JP3970115B2 - 電子レンジ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、調理装置に関し、特に、高周波により食品を加熱する電子レンジに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の電子レンジには、マイクロ波を供給するマグネトロンが備えられ、また、当該マグネトロンの発振したマイクロ波を加熱室に導く導波管が備えられている。なお、従来の電子レンジには、たとえば、加熱室の側面からマイクロ波が供給されるものもあれば、加熱室の底面からマイクロ波を供給されるものがあった。
【0003】
また、従来の電子レンジには、導波管と加熱室とにわたって存在する同軸アンテナと、同軸アンテナの加熱室側の端部に取付けられた放射アンテナとを備えるものがあった。そして、このような電子レンジでは、放射アンテナにより、マイクロ波が拡散されて、加熱室に供給された。なお、加熱室内の食品を均一に加熱するために、放射アンテナを回転させて、加熱室内にまんべんなくマイクロ波を供給される場合もあった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の電子レンジでは、食品の加熱、特に、1個まるごとのジャガイモ等の厚みを有する食品の加熱の際には、一方側からのみマイクロ波を供給されたのでは、当該食品全体を均一に加熱できない場合があった。また、従来の電子レンジでは、たとえば底面からマイクロ波が供給される場合であっても、平らで表面積の大きい食品を加熱する際には、当該食品全体を均一に加熱できない場合があった。つまり、ユーザが満足を得られるように、食品を加熱できない場合があった。
【0005】
また、従来の電子レンジには、ヒータ加熱を行なうためにヒータをさらに備えるものがあった。このような場合、放射アンテナの、ヒータの発する熱による変形を回避する必要がある。放射アンテナが変形すると、放射アンテナから加熱室へのマイクロ波の拡散のパターンが変化して、加熱室内にマイクロ波がまんべんなく供給されなくなり、ユーザが満足を得られるように、食品を加熱できない事態が想定されるからである。
【0006】
本発明は、かかる実情に鑑み考え出されたものであり、その目的は、ユーザが満足を得られるように食品を加熱できる電子レンジを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明のある局面に従った電子レンジは、食品を収容する加熱室と、該加熱室の前面を開閉可能とするドアと、該加熱室内に収容した食品を載置するために前記加熱室内に配置した底板と、マイクロ波を発振するマグネトロンと、該マグネトロンで発振したマイクロ波を前記加熱室に導くために前記加熱室下部に配置された導波管と、該導波管から前記加熱室内部に渡って配置された回転軸を夫々有し、前記底板の下方に、前記ドアから見て左右方向に並ぶように配置された2つの放射アンテナと、前記回転軸に取り付けられ、前記回転軸を回転させることにより前記放射アンテナを回転させるアンテナモータと、前記各回転軸の前記導波管内に侵入する侵入長を変更させるためのモータと、前記マグネトロン、前記アンテナモータ及び前記侵入長を変更させるためのモータの動作を制御する制御部と、を備え、前記侵入長を変更させるためのモータは、前記各回転軸のうち一方の回転軸の侵入長より他方の回転軸の侵入長を長くすることで、前記他方の回転軸に取り付けられた放射アンテナから放射させるマイクロ波を、前記一方の回転軸に取り付けられた放射アンテナから放射されるマイクロ波より多く放射させると共に、前記各回転軸の侵入長を同じにすることで、前記各回転軸に取り付けられた放射アンテナから放射されるマイクロ波を同程度放射させ、前記制御部は、前記侵入長を変更させるためのモータを動作させることにより前記加熱室内にマイクロ波を供給するパターンを変化させることを特徴とする。
【0012】
本発明の他の局面に従うと、電子レンジにおいて、加熱室には、複数の放射アンテナから、マイクロ波が供給される。つまり、加熱室には、マグネトロンの数を増やす等することなく、従来より多くの場所から、マイクロ波が供給されることになる。
【0013】
これにより、加熱室内にまんべんなくマイクロ波を供給できるため、電子レンジ自体のコストを上昇させることなく、食品の加熱むらが抑えられ、ユーザが満足を得られるように食品を加熱できる。
【0014】
また、本発明に従った電子レンジでは、前記マグネトロンは、前記加熱室の後方に配置され、前記導波管は、前記各回転軸を収容できるように二手に枝分かれする構造を有することが好ましい。
