JP3978821B2 - 回折素子 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、CD、CD−ROM、ビデオディスクなどの光ディスクおよび光磁気ディスクなどに光学的情報を書き込んだり、光学的情報を読み取るための光ヘッド装置に使用する回折素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
光ディスクおよび光磁気ディスクなどの光記録媒体に光学的情報を書き込んだり、光記録媒体から光学的情報を読み取ったりするのに光ヘッド装置が用いられる。光ヘッド装置は、ディスク状の光記録媒体の記録面から反射された信号光を光検出部へ導光(ビームスプリット)するための光学部品を備えている。この光学部品としては、従来、回折素子またはホログラム素子を用いたものと、プリズム式ビームスプリッタを用いたものとが知られていた。
【0003】
光ヘッド装置用の従来の回折素子またはホログラム素子は、ガラスやプラスチックの基板上に、矩形の断面を有するレリーフ状の格子をドライエッチング法または射出成形法よって形成したものであり、格子で光を回折しビームスプリット機能を付与していた。
【0004】
これらの回折素子またはホログラム素子のうち、ドライエッチング法を用いるものの例を図4に示す。
下面側に低反射コート1を施されたガラス基板2そのものの上面、または、ガラス基板2上に蒸着法やスパッタ法などの真空プロセスを用いて成膜されたSiO2 などの無機薄膜3の上面に、フォトリソグラフィにより、格子状のフォトレジストマスクを作製し、この状態で、ドライエッチングを行って無機薄膜3の部分に無機薄膜3の格子である無機格子4を形成し、さらに、無機格子4の上に残存しているフォトレジストを除去してから、低反射コート5を施すことにより回折素子を作成し、偏光無依存型の等方性回折素子として使用する。
【0005】
このような等方性回折素子における光の利用効率は10%程度と低く、光の利用効率を10%よりも上げようとする場合には、偏光を利用することが考えられる。
【0006】
そこで、偏光を利用した光利用効率の高いホログラム(回折素子)を備えた光ヘッド装置が特開平9−180236に提案されている。この提案の偏光性回折素子は図5のものである。まず、ガラス基板6上に、後述する液晶7などの複屈折性材料の常光屈折率または異常光屈折率とほぼ等しい屈折率を有する無機系の等方性薄膜8を成膜し、つぎに、フォトリソグラフィにより、等方性薄膜8の上に、格子状のフォトレジストマスクを作製し、この状態で、ドライエッチングを行って無機格子9を形成し、さらに、無機格子9の上に残存したフォトレジストを除去してから、配向膜10を塗布焼成して配向処理を施した後、同様の配向処理を実施した配向膜11を有する対向基板12を向かい合わせるとともに、シール材13を介在させて熱圧着し、内部に液晶7などの複屈折性材料を充填し封止することにより回折素子部14を形成し、さらに、ガラス基板6の下面側に有機系位相差フィルム15を貼り付けたガラス基板16を挟み込むように取り付けて位相差板部17を形成し、両面に低反射コート18、19を施す。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記図5の偏光性の回折素子の場合に、通常の液晶7は、格子における凹凸部の延長方向、すなわち、格子方向に沿って配向されるため、格子方向と直交する偏光に対しては液晶7の常光屈折率が対応し、格子方向と平行な偏光に対しては液晶7の異常光屈折率が対応する。したがって、上記光ヘッド装置では、入射光の偏光方向に対して格子方向は、平行または垂直のいずれかとなり、かつ、回折素子部14内でほぼ一様な方向であるという制約があった。
【0008】
また、液晶7を封入するのに、ガラス基板6と対向基板12とシール材13が必要となるため、有効径に対して素子サイズ上の問題となっていた。
