が用いられるようになった。
【0007】
そのため、従来銀塩カメラと比較して画質が劣る等の理由から用いられなかった印刷向けのカメラとしても撮像素子が用いられるようになった。しかし、これら用途に用いる撮像素子は、ハイビジョン等の高精細テレビの規格のものと同等もしくは更に多くのピクセル数が必要であり、近年発達した製造技術をもってしても小型の撮像素子を製造することが困難である。そのために、各ピクセルの大きさを変えずに全体の大きさを大きくすることによって多くのピクセルを配列した撮像素子およびこの撮像素子を用いた電子カメラが開発されている。
【0008】
しかし、大きな撮像素子では、同じウエハーから製造し得る撮像素子の数が少なく製造原価が高くなるという欠点がある。そのため配列するピクセルの大きさを小さくし、小型の撮像素子で多くのピクセルを配列した撮像素子を開発することにより小型化と低コスト化を同時に達成しようとする強い要求がある。
【0009】
しかし、配列するピクセルの大きさを小さくすると、いわゆるナイキスト周波数が高くなり、撮影レンズに要求される光学性能が極めて高くなる。
【0010】
一方、前述のように、電子撮像素子を用いる電子カメラやビデオカメラは、長いバックフォーカスを必要とするために、レトロフォーカスタイプのレンズ構成にせざるを得ず、絞りを挟んで負の前群と正の後群とよりなる非対称な屈折力配置になるため、歪曲収差や非点収差などの軸外収差の補正が困難になる。また負の前群により軸上光束が発散光束になるために、正の後群において球面収差の発生が大になり、明るいレンズ系にすることが困難である。
【0011】
また、レトロフォーカスタイプのレンズ系は、バックフォーカスを長くする程負の前群と正の後群の屈折力を強くしなければならず、前記の収差を補正することが一層困難になる。
【0012】
又、高画質な映像になる程色再現や色モアレなど色の問題が顕著になる。そのため、1枚の撮像素子の上に色フィルターをモザイク状やストライプ状等に配列した撮像素子を用いるいわゆる単板式カメラよりもRGB3原色を3枚の撮像素子で撮影するいわゆる3板式カメラに代表される多板式カメラが望まれる。
【0013】
そのため、撮影レンズと撮像素子との間にいわゆる色分解光学系を挿入する必要が生じ、撮影レンズは、一層長いバックフォーカスが必要になり、レンズ系の設計がますます困難になる。
【0014】
特開昭61−200519号公報、特開平2−118507号公報、特開平5−134174号公報に記載されたレンズ系は、球面収差や色収差の補正が十分ではなく、また特開平7−248447号公報に記載されたレンズ系は、非常に高い光学性能を有するが、レンズ系が極めて大きく前述の撮像素子を小さく保ち装置全体を小型化しようという目的に反する。
【0015】
本発明は、画角が20°乃至40°程度で、Fナンバーが2.8程度と明るく、レンズ系と撮像素子の間にローパスフィルターや赤外カットフィルターなどの各種光学部材に加えて複数の撮像素子を用いてRGB3原色の映像を構成するために光路分岐用部材を配置し得る長いバックフォーカスを有していて、小型で多くのピクセルを配列した撮像素子を用いた電子カメラやビデオカメラ等に最適な極めて高い光学性能を有する、比較的小型な中望遠レンズを提供するものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明の中望遠レンズは、物体側から順に、全体として負の屈折力の前群と、全体として正の屈折力の後群とよりなり、前群が物体側より順に正レンズのみからなる第1レンズ群と負レンズのみからなる第2レンズ群とからなり、後群が物体側より順に、全体として正の屈折力の第3レンズ群と、全体として負の屈折力の第4レンズ群と、全体として正の屈折力の第5レンズ群とからなり、下記条件(1),(2),(3)を満足することを特徴とするものである。
(1) 0.3<|fF /fR |<1.5
(2) 0.05<|fR /f4 |<0.8
(3) 0.8<|f5 /fR |<1.5
ただし、fF ,fR は前群および後群の焦点距離、f4 ,f5 は夫々後群の第4レンズ群および第5レンズ群の焦点距離である。
【0017】
一般に色分解プリズムなどの色分解光学系を用いる場合、光の効率的な利用のために光の透過する波長スペクトルをコントロールするダイクロイック膜を用いて色分解を行なうのが一般的である。しかしダイクロイック膜は、膜に入射する光の傾きに応じて透過する波長スペクトルが異なる。そのため画面内で均一な色分解を得るためには画面内の任意の場所で色分解光学系に入射する光束の傾きや拡がりがほぼ等しいことが望ましい。つまり、軸外主光線が光軸と同角度で色分解光学系に入射し、軸外光束が主光線に対して回転対称な拡がりを持った光束であることが望ましい。
【0018】
そのために、撮影レンズの射出瞳位置は、ほぼ無限遠になるようにすることが望ましいが、適度な遠方であれば撮像素子で受光して後に電気系でいわゆるホワイトシェーディング補正回路を設けることにより実用上問題のないレベルの色信号を得ることができる。
【0019】
また、電子撮像素子は銀塩フイルム等と異なり、各ピクセルの光電変換面に結像する光は光電変換面と適当な間隔を設けて配置された色フィルターや、光を効率よく集光させるためのマイクロレンズなどの部材を通過して結像し、各ピクセル毎に光電変換面と前記部材とは1対1に対応している。このとき中心光線が撮像素子に斜めに入射する光束を考えると、撮像素子の各ピクセルの大きさや、前記部材と光電変換面との間隔に比較して、入射する光束の中心光線の傾きが極度に大きいと前記部材を通過した光束もしくはその一部が前記部材に対応する光電変換面からはみだして電気信号への変換に寄与しなかったり、別のピクセルに結像し、そのために明るさむらや偽色を生ずる。
【0020】
このような問題を解決するために撮影レンズの射出瞳位置に応じて、前記光学部材とそれに対応するピクセルとの間に適当なずれを生ずるようにする等の手段が用いられる。この場合、射出瞳位置を適当な範囲におさめることによって光線の射出角を制御するが、製造される撮像素子を汎用的に使用しようとする場合、あるいは撮影レンズを交換して使用するカメラの場合等を想定すると、射出瞳位置が極端に像面近くなることは設計上の制約が大になり好ましくない。
【0021】
汎用性を考慮すると、電子撮像素子に入射する光束をその中心光線が適度な傾き角以下になるようにすることが望ましい。つまり撮影レンズの射出瞳位置は、適度に遠方に位置するようにすることが望ましい。
【0022】
したがって、色分解光学系からの必要性と、撮像素子からの必要性とから、撮影レンズの射出瞳位置は、ほぼ無限遠もしくは適度な遠方に位置することが望ましい。そのため、撮影レンズとして負の前群と正の後群よりなるレトロフォーカスタイプを採用する場合、後群の正の屈折力を適度に強めることが必要になる。
【0023】
本発明のレンズ系は、例えば図1に示すように、撮影レンズと撮像素子との間に複数の撮像素子に分岐する色分解光学系等を挿入し得るように長いバックフォーカスを確保することを目的の一つとしている。