【0019】
【発明の実施の形態】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態の電子レンジの斜視図である。
【0020】
図1を参照して、電子レンジ1は、主に、本体2と、ドア3とからなる。本体2は、その外郭を、外装部4に覆われている。また、本体2の前面には、ユーザが、電子レンジ1に各種の情報を入力するための操作パネル6が備えられている。なお、本体2は、複数の脚8に支持されている。ドア3は、下端を軸として、開閉可能に構成されている。ドア3の上部には、把手3Aが備えられている。図2は、図1のII−II線に沿う矢視断面図である。
【0021】
本体2の内部には、本体枠5が備えられている。本体枠5の内部には、加熱室10が設けられている。加熱室10は、ドア3により、開閉可能に構成されている。加熱室10の右側面上部には、検出経路部材40が接続されている。検出経路部材40を構成する箱形状の底面には、検出窓11が形成されている。赤外線センサ7は、検出窓11を介して、加熱室10内の赤外線をキャッチする。
【0022】
加熱室10内には、底板9が備えられている。加熱室10では、底板9上に、加熱対象となる食品が載置される。
【0023】
外装部4の内部には、加熱室10の右下に隣接するように、マグネトロン12が備えられている。また、加熱室10の下方には、マグネトロン12と本体枠5の下部とを接続させる導波管19が備えられている。導波管19は、本発明の第1の導波管に相当する。
【0024】
導波管19の下面には、アンテナモータ16が取付けられている。また、導波管19から加熱室10の内部に渡って、回転軸15Aが備えられている。回転軸15Aは、アンテナモータ16に、支持部材16Aで、矢印R方向に回転可能に固定されている。回転軸15Aの加熱室10側の端部には、本体枠5の底部と底板9の間に存在するように、放射アンテナ15が取付けられている。放射アンテナ15とアンテナモータ16とは、回転軸15Aおよび支持部材16Aで接続されている。そして、アンテナモータ16が駆動することにより、放射アンテナ15が回転する。なお、本体枠5の底面には、軸受け15Bが設けられ、回転軸15Aは、軸受け15B内に設置されている。
【0025】
マグネトロン12の発した高周波は、導波管19を介し、放射アンテナ15によって攪拌されつつ、加熱室10内に供給される。これにより、底板9上の食品が加熱される。
【0026】
なお、マグネトロン12の発振したマイクロ波を効率良く加熱室10内に導くため、マイクロ波の進行方向についてのマグネトロン12のマグネトロンアンテナ12Aから導波管19の端部までの距離LAは、マイクロ波の波長をλとすると、「λ/2」の整数倍、つまり、以下の式(1)のようにされることが好ましい。
【0027】
LA=(λ/2)×n (nは整数)…(1)
また、導波管19の端部から回転軸15Aまでの距離LBは、λの1/4とされるのが好ましい。
【0028】
加熱室10の右側方には、本発明の第2の導波管に相当する導波管50が備えられている。導波管50は、導入口50Aから出口50Bに伸びる管であり、加熱室10の、底板9よりも下方の部分と、底板9よりも上方の部分とを接続させるように設けられている。加熱室10には、導入口50Aおよび出口50Bが接続される位置には、これらの同形の孔が形成されている。電子レンジ1では、導波管50が備えられることにより、マグネトロン12の発振したマイクロ波が、導入口50Aから出口50Bに導かれる。つまり、導波管50が備えられることにより、加熱室10内の食品は、下方からだけでなく、上方からも、マグネトロン12の発振したマイクロ波を供給される。このような観点から、出口50Bは、加熱室10の上部に、好ましくは、加熱室10の高さの1/2以上の位置に、さらに好ましくは、加熱室10の高さの2/3以上の位置に、取付けられることが好ましい。なお、出口50Bの大きさ(径)については、大きければ大きいほど導波管50内のマイクロ波を効率良く加熱室10に導くと考えられるが、特に、制限はない。
【0029】
図3は、図2の加熱室10の下部周辺の拡大図である。ここで、さらに図3を参照して、導波管19を介して加熱室10に導かれたマイクロ波の進行状況が、白抜き矢印で模式的に示されている。図3では、導波管19を介して加熱室10内に導かれたマイクロ波の中で、導入口50A近傍に導かれたものは、導波管50を介して、出口50Bから、加熱室10の上部に導かれる。
【0030】