さらに、偏光切り替えのための位相差板部17を合わせ持つ回折素子において、位相差板部17に安価な有機系位相差フィルム15を用いる場合には、有機系位相差フィルム15単体が持つ透過波面歪みや、回折素子部14に充填する液晶7との反応に対する信頼性が問題となり、これを解消するためにガラスが3枚必要となり、回折素子の薄型化、軽量化上の問題となっていた。
【0009】
本発明は、上述の各問題を解決し、位相差板を内蔵でき、軽量小型で、かつ、格子方向と入射偏光方向とのなす角度に制約がなく、工業的生産が可能で高い光利用効率を有する回折素子を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、回折素子の製造方法であって、前記回折素子は、透明基板と、透明基板上に形成された、複屈折性膜の断面が凹凸状の格子と、前記格子の凹部に充填された、屈折率が前記複屈折性膜の常光屈折率または異常光屈折率とほぼ等しい屈折率を有する等方性材料とを備える回折素子であって、前記複屈折性膜は高分子液晶からなる複屈折性膜であって、前記製造方法は、前記透明基板上に高分子液晶からなり完全に固化した複屈折性膜を形成する工程と、前記複屈折性膜をフォトリソグラフィによるエッチングにより格子を形成する工程と、前記複屈折成膜からなる格子に前記等方性材料を充填する工程と、を備えることを特徴とする回折素子の製造方法を提供する。この場合、前記フォトリソグラフィによるエッチングにより格子を形成する工程が、前記複屈折性膜上に保護膜を形成する工程と、前記保護膜上に格子状をしたフォトレジストマスクを形成し、このフォトレジストマスクを用いてエッチングして前記保護膜からなる選択マスクを作製する工程と、前記保護膜からなる選択マスクを用いて前記複屈折成膜からなる格子を作製する工程と、を備えることが好ましく、また、前記保護膜がSiO 膜であることが好ましい
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明においては、水晶基板などの光学的な位相差を有する基板、または、位相差膜を形成されたガラス基板などの透明基板上に、一様に配向した光硬化性を有する高分子液晶からなる複屈折性膜を形成する。この複屈折性膜を構成する高分子液晶の配向方向としては、透明基板に対して水平で、かつ、入射直線偏光に対して垂直/平行のいずれでもよく、どちらの場合でも高透過とできる。
【0013】
成膜し配向した高分子液晶による複屈折性膜に、断面が凹凸状の格子を形成する。格子を形成する手段としては、フォトリソグラフィよるエッチング方式や、格子形状を有する金型によるプレス方式などが使用できる。
【0014】
この際、格子を複屈折性膜に形成したため、格子方向が、高分子液晶の配向方向および入射直線偏光方向によって制約を受けないので、任意の方向を選択でき、高分子液晶による複屈折性膜における屈折率楕円体の屈折率長軸方向に対して平行でも垂直でもない方向とすることができる。また、回折素子を複数の領域に分け、各領域について方向の異なる格子を形成することもできる。
【0015】
形成された格子の凹凸部には等方性媒体を充填する。等方性媒体の屈折率は、入射直線偏光方向と複屈折性膜を構成する高分子液晶の配向方向との関係によって決まる。例えば、入射直線偏光と高分子液晶の配向方向とを垂直とした場合には、高分子液晶の常光屈折率と屈折率のほぼ等しい等方性媒体にて凹部を充填し、また、入射直線偏光と高分子液晶の配向方向とを平行とした場合には、高分子液晶の異常光屈折率と屈折率のほぼ等しい等方性媒体にて凹部を充填する。充填する等方性材料としては、光硬化型のポリマー、熱硬化型のポリマーなどが使用でき、例えばアクリル系紫外線硬化型接着剤などが使用できる。
【0016】
等方性媒体の充填時に、回折素子全体の透過波面歪みを抑制するためには低反射コートを施したカバーガラスなどで挟み込んで硬化させる方法が容易である。しかし、回折素子の薄型化、軽量化のために、カバーガラスなしで硬化させる方が望ましい。また、前記回折素子に位相差板部を一体化することができ、光ヘッド装置および回折素子の小型、軽量化のために望ましい。そこで、位相差を有する透明基板として、水晶の透明基板を使用できる。
【0017】
