JP3969465B2 - 難着雪リング - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、難着雪リングに関し、さらに詳しくは、半導電性領域の体積抵抗率を有し、かつ、靭性に優れたポリアリーレンスルフィド樹脂組成物からなる難着雪リングに関する。本発明の難着雪リングは、コロナ放電防止性、耐熱性、難燃性、耐候性、機械的強度、耐久性などに優れており、超耐熱送電線を含む各種送電線に所定間隔ごとに取り付けて、着雪を防止するのに好適である。
【0002】
【従来の技術】
積雪地方では、降雪により架空送電線に着雪するが、この着雪が大きく成長したり、凍結すると、着雪の重さや風による振動により、架空送電線が切断するなどの事故が発生する。架空送電線は、一般に、複数の素線を撚り合わせたものであるが、架空送電線への着雪は、素線の撚り目に沿って移動しながら回転し、大きな筒雪に成長していく性質がある。そのため、従来から、架空送電線には、図1に示すような構造の難着雪リングを所定間隔ごとに取り付けて、着雪の移動を阻止し、着雪が大きく成長しないようにしている。
【0003】
難着雪リングは、図1に例示するように、一対の円弧部(1、2)を薄肉のヒンジ部(3)で連結して開閉自在とし、一方の円弧部(1)の開放端には嵌合突片(4)を設け、他方の円弧部(2)の開放端には嵌合凹部(5)を設けた形状を有している。難着雪リングは、開いた一対の円弧部(1、2)により送電線を挟み込み、次いで、嵌合突片(4)を嵌合凹部(5)に圧入して、閉じたリングを形成し、かつ、送電線を強く締め付けることにより送電線に固定される。難着雪リングが、このような形状を有することにより、各種高分子材料を用いて容易に成形することができ、装着も容易となる。送電線に一旦固定された難着雪リングは、通常、積雪時だけではなく、四季を通じて固定状態が維持されることになる。
【0004】
送電線の使用温度は、最高で180℃程度に達するため、難着雪リングの素材としては、この温度に耐え得るポリカーボネート等の耐熱性樹脂が使用されていた。ところが、近年、使用温度が210℃〜300℃にもなる超耐熱送電線が実用化されるに至っているため、より高度の耐熱性を有する高分子材料が求められている。また、難着雪リングには、高度の耐熱性を有するとともに、低温での可撓性、引張破断伸びに代表される靭性、耐候性、難燃性、機械的強度、コロナ放電防止性などに優れていることが要求されている。
【0005】
図3に断面図を示すように、難着雪リングを架空送電線に取り付けると、複数の素線(7)を撚り合わせた架空送電線外表面と難着雪リング内周面との間に、多数の小隙間(8)が形成される。ゴムやプラスチック等の体積抵抗率(体積固有抵抗)の高い絶縁材料により形成された難着雪リングを使用すると、これらの小隙間(8)に電界が集中してコロナ放電の開始電圧が低下し、コロナ放電が発生し易くなる。すなわち、これらの小隙間(8)が、絶縁電力ケーブルにおける絶縁体中のボイドと同様に作用するため、コロナ放電が発生するものと考えることができる。この現象は、超高圧送電の際に、特に顕著である。コロナ放電は、電波障害及び騒音の一因となることに加えて、難着雪リング自身がコロナ放電により傷つけられ、破断し、落下するに至ることがある。
【0006】
一方、体積抵抗率が低すぎる材料で形成された難着雪リングを使用すると、小隙間(8)に侵入する塩分、塵埃、雨水などにより、架空送電線に電食が生じるおそれがある。そのため、ポリカーボネートに導電性フィラーを充填して体積抵抗率を適度に低減した半導電性樹脂材料からなる難着雪リングが実用化されている。しかしながら、前述したとおり、超耐熱送電線が実用化されるに至っているため、ポリカーボネートよりもはるかに高度の耐熱性を有する樹脂材料の開発が要求されている。
【0007】
耐熱性に優れたエンジニアリングプラスチックの中でも、ポリフェニレンスルフィド(以下、PPSと略記)に代表されるポリアリーレンスルフィド(以下、PASと略記)は、難燃性、耐薬品性、寸法安定性、機械的特性、電気的特性などに優れているため、電気・電子部品、精密機器部品、自動車部品などとして広範な分野で用いられている。また、PASに導電性フィラーを配合することにより、体積抵抗率を低減して半導電性とすることも試みられている。例えば、PPSに、導電性カーボンブラックや黒鉛などの導電性フィラーを配合した樹脂組成物が提案されている(特公平5−86982号公報、特開平1−272665号公報、特開平3−91556号公報)。
【0008】
PASに導電性フィラーを配合することにより、体積抵抗率の低い半導電性の樹脂組成物を得ることができる。しかしながら、従来の半導電性PAS樹脂組成物は、体積抵抗率のバラツキが大きく、所望の体積抵抗率を有する樹脂組成物を再現性よく得ることが困難であった。それに加えて、従来の導電性PAS樹脂組成物は、導電性フィラーの配合により、引張破断伸びに代表される靭性が大幅に低下するため、高度の靭性が要求される用途分野には適用が困難であった。しかも、従来の導電性PAS樹脂組成物は、低温での可撓性が悪く、耐屈曲疲労性に劣るものであった。
