JP3977005B2 - 椅子 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、椅子の構造に関するものであり、例えば、オフィスなどにおける作業に適した座り心地を提供する椅子に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
従来からオフィスなどで使用される椅子として、背もたれ部全体を後方に傾けられるようにしたものが存在している。通常、このような椅子の背もたれ部を後方に傾斜させる場合、座席下に設けられたレバーを解除して背もたれ部を後方に押圧し、所望の傾斜角度でそのレバーを戻してその背もたれ部を固定するようにしている。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、このような椅子は、背もたれ部を全体として後方に傾斜させるようにしているため、背伸びなどをしてリフレッシュする場合や、立位状態を保ったまま肩を回して後ろの荷物を取るなどのように上体を反らす必要が生じた場合は、フレーム部分に肩が当たってしまい、その動きが拘束されるという問題を有していた。
【０００４】
そこで、本発明は上記問題を解決するために、着座者の上体を自由に動かせるようにした椅子を提供することを目的とする。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明の椅子は上記課題を解決するために、椅子の背もたれ部全体を後傾させうる状態と、前記背もたれ部の下部を固定した状態で背もたれ部の上部を背もたれ部の下部に対して前記着座部の下方に設けた軸を中心として相対的に後傾させうる状態とを切り替えられるようにしたものである。
【０００６】
このように構成することによって、体全体を伸ばしてリラックスさせる状態と、背もたれ部の上部を下部に対して相対的に後傾させて肩付近を自由にさせる状態とを任意に選択させることができる。なお、ここで背もたれ部の上部を後傾させる方法としては、背もたれ部の下部を立位に保ったまま背もたれ部の上部を後傾させる場合や、背もたれ部全体を後傾させた状態から更に背もたれ部の上部のみを後傾させる場合などの方法などをとることができる。
【０００７】
また、背もたれ部全体を後傾させる場合、着座部も後方へ傾斜させるようにすれば、背もたれ部全体を傾けた場合に着座者を奥深く座らせることができ、より座り心地を良くすることができるようになる。
【０００８】
なお、このような発明のうち、背もたれ部の下部を立位に固定した状態で、背もたれ部の上部を後傾させるようにした場合は、背骨をより大きく反らすことができ、着座者をよりリフレッシュさせることができる。
【０００９】
また、この背もたれ部の上部を後傾させる場合、腰よりも上部位置を後ろ方向に傾けうるようにすれば、首部分だけでなく背骨全体を反らせることができる。
【００１０】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。図１は、本発明の一実施の形態を示す椅子１の要部を示す斜視図である。この椅子１は、ベース脚２に取り付けられた支基３と、この支基３に設けられたリンク６およびリンク７とを設け、更に、このリンク６およびリンク７に取り付けられた着座部を構成する着座フレーム４と、背もたれ上部フレーム５５および背もたれ下部フレーム５０とから成る背もたれフレーム５とを設けたものである。また、これ以外に適宜カバーやクッションなどを取り付けて構成するようにしている。
【００１１】
この支基３は、逆三角形状のアルミ部材で構成したものであり、その下側をベース脚２に取り付けるとともに、その斜辺の先端部分に軸６１を介してリンク６を取り付けたものである。このリンク６は、着座フレーム４の前方両側の軸４０および軸６１とによって回転しながら動くように構成されたものである。また、このリンク６の上端に設けられた軸４０と支基３の中心部分との間にはガススプリング９０が設けられており、図示しないレバーによって、このガススプリング９０を固定状態とフリー状態とに切り替えて、背もたれフレーム５の傾きを変えられるようにしている。また、支基３の斜辺略中央部分には、トーションバー７２が設けられており、この延長方向にある軸７１にリンク７の一端を固定している。このリンク７は、軸７１から斜め後方に延びる金属部材によって構成されたものであり、このリンク７の他端側を着座フレーム４の後部フレームに回転可能に取り付けたものである。なお、このリンク７は、トーションバー７２の力によってリンク７の軸８側を椅子１の前方側（Ｂ側）に回転させるようにしている。