【0024】
そのため、本発明のレンズ系はレトロフォーカスタイプのレンズ構成で、レンズ系の全長を長くすることなくバックフォーカスを長くするようにした。そのためには簡単な近軸関係式から、前群の負の屈折力と後群の正の屈折力とを強くする必要があることがわかる。
【0025】
このように色分解光学系の特性や、電子撮像素子の構造や、光学的な近軸条件のいずれからも、前群の負の屈折力と後群の正の屈折力とを共に強める必要がある。
【0026】
以上述べたように、本発明のレンズ系は、高画質な映像とりわけRGB3原色を複数の撮像素子にて撮像するいわゆる多板式カメラに最適な光学系および撮像装置を第1の目的としているが、その他自動焦点や自動露出を行なうために撮影レンズの像側に光路を分岐するプリズム等の光学部材を配置する撮像装置や、いわゆる一眼レフ方式のファインダーのために撮像レンズの像側に光路を分岐させるプリズムやミラー等の光学部材を配置する撮像装置等のように、ローパスフィルターや赤外カットフィルター等以外の長い光路長を必要とする光学部材を撮影レンズと像面の間に配置する撮像装置に最適な構成のレンズ系を得ることを目的とすることは明らかである。
【0027】
前述のレトロフォーカスタイプのレンズ系は、絞りに対して負−正の非対称な屈折力配置であるため、歪曲収差や非点収差などの軸外収差の補正が困難になり、また負の屈折力の前群により軸上光束が発散光束になるため後群の正の屈折力が強くなり後群で発生する球面収差が大になり補正が困難になる。この傾向は負の屈折力と正の屈折力を強くする程顕著になり、特に前群で発生する負の歪曲収差と後群で発生する負の球面収差の補正が困難である。
【0028】
本発明は、前記諸収差を良好に補正しかつ長いバックフォーカスを確保し、又射出瞳位置をほぼ無限遠もしくは適度な遠方に位置せしめるために、前群と後群の屈折力配分を上記条件(1)を満足するように規定した。
【0029】
この条件(1)の下限値の0.3を超えて|fF /fR |が小さい値になると、後群の正の屈折力が不足して射出瞳をほぼ無限遠もしくは適度な遠方に位置せしめることが困難になり、又、レンズ系全体に必要な屈折力を確保するために前群と後群の間隔を大にしなければならずレンズ系が大型になり好ましくない。また条件(1)の上限値の1.5を超えて|fF /fR |の値が大になると前群の負の屈折力が不足しバックフォーカスの確保が困難になる。
【0030】
本発明のレンズ系において、前群と後群の屈折力配分を前記条件(1)を満足するように規定しても、諸収差特に歪曲収差は、前群での負の屈折力により負の歪曲収差が発生し、一方後群での正の屈折力でも負の歪曲収差が発生するため、レンズ系全系では負の歪曲収差が大になる。とりわけ、負および正の屈折力を強くするとその傾向が強くなる。
【0031】
そのために、歪曲収差を良好に補正するためには、前群中に正の屈折力を配置するか後群中に負の屈折力を配置することにより正の歪曲収差を発生させることが必要である。
【0032】
一方、軸上光線は、前群の負の屈折力によって光軸から離れる方向に屈折されて後群に入射するために、前群と比べて後群における光線高が高くなり、後群の正レンズで発生する負の球面収差が大になる傾向があり、特に後群の屈折力を強くした場合その傾向が大になる。
【0033】
この後群での負の球面収差を前群の負の屈折力のみで補正しようとすると、負の歪曲収差が発生するために好ましくない。したがって、後群中に負の屈折力を配置して球面収差や歪曲収差を補正することが好ましい。
【0034】
しかし、後群に負の屈折力を配置してこれら収差を補正しようとするのみでは前群で発生する大きな負の歪曲収差を補正するために、および効率良く球面収差を補正するためには、後群を物体側より順に正−負の屈折力配置にして後群中での軸上光線高が極力低くなるようにし、また軸外光線高が高くなる像側に負の屈折力を配置することが望ましい。しかし前記屈折力配置では長いバックフォーカスを確保することができない。
【0035】
本発明のレンズ系は、前群中に正の屈折力を配置すると共に、後群中に負の屈折力を配置して前群と後群の両方で諸収差を補正するようにした。この場合、バックフォーカスを確保することと比較的小さな屈折力で歪曲収差と非点収差の補正を行なうために、前群中で軸外主光線が高くなる最も物体側に正の屈折力を配置することが望ましい。したがって前群は、物体側から順に、正レンズのみからなる第1レンズ群と負レンズのみからなる第2レンズ群とにて構成することが望ましい。
【0036】
一方後群は、バックフォーカスの確保と球面収差の補正とを両立させるために、物体側から順に、正−負−正のパワー配置にして、軸上光線高を極力低くしながらかつマクロ的には負−正の構成になるようにすることが好ましい。具体的には、物体側から順に、正のパワーの第3レンズ群と負のパワーの第4レンズ群と正のパワーの第5レンズ群にて構成するのが望ましい。その上で第4レンズ群のパワーを前記の条件(2)を満足するようにする必要がある。
【0037】
条件(2)の下限値の0.05を超えて|fR /f4 |の値が小さくなると第4レンズ群の負のパワーが不足して収差補正に必要な負のパワーを得ることができない。また上限値の0.8を超えて|fR /f4 |が大になると、第4レンズ群の負のパワーが大になりすぎて収差が補正過剰になり好ましくない。
【0038】
また、後群の第5レンズ群の屈折力が前記条件(3)を満足することが望ましい。
【0039】
条件(3)の下限値の0.8を超えて|f5 /fR |の値が小さくなると正のパワーが強くなりすぎてバックフォーカスの確保が困難になると共に負の球面収差が大になり補正が困難になる。また条件(3)の上限値の1.5を超えて|f5 /fR |が大になると射出瞳位置を十分遠くすることが困難になる。
【0040】
本発明の中望遠レンズは、以上のような構成にすることにより、レンズ系と撮像素子との間にローパスフィルター、赤外カットフィルター、さらに色分解光学系やファインダー、自動焦点、自動露出のための光路分岐用部材等の各種光学部材を配置し得る長いバックフォーカスを有ししかも小型で多くのピクセルを配置した撮像素子を用いた電子カメラやビデオカメラ等に最適な極めて高い光学性能を有するレンズ系である。
【0041】
本発明の上記の構成のレンズ系において、前群の第1レンズ群および第2レンズ群が下記条件(4),(5)を満足することが望ましい。
(4) 0.8<|f1 /fF |<5.0
(5) 0.2<|f2 /fF |<0.9
ただし、f1 ,f2 は夫々前群中の第1レンズ群および第2レンズ群の焦点距離、又fF は前群の焦点距離である。
【0042】
条件(4)において、下限値の0.8を超えて|f1 /fF |の値が小さくなると前群中の第1レンズ群の正のパワーが強くなりすぎてバックフォーカスを確保するために十分な前群の負のパワーを確保することが困難になる。又条件(4)の上限値の5.0を超えると、第1レンズ群の正のパワーが弱くなり歪曲収差の補正作用が不足して前群で負の歪曲収差が残存する。