したがって、このような従来の半導電性PAS樹脂組成物を用いて難着雪リングを形成しても、安定したコロナ放電防止性を示すことができず、しかも嵌合部やヒンジ部での割れを生じやすく、特に低温での屈曲によりヒンジ部が破損し易いという問題があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、コロナ放電防止性、耐熱性、難燃性、耐候性、機械的強度、耐久性などに優れ、超耐熱送電線を含む送電線に取り付けて着雪を防止するのに適した難着雪リングを提供することにある。
本発明者らは、前記従来技術の問題点を克服するために鋭意研究した結果、特定の溶融粘度を有するPAS、エポキシ基含有α−オレフィン系共重合体、特定の導電性カーボンブラック、及び黒鉛を組み合わせ、かつ、これらの各成分を選択された配合割合でブレンドし、さらに体積抵抗率と引張破断伸びを特定の範囲に制御することにより、難着雪リングに要求される前記の如き諸特性を充分に満足することができる半導電性のPAS樹脂組成物の得られることを見いだした。本発明は、これらの知見に基づいて完成するに至ったものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
かくして、本発明によれば、
(A)310℃、剪断速度1200/秒で測定した溶融粘度が70Pa・s以上のポリアリーレンスルフィド55〜85重量%、(B)エポキシ基含有α−オレフィン系共重合体10〜29重量%、(C)DBP吸油量が360ml/100g以上の導電性カーボンブラック3〜6重量%、及び(D)黒鉛2〜10重量%を含有するポリアリーレンスルフィド樹脂組成物から形成され、該ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の体積抵抗率が10 3 〜10 12 Ωcmの範囲内で、かつ、引張破断伸びが10%以上である難着雪リングが提供される。
【0011】
【発明の実施の形態】
ポリアリーレンスルフィド(PAS)
本発明で使用するPASとは、式[−Ar−S−](ただし、−Ar−は、アリーレン基である。)で表されるアリーレンスルフィドの繰り返し単位を主たる構成要素とする芳香族ポリマーである。[−Ar−S−]を1モル(基本モル)と定義すると、本発明で使用するPASは、この繰り返し単位を通常50モル%以上、好ましくは70モル%以上、より好ましくは90モル%以上含有するポリマーである。
【0012】
アリーレン基としては、例えば、p−フェニレン基、m−フェニレン基、置換フェニレン基(置換基は、好ましくは、炭素原子数1〜6のアルキル基、またはフェニル基である。)、p,p′−ジフェニレンスルホン基、p,p′−ビフェニレン基、p,p′−ジフェニレンカルボニル基、ナフチレン基などを挙げることができる。PASとしては、主として同一のアリーレン基を有するポリマーを好ましく用いることができるが、加工性や耐熱性の観点から、2種以上のアリーレン基を含んだコポリマーを用いることもできる。
【0013】
これらのPASの中でも、p−フェニレンスルフィドの繰り返し単位を主構成要素とするPPSが、加工性に優れ、しかも工業的に入手が容易であることから特に好ましい。この他に、ポリアリーレンケトンスルフィド、ポリアリーレンケトンケトンスルフィドなどを使用することができる。コポリマーの具体例としては、p−フェニレンスルフィドの繰り返し単位とm−フェニレンスルフィドの繰り返し単位を有するランダムまたはブロックコポリマー、フェニレンスルフィドの繰り返し単位とアリーレンケトンスルフィドの繰り返し単位を有するランダムまたはブロックコポリマー、フェニレンスルフィドの繰り返し単位とアリーレンケトンケトンスルフィドの繰り返し単位を有するランダムまたはブロックコポリマー、フェニレンスルフィドの繰り返し単位とアリーレンスルホンスルフィドの繰り返し単位を有するランダムまたはブロックコポリマーなどを挙げることができる。これらのPASは、結晶性ポリマーであることが好ましい。また、PASは、靭性や強度などの観点から、直鎖状ポリマーであることが好ましい。
このようなPASは、極性溶媒中で、アルカリ金属硫化物とジハロゲン置換芳香族化合物とを重合反応させる公知の方法(例えば、特公昭63−33775号公報)により得ることができる。
【0014】
アルカリ金属硫化物としては、例えば、硫化リチウム、硫化ナトリウム、硫化カリウム、硫化ルビジウム、硫化セシウムなどを挙げることができる。反応系中で、NaSHとNaOHとを反応させることにより生成させた硫化ナトリウムなども使用することができる。