【００１２】
また、このリンク７の上部裏面側には、背もたれ上部フレーム５５との間に連結されたガススプリング９１が設けられており、常時このガスの力によって背もたれ上部フレーム５５を前方側（Ｂ側）に押圧するようにしている。また、このガススプリング９１の近傍には、その軸を挟み込んで固定するための機構が設けられており、図示しないレバーの操作によってガススプリング９１をフリー状態と固定状態とに切り替えられるようにしている。
【００１３】
また、このように軸８を介して取り付けられた背もたれ上部フレーム５５の内側には、リンク７に設けられた軸７０を介して背もたれ下部フレーム５０を回転可能に取り付けている。この背もたれ下部フレーム５０は、リンク７の略延長方向上に延びる坐骨対応フレーム５１と、この坐骨対応フレーム５１から略直角上方に延びる腰骨対応フレーム５２とを設け、さらに、この腰骨対応フレーム５２の先端部分にも、椅子１の背後側（Ａ側）に向けて円弧状に湾曲させた湾曲部５２ａを設けて構成したものである。また、この坐骨対応フレーム５１には、左右に設けられたフレームを連結するための連結部材５３を設けており、この連結部材５３と着座フレーム４の後方に設けたフレームとの間にガススプリング９２を取り付けている。なお、このガススプリング９２は、本実施の形態では、常時固定状態に保持されている。
【００１４】
一方、軸８に取り付けられている背もたれ上部フレーム５５は、その裏側に設けられたガススプリング９１を固定状態にすることによって、リンク７と一体となって軸７１を中心に回転できるようにしたものであり、更に、このガススプリング９１をフリー状態にすることによって、軸８を中心として回転できるようにしたものである。また、この背もたれ上部フレーム５５は、背もたれ下部フレーム５０と同様に、その下部を上方に向けて屈曲させて構成するとともに、この屈曲部分から背もたれ下部フレーム５０の後方を通って、着座者の肩近傍まで延びるように設けるようにしている。
【００１５】
なお、このように構成された背もたれ下部フレーム５０と背もたれ上部フレーム５５には、互いの自由端側が向かい合うような図示しない片持梁状の弾性片を取り付け、更に、図２から図４に示すように、この弾性片を包むような張り地も取り付けて背もたれ部に対する身体接触面を構成するようにしている。
【００１６】
次に、このように構成された椅子の背もたれ状態を切り替える場合について説明する。まず、背もたれ下部フレーム５０と背もたれ上部フレーム５５を一体としてＡ方向に後傾させ、かつ、着座フレーム４もこれに連動させる第一の状態（図３）にさせる場合について説明する。
【００１７】
まず、背もたれ下部フレーム５０と着座フレーム４とを立位にした状態（図２）（すなわち、着座していない状態でかつガススプリング９０をフリーにした状態）から背もたれフレーム５全体を後傾させる第一の状態（図３）にする場合、ガススプリング９１を固定するとともにガススプリング９０をフリー状態にする。これによって、背もたれ上部フレーム５５は、リンク７と一体となって軸７１を中心に大きく回転できるようになり、更に、ガススプリング９０がフリー状態となることによって、支基３・リンク６・着座フレーム４・リンク７による４点リンク機構によって、着座フレーム４を後方に傾斜させるようにする。また、これに伴って、背もたれ下部フレーム５０も、リンク７の回転に伴って後傾して、全体として着座フレーム４と背もたれフレーム５がシンクロするようになる。
【００１８】
また、背もたれ下部フレーム５０と着座フレーム４とを立位にした状態（図２）から背もたれ上部フレーム５５を後傾させる第二の状態（図４）にする場合、ガススプリング９１をフリー状態にするとともに、着座フレーム４の下方に設けられたガススプリング９０を固定状態にする。これによって、着座フレーム４と背もたれ下部フレーム５０が立位に固定され、背もたれ上部フレーム５５のみが軸８を中心としてＡ側に回転できるようになる。
【００１９】