【0043】
また、条件(5)において、下限値の0.2を超えると前群の第2レンズ群の負のパワーが強くなりすぎて正のパワーの第1レンズ群を用いても歪曲収差の補正が困難になる。また上限値の0.9を超えると第2レンズ群の負のパワーが弱くなりバックフォーカスを確保する上で十分な前群の負のパワーが得られなくなる。
【0044】
又、後群中の負のパワーの第4レンズ群は、更に良好な収差補正を行なうためには、負レンズと正レンズとの接合レンズにすることが好ましく、又両凹レンズと両凸レンズとの接合レンズにすれば一層望ましい。
【0045】
また、前群中の第2レンズ群を、物体側より順に、物体側に凸面を向けた負のメニスカスレンズと両凹レンズとの2枚の負レンズにて構成して前群中の第1レンズ群にて発生する非点収差を打ち消す作用を持たせることが望ましい。
【0046】
前述のように、本発明の中望遠レンズは、射出瞳位置をほぼ無限遠もしくは適度な遠方に位置するようにしており、そのために後群の最も像側に配置するレンズは正レンズであることが望ましい。
【0047】
つまり、本発明の前記レンズ構成のレンズ系で、条件(1)〜(3)又は条件(4),(5)あるいはその両方の条件を満足するレンズ系において、最も像側に正レンズを配置することが望ましい。又この正レンズが条件(6)を満足することが一層好ましい。
(6) −1.3<SFp <−0.5
ただし、SFp は前記正レンズのシェーピングファクーである。
【0048】
ここで、レンズのシェーピングファクターSFとは、対象となるレンズの物体側および像側の面の曲率半径を夫々ra ,rb とした時下記の式にて求められる値である。
SF=(ra +rb )/(ra −rb )
【0049】
条件(6)において、下限値の−1.3を超えてSFp が小さな値をとると前記レンズの像側の面が強い正のパワーを有することになり、球面収差やコマ収差の発生が大になり好ましくない。又上限値の−0.5を超えてSFp が大きな値になると前記レンズに必要な正のパワーを確保することが難しく射出瞳位置を望ましい位置にすることが困難になる。
【0050】
また、本発明のレンズ系において、近距離物点にフォーカシングする際、前記正レンズ(後群の最も像側に配置した正レンズ)とこの正レンズよりも物体側に位置するレンズ群との間を広げるようにすれば、無限遠物点から近距離物点まで良好な光学性能を保ちながらフォーカシングできる。
【0051】
上記の方法でのフォーカシングを行なう場合、収差変動を抑制するためには前記正レンズのパワーが下記条件(7)を満足することが望ましい。
(7) 0.1<|fR /fp |<0.55
ただし、fp は最も像側に配置された正レンズの焦点距離、fR は後群の焦点距離である。
【0052】
条件(7)において下限値の0.1を超えて|fR /fp |が小になると結像に必要な正のパワーが前記正レンズに集中するために前記正レンズにて発生する諸収差が大になり補正困難になるとともにフォーカシング時のレンズ群の繰り出し量が大になる。又上限値の0.55を超えて|fR /fp |が大になると前記正レンズのパワーが小になりフォーカシング時に繰り出すレンズ群のパワーが強くなりすぎて、フォーカシング時の収差変動が大になる。
【0053】
更に、フォーカシングに際して前記の最も像側に位置する正レンズを固定してこの正レンズよりも物体側のレンズ群を物体側に繰り出すことによりフォーカシングを行なえば、比較的単純なフォーカシング機構により無限遠物点から近距離物点まで安定した良好な光学性能を得ることができる。
【0054】
また、本発明のレンズ系において収差を一層良好に補正するためには、後群中の正のパワーの第3レンズ群を物体側から順に、少なくとも1枚の正レンズを含むレンズ成分と物体側に凹面を向けた正のメニスカスレンズと物体側に凹面を向けた負のメニスカスレンズとを接合した接合レンズ成分とにて構成することが望ましい。
【0055】
後群中の第3レンズ群を上記構成にすれば軸上光線高を必要以上に高くすることがないため、十分な正のパワーを確保しつつ負の球面収差を抑制することができ、第4レンズ群の負のパワーを増大させずに球面収差の補正が可能である。
【0056】
更に、本発明のレンズ系において、諸収差を一層良好に補正するためには、条件(1)乃至条件(7)の代りに下記条件(1−1)乃至条件(7−1)を満足することが望ましい。
(1−1) 0.38<|fF /fR |<1.4
(2−1) 0.08<|fR /f4 |<0.7
(3−1) 0.8<|f5 /fR |<1.2
(4−1) 0.85<|f1 /fF |<4.5
(5−1) 0.25<|f2 /fF |<0.8
(6−1) −1.2<SFp <−0.6
(7−1) 0.2<|fR /fp |<0.5
【0057】
尚条件(1),(2),(3),(4),(5),(6),(7)のうちのいずれか一つを上記条件に代え又は、二つ又はそれ以上の条件の適宜組合わせた複数の条件を上記条件に代えれば収差補正の効果を増大せしめ得、すべての条件を上記条件に代えれば収差補正にとって一層望ましい。
【0058】
更に、一層良好な収差補正のためには、条件(2−1)の代りに下記条件(2−2)を、又は条件(3−1)の代りに下記条件(3−2)を、又条件(4−1)の代りに下記条件(4−2)を、又条件(5−1)の代りに下記条件(5−2)を、又条件(6−1)の代りに下記条件(6−2)を、又、条件(7−1)の代りに下記条件(7−2)のうち少なくとも一つあるいは適宜組合わせの複数の条件を満足するようにすれば望ましい。
(2−2) 0.09|fR /f4 |<0.65
(3−2) 0.85<|f5 /fR |<1.05
(4−2) 0.9<|f1 /fF |<3.0
(5−2) 0.3<|f2 /fF |<0.75
(6−2) −1.1<SFp <−0.7
(7−2) 0.25<|fR /fp |<0.45
【0059】
また本発明のレンズ系において、広角であって射出瞳位置をほぼ無限遠もしくは適度に遠方に位置するようにするためには、下記条件(8)を満足することが望ましい。
(8) |f/EX|<0.1
ただし、EXは近軸射出瞳位置、fは全系の焦点距離である。
【0060】
|f/EX|が条件(8)の上限値の0.1を超えると、例えば色分解プリズムをレンズ系と撮像素子との間に配置した場合、画面の中心と周辺とでダイクロイック膜に入射する光線の入射角が異なることになり、画面の中心と周辺とで分けられる光の分光特性が変化していわゆる色シェーディングが著しくなる。これを電気回路により補正しても、絞りによる補正量の変動が大きく好ましくない。
【0061】
また色分解プリズムを配置しない場合も、撮像素子に入射する光線が傾きをもつことになり、前述のように明るさむらや偽信号を生じたり、あるいは汎用性が低下する。
【0062】
又、前記条件(8)の代りに下記条件(8−1)を満足するようにすれば一層好ましい。
(8−1) |f/EX|<0.05
【0063】
【発明の実施の形態】
