JP3970480B2 - ガイドローラ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハウジングに回転接触するガイドローラ装置、例えば半導体装置など真空中で使用されるガイドローラ装置に関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来のこの種のガイドローラ装置の一例として、図４乃至図６に示すような装置がある。
【０００３】
図４は固定ベース４０にガイドローラ装置４１が装着され、このガイドローラ装置４１上を例えば半導体ウェハー４２を保持したトレイ（ハウジング部材）４３が案内される。このガイドローラ装置４１は、図５に示されるように、固定ベース４０に固定される支軸部材４４に回転自在に固定された２列の玉軸受４５，４５と、この２列の玉軸受４５，４５の外輪４６，４６の外周面にローラ部材４７が装着されている。このローラ部材４７は一端部に半径方向内方に延びる鍔４８が形成され、他端部内周面には周溝４９が形成されてＣ形止め輪５０が嵌められている。この鍔４８と止め輪５０により上記玉軸受４５，４５がローラ部材４７内に維持されている。さらに、上記玉軸受４５，４５が上記ローラ部材４７の鍔４８に接触した状態では玉軸受４５，４５と止め輪５０間には軸方向の所定隙間Ｓが設けられている。すなわち、ローラ部材４７は軸受の外輪４６，４６に対し軸方向に所要寸法だけ移動可能とされている。
【０００４】
上記ローラ部材４７が軸方向に移動可能とされているのは次の理由による。軸受４５，４５を介して支軸部材４４に取付けられたローラ部材４７と、このローラ部材４７が回転接触するトレイ（ハウジング部材）４３とは、常に正規の位置関係で接触するとは限らず、図６に示すようにずれて接触する場合がある。この場合、軸受４５，４５にモーメント荷重が作用する。そこで、モーメント荷重の作用にて軸受４５，４５が早期破損しないように、ローラ部材４７が軸方向に所要寸法、例えば１〜２ｍｍだけ移動可能とし、上記接触のずれを吸収させている。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来例では、ローラ部材４７と軸受外輪４６，４６間の摩擦が大きく、ローラ部材４７の軸方向移動が滑らかに行われず、トレイ（ハウジング部材）４３とローラ部材４７の接触位置のずれを吸収できない。これは、例えば、ガイドローラ装置４１が真空中で使用された場合、乾燥状態で使用されるため、特にローラ部材４７と軸受外輪４６，４６間の摩擦が大きい。
【０００６】
従って、本発明は、ローラ部材と軸受外輪間の摩擦を減少し、ローラ部材の軸方向移動を滑らかにさせるガイドローラ装置を提供することを目的とする。
【０００７】
【課題を解決するための手段】
請求項１の発明は、支軸部材に回転自在に固定された転がり軸受と、この軸受の外輪外周面に装着されたローラ部材と、このローラ部材が回転接触する軌道部を備えたハウジング部材とを有し、ローラ部材が軸受の外輪に対し軸方向に所要寸法だけ移動可能とされたガイドローラ装置において、上記転がり軸受は深みぞ玉軸受であって、上記ローラ部材は外周面が軸方向断面で曲線であり、上記ローラ部材の外周面は該ローラ部材の外周面の略半径方向外方に配設される上記ハウジング部材の軌道部に対し回転接触し、上記ローラ部材は一端部に半径方向内方に延びる鍔が形成され、鍔には上記外輪の一端が接触し、上記外輪の他端はローラ部材の内周面他端部に設けられた止め輪との間に所定間隔を有し、上記ローラ部材の内周面と外輪の外周面の少なくも一方に、自己潤滑性材料の被膜が形成され、上記ローラ部材は、上記ハウジングに対する回転時、上記ローラ部材の上記ハウジング部材との軸方向の接触位置のずれを吸収できるよう上記軸受の外輪に対し軸方向に所要寸法だけ容易かつ滑らかに移動可能であることを特徴とする。
【０００９】
【発明の実施の形態】
図１は一実施形態であり、固定ベースに固定された支軸１にガイドローラ装置２が装着され、このガイドローラ装置２上を例えば図４に示すような半導体ウェハーを保持したトレイ（請求項１および２のハウジング部材に相当）３が案内される。このガイドローラ装置２は、支軸部材１に間座１０を介して回転自在に固定された２列の玉軸受４，４と、この２列の玉軸受４，４の外輪５，５の外周面にローラ部材が装着されている。このローラ部材６は一端部に半径方向内方に延びる鍔７が形成され、他端部内周面には周溝８が形成されてＣ形止め輪９が嵌められている。この鍔７と止め輪９により上記玉軸受４，４がローラ部材６内に維持されている。さらに、上記玉軸受４，４が上記ローラ部材６の鍔７に接触した状態では玉軸受４と止め輪９間には軸方向の所定隙間Ｓ（例えば１〜２ｍｍ）が設けられている。すなわち、ローラ部材６は玉軸受４の外輪５に対し軸方向に所要寸法だけ移動可能とされている。
【００１０】
