JP3971966B2 - 車両用アンテナ装置およびその設計方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用アンテナ装置、特に透明導電膜が形成された窓ガラスに取り付けられるITS(Intelligent transport systems)用のアンテナ装置およびその設計方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、車両内にITS用のアンテナ(GPS,VICS,ETC等)を取り付けることにより、さまざまな情報サービスを受けることができるようになっている。車両のウインドシールド(窓ガラス)には、太陽の日射による暑さ軽減のため、あるいは、ガラスに霜とり機能を付加するなどの目的で、透明導電膜(金属膜)が形成されたものがある。このような透明導電膜つきウインドシールドの場合、透明導電膜によって電波が減衰しアンテナが機能しなくなるという問題点がある。
【0003】
このような問題点を解決する方法として、特開2002−20142号公報に開示されているように、部分的に透明導電膜を切り欠いて、電波を透過させる膜切欠き部をウインドシールドに設けている。図1に、その一例を示す。図中、2は、ウインドシールドを、4,6は膜切欠き部を示す。
【0004】
また、特開平8−210042号公報にも、車両用の窓ガラスに電磁線を透過させる領域を形成することが開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このような膜切欠き部の寸法については、詳細な検討がなされることがなかったため、かなり大きいものであり、また透明導電膜部分と透明導電膜なし部分では色目が違うため、膜切欠き部が目立ち、車両の外観を損なうという問題点がある。
【0006】
さらに、ETC(Electronic Toll Collections)用の電波は約5.8GHzで、λ(空間波長)は約52mmであり、VICS(Vehicle Information and Communication System)用の電波は、約2.5GHzで、λは約120mmであり、GPS(Grobal Position System)用の電波は約1.6GHzで、λは約187mmであり、いずれも用いられる電波は短波長である。
【0007】
なお、ETCおよびGPS用の電波には円偏波が用いられ、VICS用の電波には直線偏波(垂直偏波または水平偏波)が用いられている。
【0008】
このような短波長の電波を受信する車両用アンテナには、通常、平面アンテナが、窓ガラスから離れた位置に取り付けられて、用いられる。
【0009】
上述のような短波長の電波に対し、窓ガラス(誘電体)は、電波を反射するようになる。このような反射波のアンテナの送受信特性への影響は、膜切欠き部の寸法と、窓ガラスとアンテナとの間の距離に依存して変化することが予測される。
【0010】
したがって、ITS用のアンテナ装置は、窓ガラスの透明導電膜の膜切欠き部の寸法をできるだけ小さくすると共に、窓ガラスとアンテナとの間の距離を、良好に電波を送受信できるように設計することが要求されている。
【0011】
本発明の目的は、目立たない程度に透明導電膜の膜切欠き部の寸法を小さくし、および、良好に電波を送受信することを可能にした車両用アンテナ装置を提供することにある。
【0012】
本発明のさらに他の目的は、上記のような車両用アンテナ装置を設計する方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本願発明者らは、窓ガラスの透明導電膜が形成されていない膜切欠き部と、膜切欠き部を透過してくる電波を受信するアンテナとを備える車両用アンテナ装置の送受信特性は、膜切欠き部の寸法と、窓ガラスとアンテナとの間の距離dとに依存するという予測のもとに、膜切欠き部の寸法を一定にして距離dを変えた場合、送受信特性値の極大値が分布することを見出した。
【0014】