次に、本発明のレンズ系の実施の形態を下記の各実施例をもとに説明する。実施例1
f=45.003,F/2.81,2ω=28.20 °
r1 =45.6910 d1 =6.300 n1 =1.71615 ν1 =53.84
r2 =-227.3380 d2 =0.450
r3 =19.4610 d3 =3.950 n2 =1.48915 ν2 =70.20
r4 =14.4540 d4 =5.280
r5 =-41.9980 d5 =2.600 n3 =1.67158 ν3 =33.04
r6 =23.2870 d6 =5.260
r7 =-105.0010 d7 =6.830 n4 =1.48915 ν4 =70.20
r8 =30.9980 d8 =3.800 n5 =1.85504 ν5 =23.78
r9 =-278.8880 d9 =3.540
r10=∞(絞り) d10=5.050
r11=-170.6070 d11=5.750 n6 =1.48915 ν6 =70.20
r12=-20.3910 d12=2.450 n7 =1.63004 ν7 =35.70
r13=-32.7890 d13=8.416
r14=-48.1330 d14=2.700 n8 =1.80642 ν8 =34.97
r15=45.1140 d15=6.690 n9 =1.48915 ν9 =70.20
r16=-39.2760 d16=7.688
r17=124.0200 d17=7.670 n10=1.49845 ν10=81.61
r18=-41.3130 d18=D1 (可変)
r19=59.5930 d19=6.420 n11=1.48915 ν11=70.20
r20=-1030.1600 d20=2.000
r21=∞ d21=18.500 n12=1.51825 ν12=64.15
r22=∞ d22=1.000
r23=∞ d23=50.500 n13=1.69979 ν13=55.52
r24=∞
物体距離 ∞ -4493.694 -1314.947
D1 15.285 16.729 20.204
|fF /fR |=1.148 ,|fR /f4 |=0.450 ,|f5 /fR |=0.987
|f1 /fF |=1.024 ,|f2 /fF |=0.376 ,SFp =-0.891
|fR /fp |=0.395 ,|f/EX|=0.025
【0064】
実施例2
f=45.060,F/2.80,2ω=30.70 °
r1 =64.2609 d1 =4.764 n1 =1.71615 ν1 =53.84
r2 =-125.1618 d2 =0.150
r3 =19.8663 d3 =2.502 n2 =1.48915 ν2 =70.20
r4 =13.5083 d4 =5.441
r5 =-29.2844 d5 =2.000 n3 =1.67158 ν3 =33.04
r6 =37.5423 d6 =1.915
r7 =-149.5157 d7 =4.818 n4 =1.48915 ν4 =70.20
r8 =38.7128 d8 =0.150
r9 =30.5680 d9 =3.500 n5 =1.85504 ν5 =23.78
r10=-84.1974 d10=1.694
r11=∞(絞り) d11=3.791
r12=-35.5927 d12=7.268 n6 =1.48915 ν6 =70.20
r13=-14.0205 d13=2.000 n7 =1.63004 ν7 =35.70
r14=-25.8790 d14=12.502
r15=-39.1822 d15=3.650 n8 =1.80642 ν8 =34.97
r16=65.3397 d16=7.151 n9 =1.48915 ν9 =70.20
r17=-29.9939 d17=8.891
r18=94.2482 d18=11.336 n10=1.48915 ν10=70.20
r19=-26.0615 d19=2.350 n11=1.54212 ν11=59.57
r20=-50.0229 d20=2.000
r21=81.4808 d21=4.179 n12=1.48915 ν12=70.20
r22=-659.6414 d22=1.800
r23=∞ d23=2.000 n13=1.51825 ν13=64.15
r24=∞ d24=2.000
r25=∞ d25=1.8000 n14=1.51825 ν14=64.15
r26=∞ d26=4.000
r27=∞ d27=55.000 n15=1.58566 ν15=46.33
r28=∞ d28=1.000
r29=∞ d29=10.000 n16=1.51825 ν16=64.15
r30=∞
|fF /fR |=0.742 ,|fR /f4 |=0.329 ,|f5 /fR |=1.019
|f1 /fF |=1.631 ,|f2 /fF |=0.522 ,SFp =-0.780
|fR /fp |=0.334 ,|f/EX| =0.009
【0065】
実施例3
f=44.957,F/2.80,2ω=30.77 °
r1 =72.6162 d1 =4.586 n1 =1.71615 ν1 =53.84
r2 =-138.6868 d2 =0.150
r3 =20.0956 d3 =3.331 n2 =1.48915 ν2 =70.20
r4 =13.9215 d4 =5.614
r5 =-31.0884 d5 =2.000 n3 =1.67158 ν3 =33.04
r6 =34.9125 d6 =1.948
r7 =-129.1819 d7 =6.858 n4 =1.48915 ν4 =70.20
r8 =44.4328 d8 =0.150
r9 =35.8694 d9 =3.500 n5 =1.85504 ν5 =23.78
r10=-73.6689 d10=1.615
r11=∞(絞り) d11=3.536
r12=-48.1616 d12=5.000 n6 =1.48915 ν6 =70.20
r13=-15.3531 d13=4.200 n7 =1.63004 ν7 =35.70
r14=-27.5447 d14=15.364
r15=-41.7757 d15=1.881 n8 =1.80642 ν8 =34.97
r16=43.6274 d16=7.121 n9 =1.48915 ν9 =70.20
r17=-34.3345 d17=10.621
r18=122.8957 d18=8.326 n10=1.49845 ν10=81.61
r19=-43.7022 d19=2.350
r20=86.4061 d20=4.000 n11=1.48915 ν11=70.20
r21=-515.6981 d21=1.701
r22=∞ d22=2.000 n12=1.51825 ν12=64.15
r23=∞ d23=2.000
r24=∞ d24=18.000 n13=1.51825 ν13=64.15
r25=∞ d25=4.000
r26=∞ d26=55.000 n14=1.58566 ν14=46.33
