JP3982508B2 - 内燃機関の混合気温度推定装置 - Google Patents

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Description

本発明は、一作動サイクル中においてパイロット噴射用の燃料を燃焼室内に噴射した後にメイン噴射用の燃料を同燃焼室内に噴射する内燃機関に適用され、前記メイン噴射による混合気(以下、「メイン混合気」と称呼する。)の温度を推定する内燃機関の混合気温度推定装置に関する。
火花点火式内燃機関、ディーゼル機関等の内燃機関から排出されるNOx等のエミッションの量は、着火後の火炎温度(燃焼温度)に強い相関を有している。従って、NOx等のエミッションの排出量を低減するためには火炎温度を所定温度に制御することが有効である。一般に、この火炎温度は検出され得ないから、火炎温度を所定温度に制御するためには同火炎温度を推定する必要がある。一方、火炎温度は、着火前の混合気温度(以下、単に「混合気温度」と云うこともある。)により変化する。よって、火炎温度を推定するためには混合気温度を推定することが効果的である。
また、特に、圧縮による自己着火により混合気が燃焼を開始するディーゼル機関においては、機関の運転状態に応じて着火時期を適切に制御する必要がある。この着火時期は着火前の混合気温度に大きく依存する。従って、着火時期を適切に制御するためにも混合気温度を推定する必要がある。
このような観点に基づき、下記特許文献1に記載のディーゼル機関の燃料噴射装置は、機関の運転状態に応じて目標着火時期を設定し、機関冷却水温、吸気温度、吸気圧力等のような混合気温度に影響を与える各種運転状態量に基づいて目標着火時期における混合気温度を推定する。そして、この装置は、前記推定された混合気温度が所定温度になるように燃料噴射形態(例えば、噴射時期、噴射圧力等)を制御することで着火時期を目標着火時期に一致させるようになっている。
特開2001−254645号公報
ところで、内燃機関、特に、ディーゼル機関においては、燃料(混合気)の着火性を向上等するため、一作動サイクル中においてメイン噴射(主噴射)に先立って少なくとも1回のパイロット噴射を行うように構成されたものが知られている。この場合、メイン噴射による燃料(従って、メイン混合気)が燃焼室内を移動していくときにおいては、パイロット噴射による燃焼後の混合気(本明細書においては、パイロット噴射による着火前の混合気のみならず、同パイロット噴射による混合気の燃焼により形成されたガスをも、「パイロット混合気」と称呼する。)は、燃焼室の(内壁面が略円筒状を呈した)側壁の近傍にて略環状に滞留していると考える(仮定する)ことができる。
そうすると、メイン混合気(の先頭部)が上記略環状に滞留しているパイロット混合気に到達するまでの間は、メイン混合気は燃焼室内に吸入されている筒内ガスに取り囲まれるとともに同筒内ガスを同メイン混合気の一部として取り込みながら進行していく。一方、メイン混合気(の先頭部)が上記略環状に滞留しているパイロット混合気に到達した後は、メイン混合気は同滞留しているパイロット混合気に取り囲まれるとともに同パイロット混合気を同メイン混合気の一部として取り込みながら進行していくことになる。
以上のことから、メイン噴射後に燃料室内を進行していくメイン混合気の温度は、同メイン混合気(の先頭部)が上記略環状に滞留しているパイロット混合気に到達するまでの間は、上記筒内ガスの温度に影響されるとともに、同メイン混合気(の先頭部)が上記略環状に滞留しているパイロット混合気に到達した後は、同滞留しているパイロット混合気の温度に影響される。
しかしながら、上記従来の装置において推定される混合気温度の値は、少なくとも上述した滞留しているパイロット混合気の温度の影響を考慮することなく求められる値である。従って、前記推定される混合気温度に誤差が生じ、この結果、着火時期を目標着火時期に精度良く一致させることができないという問題がある。
本発明は、かかる問題に対処するためになされたものであって、その目的は、メイン混合気が燃焼室内を進行していくときにパイロット混合気が燃焼室の側壁近傍に滞留していると仮定することで、メイン混合気の温度を精度良く推定することができる内燃機関の混合気温度推定装置を提供することにある。
本発明に係る内燃機関の混合気温度推定装置は、筒内ガス温度推定手段と、パイロット混合気温度推定手段と、判定手段と、メイン混合気温度推定手段と、を備える。以下、個別に概説していく。
筒内ガス温度推定手段は、燃焼室内に吸入されている筒内ガス(新気、EGRガス等)の温度を推定する手段である。筒内ガスの温度は、例えば、燃焼室内に密閉された筒内ガスの状態がピストンの移動に伴って断熱変化すると仮定することで逐次求めることができる。
パイロット混合気温度推定手段は、パイロット噴射による混合気であるパイロット混合気の温度を推定する手段である。ここにおいて、「パイロット混合気」は、着火前のパイロット混合気のみならず、パイロット混合気の燃焼により形成されたガス(以下、「着火後のパイロット混合気」と称呼する。)をも含む(即ち、「パイロット混合気」は、着火前後を問わずパイロット噴射による燃焼に係わるガスを意味する)。
パイロット混合気(先頭部)は、同パイロット混合気を取り囲む周囲ガスである筒内ガスを同パイロット混合気の一部として取り込みながら進行していく。従って、パイロット混合気温度は、筒内ガスの温度を利用して求めていくことができる。具体的には、パイロット混合気温度は、例えば、パイロット噴射による燃料の熱量(温度)と、筒内ガスのうち同燃料と混ざり合ってパイロット混合気を形成していく部分の熱量(温度)とに基づいて、同燃料と同筒内ガスの部分とが混ざり合う過程において外部との熱交換がないとの仮定のもと、断熱パイロット混合気温度として求めていくことができる。
判定手段は、(燃焼後の)パイロット混合気が燃焼室の(内壁面が略円筒状を呈した)側壁の近傍にて略環状に滞留しているとの仮定のもと、メイン混合気が同滞留しているパイロット混合気(が占める領域)に到達したか否かを判定する手段である。ここにおいて、燃焼室の側壁とは、例えば、シリンダの側壁、或いは、ピストンの頂面に同ピストンの軸心を軸心とする円柱状の凹部(以下、「キャビティ」と称呼する。)が形成されている場合には同キャビティの側壁等であって、これらに限定されない。
略環状に滞留しているパイロット混合気の径方向の厚さは、例えば、パイロット混合気が占める体積に基づいて求めることができる。パイロット混合気が占める体積は、パイロット噴射による燃料の噴射量、同滞留しているパイロット混合気の空気過剰率、同滞留しているパイロット混合気の温度及び圧力、同滞留しているパイロット混合気についての気体の状態方程式等を利用して求めることができる。
また、燃焼室内を進行していくメイン混合気先頭部の位置は、例えば、所定の実験式等に従ってメイン噴射開始時点からの経過時間の関数として求めることができる。以上のことから、メイン混合気(先頭部)が上記滞留しているパイロット混合気(が占める領域)に到達したか否かは、メイン混合気先頭部の位置、及び略環状に滞留しているパイロット混合気の径方向の厚さ等に基づいて判定することができる。
メイン混合気温度推定手段は、メイン混合気の温度を推定する手段であって、メイン混合気が前記滞留しているパイロット混合気に到達していないと判定されている間は筒内ガスの温度を利用してメイン混合気温度を推定していき、同メイン混合気が同滞留しているパイロット混合気に到達したと判定された後はパイロット混合気の温度を利用して同メイン混合気温度を推定していくように構成される。
メイン混合気も上述したパイロット混合気の場合と同様、同メイン混合気を取り囲む周囲ガスを同メイン混合気の一部として取り込みながら進行していく。ここで、メイン混合気を取り囲む周囲ガスは、メイン混合気(先頭部)が前記滞留しているパイロット混合気に到達していない間は上記筒内ガスであり、同メイン混合気先頭部が同滞留しているパイロット混合気に到達した後は同滞留しているパイロット混合気となる。
従って、上記のように構成すれば、メイン混合気先頭部が上記滞留しているパイロット混合気に到達する前後に渡って適切に選択された周囲ガスの温度を利用してメイン混合気温度が推定されていく。具体的には、メイン混合気温度は、例えば、メイン噴射による燃料の熱量(温度)と、上記適切に選択された周囲ガスのうち同燃料と混ざり合ってメイン混合気を形成していく部分の熱量(温度)とに基づいて、同燃料と同周囲ガスの部分とが混ざり合う過程において外部との熱交換がないとの仮定のもと、断熱メイン混合気温度として求めていくことができる。以上より、メイン混合気先頭部が上記滞留しているパイロット混合気に到達する前後に渡ってメイン混合気の温度を精度良く推定していくことができ、この結果、例えば、同精度良く推定されたメイン混合気温度に基づいて着火時期を目標着火時期に正確に一致させることができる。
上記本発明に係る混合気温度推定装置において、前記判定手段は、前記略環状に滞留しているパイロット混合気の径方向の厚さを、前記パイロット噴射の噴射方向に対応する位置の厚さが同パイロット噴射の噴射方向に対応しない位置の厚さに比して厚くなるように、不均一に設定するように構成されることが好適である。
例えば、燃焼室の側壁面(例えば、シリンダの内壁面、キャビティの側壁面等)が略円筒状を呈していて、シリンダヘッドにおける同円筒の軸心上の位置に配設された燃料噴射弁の複数の噴孔から、上記燃焼室の側壁面に向けて同軸心を中心軸とする仮想円錐状に(互いに均等な角度もって)燃料がそれぞれ同時に噴射(パイロット噴射、及びメイン噴射)される場合、同噴射された各燃料がそれぞれ燃焼室内において拡散していく形態を考慮すると、上記略環状に滞留しているパイロット混合気の径方向の厚さは、パイロット噴射の噴射方向に対応する位置の厚さが同パイロット噴射の噴射方向に対応しない位置の厚さに比して厚くなるように不均一に分布する傾向があると考えられる。
このような略環状に滞留しているパイロット混合気の径方向の厚さにおける不均一の程度は、上記燃料噴射弁の噴孔の数が多くなるほど小さくなる。従って、上記噴孔の数が比較的多い場合には、上記不均一性を無視して上記略環状に滞留しているパイロット混合気の径方向の厚さは前記パイロット噴射の噴射方向にかかわらず均一に分布すると仮定することができる一方、同噴孔数が比較的少ない場合においては、上記不均一性を無視することができない。
以上のことから、例えば、燃料噴射弁の噴孔数が比較的少ない場合(所定数以下である場合)、上記のように、前記滞留しているパイロット混合気の径方向の厚さを、パイロット噴射の噴射方向に対応する位置の厚さが同パイロット噴射の噴射方向に対応しない位置の厚さに比して厚くなるように設定すれば、メイン混合気(先頭部)が同滞留しているパイロット混合気(が占める領域)に到達したか否かをより正確に判定することができるようになる。従って、燃焼室内を進行していくメイン混合気を取り囲む周囲ガスをより適切に選択できるようになるから、メイン混合気温度がより一層精度良く推定され得る。
この場合、前記判定手段は、前記略環状に滞留しているパイロット混合気の径方向の厚さの不均一の程度を時間の経過と共に少なくしていくように構成されることが好適である。上記滞留しているパイロット混合気の径方向の厚さが不均一に分布している場合であっても、その後において同滞留しているパイロット混合気が拡散していく形態を考慮すると、上記不均一の程度は時間の経過と共に少なくなっていくと考えることができる。よって、上記のように構成すれば、メイン混合気(先頭部)が同滞留しているパイロット混合気に到達したか否かを更に一層正確に判定することができるようになり、この結果、メイン混合気温度が更に一層精度良く推定され得る。
また、上記本発明に係る混合気温度推定装置において、前記環状に滞留しているパイロット混合気の径方向の厚さを不均一に設定する場合、スワールにより発生するスワール流速を表す値を取得するスワール流速取得手段を更に備え、前記判定手段は、前記略環状に滞留しているパイロット混合気における前記パイロット噴射の噴射方向に対応する位置及び同パイロット噴射の噴射方向に対応しない位置を、前記取得されたスワール流速を表す値に応じて変更していくように構成されることが好適である。ここにおいて、前記スワール流速を表す値としては、例えば、スワール比が一定である場合における機関の回転速度等が挙げられる。
一般に、内燃機関においては、燃焼効率を向上等するため筒内ガスにスワールにより発生するスワール流速(周方向の流速)が与えられるようになっている。従って、上記略環状に滞留しているパイロット混合気も係るスワール流速に応じて周方向に回転するものと考えることができる。そうすると、上記滞留しているパイロット混合気の径方向の厚さが不均一に分布している場合、前記径方向の厚さが相対的に厚くなっている位置(従って、上記パイロット噴射の噴射方向に対応する位置)、並びに、同径方向の厚さが相対的に薄くなっている位置(従って、上記パイロット噴射の噴射方向に対応しない位置)もスワール流速に応じて周方向に変化していく。