したがって、膜切欠き部の寸法、および窓ガラスとアンテナとの間の距離dを変えて、アンテナの送受信特性値を測定し、その極大値から候補となる膜切欠き部の寸法、および窓ガラスとアンテナとの間の距離dを選び、これら候補の中から、実際に車両内のアンテナ取り付け位置を考慮して、最適な膜切欠き部の寸法および距離dを決定することができる。
【0015】
本発明の一態様は、実質的全面に透明導電膜が形成された車両用窓ガラスの前記透明導電膜の一部に形成された膜切欠き部と、前記膜切欠き部を透過してくる電波を受信するアンテナとを備える車両用アンテナ装置の設計方法である。この設計方法は、
(a)異なる寸法の膜切欠き部がそれぞれ設けられた複数枚の測定用窓ガラスと、前記アンテナとを準備するステップと、
(b)放射されてくる電波が存在する環境内に前記アンテナを設置し、アンテナの受信電圧を測定するステップと、
(c)前記複数枚の測定用窓ガラスのうち1枚の測定用窓ガラスを、前記アンテナに対して、前記電波の到来してくる側に配置し、前記測定用窓ガラスと前記アンテナとの間の距離を変えながら、前記アンテナの受信電圧を測定するステップと、
(d)前記ステップ(b)で測定した受信電圧に対する、前記ステップ(c)で測定した受信電圧の減衰量を求めるステップと、
(e)前記(c),(d)のステップを繰り返すステップと、
(f)前記各測定用窓ガラスについて求められた減衰量の極小値を求めるステップと、
(g)前記極小値を与える、前記膜切欠き部の寸法、および前記測定用窓ガラスと前記アンテナとの間の距離のうち、最適な寸法および距離を選択し、選択した寸法を前記車両用窓ガラスの透明導電膜の一部に形成された膜切欠き部の寸法とし、前記選択した距離を、前記車両用窓ガラスと前記アンテナとの間の距離とするステップと、
を含んでいる。
【0016】
本発明の他の態様は、実質的全面に透明導電膜が形成された車両用窓ガラスの前記透明導電膜の一部に形成された膜切欠き部と、前記膜切欠き部を透過してくる電波を受信するアンテナとを備える車両用アンテナ装置であって、前記アンテナは、所定の寸法を有する前記膜切欠き部を透過してくる電波を受信する場合に、受信電圧の減衰量が極小値となる、前記窓ガラスから離れた位置に設置されている。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の車両用アンテナ装置の設計方法の実施の形態を説明する。
【0018】
一例として、ETC用アンテナ装置の設計方法について述べる。まず、透明導電膜が全く形成されていない透明導電膜なし窓ガラスと、透明導電膜が形成されていない膜切欠き部を設けた透明導電膜つき窓ガラスとを用意した。透明導電膜つき窓ガラスは、合わせガラスよりなり、重ね合わされたガラス板の間に透明導電膜が設けられている。
【0019】
図2に、膜切欠き部が設けられた窓ガラスの一部を示す。(A)は平面図、(B)は断面図である。10は窓ガラスを、12は透明導電膜を、14は膜切欠き部を示す。
【0020】
前述したようにETC用の電波には円偏波が用いられるので膜切欠き部の形状は、偏波方向に平行な長さと、偏波方向と直交する長さを同じにしなければならない。正方形は、その一例である。
【0021】
膜切欠き部14の正方形の一辺の寸法をaとする。a=30mm(≒0.6λ)ものと、a=50mm(≒1λ)のものを、2種類準備した。
【0022】
まず、図3(A)に示すように、測定環境、例えば電波暗室に平面アンテナ20を置き、アンテナの出力端子に50Ωの抵抗を接続する。そして、このアンテナに向かってETC用の円偏波である周波数5.8GHz(λ=52mm)の電波を放射し、抵抗に誘起する受信電圧Vref を測定した。この電圧は、後述する減衰量計算の基準となる。
【0023】
次に、図3(B)に示すように、電波が放射されてくる側にアンテナ20から距離dだけ離れた位置に、透明導電膜なし窓ガラス8を設置した。なお、距離dは、窓ガラス8の表面から平面アンテナ20の表面までの距離である。dの値を変えながら、窓ガラス8の反対方向から到来し、窓ガラスを透過した電波を受信し、アンテナの受信電圧Vを測定した。