ジハロゲン置換芳香族化合物としては、例えば、p−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、2,5−ジクロロトルエン、p−ジプロムベンゼン、2,6−ジクロロナフタリン、1−メトキシ−2,5−ジクロロベンゼン、4,4′−ジクロロビフェニル、3,5−ジクロロロ安息香酸、p,p′−ジクロロジフェニルエーテル、4,4′−ジクロロジフェニルスルホン、4,4′−ジクロロジフェニルスルホキシド、4,4′−ジクロロジフェニルケトンなどを挙げることができる。これらは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0015】
PASに多少の分岐構造または架橋構造を導入するために、1分子当たり3個以上のハロゲン置換基を有するポリハロゲン置換芳香族化合物を少量併用することができる。ポリハロゲン置換芳香族化合物の好ましい例としては、1,2,3−トリクロロベンゼン、1,2,3−トリブロモベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン、1,2,4−トリブロモベンゼン、1,3,5−トリクロロベンゼン、1,3,5−トリブロモベンゼン、1,3−ジクロロ−5−ブロモベンゼンなどのトリハロゲン置換芳香族化合物、及びこれらのアルキル置換体を挙げることができる。これらは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。これらの中でも、経済性、反応性、物性などの観点から、1,2,4−トリクロロベンゼン、1,3,5−トリクロロベンゼン、及び1,2,3−トリクロロベンゼンがより好ましい。
極性溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPと略記)などのN−アルキルピロリドン、1,3−ジアルキル−2−イミダゾリジノン、テトラアルキル尿素、ヘキサアルキル燐酸トリアミドなどに代表されるアプロチック有機アミド溶媒が、反応系の安定性が高く、高分子量のポリマーが得やすいので好ましい。
【0016】
本発明では、比較的高分子量、したがって高溶融粘度のPASを使用する。本発明で使用するPASの溶融粘度(310℃、剪断速度1200/秒)は、70Pa・S以上である。PASの溶融粘度が小さすぎると、引張破断伸びを高くすることが困難で、その他の機械的物性も不充分となるおそれがある。PASの溶融粘度は、通常、70〜600Pa・S、好ましくは80〜400Pa・S、より好ましくは100〜300Pa・Sの範囲内である。
PASの配合割合は、組成物全量基準で55〜85重量%であり、好ましくは60〜80重量%である。PASの配合割合が少なすぎると、機械的強度が低下し、耐熱性、難燃性、耐薬品性などのPAS本来の諸特性を発現することも困難となる。PASの配合割合が大きすぎると、電気抵抗(体積抵抗率)を所望の程度にまで低下させるのが困難となる。
【0017】
導電性カーボンブラック
本発明では、PASの体積抵抗率を所望の範囲内に制御するために、黒鉛と共に、DBP吸油量が360ml/100g以上の導電性カーボンブラックを使用する。導電性カーボンブラックのDBP吸油量は、ASTM D2414で規定された方法で測定する。すなわち、測定装置(Absorpotometer)のチャンバーの中にカーボンブラックを入れ、そのチャンバーの中に、一定の速度でDBP(すなわち、n−ジブチルフタレート)を加える。DBPを吸収するに従い、カーボンブラックの粘度は上昇し、ある程度に達したときまでに吸収したDBPの量からDBP吸油量を算出する。粘度の検出は、トルクセンサーで行なう。
【0018】
導電性カーボンブラックのDBP吸油量が小さすぎると、PAS樹脂組成物の電気抵抗を所望の程度まで低下させるのに多量の導電性カーボンブラックを配合することが必要となり、その結果、成形性や機械的物性が損なわれる。導電性カーボンブラックのDBP吸油量の上限に関しては、特に制限はないが、製造上の都合から、通常は750ml/100g以下である。DBP吸油量は、好ましくは400〜600ml/100gである。
導電性カーボンブラックの配合割合は、組成物全量基準で3〜6重量%、好ましくは4〜5重量%である。導電性カーボンブラックの配合割合を限定された範囲内に調整することにより、体積抵抗率と強度、伸びなどの物性のバランスが良好となる。
【0019】
導電性カーボンブラックは、一般に、ある配合割合以上で樹脂組成物に急激な体積抵抗率の低下を引き起こすため、導電性カーボンブラック単独では、再現性よく所望の体積抵抗率値となるように制御することが困難である。また、導電性カーボンブラック単独では、体積抵抗率が105Ωcm以下の領域において、充分な伸度を再現させることが特に難しい。そのため、導電性カーボンブラックの配合割合を限定された範囲内に調整するとともに、黒鉛を併用する。導電性カーボンブラックの配合割合は、PASとエポキシ基含有α−オレフィン系共重合体を含む樹脂組成物に対し、該カーボンブラックを添加していった場合に、急激な電気抵抗の低下が見られる臨界点の添加量、すなわち該カーボンブラックの添加量1重量%当たりの体積抵抗率の変化率が103Ωcm以上になる点での該カーボンブラックの添加量の0.70〜0.95倍とすることが好ましい。
