JP3947828B2 - 光ヘッド装置及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、CD(コンパクト・ディスク)、CD−ROM、ビデオディスク等の光ディスク及び光磁気ディスク等に光学的情報を書き込んだり、光学的情報を読み取るための光ヘッド装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、光ディスク及び光磁気ディスク等に光学的情報を書き込んだり、光学的情報を読み取る光ヘッド装置としては、ディスクの記録面から反射された信号光を検出部へ導光(ビームスプリット)する光学部品としてプリズム式ビームスプリッタを用いたものと、回折格子又はホログラム素子を用いたものとが知られていた。
【0003】
従来、光ヘッド装置用の回折格子又はホログラム素子は、ガラスやプラスチック基板上に、矩形の断面を有する矩形格子(レリーフ型)をドライエッチング法又は射出成形法よって形成し、これによって光を回折しビームスプリット機能を付与していた。
【0004】
また、光の利用効率が10%程度の等方性回折格子よりも光の利用効率を上げようとした場合、偏光を利用することが考えられる。偏光を利用しようとすると、プリズム式ビームスプリッタにλ/4板を組み合わせて、往き(光源から記録面へ向かう方向)及び帰り(記録面から検出部へ向かう方向)の効率を上げて往復効率を上げる方法があった。
【0005】
しかし、プリズム式偏光ビームスプリッタは高価であり、他の方式が模索されていた。一つの方式としてLiNbO等の複屈折結晶の平板を用い、表面に異方性回折格子を形成し偏選択性をもたす方法が知られている。しかし、複屈折結晶自体が高価であり、民生分野への適用は困難である。
【0006】
等方性回折格子は前述のように、往き(光源から記録面へ向かう方向)の利用効率が50%程度で、帰り(記録面から検出部へ向かう方向)の利用効率が20%程度であるため、往復で10%程度が限界である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前述の問題を解消し光の利用効率を高め、安価に製造できる光ヘッド装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、光源からの光を回折素子を通して光記録媒体上に照射することにより情報の書き込み及び/又は情報の読み取りを行う光ヘッド装置において、前記回折素子は、透明基板の表面に格子状の凹凸部が形成され、前記凹凸部が光学等方性材料からなり、前記凹凸部に光学異方性を有して常光屈折率と異常光屈折率との差Δnが0.05以上0.35以下である液晶が充填されていて、前記凹凸部の屈折率が前記液晶の常光屈折率又は異常光屈折率にほぼ等しい光学異方性回折格子であって、前記凹凸部の屈折率をn、深さをD、液晶の常光屈折率をn、液晶の異常光屈折率をn、|n−n|と|n−n|のいずれか大きい方をΔN、光源からの光の真空中における波長をλとするとき、DΔN=λ/2なる関係が30℃より高い温度で満たされるようにすることにより、0〜60℃の温度範囲で温度特性が最適になるようにして回折による往復効率を高めたことを特徴とする光ヘッド装置を提供する。
また、前記回折素子が、表面に格子状の凹凸部が形成された2枚の透明基板を用い、凹凸部を形成した面どうしを対面させ、あるいは、2枚の透明基板に形成された凹凸部が、積層面に対して非対称となるように積層させて、前記凹凸部にその液晶を充填し、2枚の透明基板を積層してなる光ヘッド装置、さらに前記格子状の凹凸部の断面形状が左右非対称である光ヘッド装置を提供する。
【0009】