従って、上記のように、前記略環状に滞留しているパイロット混合気におけるパイロット噴射の噴射方向に対応する位置及び同パイロット噴射の噴射方向に対応しない位置を、前記取得されたスワール流速を表す値に応じて変更していくように構成すれば、メイン混合気(先頭部)が同滞留しているパイロット混合気に到達する位置における同パイロット混合気の径方向の厚さがより一層正確に計算できるから、同メイン混合気が同滞留しているパイロット混合気に到達したか否かを更に一層正確に判定することができるようになり、この結果、メイン混合気温度が更に一層精度良く推定され得る。
以下、本発明による内燃機関の混合気温度推定装置を含んだ内燃機関(ディーゼル機関)の制御装置の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明による第1実施形態に係る内燃機関の混合気温度推定装置を含んだ制御装置を4気筒内燃機関(ディーゼル機関)10に適用したシステム全体の概略構成を示している。このシステムは、燃料供給系統を含むエンジン本体20、エンジン本体20の各気筒の燃焼室(筒内)にガスを導入するための吸気系統30、エンジン本体20からの排ガスを放出するための排気系統40、排気還流を行うためのEGR装置50、及び電気制御装置60を含んでいる。
エンジン本体20の各気筒の上部には燃料噴射弁(噴射弁、インジェクタ)21が配設されている。各燃料噴射弁21は、図示しない燃料タンクと接続された燃料噴射用ポンプ22に燃料配管23を介して接続されている。燃料噴射用ポンプ22は、電気制御装置60と電気的に接続されていて、同電気制御装置60からの駆動信号(後述する指令最終燃料噴射圧力Pcrfinに応じた指令信号)により燃料の実際の噴射圧力(吐出圧力)が同指令最終燃料噴射圧力Pcrfinになるように同燃料を昇圧するようになっている。
これにより、燃料噴射弁21には、燃料噴射用ポンプ22から前記指令最終燃料噴射圧力Pcrfinまで昇圧された燃料が供給されるようになっている。また、燃料噴射弁21は、電気制御装置60と電気的に接続されていて、同電気制御装置60からの駆動信号(指令パイロット燃料噴射量qfinp、及び指令メイン燃料噴射量qfinmに応じた指令信号)により所定時間だけ開弁し、これにより、各気筒の燃焼室内に前記指令最終燃料噴射圧力Pcrfinにまで昇圧された燃料を直接、前記指令パイロット燃料噴射量qfinpだけパイロット噴射するとともにその後にメイン噴射量qfinmだけメイン噴射するようになっている。
吸気系統30は、エンジン本体20の各気筒の燃焼室にそれぞれ接続された吸気マニホールド31、吸気マニホールド31の上流側集合部に接続され同吸気マニホールド31とともに吸気通路を構成する吸気管32、吸気管32内に回動可能に保持されたスロットル弁33、電気制御装置60からの駆動信号に応答してスロットル弁33を回転駆動するスロットル弁アクチュエータ33a、スロットル弁33の上流において吸気管32に順に介装されたインタクーラー34と過給機35のコンプレッサ35a、及び吸気管32の先端部に配設されたエアクリーナ36とを含んでいる。
排気系統40は、エンジン本体20の各気筒にそれぞれ接続された排気マニホールド41、排気マニホールド41の下流側集合部に接続された排気管42、排気管42に配設された過給機35のタービン35b、及び排気管42に介装されたディーゼルパティキュレートフィルタ(以下、「DPNR」と称呼する。)43を含んでいる。排気マニホールド41及び排気管42は排気通路を構成している。
DPNR43は、コージライト等の多孔質材料から形成されたフィルタ43aを備え、通過する排気ガス中のパティキュレートを細孔表面にて捕集するフィルタである。DPNR43は、担体としてのアルミナに、カリウムK,ナトリウムNa,リチウムLi,セシウムCsのようなアルカリ金属、バリウムBa,カルシウムCaのようなアルカリ土類金属、及びランタンLa、イットリウムYのような希土類金属から選ばれた少なくとも一つを白金とともに担持し、NOxを吸収した後に同吸収したNOxを放出して還元する吸蔵還元型NOx触媒としても機能するようになっている。
EGR装置50は、排気ガスを還流させる通路(EGR通路)を構成する排気還流管51と、排気還流管51に介装されたEGR制御弁52と、EGRクーラー53とを備えている。排気還流管51はタービン35bの上流側排気通路(排気マニホールド41)とスロットル弁33の下流側吸気通路(吸気マニホールド31)を連通している。EGR制御弁52は電気制御装置60からの駆動信号に応答し、再循環される排気ガス量(排気還流量、EGRガス流量)を変更し得るようになっている。
電気制御装置60は、互いにバスで接続されたCPU61、CPU61が実行するプログラム、テーブル(ルックアップテーブル、マップ)、及び定数等を予め記憶したROM62、CPU61が必要に応じてデータを一時的に格納するRAM63、電源が投入された状態でデータを格納するとともに同格納したデータを電源が遮断されている間も保持するバックアップRAM64、並びにADコンバータを含むインターフェース65等からなるマイクロコンピュータである。
インターフェース65は、空気流量(新気流量)計測手段であって吸気管32に配置された熱線式エアフローメータ71、スロットル弁33の下流であって排気還流管51が接続された部位よりも下流の吸気通路に設けられた吸気温センサ72、スロットル弁33の下流であって排気還流管51が接続された部位よりも下流の吸気通路に配設された吸気管圧力センサ73、クランクポジションセンサ74、アクセル開度センサ75、燃料噴射用ポンプ22の吐出口の近傍の燃料配管23に配設された燃料温度センサ76、気筒毎にそれぞれ配置された筒内圧力センサ77、及び、スロットル弁33の下流であって排気還流管51が接続された部位よりも下流の吸気通路に配設された吸気酸素濃度センサ78と接続されていて、これらのセンサからの信号をCPU61に供給するようになっている。また、インターフェース65は、燃料噴射弁21、燃料噴射用ポンプ22、スロットル弁アクチュエータ33a、及びEGR制御弁52と接続されていて、CPU61の指示に応じてこれらに駆動信号を送出するようになっている。
熱線式エアフローメータ71は、吸気通路内を通過する吸入空気の質量流量(単位時間当りの吸入空気量、単位時間あたりの新気量)を計測し、同質量流量Ga(空気流量Ga)を表す信号を発生するようになっている。吸気温センサ72は、エンジン10のシリンダ(即ち、燃焼室、筒内)に吸入されるガスの温度(即ち、吸気温度)を検出し、同吸気温度Tbを表す信号を発生するようになっている。吸気管圧力センサ73は、エンジン10のシリンダに吸入されるガスの圧力(即ち、吸気管圧力)を検出し、同吸気管圧力Pbを表す信号を発生するようになっている。
クランクポジションセンサ74は、各気筒の絶対クランク角度を検出し、クランク角度CAを表すとともにエンジン10の回転速度であるエンジン回転速度NEをも表す信号を発生するようになっている。アクセル開度センサ75は、アクセルペダルAPの操作量を検出し、アクセル開度Accpを表す信号を発生するようになっている。燃料温度センサ76は、燃料配管23を通過する燃料の温度を検出し、燃料温度Tcrを表す信号を発生するようになっている。各筒内圧力センサ77は、燃焼室内のガスの圧力(従って、上記筒内ガスの圧力)を検出し、筒内ガス圧力Paを表す信号を発生するようになっている。この筒内圧力センサ77は、後述するようにパイロット混合気の着火時点を検出するためにのみ使用される。吸気酸素濃度センサ78は、燃焼室内に吸入される吸気中の酸素濃度を検出し、吸気酸素濃度RO2inを表す信号を発生するようになっている。
(混合気温度の推定方法の概要)
次に、上記のように構成された内燃機関の制御装置(以下、「本装置」と云うこともある。)による混合気温度の推定方法について説明する。図2は、或る一つの気筒のシリンダ内(筒内、燃焼室内)に吸気マニホールド31からガスが吸入され、燃焼室内に吸入されたガスが排気マニホールド41へ排出される様子を模式的に示した図である。
図2に示したように、燃焼室は、シリンダヘッドと、円筒状のシリンダ内壁面と、ピストン24とにより画定されている。ピストン24の頂面24aには、シリンダの軸心と同軸的に、側面24b、及び底面24cから構成される円柱状の凹部(以下、「キャビティ24d」と称呼する。)が形成されている。燃料噴射弁21は、その軸心がシリンダの軸心と一致するようにシリンダヘッドに固定配置されていて、その先端には、噴射される燃料(従って、混合気)が、後述する図4(a)に示すように、互いに均等な角度をもって10方向に向けてシリンダの軸心を中心軸とした仮想円錐状に、且つ、キャビティ24dの側面24bに向けて拡散していくように10個の噴孔が設けられている。
図2に示したように、燃焼室内に吸入されるガス(従って、筒内ガス)には、吸気管32の先端部からスロットル弁33を介して吸入された新気と、排気還流管51からEGR制御弁52を介して吸入されたEGRガスが含まれる。吸入される新気量(質量)と吸入されるEGRガス量(質量)の和に対するEGRガス量の割合(即ち、EGR率)は、運転状態に応じて電気制御装置60(CPU61)により適宜制御されるスロットル弁33の開度、及びEGR制御弁52の開度に応じて変化する。
かかる新気、及びEGRガスは、吸気行程において開弁している吸気弁Vinを介してピストンの下降に伴って燃焼室内に吸入されて筒内ガスとなる。筒内ガスは、ピストンが下死点に達した時点で吸気弁Vinが閉弁することにより燃焼室内に密閉され、その後の圧縮行程においてピストンの上昇に伴って圧縮される。そして、本装置は、所定の燃料噴射開始時期(具体的には、パイロット噴射開始時期、或いはメイン噴射開始時期)が到来すると燃料を燃焼室内に直接噴射する。この結果、10個の噴孔から噴射された(液体の)燃料は、圧縮により高温になっている筒内ガスから受ける熱により直ちに燃料蒸気になるとともに、時間の経過に伴って同燃料蒸気の周囲を取り囲む周囲ガス(ここでは、筒内ガス)と混ざり合いながら混合気となって燃焼室内において円錐状に拡散していく。以下、先ずは、パイロット混合気とメイン混合気とを区別することなく説明を行っていく。
図3は、任意の1つの噴孔からの噴射により筒内ガスと混ざり合いながら混合気となって円錐状に拡散していく燃料蒸気の様子を模式的に示した図である。いま、前記所定時間だけ継続して噴射される燃料のうちの先頭部における質量mfの燃料(燃料蒸気)について考える。この質量mfの燃料蒸気は、燃料噴射開始時点(即ち、噴射後経過時間t=0)において噴射された後、噴霧角θ(図3を参照)をもって円錐状に拡散していき、任意の噴射後経過時間tにおいては、上記周囲ガス(ここでは、筒内ガス)の一部である質量maの筒内ガス(以下、「混合気形成筒内ガス」と云うこともある。)と混ざり合って質量(mf+ma)の混合気先頭部となるものと仮定する。本装置は、この混合気先頭部の任意の噴射後経過時間tにおける温度(後述するパイロット混合気温度Tmixp、及びメイン混合気温度Tmixm)をパイロット混合気、及びメイン混合気についてそれぞれ個別に推定するものである。以下、先ず、この混合気先頭部の温度の推定に必要となる、任意の噴射後経過時間tにおける質量mfの燃料蒸気と混ざり合う混合気形成筒内ガスの質量ma(燃料蒸気の質量mfに対する混合気形成筒内ガスの質量maの割合(質量比))の取得方法について説明する。
<混合気形成筒内ガスの質量maの取得>
噴射後経過時間tにおける上記混合気形成筒内ガスの質量maの取得するためには、噴射後経過時間tにおける燃料蒸気の質量mfに対する混合気形成筒内ガスの質量maの割合(即ち、質量比ma/mf)を求めればよい。いま、上記混合気先頭部における噴射後経過時間tにおける空気過剰率λを下記(1)式に示すように定義する。下記(1)式において、stoichは理論空燃比(例えば、14.6)である。
λ=(ma/mf)/stoich ・・・(1)
このように定義される空気過剰率λは、例えば、機械学会論文集 25-156(1959年),820ページ 「ディーゼル機関の噴霧到達距離に関する研究」 和栗雄太郎,藤井勝,網谷竜夫,恒屋礼次郎 (以下、「非特許文献1」と称呼する。)にて紹介された実験式である下記(2)式、及び下記(3)式に基づいて噴射後経過時間tの関数として求めることができる。
Figure 0003982508
上記(3)式において、tは上記噴射後経過時間であり、dλ/dtは噴射後経過時間tの関数である燃料希釈率である。また、cは収縮係数、dは燃料噴射弁21の噴孔径、ρfは(液体の)燃料密度、Lは論理希釈ガス量であって、これらの各値は全て定数である。