また、水晶の透明基板の代わりに有機系位相差フィルムを貼り付けたガラス製の透明基板も使用できる。有機系位相差フィルムの代わりに透明基板に対して水平配向された光硬化性を有する高分子液晶などの有機系位相差材料も使用できる。これらの、位相差を有する基板または有機系位相差材料を1/4波長板(直線偏光を円偏光に変換する)として用いる場合は、これらの材料の位相差が使用波長の(n+1/4)倍となるよう調整し、複屈折性材料の光学軸と入射直線偏光の方向を45゜の角度をなすように配置する。ここでnは0以上の整数である。
【0018】
また、光ヘッド装置が2種類の光源、例えば波長650nmの半導体レーザと波長780nmの半導体レーザを備え、同一の集光レンズを用いて、DVDの読み出しとCDの読み出しにそれぞれ使い分ける場合、DVDとCDのディスクの厚さの違いによって発生する集光時の収差を改善するために、CDの読み出し時に、外周部の光量を落とす方法が知られており、そのための手段の一つとして波長選択性の開口径制限部を用いることが知られている。本発明においては、この目的のために、2つの光源の波長によって20%以上透過率の異なる波長選択性の開口径制限部を使用する。
【0019】
例えば、650nmの波長の光に対しては90%以上を透過し、780nmの波長の光に対しては90%以上を反射するダイクロイックミラーなどの光学多層膜からなる波長選択性の開口径制限部を、有効領域内のCDデータの読み出しを行う際に切り捨てられる素子の外周部に一体化して設置でき、これによって、部品点数の削減や、光ヘッド装置の小型軽量化などの効果が得られる。
【0020】
本発明の回折素子は、従来の回折素子に比べて格子パターンのデザイン自由度も高いうえに、様々な用途の光学部品を積層一体化できるので、軽量化かつ薄型化が可能である。
【0021】
位相差板および波長選択性の開口径制限部を合わせ持つ回折素子の場合、波長が650nmの半導体レーザからのS波のレーザ光は、往路(光源側から光記録媒体側へ向かう方向)においては、まず、波長選択性の開口径制限部を透過して、高分子液晶による複屈折性膜の全ての有効領域に入射する。すると、P波に対応する方向に配向された高分子液晶の凸部の屈折率は1.5(常光屈折率)程度であり、凹部もほぼ屈折率が1.5であるため、レーザ光は回折しないで透過し、位相差を持つ複屈折性の基板または位相差膜によって直線偏光が円偏光へ変換される。
【0022】
復路(光記録媒体側から光源側へ向かう方向)においては、レーザ光は、光記録媒体で反射されて逆回りの円偏光となって回折素子へ入射し、位相差を持つ複屈折性基板または位相差膜によって、今度は往路と直交する直線偏光に変化されP波となる。すると、P波に対応する方向に配向された高分子液晶によって形成される凸部の屈折率は1.6(異常光屈折率)程度であり、凹部の屈折率はほぼ1.5であるため、回折素子として機能し、光の回折が起こる。
【0023】
これに対し、波長が780nmのレーザ光に対しては、上記の波長選択性の開口径制限部が機能するため、中央部のみが回折素子の回折素子部へ入射する。そして、往路では波長が650nmの場合と同様に屈折率差がほとんどないため、光は回折しないで下方へ透過する。ここで、位相差板は、650nmの波長に対し、1/4波長板となるように調整されているため780nmの波長に対しては約1/5波長板として機能し、結果として光記録媒体からの戻り光は完全なP波にはならないが、その大部分は回折する。
【0024】
また、本発明の位相差板の位相差を650nmの波長に対しては5/4波長板となり、780nmの波長に対して4/4波長板となるようにすることにより、650nmの波長に対しては機能し、780nmの波長に対しては機能せずにほとんどが透過する回折素子とすることもできる。この場合、波長780nmの光源の前に、別途に、回折素子を設置してもよく、650nmの入射偏光方向に対して780nmの入射偏光方向を20〜45°傾けることにより往路復路ともに回折させてもよい。
【0025】