導波管50に効率良くマイクロ波を導くためには、導入口50Aの、マイクロ波の進行方向に交わる方向の寸法LCは、8cm以上とされることが好ましい。
【0031】
図4に、本実施の形態の図1および図2に示したの電子レンジ1の第1の変形例を示す。図4に示した電子レンジ1では、導波管50の導入口50Aが、加熱室10の下面に接続されている。図2および図4に示すように、導波管50の導入口50Aは、加熱室10に対して、側面に接続されてもよいし下面に接続されてもよい。また、導波管50の出口50Bも、加熱室10の側面だけでなく、天面や背面(ドア3側から見て奥にある面)に接続されてもよいし、複数の面に渡って接続されてもよい。
【0032】
図4に示した例において、導入口50A近傍に導かれたマイクロ波は、導波管50内に導かれる際には、下方に向けて進む。そして、図4に示した例における導入口50Aの、マイクロ波の進行方向(図4の下方)に交わる方向の寸法LDも、LCと同様に、8cm以上とされることが好ましい。
【0033】
図5は、本実施の形態の電子レンジ1の第2の変形例を示す図であり、図6は、図5の加熱室10の下部周辺の拡大図である。また、図6でも、マイクロ波の進行方向が、白抜き矢印で、模式的に示されている。
【0034】
第2の変形例では、導入口50Aの近傍に、加熱室10から導波管50内にわたって存在し、誘電体からなる、反射板51が備えられている。これにより、導入口50A近傍に導かれたマイクロ波は、さらに効率良く、導波管50内に導かれる。
【0035】
なお、本実施の形態では、放射アンテナ15は、中心以外の部分で、回転軸15Aに取付けられている。具体的には、図6に示すように、放射アンテナ15は、端部15X,15Yを備えている。端部15X,15Yの、回転軸15Aの回転中心に対応する放射アンテナ15上の地点から距離は、それぞれ、LX,LY(LX>LY)として示されている。
【0036】
図6では、端部15Xが、導入口50Aの近傍に位置している。この状態では、放射アンテナ15に導かれたマイクロ波は、端部15Xを介して導波管50内に導かれ易くなり、これにより、比較的多くのマイクロ波を、出口50Bから供給できる。
【0037】
一方、回転軸15Aが矢印R方向(図2参照)に回転することにより、図6に示す状態から、端部15Xと端部15Yとが入れ替わった状態を、図7に示す。この状態では、端部15Yは、端部15Xよりも導入口50Aの近くに位置している。しかしながら、図7に示した状態での端部15Yから導入口50Aまでの距離は、図6に示した状態での端部15Xから導入口50Aまでの距離よりも長く、また、端部15Yまで導かれたマイクロ波は導入口50Aまで進みにくい。これにより、図7に示す状態では、図6に示す状態よりも、導波管50内にマイクロ波が導かれにくく、出口50Bから供給されるマイクロ波の量も少なくなる。
【0038】
本実施の形態およびその各変形例の電子レンジ1では、アンテナモータ16の駆動を制御する制御手段が設けられている。そして、当該電子レンジ1では、上記したような、放射アンテナ15の位置とマイクロ波の拡散の態様との関係を利用して、放射アンテナ15の回転を適切な位置で停止させた状態でマグネトロン12にマイクロ波を発振させることにより、底板9上の食品に対して、主に下方からマイクロ波を供給するか、主に上方からマイクロ波を供給するかを選択することができる。もちろん、放射アンテナ15を継続的に回転させながら、マグネトロン12にマイクロ波を発振させ、加熱室10内にまんべんなくマイクロ波を供給することもできる。
【0039】
図8に、本実施の形態の電子レンジ1の第3の変形例を示す。第3の変形例は、図5および図6に示したような反射板が、図4に示したような電子レンジ1に、反射板52として設けられた状態を示す図である。反射板52は、誘電体からなる。図6と図8とでは、電子レンジ1における加熱室10と導入口50Aとの位置関係が異なっていることから、反射板52は、加熱室10から導波管50内にわたって存在するよう、反射板51とは異なった形状を有している。
【0040】
[第2の実施の形態]
図9は、本発明の第2の実施の形態の電子レンジ1の縦断面を右側から見た図である。なお、図9は、図1の電子レンジ1のIX−IX線に沿う矢視断面図に相当する。また、図10は、本実施の形態の電子レンジ1の外装部4および本体枠5の横断面を上方から見た図である。
【0041】
図9および図10を参照して、本実施の形態の電子レンジ1では、マグネトロン12は、加熱室10の後方、つまり、加熱室10に対してドア3の反対側に、設置されている。また、底板9の下方には、2つの放射アンテナ15および回転軸15Aが、ドア3から見て左右方向に並ぶように、備えられている。導波管19は、2つの回転軸15Aを収容できるように、マグネトロン12から、加熱室10に向けて、二手に枝分かれする構造を有している。