r27=∞ d27=1.000
r28=∞ d28=10.000 n15=1.51825 ν15=64.15
r29=∞
|fF /fR |=0.727 ,|fR /f4 |=0.523 ,|f5 /fR |=0.928
|f1 /fF |=1.831 ,|f2 /fF |=0.543 ,SFp =-0.713
|fR /fp |=0.333 ,|f/EX| =0.007
【0066】
実施例4
f=45.100,F/2.80,2ω=30.67 °
r1 =57.4322 d1 =4.970 n1 =1.71615 ν1 =53.84
r2 =-208.7110 d2 =0.651
r3 =22.1251 d3 =3.355 n2 =1.48915 ν2 =70.20
r4 =14.6316 d4 =6.348
r5 =-33.8819 d5 =2.000 n3 =1.67158 ν3 =33.04
r6 =37.0659 d6 =1.962
r7 =-260.6315 d7 =6.548 n4 =1.48915 ν4 =70.20
r8 =26.8439 d8 =3.500 n5 =1.85504 ν5 =23.78
r9 =-244.0879 d9 =2.010
r10=∞(絞り) d10=3.443
r11=-48.2322 d11=5.000 n6 =1.48915 ν6 =70.20
r12=-15.8482 d12=2.294 n7 =1.63004 ν7 =35.70
r13=-29.9018 d13=15.654
r14=-76.5997 d14=3.650 n8 =1.80642 ν8 =34.97
r15=42.2078 d15=6.907 n9 =1.48915 ν9 =70.20
r16=-43.2021 d16=8.936
r17=108.0750 d17=8.821 n10=1.49845 ν10=81.61
r18=-43.6766 d18=2.000
r19=76.2644 d19=4.000 n11=1.48915 ν11=70.20
r20=1917.4776 d20=1.701
r21=∞ d21=2.000 n12=1.51825 ν12=64.15
r22=∞ d22=2.000
r23=∞ d23=18.000 n13=1.51825 ν13=64.15
r24=∞ d24=4.000
r25=∞ d25=55.000 n14=1.58566 ν14=46.33
r26=∞ d26=1.000
r27=∞ d27=10.000 n15=1.51825 ν15=64.15
r28=∞
|fF /fR |=0.885 ,|fR /f4 |=0.272 ,|f5 /fR |=0.969
|f1 /fF |=1.495 ,|f2 /fF |=0.485 ,SFp =-1.083
|fR /fp |=0.295 ,|f/EX| =0.011
【0067】
実施例5
f=45.100,F/2.80,2ω=30.67 °
r1 =50.9877 d1 =5.173 n1 =1.71615 ν1 =53.84
r2 =-205.7361 d2 =0.150
r3 =20.3772 d3 =2.383 n2 =1.48915 ν2 =70.20
r4 =14.0173 d4 =6.356
r5 =-33.6415 d5 =2.000 n3 =1.67158 ν3 =33.04
r6 =33.6153 d6 =2.043
r7 =-157.4995 d7 =5.285 n4 =1.48915 ν4 =70.20
r8 =22.5607 d8 =3.500 n5 =1.85504 ν5 =23.78
r9 =-1646.0575 d9 =2.128
r10=∞(絞り) d10=3.293
r11=-201.9275 d11=7.545 n6 =1.48915 ν6 =70.20
r12=-15.4999 d12=3.599 n7 =1.63004 ν7 =35.70
r13=-35.4231 d13=12.161
r14=-40.3079 d14=2.699 n8 =1.80642 ν8 =34.97
r15=72.6733 d15=6.959 n9 =1.48915 ν9 =70.20
r16=-29.2135 d16=9.567
r17=116.5068 d17=9.854 n10=1.48915 ν10=70.20
r18=-29.9762 d18=2.000 n11=1.54212 ν11=59.57
r19=-50.0229 d19=1.350
r20=74.0591 d20=4.000 n12=1.48915 ν12=70.20
r21=-658.6796 d21=1.800
r22=∞ d22=2.000 n13=1.51825 ν13=64.15
r23=∞ d23=2.000
r24=∞ d24=18.000 n14=1.51825 ν14=64.15
r25=∞ d25=4.000
r26=∞ d26=55.000 n15=1.58566 ν15=46.33
r27=∞ d27=1.000
r28=∞ d28=10.000 n16=1.51825 ν16=64.15
r29=∞
|fF /fR |=0.862 ,|fR /f4 |=0.256 ,|f5 /fR |=1.045
|f1 /fF |=1.391 ,|f2 /fF |=0.473 ,SFp =-0.798
|fR /fp |=0.352 ,|f/EX| =0.009
【0068】
実施例6
f=44.950,F/2.80,2ω=30.76 °
r1 =-1375.2494 d1 =3.926 n1 =1.73234 ν1 =54.68
r2 =-64.8810 d2 =0.150
r3 =24.1112 d3 =4.500 n2 =1.48915 ν2 =70.20
r4 =15.7678 d4 =4.796
r5 =-25.4624 d5 =3.871 n3 =1.67158 ν3 =33.04
r6 =33.7979 d6 =3.712
r7 =40.2420 d7 =3.500 n4 =1.85504 ν4 =23.78
r8 =-48.6363 d8 =1.256
r9 =∞(絞り) d9 =4.141
r10=-28.8331 d10=7.567 n5 =1.48915 ν5 =70.20
r11=-14.4272 d11=4.140 n6 =1.63004 ν6 =35.70
r12=-23.0141 d12=9.019
r13=-29.3072 d13=3.650 n7 =1.80642 ν7 =34.97
r14=65.4608 d14=8.666 n8 =1.48915 ν8 =70.20
r15=-28.5943 d15=11.509
r16=144.8802 d16=10.147 n9 =1.48915 ν9 =70.20
r17=-29.0630 d17=2.000 n10=1.58566 ν10=46.33
r18=-49.0875 d18=1.500