【0020】
黒鉛
本発明で使用する黒鉛は、平均粒径が好ましくは50μm以下、より好ましくは30μm以下、特に好ましくは15μm以下であることが望ましい。黒鉛の平均粒径が大きすぎると、電気抵抗は下げやすいが、引張破断伸びが低下する傾向を示す。
黒鉛としては、コークス、タール、ピッチなどを高温で黒鉛化処理した人造黒鉛、燐片状黒鉛、鱗状黒鉛、及び土状黒鉛等の天然黒鉛を用いることができる。黒鉛の配合割合は、組成物全量基準で2〜10重量%、好ましくは2〜8重量%の範囲内である。黒鉛をこの範囲の配合割合で導電性カーボンブラックと併用することにより、樹脂組成物の体積抵抗率を所望の程度にまで容易に低下させることができる。
【0021】
エポキシ基含有α−オレフィン系共重合体
本発明で使用するエポキシ基含有α−オレフィン系共重合体とは、少なくともα−オレフィンに由来する繰り返し単位(すなわち、α−オレフィン単位)とグリシジル基含有不飽和単量体に由来する繰り返し単位(すなわち、グリシジル基含有不飽和単量体単位)とを含有する共重合体である。エポキシ基含有α−オレフィン系共重合体の具体例としては、(1)α−オレフィンとグリシジル基含有不飽和単量体との共重合体、及び(2)α−オレフィンとグリシジル基含有不飽和単量体との共重合体の存在下に、少なくとも一種のビニル単量体とラジカル重合性有機過酸化物とを共重合して得られるグラフト化前駆体を挙げることができる。
【0022】
α−オレフィンとグリシジル基含有不飽和単量体との共重合体としては、両者の二元共重合体の他に、α−オレフィンと不飽和グリシジル基含有単量体との二元共重合体以外に、α−オレフィンとグリシジル基含有不飽和単量体と他の不飽和単量体との三元以上の共重合体も含まれる。共重合体中のα−オレフィン単位は、通常50〜99.5重量%、好ましくは60〜99重量%、より好ましくは70〜98重量%の範囲内である。グリシジル基含有不飽和単量体単位は、通常0.5〜50重量%、好ましくは1〜40重量%、より好ましくは2〜30重量%の範囲内である。他の不飽和単量体単位は、通常0〜40重量%、好ましくは0〜30重量%、より好ましくは0〜20重量%の範囲内である。エポキシ基含有α−オレフィン系共重合体の重合形態としては、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体のいずれでもよい。
α−オレフィン系単量体としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン等が挙げられるが、これらの中でもエチレンが特に好ましく用いられる。
【0023】
グリシジル基含有不飽和単量体としては、例えば、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、イタコン酸モノグリシジルエステル、ブテントリカルボン酸モノグリシジルエステル、ブテントリカルボン酸ジグリシジルエステル、ブテントリカルボン酸トリグリシジルエステル、マレイン酸モノグリシジルエステル、クロトン酸モノグリシジルエステル、フマル酸モノグリシジルエステルなどのグリシジルエステル類;ビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、グリシジルオキシエチルビニルエーテル、スチレン−p−グリシジルエーテルなどのグリシジルエーテル類;p−グリシジルスチレン等が挙げられる。これらの中でも、α,β−不飽和酸のグリシジルエステルが好適に用いられる。
他の不飽和単量体としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル単量体、ビニルエーテル単量体、(メタ)アクリロニトリル、スチレンなどのビニル芳香族単量体、一酸化炭素などを挙げることができる。
【0024】
α−オレフィンとグリシジル基含有不飽和単量体との共重合体の具体例としては、エチレン/メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/酢酸ビニル/メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/アクリル酸エチル/メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/アクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/酢酸ビニル/アクリル酸グリシジル共重合体等が挙げられる。これらの中でも好ましいものは、エチレン/メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/アクリル酸エチル/メタクリル酸グリシジル共重合体、及びエチレン/酢酸ビニル/アクリル酸グリシジル共重合体などのエポキシ基含有エチレン系共重合体である。これらのエポキシ基含有α−オレフィン系共重合体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。α−オレフィンとグリシジル基含有不飽和単量体との共重合体は、通常、単量体混合物をラジカル重合開始剤の存在下に高圧重合することにより得ることができる。