また、光源からの光を回折素子を通して光記録媒体上に照射することにより情報の書き込み及び/又は情報の読み取りを行う光ヘッド装置であって、前記回折素子が、表面に格子状の凹凸部が形成された透明基板と、前記凹凸部に充填された、光学異方性を有していて常光屈折率と異常光屈折率との差Δnが0.05以上0.35以下である液晶とを備えた光学異方性回折格子であって、前記凹凸部の屈折率をn、深さをD、液晶の常光屈折率をn、液晶の異常光屈折率をn、|n−n|と|n−n|のいずれか大きい方をΔN、光源からの光の真空中における波長をλとするとき、DΔN=λ/2なる関係が30℃より高い温度で満たされるようにすることにより、0〜60℃の温度範囲で温度特性が最適になるようにして回折による往復効率を高めたことを特徴とする光ヘッド装置の製造方法において、前記光学異方性回折格子が、透明基板の屈折率にほぼ等しい屈折率を有する透明薄膜を透明基板上に被覆する工程と、次いで前記透明薄膜をフォトリソグラフィ法により加工して格子状の凹凸部を形成する工程とを備えた製造方法で製造されることを特徴とする光ヘッド装置の製造方法、さらにまた、前記透明薄膜がSiO膜(1<x<2)である光ヘッド装置の製造方法を提供する。
【0010】
【発明の実施の形態】
発明において、前記凹凸部が光学等方性材料からなりその屈折率が、前記液晶の常光屈折率又は異常光屈折率にほぼ等しければ、光の偏光を利用した光学異方性回折格子として機能するが、特に常光屈折率にほぼ等しい場合、前記凹凸部を有する透明基板材料の選択範囲が広くなり、安価で良質の回折素子が作製できるので好ましい。また、凹凸部の屈折率を液晶の異常光屈折率にほぼ等しくする場合、透明基板材料としてポリカーボネートのような屈折率の高いもの(屈折率1.58)が有効に使用できる。
【0015】
表面に格子状の凹凸部が形成された2枚の透明基板を用い、凹凸部を形成した面どうしを対面させ、それらの凹凸部に前記液晶を充填し、2枚の透明基板を積層して光学異方性回折格子を形成してもよい。その場合、各々の凹凸部は浅いものでよく、そのため作製が容易になり好ましい。また、2つの対面する凹凸部により液晶の配向性が向上する点でも好ましい。
【0016】
前記2枚の透明基板に形成された凹凸部が、積層面に対して非対称となるように積層されている場合、断面形状が非対称な回折格子を容易に作製でき、±1次回折光のいずれか一方の回折効率を大きくし、回折効率の大きい方の光を1つの検出器で検出できるという効果があり、好ましい。
【0017】
本発明で用いる液晶としては、ネマチック液晶、スメクチック液晶等の液晶表示装置等に使用される公知の液晶が使用できる。
【0018】
本発明において、前記液晶の常光屈折率と異常光屈折率との差Δnが0.05以上0.35以下であるとする。その理由は、0.05未満では凹凸部を深くする必要があり製造が困難になり、コスト高を招きやすく、0.35超では液晶が紫外線等により劣化しやすいからである
【0019】
前記透明基板としては、ガラス、ポリオレフィン、ポリカーボネート等の屈折率が1.4程度以上1.6程度以下のものが、液晶の常光屈折率約1.5に整合しやすいため、好ましい。
【0020】
前記凹凸部が光学的に等方性材料からなりその屈折率をn、前記凹凸部の深さをD、前記液晶の常光屈折率をn、異常光屈折率をn、|n−n|と|n−n|のいずれか大きい方をΔN、光源からの光の真空中における波長をλとするとき、DΔN=λ/2となる温度が30℃より高温であるようにされる。すなわち、DΔN=λ/2のときに回折による往復効率は最も高くなるが、ΔNは温度によって変化するので0〜60℃の範囲で温度特性を最適にするためには、30℃以上の温度で上記の関係を満たすような凹凸部の深さにされる
【0022】
前記透明基板の光学異方性回折格子上に、ガラス、又はアクリル樹脂、ポリオレフィン、ポリカーボネート等のプラスチックからなる厚さ1mm程度の第2の透明基板を積層することにより、液晶の層をはさみ込んで固定できるため好ましい。液晶は凹凸部に充填するだけでなく、凹凸部からあふれた部分は透明基板と第2の透明基板との間に、液晶の薄い層を形成してもよい。透明基板の凹凸部を形成した面の平坦部と第2の透明基板との距離は、大きすぎると第2の透明基板に形成した配向膜による液晶の配向力が低下するため10μm以下が好ましく、5μm以下がより好ましい。
【0023】
前記透明基板の光学異方性回折格子上に第2の透明基板が積層され、前記第2の透明基板の液晶側に液晶配向用のポリイミド膜(配向膜)が形成される場合、前記透明基板にポリイミド膜を形成する場合と比較して、ラビング時のラビング用布の損傷が小さくなり、製造コストが小さくなり好ましい。