上記(3)式において、ΔPは有効噴射圧力であって、上記最終燃料噴射圧力Pcrfinから噴射開始時点(即ち、噴射後経過時間t=0)での筒内ガス圧力Pa0を減じた値である。筒内ガス圧力Pa0は、圧縮行程(及び膨張行程)における筒内ガスの状態がピストンが下死点に達した時点(以下、「ATDC-180°」と称呼する。筒内ガスが密閉された時点)以降断熱変化するとの仮定のもと、下記(4)式に従って求めることができる。
Pa0=Pbottom・(Vbottom/Va0)κ ・・・(4)
上記(4)式において、PbottomはATDC-180°における筒内ガス圧力である。ATDC-180°において筒内ガス圧力は吸気管圧力Pbと略等しいと考えられるから、Pbottomは、ATDC-180°において吸気管圧力センサ73により検出される吸気管圧力Pbとして取得することができる。VbottomはATDC-180°における筒内容積であり、Va0は噴射後経過時間t=0におけるクランク角度CAに対応する筒内容積である。筒内容積Vaは機関10の設計諸元に基づいてクランク角度CAの関数Va(CA)として取得することができるから、Vbottom,Va0も取得することができる。κは筒内ガスの比熱比である。
また、上記(3)式において、θは図3に示した噴霧角である。噴霧角θは、噴射開始時点(即ち、噴射後経過時間t=0)における筒内ガスの密度ρa0、及び上記有効噴射圧力ΔPに応じて変化すると考えられるから、筒内ガスの密度ρa0、及び有効噴射圧力ΔPと噴霧角θとの関係を予め規定したテーブルMapθに基づいて取得することができる。筒内ガスの密度ρa0は、筒内ガスの全質量Maを、噴射後経過時間t=0における上記筒内容積Va0で除することで取得することができる。筒内ガスの全質量Maは、ATDC-180°における気体の状態方程式に基づく下記(5)式に従って取得され得る。下記(5)式において、TbottomはATDC-180°における筒内ガス温度である。ATDC-180°において筒内ガス温度は吸気温度Tbと略等しいと考えられるから、Tbottomは、ATDC-180°において吸気温センサ72により検出される吸気温度Tbとして取得することができる。Raは筒内ガスのガス定数である。
Ma=Pbottom・Vbottom/(Ra・Tbottom) ・・・(5)
また、上記(3)式において、ρaは噴射後経過時間tにおける筒内ガス密度であって、前記筒内ガスの全質量Maを、噴射後経過時間tにおける上記筒内容積Va(CA)で除することで、噴射後経過時間tの関数として取得することができる。
以上、噴射後経過時間t=0において有効噴射圧力ΔPと噴霧角θとを先ず求め、以降、噴射後経過時間tの値と同噴射後経過時間tの関数である筒内ガス密度ρaの値とにより、上記(3)式に従って燃料希釈率dλ/dtを逐次求めていき、逐次求めた燃料希釈率dλ/dtの値を上記(2)式に従って時間で積分していくことで噴射後経過時間tにおける空気過剰率λを取得することができる。そして、噴射後経過時間tにおける空気過剰率λを取得することができれば、上記(1)式から噴射後経過時間tにおける質量比ma/mfを取得することができる。
なお、上記(3)式から取得される燃料希釈率dλ/dtの値は常に正の値となることから上記(2)式から取得される空気過剰率λの値は噴射後経過時間tの増大に従って増加していく。そうすると、上記(1)式から理解できるように、質量比(ma/mf)の値が噴射後経過時間tの増大に従って増加していく。このことは、噴射後の燃料蒸気(の先頭部)が円錐状に拡散していくことに伴って混合気先頭部において燃料蒸気と混ざり合う筒内ガス(従って、混合気形成筒内ガス)の量が増大していくことに対応している。
<混合気温度Tmixの取得>
上述したように、噴射後経過時間tにおける質量比ma/mfを取得することができれば、以下のようにして、前記混合気先頭部の周囲ガスが常に筒内ガスである場合における同混合気先頭部の混合気温度Tmix(=Tmix(k))をCPU61の演算周期毎に取得することができる。この混合気温度Tmix(k)は、前記混合気先頭部を構成する質量mfの燃料蒸気と質量maの混合気形成筒内ガスが混ざり合う過程において外部(即ち、燃料と混ざり合わずに混合気の周辺に存在する筒内ガス(以下、「周辺筒内ガス」と称呼する。))との熱交換がないとの仮定のもとで計算される混合気先頭部の温度(断熱混合気温度)である。なお、Tmixの後の添え字(k)は、今回の演算値(今回値)であることを示す。以下、Tmix以外の他の変数についても、添え字(k)は今回値であることを示し、添え字(k-1)は前回の演算値(前回値)であることを示すものとする。
いま、質量比(前回値)(ma/mf)(k-1)、質量(mf+ma)、混合気温度(前回値)Tmix(k-1)の混合気(従って、前回の演算時点での混合気)を考えると、係る混合気が有する熱量は、混合気の比熱Cmix(k-1)、及び混合気温度Tmix(k-1)を用いて「(mf+ma)・Cmix(k-1)・Tmix(k-1)」と表すことができる。ここで、混合気の比熱Cmix(k-1)は下記(6)式に従って表すことができる。下記(6)式において、Cfは燃料蒸気の比熱であり、Caは筒内ガスの比熱である。
Cmix(k-1)=(Cf+(ma/mf)(k-1)・Ca)/(1+(ma/mf)(k-1)) ・・・(6)
一方、前回の演算時点から今回の演算時点までの間に新たに混合気として加わる混合気形成筒内ガスの質量をΔmaとすると、質量Δmaの混合気形成筒内ガスが有する熱量は、筒内ガスの比熱Ca、及び(今回の演算時点での)筒内ガス温度Taを用いて「Δma・Ca・Ta」と表すことができる。筒内ガス温度Ta(即ち、混合気形成筒内ガス、及び周辺筒内ガスの温度)は、圧縮行程(及び膨張行程)における筒内ガスの状態が断熱変化するとの仮定のもと、下記(7)式に従って求めることができる。
Ta=Tbottom・(Vbottom/Va(CA))κ-1 ・・・(7)
そして、質量Δmaの混合気形成筒内ガスの温度Taが混合気温度(今回値)Tmix(k)まで低下する際に同混合気形成筒内ガスから放出される熱量は全て、質量(mf+ma)の混合気の温度(即ち、混合気温度(前回値)Tmix(k-1))を混合気温度(今回値)Tmix(k)まで増加させるために同混合気に吸収される、と考えれば、下記(8)式が成立し、下記(8)式を混合気温度(今回値)Tmix(k)について解いて整理すると、下記(9)式が得られる。
Δma・Ca・(Ta−Tmix(k))=(mf+ma)・Cmix(k-1)・(Tmix(k)−Tmix(k-1)) ・・・(8)
Tmix(k)=(Cmix(k-1)・Tmix(k-1)+A・Ca・Ta)/(Cmix(k-1)+A・Ca) ・・・(9)
上記(9)式において、Aは、値Δma/(mf+ma) である。ここで、Δma/mf=(ma/mf)(k)−(ma/mf)(k-1) が成立するから、値Aについて下記(10)式が得られる。従って、値Aは下記(10)式に従って、質量比前回値(ma/mf)(k-1)、及び質量比今回値(ma/mf)(k)を利用して求めることができる。
A=((ma/mf)(k)−(ma/mf)(k-1))/(1+(ma/mf)(k-1)) ・・・(10)
以上のことから、混合気温度Tmix、混合気の比熱Cmix、及び質量比ma/mfの初期値(即ち、噴射後経過時間t=0での値)をそれぞれ与えれば、上記(9)式に従って、混合気先頭部の周囲ガスが常に筒内ガスである場合における噴射後経過時間t=0以降における混合気温度Tmix(k)(断熱混合気温度)を演算周期毎に逐次求めていくことができる。なお、混合気温度Tmix、混合気の比熱Cmix、及び質量比ma/mfの初期値としては、燃料蒸気の温度Tf、燃料蒸気の比熱Cf、及び「0」がそれぞれ使用される。
ここで、燃料蒸気の温度Tfは、液体の燃料が噴射直後に燃料蒸気に変化する際の単位質量当たりの潜熱Qvaporを考慮して、下記(11)式にて表すことができる。下記(11)式において、Tcrは噴射後経過時間t=0において燃料温度センサ76により検出される液体の燃料温度である。αcrは燃料が燃料噴射用ポンプ22の吐出口近傍から燃料噴射弁21までの燃料配管23を通過する際の熱損失分を考慮するための補正係数である。
Tf=αcr・Tcr−Qvapor/Cf ・・・(11)
<パイロット混合気温度Tmixpの取得>
次に、パイロット混合気温度Tmixpの取得方法について説明する。以下、説明の便宜上、上記各種変数等(或いは、新たに登場する変数等)について、パイロット混合気に係わるものにはその末尾に「p」を、メイン混合気に係わるものにはその末尾に「m」を付するものとする。
パイロット噴射による混合気であるパイロット混合気(の先頭部)が燃焼室内を進行していく過程においては、同パイロット混合気先頭部の周囲を取り囲む周囲ガスは常に上記筒内ガスである。従って、パイロット噴射後経過時間tp=0以降におけるパイロット混合気温度Tmixp(k)は、上記周囲ガスである筒内ガスの温度Ta、及び筒内ガスの比熱Caを使用した、パイロット混合気に係わる上記(9)式に相当する式をそのまま利用することでCPU61の演算周期毎に逐次求めていくことができる。
また、パイロット混合気の着火時点において、パイロット混合気の温度は燃焼に起因して瞬時に上昇する。この温度上昇量は、パイロット混合気に係わる上記(2)式に相当する式に従って逐次計算されている着火時点でのパイロット混合気に係わる空気過剰率λpに応じて変化するから同空気過剰率λpを引数とする関数Tburn(λp)で表すことができる。
以上より、本装置は、基本的に、パイロット混合気の着火前後を問わず、パイロット噴射後経過時間tp=0以降におけるパイロット混合気温度Tmixp(k)を、パイロット混合気に係わる上記(9)式に相当する式をそのまま利用することで演算周期毎に逐次求めていく。そして、パイロット混合気の着火時点を筒内圧力センサ77により検出される筒内ガス圧力Paの変化(急激な上昇)によりモニタし、同着火時点が検出されたとき、同着火時点(或いはその直後)にて算出されているパイロット混合気温度Tmixp(k)に同着火時点における空気過剰率λpに基づく値Tburn(λp)を加えることでパイロット混合気温度Tmixp(k)を一回のみ補正する。以上が、パイロット混合気温度Tmixp(k)の取得方法の概要である。
<パイロット混合気先頭部が燃焼室内壁面に衝突した後の処置>
先に述べたように、燃料噴射弁21からパイロット噴射された燃料(従って、パイロット混合気先頭部)は、図4(a)に示すように、キャビティ24dの側面24bに向けて移動していく。そして、パイロット混合気先頭部は、噴射開始時点以降、所定時間が経過すると、上記側面24b(燃焼室内壁面)に到達する。
パイロット混合気先頭部が上記側面24bに到達すると、それ以降、パイロット混合気(全体)は、同側面24bへの衝突により径方向の運動量を失って、図4(b)に示すように、同側面24b(燃焼室の側壁)の近傍にて均一な径方向の厚さ(後述するパイロット混合気厚さrc)をもって環状に滞留すると考えられる。これは、上述したように、燃料噴射弁21の噴孔数(10個)が比較的多いから、上述した径方向の厚さの不均一性を無視することができることに基づく。
ここで、パイロット混合気先頭部が上記側面24bに到達する時点を特定するためには、パイロット噴射開始時点以降におけるパイロット混合気先頭部の燃料噴射弁21の噴孔からの到達距離、及び、同噴孔からキャビティ24dの側面24bまでの距離をそれぞれ求める必要がある。以下、これらの各値を求める手法について順に説明していく。
一般に、噴射開始時点以降における混合気先頭部の燃料噴射弁21の噴孔からの到達距離(以下、「混合気到達距離X」と称呼する。)は、例えば、上記非特許文献1にて紹介された実験式である下記(12)式、及び下記(13)式に基づいて噴射後経過時間tの関数として求めることができる。下記(13)式において、dX/dtは噴射後経過時間tの関数である混合気移動速度である。なお、下記(13)式の右辺に示される各種値は、上記(3)式の右辺に示されるものと同一である。
Figure 0003982508
即ち、噴射後経過時間tの値と同噴射後経過時間tの関数である筒内ガス密度ρaの値とにより、上記(13)式に従って混合気移動速度dX/dtを逐次求めていき、逐次求めた混合気移動速度dX/dtの値を上記(12)式に従って時間で積分していくことで噴射後経過時間tにおける混合気到達距離Xを取得することができる。従って、上述したパイロット混合気先頭部の燃料噴射弁21の噴孔からの到達距離Xpも、同パイロット混合気に係わる上記(12)式に相当する式に従ってパイロット噴射後経過時間tpの関数として求めていくことができる。
また、燃料噴射弁21の噴孔からキャビティ24dの側面24bまでの距離(以下、「燃焼室内壁面距離Xwall」と称呼することもある。)は、キャビティ24dの半径a、及び噴射角度θf(図4(a)を参照。)を用いて下記(14)式に従って表すことができる。