【0025】
α−オレフィンとグリシジル基含有不飽和単量体との共重合体の存在下に、少なくとも一種のビニル単量体とラジカル重合性有機過酸化物とを共重合して得られるグラフト化前駆体は、例えば、特開平1−131220号公報、特開平1−138214号公報などに開示されている公知のものである。このグラフト化前駆体は、100〜300℃の温度に加熱することにより容易にグラフト化する。グラフト化とは、α−オレフィンとグリシジル基含有不飽和単量体との共重合体に、ビニル単量体の重合体がグラフト反応、架橋反応、これらの混在した反応により、化学的に結合することを意味する。これらの重合体が化学的に結合していることは、例えば、一方の重合体を溶解する溶剤により、2つの重合体が分離できないことにより明らかにすることができる。α−オレフィンとグリシジル基含有不飽和単量体との共重合体には、前記と同様、他の不飽和単量体が共重合した三元以上の共重合体も含まれる。
【0026】
グラフト化前駆体中、α−オレフィンと不飽和グリシジル基含有単量体との共重合体の割合は、通常5〜95重量%、好ましくは20〜90重量%である。この共重合体の割合が少なすぎると、PASとの相溶性が不充分となり、逆に、多すぎると、樹脂組成物の耐熱性や寸法安定性が低下するおそれがある。
グラフト化前駆体の製造に使用されるビニル単量体としては、例えば、スチレン、メチルスチレン、クロルスチレン等のビニル芳香族単量体;(メタ)アクリル酸の炭素原子数1〜7のアルキルエステルなどの(メタ)アクリル酸エステル単量体;α,β−不飽和酸のグリシジルエステル単量体;(メタ)アクリロニトリルなどの不飽和ニトリル単量体;酢酸ビニル等のビニルエステル単量体等が挙げられる。
【0027】
グラフト化前駆体は、α−オレフィンとグリシジル基含有不飽和単量体との共重合体の存在下に、t−ブチルペルオキシメタクリロイロキシエチルカーボネートなどのラジカル重合性有機過酸化物を用いて、少なくとも一種のビニル単量体を(共)重合することにより得ることができる。このグラフト化前駆体は、100〜300℃の溶融下で混練すると、グラフト化物が得られる。グラフト化前駆体は、PAS及びその他の成分との溶融混練時にグラフト化してもよいが、予めグラフト化してからPAS及びその他の成分と溶融混練してもよい。
【0028】
エポキシ基含有α−オレフィン系共重合体の配合割合は、組成物全量基準で10〜29重量%、好ましくは14〜27重量%の範囲内である。この配合割合が少なすぎると、引張破断伸びが不充分となり、脆性破壊しやすくなる。この配合割合が大きすぎると、押出時の加工性が低下することに加えて、樹脂組成物中でエポキシ基含有α−オレフィン系共重合が連続相を形成し、PASが本来有している特徴が損なわれるおそれが生じる。
【0029】
その他の成分
本発明で使用するPAS樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲内において、その他の熱可塑性樹脂を添加することができる。その他の熱可塑性樹脂としては、高温において安定な熱可塑性樹脂が好ましく、その具体例としては、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等の芳香族ポリエステル;ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、プロピレン/テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン/クロロトリフルオロエチレン共重合体、エチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体等のフッ素樹脂;ポリアセタール、ポリスチレン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリアルキル(メタ)アクリレート、ABS樹脂、ポリ塩化ビニルなどを挙げることができる。これらの熱可塑性樹脂は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0030】