【0024】
格子状の凹凸部を有する透明基板は、その凹凸部自体がラビングされた配向膜と同様の配向作用を有し、第2の透明基板に配向膜を設けなくとも、それだけでも充分な回折素子としての特性が得られることを見い出した。その場合、配向膜を設けた場合とほぼ同等の特性が得られ、配向膜を設けなくてもよいので低コストで製造できる利点がある。
【0025】
また、第2の透明基板にポリイミド膜を形成する際に、配向のためのラビング方向と前記凹凸部のストライプの方向(格子状の凹凸部の長手方向)を同じにすることにより、液晶の配向の安定性や再現性を向上させ、ΔNを大きくでき、温度等の周辺環境による配向率の低下を防止できる点で好ましい。
【0026】
前記格子状の凹凸部の断面形状が、凹凸部の長手方向(ストライプ方向)に垂直な面において左右非対称である場合、+1次回折光又は−1次回折光のいずれか一方の回折効率を大きくし、回折効率の大きい方のみを利用すれば1つの検出器のみで大きい往復効率が得られ好ましい。左右非対称の形状とは、階段状、斜面状(のこぎり状)等の形状である。
【0027】
また、凹凸部の間隔に分布を持たせるようにする、凹凸部の一部を左右非対称のものにしその他を左右対称のものにする、凹凸部の一部を凸部としその他を凹部とする、というような変更を行ってもよい。
【0028】
前記透明基板の光学異方性回折格子上に、λ/2板、λ/4板等として機能する位相差板、位相差フィルムを積層させれば、光の往き方向(光源側から光記録媒体側へ向かう方向)と光の帰り方向(光記録媒体側から光源側へ向かう方向)とで偏光方向を直交させ、光学異方性回折格子として機能させうる。前記位相差板、位相差フィルムは、数10〜数100μm程度の厚みを有するポリカーボネート又はポリビニールアルコール等の材料が好ましく使用できる。
【0029】
前記位相差板又は位相差フィルムの少なくとも片面をフォトポリマー、熱硬化型エポキシ樹脂等の有機樹脂で覆うか、又はさらに前記有機樹脂を介して平坦性のよいガラス基板、プラスチック基板等の第3の透明基板を接着すれば、波面収差の低減、信頼性の向上という利点があり好ましい。
【0030】
前記透明基板と第2の透明基板との間の周辺部、又は回折素子全体の周辺部をエポキシ樹脂等のシール材でシールすることにより、液晶の漏れを防ぐだけでなく、外部環境の湿度や温度の変化による液晶及び有機樹脂等の好ましくない物理的又は化学的変化を防止でき好ましい。
【0031】
前記透明基板の凹凸部を設けた面と反対側の面(光源側の面)に、トラッキングエラー検出用の3ビームを発生させる第2の回折格子を設けてもよく、その場合トラッキングエラー検出が容易になり好ましい。前記第2の回折格子は、フォトポリマー、フォトレジスト等を塗布し所定パターンに露光することにより形成するか、又はドライエッチング法により直接第2の基板を加工することにより形成する。
【0032】
本発明の光ヘッド装置を読み取り用として使用する場合は、通常、光源側に光記録媒体からの反射光を検出する検出器を設けるが、その検出器の受光面上に前記反射光が所望のビーム形状に集光するように、回折素子の光学異方性回折格子パターンに面内曲率を付与したり、格子間隔に分布を付与してもよい。前記格子パターンは、コンピュータによって設計した曲率分布、格子間隔分布とし、スポットサイズディテクション法等のフォーカスエラー検出法に最適なパターンとすることができる。前記検出器としては、フォトダイオード、CCD素子等の半導体素子を利用したものが小型軽量で、低消費電力であるため好ましい。
【0033】
前記回折素子の光入出射面に反射防止膜を設けることにより、光の損失を防止できる。その場合、反射防止膜としてアモルファスフッ素樹脂を使用すれば、蒸着装置等の高価で大型の成膜装置を使用しないで低コストで成膜できるため好ましい。
【0034】
前記光源、回折素子、検出器、対物レンズ等を同一のパッケージ内に収容すれば、小型で光軸調整等が容易な光ヘッド装置を提供でき好ましい。
【0035】