このように、本発明の実施の形態によれば、着座フレーム４の後部に設けられた背もたれフレーム５を背もたれ上部フレーム５５と背もたれ下部フレーム５０とに分け、ガススプリング９０、９１を固定状態とフリー状態とに切り替えることによって、背もたれフレーム５全体を後傾させうる第一の状態（図３）と、背もたれ下部フレーム５０を固定した状態で背もたれ上部フレーム５５のみを後傾させうる第二の状態（図４）とを切り替えられるようにしたので、背もたれ部全体を後傾させることによって体全体をリラックスさせる状態と、背もたれ部の上部を相対的に後傾させる状態を任意に選択して自由な状態を採ることができる。すなわち、第一の状態を選択した場合は、体全体をリラックスさせることができるばかりでなく、内臓圧迫の緩和や、股関節を開放することができ、また、第二の状態を選択した場合は、背骨を伸ばすことによるリフレッシュや背骨を開放することができる。
【００２０】
なお、上記実施の形態においては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、本実施の形態においては、背もたれ下部フレーム５０を背もたれ上部フレーム５５の内側に設けるようにしたが、これを逆に設けるようにしても良い。また、背もたれ上部フレーム５５の回転軸を、ガススプリング９１の固定状態・フリー状態の切り替えによって変えるようにしたが、これに限らず、背もたれ上部フレームとリンク７の分離を切り替えられるものであれば、どのような構成を採用しても良い。
【００２１】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したような形態で実施され、以下に記載されるような効果を奏する。
【００２２】
すなわち本発明の椅子は、着座部の後部に設けられた背もたれ部を上部と下部に分けた椅子であって、当該背もたれ部全体を後傾させうる第一の状態と、当該背もたれ部の下部に対して前記背もたれ部の上部を後傾させうる第二の状態とをとりうるようにし、前記第一の状態と第二の状態を切り替えできるようにしたので、背もたれ部全体を後傾させて体全体をリラックスさせることができるとともに、背もたれ部の上部を下部に対して相対的に後傾させることで、着座者の上体を自由にさせることができる。
【００２３】
また、背もたれ部全体を着座部と連動させて後傾させうる第一の状態と、当該背もたれ部の下部に対して前記背もたれ部の上部を後傾させる第二の状態とを切り替えできるようにしたので、背もたれ部全体を傾けた場合に着座部も含めて座り心地を良くすることができる。
【００２４】
更に、第二の状態として、背もたれ部の下部を立位に固定した状態で背もたれ部の上部を後傾させる状態とした場合は、背骨をより大きく反らすことができ、着座者をよりリフレッシュさせることができる。
【００２５】
また、背もたれ部の上部として、着座者の腰部よりも上部位置を支えるフレームを採用したので、このフレームを後傾させた場合に、首部分だけでなく背骨全体を反らせることができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の一実施の形態を示す椅子の側面図。
【図２】同実施の形態を示す椅子の立位状態を示す側面図。
【図３】同実施の形態を示す椅子の第一の状態を示す側面図。
【図４】同実施の形態を示す椅子の第二の状態を示す側面図。
【符号の説明】
１・・・椅子
４・・・着座部（着座フレーム）
５・・・背もたれ部（背もたれフレーム）
８・・・軸
５０・・・背もたれ部（背もたれ下部フレーム）
５５・・・背もたれ部（背もたれ上部フレーム）
７１・・・軸

Claims (4)

1. 着座部の後部に設けられた背もたれ部を上部と下部に分けた椅子において、当該背もたれ部全体を後傾させうる第一の状態と、前記背もたれ部の下部を固定した状態で当該背もたれ部の下部に対して前記背もたれ部の上部を前記着座部の下方に設けた軸を中心として後傾させうる第二の状態とをとりうるようにし、前記第一の状態と第二の状態を切り替え可能としたことを特徴とする椅子。
2. 着座部の後部に設けられた背もたれ部を上部と下部に分けた椅子において、当該背もたれ部全体を着座部と連動させて後傾させうる第一の状態と、前記背もたれ部の下部を固定した状態で当該背もたれ部の下部に対して前記背もたれ部の上部を前記着座部の下方に設けた軸を中心として後傾させうる第二の状態とを切り替え可能としたことを特徴とする椅子。
3. 前記第二の状態が、背もたれ部の下部を立位に固定した状態で前記背もたれ部の上部を後傾させうる状態であることを特徴とする請求項１または２に記載の椅子。
4. 前記背もたれ部の上部が、着座者の腰部よりも上部位置を支えるフレームであることを特徴とする請求項１から３の何れかに記載の椅子。

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