本発明で使用するPAS樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲内において、所望により各種フィラーを配合することができる。フィラーとしては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、アスベスト繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化硼素繊維、窒化珪素繊維、硼素繊維、チタン酸カリ繊維などの無機繊維状物;ステンレス、アルミニウム、チタン、鋼、真ちゅう等の金属繊維状物;ポリアミド、フッ素樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂などの高融点有機質繊維状物質;等の繊維状充填剤が挙げられる。また、フィラーとしては、例えば、マイカ、シリカ、タルク、アルミナ、カオリン、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、フェライト、クレー、ガラス粉、酸化亜鉛、炭酸ニッケル、酸化鉄、石英粉末、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム等の粒状または粉末状充填剤を挙げることができる。
【0031】
これらのフィラーは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。フィラーは、必要に応じて、集束剤または表面処理剤により処理されていてもよい。集束剤または表面処理剤としては、例えば、エポキシ系化合物、イソシアネート系化合物、シラン系化合物、チタネート系化合物などの官能性化合物が挙げられる。これらの化合物は、フィラーに対して、予め表面処理または集束処理を施して用いるか、あるいは樹脂組成物の調製の際に、同時に添加してもよい。
その他の添加剤として、例えば、エチレングリシジルメタクリレートのような樹脂改良剤、ペンタエリスリトールテトラステアレートのような滑剤、熱硬化性樹脂、酸化防止剤、紫外線吸収剤、ポロンナイトライドのような核剤、難燃剤、染料や顔料等の着色剤等を適宜添加することができる。
【0032】
PAS樹脂組成物
本発明で使用するPAS樹脂組成物は、一般に合成樹脂組成物の調製に用いられる設備と方法により調製することができる。すなわち、各原料成分を混合し、1軸または2軸の押出機を使用して混練し、押し出して成形用ペレットとすることができる。必要成分の一部をマスターバッチとしてから、残りの成分と混合する方法、また、各成分の分散性を高めるために、使用する原料の一部を粉砕し、粒径を揃えて混合し、溶融押出することも可能である。
本発明の難着雪リングの成形は、前記PAS樹脂組成物を用いて、通常、射出成形法により製造することができる。射出成形は、様々な条件で可能であるが、典型的な射出成形条件としては、例えば、樹脂温度310℃で140℃の金型に10秒間で注入し、保圧1,000kgf/cm2で10秒間保持後、金型を解放して10秒間冷却して、製品を得る方法を挙げることができる。
【0033】
本発明で使用するPAS樹脂組成物の体積抵抗率は、103〜1012Ωcm、好ましくは105〜1011Ωcm、より好ましくは106〜1010Ωcmの範囲内である。PAS樹脂組成物の体積抵抗率が高すぎると、該樹脂組成物から形成された難着雪リングがコロナ放電を防止することが困難となり、低すぎると、各素線と難着雪リングとの隙間に浸入する雨水、塩分、塵埃等によって、素線表面に電食が生じ易くなる。
【0034】
本発明で使用するPAS樹脂組成物の引張破断伸びは、10%以上であり、好ましくは12%以上、より好ましくは15%以上である。PAS樹脂組成物の引張破断伸びが低すぎると、難着雪リングの嵌合部やヒンジ部に割れを生じ易くなり、特に低温でのヒンジ部の割れが生じ易くなる。
本発明で使用するPAS樹脂組成物の引張強さは、通常、30MPa以上、好ましくは40MPa以上、より好ましくは45MPa以上である。引張強さが低すぎると、難着雪リングが強度不足となる。
【0035】
難着雪リング
本発明の難着雪リングは、前記PAS樹脂組成物を成形することにより得ることができる。本発明の難着雪リングの形状は、特に限定されないが、その典型的なものは、図1に例示する形状を有するものである。すなわち、図1に示すように、一対の円弧部(1、2)を薄肉のヒンジ部(3)で連結して開閉自在とし、一方の円弧部(1)の開放端には嵌合突片(4)を設け、他方の円弧部(2)の開放端には嵌合凹部(5)を設けた形状を有する難着雪リングである。
【0036】
この難着雪リングは、ヒンジ部(3)を薄肉としているため、使用前には、両円弧部が開いた状態にあり、両円弧の開口部により容易に送電線を挟み込むことができ、送電線を挟んだ後には、ヒンジ部を屈曲させて一方の円弧部(1)の開放端の嵌合突片(4)を他方の円弧部(2)の開放端の嵌合凹部(5)に圧入して、閉じたリングを形成し、かつ、送電線を強く締め付けて、送電線に固定することができる。このように、難着雪リングは、簡単な作業により、送電線に装着できるような形状としており、射出成形も容易である。