本発明の回折素子は、光源側の面に他の格子を形成してもよく、その場合には3ビーム法によるトラッキングエラー検出ができて好ましい。
本発明の回折素子における格子の凹凸部(光学的異方性回折素子)のパターンは、光記録媒体からの戻り光のビーム形状が所望の形状になるように、回折素子面内で曲率をつけたり、格子間隔に分布をつけたりすることもできる。
【0026】
本発明の回折素子に対しては、半導体レーザ、YAGレーザなどの固体レーザや、He−Neレーザなどの気体レーザなど、各種の光源が使用できる。小型軽量化、連続発振、保守点検などの面では半導体レーザを使用するのが好ましい。また、半導体レーザなどの光源部に非線形光学素子を組み込んだ高調波発生装置を使用して、青色レーザなどの短波長レーザを用いると、高密度の光記録および読み取りができる。
【0027】
本発明の回折素子を搭載した光ヘッド装置を使用する光記録媒体は、光により情報を記録および/または読み取ることができる媒体である。その例としてはCD、CD−ROM、DVDなどの光ディスク、および、光磁気ディスク、相変化型光ディスクなどが挙げられる。
【0028】
【実施例】
[実施例1]
実施例1を図1、図2を参照しつつ説明する。CDで使われる650nmの波長の光に対して1/4波長の位相差を有する、直径3インチ、厚さ0.4mmの水晶の透明基板20によって位相差板部21を構成し、位相差板部21を構成する水晶の透明基板20の光記録媒体側の面(図中下側の面)に低反射コート22を施した。
【0029】
つぎに、水晶の透明基板20の光源側の面(図中上側の面)にポリイミド配向膜23を形成し、ポリイミド配向膜23に水晶の透明基板20の光学軸に対して45゜の方向にラビングを施し、まず、光硬化性を有する高分子液晶の未重合の液体をポリイミド配向膜23上に滴下した。つぎに、表面にポリイミドを塗布し水晶の透明基板20のラビング方向と180゜のラビングを施した後に離型化処理を施した図示しない対向ガラス基板を用いて、未重合の高分子液晶を水平配向状態にし、さらに、光量600mJの紫外光を照射して重合を行い、その後、上記の図示しない対向ガラス基板を離型除去して、厚さ3.5μmの水平配向された高分子液晶による複屈折性膜24を形成し、さらに光量3000mJの紫外光を照射して追加重合を行った後、140℃にて30分間アニール(焼鈍)を実施して複屈折性膜24を完全に固化した。
【0030】
この、高分子液晶による複屈折性膜24上に、スパッタ法により保護膜としてSiO2 膜25を約50nm成膜した。つぎに、SiO2 膜25の上に、フォトリソグラフィにより格子のストライプ方向がラビング方向に対して+45゜および−45゜の角度をなす2つの領域を備えたピッチ6μmの格子状をしたフォトレジストマスクを形成した。
【0031】
そして、まず、格子状をしたフォトレジストマスクを利用し、流量100SCCMのCF4 ガスなどのフッ化炭素ガスを用いて、圧力0.2Torr、出力300Wの条件下で5分間の反応性イオンエッチングを実施し、SiO2 膜25にフォトレジストマスクの格子パターンを転写し、SiO2 の選択マスク26を作製した。
【0032】
つぎに、作製したSiO2 の選択マスク26を利用し、流量100SCCMのO2 ガスを用いて、圧力0.2Torr、出力300Wの条件下で20分間のアッシング(灰化処理)を行い、反応性イオンエッチングで残存したフォトレジストマスクを除去すると同時に、図2に示す深さ3.5μm、ピッチ6μmの格子27を高分子液晶による複屈折性膜24に作製した。
【0033】
その後、今回、複屈折性膜24に用いた高分子液晶(常光屈折率no =1.5、異常光屈折率ne =1.6)の常光屈折率no と等しい屈折率(n=1.5)を有する紫外線硬化型の等方性材料28を充填し、光量5000mJの紫外光照射により硬化重合させ、回折素子部29を形成した。
【0034】