【0042】
本実施の形態においても、マイクロ波の進行方向について、導波管19の端部から回転軸15Aの距離LEは、マイクロ波の波長λの1/4とされている。
【0043】
図11は、本実施の形態の電子レンジ1の縦断面図であり、図1の電子レンジ1のII−II線に沿う矢視断面図に相当する図である。
【0044】
導波管19の下方には、2つの回転軸15Aそれぞれに取付けられたアンテナモータ16が、取付けられている。なお、2つのアンテナモータ16は、それぞれ、レール20に嵌め込まれている。レール20は、アンテナモータ16を、上下方向の決まった経路で移動可能にするために設けられている。また、アンテナモータ16は、それぞれ、カム21に固定されている。そして、カム21は、それぞれ、接続部22Aを介して、カム用モータ22に接続されている。
【0045】
接続部22Aは、カム21の中心とは離れた位置で、当該カム21と接続している。このことから、カム用モータ22が回転することによりカム21が回転すると、アンテナモータ16の上下方向の位置が変更する。これにより、回転軸15Aの、導波管19内に侵入する長さである侵入長LFが変更される。なお、この場合の長さ、とは、マイクロ波の進行方向についての長さであり、図11の回転軸15A近傍では、上下方向となる。
【0046】
図12は、本実施の形態の電子レンジ1の制御ブロック図である。
図12を参照して、電子レンジ1は、当該電子レンジ1の動作を全体的に制御する制御部100を備えている。制御部100は、マグネトロン12、熱を発することにより加熱室10内の食品を加熱するヒータ30、マグネトロン12等の外装部4内の部材を冷却するための冷却ファン31、アンテナモータ16、カム用モータ22、赤外線センサ7の赤外線の検知領域を変更するために当該赤外線センサ7を移動させるセンサ駆動モータ70、および、操作パネル6内に設けられた表示部60の動作を制御する。なお、制御部100には、操作パネル6内のキー(操作部)で入力された情報、外装部4内の所定の場所の温度を検知する温度センサ32、および、赤外線センサ7からの検知出力が入力される。
【0047】
図12に示したように、本実施の形態では、2つのカム用モータ22は、それぞれ、独立して制御される。これにより、2つの回転軸15Aの侵入長が、それぞれ独立して制御される。
【0048】
なお、放射アンテナ15を取付けられた回転軸15Aが電子レンジ内に複数ある場合、侵入長が長い回転軸15Aに取付けられた放射アンテナ15は、侵入長の短い回転軸15Aに取付けられた放射アンテナ15よりも、多くのマイクロ波を導波管19から導く。
【0049】
図13および図14は、本実施の形態の回転軸15A付近の拡大図である。図13において、LF1は、本実施の形態の電子レンジ1における、一方の回転軸15Aの侵入長であり、LF2は、他方の回転軸15Aの侵入長である。本実施の形態において、図13に示すよう、「LF1=LF2」である場合には、2つの放射アンテナ15を伝って、同程度のマイクロ波が加熱室10に供給される。この場合、加熱室10内には、まんべんなく、マイクロ波が供給されると考えられる。
【0050】
一方、図14に示すように、一方の回転軸15Aの侵入長が「LF3」であるが、他方の回転軸15Aが導波管19内に侵入しない位置とされた場合には、加熱室10へは、主に、当該一方の回転軸15Aに取付けられた放射アンテナ15からマイクロ波が導かれ、他方の回転軸15Aに取付けられた放射アンテナ15からはマイクロ波は導かれない。この場合、マグネトロン12の発振したマイクロ波は、主に一方の回転軸15Aに取付けられた放射アンテナ15を伝って、加熱室10へ供給されるため、加熱室10内には局所的にマイクロ波が供給されることになる。
【0051】
つまり、本実施の形態では、制御部100によって、2つのカム用モータ22の駆動態様を適宜制御することにより、加熱室10に対して、マイクロ波を、全体にまんべんなく供給するか、局所的に供給するか、というように、加熱室10内にマイクロ波を供給するパターンを意図的に変化させることができる。
【0052】
また、局所的にマイクロ波を供給する際に、加熱室10内のどの辺りを中心にマイクロ波を供給するかについても、カム21の回転を停止させる位置を制御することにより、制御されることができる。これにより、加熱室10における食品の配置に応じて、加熱室10にマイクロ波を供給するパターンを選択できる。局所的にマイクロ波を供給する際の具体例としては、次のような例を挙げることができる。