Xwall= a / cos(θf) ・・・(14)
以上のことから、本装置は、パイロット噴射開始時点以降、パイロット混合気到達距離Xpを上述した上記(12)に相当する式より逐次求めていき、「パイロット混合気到達距離Xp ≧ 燃焼室内壁面距離Xwall」の条件が成立した時点でパイロット混合気先頭部が燃焼室内壁面に衝突したと判定する。そして、本装置は、この時点以降、パイロット混合気(全体)が、キャビティ24dの側面24b(燃焼室の側壁)の近傍にて均一な径方向の厚さ(即ち、パイロット混合気厚さrc)をもって環状に滞留すると仮定する。
次に、係るパイロット混合気厚さrcを求める手法について説明する。このため、本例では、環状に滞留しているパイロット混合気について、図5に示すようなモデルを考える。このモデルでは、滞留しているパイロット混合気は、図6に示すように、厚さをパイロット混合気厚さrc、深さをキャビティ深さbとする断面長方形のリング形状を呈していて、キャビティ24dの側面24b、及び底面24cにそれぞれ接触しているものと仮定する。
図6から容易に理解できるように、パイロット混合気厚さrcを求めるためには環状に滞留しているパイロット混合気(全体)の体積Vmixpを求める必要がある。係る体積Vmixpを求めるためには上記環状に滞留しているパイロット混合気中の燃料濃度Rfuelpを求める必要がある。ここで、パイロット混合気燃料濃度Rfuelpは、下記(15)に従って求めることができる。
Rfuelp=[1+λp・(m+n/4)・{1+(1−RO2mix) / RO2mix}]-1 ・・・(15)
上記(15)式において、λpは上述したように、パイロット混合気に係わる上記(2)式に相当する式に従って逐次計算されているパイロット混合気に係わる空気過剰率である。mは燃料(軽油)の平均炭素原子数であり、nは同燃料の平均水素原子数である。また、RO2mixはパイロット混合気中の酸素濃度である。パイロット混合気酸素濃度RO2mixは圧縮下死点時における吸気酸素濃度RO2inと略等しいと考えられるから、RO2mixは、ATDC-180°において吸気酸素濃度センサ78により検出される吸気酸素濃度RO2inbottomとして取得することができる。
パイロット混合気燃料濃度Rfuelpが求められると、下記(16)式に従って上記環状に滞留しているパイロット混合気量(質量)uを求めることができる。下記(16)式において、qfinpは上述した(指令)パイロット燃料噴射量(質量)である。
u=qfinp / Rfuelp ・・・(16)
そうすると、気体の状態方程式を上記環状に滞留しているパイロット混合気に適用することで、下記(17)式に従って上記パイロット混合気体積Vmixpを求めることができる。下記(17)式において、Rはパイロット混合気に係わる気体定数であり、Tmixp(k)は上述したパイロット混合気温度の今回値である。Paは現時点での筒内ガス圧力であって、上記(4)式と同様の式と、現時点での上記筒内容積Va(CA)とに従って求めることができる。
Vmixp=u・R・Tmixp(k) / Pa ・・・(17)
一方、パイロット混合気体積Vmixpは、パイロット混合気厚さrcを用いて下記(18)式に従って表すことができ、係る(18)式をrcについて解くことにより、下記(19)式が得られる。以上のことから、上記(17)式に従ってパイロット混合気体積Vmixpが求められると、下記(19)式に従ってパイロット混合気厚さrcを求めることができる。このように、パイロット混合気厚さrcはパイロット混合気体積Vmixpに応じて時々刻々と変化していく。
Vmixp=πa2・b−π(a-rc)2・b ・・・(18)
rc=a−{πb・(πa2・b−Vmixp)}1/2 ・・・(19)
<メイン混合気温度Tmixmの取得>
次に、メイン混合気温度Tmixmの取得方法について説明する。メイン噴射による混合気であるメイン混合気(の先頭部)が燃焼室内を進行していく過程においては、パイロット混合気は既に上述したように環状に滞留している。従って、燃料室内を進行していくメイン混合気先頭部の周囲を取り囲む周囲ガスは、メイン混合気先頭部が上記滞留しているパイロット混合気に到達するまでは上述したパイロット混合気先頭部の場合と同様に上記筒内ガスである一方、同メイン混合気先頭部が上記滞留しているパイロット混合気に到達した後は上記滞留しているパイロット混合気となる。
従って、メイン混合気先頭部が上記滞留しているパイロット混合気に到達するまでは、メイン噴射後経過時間tm=0以降におけるメイン混合気温度Tmixm(k)は、上記周囲ガスである筒内ガスの温度Ta、及び筒内ガスの比熱Caを使用した、メイン混合気に係わる上記(9)式に相当する下記(20)式を利用することでCPU61の演算周期毎に逐次求めていくことができる。
Tmixm(k)=(Cmixm(k-1)・Tmixm(k-1)+Am・Ca・Ta)/(Cmixm(k-1)+Am・Ca) ・・・(20)
一方、メイン混合気先頭部が上記滞留しているパイロット混合気に到達した後は、メイン混合気温度Tmixm(k)は、上記(20)式において上記筒内ガスの温度Ta、及び筒内ガスの比熱Caをそれぞれ、上記周囲ガスである滞留しているパイロット混合気の温度Tmixp(k)、及び同パイロット混合気の比熱Cmixp(k-1)に置き換えた式である下記(21)式を利用することでCPU61の演算周期毎に逐次求めていくことができる。
Tmixm(k)=(Cmixm(k-1)・Tmixm(k-1)+Am・Cmixp(k-1)・Tmixp(k))/
(Cmixm(k-1)+Am・Cmixp(k-1)) ・・・(21)
また、メイン混合気先頭部が上記滞留しているパイロット混合気に到達する時点を特定するためには、メイン噴射開始時点以降におけるメイン混合気先頭部の燃料噴射弁21の噴孔からの到達距離(メイン混合気到達距離)Xm、及び、同噴孔から図5に示すように上記環状に滞留しているパイロット混合気の内側側面までの距離をそれぞれ求める必要がある。
ここで、メイン混合気到達距離Xmは上記パイロット混合気の場合と同様、メイン混合気に係わる上記(12)式に相当する式に従ってメイン噴射後経過時間tmの関数として求めていくことができる。また、燃料噴射弁21の噴孔から上記環状に滞留しているパイロット混合気の内側側面までの距離(以下、「パイロット混合気内壁面距離Xmixp」と称呼することもある。)は、上記(14)式と類似の下記(22)式に従って求めることができる。
Xmixp=(a−rc) / cos(θf) ・・・(22)
以上のことから、本装置は、メイン噴射開始時点以降、メイン混合気到達距離Xmを上述した上記(12)に相当する式より逐次求めていき、「メイン混合気到達距離Xm ≧ パイロット混合気内壁面距離Xmixp」の条件が成立した時点でメイン混合気先頭部が上記滞留しているパイロット混合気の内側壁面に衝突したと判定する。
そして、本装置は、メイン噴射後経過時間tm=0以降におけるメイン混合気温度Tmixm(k)を、メイン混合気先頭部が上記滞留しているパイロット混合気の内側壁面に衝突したと判定するまでの間は上記(20)式を利用することで演算周期毎に逐次求めていく一方、メイン混合気先頭部が上記滞留しているパイロット混合気の内側壁面に衝突したと判定した後は上記(21)式を利用することで演算周期毎に逐次求めていく。以上が、メイン混合気温度Tmixm(k)の取得方法の概要である。
(燃料噴射制御の概要)
本装置は、目標着火時期を所定時期(ATDCθref、例えば、ATDC10°)に設定し、メイン混合気(先頭部)の着火時期を目標着火時期ATDCθrefに一致させるため、クランク角度CAがATDCθrefとなる時点において(上記(20)式、又は上記(21)式に従って)取得されたメイン混合気温度Tmixm(k)(以下、「制御用最終混合気温度Tmixfinc」と称呼する。)が所定の目標混合気温度Tmixrefになるように、燃料噴射開始時期、及び燃料噴射圧力をフィードバック制御する。
具体的には、前回の燃料噴射気筒(燃料噴射の対象となる気筒)について取得された上記制御用最終混合気温度Tmixfincの値が前記目標混合気温度Tmixrefよりも高いとき、今回の燃料噴射気筒についてのパイロット噴射及びメイン噴射に係わる燃料噴射開始時期を共に基本燃料噴射時期よりも所定量だけ遅らせ、且つ、燃料噴射圧力を基本燃料噴射圧力よりも所定量だけ低くする。これにより、今回の燃料噴射気筒についての目標着火時期ATDCθrefにおける実際の混合気温度が低くなるように制御され、この結果、今回の燃料噴射気筒の実際の着火時期が前記目標着火時期ATDCθrefに一致せしめられる。
一方、前回の燃料噴射気筒についての上記制御用最終混合気温度Tmixfincの値が前記目標混合気温度Tmixrefよりも低いとき、今回の燃料噴射気筒についてのパイロット噴射及びメイン噴射に係わる燃料噴射開始時期を共に基本燃料噴射時期よりも所定量だけ早め、且つ、燃料噴射圧力を基本燃料噴射圧力よりも所定量だけ高くする。これにより、今回の燃料噴射気筒についての目標着火時期ATDCθrefにおける実際の混合気温度が高くなるように制御され、この結果、今回の燃料噴射気筒の実際の着火時期が前記目標着火時期ATDCθrefに一致せしめられる。以上が、燃料噴射制御の概要である。
(実際の作動)
次に、上記のように構成された内燃機関の制御装置の実際の作動について説明する。
<燃料噴射量等の制御>
CPU61は、図7にフローチャートにより示した燃料噴射量、燃料噴射時期、及び燃料噴射圧力を制御するためのルーチンを所定時間の経過毎に繰り返し実行するようになっている。従って、所定のタイミングになると、CPU61はステップ700から処理を開始し、ステップ705に進んでアクセル開度Accp、エンジン回転速度NE、及び図8に示したテーブル(マップ)Mapqfinから指令パイロット燃料噴射量qfinp、及び指令メイン燃料噴射量qfinmを求める。テーブルMapqfinは、アクセル開度Accp及びエンジン回転速度NEと、指令燃料噴射量qfinp,qfinmとの関係を規定するテーブルであり、ROM62内に格納されている。
次いで、CPU61はステップ710に進み、アクセル開度Accp、エンジン回転速度NE、及び図9に示したテーブルMapfinjbaseから基本パイロット燃料噴射時期finjbasep、及び基本メイン燃料噴射時期finjbasemを決定する。テーブルMapfinjbaseは、アクセル開度Accp及びエンジン回転速度NEと、基本燃料噴射時期finjbasep,finjbasemとの関係を規定するテーブルであり、ROM62内に格納されている。
その後、CPU61はステップ715に進んで、アクセル開度Accp、エンジン回転速度NE、及び図10に示したテーブルMapPcrbaseから基本燃料噴射圧力Pcrbaseを決定する。テーブルMapPcrbaseは、アクセル開度Accp及びエンジン回転速度NEと、基本燃料噴射圧力Pcrbaseとの関係を規定するテーブルであり、ROM62内に格納されている。
次に、CPU61はステップ720に進み、前記目標混合気温度Tmixrefから後述するルーチンにより求められている最新の(従って、前回の燃料噴射気筒についての)制御用最終混合気温度Tmixfincを減じた値を混合気温度偏差ΔTmixとして格納する。
続いて、CPU61はステップ725に進んで、噴射時期補正値Δθを、前記混合気温度偏差ΔTmixと図11に示したテーブルMapΔθとから決定する。テーブルMapΔθは、混合気温度偏差ΔTmixと噴射時期補正値Δθとの関係を規定するテーブルであり、ROM62内に格納されている。
その後、CPU61はステップ730に進んで、噴射圧力補正値ΔPcrを、前記混合気温度偏差ΔTmixと図12に示したテーブルMapΔPcrとから決定する。テーブルMapΔPcrは、混合気温度偏差ΔTmixと噴射圧力補正値ΔPcrとの関係を規定するテーブルであり、ROM62内に格納されている。
次いで、CPU61はステップ735に進み、基本パイロット噴射時期finjbasep、及び基本メイン噴射時期finjbasemを噴射時期補正値Δθでそれぞれ補正して最終パイロット燃料噴射時期finjfinp、及び最終メイン燃料噴射時期finjfinmを決定する。これにより、混合気温度偏差ΔTmixに応じて噴射時期が補正されることになる。この場合、図11から明らかなように、混合気温度偏差ΔTmixが正の大きい値になるほど噴射時期補正値Δθが正の大きな値となって最終燃料噴射時期finjfinp,finjfinmが進角側となり、同混合気温度偏差ΔTmixが負の大きい値(絶対値が大きい値)になるほど噴射時期補正値Δθは負の大きな値となって最終燃料噴射時期finjfinp,finjfinmが遅角側に移行される。