r19=70.6074 d19=4.000 n11=1.48915 ν11=70.20
r20=-880.8777 d20=1.800
r21=∞ d21=2.000 n12=1.51825 ν12=64.15
r22=∞ d22=2.000
r23=∞ d23=18.000 n13=1.51825 ν13=64.15
r24=∞ d24=4.000
r25=∞ d25=55.000 n14=1.58566 ν14=46.33
r26=∞ d26=1.000
r27=∞ d27=10.000 n15=1.51825 ν15=64.15
r28=∞
|fF /fR |=0.472 ,|fR /f4 |=0.612 ,|f5 /fR |=0.977
|f1 /fF |=3.643 ,|f2 /fF |=0.703 ,SFp =-0.852
|fR /fp |=0.404 ,|f/EX| =0.006
【0069】
実施例7
f=44.962,F/2.80,2ω=30.76 °
r1 =-516.0167 d1 =3.826 n1 =1.77620 ν1 =49.66
r2 =-64.5429 d2 =0.150
r3 =24.4437 d3 =4.500 n2 =1.48915 ν2 =70.20
r4 =15.7543 d4 =5.072
r5 =-24.2995 d5 =6.466 n3 =1.69417 ν3 =31.08
r6 =33.8817 d6 =2.236
r7 =41.2966 d7 =4.500 n4 =1.85504 ν4 =23.78
r8 =-42.8563 d8 =1.104
r9 =∞(絞り) d9 =4.570
r10=-25.4911 d10=5.000 n5 =1.48915 ν5 =70.20
r11=-13.9304 d11=4.200 n6 =1.64419 ν6 =34.48
r12=-21.6077 d12=15.673
r13=-36.9119 d13=3.650 n7 =1.80642 ν7 =34.97
r14=50.6337 d14=8.314 n8 =1.48915 ν8 =70.20
r15=-35.2407 d15=8.788
r16=140.4621 d16=8.000 n9 =1.49845 ν9 =81.61
r17=-46.4675 d17=1.500
r18=71.7081 d18=4.500 n10=1.48915 ν10=70.20
r19=-5047.8462 d19=1.800
r20=∞ d20=2.000 n11=1.51825 ν11=64.15
r21=∞ d21=2.000
r22=∞ d22=18.000 n12=1.51825 ν12=64.15
r23=∞ d23=4.000
r24=∞ d24=55.000 n13=1.58566 ν13=46.33
r25=∞ d25=1.000
r26=∞ d26=10.000 n14=1.51825 ν14=64.15
r27=∞
|fF /fR |=0.416 ,|fR /f4 |=0.648 ,|f5 /fR |=0.872
|f1 /fF |=4.114 ,|f2 /fF |=0.719 ,SFp =-0.972
|fR /fp |=0.383 ,|f/EX| =0.006
【0070】
実施例8
f=45.003,F/2.83,2ω=28.11 °
r1 =55.2609 d1 =6.668 n1 =1.71615 ν1 =53.84
r2 =-270.1164 d2 =0.450
r3 =24.4830 d3 =4.203 n2 =1.48915 ν2 =70.20
r4 =16.9214 d4 =8.710
r5 =-36.8548 d5 =2.600 n3 =1.67158 ν3 =33.04
r6 =30.3056 d6 =2.727
r7 =-146.8179 d7 =6.000 n4 =1.48915 ν4 =70.20
r8 =30.1775 d8 =3.800 n5 =1.85504 ν5 =23.78
r9 =∞ d9 =4.959
r10=∞(絞り) d10=8.319
r11=-153.2146 d11=8.000 n6 =1.48915 ν6 =70.20
r12=-19.4714 d12=2.450 n7 =1.63004 ν7 =35.70
r13=-39.1233 d13=10.939
r14=-107.1179 d14=2.700 n8 =1.80922 ν8 =39.58
r15=52.5152 d15=5.799 n9 =1.48915 ν9 =70.20
r16=-52.5152 d16=5.310
r17=104.4296 d17=8.033 n10=1.49845 ν10=81.61
r18=-46.7552 d18=D1 (可変)
r19=70.4321 d19=4.499 n11=1.48915 ν11=70.20
r20=∞ d20=8.000
r21=∞ d21=19.000 n12=1.51825 ν12=64.15
r22=∞ d22=6.380
r23=∞ d23=50.000 n13=1.71615 ν13=53.84
r24=∞
物体距離 ∞ -4493.694 -1345.000 -440.000 -220.000
D1 9.847 11.171 14.235 22.939 35.128
|fF /fR |=1.026 ,|fR /f4 |=0.177 ,|f5 /fR |=1.029
|f1 /fF |=1.355 ,|f2 /fF |=0.429 ,SFp =-1.000
|fR /fp |=0.323 ,|f/EX| =0.025
【0071】
実施例9
f=45.042,F/2.83,2ω=28.13 °
r1 =33.8021 d1 =10.050 n1 =1.71615 ν1 =53.84
r2 =238.6280 d2 =0.150
r3 =24.4769 d3 =4.265 n2 =1.48915 ν2 =70.20
r4 =17.4158 d4 =6.739
r5 =-131.6000 d5 =3.122 n3 =1.76167 ν3 =27.51
r6 =18.0712 d6 =6.925
r7 =-777.9072 d7 =6.000 n4 =1.48915 ν4 =70.20
r8 =26.1270 d8 =3.550 n5 =1.85504 ν5 =23.78
r9 =∞ d9 =5.500
r10=∞(絞り) d10=8.554
r11=-51.5023 d11=8.000 n6 =1.48915 ν6 =70.20
r12=-21.7746 d12=2.770 n7 =1.72733 ν7 =29.23
r13=-40.3016 d13=7.247
r14=-67.8304 d14=1.996 n8 =1.81077 ν8 =40.95
r15=54.5438 d15=6.450 n9 =1.48915 ν9 =70.20
r16=-34.3833 d16=0.150
r17=71.6619 d17=7.466 n10=1.49845 ν10=81.61