本発明の光源としては、半導体レーザ(LD)、LED等の半導体素子を利用したものがよく、LDが小型軽量で、低消費電力で、コヒーレンス性を有するため好ましい。また光記録媒体としては、CD、CD−ROM、DVD(デジタル・ビデオ・ディスク)等の光ディスク、光磁気ディスク、相変化型光ディスク、光カード、その他光により情報を書き込み及び/又は読み取るような光システム用の記録媒体が使用できる。
【0036】
さらに本発明において、前記透明薄膜がSiO膜(1<x<2)である場合、液晶の常光屈折率にほぼ一致した凹凸部を容易に作製でき好ましい。また、前記透明薄膜をアクリル樹脂等の有機樹脂として、2P法(フォトポリマライゼーション法)又は選択光重合法を用いて凹凸部を形成するようにしてもよい。
【0037】
具体的には以下のようにして凹凸部を形成する。研磨したガラス基板等の透明基板の表面にフォトレジストをスピンコート法等によりコーティングする。所定のパターンを有するフォトマスクをフォトレジスト膜に密着させて紫外線で露光し、フォトレジスト現像処理することによってフォトレジストの格子状パターンを透明基板の表面に形成する。そのフォトレジストの格子状パターンをさらにマスクとして、CF等のガスを用いドライエッチングすることにより、深さ1〜2μm、ピッチ2〜20μmの光学異方性回折格子用の格子状の凹凸部を形成する。
【0038】
又は上記の方法によって作成した透明基板をマスター基板としてアクリル樹脂等を注入し成形するか、前記透明基板を基に金型を作成し、アクリル樹脂、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルフォン等の材料を用い、射出成形法、2P法等により格子状の凹凸部を有する透明基板を作製できる。
【0039】
ここで、例えばガラス基板を直接ドライエッチングすることもできるが、エッチング速度が遅く、一定の深さを再現性よく形成することが困難であり、また深さの分布を少なくすることが難しい等の問題がある。
【0040】
そのため、SiO膜のようにガラス基板等の透明基板の屈折率に近い屈折率の膜を蒸着法等によって所望の凹凸部の深さが得られるような厚みに成膜し、透明基板とSiO膜とのエッチング速度の違いを利用して、再現性よく、面分布も少なく、ドライエッチングできる。透明基板の屈折率とSiO膜等の透明薄膜の屈折率との差は、界面による好ましくない反射等を防ぐために0.1以内とするのが好ましい。
【0041】
前記SiO膜の屈折率は通常1.46程度であり、液晶の常光屈折率より低く良好な特性を得ることは容易ではない。また、通常、液晶の常光屈折率は異常光屈折率よりも低い。したがって、以下の方法で液晶の常光屈折率にほぼ一致した凹凸部を容易に製作できる。
【0042】
すなわち、屈折率の高いSiOと、屈折率の低いSiOとの混合物を蒸着法等により成膜することによってSiO膜(1<x<2)を成膜できる。又は、SiOを蒸着法により成膜する際に、蒸着装置内の雰囲気ガスの酸素分圧を徐々に大きくすることにより、SiO膜(1<x<2)を成膜できる。このSiO膜はSiの酸化物であるため、例えばエッチングガスとしてCFを用いた場合、CFの揮発性の高さよりドライエッチング速度も高くなり、ガラス基板とのエッチング選択比も良好となる。
【0043】
以上は単独の回折素子について述べたが、例えば120×120mm巾の透明基板に複数個の液晶を充填した回折素子を形成し、最後に個々に切断することもできる。
【0044】
液晶は、格子状の凹凸部の長手方向にほぼ平行な方向(図1では紙面に垂直な方向)に配向しているが、光源(図1では下方)から入射したP波(図1では偏光方向が紙面に平行な偏光成分)に対しては、液晶と凹凸部は屈折率が等しく、すなわち光学異方性回折格子はP波に対しては透明となる。そのため、P波は何の変化も受けずそのままλ/4板に入射し、円偏光に変化し、対物レンズとしての非球面レンズを透過し、ほぼ100%の光が光記録媒体の記録面に到達する。
【0045】
前記記録面で反射し再び非球面レンズを通り戻ってきた反射光は、再びλ/4板を通過し、偏光方向が90度異なったS波に変化する。S波が光学異方性回折格子に入射すると、今度は液晶と凹凸部の屈折率が異なるため回折格子として機能し、+1次光として最大40%程度、−1次光として最大40%程度の回折効率が得られる。+1次光、−1次光を検出する検出器をどちらか一方にのみ配置した場合で40%、両方に配置した場合は計80%の往復効率が得られる。