続いて、CPU61はステップ740に進み、基本燃料噴射圧力Pcrbaseを噴射圧力補正値ΔPcrで補正して指令最終燃料噴射圧力Pcrfinを決定する。これにより、混合気温度偏差ΔTmixに応じて噴射圧力が補正されることになる。この場合、図12から明らかなように、混合気温度偏差ΔTmixが正の大きい値になるほど噴射圧力補正値ΔPcrが正の大きな値となって指令最終燃料噴射圧力Pcrfinが高圧側となり、同混合気温度偏差ΔTmixが負の大きい値(絶対値が大きい値)になるほど噴射圧力補正値ΔPcrは負の大きな値となって指令最終燃料噴射圧力Pcrfinが低圧側に移行される。この結果、燃料噴射用ポンプ22の吐出圧力が制御されることで、燃料噴射弁21には前記決定された指令最終燃料噴射圧力Pcrfinまで昇圧された燃料が供給される。
そして、CPU61は、続くステップ745にて現時点のクランク角度CAが上記決定された最終パイロット燃料噴射時期finjfinpに相当する角度と一致しているか否かを判定する。いま、現時点のクランク角度CAが最終パイロット燃料噴射時期finjfinpに相当する角度に到達していないものとして説明を続けると、CPU61はステップ745にて「No」と判定してステップ750に進み、現時点のクランク角度CAが上記決定された最終メイン燃料噴射時期finjfinmに相当する角度と一致しているか否かを判定するとともに、ここでも「No」と判定してステップ795に直ちに進んで本ルーチンを一旦終了する。
以降、CPU61は、現時点のクランク角度CAが最終パイロット燃料噴射時期finjfinpに相当する角度に到達するまでの間、ステップ700〜745、750、795の処理を繰り返し実行する。そして、現時点のクランク角度CAが最終パイロット燃料噴射時期finjfinpに相当する角度に到達したものとすると、CPU61はステップ745に進んだとき「Yes」と判定してステップ755に進むようになり、同ステップ755にて上記決定された指令パイロット燃料噴射量qfinpの燃料を燃料噴射気筒についての燃料噴射弁21から上記決定された指令最終燃料噴射圧力Pcrfinをもってパイロット噴射する。
次に、CPU61はステップ760に進んで、指令燃料噴射量qfinp,qfinmをそれぞれ制御用パイロット燃料噴射量qfincp,制御用メイン燃料噴射量qfincmとして格納し、最終燃料噴射時期finjfinp,finjfinmをそれぞれ制御用パイロット燃料噴射時期finjcp,制御用メイン燃料噴射時期finjcmとして格納するとともに指令最終燃料噴射圧力Pcrfinを制御用燃料噴射圧力Pcrcとして格納する。そして、CPU61はステップ795に進んで本ルーチンを一旦終了する。
以降、CPU61は、現時点のクランク角度CAが上記制御用メイン燃料噴射時期finjcmに相当する角度に到達するまでの間、ステップ700〜745、750、795の処理を繰り返し実行する。そして、現時点のクランク角度CAが制御用メイン燃料噴射時期finjcmに相当する角度に到達したものとすると、CPU61はステップ750に進んだとき「Yes」と判定してステップ765に進むようになり、同ステップ765にて上記制御用メイン燃料噴射量qfincmの燃料を燃料噴射気筒についての燃料噴射弁21から上記決定された指令最終燃料噴射圧力Pcrfinをもってメイン噴射する。以上により、燃料噴射量、燃料噴射時期、及び燃料噴射圧力の制御が達成される。
<パイロット噴射開始時における各種物理量の計算>
次に、パイロット噴射開始時における各種物理量の計算についての作動について説明する。CPU61は、図13にフローチャートにより示したルーチンを所定時間の経過毎に繰り返し実行するようになっている。従って、所定のタイミングになると、CPU61はステップ1300から処理を開始し、ステップ1305に進んで、現時点のクランク角度CAがATDC-180°と一致しているか否か(即ち、燃料噴射気筒のピストンが圧縮行程の下死点に位置しているか否か)を判定する。
いま、燃料噴射気筒のピストンが圧縮行程の下死点に到達する前の状態にあるものとして説明を続けると、CPU61はステップ1305にて「No」と判定してステップ1315に進み、現時点のクランク角度CAが上記制御用パイロット燃料噴射時期finjcpに相当する角度に一致したか否か(即ち、現時点が燃料噴射気筒のパイロット噴射開始時点であるか否か)をモニタする。
現時点では、ピストンが圧縮行程の下死点に到達する前の状態にあってパイロット噴射開始時が到来していないから、CPU61はステップ1315にて「No」と判定してステップ1395に直ちに進んで本ルーチンを一旦終了する。以降、CPU61は、燃料噴射気筒のピストンが圧縮行程の下死点に到達するまでの間、ステップ1300、1305、1315、1395の処理を繰り返し実行する。
次に、この状態から、燃料噴射気筒のピストンが圧縮行程の下死点に到達したものとすると、CPU61はステップ1305に進んだとき「Yes」と判定してステップ1310に進み、現時点において吸気温センサ72により検出されている吸気温度Tbの値、現時点において吸気管圧力センサ73により検出されている吸気管圧力Pbの値、及び現時点において吸気酸素濃度センサ78により検出されている吸気酸素濃度RO2inの値をそれぞれ、下死点時筒内ガス温度Tbottom、下死点時筒内ガス圧力Pbottom、及び下死点時吸気酸素濃度RO2inbottomとして格納した後、続くステップ1315にて「No」と判定してステップ1395に直ちに進んで本ルーチンを一旦終了する。以降、CPU61は、燃料噴射開始時が到来するまでの間、ステップ1300、1305、1315、1395の処理を繰り返し実行する。
そして、所定時間が経過してパイロット噴射開始時が到来したものとすると、CPU61はステップ1315に進んだとき「Yes」と判定してステップ1320以降に進み、パイロット噴射開始時における各種物理量の計算を行うための処理を開始する。CPU61はステップ1320に進むと、上記(5)式に従って筒内ガスの全質量Maを求める。このとき、Tbottom,Pbottomとしては、ステップ1310にて設定された値が使用される。
次いで、CPU61はステップ1325に進んで、前記筒内ガスの全質量Maと、現時点での筒内容積Va(CA)と、ステップ1325内に記載の式とに基づいてパイロット噴射開始時における筒内ガス密度ρa0pを求める。
続いて、CPU61はステップ1330に進み、上記(4)式に相当するステップ1330内に記載の式に従ってパイロット噴射開始時における筒内ガス圧力Pa0pを求め、続くステップ1335にて、先のステップ760にて設定した制御用燃料噴射圧力Pcrcから前記筒内ガス圧力Pa0pを減じた値を有効噴射圧力ΔPpとして設定する。
次に、CPU61はステップ1340に進んで、上記(11)式に相当するステップ1340内に記載の式に従ってパイロット燃料蒸気温度Tfpを求める。燃料温度Tcrとしては、現時点にて燃料温度センサ76により検出されている値が使用される。続いて、CPU61はステップ1345に進み、前記筒内ガス密度ρa0pの値と、前記有効噴射圧力ΔPpの値と、前記テーブルMapθとに基づいて噴霧角θpを決定する。
そして、CPU61はステップ1350に進んでパイロット噴射後経過時間tpを「0」に初期化し、続くステップ1355にてキャビティ壁面到達フラグWALLpを「0」に設定した後、ステップ1395に進んで本ルーチンを一旦終了する。ここで、キャビティ壁面到達フラグWALLpは、その値が「1」のときパイロット混合気先頭部がキャビティ内壁面(側面24b)に到達していることを示し、その値が「0」のとき同パイロット混合気先頭部がキャビティ内壁面に到達していないことを示す。
以降、次回の燃料噴射気筒についてのクランク角度CAがATDC-180°に一致するまでの間(即ち、次回の燃料噴射気筒のピストンが圧縮行程の下死点に達するまでの間)、CPU61は、ステップ1300、1305、1315、1395の処理を繰り返し実行する。以上により、パイロット噴射開始時における各種物理量が計算されるとともに、パイロット噴射開始時点において、パイロット噴射後経過時間Tpの値、及びキャビティ壁面到達フラグWALLpの値が共に「0」にリセットされる。
<パイロット混合気温度の計算>
一方、CPU61は、パイロット混合気温度の計算を行うための図14、及び図15にフローチャートにより示した一連のルーチンを所定時間の経過毎に繰り返し実行するようになっている。従って、所定のタイミングになると、CPU61はステップ1400から処理を開始し、ステップ1402に進んで、現時点のクランク角度CAが上記制御用パイロット燃料噴射時期finjcpに相当する角度〜目標着火時期ATDCθrefの間にあるか否かをモニタし、「No」と判定する場合、ステップ1495に直ちに進んで本ルーチンを一旦終了する。
いま、現時点がパイロット噴射開始時であるもの、即ち、現時点のクランク角度CAが前記制御用パイロット燃料噴射時期finjcpに相当する角度と一致しているものとすると(従って、先の図13のステップ1320〜1355の処理が実行された直後であるものとすると)、CPU61はステップ1402にて「Yes」と判定してステップ1404に進み、パイロット噴射後経過時間tpが「0」以外であるか否かを判定する。
現時点は、先のステップ1350の処理が実行された直後であってパイロット噴射後経過時間tpが「0」となっているから、CPU61はステップ1404にて「No」と判定してステップ1406に進んでパイロット混合気到達距離Xpの値、及びパイロット噴射に係わる空気過剰率λpの値をそれぞれ「0」に初期化し、続くステップ1408にて、先の図13のステップ1340にて計算されているパイロット燃料蒸気温度Tfpの値をパイロット混合気温度前回値Tmixp(k-1)として設定し、燃料蒸気の比熱Cfの値をパイロット混合気比熱Cmixp(k-1)として設定し、パイロット噴射に係わる質量比前回値(ma/mf)p(k-1)の値を「0」に設定する。
そして、CPU61は図15のステップ1440に直ちに進んで、その時点でのパイロット噴射後経過時間tpの値(現時点では「0」である。)にΔtを加えた値を新たな噴射後経過時間tとして設定した後、ステップ1495に進んで本ルーチンを一旦終了する。ここで、Δtは本ルーチンの演算周期である。
これにより、現時点におけるパイロット噴射後経過時間tpが「0」以外となるから、以降、CPU61は本ルーチンを繰り返し実行する際においてステップ1404に進んだとき「Yes」と判定してステップ1410に進む。CPU61はステップ1410に進むと、先の図13のステップ1320にて求めた筒内ガスの全質量Maと、現時点での筒内容積Va(CA)と、ステップ1410内に記載の式とに基づいて現時点での筒内ガス密度ρapを求める。
続いて、CPU61はステップ1412に進んで前記筒内ガス密度ρapの値と、現時点におけるパイロット噴射後経過時間tpの値と、パイロット噴射に係わる上記(3)式に相当する式とに基づいてパイロット噴射に係わる燃料希釈率dλp/dtを求め、続くステップ1414にてパイロット噴射に係わる上記(2)式に相当する式に従って同燃料希釈率dλp/dtを時間で積分することで現時点でのパイロット噴射に係わる空気過剰率λpを求める。上記(3)式における有効噴射圧力ΔP、及び噴霧角θとしては、図13のステップ1335、及びステップ1345にて計算されている値ΔPp,θpがそれぞれ使用される。
次いで、CPU61はステップ1416に進んで、前記パイロット噴射に係わる空気過剰率λpの値と、上記(1)式に基づくステップ1416内に記載の式に従ってパイロット噴射に係わる質量比今回値(ma/mf)p(k)を求め、続くステップ1418にて、現時点での筒内容積Va(CA)と、上記(7)式とに基づいて現時点での筒内ガス温度Taを求める。
続いて、CPU61はステップ1420に進み、ステップ1416にて求めた質量比今回値(ma/mf)p(k)と、前回の本ルーチン実行時点にて後述するステップ1438にて格納された(今回の本ルーチン実行時点のみ、先のステップ1408にて格納された)質量比前回値(ma/mf)p(k-1)と、パイロット噴射に係わる上記(10)式に相当する式とに基づいて値Apを求める。
次に、CPU61はステップ1422に進んで、前回の本ルーチン実行時点にて後述するステップ1434にて格納された(今回の本ルーチン実行時点のみ、先のステップ1408にて格納された)パイロット混合気比熱Cmixp(k-1)と、前回の本ルーチン実行時点にて後述するステップ1436にて格納された(今回の本ルーチン実行時点のみ、先のステップ1408にて格納された)パイロット混合気温度前回値Tmixp(k-1)と、前記Apの値と、前記筒内ガス温度Taの値と、パイロット噴射に係わる上記(9)式に相当する式とに基づいてパイロット混合気温度今回値Tmixp(k)を求める。