さらに、厚さ0.3mmのガラス基板30における、中心の2.18mmφの部分を除いた外周部分に、真空蒸着法およびリフトオフ法で、DVDで使われる650nmの波長の光を90%以上透過し、かつ、CDで使われる780nmの波長の光を90%以上反射する光学多層膜31を形成するとともに、中心の2.18mmφの部分に中央部と外周部分の位相を補正するためのSiO2 コート32を形成して波長選択性の開口径制限部33を構成し、波長選択性の開口径制限部33のガラス基板30で等方性材料28をカバーし、光量5000mJの紫外光を照射して等方性材料28を硬化重合させるとともに、波長選択性の開口径制限部33を一体化し、さらに、波長選択性の開口径制限部33の上から低反射コート34を施した。最後に、ダイシングにより切断して、外径4mm×4mm、厚さ約0.7mmの回折素子35を作製した。
【0035】
こうして作製された回折素子35の特性を調べたところ、高分子液晶による複屈折性膜24のラビング方向と垂直な方向の偏光に対しては、図示しない半導体レーザ(光源)からのDVDと同じ波長650nmのS波(図1において紙面に平行な偏光方向の光)の透過率は92%であることが確認された。図示しない光記録媒体からの反射光は、位相差板部21を往復で2度透過することにより、P波(紙面に垂直な偏光方向の光)となって回折格子部29へ入射し、その+1次回折光の回折効率が38%、−1次回折光の回折効率が35%で、合計73%となることが確認された。
【0036】
したがって、往復効率は、0.92×0.73=67%となり、実用上充分に高い回折効率が得られた。また、CDと同じ780nmのレーザ光に対しては、中央の2.18mmφの部分のみに対して、往路の透過率が91%、復路の+1次回折光の回折効率が17%、−1次回折光の回折効率が19%で合計36%となることが確認された。したがって、往復効率は、0.91×0.36=33%となった。透過光の波面収差は、回折素子35の光の入出射面の中心部(直径2mmの円形の範囲)で、0.020λrms (自乗平均)以下であった。
【0037】
[実施例2]
実施例2を図3を参照しつつ説明する。光記録媒体側の面(図中下側の面)に低反射コート36を施された直径3インチ、厚さ0.5mmのガラス製の透明基板37を用意し、ガラス製の透明基板37の光源側の面(図中上側の面)に、ポリイミド配向膜38を形成し、ポリイミド配向膜38にラビングによる水平配向処理を施した後、ポリイミド配向膜38上に未重合の光硬化性の高分子液晶を塗布し、重合後の高分子液晶の屈折率差(Δn≒0.1)に基づき、位相差がDVDの使用波長である650nmのほぼ5/4波長倍となるように紫外光によって高分子液晶を重合硬化させ、約8μmの高分子液晶による位相差膜39を形成し、位相差板部40を構成した。その後、スパッタ法により高分子液晶による位相差膜39の上に保護膜として50nmのSiO2 膜41を成膜した。
【0038】
つぎに、SiO2 膜41の上に、再びポリイミド配向膜42を形成し、ポリイミド配向膜42に位相差板部40の光学軸に対して45゜の方向に水平配向するようにラビング処理を実施した。そして、ポリイミド配向膜42上に未重合の光硬化性の高分子液晶を塗布し、図示しない対向ガラス基板を用いて、高分子液晶を水平配向状態にした後、光量600mJの紫外光を照射して重合を行い、その後、対向ガラス基板を離型除去して、厚さ3.5μmの水平配向した高分子液晶による複屈折性膜43を形成し、さらに光量3000mJの紫外光を照射して追加重合を行った後、140℃にて30分間アニールを実施して、高分子液晶による複屈折性膜43を完全に固化した。
【0039】
この高分子液晶による複屈折性膜43上に、スパッタ法によりSiO2 膜44を約50nm成膜した。つぎに、フォトリソグラフィにより格子の方向がラビング方向に対して45゜をなすピッチ6μmの格子状をしたフォトレジストマスクを形成した。
【0040】
そして、まず、格子状のフォトレジストマスクを利用し、流量100SCCMのCF4 ガスなどのフッ化ガスを用いて、圧力0.2Torr、出力300Wの条件下で5分間の反応性イオンエッチングを実施し、SiO2 膜44にフォトレジストマスクのパターンを転写し、SiO2 の選択マスク45を作製した。
【0041】