r18=-46.2821 d18=D1 (可変)
r19=59.3408 d19=7.224 n11=1.48915 ν11=70.20
r20=∞ d20=2.700
r21=∞ d21=5.260
r22=∞ d22=47.000 n12=1.57124 ν12=56.33
r23=∞ d23=1.000 n13=1.51825 ν13=64.15
r24=∞ d24=2.910
r25=∞ d25=0.900 n14=1.52736 ν14=64.55
r26=∞
物体距離 ∞ -4493.6937 -1345.0000 -440.0000 -220.0000
D1 11.1791 12.4568 15.3845 23.5175 34.4631
|fF /fR |=1.386 ,|fR /f4 |=0.102 ,|f5 /fR |=1.000
|f1 /fF |=0.922 ,|f2 /fF |=0.313 ,SFp =-1.000
|fR /fp |=0.348 ,|f/EX| =0.042
ただしr1 ,r2 ,・・・ はレンズ各面の曲率半径、d1 ,d2 ,・・・ は各レンズの肉厚およびレンズ間隔、n1 ,n2 ,・・・ は各レンズのe線に対する屈折率、ν1 ,ν2 ,・・・ は各レンズのd線に対するアッベ数である。
【0072】
実施例1は図1に示すレンズ構成のレンズ系で、物体側より順に、全体として負の屈折力の前群Fと全体として正の屈折力の後群Rとよりなり、前群Fは、物体側より順に、1枚の正レンズからなる第1レンズ群G1と2枚の負レンズからなる第2レンズ群G2から構成されており、そのうちの第2レンズ群G2が物体側から順に、像側に凹面を向けた負のメニスカスレンズと両凹レンズとからなる。又、後群Rは、物体側から順に、負レンズと正レンズとの接合レンズ成分と、絞りと、物体側に凹面を向けた正のメニスカスレンズと物体側に凹面を向けた負のメニスカスレンズとの接合レンズ成分とよりなる第3レンズ群G3と、両凹レンズと両凸レンズの接合レンズ成分からなる第4レンズ群G4と、2枚の正レンズからなる第5レンズ群G5から構成されている。
【0073】
前述のように、前群Fの第1レンズ群G1に正の屈折力を配置することにより前群Fで発生する大きな負の歪曲収差を補正し、又後群Rを正の第3レンズ群G3と負の第4レンズ群G4と正の第5レンズ群G5との構成としいわゆるトリプレットタイプと同様の屈折力配分とし、第3レンズ群G3により前群で発散光束になった軸上光線の光線高を下げて特に球面収差の発生を抑制し、第4レンズ群G4により後群で発生する負の球面収差等の補正を行ない、又第5レンズ群G5により射出瞳位置をほぼ無限遠もしくは適度な遠方に位置せしめるように作用している。
【0074】
この実施例1において、レンズ系より像側に配置されている各平面ガラスは、ローパスフィルター、赤外カットフィルター、色分解プリズムもしくは光路分割プリズム、トリミングフィルター等を表わしている。
【0075】
この実施例1の無限遠物体における収差状況は図10に示してある。又この実施例1はデータ中に示すように最も像側のレンズLpとその前のレンズ群の間を広げてフォーカシングを行なうもので物体距離1.3mにおける収差状況は図11に示す通りである。
【0076】
この実施例1はバックフォーカスが空気換算で46.9mmであり、図1に示すようにローパスフィルター、赤外カットフィルター、色分解プリズム、トリミングフイルター等の光学部材を配置し得るに十分なバックフォーカスを有している。又、収差曲線図に示す通り、小さなピクセルを配列した撮像素子を用いるのに十分な光学性能を有している。
【0077】
実施例2は、図2に示す通りの構成で、後群Rの第3レンズ群G3が物体側より順に、負レンズと正レンズと絞りと物体側に凹面を向けた正のメニスカスレンズと物体側に凹面を向けた負のメニスカスレンズとを接合した接合レンズ成分よりなり後群Rの第5レンズG5が両凸レンズと物体側に凹面を向けた負のメニスカスレンズとを接合した接合レンズ成分と正レンズLpとよりなる点で実施例1と相違する。つまりこの第3レンズ群G3中の物体側に配置されている負レンズと正レンズが実施例1では両レンズを接合した接合レンズ成分であるのに対して、実施例2では両レンズが僅かな空気間隔をおいて分離され配置されている点と、後群中の第5レンズ群G5の物体側のレンズ成分が単レンズではなく、両凸レンズと物体側が物体側に凹面を向けた負のメニスカスレンズとを接合した接合レンズ成分である点とで異なっている。
【0078】
この実施例2は、前述のように後群Rの第3レンズ群G3を物体側より順に、負レンズと正レンズと絞りと接合レンズにて構成し絞りより物体側の負レンズと正レンズとを僅かに分離した構成とすることにより収差補正の自由度を増大せしめた。又後群Rの第5レンズ群G5を、物体側から順に正レンズと物体側に凹面を向けた負のメニスカスレンズの接合レンズと正レンズLpとにて構成し、つまりこの第5レンズ群G5に接合レンズを用いることによって比較的廉価なガラスを用いたにもかかわらず色収差を十分良好に補正して高い光学性能を有するレンズ系を達成し得た。
【0079】
実施例3は、図3に示す通りの構成で、後群R中の第3レンズ群G3が物体側から順に負レンズと正レンズと絞りと物体側に凹面を向けた正のメニスカスレンズと物体側に凹面を向けた負のメニスカスレンズとを接合した接合レンズ成分とからなる点で実施例1と相違する。つまりこの第3レンズ群G3の物体側の負レンズと正レンズとが接合されておらず僅かに空気間隔を設けて配置した点で実施例1と異なる。
【0080】
この実施例3も、第3レンズ群G3の絞りより物体側の負レンズと正レンズを両レンズ間に僅かに空気間隔を設けて分離することにより収差補正の自由度を増大した例である。
【0081】
実施例4は図4に示す通り実施例1と同様の構成である。
【0082】
実施例5は、図5に示す通りの構成である。この実施例5は、後群R中の第5レンズ群G5が物体側から順に、両凸レンズと凹面を物体側に向けた負のメニスカスレンズとを接合した接合レンズ成分と正レンズLpとよりなる点で実施例1と相違する。つまり第5レンズ群G5の物体側のレンズ成分が、実施例1が正の単レンズであるのに対し、この実施例5は接合レンズ成分である点で相違する。
【0083】
この実施例5は、第5レンズ群G5に実施例2と同様に接合レンズを用いることにより比較的廉価なガラスで色収差を良好に補正して高い光学性能のレンズ系とした例である。
【0084】
実施例6は図6に示す通りのレンズ構成のレンズ系である。この実施例6は後群R中の第3レンズ群G3が両凸レンズと絞りと物体側に凹面を向けた正のメニスカスレンズと物体側に凸面を向けた負のメニスカスレンズとを接合した接合レンズ成分とよりなり、後群R中の第5レンズ群G5が両凸レンズと物体側に凹面を向けた負のメニスカスレンズとを接合した接合レンズと正レンズLpとよりなる点で実施例1のレンズ系と相違する。つまり、後群R中の第3レンズ群G3の絞りより前の成分が正の単レンズである点と第5レンズ群G5の物体側のレンズ成分が接合レンズ成分である点で実施例1と相違する。