【0046】
さらに前記凹凸部を、斜面状(のこぎり状)にしたときはほぼ70〜90%、3段の階段状にしたときはほぼ81%の往復効率が得られる。
【0047】
【実施例】
[例1]
例1の構成を図1に示す。厚さ1mm、10×10mm巾で、屈折率1.54の比較的アルカリ成分の少ないガラス基板1の1表面に、フォトリソグラフィ法とドライエッチング法によって、深さ1.55μm、ピッチ9μmの断面が矩形状の格子状の凹凸部2を形成した。
【0048】
具体的には、両面を研磨したガラス基板1の1表面にフォトレジストをスピンコート法によりコーティングする。次いで、所定のパターンを有するフォトマスクをフォトレジスト膜に密着させて紫外線で露光し、フォトレジスト現像処理することによってフォトレジストの格子状パターンを透明基板の表面に形成する。そのフォトレジストの格子状パターンをさらにマスクとして、CFガスを用いドライエッチングすることにより形成した。
【0049】
比較的アルカリ成分の少ない第2のガラス基板3の1表面に液晶配向用の配向膜としてポリイミド膜4を形成し、配向のためのラビング処理を行った。前記ガラス基板1の凹凸部2を形成した面と、第2のガラス基板3のポリイミド膜4を形成した面とを対面させ、さらにポリイミド膜4のラビング方向と前記凹凸部2のストライプ方向が同じになるようにして、2つのガラス基板を積層し、液晶注入口を除き2つのガラス基板の周囲を直径約4μmの球状スペーサを含むエポキシ樹脂5でシールした。
【0050】
液晶注入口から液晶6(ネマチック液晶、メルク社製商品名P−008、常光屈折率1.525、異常光屈折率1.771)を真空注入した。このとき、ΔN=0.23、D=1.55(μm)、λ=678(nm)であり、DΔN=λ/2を満たすのは35℃になるようにDを設定した。
【0051】
前記第2のガラス基板3のポリイミド膜4と反対側の面にλ/4フィルム7を透明な接着剤により積層接着し、さらにその上に波面収差を改善するためのフォトポリマー8、第3のガラス基板9を積層接着して回折素子10を作製した。回折素子10の光源からの光の入射部11、出射部12には、誘電体多層膜による反射防止膜を施した。
【0052】
光源として半導体レーザ(図1では回折素子10の下方に設けられるが、図示せず。)を用い、波長678nmのP波(紙面に平行な偏光成分)を入射させたとき、P波の透過率は約97%であった。また、光ディスク(図1では回折素子10の上方に設けられるが、図示せず。)からの反射光(円偏光)がλ/4フィルム7によりS波(紙面に垂直な偏光成分)に変化し、このS波が光学異方性回折格子により回折され、+1次回折光の回折効率は33%で、−1次回折光の回折効率は33%であった。この結果、往路効率約97%、往復効率約64%(±1次回折光検出)となった。
【0053】
[例2]
ガラス基板1に形成する凹凸部の断面形状を図2に示すようなのこぎり状にした以外は、例1と同様に作製した。例2においては、P波の透過率は約97%で、S波の+1次回折光の回折効率は約75%で、−1次回折光の回折効率は約2%であった。この結果、往路効率約97%、往復効率約73%(+1次回折光検出)となった。
【0054】
[例3]
ガラス基板1に形成する凹凸部の断面形状を図3に示すような3段の階段状にした以外は、例1と同様に作製した。例3においては、P波の透過率は約97%で、S波の+1次回折光の回折効率は約70%で、−1次回折光の回折効率は約2%であった。この結果、往路効率約97%、往復効率約68%(+1次回折光検出)となった。
【0055】
[例4]
ポリイミド膜4を形成しなかった以外は例1と同様の構成とした。この場合、凹凸部2の配向力のみによって液晶6は配向した。例4においては、P波の透過率は約97%で、S波の+1次回折光の回折効率は約31%で、−1次回折光の回折効率は約30%であった。この結果、往路効率約97%、往復効率約59%(±1次回折光検出)となった。
【0056】
【発明の効果】