つぎに、作製したSiO2 の選択マスク45を利用し、流量100SCCMのO2 ガスを用いて、圧力0.2Torr、出力300Wの条件下で20分間のアッシングを行い、反応性イオンエッチングで残存したフォトレジストを除去すると同時に、深さ3.5μm、ピッチ6μmの格子46を高分子液晶による複屈折性膜43に作製した。
【0042】
その後、今回、複屈折性膜43に用いた高分子液晶(常光屈折率no =1.5、異常光屈折率ne =1.6)の常光屈折率no と等しい屈折率(n=1.5)を有する紫外線硬化型の等方性材料47を塗布、充填し、光量5000mJの紫外光照射により硬化重合させ、回折格子部48を形成した。そして、等方性材料47の上から保護膜として50nmのSiO2 膜49を形成し、SiO2 膜49の上に低反射コート50を施した後、ダイシングにより切断して、外径4mm×4mm、厚さ約0.5mmの回折素子51を作製した。
【0043】
こうして作製された回折素子51の特性を調べたところ、回折格子部48を構成する高分子液晶による複屈折性膜43のラビング方向と垂直な方向の偏光に対しては、図示しない半導体レーザ(光源)からのDVDと同じ波長650nmのS波(図1において紙面に平行な偏光方向の光)の透過率は91%であることが確認された。図示しない光記録媒体からの反射光は、位相差板を往復で2度透過することにより、P波(紙面に垂直な偏光方向の光)となって回折格子部48へ入射し、その+1次回折光の回折効率が37%、−1次回折光の回折効率が35%で、合計72%となることが確認された。
【0044】
したがって、往復効率は、0.91×0.72=66%となり、実用上充分に高い回折効率が得られた。透過光の波面収差は、回折素子51の光の入出射面の中心部(直径2mmの円形の範囲)で、0.025λrms (自乗平均)以下であった。
【0045】
【発明の効果】
本発明の回折素子によれば、位相差板部を内蔵でき、軽量小型で、かつ、格子方向と入射偏光方向とのなす角度に制約がなく、工業的生産が可能で高い光利用効率を有する回折素子を提供できるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の回折素子の側方断面図。
【図2】図1のII−II矢視図。
【図3】実施例2の回折素子の側方断面図。
【図4】ドライエッチング法を用いた回折素子またはホログラム素子の側方断面図。
【図5】偏光性回折素子を示す側方断面図。
【符号の説明】
20、37:透明基板
24、43:複屈折性膜
27、46:格子
28、47:等方性材料
33:波長選択性の開口径制限部
39:位相差膜

Claims (3)

  1. 回折素子の製造方法であって、
    前記回折素子は、透明基板と、透明基板上に形成された、複屈折性膜の断面が凹凸状の格子と、前記格子の凹部に充填された、屈折率が前記複屈折性膜の常光屈折率または異常光 屈折率とほぼ等しい屈折率を有する等方性材料とを備える回折素子であって、
    前記複屈折性膜は高分子液晶からなる複屈折性膜であって、
    前記製造方法は、
    前記透明基板上に高分子液晶からなり完全に固化した複屈折性膜を形成する工程と、
    前記複屈折性膜をフォトリソグラフィによるエッチングにより格子を形成する工程と、
    前記複屈折成膜からなる格子に前記等方性材料を充填する工程と、を備えることを特徴とする回折素子の製造方法。
  2. 前記フォトリソグラフィによるエッチングにより格子を形成する工程が、
    前記複屈折性膜上に保護膜を形成する工程と、
    前記保護膜上に格子状をしたフォトレジストマスクを形成し、このフォトレジストマスクを用いてエッチングして前記保護膜からなる選択マスクを作製する工程と、
    前記保護膜からなる選択マスクを用いて前記複屈折成膜からなる格子を作製する工程と、
    を備える請求項1に記載の回折素子の製造方法。
  3. 前記保護膜がSiO膜である請求項2に記載の回折素子の製造方法。
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