次に、CPU61は図15のステップ1424に進んで、キャビティ壁面到達フラグWALLpの値が「0」となっているか否かを判定する。現時点では、先のステップ1355の処理によりキャビティ壁面到達フラグWALLpの値が「0」となっているから、CPU61はステップ1424にて「Yes」と判定してステップ1426に進み、ステップ1410にて求めた筒内ガス密度ρapの値と、現時点におけるパイロット噴射後経過時間tpの値と、パイロット噴射に係わる上記(13)式に相当する式とに基づいてパイロット混合気移動速度dXp/dtを求め、続くステップ1428にてパイロット噴射に係わる上記(12)式に相当する式に従ってパイロット混合気移動速度dXp/dtを時間で積分することで現時点でのパイロット混合気到達距離Xpを求める。上記(13)式における有効噴射圧力ΔP、及び噴霧角θとしては、図13のステップ1335、及びステップ1345にて計算されている値ΔPP,θpがそれぞれ使用される。
次に、CPU61はステップ1430に進み、前記パイロット混合気到達距離Xpが前記燃焼室内壁面距離Xwall以上となっているか否か(即ち、パイロット混合気先頭部が燃焼室内壁面に到達しているか否か)を判定する。いま、パイロット混合気先頭部が燃焼室内壁面に到達しておらず、且つ、着火が発生していないものとして説明を続けると、CPU61はステップ1430にて「No」と判定してステップ1432に直ちに進み、燃料噴射気筒についての筒内圧力センサ77により検出される筒内ガス圧力Paの変化から着火を検出したか否かをモニタする。
現時点では、着火は発生していないから、CPU61はステップ1432にて「No」と判定してステップ1434に直ちに進み、先のステップ1416にて算出されたパイロット噴射に係わる質量比今回値(ma/mf)p(k)と、パイロット噴射に係わる上記(6)式に相当する式とに基づいてパイロット混合気比熱Cmixp(k-1)を算出する。
続いて、CPU61はステップ1436に進んで、先のステップ1422にて求めたパイロット混合気温度今回値Tmixp(k)の値をパイロット混合気温度前回値Tmixp(k-1)として格納するとともに、続くステップ1438にて、先のステップ1416にて求めた質量比今回値(ma/mf)p(k)の値を質量比前回値(ma/mf)p(k-1)として格納した後、上述したステップ1440にて、パイロット噴射後経過時間tpの値を再びΔtだけ増大し、ステップ1495に進んで本ルーチンを一旦終了する。
以降、パイロット混合気先頭部が燃焼室内壁面に到達せず、且つ、着火が発生しない限りにおいて、CPU61は、ステップ1400〜1404、1410〜1430、1432、1434〜1440の処理を繰り返し実行し、これにより、ステップ1422にて逐次、断熱混合気温度としてのパイロット混合気温度今回値Tmix(k)を更新していく。
次に、この状態から、パイロット混合気先頭部が燃焼室内壁面に到達した場合(即ち、パイロット混合気が環状に滞留を開始した場合)について説明する。この場合、CPU61はステップ1430に進んだとき「Yes」と判定してステップ1442に進んで、キャビティ壁面到達フラグWALLpの値を「0」から「1」に変更した後、上述したステップ1432以降の処理を実行する。これにより、以降、CPU61はステップ1424に進んだとき「No」と判定して直ちにステップ1432以降の処理を実行するようになる。以降、着火が発生しない限りにおいて、CPU61はステップ1400〜1404、1410〜1424、1432、1434〜1440の処理を繰り返し実行する。
次に、この状態から、パイロット混合気の着火が発生した場合について説明する。この場合、CPU61はステップ1432に進んだとき「Yes」と判定してステップ1444に進んで、燃焼による温度上昇量Tburn(λp)を求め、先のステップ1422にて算出されている最新のパイロット混合気温度今回値Tmixp(k)に同温度上昇量Tburn(λp)を加えた値を新たなパイロット混合気温度今回値Tmixp(k)として設定することでパイロット混合気温度を補正する。このとき、λpとしては、先のステップ1414にて算出されている最新のパイロット噴射に係わる空気過剰率λpが使用される。なお、温度上昇量Tburn(λp)は、λpが理論空燃比stoichであるときに最大値を採り、λpの理論空燃比stoichからの偏移量の増加に応じて減少する値を採る関数である。
次に、CPU61はステップ1446に進み、キャビティ壁面到達フラグWALLpの値を「1」に設定した後、上述したステップ1434以降の処理を実行する。なお、現時点のように、パイロット混合気先頭部が燃焼室壁面に到達した後に着火が発生する場合には、先のステップ1442の実行によりWALLpの値は既に「1」になっているから、ステップ1446を実行してもWALLpの値に変化はない。換言すれば、パイロット混合気先頭部が燃焼室壁面に到達する前に着火が発生する場合、ステップ1446の実行により、WALLpの値が「0」から「1」に直ちに変更せしめられることになる。これは、パイロット混合気の着火(爆発)のエネルギーにより、パイロット混合気は直ちに燃焼室壁面に到達するともに環状に滞留すると考えることができるからである。
以降、現時点のクランク角度CAが目標着火時期ATDCθrefに到達するまでの間、CPU61はステップ1400〜1404、1410〜1424、1432、1434〜1440の処理を繰り返し実行する。この結果、ステップ1422が繰り返し実行されることにより、断熱混合気温度としての着火後のパイロット混合気温度(即ち、火炎温度)Tmixp(k)が演算周期毎に更新されていく。
<パイロット混合気厚さの計算>
また、CPU61は、上記環状に滞留しているパイロット混合気の厚さ(パイロット混合気厚さrc)の計算を行うための図16にフローチャートにより示したルーチンを所定時間の経過毎に繰り返し実行するようになっている。従って、所定のタイミングになると、CPU61はステップ1600から処理を開始し、ステップ1605に進んで、現時点のクランク角度CAが上記制御用パイロット燃料噴射時期finjcpに相当する角度〜目標着火時期ATDCθrefの間にあり、且つキャビティ壁面到達フラグWALLpの値が「1」になっているか否かをモニタし、「No」と判定する場合、ステップ1695に直ちに進んで本ルーチンを一旦終了する。このステップ1605の判定条件に「WALLp=1であること」が加えられているのは、パイロット混合気が環状に滞留する時期はパイロット混合気先頭部がキャビティ壁面に到達後であるから、パイロット混合気厚さrcを計算する必要がある時期はWALLpの値が「0」から「1」に変更された後であるからである。
いま、先のステップ1442(或いは、ステップ1446)の実行によりキャビティ壁面到達フラグWALLpの値が「1」になっているもの(従って、パイロット混合気が環状に滞留しているもの)として説明を続けると、CPU61はステップ1605にて「Yes」と判定してステップ1610に進み、先のステップ1310にて格納している下死点時吸気酸素濃度RO2inbottomの値と、先のステップ1414にて更新されている最新のパイロット噴射に係わる空気過剰率λpの値と、上記(15)式に相当するステップ1610内に記載の式と、に基づいて、環状に滞留しているパイロット混合気の燃料濃度Rfuelpを計算する。
次に、CPU61はステップ1615に進んで、先のステップ760にて格納されている制御用パイロット燃料噴射量qfincpの値と、上記パイロット混合気燃料濃度Rfuelpの値と、上記(16)式に相当するステップ1615内に記載の式と、に基づいてパイロット混合気量uを求め、続くステップ1620にて、現時点での筒内容積Va(CA)と、ステップ1620内に記載の式とに基づいて現時点での筒内ガス圧力Paを求める。
続いて、CPU61はステップ1625に進み、上記パイロット混合気量uの値と、先のステップ1422にて更新されている最新のパイロット混合気温度Tmixp(k)の値と、上記筒内ガス圧力Paと、上記(17)式と、に基づいてパイロット混合気体積Vmixpを求めるとともに、続くステップ1630にて、上記パイロット混合気体積Vmixpの値と、上記(19)式と、に基づいて現時点でのパイロット混合気厚さrcを求め、ステップ1695に進んで本ルーチンを一旦終了する。
なお、ステップ1635は、後述する第2実施形態においてのみ使用されるステップであり、この第1実施形態では使用されない。以降、CPU61は、現時点のクランク角度CAが目標着火時期ATDCθrefに達するまでの間、ステップ1605〜1630の処理を繰り返し実行する。この結果、ステップ1630の繰り返し実行にてパイロット混合気厚さrcの値が逐次更新されていく。以上、パイロット噴射に係わる各ルーチンについて説明した。次に、メイン噴射に係わる各ルーチンについて説明する。
<メイン噴射開始時における各種物理量の計算>
次に、メイン噴射開始時における各種物理量の計算についての作動について説明する。CPU61は、図17にフローチャートにより示したルーチンを所定時間の経過毎に繰り返し実行するようになっている。このメイン噴射に係わる図17のルーチンは上述したパイロット噴射に係わる図13のルーチンに対応するものであり、ここでは、図13のルーチンに対する図17のルーチンの主な相違点について説明する。
図17のルーチンにおける8つのステップ1705〜1740はそれぞれ、図13のルーチンにおける8つのステップ1315、1325〜1355に対応している。従って、図17のルーチンにおいては、ステップ1305、1310、及び1320に対応するステップが存在しない。
また、メイン噴射開始時における筒内ガス密度ρa0mを求めるステップ1710において、同ステップ1710内に記載された式の分子の中に制御用パイロット燃料噴射量qfincpが加えられている。これは、メイン噴射開始時点では、既にパイロット噴射がなされているから、同メイン噴射開始時点における筒内ガス量(全質量)は、先のステップ1320にて計算されている筒内ガス量Maにパイロット燃料噴射量を加えた値となっていることに基づく。
なお、ステップ1740における滞留パイロット混合気到達フラグWALLmは、その値が「1」のときメイン混合気先頭部が既に環状に滞留しているパイロット混合気の内側側面に到達していることを示し、その値が「0」のとき同メイン混合気先頭部がパイロット混合気の内側側面に到達していないことを示す。以上、本ルーチンにより、メイン噴射開始時における各種物理量が計算されるとともに、メイン噴射開始時点において、メイン噴射後経過時間Tmの値、及び滞留パイロット混合気到達フラグWALLmの値が共に「0」にリセットされる。
<メイン混合気温度の計算>
次に、メイン混合気温度の計算についての作動について説明する。CPU61は、図18及び図19にフローチャートにより示した一連のルーチンを所定時間の経過毎に繰り返し実行するようになっている。このメイン噴射に係わる図18及び図19のルーチンは上述したパイロット噴射に係わる図14及び図15のルーチンに対応するものであり、ここでは、図14及び図15のルーチンに対する図18及び図19のルーチンの主な相違点について説明する。
図18及び図19のルーチンにおけるステップ1802〜1816はそれぞれ、図14及び図15のルーチンにおけるステップ1402〜1416に対応している。ステップ1830〜1836はそれぞれ、ステップ1424〜1430に対応している。ステップ1838〜1842はそれぞれ、ステップ1434〜1438に対応している。ステップ1846、及びステップ1848はそれぞれ、ステップ1440、及びステップ1442に対応している。
図18及び図19のルーチンにおけるステップ1818〜1828は、図14及び図15のルーチンにおけるステップ1418〜1422に代わるものである。従って、図18及び図19のルーチンにおいては、着火に係わるステップ1432、1444、及び1446に対応するステップが存在しない。一方、図18及び図19のルーチンにおいて、ステップ1844、及び1854が新たに追加されている。
筒内ガス密度ρamを求めるステップ1810において、同ステップ1810内に記載された式の分子の中に制御用パイロット燃料噴射量qfincpが加えられている。これは、上述したステップ1710の場合と同一の理由に基づく。また、メイン混合気先頭部が環状に滞留しているパイロット混合気に到達したか否かを判定するステップ1836においては、メイン混合気到達距離Xmの比較対象として、上述したパイロット混合気内壁面距離Xmixp
= (a−rc)/cosθf が使用されている。ここにおけるパイロット混合気厚さrcとしては、先の図16のステップ1630にて逐次計算されている最新の値が使用される。