【0085】
この実施例6は、後群R中の第3レンズ群G3を、前述のように物体側より順に正レンズと絞りと接合レンズとにて構成し、つまり絞りより物体側を1枚のレンズにて構成してレンズ枚数の削減をはかった例である。又、後群R中の第5レンズ群G5に実施例2と同様接合レンズを用いて色収差を補正し、廉価なガラスで高い光学性能を得るようにしている。
【0086】
実施例7は図7に示す通りである。この実施例7は、後群Rの第3レンズ群G3が物体側より順に、正レンズと絞りと物体側に凹面を向けた正のメニスカスレンズと物体側に凹面を向けた負のメニスカスレンズとを接合した接合レンズ成分とよりなる点で実施例1と相違する。つまり、後群R中の第3レンズ群G3の絞りより物体側のレンズ成分が正の単レンズよりなることで実施例1と相違する。
【0087】
実施例7は、実施例6と同様に第3レンズ群G3を絞りより物体側に1枚のレンズのみ用いてレンズ枚数の削減をはかり、極めて少ないレンズにてレンズ系を構成した例である。
【0088】
実施例8は、図8に示す通りの構成で実施例1と同様のレンズ構成のレンズ系である。
【0089】
この実施例8は、バックフォーカスを十分長くとりプリズム等と光学部材等との間隔を十分にあけゆとりをもった構成にしてある。つまり、レンズ系と撮像素子の間にローパスフィルターや赤外カットフィルター、光分解プリズムもしくは光路分解プリズム等の光学部材を挿入するのに十分なバックフォーカスを有している。
【0090】
又、データ中に示すように、最も像側のレンズとそれより物体側のレンズ群との間を広げることによりフォーカシングを行ない、これにより無限遠からマクロ撮影が可能な至近距離まで、小さなピクセルを配置した撮像素子を用い得るような十分に高い光学性能を有している。
【0091】
実施例9は、図9に示すレンズ構成で実施例1と同様の構成のレンズ系である。この実施例9は、プリズム等の光学部材等の厚みを小にし、又レンズ系の絞りより像側において軸上光線高を低く保つことによってレンズの径を小さくしてマウント部等のメカ部材の小型化をはかった例であり、十分な周辺光量を得るために逆に絞りより物体側のレンズの径がやや大になっている。
【0092】
上記実施例中、実施例2〜8はいずれも実施例1よりも一層バックフォーカスを長くしたレンズ系でいわゆる色分解プリズムや一眼式光学ファインダーや自動焦点、自動露出のためなどに用いられる光路分岐用プリズムを複数配置することが可能である。
【0093】
以上述べた本発明のレンズ系は、特許請求の範囲の各項に記載する構成のほか、次に記載する各項の構成のレンズ系も発明の目的を達成し得るものである。
【0094】
(1)特許請求の範囲の請求項1,2又は3に記載するレンズ系で、第2レンズ群が、物体側より順に、負のメニスカスレンズと両凹レンズの少なくとも2枚の負レンズを含むことを特徴とする中望遠レンズ。
【0095】
(2)特許請求の範囲の請求項1,2又は3あるいは前記の(1)の項に記載するレンズ系で、後群の最も像側のレンズが下記条件(6)を満足する正レンズであることを特徴とする中望遠レンズ。
(6) −1.3<SFp <−0.5
【0096】
(3)特許請求の範囲の請求項1,2又は3あるいは前記の(1)又は(2)の項に記載するレンズ系で、第3レンズ群が、物体側より順に、少なくとも1枚の正レンズを含むレンズ成分と物体側に凹面を向けた正のメニスカスレンズと物体側に凹面を向けた負のメニスカスレンズとを接合した接合レンズとを含むことを特徴とする中望遠レンズ。
【0097】
(4)特許請求の範囲の請求項1,2又は3あるいは前記の(1),(2)又は(3)の項に記載するレンズ系で、第4レンズ群が、物体側から順に、両凹レンズと両凸レンズとを接合した接合レンズよりなることを特徴とする中望遠レンズ。
【0098】
(5)前記の(2)の項に記載するレンズ系で、最も物体側の正レンズとこの正レンズより物体側のレンズ群の間隔が広がるようにして無限遠物点から近距離物点へのフォーカシングを行ない、前記正レンズが下記条件(7)を満足することを特徴とする中望遠レンズ。
(7) 0.1<|fR /fp |<0.55
【0099】
(6)前記の(5)の項に記載するレンズ系で、無限遠物点から近距離物点へのフォーカシングの際に前記正レンズが固定されていることを特徴とする中望遠レンズ。
【0100】
(7)特許請求の範囲の請求項1,2又は3あるいは前記の(1),(2),(3),(4),(5)又は(6)の項に記載する中望遠レンズを用いた撮像装置。
【0101】
【発明の効果】
本発明の中望遠レンズは、画角が20°乃至40°程度でFナンバーが2.8程度と明るいレンズ系であって、レンズ系と撮像素子との間にローパスフィルターや赤外カットフィルターさらに色分解光学系やファインダー、自動焦点、自動露出のための光路分岐用部材等の光学部材を挿入し得る十分に長いバックフォーカスを有するもので、小型で多くのピクセルを配列した撮像素子を用いた電子カメラやビデオカメラなどに最適な極めて高い光学性能を有する比較的小型なレンズ系である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1の断面図
【図2】本発明の実施例2の断面図
【図3】本発明の実施例3の断面図
【図4】本発明の実施例4の断面図
【図5】本発明の実施例5の断面図
【図6】本発明の実施例6の断面図
【図7】本発明の実施例7の断面図
【図8】本発明の実施例8の断面図
【図9】本発明の実施例9の断面図
【図10】本発明の実施例1の無限遠物点における収差曲線図
【図11】本発明の実施例1の近距離物点における収差曲線図
Claims (3)
- 物体側から順に、全体として負の屈折力の前群と、全体として正の屈折力の後群とからなり、前記前群が物体側から順に正レンズのみからなる第1レンズ群と負レンズのみからなる第2レンズ群からなり、前記後群が物体側から順に全体として正の屈折力の第3レンズ群と、全体として負の屈折力の第4レンズ群と、全体として正の屈折力の第5レンズ群とよりなり、前記第3レンズ群が、物体側より順に、少なくとも1枚の正レンズを含むレンズ成分と物体側に凹面を向けた正のメニスカスレンズと物体側に凹面を向けた負のメニスカスレンズとを接合した接合レンズとを含むレンズ系で、下記条件を満足する中望遠レンズ。
(1) 0.3<|fF /fR |<1.5
(2) 0.05<|fR /f4 |<0.8
(3) 0.8<|f5 /fR |<1.5
ただし、fF ,fR ,f4 ,f5 は夫々前群,後群、後群中の第4レンズ群および後群中の第5レンズ群の焦点距離である。 - 前記第4レンズ群が、物体側から順に、両凹レンズと両凸レンズとを接合した接合レンズよりなることを特徴とする請求項1の中望遠レンズ。
- 請求項1又は2に記載する中望遠レンズを用いた撮像装置。
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