【0037】
図2は、図1に示す難着雪リングの側面図であり、送電線に装着する前の状態を表す。両円弧部の外表面に、環状溝(6)を設けて、着雪の移動を抑制してもよい。図3は、送電線に難着雪リングを装着した状態を示す断面図である。各素線(7)は撚り合わされた状態で送電線を構成しており、難着雪リングは、その外周にリング状に装着固定される。
本発明の難着雪リングは、適度に低減された体積抵抗率を有しているため、送電線との間の小隙間(8)に起因するコロナ放電を防止することができ、また、耐熱性、難燃性、耐候性、機械的強度、低温での耐屈曲性等に優れているため、作業性及び耐久性に優れている。
【0038】
【実施例】
以下に、合成例、実施例、及び比較例を挙げて、本発明についてより具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。
なお、物性の測定方法は、以下に示すとおりである。
(1)引張り物性(引張強さ、引張破断伸び)
樹脂組成物の引張強さ及び引張破断伸び(引張伸び)は、ASTM D638に準拠し、測定温度23℃、標点間距離50mm、クロスヘッド速度5mm/分の条件で測定した。
(2)体積抵抗率
JIS K6911に準拠して測定した。
(3)嵌合状況
図1に示す形状の難着雪リング状に成形した試験片を、常温で、断面積410mm2、外径28.5mmのアルミニウム撚り線に取り付け、破損、取り付き具合を確認した。また、同様の評価を、−20℃の低温槽内に30分間放置した試験片でも確認した。
(4)繰り返し屈曲回数
難着雪リング状に成形した試験片5個を用い、それぞれのヒンジ部(3)を中心に繰り返し屈曲させ、破損までの屈曲回数を確認した。また、同様の評価を、−20℃の低温槽内に30分間放置した試験片でも確認した。
(5)コロナ特性(放電状況)
難着雪リング状に成形した試験片を、断面積410mm2、外径28.5mmのアルミニウム撚り線に取り付け、アルミニウム撚り線に17kV/cmの電圧を100時間印加し、可視コロナの有無、及び周辺の状況を観察した。
(6)溶融粘度
キャピログラフ1C(東洋精機社製)により、長さ10mm、径1mmのキャピラリーを用いて、温度310℃、剪断速度1200/秒の条件で測定した。
【0039】
[合成例1]
重合缶にN−メチルピロリドン(以下、NMPと略記)800kgと46.40重量%の硫化ナトリウム(Na2S)を含む硫化ナトリウム5水塩390kgを仕込み、窒素ガスで置換後、撹拌しながら徐々に200℃まで昇温して、水147kgを留出させた。このとき、同時に57モルのH2Sが揮散した。次に、p−ジクロロベンゼン(以下、pDCBと略記)339kgとNMP218kg及び水9.2kgを加え、撹拌しながら220℃で4.5時間反応させた。その後、撹拌を続けながら水70kgを圧入し、255℃に昇温して3時間反応させた後、245℃で8時間反応を継続した。反応終了後、室温付近まで冷却してから、内容物を100メッシュのスクリーンに通して粒状ポリマーを篩分し、アセトン洗2回、さらに水洗3回を行い、洗浄ポリマーを得た。さらに、この洗浄ポリマーを3%塩化アンモニウム水溶液で洗浄した後、水洗を行った。脱水後、回収した粒状ポリマーは、105℃で3時間乾燥した。回収したポリマーの収率は90%で、溶融粘度は236Pa・sであった。
【0040】
[合成例2]
重合缶にNMP720kgと硫化ナトリウム5水塩420kgを仕込み、窒素ガスで置換後、撹拌しながら徐々に200℃まで昇温して、水160kgを留出させた。このとき、同時に62モルのH2Sが揮散した。脱水工程後、重合缶にpDCB364kgとNMP250kgを加え、撹拌しながら220℃で4.5時間反応させた。その後、撹拌を続けながら水59kgを圧入し、255℃に昇温して5時間反応させた。反応終了後、合成例1と同様に後処理して、粒状ポリマーを回収した。得られたポリマーの収率は89%で、溶融粘度は140Pa・sであった。
【0041】
[合成例3]
重合缶にNMP720kgと硫化ナトリウム5水塩420kgを仕込み、窒素ガスで置換後、撹拌しながら徐々に200℃まで昇温して、水160kgを留出させた。このとき、同時に62モルのH2Sが揮散した。脱水工程後、重合缶にpDCB369kgとNMP250kgを加え、撹拌しながら220℃で4.5時間反応させた。その後、撹拌を続けながら水59kgを圧入し、255℃に昇温して5時間反応させた。反応終了後、合成例1と同様に後処理して、粒状ポリマーを回収した。得られたポリマーの収率は93%で、溶融粘度は90Pa・sであった。
【0042】
[合成例4]