【0053】
加熱室10内に、初期温度の異なる2つの食品が載置された場合、初期温度の低い方の食品に近い方の放射アンテナ15に接続されている回転軸15Aの侵入長を、他方の回転軸15Aの侵入長よりも長くする。なお、加熱室10内では、食品の位置および温度が、赤外線センサ7により検知される。そして、加熱室10内の2つの食品の温度差がなくなるかまたは所定の値よりも小さくなった際には、2つの回転軸15Aの侵入長を等しくする。これにより、電子レンジ1では、初期温度の異なる2つの食品を、同程度の温度まで加熱する調理を、自動調理として実行できる。
【0054】
[第3の実施の形態]
図15は、本発明の第3の実施の形態の電子レンジ1の縦断面図であり、図1のII−II線に沿う矢視断面図に相当する。
【0055】
本実施の形態の電子レンジ1は、放射アンテナ15の近傍に、ヒータ30が備えられている。なお、本実施の形態では、加熱室10の底板9よりも下方の部分であって、放射アンテナ10およびヒータ30が備えられる領域を、領域5Wとしている。
【0056】
また、本実施の形態の電子レンジ1では、モータアンテナ16と導波管19との間に、カム88が備えられている。カム88は、回転軸15Aと同様に、支持部材16Aにより軸支されている。また、カム88の近傍には、スイッチ89が備えられている。本実施の形態の電子レンジ1の制御ブロック図は、図12に示したような制御ブロック図において、さらに、制御部100にスイッチ89の検知出力が入力されるものとなる。
【0057】
図16は、図15に示したモータアンテナ16、カム88、および、スイッチ89の位置関係を模式的に示す図である。カム88は、アンテナモータ16が駆動することにより、支持部材16Aを中心として、図16の矢印P方向に回転する。なお、カム88は、支持部材16Aに、その中心よりずれた位置で軸支されている。そして、カム88は、1回転すると1回、スイッチ89のオン/オフを切換える。なお、カム88の回転速度は、アンテナモータ16の駆動力に応じたものとなる。したがって、本実施の形態では、制御部100は、スイッチ89のオン/オフが切換えられてからの時間を参照しながらアンテナモータ16の駆動を停止させるタイミングを制御することにより、正確に、放射アンテナ15の回転の停止タイミングを制御できる。
【0058】
放射アンテナ15の停止タイミングが正確に制御されることは、特に、本実施の形態では、放射アンテナ15のヒータ30に対する位置関係を正確に制御することに利用される。
【0059】
図17および図18は、本実施の形態において、ヒータ30と放射アンテナ15との位置関係を示す図であり、これらを上から見た図に相当する。電子レンジ1において、ヒータ30が発熱することによるヒータ加熱が行なわれる際には、放射アンテナ15は、図17に示すように停止された状態とされる。なお、図17に示された状態とは、放射アンテナ15が回転軸15Aに固定された状態で、ヒータ30と放射アンテナ15との最短距離LGが、最も長くなる状態である。
【0060】
図18に、ヒータ30と放射アンテナ15との最短距離が、図17よりも短い状態を示す。つまり、図18におけるヒータ30と放射アンテナ15との最短距離LHは、図17に示した距離LGよりも短くなっている。
【0061】
図19および図20は、本実施の形態の変形例を示す図である。本実施の形態では、ヒータ30は、図17および図18に示すように、環状の形状を有していたが、図19および図20に示す変形例では、ヒータ30は、2本の棒状のもとのとされている。
【0062】
図19には、ヒータ30と放射アンテナ15との最短距離LJが、最も長くなる状態が示されている。この変形例では、ヒータ30によるヒータ加熱が行なわれている際には、放射アンテナ15は、図19に示された状態で停止されている。一方、図20には、ヒータ30と放射アンテナ15とが重なっている状態が示されている。
【0063】
なお、図18および図20に示された状態は、ヒータ30によるヒータ加熱が行なわれていなければ、取ることができる状態である。
【0064】
また、本実施の形態では、ヒータ30と放射アンテナ15との距離について、水平方向(底板9の広がる面と平行な方向)について考慮したが、垂直方向の距離についても考慮することができる。つまり、第2の実施の形態におけるカム21およびカム用モータ22等を備えることにより、放射アンテナ15の高さ位置を調節して、ヒータ30との距離を変更させることも考えられる。