上記外輪５，５の外周面またはローラ部材６の内周面、あるいはその両面に、四ふっ化エチレン樹脂被膜やふっ素被膜等の自己潤滑性材料の被膜１１が形成されている。これにより、外輪５，５上におけるローラ部材６の軸方向移動を容易にかつ滑らかに行わせることができる。また、低発塵性被膜であるため、ローラ部材６と外輪５，５間の摩耗粉発生が低減でき環境汚染を防止できる。
また、上記実施形態においては、ガイドローラ装置２を大きくすることがないため、サイズ的に有利である。
【００１１】
また、図２は参考例であり、基本的には図１の実施形態と同じであるため、相違点のみ説明する。ローラ部材６の内周面の円周複数箇所に、軸方向に延びる断面半円弧状の軌道溝１３が形成され、さらに外輪５，５の外周面に嵌合固定され外輪５，５の一部とされた環体１２の外周面に、上記ローラ部材６の軌道溝１３に対向するよう、軸方向に延びる断面半円弧状の軌道溝１４が形成され、上記ローラ部材６の軸方向軌道溝１３と外輪５，５の一部である環体１２の軸方向軌道溝間に両軌道溝１３，１４に跨る複数のボール１５が介装されている。このボール１５の回転により環体１２上におけるローラ部材６の軸方向移動を容易にかつ滑らかに行わせることができる。なお、上記ボール１５の回転をさらに滑らかにさせるため、ボール１５間にボール１５より小径のスペーサ用ボール１６を配置してもよい。また、Ｃ形止め輪９の代わりに止めリング１７がローラ部材６内周面に圧入固定されている。このような構成であり、図２の参考例では、図１の実施形態に比べてやや大きくなる。
【００１２】
さらに、図１の実施形態、図２の参考例において、ローラ部材６とトレイ３間の早期摩耗が問題になる場合は、図３に示すようにローラ部材６の表面に四ふっ化エチレン樹脂被膜や二硫化モリブデン被膜等の自己潤滑性材料の被膜１８を形成してもよい。なお、この被膜１８はトレイ３のローラ部材６の転動面に形成してもよいし、あるいはローラ部材６およびトレイ３の両面に形成してもよい。また、四ふっ化エチレン樹脂被膜の場合は、低発塵性能であるから発塵の低減に寄与できる。
【００１３】
【発明の効果】
本発明は、軸受外輪に嵌合されたローラ部材の軸方向移動が、外輪上で容易にかつ滑らかに行えるため、ローラ部材とローラ部材に転動接触するハウジングとの接触位置のずれを吸収でき、軸受に余分なモーメント荷重が作用しにくく、軸受の早期破損が防止される。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本発明の一実施形態のガイドローラ装置の断面図である。
【図２】 （A）は参考例のガイドローラ装置の断面図、（B）はローラ部材と外輪部材との側面図である。
【図３】 本発明の他の実施の形態の側面図である。
【図４】 従来のガイドローラ装置の取付図である。
【図５】 従来のガイドローラ装置の断面図である。
【図６】 従来のガイドローラ装置の接触状態図である。
【符号の説明】
１ 支軸
２ ガイドローラ装置
３ トレイ
４ 玉軸受
５ 外輪
６ ローラ部材
７ 鍔
８ 周溝
９ 止め輪
１０ 間座
１１ 被膜
１２ 環体
１３ 軌道溝
１４ 軌道溝
１５ ボール
Claims (1)
- 支軸部材に回転自在に固定された転がり軸受と、この軸受の外輪外周面に装着されたローラ部材と、このローラ部材が回転接触する軌道部を備えたハウジング部材とを有し、ローラ部材が軸受の外輪に対し軸方向に所要寸法だけ移動可能とされたガイドローラ装置において、
上記転がり軸受は深みぞ玉軸受であって、上記ローラ部材は外周面が軸方向断面で曲線であり、上記ローラ部材の外周面は該ローラ部材の外周面の略半径方向外方に配設される上記ハウジング部材の軌道部に対し回転接触し、
上記ローラ部材は一端部に半径方向内方に延びる鍔が形成され、鍔には上記外輪の一端が接触し、上記外輪の他端はローラ部材の内周面他端部に設けられた止め輪との間に所定間隔を有し、上記ローラ部材の内周面と外輪の外周面の少なくも一方に、自己潤滑性材料の被膜が形成され、
上記ローラ部材は、上記ハウジングに対する回転時、上記ローラ部材の上記ハウジング部材との軸方向の接触位置のずれを吸収できるよう上記軸受の外輪に対し軸方向に所要寸法だけ容易かつ滑らかに移動可能であることを特徴とするガイドローラ装置。
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Family Applications (1)
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| JP22561499A Expired - Fee Related JP3970480B2 (ja) | 1999-07-05 | 1999-07-05 | ガイドローラ装置 |
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