重合缶にNMP720kgと硫化ナトリウム5水塩420kgを仕込み、窒素ガスで置換後、撹拌しながら徐々に200℃まで昇温して水158kgを留出させた。このとき、同時に62モルのH2Sが揮散した。次に、pDCB371kgとNMP189kgを加え、撹拌しながら220℃で4.5時間反応させた。その後、撹拌を続けながら水49kgを圧入し、255℃に昇温して5時間反応させた。反応終了後、合成例1と同様に後処理して、粒状ポリマーを回収した。得られたポリマーの収率は92%で、溶融粘度は55Pa・sであった。
【0043】
[実施例1〜6、及び比較例1〜5]
表1に示す各成分をヘンシェルミキサーで均一にドライブレンドし、45mmφ二軸混練押出機(池貝鉄鋼社製PCM−45)へ供給し、シリンダー温度260℃〜330℃にて混練を行い、ペレット状物を得た。得られたペレット状物を150℃で6時間乾燥した後、射出成型機(東芝機械社製IS−75)により、金型温度135℃、シリンダー温度300〜320℃で、引張り試験片、体積抵抗率測定用円盤、及び図1で示した形状の難着雪リングを作成し、それぞれ評価に供した。結果を表1及び2に示す。
使用した原料は、次のとおりである。
(1)PPS:合成例1〜4で得られた各ポリマー
(2)エポキシ基含有α−オレフィン系共重合体:モデイパーA4400(日本油脂社製、グラフト化前駆体)
(3)カーボンブラック(DBP吸油量500ml/100g):ケッチェンブラックEC600JD(ライオン株式会社製)
(4)カーボンブラック(DBP吸油量100ml/100g):MA100(三菱化学社製)
(4)黒鉛:人造黒鉛HAG−15(日本黒鉛工業社製、平均粒径6μm)
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
【0046】
表1及び2の結果から明らかなように、本発明の樹脂組成物を用いて形成された難着雪リング(実施例1〜6)は、半導電性領域の体積抵抗率と高い引張破断伸びを有しており、特に低温での嵌合状況及び繰返し屈曲回数に優れ、コロナ放電防止性が良好である。
これに対して、溶融粘度が低いPASを配合した樹脂組成物を用いた場合(比較例1)には、エポキシ基含有α−オレフィン系共重合体の配合割合を比較的大きくしても、靭性が不足しており、特に低温での機械的強度に劣り、ヒンジ割れを生じやすい。エポキシ基含有α−オレフィン系共重合体を配合していない樹脂組成物を用いた場合(比較例2)には、靭性が大幅に不足している。
【0047】
吸油量が低い導電性カーボンブラックを配合した樹脂組成物を用いた場合(比較例3)には、導電性カーボンブラックの配合割合を高めても、体積抵抗率を充分に下げることができない。導電性フィラーとして、導電性カーボンブラックのみを用いて、黒鉛を配合していない樹脂組成物を用いた場合(比較例4〜5)には、靭性が不足しており、しかも導電性カーボンブラックの配合割合が5.0重量%の場合(比較例4)には、体積抵抗率が高かったのに対して、6.0重量%に少し増量した場合(比較例5)には、体積抵抗率が急激に低下しており、所望の体積抵抗率を安定して得ることが困難である。
【0048】
【発明の効果】
本発明の難着雪リングは、低減された体積抵抗率を有しているため、送電線との間のギャップにコロナ放電を発生することがなく、また、引張破断伸びに代表される靭性に優れているため、取り付け時の破損を生じ難く、しかも高度の耐熱性、難燃性、耐候性、機械的強度などを有しているため、耐久性に優れている。本発明の難着雪リングは、コロナ放電を発生しないことから、長期にわたって騒音及び電波障害を生じることがなく、破断等の事故も防ぐことができる。また、本発明の難着雪リングは、取り付け時、及び取り付け後も、機械的な応力で破断することがなく、超耐熱電線等の高温での使用を要求される分野への適用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の難着雪リングの一実施例の形状を示す説明図(正面図)であり、送電線への装着前の状態を示す。
【図2】図1に示す難着雪リングの側面図(一部の切り欠き図)である。
【図3】図1の難着雪リングを送電線に装着したときの説明図(断面図)である。
【符号の説明】
1:円弧部
2:円弧部
3:ヒンジ部
4:嵌合突片
5:嵌合凹部
6:環状溝
7:電線(素線)
8:小隙間
Claims (1)
- (A)310℃、剪断速度1200/秒で測定した溶融粘度が70Pa・s以上のポリアリーレンスルフィド55〜85重量%、(B)エポキシ基含有α−オレフィン系共重合体10〜29重量%、(C)DBP吸油量が360ml/100g以上の導電性カーボンブラック3〜6重量%、及び(D)黒鉛2〜10重量%を含有するポリアリーレンスルフィド樹脂組成物から形成され、該ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の体積抵抗率が10 3 〜10 12 Ωcmの範囲内で、かつ、引張破断伸びが10%以上である難着雪リング。
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