以下、ステップ1818〜1828の処理について説明する。CPU61はステップ1818に進むと、滞留パイロット混合気到達フラグWALLmの値が「0」であるか否かを判定する。いま、先ずは、メイン混合気先頭部が滞留しているパイロット混合気(内壁面)に到達していないものとすると、滞留パイロット混合気到達フラグWALLmの値は先のステップ1740の処理にて「0」に設定されたままとなっているから、CPU61はステップ1818にて「Yes」と判定してステップ1820に進み、先のステップ1418と同様にして現時点での筒内ガス温度Taを求める。
次に、CPU61はステップ1822に進んで、周囲ガスの温度Tsとして上記筒内ガス温度Taの値を格納するとともに、続くステップ1824にて同周囲ガスの比熱Csとして筒内ガス比熱Caの値を格納する。現段階においてメイン混合気(先頭部)を取り囲む周囲ガスは筒内ガスだからである。
続いて、CPU61はステップ1826に進み、先のステップ1420と同様にして、ステップ1816にて求められているメイン噴射に係わる質量比今回値(ma/mf)m(k)と、ステップ1842にて格納されているメイン噴射に係わる質量比前回値(ma/mf)m(k-1)と、ステップ1826内に記載の式と、に基づいて値Amを求める。
次いで、CPU61はステップ1828に進んで、ステップ1838にて計算されているメイン混合気比熱Cmixm(k-1)と、ステップ1840にて格納されているメイン混合気温度前回値Tmixm(k-1)と、前記Amの値と、前記周囲ガス比熱Csの値と、前記周囲ガス温度Tsの値と、ステップ1828内に記載の式と、に基づいてメイン混合気温度今回値Tmixm(k)を求める。
以降、CPU61は、メイン混合気先頭部が滞留しているパイロット混合気(内壁面)に到達するまでの間、ステップ1818、1820〜1828の処理を繰り返し実行する。この結果、メイン混合気温度今回値Tmixm(k)が逐次更新されていく。ここで、現段階では、周囲ガス比熱Csの値及び周囲ガス温度Tsの値として、筒内ガス比熱Ca及び筒内ガス温度Taが使用されているから、現段階においてステップ1828内に記載の式は上記(20)式に相当している。
そして、メイン混合気先頭部が滞留しているパイロット混合気(内壁面)に到達すると、CPU61がステップ1836にて「Yes」と判定することにより、滞留パイロット混合気到達フラグWALLmの値が「0」から「1」に変更されるから、CPU61はステップ1818に進んだとき「No」と判定してステップ1850に進むようになる。
CPU61はステップ1850に進むと、周囲ガスの温度Tsとして上記滞留しているパイロット混合気温度Tmixp(k)の値を格納するとともに、続くステップ1852にて同周囲ガスの比熱Csとしてパイロット混合気比熱Cmixp(k-1)の値を格納した後、先のステップ1826、1828の処理を実行する。現段階においてメイン混合気(先頭部)を取り囲む周囲ガスは滞留しているパイロット混合気になるからである。なお、ここにおいてTmixp(k)の値、及びCmixp(k-1)の値としては、先のステップ1422、及びステップ1434にて計算されている最新値がそれぞれ使用される。
以降、CPU61は、現時点のクランク角度CAが目標着火時期ATDCθrefに達するまでの間、ステップ1818、1850、1852、1826、1828の処理を繰り返し実行する。この結果、メイン混合気温度今回値Tmixm(k)が逐次更新されていく。この段階では、周囲ガス比熱Csの値及び周囲ガス温度Tsの値として、パイロット混合気比熱Cmixp(k-1)及びパイロット混合温度Tmixp(k)が使用されているから、現段階においてステップ1828内に記載の式は上記(21)式に相当している。
そして、現時点のクランク角度CAが目標着火時期ATDCθrefに達すると、CPU61は、前述した新たに追加されたステップ1844に進んだとき「Yes」と判定してステップ1854に進み、現時点でステップ1828にて更新されている最新のメイン混合気温度Tmixm(k)の値を制御用最終混合気温度Tmixfincとして格納する。この制御用最終混合気温度Tmixfincの値が次の燃料噴射気筒について実行される図7のルーチンのステップ720にて使用されることになり、この結果、同値Tmixfincに基づいて機関の燃料噴射時期、及び燃料噴射圧力がフィードバック制御されていく。
以降、CPU61は図14のステップ1402、及び図18のステップ1802に進んだとき「No」と判定して直ちにステップ1495、及びステップ1895に進むようになる。この結果、着火前後に渡るパイロット混合気温度Tmixp(k)の計算(更新)、及び着火前におけるメイン混合気温度Tmixm(k)の計算(更新)が終了する。そして、混合気温度の計算は、次の燃料噴射気筒についてパイロット噴射が実行されることにより再開される。
以上、説明したように、本発明による混合気温度推定装置を含む内燃機関の制御装置の第1実施形態によれば、メイン噴射による燃料(従って、メイン混合気)が燃焼室内を移動していくときにおいて、パイロット噴射による燃焼後のパイロット混合気は燃焼室の側壁(キャビティ24dの側面24b)の近傍にて環状に滞留しているものと仮定する。そして、メイン混合気先頭部が前記滞留しているパイロット混合気に到達していないと判定されている間(即ち、WALLm=0のとき)は、周囲ガスとしての筒内ガスの温度(Ta)及び比熱(Ca)を利用してメイン混合気温度Tmixm(k)が推定されていき、同メイン混合気先頭部が同滞留しているパイロット混合気に到達したと判定された後(即ち、WALLm=1のとき)は、周囲ガスとしての滞留しているパイロット混合気の温度(Tmixp(k))及び比熱(Cmixp(k-1))を利用して同メイン混合気温度Tmixm(k)が推定されていく。
従って、メイン混合気先頭部が上記滞留しているパイロット混合気に到達する前後に渡って適切に選択された周囲ガスの温度、及び比熱を利用してメイン混合気温度が推定されていくので、この結果、同メイン混合気温度に基づいて着火時期を目標着火時期に正確に一致させることができた。
(第2実施形態)
次に、本発明による第2実施形態に係る内燃機関の混合気温度推定装置について説明する。この混合気温度推定装置は、燃料噴射弁の噴孔数が少ないことに起因して、環状に滞留しているパイロット混合気の径方向の厚さ(パイロット混合気厚さrc)の前述した不均一性を考慮する点においてのみ、第1実施形態と異なっている。以下、係る相違点について説明する。
<不均一性を考慮したパイロット混合気厚さの計算>
この第2実施形態に係る混合気温度推定装置を含む内燃機関の制御装置においては、各気筒に配設されている燃料噴射弁21の噴孔数が、第1実施形態における個数(10個)と異なり4個であり、同燃料噴射弁21から噴射された燃料は、図20(a)に示すように、気筒の上方から見て互いに直交するX軸及びY軸に沿って4方向に拡散していく。そうすると、図20(b)に示すように、パイロット混合気先頭部がキャビティ24dの側面24bに到達した後に同側面24b近傍に滞留するパイロット混合気の径方向の厚さは、X軸及びY軸に沿った方向に対応する位置(即ち、パイロット噴射の噴射方向に対応する位置)の厚さがX軸及びY軸に沿った方向に対応しない位置(即ち、パイロット噴射の噴射方向に対応しない位置)の厚さに比して厚くなるように、大きく不均一に分布すると考えられる。
この場合、係るパイロット混合気厚さの不均一の程度は第1実施形態に比して十分に大きく、係る不均一性を無視することができない。しかしながら、一方では、滞留しているパイロット混合気の径方向の厚さがこのように大きく不均一に分布している場合であっても、その後において同滞留しているパイロット混合気が拡散していく形態を考慮すると、上記不均一の程度は時間の経過と共に少なくなっていくと考えることができる。
以上のことから、本例では、図21に示すようなモデルを考える。このモデルでは、パイロット混合気先頭部がキャビティ側壁面に到達した時点からの経過時間をtexpとし、図21に示すように回転角度θsをとるものとすると、環状に滞留するパイロット混合気厚さrcは、回転角度θs、及び経過時間texpの関数として下記(23)式にて表される。
rc=rc・{1+exp(-texp/B)・cos(4・θs)} ・・・(23)
上記(23)式において、右辺のrcは、先の図16のステップ1630にて計算(更新)されている最新のパイロット混合気厚さである。またBは定数である。上記(23)式から理解できるように、このモデルでは、パイロット混合気先頭部がキャビティ側壁面に到達した時点において(即ち、経過時間texp=0のとき)、回転角度θs=0°,90°,180°,及び270°にてパイロット混合気厚さrcは「2・rc」となり、一方、回転角度θs=45°,135°,225°,及び315°にてパイロット混合気厚さrcは「0」となる。即ち、図21は、経過時間texp=0におけるパイロット混合気の分布状態を示している。
<スワール流速の考慮>
本例における内燃機関においては、燃焼効率を向上等するため筒内ガスにスワールにより発生するスワール流速ω(周方向の流速。図21を参照。)が与えられるようになっている。従って、燃焼室内を移動するパイロット混合気(上記(23)式を用いたモデルにより表される環状に滞留するパイロット混合気を含む)も燃焼室内を移動するメイン混合気も、係る筒内ガスと共にスワール流速ωをもって周方向に回転するものと考えることができる。ここで、この内燃機関においては、スワール比RatioSwが一定であるものとすると、スワール流速ω(単位時間あたりの回転角度)は下記(24)式に従って求めることができる。下記(24)式において、NEは現時点でのエンジン回転速度である。
ω=360°・RatioSw・NE ・・・(24)
そうすると、パイロット噴射が開始されてからメイン噴射が開始されるまでにパイロット噴射によるパイロット混合気が周方向に回転する延べ角度(以下、「最終回転角度θsc」と称呼する。)は、上記(24)式により得られるスワール流速ωをパイロット噴射が開始されてからメイン噴射が開始されるまでの間に渡って時間積分していくことで計算することができる。
即ち、メイン噴射が開始される時点において、パイロット噴射によるパイロット混合気は、既に上記最終回転角度θscだけ図21において反時計回りに回転していることになる。換言すれば、メイン噴射が開始される時点において、メイン噴射の噴射方向は、図21においてはθs=(−θsc)の方向に相当する。
そして、メイン噴射開始時点以降におけるメイン混合気は、(既に環状に滞留している)パイロット混合気と共にスワール流速ωをもって回転する。即ち、メイン噴射開始時点以降において、環状に滞留しているパイロット混合気に対するメイン混合気先頭部の周方向における相対角度は変化しない。
以上のことから、メイン混合気先頭部が滞留しているパイロット混合気に到達する位置は、図21においてθs=(−θsc)の方向に相当することになる。従って、メイン混合気先頭部が滞留するパイロット混合気に到達する時点を特定するために必要なパイロット混合気厚さrcは、上記(23)式におけるθsを(−θsc)と置き換えた下記(25)式に従って求めることができる(図16のステップ1630にて求めたrcを補正することができる)。
rc=rc・{1+exp(-texp/B)・cos(4・(−θsc))}
=rc・{1+exp(-texp/B)・cos(4・θsc)} ・・・(25)
以上、第2実施形態に係る混合気温度推定装置は、メイン噴射の開始時点が経過することで求められる上記最終回転角度θscを求めた後、上記(25)式に従ってパイロット混合気厚さrcを逐次補正するとともに、同補正されたrcに基づいてメイン混合気先頭部が滞留するパイロット混合気に到達したか否かを判定する。
(第2実施形態の実際の作動)
以下、第2実施形態に係る混合気温度推定装置の実際の作動について説明する。この装置のCPU61は、第1実施形態のCPU61が実行する図7、図13〜図19に示したルーチンを実行するとともに、図22、及び図23にフローチャートにより示したルーチンを追加的に実行する。また、このCPU61は図16に示したルーチンにおいてステップ1635を追加的に実行する。以下、第2実施形態に特有のルーチンについて、順に説明する。
CPU61は、スワールによるパイロット混合気の上記最終回転角度θscを計算するための図22に示したルーチンを所定時間の経過毎に実行している。従って、所定のタイミングになると、CPU61はステップ2200から処理を開始し、ステップ2205に進んで、現時点でのクランク角度CAが制御用パイロット燃料噴射時期finjcp相当角度〜制御用メイン燃料噴射時期finjcm相当角度の間にあるか否かを判定し、「No」と判定する場合、ステップ2295に直ちに進んで本ルーチンを一旦終了する。
いま、クランク角度CAがfinjcp相当角度に一致しているものとすると、CPU61はステップ2205にて「Yes」と判定してステップ2210に進み、現時点でのクランク角度CAがfinjcp相当角度に一致しているか否かを判定し、同ステップ2210にて「Yes」と判定した後、続くステップ2215にて回転角度θsを「0°」に初期化する。