【0024】
次に、図3(C)に示すように、電波が放射されてくる側にアンテナ20から距離dだけ離れた位置に、膜切欠き部14が設けられた透明導電膜つき窓ガラス10を設置し、dの値を変えながら、窓ガラス10の反対方向から到来し、膜切欠き部14を透過する電波を受信し、アンテナの受信電圧Vを測定した。これは、前述した2種類の透明導電膜つき窓ガラスについて、それぞれ行った。
【0025】
以上の測定値から、透明導電膜なし窓ガラス、あるいは膜切欠き部が設けられた透明導電膜つき窓ガラスを設けた場合に、窓ガラスを設けない場合に比べて、受信電圧がどれだけ減衰したかを示す減衰量を、20log(V/Vref )で計算した。計算結果を表1に示す。
【0026】
【表1】
【0027】
ただし、d/λは、距離dを空間波長λで正規化した値である。
【0028】
図4には、これをグラフ化して示す。縦軸は減衰量[dB]、横軸はd/λである。0dBは、窓ガラスを設置しない場合の減衰量である。縦軸は、マイナス方向に数値が大きくなるに従って、減衰量が大きくなることを示している。
【0029】
このグラフからわかるように、透明導電膜なし窓ガラス、および膜切欠き部が設けられた透明導電膜つき窓ガラスのいずれにおいても、d/λの変化に伴って、極小値が分布するように変動していることがわかる。
【0030】
透明導電膜なし窓ガラスの場合、d/λ=0.1、すなわちd=0.1λ(=5.2mm)と、d/λ=0.6、すなわちd=0.6λ(31.2mm)とで減衰量は極小値を有している。a=30mmの膜切欠き部が設けられた透明導電膜つき窓ガラスの場合は、透明導電膜なし窓ガラスの場合と全く同様に、d/λ=0.1、およびd/λ=0.6で、極小値を有している。a=50mmの膜切欠き部が設けられた透明導電膜つき窓ガラスの場合は、d/λ=0.2、すなわちd=0.2λ(=10.4mm)と、d/λ=0.6、すなわちd=0.6λ(=31.2mm)とで極小値を有している。
【0031】
以上のように減衰量が分布する極小値を有して変動するという事実は、本願発明者が見出した新しい知見であり、前述したように、ガラスの表面からの反射波が原因であると考えられる。
【0032】
さらに、図4のグラフから次のことがわかる。すなわち、a=30mmの膜切欠き部が設けられた透明導電膜つき窓ガラスの場合、d/λ<0.2の範囲では、透明導電膜なし窓ガラスとほぼ同等の減衰量となり、また、a=50mmの膜切欠き部が設けられた透明導電膜つき窓ガラスの場合、d/λ>0.2の範囲では、透明導電膜なし窓ガラスとほぼ同等の減衰量となる。
【0033】
このように、a=30mmの膜切欠き部を有する窓ガラスの減衰量曲線と、a=50mmの膜切欠き部を有する窓ガラスの減衰量曲線とが、d/λ=0.2で交差する理由は、前述したガラスからの反射波に加えて、透明導電膜の膜切欠き部の縁部で反射された電波の影響によるものと考えられる。
【0034】
以上のように、透明導電膜なし窓ガラス、膜切欠き部を設けた透明導電膜つき窓ガラスについて、減衰量を求めたならば、減衰量が膜切欠き部の寸法a、および窓ガラスとアンテナとの間の距離dによって、どのように変動するかがわかる。そして、減衰量が極小値をとる距離dがアンテナの適切な設置位置の候補であることがわかる。
【0035】
これら設置位置の中で、本実施の形態では、a=30mmの膜切欠き部を有する透明導電膜つき窓ガラスの場合、d=0.1λ(=5.2mm)が、そのときの減衰量が透明導電膜なし窓ガラスの減衰量とほぼ同等となるので最適であり、a=50mmの膜切欠き部を有する透明導電膜つき窓ガラスの場合、d=0.6λ(=31.2mm)が、そのときの減衰量が透明導電膜なし窓ガラスの減衰量とほぼ同等となるので最適であることがわかる。いずれを選ぶかは、窓ガラスの透明導電膜に膜切欠き部を設ける箇所、車両内に設けるアンテナの位置によって決定される。また、いずれの場合も、膜切欠き部の寸法は、空間波長と同程度か、あるいは空間波長より小さく、膜切欠き部が目立たない程の小さな寸法である