【0065】
また、本実施の形態において示したような、カムとスイッチを用いてモータの駆動タイミングを制御することにより、回転体の回転の停止タイミングを制御することは、第2の実施の形態において示した、カム用モータ22の駆動タイミングを制御することによりカム21の回転の停止タイミングを正確に制御することに適用できる。これにより、回転軸15Aの高さを正確に制御できる。
【0066】
今回開示された各実施の形態およびその変形例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。また、各実施の形態は、可能な限り、単独で実施しても良いし、組み合わせて実施しても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態である電子レンジの斜視図である。
【図2】 図1の電子レンジのII−II線に沿う矢視断面図である。
【図3】 図2の加熱室の下部周辺の拡大図である。
【図4】 図1の電子レンジの第1の変形例を示す図である。
【図5】 図1の電子レンジの第2の変形例を示す図である。
【図6】 図5の加熱室の下部周辺の拡大図である。
【図7】 図5の加熱室の下部周辺の拡大図である。
【図8】 図1の電子レンジの第3の変形例を示す図である。
【図9】 本発明の第2の実施の形態の電子レンジの縦断面図である。
【図10】 本発明の第2の実施の形態の電子レンジの外装部および本体枠の横断面図である。
【図11】 本発明の第2の実施の形態の電子レンジの縦断面図である。
【図12】 本発明の第2の実施の形態の電子レンジの制御ブロック図である。
【図13】 本発明の第2の実施の形態の回転軸付近の拡大図である。
【図14】 本発明の第2の実施の形態の回転軸付近の拡大図である。
【図15】 本発明の第3の実施の形態の電子レンジの縦断面図である。
【図16】 図15に示したモータアンテナ、カム、および、スイッチの位置関係を模式的に示す図である。
【図17】 本発明の第3の実施の形態の電子レンジにおける、ヒータと放射アンテナとの位置関係を示す図である。
【図18】 本発明の第3の実施の形態の電子レンジにおける、ヒータと放射アンテナとの位置関係を示す図である。
【図19】 本発明の第3の実施の形態の変形例の電子レンジにおける、ヒータと放射アンテナとの位置関係を示す図である。
【図20】 本発明の第3の実施の形態の変形例の電子レンジにおける、ヒータと放射アンテナとの位置関係を示す図である。
【符号の説明】
1 電子レンジ、3 ドア、6 操作パネル、7 赤外線センサ、10 加熱室、15 放射アンテナ、15A 回転軸、16 アンテナモータ、19,50導波管、21 カム、22 カム用モータ、30 ヒータ、100 制御部。
Claims (2)
- 食品を収容する加熱室と、
該加熱室の前面を開閉可能とするドアと、
該加熱室内に収容した食品を載置するために前記加熱室内に配置した底板と、
マイクロ波を発振するマグネトロンと、
該マグネトロンで発振したマイクロ波を前記加熱室に導くために前記加熱室下部に配置された導波管と、
該導波管から前記加熱室内部に渡って配置された回転軸を夫々有し、前記底板の下方に、前記ドアから見て左右方向に並ぶように配置された2つの放射アンテナと、
前記回転軸に取り付けられ、前記回転軸を回転させることにより前記放射アンテナを回転させるアンテナモータと、
前記各回転軸の前記導波管内に侵入する侵入長を変更させるためのモータと、
前記マグネトロン、前記アンテナモータ及び前記侵入長を変更させるためのモータの動作を制御する制御部と、を備え、
前記侵入長を変更させるためのモータは、前記各回転軸のうち一方の回転軸の侵入長より他方の回転軸の侵入長を長くすることで、前記他方の回転軸に取り付けられた放射アンテナから放射させるマイクロ波を、前記一方の回転軸に取り付けられた放射アンテナから放射されるマイクロ波より多く放射させると共に、前記各回転軸の侵入長を同じにすることで、前記各回転軸に取り付けられた放射アンテナから放射されるマイクロ波を同程度放射させ、
前記制御部は、前記侵入長を変更させるためのモータを動作させることにより前記加熱室内にマイクロ波を供給するパターンを変化させることを特徴とする電子レンジ。 - 前記マグネトロンは、前記加熱室の後方に配置され、
前記導波管は、前記各回転軸を収容できるように二手に枝分かれする構造を有していることを特徴とする請求項1に記載の電子レンジ。
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