本発明は、複屈折結晶のような高価な材料を用いることなく、複屈折結晶よりも大きな基板面積で量産性よく生産でき、またレリーフ型回折格子のような等方性格子に比べて、高い光利用効率が得られる。
【0057】
光学異方性回折格子のピッチ等の基本的構造は、液晶自体ではなく透明基板によって規定されているため、温度特性及び耐環境性に優れる。また、ポリイミド膜等の液晶配向用の膜を設けなくとも、液晶を配向させることもできる。光学異方性回折格子の格子パターンについては、露光用のマスク等を用いCGH(Computer Generated Hologram)法により、複雑な格子パターンを容易に量産性よく形成できる。
【0058】
またλ/4板等の位相差板、位相差フィルム回折素子内にラミネートすれば、非常に生産性に優れ全体をコンパクトにできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】例1を示し、液晶による光学異方性回折格子を用いた光ヘッド装置の基本構成の側面図。
【図2】例2の光ヘッド装置用の透明基板の側面図。
【図3】例3の光ヘッド装置用の透明基板の側面図。
【符号の説明】
1:ガラス基板
2:凹凸部
3:第2のガラス基板
4:ポリイミド膜
5:エポキシ樹脂
6:液晶
7:λ/4フィルム
8:フォトポリマー
9:第3のガラス基板
10:回折素子
11:光の入射部
12:光の出射部

Claims (6)

  1. 光源からの光を回折素子を通して光記録媒体上に照射することにより情報の書き込み及び/又は情報の読み取りを行う光ヘッド装置において、前記回折素子は、透明基板の表面に格子状の凹凸部が形成され、前記凹凸部が光学等方性材料からなり、前記凹凸部に光学異方性を有して常光屈折率と異常光屈折率との差Δnが0.05以上0.35以下である液晶が充填されていて、前記凹凸部の屈折率が前記液晶の常光屈折率又は異常光屈折率にほぼ等しい光学異方性回折格子であって、前記凹凸部の屈折率をn、深さをD、液晶の常光屈折率をn、液晶の異常光屈折率をn、|n−n|と|n−n|のいずれか大きい方をΔN、光源からの光の真空中における波長をλとするとき、DΔN=λ/2なる関係が30℃より高い温度で満たされるようにすることにより、0〜60℃の温度範囲で温度特性が最適になるようにして回折による往復効率を高めたことを特徴とする光ヘッド装置。
  2. 表面に格子状の凹凸部が形成された2枚の透明基板を用い、凹凸部を形成した面どうしを対面させ、それらの凹凸部に前記液晶を充填し、2枚の透明基板を積層してなる請求項1記載の光ヘッド装置。
  3. 前記2枚の透明基板に形成された凹凸部が、積層面に対して非対称となるように積層されている請求項2記載の光ヘッド装置。
  4. 前記格子状の凹凸部の断面形状が、凹凸部の長手方向(ストライプ方向)に垂直な面において左右非対称である請求項1記載の光ヘッド装置。
  5. 光源からの光を回折素子を通して光記録媒体上に照射することにより情報の書き込み及び/又は情報の読み取りを行う光ヘッド装置であって、前記回折素子が、表面に格子状の凹凸部が形成された透明基板と、前記凹凸部に充填された、光学異方性を有していて常光屈折率と異常光屈折率との差Δnが0.05以上0.35以下である液晶とを備えた光学異方性回折格子であって、前記凹凸部の屈折率をn、深さをD、液晶の常光屈折率をn、液晶の異常光屈折率をn、|n−n|と|n−n|のいずれか大きい方をΔN、光源からの光の真空中における波長をλとするとき、DΔN=λ/2なる関係が30℃より高い温度で満たされるようにすることにより、0〜60℃の温度範囲で温度特性が最適になるようにして回折による往復効率を高めたことを特徴とする光ヘッド装置の製造方法において、前記光学異方性回折格子が、透明基板の屈折率にほぼ等しい屈折率を有する透明薄膜を透明基板上に被覆する工程と、次いで前記透明薄膜をフォトリソグラフィ法により加工して格子状の凹凸部を形成する工程とを備えた製造方法で製造されることを特徴とする光ヘッド装置の製造方法。
  6. 前記透明薄膜がSiO膜(1<x<2)である請求項5記載の製造方法。
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