。
【0036】
また、以上の実施の形態では、膜切欠き部の形状は正方形としたが、これに限られるものではなく、正方形の膜切欠き部の面積と同じ面積を有する円形の膜切欠き部としてもよい。
【0037】
以上説明した実施の形態では、透明導電膜なし窓ガラスについて、減衰量を求めているが、これは膜切欠き部が設けられた透明導電膜あり窓ガラスの減衰量と比較して参考にするためのデータであり、透明導電膜なし窓ガラスの減衰量よりも大きな減衰量であっても、アンテナ装置として送受信特性が保持されるならば、透明導電膜なし窓ガラスについて減衰量を求めることは、必須ではないことは明らかである。
【0038】
以上は、ETC用アンテナ装置の設計方法についての実施の形態であるが、VICS,GPS用アンテナ装置についても、同様の方法で設計が可能であることは、当業者に容易に理解されるであろう。
【0039】
VICS用アンテナ装置の設計についても、a=30mm,50mmの膜切欠き部を有する窓ガラスを2種類準備し、VICS用の直線偏波である周波数2.5GHz(λ=120mm)の電波を用いて、ETC用アンテナ装置の場合と同様の測定を行い、測定値から減衰量を計算した。計算結果を表2に示す。
【0040】
【表2】
【0041】
図5には、これをグラフ化して示す。このグラフからわかるように、透明導電膜なし窓ガラス、および膜切欠き部が設けられた透明導電膜つき窓ガラスのいずれにおいても、d/λの変化に伴って、極小値が分布するように変動していることがわかる。
【0042】
透明導電膜なし窓ガラスの場合、d/λ=0.2、すなわちd=0.2λ(=24mm)と、d/λ=0.7、すなわちd=0.7λ(84mm)とで減衰量は極小値を有している。a=30mmの膜切欠き部が設けられた透明導電膜つき窓ガラスの場合は、透明導電膜なし窓ガラスの場合と全く同様に、d/λ=0.2で、極小値を有している。a=50mmの膜切欠き部が設けられた透明導電膜つき窓ガラスの場合は、d/λ=0.7、すなわちd=0.7λ(=84mm)で極小値を有している。
【0043】
したがって、a=30mmの膜切欠き部を有する透明導電膜つき窓ガラスの場合、d=0.2λ(=24mm)が、そのときの減衰量が透明導電膜なし窓ガラスの減衰量とほぼ同等となるので最適であり、a=50mmの膜切欠き部を有する透明導電膜つき窓ガラスの場合、d=0.7λ(=84mm)が、そのときの減衰量が透明導電膜なし窓ガラスの減衰量とほぼ同等となるので最適であることがわかる。
【0044】
以上のVICS用アンテナ装置では、膜切欠き部の形状を正方形としたが、VICS用の電波は直線偏波であるので、偏波方向に平行な向きの長さを、偏波方向と直交する向きの長さの1/2まで短縮することができる。例えば、一辺が1波長の長さを有する正方形の膜切欠き部は、電波が垂直偏波の場合、縦方向の長さを1/2波長とすることができる。したがって、この場合、膜切欠き部の形状は横長の長方形となる。このような長方形の膜切欠き部は、同じ面積を有する楕円形の膜切欠き部としてもよい。
【0045】
次に、本発明の車両用アンテナ装置の実施の形態を説明する。
【0046】
前述したETC用アンテナ装置の設計方法の実施の形態において選ばれた、a=30mm,d=5.2mmの場合と、a=50mm,d=31.2mmの場合とについて、窓ガラスの透明導電膜に膜切欠き部を設ける最適な箇所、およびアンテナの最適な設置箇所について、図6を参照して説明する。
【0047】
なお、以下の説明では、便宜上2つの例を同時に説明するが、実際には1つの例が選択される。
【0048】
図6(A)は、ウインドシールド(窓ガラス)2の正面図であり、一辺が50mmの正方形の膜切欠き部30が、ウインドシールド2の上部中央に設けられるか、あるいは一辺が30mmの正方形の膜切欠き部32が、ウインドシールド2の下部左端に設けられる。
【0049】