続いて、CPU61はステップ2220に進んで、現時点でのクランク角度CAがfinjcm相当角度に一致しているか否かを判定し、同ステップ2220にて「No」と判定した後、続くステップ2225に進む。CPU61はステップ2225に進むと、現時点でのエンジン回転速度NEの値と、上記(24)式とに基づいて現時点でのスワール流速ωを求める。
次いで、CPU61はステップ2230に進み、その時点での回転角度θs(現時点では「0°」)に「ω・Δt」を加えた値を新たな回転角度θsとして設定した後、ステップ2295に進んで本ルーチンを一旦終了する。ここで、Δtは本ルーチンの演算周期である。以降、CPU61はクランク角度CAがfinjcm相当角度に一致するまでの間、ステップ2200〜2210、2220、2225、2230の処理を繰り返し実行する。この結果、ステップ2230の繰り返し実行により、スワール流速ωが時間積分されていく。
そして、クランク角度CAがfinjcm相当角度に一致すると、CPU61はステップ2220に進んだとき「Yes」と判定してステップ2235に進むようになり、同ステップ2235にて現時点での回転角度θsの値を最終回転角度θscとして格納する。以降、CPU61はステップ2205に進んだとき「No」と判定してステップ2295に直ちに進んで本ルーチンを一旦終了するようになる。このようにして、最終回転角度θscがスワール流速ωを時間積分していくことで求められる。
一方、CPU61は図16に示したルーチンのステップ1605にて「Yes」と判定する場合、ステップ1630にてパイロット混合気厚さrcを計算した後、ステップ1635を経由して図23に示したパイロット混合気厚さrcの補正を行うためのルーチンの処理をステップ2300から実行する。CPU61はステップ2300からステップ2305に進むと、キャビティ壁面到達フラグWALLpの値が「0」から「1」に変化したか否かをモニタする。
いま、パイロット混合気先頭部がキャビティ壁面に到達した直後であるものとすると、図14のステップ1442の実行によりキャビティ壁面到達フラグWALLpの値が「0」から「1」に変更された直後であるから、CPU61はステップ2305にて「Yes」と判定してステップ2310に進み、経過時間texpを「0」に初期化する。
次に、CPU61はステップ2315に進み、クランク角度CAが制御用メイン燃料噴射時期finjcm相当角度より後の角度であるか否か(即ち、メイン噴射開始時期が過ぎたか否か)を判定する。現時点は、パイロット混合気先頭部がキャビティ壁面に到達した直後であるから、CPU61はステップ2315にて「No」と判定してステップ2320に進み、その時点での経過時間texpの値(現時点では「0」である。)にΔtを加えた値を新たな経過時間texpとして設定した後、ステップ2395を経由してステップ1695に進んで図16に示したルーチンを一旦終了する。ここで、Δtは図23に示したルーチンの演算周期である。
以降、CPU61は、クランク角度CAが制御用メイン燃料噴射時期finjcm相当角度より後の角度になるまで、図23のルーチンにおけるステップ2300、2305、2315、2320の処理を繰り返し実行する。この結果、ステップ2320の繰り返し実行により、経過時間texpが更新されていく。
そして、メイン噴射開始時期が経過すると、以降、CPU61はステップ2315に進んだとき「Yes」と判定してステップ2325に進んで、ステップ2320にて更新されている最新の経過時間texpの値と、図22のステップ2235の実行により求められている最終回転角度θscの値と、上記(25)式と、に基づいて図16のステップ1630にて求めたパイロット混合気厚さrcを逐次補正するようになる。係る補正されたパイロット混合気厚さrcの値は、図19のステップ1836にて逐次使用されていく。
以上、説明したように、本発明による第2実施形態に係る混合気温度推定装置によれば、環状に滞留するパイロット混合気の径方向の厚さの不均一性を考慮するとともに、同径方向の厚さの不均一の程度が時間経過に従って少なくなっていくこと、並びに、スワールにより燃焼室内を移動するパイロット混合気(環状に滞留するパイロット混合気を含む。)、及び燃焼室内を移動するメイン混合気が筒内ガスと共に周方向に回転すること、を考慮して、メイン混合気先頭部が滞留するパイロット混合気に到達する位置におけるパイロット混合気厚さrcを求める。従って、メイン混合気が滞留しているパイロット混合気に到達したか否かを更に一層正確に判定することができるようになり、この結果、メイン混合気温度が更に一層精度良く推定できた。
本発明は上記各実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、上記各実施形態では、パイロット混合気厚さrcの値を、上記(19)式に従って、パイロット燃料噴射量qfinpのみならず、筒内ガス圧力Pa、パイロット混合気温度Tmixp(k)、及びパイロット噴射に関わる空気過剰率λp等に応じた値として求めているが(ステップ1630)、パイロット混合気厚さrcの値をパイロット燃料噴射量qfinpのみに応じた値として簡易的に計算してもよい。
また、上記各実施形態においては、パイロット混合気温度もメイン混合気温度も、周囲ガスの温度、及び比熱を使用して断熱混合気温度として求めているが、パイロット混合気温度、及びメイン混合気温度の少なくとも一つは、断熱混合気温度に更に周囲ガスとの熱交換を考慮した補正をして求めるように構成してもよい。
また、上記実施形態においては、筒内ガス圧力Paを気体の断熱変化を表す式に従って計算しているが(ステップ1330、ステップ1620等を参照)、筒内圧力センサ77により筒内ガス圧力Paを検出するように構成してもよい。
また、上記第2実施形態においては、パイロット混合気先頭部がキャビティ壁面に到達した時点からの経過時間texpに基づいてパイロット混合気厚さrcを補正しているが(上記(25)式、ステップ2310を参照)、パイロット噴射開始時から所定時間経過した時点からの経過時間texpに基づいてパイロット混合気厚さrcを補正するように構成してもよい。この場合、係る所定時間はパイロット燃料噴射量qfinpに応じた時間に設定することが好適である。
本発明の第1実施形態に係る内燃機関の混合気温度推定装置を含む内燃機関の制御装置を4気筒内燃機関(ディーゼル機関)に適用したシステム全体の概略構成図である。 或る一つの気筒のシリンダ内(筒内)に吸気マニホールドからガスが吸入され、筒内に吸入されたガスが排気マニホールドへ排出される様子を模式的に示した図である。 筒内ガスと混ざり合いながら混合気となって円錐状に拡散していく燃料蒸気の様子を模式的に示した図である。 図4(a)は、図1に示した内燃機関においてパイロット噴射された燃料(従って、パイロット混合気先頭部)が燃焼室内壁面に到達する前においてパイロット混合気が拡散していく様子を模式的に示した図であり、図4(b)は、同内燃機関においてパイロット混合気先頭部が燃焼室内壁面に到達した後においてパイロット混合気が燃焼室の側壁近傍にて均一に環状に滞留している様子を模式的に示した図である。 環状に滞留しているパイロット混合気の厚さを求めるための、同環状に滞留しているパイロット混合気についてのモデルを表した図である。 図5に示したモデルに従った環状に滞留しているパイロット混合気の形状を示した斜視図である。 図1に示したCPUが実行する燃料噴射量等を制御するためのルーチンを示したフローチャートである。 図1に示したCPUが図7に示したルーチンを実行する際に参照する指令燃料噴射量を決定するためのテーブルである。 図1に示したCPUが図7に示したルーチンを実行する際に参照する基本燃料噴射時期を決定するためのテーブルである。 図1に示したCPUが図7に示したルーチンを実行する際に参照する基本燃料噴射圧力を決定するためのテーブルである。 図1に示したCPUが図7に示したルーチンを実行する際に参照する噴射時期補正値を決定するためのテーブルである。 図1に示したCPUが図7に示したルーチンを実行する際に参照する噴射圧力補正値を決定するためのテーブルである。 図1に示したCPUが実行するパイロット噴射開始時における各種物理量の計算を行うためのルーチンを示したフローチャートである。 図1に示したCPUが実行するパイロット混合気温度の計算を行うためのルーチンの前半部を示したフローチャートである。 図1に示したCPUが実行するパイロット混合気温度の計算を行うためのルーチンの後半部を示したフローチャートである。 図1に示したCPUが実行するパイロット混合気厚さの計算を行うためのルーチンを示したフローチャートである。 図1に示したCPUが実行するメイン噴射開始時における各種物理量の計算を行うためのルーチンを示したフローチャートである。 図1に示したCPUが実行するメイン混合気温度の計算を行うためのルーチンの前半部を示したフローチャートである。 図1に示したCPUが実行するメイン混合気温度の計算を行うためのルーチンの後半部を示したフローチャートである。 図20(a)は、本発明の第2実施形態に係る混合気温度推定装置が適用される内燃機関においてパイロット噴射された燃料(従って、パイロット混合気先頭部)が燃焼室内壁面に到達する前においてパイロット混合気が拡散していく様子を模式的に示した図であり、図20(b)は、同内燃機関においてパイロット混合気先頭部が燃焼室内壁面に到達した後においてパイロット混合気が燃焼室の側壁近傍にて不均一に環状に滞留している様子を模式的に示した図である。 不均一に環状に滞留しているパイロット混合気の厚さを求めるための、同環状に滞留しているパイロット混合気についてのモデルを表した図である。 本発明の第2実施形態に係る混合気温度推定装置のCPUが実行するスワールによるパイロット混合気の回転角度を計算するためのルーチンを示したフローチャートである。 本発明の第2実施形態に係る混合気温度推定装置のCPUが実行するパイロット混合気厚さの補正を行うためのルーチンを示したフローチャートである。
符号の説明
21…燃料噴射弁、24…ピストン、24b…側面、24c…底面、24d…キャビティ、60…電気制御装置、61…CPU、72…吸気温センサ、73…吸気管圧力センサ、74…クランクポジションセンサ、76…燃料温度センサ、77…筒内圧力センサ、78…吸気酸素濃度センサ

Claims (4)

  1. 一作動サイクル中においてパイロット噴射用の燃料を燃焼室内に噴射した後にメイン噴射用の燃料を同燃焼室内に噴射する内燃機関に適用され、前記メイン噴射による混合気であるメイン混合気の温度を推定するメイン混合気温度推定手段を備えた内燃機関の混合気温度推定装置であって、
    前記燃焼室内に吸入されている筒内ガスの温度を推定する筒内ガス温度推定手段と、
    前記パイロット噴射による混合気であるパイロット混合気の温度を推定するパイロット混合気温度推定手段と、
    前記パイロット混合気が前記燃焼室の側壁の近傍にて略環状に滞留しているとの仮定のもと、前記メイン混合気が前記滞留しているパイロット混合気に到達したか否かを判定する判定手段と、を備え、
    前記メイン混合気温度推定手段は、
    前記メイン混合気が前記滞留しているパイロット混合気に到達していないと判定されている間は前記筒内ガスの温度を利用して前記メイン混合気の温度を推定していき、同メイン混合気が同滞留しているパイロット混合気に到達したと判定された後は同パイロット混合気の温度を利用して同メイン混合気の温度を推定していくように構成された内燃機関の混合気温度推定装置。
  2. 請求項1に記載の内燃機関の混合気温度推定装置において、
    前記判定手段は、
    前記略環状に滞留しているパイロット混合気の径方向の厚さを、前記パイロット噴射の噴射方向に対応する位置の厚さが同パイロット噴射の噴射方向に対応しない位置の厚さに比して厚くなるように、不均一に設定するように構成された内燃機関の混合気温度推定装置。
  3. 請求項2に記載の内燃機関の混合気温度推定装置において、
    前記判定手段は、
    前記略環状に滞留しているパイロット混合気の径方向の厚さの不均一の程度を時間の経過と共に少なくしていくように構成された内燃機関の混合気温度推定装置。
  4. 請求項2又は請求項3に記載の内燃機関の混合気温度推定装置であって、
    スワールにより発生するスワール流速を表す値を取得するスワール流速取得手段を更に備え、
    前記判定手段は、
    前記略環状に滞留しているパイロット混合気における前記パイロット噴射の噴射方向に対応する位置及び同パイロット噴射の噴射方向に対応しない位置を、前記取得されたスワール流速を表す値に応じて変更していくように構成された内燃機関の混合気温度推定装置。
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