このように、寸法が大きい方の膜切欠き部30をウインドシールド2の上部中央に設けた理由は、ウインドシールドの上部では膜切欠き部があまり目立たないことと、ETC用の平面アンテナを室内ミラーの裏側に取り付けるためである。
また、ウインドシールド2の下部は、膜切欠き部が目立ちやすいので、寸法が小さい方の膜切欠き部32を設けるのが望ましい。
【0050】
図6(B)は、車両内における平面アンテナの取り付け位置を示す。ウインドシールドの上部中央の膜切欠き部30を透過してくるETC用電波を受信する平面アンテナ34は、室内ミラー36の裏側に取り付けられる。このとき、ウインドシールド2と平面アンテナ34との間の距離dは、31.2mmとなるように設定する。
【0051】
あるいは、ウインドシールドの下部左端の膜切欠き部32を透過してくるETC用電波を受信する平面アンテナ38は、運転台上に設けられた支持柱40に取り付けられる。このとき、ウインドシールド2と平面アンテナ38との間の距離dは、5.2mmとなるように設定する。
【0052】
以上の例では、平面アンテナを取り付けるのに、室内ミラーの裏側を利用したり、あるいは取り付けのための支持柱を用意したが、このような方法に限らず、最適な距離を保てる方法で設置できればどのような方法でもよい。例えば、図7に示すように、ETC用アンテナ42と、電気系統であるETC用ユニット44とを内蔵させたアンテナモジュール46を、ウインドシールドの裏面に貼り付けるようにしてもよい。
【0053】
以上は、ETC用アンテナ装置の実施の形態であるが、VICS,GPS用アンテナ装置についても、同じように構成できることは、当業者に容易に理解されるであろう。
【0054】
また、以上の実施の形態では、膜切欠き部の形状は正方形としたが、これに限られるものではなく、長方形,円形,楕円形など、その他の形状とすることもできる。
【0055】
【発明の効果】
本発明によれば、透明導電膜つきの窓ガラスに設ける膜切欠き部の寸法を目立たない程度の小さな大きさとすることができ、また、膜切欠き部の寸法に応じて、窓ガラスとアンテナとの間の距離を調整しているので、膜切欠き部が設けられた透明導電膜つき窓ガラスの減衰量を、透明導電膜なし窓ガラスの減衰量とほぼ同等まで改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 膜切欠き部を説明するためのウインドシールドを示す図である。
【図2】 膜切欠き部が設けられた窓ガラスの一部を示す平面図および断面図である。
【図3】 本発明の設計方法に関係した電波暗室での測定を説明するための図である。
【図4】 ETCアンテナ装置の設計の際の減衰量を示すグラフである。
【図5】 VICSアンテナ装置の設計の際の減衰量を示すグラフである。
【図6】 本発明のアンテナ装置を説明するための図であり、ウインドシールドの膜切欠き部、およびアンテナの設置位置を示す。
【図7】 アンテナモジュールを示す図である。
【符号の説明】
2,10 ウインドシールドまたは窓ガラス
8 透明導電膜なし窓ガラス
12 透明導電膜
14,30,32 膜切欠き部
20,34,38,42 平面アンテナ
36 室内ミラー
40 支持柱
44 ETC用ユニット
46 アンテナモジュール
Claims (11)
- 実質的全面に透明導電膜が形成された車両用窓ガラスの前記透明導電膜の一部に形成された膜切欠き部と、前記膜切欠き部を透過してくる電波を受信するアンテナとを備える車両用アンテナ装置の設計方法であって、
(a)異なる寸法の膜切欠き部がそれぞれ設けられた複数枚の測定用窓ガラスと、前記アンテナとを準備するステップと、
(b)放射されてくる電波が存在する環境内に前記アンテナを設置し、アンテナの受信電圧を測定するステップと、
(c)前記複数枚の測定用窓ガラスのうち1枚の測定用窓ガラスを、前記アンテナに対して、前記電波の到来してくる側に配置し、前記測定用窓ガラスと前記アンテナとの間の距離を変えながら、前記アンテナの受信電圧を測定するステップと、
(d)前記ステップ(b)で測定した受信電圧に対する、前記ステップ(c)で測定した受信電圧の減衰量を求めるステップと、
(e)前記(c),(d)のステップを繰り返すステップと、
(f)前記各測定用窓ガラスについて求められた減衰量の極小値を求めるステップと、
(g)前記極小値を与える、前記膜切欠き部の寸法、および前記測定用窓ガラスと前記アンテナとの間の距離のうち、最適な寸法および距離を選択し、選択した寸法を前記車両用窓ガラスの透明導電膜の一部に形成された膜切欠き部の寸法とし、前記選択した距離を、前記車両用窓ガラスと前記アンテナとの間の距離とするステップと、
を含む、車両用アンテナ装置の設計方法。 - 前記ステップ(a)は、透明導電膜が形成されていない1枚の測定用窓ガラスをさらに準備するステップを含み、前記ステップ(g)において、前記透明導電膜が形成されていない測定用窓ガラスについて求められた減衰量とほぼ同等の減衰量が得られるように、最適な寸法および距離を選択する、請求項1に記載の車両用アンテナ装置の設計方法。
- 前記電波は、ITS用の電波である、請求項1または2に記載の車両用アンテナ装置の設計方法。
- 前記膜切欠き部の形状は、正方形,長方形,円形,または楕円形である、請求項1,2,または3に記載の車両用アンテナ装置の設計方法。
- 前記アンテナは、平面アンテナである請求項1〜4のいずれかに記載の車両用アンテナ装置の設計方法。
- 実質的全面に透明導電膜が形成された車両用窓ガラスの前記透明導電膜の一部に形成された膜切欠き部と、前記膜切欠き部を透過してくる電波を受信するアンテナとを備える車両用アンテナ装置であって、
前記アンテナは、所定の寸法を有する前記膜切欠き部を透過してくる電波を受信する場合に、受信電圧の減衰量が極小値となる、前記車両用窓ガラスから離れた位置に設置されている、車両用アンテナ装置。 - 前記膜切欠き部の寸法および前記車両用窓ガラスと前記アンテナとの距離は、
(a)異なる寸法の膜切欠き部がそれぞれ設けられた複数枚の測定用窓ガラスと、前記アンテナとを準備するステップと、
(b)放射されてくる電波が存在する環境内に前記アンテナを設置し、アンテナの受信電圧を測定するステップと、
(c)前記複数枚の測定用窓ガラスのうち1枚の測定用窓ガラスを、前記アンテナに対して、前記電波の到来してくる側に配置し、前記測定用窓ガラスと前記アンテナとの間の距離を変えながら、前記アンテナの受信電圧を測定するステップと、
(d)前記ステップ(b)で測定した受信電圧に対する、前記ステップ(c)で測定した受信電圧の減衰量を求めるステップと、
(e)前記(c),(d)のステップを繰り返すステップと、
(f)前記各測定用窓ガラスについて求められた減衰量の極小値を求めるステップと、
(g)前記極小値を与える、前記膜切欠き部の寸法、および前記測定用窓ガラスと前記アンテナとの間の距離のうち、最適な寸法および距離を選択し、選択した寸法を前記車両用窓ガラスの透明導電膜の一部に形成された膜切欠き部の寸法とし、前記選択した距離を、前記車両用窓ガラスと前記アンテナとの間の距離とするステップと、
により設定されている請求項6に記載の車両用アンテナ装置。 - 前記ステップ(a)は、透明導電膜が形成されていない1枚の測定用窓ガラスをさらに準備するステップを含み、前記ステップ(g)において、前記透明導電膜が形成されていない測定用窓ガラスについて求められた減衰量とほぼ同等の減衰量が得られるように、最適な寸法および距離を選択する、請求項7に記載の車両用アンテナ装置。
- 前記電波は、ITS用の電波である、請求項6,7,または8に記載の車両用アンテナ装置。
- 前記膜切欠き部の形状は、正方形,長方形,円形,または楕円形である、請求項6〜9のいずれかに記載の車両用アンテナ装置。
- 前記アンテナは、平面アンテナである請求項6〜10のいずれかに記載の車両用アンテナ装置。
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